青年期における愛着対象の役割について
人 間 教 育 専 攻 臨床心理士養成コース 替 藤 早 佑 理
1.問題と目的
青年期には「親からの愛着から離脱することj
が求められており,大変な課題なので不安定に なりやすし、とされてしも但ohnes,1996)。また,
遠藤(2000) は青年期の終わりを r~脳細すると き」としており,大学生や大学院生はこれを目 の前に控えている時期と考えることができる。
愛着とは 「粋"すなわち人が特定の他者と の間に築く緊密な情緒的結びつきjである(遠 藤,2005)。また,大学生は両親との関係が不安 定であろうと,信頼できる他者との愛着関係に よって,補われるものがあるということが分か っている(落合,2007)。
心聯句離乳の時期であり,自立する直前で不 安定に陥りやすい青年期の学生を対象とし,青 年期における愛着対象の有無や具体的な内容と その役割を明らかにすることを目的とする。
①愛着対象は,不安場面において使用される。
②愛着対象は,慰めや癌しとして使用される。
③不安を持ちやすい人の方が,特定の人やもの に対して愛着を持ちやすしL以上の3つの仮説 を立て,これを検証するため,調査を行った。
2.ヌア法と対象 (1)方法
愛着対象に関する質問が記載された質問紙を 作成し,その質問紙と STAI日本語版(清水・今 栄,1981)の特性尺度,大学生活不安尺度(藤 井,1998)を合わせた質問紙を集団法で実施した。
指 導 教 員 今 回 雄 三
質問紙調査の後,調査に承諾を得た数名の対象 者に対して3 愛着対象に関する質問が奇
E
載され た質問紙をもとに個別に愛着対象に関するイン タビュー調査を行った。(2)対象
質問主繭査は国立の単科大学に在籍している大 学学部生63名(男性29名?女性 34名)と大 判完生131名(男性82名,女性49名)を対象 とした(記入漏れ等で情報が不十分な者を除く)。
インタビュー調査は承諾を得た対象者のうち,
質問紙調査で現在愛着対象が有ると回答した学 部生1名(女性1名)と大判完生23名(男性
10名,女性13名)に行った。
3.結果
(1)質問紙調査の結果
①STAI不安尺度
大学学部生の男性の得点の平均値と,女性の得 点、の平均値
i
こおいてt検定を行ったところ,女 性の方が有意に高く(pく.05),大判完生の男性の 得点の平均点と,女性の得点の平均値において t検定を行ったところ,有意な差が認められな かった。さらに,大学学部生の得点の平均値と,大学院生の得点の平均値においてt検定を行っ たところ,大学学部生のほうが有意に高かった
( P
<.05)が、 青年期の愛着対象の有無によって群 分けをし,大学学部生,大判完生それぞれ、青 年期の愛着対象を持っている人の平均直と,持 っていない人の平均値においてt検定を行ったqu Qd
ところ3どちらも有意な差が認められなかった。
②大学生活不安尺度
大学学部生の男性の得点の平均値と,女性の 得点の平均値において t検定を行ったところ,
有意な差が認められず,大判完生の男性の得点 の平均値と,女性の得点の平均値において t検 定を行ったところ,女性の方が有意に高かった (pく.05)。また,大学学部生の得点の平均値と,
大判完生の得点の平均値において t検定を行っ たところ,大学学部生のほうが有意に高かった (pく.05)が、愛着対象の有無によって群分けをし,
大学学部生,大判完生それぞれ,青年期の愛着 対象を持っている人の平均値と,持っていない 人の平均値においてt検定を行ったところ,ど ちらも有意な差が認められなかった。
③愛着対象に関する質問紙
幼少期の愛着対象の有無については,学部生 ではあると答えたのは 49%,ないと答えたのは 24%,わからないと答えたのは 27%であった。
大学院生ではあると答えたのは 34%,ないと答 えたのは 35%,わからないと答えたのは 31% であった。また,青年期の愛着対象の有無につ いては,学部生ではあると答えたのは 49%,な いと答えたのは 51%で、あったO 大判完生ではあ ると答えたのは 50%,ないと答えたのも 50%
で、あった。
愛着対象の内容については,大学学部生も大 判完生も,幼少期の愛着対象は一般的に移行対 象として遷ばれるようなものが多かったが,青 年期の愛着対象はかなり種類が多岐にわたって いた。
(2)インタビュー調査の結果
インタビュー調査を行ったところ,不安の解 消には愛着対象を用いるとし1うのは少数派で9
友人と会話をしたり,相談したりなど,連帯の
関係にある人と関わることで角手消していたり, 別の作業をして考えないようにしたりというよ うなことで角有商をしている人が多かったO 愛着 対象の役割としては6つあり,その詳細は以下 に示す(表1)。
表1 愛着対象の役割 内訳
役 割 該 当 す る 愛 着 対 象 合 計 A(1). B. C. D. F. H. N(l)
癒し 14
G(1. 2). Q.
s . u . v .
W(l).x
励まし D. G. 1. K. P.
w
(1) 6安心感 J. L. M. T. W(2) 5 不安の解 消 珂.A(2) 2 気 分 転 換 N(2). R 2
母 親 の 代 理 E 1
愛着対象が複数ある対象者は(1)を第1の愛着対象を指し (2)は第2 の愛着対象を指す。
4.考察
質問紙調査,インタビュー調査の結果より 1 つ目と 2つ目のは一部支持され、3つ目の仮説 は支持されなかった。
本研究では愛着対象の有無や内容,またその 役割とは何かを明らかにするもので、あったが,
約半数の人が愛着対象を持っており,愛着対象 はかなり沢山の種類が選択され,さらにその愛 着対象は6つの役割を持つことがわかった。 愛 着対象の役割からみると,愛着対象は不安場面 で使用するというよりも,より身近なもので,
日常の精神的安定に効果がある様に思われる。
また、愛着対象の有無による不安の持ちやすさ はほぼ変わらないということは、 青年期になる と幼少期よりもたくさんの要因が複雑に組み合 わさって愛着対象を持つに至るので、はないだろ うか。今後の課題としては,質問紙調査9 イン タビュー調査共に愛着対象と不安には直接的な 関係は見出されなかったことより,不安以外の 要素が愛着対象との関係に関わっている可能性 が考えられる。よって今後は不安のみで、はなく,
総合的な精神健康度と比較してみることも必要 である。
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