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第4章 圧縮破壊に対する構成則

4.2 骨格曲線

コンクリートの一軸圧縮応力ひずみ関係は図 4.2.1 の点線に示すように,圧縮強度 を最大 点とする曲線となる.原点から圧縮応力の増加とともに剛性が低下し, に達すると以後は軟 化状態となり終局ひずみまで応力が低下する.

このようなコンクリートの圧縮応力ひずみ関係に対し,竹内ら[32]がRBSMで採用した方法 を参考に,図 4.2.1の実線で示すトリリニアで近似する.トリリニアの第1折れ点は, の50%

を圧縮1次降伏応力( )と仮定し,それ以後は剛性を初期剛性の 倍に低下させる.第2折 れ点は, を第2折れ点とすると,第2勾配を低めに評価しすぎるため, の98%で圧縮2次 降伏応力( )に達したものとして 以降は剛性を0とする.この状態が圧縮限界ひずみ まで保持され,それ以降は の 倍のひずみに達するまで応力を解放する. ~ 間は直 線とする. は材料定数であり2.0~4.0程度である. を超えた後は の応力を保 持するものとする.

トリリニア 試験結果の例

: 圧縮強度

: 圧縮限界ひずみ

図 4.2.1 圧縮応力のスケルトンカーブ

提案したトリリニア近似と既往モデルを比較して適用性を検討した.比較に用いた既往モデ

ルはSaenzによる方法[53],Popovicsによる方法[54],前川・福浦による方法[16]である.それ

ぞれの提案式を式(4.2.1),式(4.2.2),および式(4.2.6)に示す.ここに, は初期ヤング係数,

は圧縮強度, は圧縮強度時のひずみである.Popovics による式は単位系がpsi であるため,

単位を変換した係数も併せて示す.

Saenzによる応力ひずみ曲線[53]

(4.2.1) ここに, :割線剛性

Popovicsによる応力ひずみ曲線[54]

(4.2.2) ここに, :Popovicsの論文ではコンクリートのとき下式である

(単位psi) (4.2.3)

(単位kPa) (4.2.4)

:圧縮強度時のひずみ.Popovicsの論文では下式である

(kは表 4.2.2参照) (4.2.5)

表 4.2.2 式の係数 k[54]

fcの単位 Hognestad による実験

Watanabe による実験 (Light Weight)

Watanabe による実験 (Normal Weight)

Smith and Young による実験

psi 0.000270 0.000285 0.000212 0.000220

kPa 0.000167 0.000176 0.000131 0.000136

MPa 0.000937 0.000989 0.000736 0.000763

kg/cm2 0.000524 0.000553 0.000412 0.000427

前川・福浦による応力ひずみ曲線[16]

(4.2.6) ここに, :破壊パラメータ

(4.2.7)

:ひび割れ直角方向の引張ひずみによる 低減係数

:初期剛性 (4.2.8)

:定数

:塑性ひずみ

(4.2.9)

圧縮応力ひずみ関係の経験式は,圧縮強度 と圧縮強度時のひずみ で基準化されているた め,ここで,圧縮強度時のひずみ を求める経験式を検討する.圧縮強度時のひずみ は,

Popovicsによる式(4.2.5)とShahによる式(4.2.10)などがある.

Shahによる式

(4.2.10) ここに, :圧縮強度 (kg/cm2)

谷川ら[55]による文献を参考に,その他の圧縮強度時のひずみ についての提案式を以下に 示す.それぞれの提案式の と の関係を図 4.2.2に示す.本研究では,石川[56]による試験結 果との比較図を参考に,圧縮強度時のひずみ として高強度コンクリートにもよく対応する Shahによる式(4.2.10)を用いた.

Rosによる式

(4.2.11) Empergerによる式

(For high sand content) (4.2.12)

(For low sand content) (4.2.13)

Saentzによる式

(4.2.14)

Hamadaによる式

(4.2.15) Yokomichiによる式

(4.2.16)

0 0.001 0.002 0.003 0.004 0.005

0 50 100 150 200

Strain at compressive strength

Compressive strength (MPa)

Popovics Shah Ros Emperger Saentz Hamada Yokomichi

図 4.2.2 圧縮強度時のひずみ

圧縮強度時のひずみ を Shah による式(4.2.10)を用いた場合,圧縮応力ひずみ関係の比較を 図 4.2.3に示す.図は,Saenzによる式(4.2.1),Popovicsによる式(4.2.2),前川・福浦による式(4.2.6) と本研究で用いるトリリニアによる近似を比較している.評価に用いたコンクリートの物性は,

初期ヤング係数が = 3.5×107 (kPa),圧縮強度が = 5.44×104 (kPa),圧縮限界ひずみ は折 れ点 のときのひずみと圧縮強度時のひずみ の倍の長さとする.つまり,下式で求める.

(4.2.17) ここに, :折れ点 のときのひずみ

弾性の場合を図 4.2.3 の黒い破線で示す.初期剛性は各方法でよく対応している.Popovics による式は,他の方法と比較して圧縮強度を超えた後の軟化勾配が急である.Saenz による式 では,圧縮強度時のひずみ の4倍で0.2 に低下する.前川・福浦による式とSaenzによる式 は,両者よく対応したスケルトンとなる.

トリリニアによる近似は,第1勾配は初期ヤング係数を用い,第2勾配は =0.5 を用いた結 果である.近似した線は,経験式と概ね良い対応を示している.0.2 に低下するひずみはSaenz による式に合わせて の4倍とする.

0 10000 20000 30000 40000 50000 60000

0 0.002 0.004 0.006 0.008 0.01 0.012

Stress

Strain

弾性 Saenz 前川・福浦 Popovics

トリリニアα=0.5

図 4.2.3 圧縮応力のスケルトンカーブの比較