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学 位 の 種 類 博士(歯学)

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Academic year: 2021

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(1)

ふ り が な

氏 名

かん しょうう

韓 嘯宇

学 位 の 種 類 博士(歯学)

学 位 記 番 号 甲 第 901 号 学 位 授 与 の 日 付 令和 3 年 3 月 5 日

学 位 授 与 の 要 件 学位規則第 4 条第 1 項に該当

学 位 論 文 題 目 Gas Permeability of Mold during Freezing Process Alters the Pore Distribution of Gelatin Sponge and Its Bone-

Forming Ability

(凍結過程における鋳型の通気性がゼラチンスポンジの細孔 分布および骨形成能に及ぼす影響)

学 位 論 文 掲 載 誌 Materials 第 13 巻 第 21 号 令和 2 年 10 月 19 日

論 文 調 査 委 員 主 査 山本 一世 教授 副 査 梅田 誠 教授 副 査 合田 征司 教授

論文内容要旨

ゼラチンスポンジは三次元多孔構造を持ち,組織再生時における細胞の足場として,多用されて いる.一方, 凍結乾燥技術は,溶液を予備凍結後,さらに真空で水分を昇華させ,多孔体構造を形成す る技術であり,再生医療や薬物徐放等に用いられる多孔体の合成に頻用される基幹技術である.今ま で,ゼラチンスポンジの組織再生能を向上させるため,架橋剤の使用,凍結乾燥過程の改善等が報告 されてきた.凍結乾燥技術の改善では,予備凍結温度,凍結速さと溶液濃度等がスポンジの構造に影 響を与えることが既に報告されている.しかしながら,凍結乾燥中の鋳型の通気性がスポンジの構造 に及ぼす影響は殆どあきらかになっていない.本研究では,鋳型の通気性が凍結乾燥後のゼラチンス ポンジの構造と骨形成能に及ぼす影響を,通気性の異なる三種類の鋳型を用いて調査した.

通気性の高いシリコンチューブ(ST)と低いポリ塩化ビニリデンフィルム(PVDC)を組み合わせ,異 なる三種類の鋳型を作製した:

1

ST

単独鋳型,

2

PVDC

フィルムで

ST

の側面を包んだ鋳型

(STPL)

3)ST

の側面と片側を

PVDC

フィルムで包んだ鋳型(STPLB).全ての鋳型の大きさは,内径

5 mm,

高さ

8 cm

に統一した.ゼラチンにはメディカルグレード低エンドトキシン

Type A

ゼラチンを使用し

た.ゼラチンスポンジの作製は,1wt%のゼラチン溶液

0.7 mL

を各鋳型に入れ,-30℃で

3

時間予備

凍結後に

48

時間の凍結乾燥を行い,

24

時間

150

℃にて真空加熱を行い作製した.各ゼラチンスポン

ジの孔構造や表面性状を,走査型電子顕微鏡(SEM)と

ImageJ

ソフトウェアを併用した画像解析に

て分析した.また,三種類のスポンジの吸水性を評価するため,断面と表面の吸水時間と接触角を測

定した.さらに,材料の細胞毒性は,ラット骨芽細胞様細胞株(UMR-106 細胞)を播種後,各種類ス

ポンジをそれぞれ添加し,1,3 日後に, Cell Counting Kit-8 と

Live or Dead

免疫蛍光染色を用いて

(2)

評価した.スポンジの骨形成能は動物実験(大阪歯科大学動物実験委員会承認番号:20-06001)で評価 した. 8 週齡の雄性

Sprague-Dawley(SD)系ラットを三種混合麻酔薬で全身麻酔後,トレフィンバー

で頭蓋骨中心部に直径

9 mm

の骨欠損を形成し,各種類スポンジを横断に小分けして欠損部に埋入し た.埋入

3

週間後にラットを安楽死させ,頭蓋骨を採取し,マイクロ

CT

評価とヘマトキシリンーエ オジン染色にて新生骨量と骨形態を評価した.

SEM

画像解析によると,

ST

で作製したスポンジは他二種類より平均細孔径が大きかった.一方,

真円度は低く,細孔径の分布は広かった.吸水性は,ST を用いて作製したスポンジが他二種類より高 かった,原因としては

ST

の平均細孔径が大きかったためと推察される.また,三種のスポンジ全てに おいて顕著な細胞毒性は認められなかった.動物実験の結果から,全ての鋳型で作製したスポンジは,

非埋入群より骨再生を促進したが,ST で作製したスポンジは,STPL や

STPLB

で作製したスポンジ より新生骨量が有意に少なかった.

以上の結果より,凍結乾燥時に用いる鋳型の通気性は作製したスポンジの細孔径分布に影響し,

同変化はそれぞれのスポンジの骨形成能に影響することが明らかとなった.鋳型の通気性は,凍結乾 燥後の多孔質材料に影響を与える重要な因子になる可能性が示唆された.本知見は,凍結乾燥法を用 いた新型多孔質材料の開発の一助になると予想する.

論文審査結果要旨

多様な多孔体構造物が既に開発されているものの,更に優れた材料を出現させる新たな合成法が 今なお強く望まれている. 凍結乾燥技術は,多孔体構造を持つ医療用材料を作製する際に頻用されてい る技術である.しかし,予備凍結および凍結乾燥時の鋳型の通気性が最終的な生成物の多孔構造やその 性能に与える影響についての研究は殆ど明らかになっていない.本研究は,通気性が異なる三種類の鋳 型を用いて,鋳型の通気性が凍結乾燥後のゼラチンスポンジの構造と骨形成能に及ぼす影響を評価し た内容である.鋳型の作製には,通気性の高いシリコンチューブ(

ST)と低いポリ塩化ビニリデン

(PVDC)フィルムを組み合わせ,以下三種類の鋳型を作製している:1)ST

単独鋳型,2)PVDC フィ

ルムで

ST

の側面を包んだ鋳型

(STPL)

3

ST

の側面と片側を

PVDC

フィルムで包んだ鋳型

(STPLB)

. これらの鋳型を使用して作製した各ゼラチンスポンジの構造を評価したところ,

ST

で作製したスポン ジは他二種類より平均細孔径が大きかったが,細孔径の分布は広かった.一方, STPL および

STPLB

で作製したスポンジは

ST

で作製したものに比べ空間的にも,サイズ的にも均質な多孔構造を示してい た.細胞毒性評価の結果,三種のスポンジ全てにおいて顕著な細胞毒性は認められていない.更に,

動物実験により各ゼラチンスポンジの骨形成能を評価したところ,全てのスポンジ埋入群が非埋入群 より骨再生を促進したものの,ST で作製したスポンジは,他二種類のスポンジより新生骨量が有意に 少なかった.また、通気性が凍結乾燥中のどの段階で得られたスポンジ構造に影響を与えるかを調査 するために行った研究によると,STPL の

PVDC

フィルムを予備凍結時に除去した際に

ST

と同様の 構造が得られ,鋳型の通気性が主に予備凍結段階で構造に影響を与えたことを証明している.

以上の結果より,凍結乾燥時に用いる鋳型の通気性は作製したスポンジの細孔分布に影響を及ぼ すだけでなく,同違いがその後の骨形成能に影響することが明らかとなった.鋳型の通気性は,作製 される多孔質材料の構造に影響を与える重要な因子になる可能性が示唆された.

本研究は再生医療を初めとした多様な医療用材料の今後の合成方法に示唆を与える研究であると

思われ,本論文は博士(歯学)の学位を授与するに値すると判定した.

参照

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