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学 位 の 種 類 博士(歯学)

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Academic year: 2021

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全文

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ふ り が な

氏 名

こばやし むつあき

小林 睦昌

学 位 の 種 類 博士(歯学)

学 位 記 番 号 甲 第 896 号 学 位 授 与 の 日 付 令和 3 年 3 月 5 日

学 位 授 与 の 要 件 学位規則第 4 条第 1 項に該当

学 位 論 文 題 目 Basic research on the accessibility of Japanese dental services using the geographic information system

(Geographic Information System を用いた日本の歯科医療サ ービスへのアクセシビリティに関する基礎的研究)

学 位 論 文 掲 載 誌 Journal of Osaka Dental University 第 55 巻 第 1 号 令和 3 年 4 月

論 文 調 査 委 員 主 査 三宅 達郎 教授 副 査 富永 和也 教授 副 査 合田 征司 教授

論文内容要旨

わが国の歯科医療サービスに対する需給バランスの評価は、主に都道府県ならびに市町村レベルで の歯科医療費/歯科医師数比や歯科患者数/歯科医師数比などの指標で評価されている。しかし、急速な 高齢化が進む中で、歯科医療需給バランスについては、医療機関へのアクセシビリティという患者側 の観点からの評価が必要となってきている。

そこで、本研究では歯科医療需給の将来予測を行うための基礎研究として、地図データなどの空間 情報と地理的な位置に関する様々なデータを統合して解析できる

Geographic Information System

(GIS)

を用いて、都道府県ごとの歯科医療機関への地理的なアクセシビリティを算出するとともに、

その地理的なアクセシビリティが歯科受療率にどのような影響を及ぼすのかについて検討した。

歯科医療機関へのアクセシビリティの指標は、 都道府県の総人口より歯科診療所から半径

1,000m

に 在住する人口を除いた数、つまり半径

1,000m

以内に歯科診療所がない地域に在住する人口(AI:

Accessibility Index)とAI

の総人口に対する割合(AIR:Accessibility Index Rate)と定義し、国土 交通省の国土数値情報で公開されている

500m

メッシュ人口と歯科診療所の位置情報(緯度、経度)

を用いて

GIS

ソフトウェアにより算出した。また、これらの指標と患者調査から得た歯科診療所への 受療率との関連性を

Pearson

の相関分析を用いて検討した。さらに、75 歳以上の人口を対象にして

AIR

を算出し、都道府県ごとの高齢化率、人口性比、大卒者数の割合、第一次産業就業者の割合、平 均家計支出額、都道府県民所得、高齢者世帯数の割合、75 歳以上の就業割合、要介護認定者の割合に 関するデータを既存の統計調査より抽出し、歯科の受診率(2018 年の後期高齢者医療事業状況報告)

との関連性について重回帰分析にて解析した。解析には

SPSS

ソフトウェアを使用し、統計学的有意

(2)

水準は

P <0.05

とした。

2020

年の

AI

16,972,665

人、

AIR

0.135

で、全人口の約

86.5

%の人が歯科医院から半径

1,000

m以内に居住していた。また、

2010

年から

2020

年までの

10

年間で、

AI

および

AIR

の値に変化は認 めなかった。しかし、都道府県間に大きな地域差があり、

AIR

は島根県が

0.392

と最も高く、東京都 が

0.007

と最も低かった。

AI

および

AIR

は、受療率との相関は認められなかったが、

75

歳以上の

AIR

は、歯科の受診率と有意に負の関連性が認められた。

以上の結果が示すように、歯科医療機関への地理的なアクセシビリティは過去

10

年間、同一の地域 間格差が維持されたまま変化なく推移し、何も改善されていないことが明らかとなった。また、本研 究で解析した詳細なデータは、今後、各歯科医療機関の特徴や地域ごとの交通網に関する情報などを 加味した広義のアクセシビリティを解析する上で基礎的かつ重要な知見であることが推察された。さ らに、AIR は、高齢者における歯科受診行動と関連することが本研究により明らかとなり、今後のわ が国の歯科医療需給問題において、AIR が有用な指標となることが示唆された。

論文審査結果要旨

本研究は、地図データなどの空間情報と地理的な位置に関するさまざまなデータを統合して 解析できる

Geographic Information System (GIS)

を用いて、歯科医療機関への地理的なアク セシビリティを算出するとともに、その地理的なアクセシビリティが歯科受療率に及ぼす影響 について検討したものである。

研究方法としては、半径

1,000m

以内に歯科診療所がない地域に在住する人口(Accessibility

Index:AI)およびAI

の総人口に対する割合(Accessibility Index Rate : AIR)については、

GIS

ソフトウェアを用いて

2010

年、2015 年、2020 年における都道府県別の解析を行い、また、

患者調査で得た歯科受療率と

AI

および

AIR

との関連性については、相関分析ならびに重回帰 分析を用いて統計解析を行い、以下のことを明らかにした。

1. 2020

年の

AI

16,972,665

人、AIR は

0.135

で、全人口の約

86.5%の人が歯科医院から半

1,000m以内に居住していた。

2. 2010

年から

2020

年までの

10

年間で、AI および

AIR

の値に変化は認められなかった。

3.

都道府県間に大きな地域差があり、AIR は島根県が

0.392

と最も高く、東京都が

0.007

と 最も低かった。

4. AI

および

AIR

は、歯科受療率との関連は認められなかったが、75 歳以上の

AIR

は、歯科 受診率と有意に負の関連が認められた。

すなわち、今後さらに増加すると予想される高齢者の歯科需要の検討には、地理的なアクセ シビリティの把握がきわめて重要であることを示した。

本論文は、歯科医療の分野ではほとんど応用されていない

GIS

を用いて、歯科医療における

地理的アクセシビリティを明らかにするとともに、歯科需給問題の検討には、その地理的アク

セシビリティの解析が不可欠であることを、交絡を調整した統計解析によって明らかにし、今

後の歯科需給問題に重要な知見をもたらせた研究であることから、大学院博士課程における博

士(歯学)の学位を授与するに値すると判定した。

参照

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