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第4章 圧縮破壊に対する構成則

4.6 応力算定方法

これまで説明した圧縮応力ひずみ関係を用いて,圧縮応力を算定する方法について説明する.

主応力状態 および を図 4.6.1に示す降伏曲面に当てはめて得られる降伏状態により,接線 剛性 を求める.主応力状態が緑の破線の内側にある場合は,初期剛性を用い で ある.主応力状態が緑の破線と青の破線の間にある場合は,トリリニアの第2勾配を用い,接 線剛性は とする.ここに, は剛性低下率であり,本研究では,前述したとおり を用いる.青の点線を越えた領域では完全塑性状態であり,接線剛性は とする.

除荷した場合の剛性は初期剛性 である.

1.0 0.8 0.6 0.4 0.2 1.2

0.2 0.4 0.6 0.8 1.0 1.2

図 4.6.1 降伏曲面での位置と接線剛性

このように,主応力状態より求めた接線剛性 を用いて,Dマトリックスは式(4.6.1)で表さ れる.

(4.6.1)

ここに, :接線ヤング係数

:ポアソン比

増分応力 は Dマトリックスを用いて式(4.6.2)で求める.

(4.6.2) ここに, :増分ひずみ

4.7 まとめ

第4章では,コンクリートの圧縮破壊の計算に適した構成則を提案した.HPMでは,部分領 域内部において圧縮破壊の構成則を適用した.圧縮応力ひずみ関係に用いる骨格曲線のモデル 化と,繰り返し履歴特性のモデル化について述べた.

4.2節では,コンクリートの圧縮応力ひずみ関係を表す骨格曲線の検討結果を示した.竹 内ら[32]がRBSMで採用した方法を参考に,トリリニアで近似した骨格曲線を採用し,圧縮限 界ひずみ後の軟化も考慮した.圧縮応力ひずみ関係の経験式は,Saenz[53],Popovics[54],前川・

福浦による方法[16]などがあり,圧縮強度 と圧縮強度時のひずみ で基準化されている.と ころが,圧縮強度時のひずみ が得られていないことが多いため,谷川ら[55]および石川[56]

による研究結果を参考に,圧縮強度 より を求める経験式として,Shahの式を用いることに した.この を圧縮応力ひずみ関係を表す既往の経験式に適用させてトリリニア近似による骨 格曲線と比較し,既往の経験式によく対応する骨格曲線であることを確認した.

4.3節では,コンクリートの圧縮繰り返し載荷に対する履歴特性の検討結果を示した.コ ンクリートの一軸圧縮応力ひずみ関係の繰り返し履歴特性は,Sinha ら[57]および小阪ら[58]に よる実験結果では曲線となっているが,本研究で用いている拡張 rmin法では,曲線を用いると 誤差が生じるため,あまり適切ではない.したがって,骨格曲線から除荷する場合は,勾配を 初期剛性とした直線でモデル化する方法を提案した.

4.4節では,コンクリートの圧縮降伏応力は,二軸応力状態の変化により変化するといわ れており,本研究では,Kupfer ら[59]が提案した二軸応力下の降伏曲面を用いた.トリリニア の第1折れ点と第2折れ点は,降伏曲面と相似形とした.すなわち,圧縮降伏応力が増減する 比率と同一の比率を乗じて折れ点の応力とする方法を提案した.

4.5節では,圧縮降伏状態によりポアソン比が変化するといわれているため,ポアソン比 の取り扱いについて検討した.Kupfer ら[59],「鉄筋コンクリート構造計算基準・同解説 2010

(p.52)」[60],岡村・前川[61] によると,ポアソン比はコンクリートの圧縮降伏状態により値 が変化するといわれているが,実験で求めているポアソン比は,ひび割れを含んだひずみを計 測していることを考慮した.離散ひび割れでは,ひび割れによる体積変化がモデル化できてお り,ポアソン比の変化を考慮すると2重に体積変化の効果を適用することになってしまうため,

ポアソン比は初期値のまま変化させなくてもよいことを示した.

4.6節では,コンクリートの圧縮応力算定方法を示した.現在の応力状態から,降伏曲面 上の位置を求め,それによりトリリニアの剛性低下率を適用した.増分応力は,この剛性低下

率から求めた接線剛性を用いて,構成マトリックスを組み立てて算定する方法を提案した.