地域高齢者の「つながり」に関連する諸要因の研究 一社会参加活動をする高齢者への半干高量化面接から一
人間教育専攻
臨床心理士養成コース 大 西 弘 美
L
普段の背景と目的
日本では少子高齢化が進み,高歯諸の人口が 増大し続けている。高齢者は,子どもが独立し た後夫婦のみで暮らしていることが多く,また どちらかが亡くなった後は,一人暮らしを余儀 なくされる。一人暮らしの高歯緒は,孤立化し てしまうことが予想される。孤立化は,高歯緒 の生活の生きがいの低下や,孤立死の増加,高 歯在者による犯罪の増加,契約のトラブルの増加 などの原閃
kなりヲまた自殺や車珂到のリスクな
どを高くすることが指摘されている。
このように,社会との交流が著しく乏しい状 態である社会的孤立を防ぐために,社会参加活 動である自治会活動に参加したり,近隣住民と 交流をしたりすることなど,地域との接点を持
っていること(西村他,
2016)や,就労(藤原
92018)
,適度の運動(中村他,
2002)への参加な どが,社会的孤立を防ぐと提示されている。
藤原
(2017)は,社会参加活動を,就労,自 治会や老人会・婦人会などの活動,ボランティ アなどの活動,趣味などの自己啓発活動,友 人・隣人との交流などとしていることから,本 研究では,①就労,②自治会や老人会・婦人会 などの活動,③ボランティアなどの活動,④公 民館活動や個人的な集まりなどの趣味の活動,
⑤友人・隣人との交流,⑥介護・家事などとす る。そしてヲ社会参加活動をしている高歯諸 に,地域の人々とのつながりや友人・知人との
指導教員
JII 西 智 也つきあい方などについてインタビュー調査をし て,つながりを形成して維持する過程と,つな がりができてから生じる心理的変容を検討する
ことを目的とする。
2.
研究の対象と方法
(1)調査対象者
高齢者
(65歳以上)の男女
9名 (2)調査期間
2018 年 5 月 ~8 月
(3)
研究方法
事前に作成したインタビューカ、、イドを面接の 手順として,半構造化面接を実施した。面接時 聞は,約
40分から
70分であった。
(4)
分析の手順
逐語記録を作成しヲ質的データ分析(佐藤,
2008)
を用いて分析した。その過程は以下の通 りである o C I 逐語記録,②定性的コードを付け る,③焦点的コード,カテゴリーそして上位カ テゴリーにまとめる,④焦点的コード, カテ ゴリー, 上位カテゴリーの検討を繰り返す,
⑤コードマトリックスを作成する,⑥上位カテ ゴリーの関係を図に表すとともに研究協力者の
「つながり
jを検討する。
3.
結果と考察 ( < }上位カテゴリー )
分析の結果
7つの上位カテゴリーが生成さ れた。地域高齢者は, z 社会参加活動の欲求》
から, <社会参加活動〉を始めていたが, <つな がりを作りやすくする要因〉カヰ動くと, より容
QU
n u
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易に《社会参加活動〉を始めることができると 示唆された。さらに, <社会参加活動やそれ
に関係する活動に《心理的報酬の授受がある〉
ことにより,人間関係の〈ネットワークの維 持・拡大〉をすることができていた。またここ では, <付き合いの仕方》を工夫することが大 いに役に立っていた。しかし高歯存者には,時間 が鉛直するに伴い会えなくなる友人や亡くなる 同窓生があり, <ネットワークの縮小・消滅》
が避けられないことが明らかになった。
(l) <社会参加活動の欲求》 社会参加活動を したいという欲求を指す。高齢になって新しく 社会参加活動をしようとする時は,若い頃から の欲求を満たそうとしたり,体力に見合った活 動をしようとしたりしていた。また,働き続け たいという欲求は,社会の制度や慣例で難しく なることが分かった。
(2) <社会参加活動〉 地域高由緒が行ってい る社会参加活動を指す。スポーツで自分の価値 を見出したり,友人と話を楽しんだりするな
巳幅広い活動が行われていた。
(3) <つながりを作りやすくする要因〉 人間 関係の形成を促進する方法を指す。人間関係に 自信があることや,相手に応じて接し方を変え ることなどで,
I
つながりJ
が作りやすくなる ことが分かつた。(4) <心理的朝間月│の授受がある〉 心理的幸閥
H
とは,社会参加活動をする仲間の間で,共に喜 びゃ快感を感じるという状態(粛、藤,2000)を指 す。社会参加活動の過程で,価値観の近い人が 集まって仲間になり,話が合う喜びを共有し て,気持ちを合わせることで心理的幸悶怜授受し合えることが分かった。
(5) <付き合いの仕方〉 日常的に心がけてい る付き合い方を集約した概念を指す。人との付
き合いの仕方は,研究協力者カ可主む地方の文化 の影響を受けていることが考えられた。
(6) <ネットワークの維持・拡大)
I
つなが り」を維持@拡大する概念を指す。今あるネッ トワークのメンパーを維持しようとしたり,新 しいネットワークをf
乍ったりしていた。(7) <ネットワークの縮小@消滅)
I
つなが り」が,薄くなり消えてしまう1
既念を指す。高 齢者には,時間的.N
国産的要因で友人@知人と 会えなくなったりヲ病気や死による喪失があっ たりしてヲネットワークの縮小@消滅が生じて いた。4 .
総合考察社会参加活動では,仲間との交流で心理的報 酬の授受がある。そこにはヲ仲間になる意識が 生まれて,お互いに認め合い,分かりあえる喜 びゃ快感を共有することができ,
I
つながり」が形成されていた。このことから,社会参加活 動は,社会的孤立を防ぐための一役を担ってい
ることが示唆された。
次に研究協力者は,多くの社会的経験から活 動への見通しを持って,社会参加活動の欲求を 社会参加活動に発展させていた。また,相手に 応じて接し方を変えることなど,上手に「つな
がり
j
を作る方法を体得している人もいた。さらに,ネットワークの縮小・消滅を防ぐた めには,社会参加活動を次世代に継承すること が有効でありヲその過程で若い世代と高齢者と の「つながり」が生まれることが分かった。
本研究は社会参加活動をする地誠高齢者
9
人を対象にした研究でありう地域高齢者に一般 化するには限界がある。今後,高齢者を対象とした研究が進展することを期待したい。
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