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日常場面における異性愛的言動の具体化についての研究 教員・心理職・その他から
人間教育専攻
臨床心理士養成コース 小野楓
1.問題と目的
「彼氏(彼女)できた? J r どんな人と結婚し たい ?J など, 日常生活の中で恋愛や異性愛を 前提とした言葉が見られることが多い。その言 動は言っている側にとっては無自覚であるが,
異性愛者以外の人々にとってストレスになると 考えられる。また,まだ社会に出ていない子ど もたちにとって,接することのある大人は保護 者や教員・心理職である。その大人の異性愛的 な言動は子ども,特に異性愛者以外の子どもた ちに大きな影響を与えることが推測される。本 研究の目的は, 日常場面における異性愛的言動 を具体化することであり,その中でも教員や心 理職の異性愛的言動に着目する。なぜなら、異 性愛的な言動は,対人援助職が気付かない間に セクシュアル・マイノリティへの差別的な言動 として当事者の子どもたちを傷つけることがあ るためである。
2 . 研究 I
研究
Iは対人援助職を目指してし、る大判完生 が授業の中で与えられた課題について話し合う 中で、異性愛的言動を行っているか明らかにする ためのものであり,分析は具体的な異性愛的言 動を明らかにするために KJ 法を用いた。 A 大 学に通う心理コースの大判完生 42名を'悶iJや 年齢などランダムに
7ク、、ルーフ。に分け若い
指導教員 葛西真記子
女性と水夫」の構成的エンカウンタークぐルーフ。
を行った。個人で 自分が好感を持てる"順位 を決め,その後グループでのjI慎位を決めてもら うように話し合ってもらった。その内容を発言 者が分からないよう匿名にして逐語化し,デー タとした。分析の結果,
8つのカテゴリーがで きた。任親友を男と判断する@潮友が男性なら 女性に対する下心がある③女性の白齢句者を男と 判断する④女性に一夜を共にすることを持ちか
ける水夫の考えを 男性の本能"とする⑤性愛 白 根 ⑥ 性 儲
JI⑦女性問題③意図が読み取れなし、
これらのカテゴリーから, 3 つの異性愛的な考 えが見られる。
1 つ目は,異性同士では親友関係は築けない という考えである。 2つ目は,婚約は異性のみ が行うものであるとしづ考えである。 3 つ目は,
男性は女性に下心を持つものだ、という考えであ る。今回見られた考えから,援助場面において もこのように異性愛的な判断をしてしまい,そ の考えを精査することなく相手に伝えるであろ
うことが考えられる。
3.
研 究
E研究
Hの目的は,教員・心理職を含めた普段
の生活の中でどのような異性愛的言動が見られ
るのか明らかにすることであり,分析方法は
KJ 法を用いた。インターネット上でアンケー
− 108 − トを行い,回答者は43名で、あった。
質問項目の内容は①回答者の性的指向、@激 員の異性愛的言動を感じたことがあるか、③そ れはどのような言動か(自由記述)、④カウンセ ラー(心理職)の異性愛的言動を感じたことが あるか、⑤それはどのような言動か(自由記述)、
⑥その他生活の中で異性愛的言動を感じたこと があるか、⑦それはどのような言動か(自由記 述)で、あった。
教員からの異性愛的言動グループからは似皮 氏・彼女
G
凝業内容③結婚・子ども④性役割⑤ マイナス発言⑥異性愛を当然とする⑦性愛を当 然とするという 7つのカテゴリーができた。こ れらのカテゴリーから,授業とは関係のない言 動においても異性愛的言動はみられることが分 かる。心理職からの異性愛的言動グルーフ。から は①不信②彼氏・彼女③性愛を当然とする④ち ぐはぐ⑤性役割⑥異性愛を当然とするという 6つのカテゴリーができた。心理職からの異性 愛的言動は回答数が少なく,生活の中で心理職 と関わる経験が少ないことが推測される。しか しセクシュアル・マイノリティの精神的な健康 度は異性愛者に比べて低いことが先行研究の中 で示されており,心理職と関わることがあった としても関係の中で自らの性的指向について話 しにくいのではとも考えられる。そのほか生活 上で、の異性愛的言動グループからは似皮氏・彼 女②結婚@馬鹿にする④異性愛を当然とする⑤ 直面化⑥性役割⑦その他とし、う 7つのカテゴ、リ ーができた。これらのカテゴリーから,直接的 な発言だけではな・く異性愛的な価値観を相手も 当然持っているだろうとしづ発言も見られた。4.考察
研究
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からさまぎまな異性愛的言動が具体化され,生活の中で異性愛的言動が数多く存 在することが明らかになった。研究
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において,異性愛者の中でも異性愛的言動を感じている人 もいることが分かった。
教員においては,授業とは関係のない言動に おいても「彼氏・彼女」についてや「結婚・子 ども」についてなど異性愛的言動はみられるこ とが分かる。また,学校教員にとっては世間話 のような何気ない発言も異'性愛的言動として他 者を傷つける発言になりうることが示唆される。
一方でセク、ンュアル・マイノリティについて授 業の中で取り扱うべきだと考えている教員も一 定数存在することから,。教員自身がセク、ンュア ル・マイノリティや性的指向についてほとんど 何も知らずどう教えてよいのか分からない状態 にあることが推測される。
心理職においては,異性愛を当然とした発言 やセク、ンュアル・マイノリティに対してかみ合 っていない発言が見られた。しかしながら回答 数が少なく,普段の生活の中で心理職と関わる 経験が少ないことが示唆された。一方で,セク シュアル・マイノリティ当事者の精神的健康度 の低さは日高(2000)によって言及されている。
これらのことから,心理職の異性愛的言動によ りカウンセリングが当事者から敬遠されている のではと考えられる。
異性愛的言動を意識して行っているというよ りも,無意識の上での異性愛的言動のように感 じられた。そういった状況を改善するためには,
自分の無意識下の価値観について気付くことが 必要であると考えられる。