ふ り が な
氏 名
ながひさ けいな
永久 景那
学 位 の 種 類 博士(歯学)
学 位 記 番 号 甲 第 817 号 学 位 授 与 の 日 付 平成 30 年 3 月 9 日
学 位 授 与 の 要 件 学位規則第 4 条第 1 項に該当
学 位 論 文 題 目 An examination of the cumulative survival rate of narrow-diameter dental implants in the mandibular molar region: a retrospective cohort study
(下顎大臼歯部における細径インプラント累積残存率の検討:
後ろ向きコホート研究)
学 位 論 文 掲 載 誌 Dental, Oral and Craniofacial Research 第 4 巻 第 1 号 平成 29 年 7 月
論 文 調 査 委 員 主 査 馬場 俊輔 教授 副 査 岡崎 定司 教授 副 査 田中 昌博 教授
論文内容要旨
上部構造装着後のインプラント残存率に関する報告は多くされているが,大臼歯部に植立された細径インプ ラントの残存率についての報告は少ない.本研究では,下顎大臼歯部におけるインプラント累積残存率をイン プラント体の直径別に算出し,比較検討することを目的とした.
本研究は,後ろ向きコホート研究である.対象集団は,本学附属病院口腔インプラント科と
6
件の関連歯科 診療所において,2000 年
1
月から
2010
年
12
月末までの間に,下顎大臼歯欠損部にインプラント治療を行っ た全患者とした.調査項目は,患者背景項目(性別・年齢),インプラント治療に関する項目(インプラント体の 直径・長径・脱落の有無)とした.本研究では,インプラントサイズについて,直径
3.5mm
をナローサイズ(ND 群),直径
3.75mm
以上をレギュラーサイズ(RD 群)と設定し,Kaplan-Meier 法を用いて,2016 年
1
月末のデ ータ解析時点での上部構造装着後のインプラント累積残存率を算出した.有意差検定には
Log Rank
検定を 用いた.各サブグループとインプラント体の脱落との相関解析は
Cox
比例ハザードモデルにて行った.統計学 的解析には,IBM SPSS Statistics 23 を用いた.
本研究の解析対象患者は
638
名であり,下顎大臼歯部に植立された上部構造装着後のインプラント本数は
1059
本(ND 群
563
本,RD 群
496
本)であった.また,脱落したインプラント本数は
24
本(ND 群
13
本,RD 群
11
本)であった.上部構造装着後の
2000
年
10
月から調査終了時点の
2016
年
1
月末までのインプラント 累積残存率は,183.0 カ月時点で
ND
群
97.0%,RD
群
97.0%であり,両群に有意差は認められなかった.各サ
ブグループのハザード比(95%CI)は,女性
1.69(0.44-6.55
),男性
0.98(0.34-2.83),65
歳未満では
1.16
(0.47-2.88),65 歳以上では
1.25(0.21-7.51),インプラント体の長径9.5mm
以下では
0.76(0.19-3.04),10mm
以上では
1.36(0.51-3.66)であり,すべての因子に有意差は認められなかった.
従来では,下顎大臼歯部への細径インプラントの適応は力学的強度の観点から回避され,骨量が少ない場 合では,骨増生を併用したインプラント治療が行われてきた.本研究結果より,ND 群と
RD
群のインプラント累 積残存率に有意差が認められなかったことから,下顎大臼歯部においても,細径インプラントによる治療が適 応されると考えられる.
論文審査結果要旨
上部構造装着後のインプラント残存率に関する報告は多くされているが,大臼歯部に植立された細 径インプラントの残存率についての報告は少ない.著者は,本研究において,下顎大臼歯部における インプラント累積残存率をインプラント体の直径別に算出し,比較検討した.
本研究は,後ろ向きコホート研究である.対象集団は,本学附属病院口腔インプラント科と
6
件の 関連歯科診療所において,2000 年
1
月から
2010
年
12
月末までの間に,下顎大臼歯欠損部にインプ ラント治療を行った全患者とした.調査項目は,患者背景項目(性別・年齢) ,インプラント治療に関 する項目(インプラント体の直径・長径・脱落の有無)とした.本研究では,インプラントサイズに ついて,直径
3.5mm
をナローサイズ(ND 群) ,直径
3.75mm
以上をレギュラーサイズ(RD 群)と 設定し,Kaplan-Meier 法を用いて,2016 年
1
月末のデータ解析時点での上部構造装着後のインプラ ント累積残存率を算出した.有意差検定には
Log Rank
検定を用いた.各サブグループとインプラン ト体の脱落との相関解析は
Cox
比例ハザードモデルにて行った.統計学的解析には,
IBM SPSS
Statistics 23
を用いた.
その結果,本研究の解析対象患者は
638
名であり,下顎大臼歯部に植立された上部構造装着後のイ ンプラント本数は
1059
本(ND 群
563
本,RD 群
496
本)であった.また,脱落したインプラント本 数は
24
本(ND 群
13
本,RD 群
11
本)であった.上部構造装着後の
2000
年
10
月から調査終了時点 の
2016
年
1
月末までのインプラント累積残存率は,183.0 カ月時点で
ND
群
97.0%,RD
群
97.0%で
あり,両群に有意差は認められなかった.各サブグループのハザード比(
95%CI)は,女性 1.69
(0.44-6.55),男性
0.98
(0.34-2.83),
65
歳未満では
1.16
(0.47-2.88),
65
歳以上では
1.25
(0.21-7.51),
インプラント体の長径
9.5mm
以下では
0.76
(0.19-3.04),
10mm
以上では
1.36
(0.51-3.66)であり,
すべての因子に有意差は認められなかった.
従来では,下顎大臼歯部への細径インプラントの適応は力学的強度の観点から回避され,骨量が少 ない場合では,骨増生を併用したインプラント治療が行われてきた.本研究結果より,
ND
群と
RD
群 のインプラント累積残存率に有意差が認められなかったことから,下顎大臼歯部における細径インプ ラントによる治療が適応され得ることが明らかとなった.
以上,下顎大臼歯部における細径インプラントの有用性が明らかとなった点において,本論文は博
士(歯学)の学位を授与するに値すると判定した.