ハイブリッド型ペナルティ法による鉄筋コンクリー トの離散ひび割れ解析手法の研究
著者 藤原 良博
著者別名 FUJIWARA Yoshihiro
その他のタイトル Research of discrete crack modelling of
reinforced concrete using hybrid‑type penalty method
ページ 1‑142
発行年 2015‑03‑24
学位授与番号 32675甲第358号 学位授与年月日 2015‑03‑24
学位名 博士(工学)
学位授与機関 法政大学 (Hosei University)
URL http://doi.org/10.15002/00011757
法政大学審査学位論文
ハイブリッド型ペナルティ法による
鉄筋コンクリートの離散ひび割れ解析手法の研究
平成 26 年度
法政大学大学院デザイン工学研究科 システムデザイン専攻 博士後期課程
藤 原 良 博
目 次
第1章 序 論 [1]
1.1 本研究の背景と目的 1
1.2 既往の研究 3
1.2.1 ひび割れ計算手法 3
1.2.2 鉄筋の考慮手法 11
1.3 本論文の構成と内容 14
第2章 HPM の基礎方程式と材料非線形解析法 [16]
2.1 はじめに 16
2.2 HPMの基礎方程式 17
2.3 材料非線形解析法 23
2.3.1 荷重増分法 23
2.3.2 計算フロー 25
2.4 解放応力 30
2.5 まとめ 31
第3章 引張破壊に対する構成則 [32]
3.1 はじめに 32
3.2 ひび割れのモデル化 34
3.3 引張軟化曲線 36
3.3.1 引張軟化曲線試験結果 36
3.3.2 引張軟化曲線の適用性の検討 39
3.4 履歴特性 46
3.5 解放力算定手順 48
3.6 ひび割れのメッシュ依存性 52
3.6.1 デローニ三角形分割 52
3.6.2 ひび割れ面のせん断伝達機構 54
3.7 まとめ 55
第4章 圧縮破壊に対する構成則 [57]
4.1 はじめに 57
4.2 骨格曲線 58
4.3 履歴特性 63
4.4 二軸応力状態の考慮 65
4.5 ポアソン比の考慮 67
4.6 応力算定方法 69
4.7 まとめ 71
第5章 鉄筋のモデル化 [73]
5.1 はじめに 73
5.2 鉄筋のモデル化 74
5.3 一軸積層モデルの定式化 80
5.4 非線形構成則 84
5.5 まとめ 85
第6章 鉄筋コンクリートのひび割れ解析 [86]
6.1 はじめに 86
6.2 アンカーボルト引抜き試験の解析 87
6.2.1 試験概要 87
6.2.2 解析条件 90
6.2.3 解析結果 97
6.3 ディープビーム載荷試験の解析 109
6.3.1 試験概要 109
6.3.2 解析条件 110
6.3.3 解析結果 112
6.4 まとめ 116
第7章 結論 [117]
7.2 今後の研究課題 120
参考文献 [121]
付録1 HPM の基礎方程式 [126]
付録1.1 基礎方程式とハイブリッド法 126
付録2 係数行列の成分表示 [129]
付録2.1 基礎方程式の成分表示 129
付録2.2 離散化方程式の成分表示 131
付録3 非線形状態と荷重増分率の算定 [136]
付録3.1 非線形状態フラグ 136
付録3.2 荷重増分率の算定方法 138
謝 辞 [141]
第1章 序 論
1.1 本研究の背景と目的
1995年の兵庫県南部地震は,近年なかった規模の都市近郊で起こった直下型地震である.震 源が16kmと浅く,大振幅で衝撃的な波形の地震であり,上下動も大きな揺れが観測された.
地震の継続時間は短かったものの,衝撃的で大きな加速度により多数のコンクリート構造物が 倒壊する被害があった.また,2011年の東北地方太平洋沖地震は,かつてないマグニチュード の巨大な地震であった.プレートの異なる場所が連動して滑ったことで,地震の継続時間が 6 分以上と,かなり長い間大きく揺れた.地震の規模に比べて揺れによりコンクリート構造物が 倒壊するような被害はなかったが,東日本の広範囲でコンクリート構造物が損傷した.このよ うなコンクリート構造物の損傷や崩壊の対策には,まず,その破壊過程を詳細に知る必要があ り,課題となっている.
コンクリートの破壊は,まず引張応力によりマイクロクラックと呼ばれる微細なひび割れが 多数発生することからはじまる.コンクリートは複合材料であり,内部は石などの骨材や砂が 混在し均一ではないため,周りのひび割れと結合し,ひび割れが次第に開くものがでてくる.
すると次第に開くひび割れにひずみが集中していき,その近傍のひび割れは閉じるかそれ以上 進展しなくなる.このように主要なひび割れが大きく開いて進展していくことで,最終的に構 造物の破壊に至る.この複雑なひび割れの進展による進行性破壊過程を表すためには,個々の ひび割れの正確な評価が重要である.
このひび割れの進展には,エネルギーの解放が大きく係わっている.ひび割れ先端部には引 張応力が集中している.そこで,ひび割れが開くとひび割れ周辺のエネルギーが解放され,そ れがさらなる破壊の進展力となり,ひび割れ先端部からひび割れが進展していく.
ひび割れによる破壊のエネルギー基準を最初に提案したのはGriffith[1]であり,Irwin[2][3]は,
それを発展させ,ひび割れ先端部の応力と変位はエネルギー解放率と関係のある単一定数(応 力拡大係数)で表示できることを示した.その後,Irwin[4],Dugdale[5],Barenblatt[6],Wells[7]
などが帯状降伏域を用いてモデル化を行った.Wells[7]は,ひび割れ面が塑性変形と共に離れる ことから,ひび割れ先端開口変位(CTOD)と呼ばれるパラメータを破壊靱性の尺度として提 案した.Rice[8]は,非線形エネルギー解放率を線積分で表し,ひび割れ先端周りの任意周回路
で評価してJ積分とよんだ.
その後,Hillerborg[9]はDugdaleやBarenblattの方法をコンクリートの破壊に応用し,仮想ひ び割れモデル(Fictitious crack model)または結合域モデル(Cohesive zone model)を提案した.
結合力モデルともいわれる.このモデルでは,ひび割れ進展時の引張応力とひび割れ開口変位 の関係(引張軟化曲線)をひび割れ面の非線形特性として,引張軟化曲線の面積を破壊エネル ギー と定義した. は,コンクリートの材料特性の一つとされており, を評価する試験
法がRILEM推奨法として定められた[10].そして,コンクリート工学会の「コンクリートの破
壊特性の試験方法に関する調査研究委員会」では,コンクリートの破壊特性に関する標準試験 方法が検討され,RILEM法に準じた方法が提案された[11].
このようにして,近年,コンクリートの試験結果から引張軟化曲線および破壊エネルギー が得られるようになってきた.これらをひび割れ進展の計算に利用できれば,コンクリートの 破壊を試験に準じて評価可能となる.
竹内[12]によって開発されたハイブリッド型ペナルティ法(HPM:Hybrid-type Penalty Method)
は,離散ひび割れを評価できる手法の一つである.このモデルは,変形が許容された離散体を ペナルティ関数で接続しており,離散ひび割れの発生はペナルティの消滅というシンプルな手 法で評価することができる.この際,二重節点や自由度の変更は不要である.
その上 HPM は,部分領域に弾性体を用いているため,離散ひび割れが発生する直前までの 連続体の変形精度がよく,さらに離散ひび割れ発生後も,ひび割れ間の弾性領域を考慮できる ため,ひび割れ周辺の変形精度も良い.ひび割れた部分とひび割れていない弾性部分の両者の 計算精度が更なる破壊の進行を評価するのに重要である.
このように,HPMは離散ひび割れを簡便に導入でき,弾性挙動の精度を維持しながら,連続 体から不連続体に移行する際の計算精度も良いのが特徴である.これらの特徴は脆性材料およ びコンクリートなどの準脆性材料の進行性破壊の評価に最適である.
本研究の目的は,実験的研究によって明らかにされている関係を用いて,HPMによる離散化 解析のための鉄筋コンクリートの構成則を構築し,その破壊性状を正確に表すための進行性破 壊を考慮した計算手法を提案するとともに,その有用性を示すことである.
1.2 既往の研究
1.2.1 ひび割れ計算手法
(1) 分布ひび割れモデル
分布ひび割れモデルは1960年代にRashidにより提案された[13].有限要素法(FEM:Finite Element Method)の要素内部の応力評価点(積分点)における応力ひずみ関係を表す非線形構 成則として,ひび割れによる引張破壊と圧縮破壊の特性を定義するモデルである.
分布ひび割れモデルのひび割れ面の定義は,図 1.2.1(a)に示すように要素内部の積分点で主 応力を算定し,最大主応力が引張強度を超えた時に,最大主応力方向の直交方向にひび割れが 生じると仮定する.ひび割れ後はひび割れ直交方向に引張応力を伝達しなくなるので,ひび割 れ直交方向の剛性をゼロとした異方性材料で表される.ひび割れ面を基準とした異方性の取扱 いは,図 1.2.1(b)に示すようなひび割れ方向とひび割れ直交方向に要素座標を定義して,ひず みと応力を要素座標系に座標変換し,それぞれの軸に対して一軸応力ひずみ関係を適用して垂 直応力を求める.このとき,ひび割れ直交方向の応力は,引張軟化曲線の横軸をひずみに変換 した関係式を用いる.また,ひび割れ方向のせん断応力は,ひび割れ面に対するせん断伝達モ デルを実験結果より定義して求める.
x’
ft 1
y’
(a) ひび割れ判定 (b) 要素座標系の設定 図 1.2.1 ひび割れ方向と座標系の設定
分布ひび割れモデルで用いる要素座標系は,ひび割れ面によって固定され変化しない固定ひ び割れモデルと,最大主ひずみ方向により常に回転する回転ひび割れモデルがある.固定ひび 割れモデルは,複数のひび割れを表現できないために,ひび割れ後に主応力が回転した場合は 引張強度を過大に評価してしまう場合がある.それに比べて回転ひび割れモデルは,常に最大 主応力でひび割れを評価するために,主応力が回転する斜めせん断破壊を再現するのに適して いるといわれている[14].しかしながら,回転ひび割れモデルは,常に要素座標系が回転する
ために,主要なひび割れが開閉するなどの現象の検討には向かない.また,固定ひび割れモデ ルには,複数本のひび割れを考慮する多方向ひび割れモデルがある.最大主応力軸が回転し,
ひび割れ面から一定角度を超えて引張強度を超えた場合,新たなひび割れが入るモデルである.
図 1.2.2に回転ひび割れモデルと多方向固定ひび割れモデルの模式図を示す.
ひび割れ面 が回転する
ひび割れ 1 ひび割れ 2
(a) 回転ひび割れモデル (b) 多方向固定ひび割れモデル 図 1.2.2 ひび割れモデル
出雲ら[15]は,2方向にひび割れがある場合,主たる非線形性はいずれか1方向のひび割れに 支配されるというアクティブクラックの概念を採用した.前川ら[16]は,疑似直交 2 方向の他 に,さらに別の角度に新たに直交2 方向のひび割れを考慮することができる,4方向ひび割れ モデルを提案した.2 種類の要素座標系が定義され,どちらの要素座標系を選択するかは,あ る閾値よりひび割れ幅が大きいものをアクティブクラックとして選択するようにしている.さ らに,前川らは 4 方向ひび割れモデルを直交する3 面の面内応力ひずみ関係として定義し,3 次元ソリッド要素に適用した[17].
分布ひび割れモデルは,有限要素法の一つの構成則として,他の非線形構成則と同様に導入 することができるため,広く用いられているが,以下のような問題がある.
ひび割れ開口変位と破壊エネルギーを陽に定義出来ない.
局所的なひび割れが入らないため,正しく集中応力の評価が出来ない.
引張軟化曲線を有限要素のひずみで評価しているために,要素の大きさによる依存性が 大きい.
これらの問題に対して様々な工夫がなされている.代表的なものとして,Bazantら[18]によ るひび割れ帯モデル(Crack Band Model)がある.破壊エネルギーがメッシュ分割に依存しな いように損傷領域幅をパラメータとして引張軟化挙動を表している.また,分布ひび割れモデ
ルで主要なひび割れを表現できるように,Satoら[19]は,主引張応力が最大である1 つのみを ひび割れ判定して応力を再配分する方法を取り入れ,実験結果に近いひび割れを表す手法を開 発している.
このような工夫により分布ひび割れモデルの計算精度は向上していると考えられるが,結局 応力評価点における応力ひずみ関係としてコンクリートの引張破壊および圧縮破壊を表してい るため,要素のひずみが増大することで破壊する.つまり,ひび割れは領域を持った引張ひず みでしか表すことができないので,ひび割れ先端の応力集中を評価することが難しく,進行性 破壊の詳細を追跡しにくい.
コンクリートの材料試験から得られるのは供試体全体の平均化した荷重変形関係であり,供 試体内部の破壊現象に着目したものではない.この平均化された荷重変形関係より得られた経 験式を構成則の骨格曲線としているため,分布ひび割れモデルを用いても全体的挙動は良い解 析結果が得られる.しかし,ひび割れの進展を崩壊まで追うためには,ひび割れ面の破壊エネ ルギーが消費されてひび割れが進展していく現象をモデル化しなければならないのだが,分布 ひび割れモデルでこの現象を計算するのは難しいと考えられる.
(2) 離散ひび割れモデル
離散ひび割れモデルは NgoとScordelisにより1960年代に提案された[20].ひび割れを実現 象と同様に不連続体として表すために,要素境界を分離する手法である.
この離散ひび割れについて,これまで様々な方法が研究されている.コンクリートのひび割 れでは,前述した Hillerborg[9]の仮想ひび割れモデルをひび割れ面に定義する手法がよく用い
られる.Dugdaleモデル[5]とHillerborgの仮想ひび割れモデルの違いを図 1.2.3に示す.Dugdale
モデルでは,ひび割れ先端に塑性域を仮定している.図 1.2.3(a)に示すように,ひび割れ先端 の塑性域では降伏応力 が均等に分布すると仮定している.Barenblatt モデル[6]も Dugdaleモ デルに似ているが,応力の分布が変形により可変である.一方,仮想ひび割れモデルでは,ひ び割れ先端の応力が引張強度 に達したときにひび割れが開き,図 1.2.4 に示すように応力は 直ぐにゼロにならずに,ひび割れがある値 になったときに応力がゼロになる.この結合域 での応力分布は図 1.2.3(b)に示す通りである.結合域でのエネルギー吸収を破壊エネルギー としている.
微細なひび割れと,それをモデル化した仮想ひび割れの関係を図 1.2.5 に示す.図 1.2.5(a) のように微細なひび割れが多数発生している場合,全体のひずみを弾性ひずみ と微細なひび 割れによるひずみ に分けて考え,図 1.2.5(b)のように を1本の仮想ひび割れ に置き換え
試験より得られた破壊エネルギー を評価することができる.
FEMで離散ひび割れを計算するには,節点を二重に定義しておき,その二重節点を分離して 離散ひび割れを表すのが一般的である.ひび割れる位置が既知の場合は,あらかじめ節点を二 重に定義しておくのが簡単である.ひび割れる瞬間に自動的に二重節点に変換する方法も用い られるが,自由度が増加しアルゴリズムがより複雑になる.いずれの方法においても,ひび割 れ進行方向にメッシュ分割がないとひび割れの進展が止まるため,ひび割れ方向に要素境界を 設けるようにメッシュを細分化するアダプティブ法(h法)による計算も行われている.h法で は節点数増加により自由度が増加し,計算負荷が増大する.Mieheら[21]は,メッシュを細分化 せずにひび割れ方向に節点位置をずらすr法を用いた検討を行い,よい結果を得ている.
拡張有限要素法(XFEM:Extended Finite Element Method)[22]は,節点を増やすことなく要 素内に離散ひび割れを表現できる手法である.コンクリート試験のシミュレーション解析も行 われているが[23][24],計算が複雑でひび割れの分岐やひび割れが多発する問題への適用が難し い.
粒子法は,メッシュが不要で離散ひび割れの計算も可能であり,コンクリートの計算にも用 いた例があるが[25],コンクリートの爆破や剛飛翔体の衝突に対する解析例が多く,鉄筋コン クリートの進行性破壊に対する解析例はあまりない.
COD
plastic zone real crack
equivalent elastic crack
crack length
(a) Dugdaleモデル (b) 仮想ひび割れモデル
図 1.2.3 仮想ひび割れモデルにおけるひび割れ先端近傍の応力伝達
図 1.2.4 仮想ひび割れモデルのひび割れ幅と破壊エネルギー
微細なひび割れによる 非線形領域
弾性ひずみ
微細なひび割れによるひずみ
(a) 実際のひずみ分布
(b) 仮想ひび割れモデル
FCM
(c) 結合力-ひび割れ幅関係曲線
図 1.2.5 引張破壊時のひずみ分布と仮想ひび割れモデル
その他に,離散体である剛体や弾性体の境界を接合して連続体を表し,接合部を分離させて 離散ひび割れを表す手法がある.剛体をばねで結ぶ剛体ばねモデル(RBSM:Rigid Bodies-Spring
Model)[26]や個別要素法(DEM:Distinct Element Method)[27],弾性体をペナルティで結ぶ不
連続変形法(DDA:Discontinuous Deformation Analysis)[28][29]および本研究で用いるハイブリ ッド型ペナルティ法(HPM:Hybrid-type Penalty Method)[12]である.これらの手法は,より簡 便なアルゴリズムで要素の離散を計算できる.各手法の特徴を図 1.2.6 に示す.DEMやDDA は主に要素が動いて衝突をするような動的解析を基本としているため,接触判定は点接触を原 則としている.RBSMとHPM は,連続体から離散体へ移行する崩壊過程を表すことを基本と しており,接触判定は面接触で行う.
剛体 ばね 剛体 剛体
剛体
ばね
弾性体
弾性体 弾性体
弾性体
ペナルティ 接
触 判 定
点接触
面接触
剛体+ばね 弾性体+ペナルティ
ペナルティ
DEM
RBSM
DDA
HPM
連続体の近似方法
図 1.2.6 離散体モデルの特徴
DEMは連続体の計算精度が良くないために,コンクリート構造物の計算にはあまり用いられ ていないが,拡張した方法でコンクリートの解析を行っている例がある[30].DEMが点接触な のに対して,RBSMは面接触により表面力を評価し,連続体の変形を近似的に求めることがで きる.RBSMでは,非線形挙動をばねの構成則で表しており,連続体から離散的な滑りやひび
剛体と仮定しており,変形は剛体間のばねでしか表現できないために弾性変形に対する精度が あまり良くないといわれている.しかし,RBSMを三次元モデルに拡張し,コンクリートの離 散ひび割れを計算して良い結果が得られている例がある[33].
HPMは,弾性体をペナルティで結ぶことでRBSMの欠点を解決している.FEMの定ひずみ 要素とRBSMの非線形解析の特徴を兼ねそなえており,RBSMと同程度の簡便さで進行型破壊 の解析が可能である.竹内ら[34]は,HPMのペナルティ関数にすべりや引張破壊を考慮した検 討を行い,弾性変位が FEM と同等の精度で求まり,かつ崩壊荷重の計算が可能であることを 示した.
1.2.2 鉄筋の考慮手法
鉄筋コンクリートの鉄筋をモデル化する方法として,図 1.2.7 に示すように、異方性の板要 素を積層に定義する方法と,鉄筋を直接梁要素でモデル化して重ね合わせる方法がある.
前者は,壁などコンクリートを板要素でモデル化したときに簡便に使える手法であり,後者 はコンクリートの柱や梁などを3次元でモデル化し,複雑な配筋を直接モデル化する場合に有 効な手法である.コンクリートと鉄筋間のすべりを考慮するために,コンクリートと鉄筋を 2 重節点で分離し,間に付着要素を組み込む場合もある.
コンクリート層
鉄筋層は異方性の板要素
(a) 異方性の板要素を積層に定義
鉄筋は梁要素でモデル化 コンクリートはソリッド要素 でモデル化
(b) 梁要素でモデル化する方法
鉄筋の非線形構成則はバイリニアモデルを用いることが多い.
加藤ら[35]は,鋼材の履歴曲線が実験結果に合うように,履歴曲線のBauschinger効果による 軟化部分の数式的表現を求め骨格曲線を定義した.これは,引張側(圧縮側)軟化の程度は圧 縮側(引張側)の塑性変形に影響されると考え,逆負荷側で累積された骨格曲線の総和ひずみ 量に依存するモデルである.図 1.2.8に加藤モデルの履歴特性を示す.
前川ら[16]は,Hamedらによる鉄筋が破断する高ひずみ領域まで表現可能な RC引張モデル を取り入れている.また,鉄筋軸方向とひび割れ面との角度により鉄筋の降伏強度を低下させ る補間関数を用いている.図 1.2.9に前川らによる鉄筋の履歴特性を示す.
Menegotto and Pintoは,除荷点からのひずみの関数として応力が陽に与えられる実用的なモ
デル(Menegotto-Pintoモデル)を提案した.様々な研究者がMenegotto-Pintoモデルの修正を行 い,等方ひずみ硬化が考慮できる修正Menegotto-Pintoモデルが提案されている(たとえば堺ら
[36],山崎ら[37]).図 1.2.10に山崎らによる修正Menegotto-Pintoモデルの履歴特性を示す.
0
図 1.2.8 加藤モデルの履歴特性
鉄筋平均挙動 鉄筋単体挙動
:鉄筋単体降伏強度 ,
:第1鉄筋平均降伏強度
:鉄筋降伏前剛性
:鉄筋降伏後第1平均剛性
:鉄筋降伏後第2平均剛性
:Bauschinger効果を表す剛性
図 1.2.9 前川らが用いた鉄筋の履歴特性
0
1
2 3
5 4
6
図 1.2.10 山崎らによる修正 Menegotto-Pinto モデルの履歴特性
1.3 本論文の構成と内容
鉄筋コンクリートの破壊は,ひび割れに起因する離散的な引張破壊と,領域的に塑性状態と なる圧縮破壊がある.HPMは両者を部分領域境界と部分領域内部の非線形構成則として明確に 分離することができる.本論文では,HPMによるコンクリートの引張破壊と圧縮破壊の計算手 法の検討と,鉄筋のモデル化と計算手法について述べる.そして,開発した計算手法を検証す るために,無筋コンクリートと鉄筋コンクリートの2種類の実験による検証解析について述べ る.
本論文は7章で構成されており,第2章以降の概要は以下の通りである.
第2章では,HPMの基礎方程式の概要と,HPMに導入した非線形アルゴリズムの詳細を述 べる.HPMでは,連続体を部分領域と呼ばれる図心に独立した自由度を持つ離散体に細分化す る.離散体同士を接続して連続体を表すために,部分領域間の境界で変位の連続性を付帯条件
とするLagrange未定乗数を導入したハイブリッド型仮想仕事式を導入している.基礎方程式の
概要では,その概要と離散化方程式について示す.そして,非線形アルゴリズムでは,進行性 破壊の計算に適した荷重増分法について検討する.コンクリートの引張破壊や圧縮破壊では,
破壊が進行するにつれて解放応力が発生するため,荷重増分法に対する解放応力の考慮方法に ついて述べる.
第3章では,コンクリートの引張破壊の計算に適した構成則の導入を検討する.HPMは部分 領域境界でひび割れ開口変位を直接取り扱え,実験で得られた強度特性である引張軟化曲線お よび破壊エネルギー をそのまま構成則の経験式として用いることができる.そのため,コン クリートの破壊が精度よく予測可能となる.コンクリートの引張軟化曲線を表す既往の経験式 を調査し,三点曲げ試験による共通試験結果と比較して,HPMに導入する適切な経験式を検討 する.一方,離散ひび割れは,ひび割れが領域分割に依存してしまうため,領域分割の影響を 低減させる方法としてデローニ三角形を用いた領域分割を検討する.
第4章では,コンクリートの圧縮破壊の計算に適した構成則の導入を検討する.HPMでは,
部分領域内部で圧縮破壊を評価する.そのために,コンクリートの圧縮応力ひずみ関係を表す 既往の経験式を調べ,骨格曲線と繰り返し履歴特性を定義する.それだけではなく,コンクリ ートの圧縮強度は,内部の二軸応力の状態により変化するため,既往の文献を調査してモデル 化について述べる.
第5章では,鉄筋コンクリートの破壊の計算に重要な鉄筋のモデル化について述べる.本研 究では,2次元の平面応力問題において,鉄筋を積層にモデル化する方法を検討する.HPMを
積層にするモデル化は3種類考えられ,それぞれの手法について述べる.本研究で用いる手法 は,その中の一つ,一軸積層モデルである.そして,このばねに対する非線形モデルを検討す る.
第6章では,HPMに導入した鉄筋コンクリートのひび割れ計算手法の検証をするため,アン カーボルト引抜き試験とディープビームの載荷試験の解析を行う.アンカーボルト引抜き試験 では,無筋コンクリートにおけるひび割れの進展と破壊パターンについて検証する.実験で荷 重変形関係が得られたケースでは,解析結果の荷重変形関係と比較して検証する.ディープビ ームの載荷試験では,鉄筋で補強されたコンクリートに対するひび割れの進展を伴った圧縮破 壊の計算精度を検証する.
第7章では,本研究で得られた成果を総括するとともに,今後の課題について述べる.
第2章 HPM の基礎方程式と材料非線形解析法
2.1 はじめに
第2章では,HPMの基礎方程式の概要と,HPMに導入した材料非線形解析法について説明 する.
2.2節ではHPMの基礎方程式の概要について述べる.HPMでは連続体を部分領域に細分 化する.部分領域は,それぞれ図心に独立した自由度を持つ離散体である.離散体同士を接続 して連続体を表すために,部分領域間の境界で変位の連続性を付帯条件とするLagrange未定乗 数を導入したハイブリット型の仮想仕事式を導入しており,その概要を説明する.付帯条件で
あるLagrange未定乗数にペナルティ関数を導入することにより,離散的な境界の分離に非線形
構成則が導入可能となっている.さらに部分領域内部の図心における変位の自由度について説 明し,ハイブリッド型の仮想仕事式から誘導した離散化した連立方程式を示す.
2.3節では,コンクリートの材料非線形解析法について説明する.かつてRBSMにおいて 実績がある山田らの荷重増分法(rmin法)[38]を基に,解放力に対応させた拡張rmin法[39]をHPM に適用しており,その計算アルゴリズムについて説明する.rmin法は,非線形状態に推移する瞬 間を監視し,その直前までを既知量として残りを再度計算し直す手法である.HPMでは,部分 領域内部と部分領域間境界における弾性から塑性へ推移する瞬間,または剛性が変化する瞬間 の荷重比率を求め,荷重比率の最小値をrminとする.拡張rmin法を用いると,鉄筋コンクリート のひび割れ状態を逐次追跡することが可能となることを示す.そして,拡張rmin法をHPMに導 入する際の計算フローを示し,具体的な計算内容の説明をする.
2.4節では,コンクリートの引張破壊や圧縮破壊の計算で発生する解放応力を作用させる 方法について述べる.拡張 rmin法の計算アルゴリズムを用いて解放応力を反映させるために,
解放応力増分を不釣り合い力として荷重項に加算する方法を説明する.
最後に,2.5節では,この章で得られた結果を総括する.
2.2 HPM の基礎方程式
HPMの定式化は文献[34]に示されているので,ここでは,その概要を述べる.特徴は,部分 領域を弾性体として部分領域間の変位の連続性を満足するように,式(2.2.1)に示すLagrange未 定乗数を導入したハイブリッド型の仮想仕事式を用いていることである.
(2.2.1)
ここに, は図 2.2.1に示す部分領域を示しており, は部分領域間の境界, は表面力 が与えられる境界を示している.上付きの は,部分領域eに関する量であり,下付きの は,辺 に関する量であることを示す.図 2.2.2に示すように,隣接する2つの部分領域 と
の境界 において, の境界の変位を , の境界の変位を と表す.一 般的に境界 で隣接する2つの部分領域を , で表し,境界上の変位は, の境 界で , の境界で と表す. は部分領域の数, は部分領域間の境界の数, は 仮想変位, は応力, は物体力, は境界 における Lagrange 未定乗数, は表面力 である.
図 2.2.1 部分領域 と部分領域間の境界
図 2.2.2 部分領域 と 間の境界
ここで,Lagrange 未定乗数 は物理的には境界 の表面力に対応することから, に対 し,式(2.2.2)のようにペナルティ関数を導入している.
(2.2.2) ここに, はペナルティ関数, は境界 の相対変位である.
これは,DDA[28][29]で用いているペナルティ関数と同じ考え方であるが,DDAでは,要素 が衝突するような動的問題を扱うために,図 2.2.3 (a)に示すように点接触を前提に1点でペナ ルティ関数を導入するのに対し,HPMでは,連続体から離散体へ移行する崩壊過程を扱うため に,図 2.2.3 (b)に示すように境界面上に分布したペナルティ関数を用いる.ひび割れなどの不 連続現象を表すために式(2.2.2)の右辺をゼロにするだけでよく,自由度を変更する必要は無い.
ペナルティ関数を硬いばねと考えれば RBSM と同様に式(2.2.3)に示す部分領域間のばね とし て非線形挙動の構成則を定義できる.
(2.2.3)
(a) 点と面 (b) 面と面
図 2.2.3 ペナルティの導入方法
式(2.2.3)の表面力と相対変位の関係を要素境界面 の要素座標系で成分表示すると,2 次 元の場合,式(2.2.4)で表される.要素座標系は,図 2.2.4のように定義する.
(2.2.4)
ここに, , は,境界 上の法線方向および接線方向の相対変位, , は,法線方向および接線方向のLagrange未定乗数,すなわち表面力である.また, , は,
法線方向および接線方向のばね定数であり,本研究では下式を用いる.下式は,RBSMと同様 のばね定数にペナルティパラメータ を乗じて得られる.
(2.2.5)
ここに, は隣接要素間距離, はヤング係数, はポアソン比である.
全体座標系 の境界の要素座標系
x y
t
の境界の要素座標系
n t
n
図 2.2.4 要素境界の要素座標系の定義
要素境界面 における要素座標系の相対変位 は,座標変換マトリックスを用いて 式(2.2.6)より求められる.
(2.2.6)
ここに, , は,部分領域 , の境界 上の変位であり, , は,部分領域 , からみた境界 に対する座標変換マトリックスである.
自由度は部分領域 内の点 に定義し,線形変位場 を式(2.2.7)の ように仮定する.
(2.2.7)
ここで, は剛体変位および剛体回転を表し, は部分領域 内で一定なひずみを表す.
また, , は一時変位場を表す関数である.上付きの は部分領域 に関するもの であることを意味する.式(2.2.7)におけるそれぞれの成分は,2次元平面問題の場合,以下の通 りである.
(2.2.8) (2.2.9) (2.2.10)
(2.2.11)
ここで, , は部分領域内の点における剛体変位, は剛体回転を表しており, , , は,それぞれ部分領域内で一定な値を持つ および 方向の垂直ひずみとせん断ひずみを表して いる.
以上の関係をハイブリッド型の仮想仕事式(2.2.1)に代入し,マトリックス表記すると下式が 得られる.
(2.2.12)
ここに, は微分作用素であり,2次元の場合下式である.
(2.2.13)
また, は構成マトリックスであり,2次元平面応力問題では下式である.
(2.2.14)
式(2.2.7)の線形変位場および仮想変位を
(2.2.15) (2.2.16)
ここに, , ,
とすれば,下式が得られる.
(2.2.17)
ここに, (2.2.18)
また,相対変位 は,式(2.2.6)および式(2.2.15)より下式となる.
(2.2.19)
ここに, (2.2.20)
(2.2.21) 以上の関係を式(2.2.12)に代入すると,下式が得られる.
(2.2.22)
ここに, (2.2.23)
(2.2.24)
(2.2.25)
ここで,式(2.2.22)の仮想変位 は任意であるため,最終的に以下の離散化方程式が得られる.
(2.2.26) ただし, および は以下の通りである.
(2.2.27)
(2.2.28)
る連立一次方程式(2.2.26)に帰着し,左辺の係数マトリックス は,各部分領域の剛性と部分領 域境界辺に関する付帯条件の関係を組み合わせることによって得られる.
2.3 材料非線形解析法
2.3.1 荷重増分法
コンクリートのようにひび割れが進展・分岐していく過程を計算するには,ひび割れ状態を 逐次追跡していかなければならない.ところが,一般的な荷重制御および変位制御の収束計算 アルゴリズムである初期剛性法や接線剛性法などでは,一度に多数のひび割れが生じてしまい,
ひび割れの発生と進展を正確に捉えることができない.さらに引張軟化挙動や圧縮降伏に伴い 発生する解放力のために,ひび割れや圧縮破壊が急激に進展してしまうことが考えられ,破壊 の進行を追跡するのが難しい.
本研究で用いる非線形アルゴリズムは,離散化極限解析で実績がある山田らの荷重増分法
(rmin法)[38]を拡張し,解放応力にも対応させた竹内らの拡張rmin法[39]を用いる.
山田らの荷重増分法(rmin法)では,増分荷重量は荷重増分率を用いて表す.たとえば,図 2.3.1 の点 が前回の応力状態とし,現在の増分応力 を とする.計算した応力点 は既に降伏 面を超えている状態であるとき,降伏面上の点 までは弾性の増分応力である.式(2.3.1)に示 すように,増分応力 と降伏曲面までの増分応力 との比 が山田らの荷重増分法(rmin法)
の荷重増分率である.
(2.3.1)
降伏曲面上の応力は,荷重増分率 を用いて式(2.3.2)で求められる.
(2.3.2) 全ての要素の荷重増分率の最小値を用いれば,全ての要素が降伏曲面内であり,弾性であるこ とになる.この荷重増分率の最小値までは解が求まったとして,残りの荷重増分は降伏状態を 変更して,剛性マトリックスを組み立て直し,計算していく方法である.
弾性
P Q 塑性
R
図 2.3.1 荷重増分率の考え方
rmin法はひび割れにも適用できる.最初にひび割れが発生する部分領域間の境界で最小荷重 増分率 となる.これを用いて,式(2.3.2)によりひび割れが入る直前までの応力を更新する.
次回の計算で用いる剛性マトリックスにひび割れ状態を反映させるために,ひび割れ判定した 境界を,弾性状態からひび割れ状態(ペナルティ関数をゼロとした状態)として剛性を組み立 て直す.次に,この新たな剛性を用いて残りの増分応力に対して変位を解き直し,同様の計算 を行う.ひび割れ発生中の状態でも,次にいずれかが引張強度に達してひび割れるまでの間,
増分応力は線形で求められるため,精度良くひび割れ後の変形を求めることができる.その上,
全要素の荷重増分率の最小値を用いているため,ひび割れは1つずつ発生することになり,順 次ひび割れを追跡することができ,進行性破壊を評価する手法として適していると考えられる.
なお,本研究における鉄筋コンクリートの進行性破壊計算手法の開発は,静的解析を対象と する.
2.3.2 計算フロー
拡張rmin法を用いた計算フローを図 2.3.2に示す.
②~⑭が1ステージ分の増分荷重による計算である.
②~⑦は,ある荷重増分に対する剛性マトリックスの算定と増分変位および増分ひずみ・応 力の計算である.
⑧では除荷する要素があるかどうかの判定を行う.弾性範囲を超えて骨格曲線上を進んでい る状態から除荷した場合は,剛性が回復するので,回復前の剛性で求めた増分変位により応力 を計算すると発散する可能性がある.これを防ぐために,そのような除荷する要素が1要素で もある場合は,剛性マトリックスを作成し直して増分変位の計算をやり直す.
部分領域内の非線形構成則は図 2.3.2 の②,⑥,⑭に,部分領域間の境界,ペナルティ関数 の非線形構成則は図 2.3.2の③,⑦,⑬に関係する.これらの詳細については,「第3章 引張 破壊に対する構成則」および「第4章 圧縮破壊に対する構成則」で説明する.その他の部分 について,以降に説明する.
①増分外力算定
②部分領域の剛性マトリックスの組み立て
③ペナルティの剛性マトリックスの組み立て
④ソルバー(全体剛性マトリックスの分解と後退代入)
開始
⑤増分変位の計算
⑥部分領域の内部応力計算[圧縮破壊の構成式]
⑦ペナルティの応力計算[引張破壊の構成式]
⑨ 荷重増分率(rn)の計算
⑩荷重増分率合計
r
totalの更新(r
total=r
total+ (1r
total)・rn)⑪ 荷重増分率(rn)より増分変位,応力,ひずみの更新
⑫更新した応力,ひずみにより非線形フラグの設定
⑬ペナルティの解放応力の算定
⑮
r
total = 1.0 かつ荷重項ゼロ?⑯荷重ステージ終了?
N
Y 終了
Y N
⑧除荷経路あり?
N Y
⑭部分領域の解放応力の算定
図 2.3.2 計算フロー
① 増分外力の算定
各荷重ステージにおける増分外力は,入力データで指定する.
破壊が進行すると非線形性が強くなるために,収束しにくくなる.これは,荷重増分率の 反復計算を数多く行っても,なかなか荷重増分率合計 が1.0にならない状態である.ま た,解放応力により連鎖的にひび割れが進展して,荷重項がゼロにならない場合もある.こ のような場合は,反復回数と の増加傾向を参考にして,増分外力を低減させることで 収束性を改善させる.
⑨ 荷重増分率 の計算
荷重増分法では,荷重増分率の合計が1.0になるまで反復計算を行う.n回目の反復計算 の増分荷重に対する荷重増分率を と表した場合,4 回目までの荷重増分率の例を図 2.3.3 に示す.
荷重増分率 は,全ての要素で塑性状態になるまでの最小比率である.例えば,荷重 に 対して比率 で弾性から塑性になる要素がある場合,比率 までの応力,変位,ひずみを更 新し,残りの比率 を反復2回目の荷重増分
(2.3.3) とする.同様に,反復2回目の荷重増分率が の場合,次の反復3回目の荷重増分は
(2.3.4) となる.以上より,反復n回目の荷重増分 は式(2.3.5)で求められる.
(2.3.5)
P
r
1(1 r
1) P
2Pr
1P
2r
2r
2(1 r
2) P
3r
3(1 r
3)
P
3r
3P
4(1 r
4) r
4P
2=(1 r
1)P P
3=(1 r
1)(1 r
2)P P
4=(1 r
1)(1 r
2)(1 r
3)P
1
回目2
回目3
回目4
回目図 2.3.3 荷重増分
⑩ 荷重増分率合計 の更新
荷重増分率合計 について図 2.3.3を用いて説明する.反復1回目の荷重増分率合計 は
(2.3.6) であり,反復2回目は1回目の残り に帯する荷重増分率 を求めており,荷重増分 率合計は
(2.3.7) となる.同様に反復3回目は
(2.3.8) 反復4回目は
(2.3.9) となる.以上より,反復n回目の荷重増分率合計 は式(2.3.10)で求められる.
(2.3.10)
⑪ 荷重増分率より増分変位,ひずみ,応力等の更新
荷重増分率までは剛性が変化せず一定であるため,各部分領域の変位,ひずみ,応力と境界 の相対変位,表面応力を荷重増分率により下式で更新することができる.
変位の更新: (2.3.11)
ひずみの更新: (2.3.12)
応力の更新: (2.3.13)
境界相対変位の更新: (2.3.14)
境界表面応力の更新: (2.3.15)
⑫ 更新した応力,ひずみにより非線形状態フラグの設定
荷重増分率の適用後の,部分領域内の応力状態および部分領域間の境界における表面応力 の状態により,非線形状態フラグを設定する.
本研究で用いた非線形状態フラグは,付録に示している.
2.4 解放応力
コンクリートは引張破壊により引張軟化挙動を示し,圧縮破壊においても軟化を示す.この ような軟化に対しては,解放応力を取り扱う必要があり,HPMで解放応力を作用させる方法に ついて述べる.コンクリートの引張破壊や圧縮破壊に対する構成則の詳細は「第3章 引張破 壊に対する構成則」,「第4章 圧縮破壊に対する構成則」で述べる.
この解放応力を考慮するために,竹内らは山田らの荷重増分法(rmin 法)を拡張した非線形 解析手法を提案している[39].本研究においても,HPMで解放応力を考慮するために,拡張rmin
法を用いる.以下に,拡張rmin法の説明を示す.
k回目の反復で解放力 が発生したとする.荷重項に解放力が加算されるが,次回k +1回目 の荷重増分率が とすると,k +1回目に作用する解放力は となり,残りは次回に持 ち越される.したがって,次回k +2回目に持ち越される解放力は
(2.4.1) となる.次のk +2回目の荷重増分率が とすると,k +2回目に作用する解放力は
(2.4.2) であり,k+3回目に持ち越される解放力は,
(2.4.3) となる.このように,解放力が発生したステップの次のステップから最終ステップまで荷重増 分率を適用することになる.
以上より,解放力が発生した場合,荷重増分に解放力を加算すると,次のステップの増分荷 重は式(2.4.4)で求められる.なお,解放力が発生しないステップでは はゼロである.
(2.4.4)
ここで,注意しなければならないのは, になる瞬間のステップにおいても,新た な解放力が発生する場合があることである.この解放力を次の荷重ステージに持ち越すか,解 放力による荷重増分がゼロになるまで反復計算を続けるなどの工夫が必要である.本研究では,
後者の荷重項がゼロになるまで反復計算を続ける方法を用いている.図 2.3.2計算フローでは,
⑮で荷重項がゼロかどうか判定している.
2.5 まとめ
第2章では,HPMの基礎方程式の概要と材料非線形解析法について説明した.
2.2節ではHPMの基礎方程式の概要について述べた.HPMでは連続体を部分領域に細分 化する.さらに,この部分領域を離散体と仮定し,それぞれの図心に独立した剛体変位とひず みで表される自由度を設けている.離散体同士を接続して連続体を表すために,部分領域間の 境界で変位の連続性を付帯条件とする Lagrange 未定乗数を導入したハイブリット型の仮想仕 事式を導入しており,その概要を説明した.Lagrange未定乗数は物理的には表面力を意味して おり,これをペナルティ関数で表現することで,離散的な境界の分離などの非線形構成則が導 入可能であることを示した.さらに,ハイブリッド型の仮想仕事式から誘導した離散化した連 立方程式の説明をした.
2.3節では,コンクリートの材料非線形解析法について説明した.かつてRBSMにおいて 実績がある山田らの荷重増分法(rmin法)[38]を基に,解放力に対応させた拡張rmin法[39]をHPM に適用しており,その計算アルゴリズムについて説明した.rmin法は,非線形状態に推移する瞬 間を監視し,その直前までを既知量として残りを再度計算し直す手法である.拡張rmin法をHPM に導入するために,部分領域内部と部分領域間境界における弾性から塑性へ推移する瞬間,ま たは剛性が変化する瞬間の荷重比率を求め,荷重比率の最小値をrminとした.拡張rmin法を用い ることで,鉄筋コンクリートのひび割れ状態を逐次追跡することが可能となることを示した.
そして,HPMに導入した拡張rmin法の計算フローを示し,具体的な計算内容の説明をした.
2.4節では,コンクリートの引張破壊や圧縮破壊の計算で発生する解放応力を作用させる 方法について述べた.拡張 rmin法の計算アルゴリズムを用いて解放応力を反映させるために,
解放応力増分を不釣り合い力として荷重項に加算する方法について説明した.
第3章 引張破壊に対する構成則
3.1 はじめに
第3章では,コンクリートのひび割れによる進行性破壊の計算に適した,引張破壊に対する 構成則について述べる.HPMでは,部分領域境界における法線方向の引張応力によりひび割れ 判定を行う.ひび割れ後の引張軟化曲線を適用した解放応力の算定方法について説明し,引張 軟化曲線の具体的なモデル化について経験式を調査して検討した結果を示す.
3.2節では HPM における離散ひび割れのモデル化について述べる.コンクリートのせん 断破壊の局部をみれば,そのメカニズムは引張によるひび割れによる破壊であり[40],連続体 の構成則としては,引張によるひび割れ破壊をモデル化すればよい.HPMでは,この考えを基 にモードⅠのひび割れのみを考えてモデル化を行った.HPMにおける具体的なひび割れ判定方 法と,部分領域境界の接続をなくして離散ひび割れを表す方法について説明する.
3.3節ではコンクリートの引張軟化曲線を表す既往の研究を基に,HPMに導入する具体的 なモデル化を検討する.「コンクリートの破壊特性の試験方法に関する研究委員会報告[11](コ ンクリート工学会)」によると,複数の研究機関で行われたコンクリートの三点曲げ試験による 共通試験結果があり,その試験結果と経験式を比較することで検証する.中村ら[41]が整理し た引張軟化曲線の経験式を参考に, 規定モデルであるHordijkら[42],Ratanalertら[43],Planas ら [44],Yonら[45]による方法,および 無規定モデルであるGopalaratnamら[46],Dudaら[47],
Hillerborgら[48]による方法を検討する.
3.4節ではひび割れ後の繰り返し履歴特性のモデル化について説明する.Yankelevskyら[49]
の試験結果によると塑性変形がみられるが,本研究では単調載荷のみを取り扱い,繰り返し載 荷を行わないことと,部分領域内部の塑性と明確に分離して考えるために,塑性変形を考慮し ない,原点指向モデルについて説明する.
3.5節では,引張軟化曲線を表すために必要なひび割れ後の解放力の算定手順を示す.ひ び割れ後は引張軟化曲線を反映してひび割れが開いていくに従い応力を解放する.その解放応 力を不釣り合い力として作用させる方法を説明する.
3.6節では,離散ひび割れが領域分割に依存するため,領域分割の影響を低減させる方法 を示す.RBSMでは,ボロノイ分割を用いることで領域分割の依存性を改善している[50].HPM では部分領域は弾性体を用いているので,ボロノイ分割の中心点を結んで得られるデローニ三
角形分割を適用する.冨田ら[51]はデローニ三角形分割を適用したランダムな領域分割を用い ることでひび割れを比較的良好に再現することができ,領域分割の違いによる影響は小さいこ とを示している.本研究では,谷口の方法[52]を参考にデローニ三角形分割を適用している.
また,デローニ三角形分割を用いた場合,ひび割れ面のせん断力が機構として伝達するという 考えを併せて示す.
最後に3.7節は,この章で得られた結果を総括する.
3.2 ひび割れのモデル化
鉄筋コンクリートの柱や梁などの部材レベルでいうせん断破壊とは,図 3.2.1 に示すように 局部をみれば引張による破壊であり,連続体の構成則としては,引張によるひび割れ破壊をモ デル化すればよい.HPMでは,この考えを基にモードⅠのひび割れのみを考えてモデル化を行 った.
ひび割れは引張に起因している
図 3.2.1 せん断破壊時の引張応力
三橋ら[40]は,降伏,座屈,腐食,脆性破壊は巨視的レベルの破壊であり,材料レベルでの すべり破壊やひび割れ破壊は微視的レベルでの破壊であるとしている.この微視的レベルのひ び割れ破壊とすべり破壊の関係を表 3.2.1 のように整理している.コンクリートのせん断破壊 は,主引張応力が作用したひび割れが生じて破壊する現象であり,微視的レベルでのせん断破 壊(すべり破壊)とは異なることを示している.
表 3.2.1 材料の破壊の種類と扱う研究分野(三橋ら[40])
破壊の種類 性状 破壊の原因 エネルギーの 消費形態
主な 対象材料
扱う 研究分野 ひび割れ破壊 脆性的 ひび割れ成長 ひび割れの表
面エネルギー
コンクリート,
ガラス等 破壊力学 すべり破壊 延性的 転移 熱エネルギー 金属材料 転移論
ひび割れの発生基準は,有限要素法などにおける一般的なコンクリートの非線形構成則で用 いられているRankin型の破壊基準を適用する.すなわち,引張主応力が引張強度 に達すると 主応力方向に垂直な方向にひび割れが生じると仮定する.HPMでは図 3.2.2に示すように二つ の隣接した部分領域(要素) と の境界 における法線方向の表面応力を とする と,図 3.2.3に示すように が引張強度 に達したときにひび割れが発生すると判定する.部 分領域間の境界 は,離散体と仮定した部分領域が付帯条件としてのペナルティ関数によ り接続されているだけであり,そのペナルティ関数の値をゼロにするだけで部分領域間の結合 を分離させ離散ひび割れを表すことができる.
ところが,結合を分離させただけでは応力ひずみ関係が完全塑性となるだけである.つまり,
表面応力 が一定値(=引張強度 )のまま相対変位(ひび割れ開口変位)が増加することに なり,このままでは引張軟化曲線を表すことができない.次の節で,この引張軟化曲線を考慮 する方法を説明する.
図 3.2.2 要素表面力
ひび割れ
: 法線方向応力 : ひび割れ開口変位 が
ペナルティ消滅 に達したとき
図 3.2.3 要素表面力と引張降伏
3.3 引張軟化曲線
3.3.1 引張軟化曲線試験結果
コンクリートの破壊性状を解明するために,これまで数多くの引張試験や曲げ試験が行われ てきた.コンクリートの構成則は,これらの試験結果に基づいて経験式を設定し,用いられて いる.近年では試験機や計測器の性能向上により試験の精度がよくなり,最大強度を超えて軟 化する現象である引張軟化曲線を得ることができるようになった.
「コンクリートの破壊特性の試験方法に関する調査研究委員会報告[11](コンクリート工学 会)」によると,全国11ヶ所の研究機関で破壊エネルギー試験が行われ,図 3.3.1に示す引張 軟化曲線が得られた(以下,共通試験結果とよぶ).試験方法は切り欠き梁3点曲げ試験である.
この試験方法は,RILEM法[10]が適用でき,近年最も一般的なコンクリートの破壊靱性試験で ある.
引張軟化曲線の面積で求められる破壊エネルギー のバラツキは,図 3.3.1をみると切片で ある割裂引張強度のバラツキと相関があるようである.平均的な引張軟化曲線を定義し,割裂 引張強度の大きさにより引張軟化曲線を上下に移動させると,概ね試験結果を満足する曲線が 得られると考えられる.
図 3.3.1 共通試験による引張軟化曲線[11]
RILEMの切り欠き梁の3点曲げ試験による破壊エネルギー試験推奨案を元に,コンクリート 工学会の委員会で提案した標準試験方法の試験体と供試体寸法を図 3.3.2に示す.
試験機ヘッド ロードセル
丸鋼棒
供試体
ローラー 丸鋼棒
=20~30 mm
S=3D da:粗骨材の最大寸法
≧40mm
≧40mm
D≧5da
a0=D/2 N≦5mm
図 3.3.2 切り欠き梁の 3 点曲げ試験[11]
破壊エネルギーを求めるために,荷重と載荷点変位を計測する必要があるが,計測の精度と 簡便性を考慮して切り欠きの肩口開口変位(CMOD)を計測し,0.75倍して載荷点変位に換算 している.試験結果より破壊エネルギーは式(3.3.1)で求められる.
(3.3.1)
(3.3.2) ここに, :破壊エネルギー(N/mm)
:供試体が破断するまでの荷重-CMOD曲線下の面積(N・mm)
:供試体の自重および載荷治具がなす仕事(N・mm)
:リガメントの面積(mm2),
:供試体の質量(kg)
:載荷スパン(mm),
:供試体の全長(mm)
:供試体に載っている治具の質量(kg)
:重力加速度(9.807 m/s2)
:破断時のひび割れ開口変位(mm)
載荷点変位に換算する係数0.75は,図 3.3.3に示すように試験体が剛体変形していると仮定 して式(3.3.3)の関係より得られる.
(3.3.3)
図 3.3.3 載荷点変位と CMOD の関係
3.3.2 引張軟化曲線の適用性の検討
(1) 引張軟化曲線の近似手法の比較
コンクリートの引張試験および曲げ試験より得られた引張軟化曲線および破壊エネルギー を評価するために,さまざまな引張軟化曲線の近似手法が提案されている.
本研究では,中村ら[41]が示す多くのモデルの中から,引張試験結果と比較して Hordijk[42]
らが提案する経験式の精度が良いと判断した.その過程を説明する.
引張軟化特性の評価方法は数多くあり,中村ら[41]は既往の引張軟化特性の評価方法を整 理・体系化した.軟化形状の評価手法の分類を図 3.3.4に示す.Hordijk[42]らの提案式はe関数 型に分類され,竹内ら[32]がRBSMに導入した引張軟化曲線はべき乗関数型の3乗モデルに分 類される.
Dugdaleモデル 長方形型
シンプルリニアモデル リニア型
イニシャルリニアモデル バイリニア型 1/3モデル
1/4モデル 1/5モデル
CEB-FIPモデルコード1990
逆解析FEM バイリニア型
3直線モデル トリリニア型
べき乗関数型
関数型 n乗モデル
ひずみ速度モデル e関数型
双曲線関数型 多項式関数型 J積分法
ポリリニア型 新J積分法 修正J積分法 拡張J積分法 新修正J積分法 実験法 多重切断法
(直接引張試験)
半解析法 J等価Dugdaleモデル法 逆解析法 ステップ近似法
断面解析法 増分ステップ法
軟化曲線の評価手法 応力拡大係数重ね合わせ法
FEM
中村ら[41]らが整理した引張軟化曲線の経験式を抜粋して以下に示す.式中の値の単位は引 張強度 (MPa),破壊エネルギー (N/m),限界仮想ひび割れ幅 (mm)である.ここに,
限界仮想ひび割れ幅 は,引張応力がゼロになるときのひび割れ幅を示す.
中村ら[41]によると,関数型の経験式は, と から を規定するモデル( 規定モデル)
と無規定のモデル( 無規定モデル)の2種類に大別できる.それぞれについて,以下に経験 式を抜粋して示す.
① 規定モデル
規定モデルについて,以下に 4 種類の式を示す.これらの式の中で,Hordijk らによる式 (3.3.4)は,既往の実験結果との対応関係でよく一致すると報告されている[41].
Hordijkらによる方法[42]
(3.3.4)
Ratanalertらによる方法[43]
(3.3.5)
Planasらによる方法[44]
(3.3.6)
Yonらによる方法[45]
(3.3.7)
ここに, :ひずみ速度=0.0005 (1/sec) (文献範囲0.0005~0.25)
:動的引張強度 (MPa)
② 無規定モデル
無規定モデルについて,以下に3種類の経験式を示す.
Gopalaratnamらによる方法[46]
(3.3.8)
Dudaらによる方法[47]
(3.3.9)
Hillerborgらによる方法[48]
(3.3.10)
無規定モデルについて,試験結果と比較した.式(3.3.8)に示す Gopalaratnam らの方法と,
式(3.3.9)に示すDudaの方法,および式(3.3.10)に示すHillerborgらの方法で求めた引張軟化曲線 を図 3.3.1の試験結果と重ねて図 3.3.5に示す.図の(a) が =0.1(N/mm)の場合であり,(b)
が =0.08(N/mm)の場合である.図中青い線で示すGopalaratnamらによる方法は, が反
映されないため を変えても両者同じ曲線である.Hillerborg らによる方法は試験結果によく 対応している.
0 1 2 3 4 5 6
0 0.02 0.04 0.06 0.08 0.1
Gopalaratnam Duda
Hillerborg
ひび割れ幅 (mm)
結合応力(MPa)
(a) Gf=0.1 (N/mm)
0 1 2 3 4 5 6
0 0.02 0.04 0.06 0.08 0.1
Gopalaratnam Duda
Hillerborg
ひび割れ幅 (mm)
結合応力(MPa)
(b) Gf=0.08 (N/mm)
図 3.3.5 wc無規定モデルと共通試験結果(黒線)[11]の比較(ft=3.43 MPa)
次に, 規定モデルの方法を試験結果と比較した.式(3.3.4)に示すHordijkらによる方法,式 (3.3.5)に示すRatanalertらによる方法,式(3.3.6)に示すPlanasらによる方法,および式(3.3.7)に 示すYonらによる方法の引張軟化曲線を図 3.3.1の試験結果と重ねて図 3.3.6に示す.図の(a)
は =0.1(N/mm)の場合であり,(b) は =0.08(N/mm)の場合である.この中で,Hordijk
らによる方法が全てのひび割れ幅において試験結果に対応することが確認できる.
ひび割れ幅 (mm)
結合応力(MPa)
0 1 2 3 4 5 6
0 0.02 0.04 0.06 0.08 0.1
Hordijk Ratanalert Planas Yon
(a) Gf=0.1 (N/mm)
0 1 2 3 4 5 6
0 0.02 0.04 0.06 0.08 0.1
Hordijk Ratanalert Planas Yon
ひび割れ幅 (mm)
結合応力(MPa)
(b) Gf=0.08 (N/mm)
図 3.3.6 wc規定モデルと共通試験結果(黒線)[11]の比較(ft=3.43 MPa)