31
タ ン グ ス テ ン鍍 金 の 研 究
乾 忠 孝
St u dyo nTu ngs t e npl a t i ng
Ta da yo s hiI NUl
Tungs t en‑ pl at i nghasl ongbee nc ons i der e d di 氏c ul tandofnopr ac t i c alus e・Now,however ,wes t udyt he me c hani s m ort ungs t e npl at i ngs ol ut i onandt hene w met hodort ungs t e npl at i ng,t he nwec ange tgoodme t al ・ l i el us t erandt hi c kpl at i ng,S ot hepl at i nghasc omet obepr ac t i c alus e.
① Theme c hani s m oft ungs t e npl at i ngwasi nve s t i gat e dandt het T ol l owi ngr es ul swer eobt ai ne d.
Thedec ompos i t i onpot ent i aloft ungs t eni nNa2 WO4S Ol ut i oni smor ene gat i vet hant hatofhydr ogen,and i t sac c ur at ede c ompos i t i onpot e nt i alc oul dnotbeobt ai ne df r om i t sc ur r e ntde ns i t ypot e nt i alc ur ve.
I nt hec ons t antc ur r entdens i t yel e c t r ol ys i s ,t hec at hodi cpot e nt i ali sel e vat e dwi t ht hepr ogr es soft heel e c ‑ t r ol ys i s ・
I nt hec ons t antpot e nt i alel e c t r ol ys I S ,abe aut i f ulde c ompos i t i onofwhi t i s hgr eyme t al l i cl us t eri sobt ai ne d ,
wi t hal i t t l ehi g h erpot e nt i alar e ddi s hbr ownmet al l i cl us t er ,andwi t hamuc hhi g h er pot e nt i a l bl ac kand S POngy・
Byt heel e c t r ondi 打r ac t i onanal ys I S 〉i ti sf oundt hatt hewhi t i s hgr e yme t al l i cde pos i t i oni sc hi e ayc ompos e d ofW‑oxi de( notWO20rW
O 3)wi t hal i t t l eme t al l i ct ungs t e n.
Whe nt he Na2 WO4Sol ut i oni sel e c t r ol ys e d,t het ungs t enbe c ome ss pe c i alc at i on ofi t soxi de. Whe nt he s ol ut i oni sel e c t r ol ys e dwi t ht hec ons t antc at hodi cpot e nt i al ,t het ungs t e nr e gul ar l y obt ai ne dasme t al l i cde ‑ pos i t i onont hec at hode .Thi sde pos i t i oni sc hi e ayc ompos e dofl oweroxi det ungs t e n( s uc hasWO)C ont ai ni ng al i t t l et ungs t e n・Sot her e s i s t anc ei nc r e as esandt he・ Pot ent i ali sel evat e dwi t ht hepr ogr e s sof. el e c t r ol ys I S ・
A
s t hepot e nt i ali sgr adual y el e vat e d,t hedec ompos i t i ongr owsr i c hi nhi g h eroxi deand丘nal l ybe c ome st o bes pongy・
②
Tungs t e npl at i ngs ol ut i onwasi nve s t i gat e dandt hef わl l owi ngr es ul t swer eobt ai ne d・
Tungs t en ac i dpr e c l pl t at eSnei t heri nt hene ut r als ol ut i onlnori nt hewe akac i doror gani cac i ds ol ut i on・
I nt heel ec t r ol ys i soft hewe akac i doror gani cac i ds ol ut i on,t heel e c t r i cr e s i s t anc egr adua ll yI ncr e as esand t hes ol ut i onar oundc at hodet ur nsbl ue.Thust hepol y・ t ungs t e naci di sf or me datt hec at hodebyr e duc t i on.
I nt heel e c t r ol ys i soft heal kal i nes ol ut i ont heel e c t r i cr e s i s t anc ede cr e as e sl i t t l ebyl i t t l eandaf t erl t hel aps e ofc er t ai nhour sbe c ome sal mos tc ons t ant ・Thede c r e as i ngr at i ooft heel ec t r i cr e s i s t anc ei si nver s el ypr opo・
t i onalt ot heal kal i nec ont e nt .
I nt heel ec t r ol ys i sort heal kal i nes ol ut i onll ti ss uppos e d t hatt hec ompos i t i onort hes odi um t ungs t e n i s change dt oNa2〔 WO2 ( oH) 4 〕whi c hdi s s oci e t a si nt hes ol ut i onf T or mi ngWO2 ++・I nt het ungs t e npl at i ng,i ti s s uppos edt hatt heW02 ++ t husf わr me da ed e r pos i t e datt hec at hodeandr e duc e datt hes amet i met ot heme ‑ t al l i cs t at ebyt hehydr oge nge ner at e d.
③ Wer e s e ac he dt hene w me t hodof u t n t s g e npl at i ngbyme ansof丹uor i deandt hef ol l owi ngr e s ul t swer e obt ai ne d.Thec ompos i t i onofpl at i ng ha t a b ndt hepl at i ngt e mper at ur e sar easf ol l ows .
Thec ompos i t i onoft hepl at i ngbat h
WO3 6 0 g/ l , Nao H 6 g/ 0 I KF 3 0‑40 g/ i , gul c os e l g/ l Thel owe s tpl at i ngt e mp・i s600and eh h t he i g rt het e mp・i st hebe t t er ・
I
f equa h t yo t i nt ft headde d KFi s t oo l ma l s , t h ngbe mebl o i c nta nno epl o a t ki i a c nt ndt t i tbe h ede i s po s
a t i
s or y・ t a c f I ft hequa t i nt ngwi d・ lbeva e i o uro hec t l i fpl a e lt ol r ol g yi o a r st T hequant yO t i ft hea dde h ede ‑ Jt mpo e o c i bl a s twi l no tbef a vo ur ul h er l s e )t r g e ro e dhydr dei a r rs ma sl l l o xi t
i
o n qua ng・ n yde i t s e r i c t
I n hec eo t a s fl owe rt e ta ngwi c il e ndt lno i tbeh o nw h epl t l a lno d i tbepe T ede a r ,t h t f s c mpo r e ur c i mpe t s a r en o ug h.
Ⅰ 緒 言 高価であるか ら実用範囲が大へん制限 さ れ て い
タングステンは耐蝕,耐熱,耐酸化,耐磨耗性 る。 タングステン鍍金を利用 して タングステンの
極 めて良好であるのでその用途は非常 に広 いが, 実用化を副 らんがために,その鍍金法の研究 に着
32 ‑ 乾
手 した。
タングステン鍍金は G.Fi nk ① によって初 めて 試 み られて以来 多数の研究が報告 されてい るが, 何れ も鍍 金層が非常 に薄 く,析 出量が極 めて微 量 であ るか ら到底実用 にな らない現状である。 そ し て この間題 が解決 されない限 り実用化不可能 の状 態 にある。
我 々は タングステン鍍金を解決せんがために, 先づ鍍金析 出機構の研究,鍍金液 の研究を行 い, それ よ り鍍金液 の具備すべ き性質 を推定 して,節
しい鍍金液を試 作 し実 験を試 み相 当 程 度の厚 さ (約 2/ 1 0 0 mm) の実用性 のあ る鍍金を得 ることが で きたのでその概要 について報告す る。
Ⅰ Ⅰ タングステ ン♯ 金析出機構の研究㊥
Fi nk句 の 提 案 した タングステン鍍金液 につ い てその析出機構 の研究を行 った。
2 ‑1 電流電圧 曲線 の測定
白金陽極 と タングステン,鍋,秩;白金などの 陰極 との間の電流電圧曲線 を求 めた。 また甘衷電 極 に接続 して陰極電位 を測定 した。 その結果 いず れ も一定電任 において水素を発生 し,更 に電圧 を 高 くす ると水素 と共 に タングステンを析出 した。
タングステンの析 出電位 は水素 よ り少 し負で あ る が,曲線 に折点 を生 じないか ら曲線 よ り析出の初 まる正確 な電位 は求 め難 い。析 出物 の外観 は電位 の上 昇 とともに灰白色金属状 よ り褐色金屑状 とな
り,ついで無色海綿状 とな り,最後 に粉末状 とな る。
2 ‑ 2 定電流密度電解 ▲
電流密度 を一 一 一 定 に保 ちなが ら電解を行 い,その ときの電圧及 び電位 の変化の状態 を副定 した処陰 極電位 は電解 の進行 とともに大 き くな った。す な わ ち電解の進行 につれて陰極では抵抗 が増加す る ことが判 った。極間電圧 は少 し上昇す るが,陰極 の変化を除いて考 え ると著 しい変化 はな く,陽極 及 び電解液 には著 しい変化 は考 え られない。
低 い定電流密度では水素 の発生 のみで あ り,高 い定電流密度 ( 例 えば 7 A/ dm
2)では銅色の金属光 沢 のある析 出物 とな り,その色 よ りして W02 と 一 一致す る。更 に電流密度を高 くす ると析 出物 は黒 色海綿状 とな る。
忠 孝‑
2 ‑ 3 定電位電解
タングステン酸 ソーダ水溶液を約 2 0 時間電解 し た溶液 に,白金陽極及び銅, タングステンな どの 陰極を挿入 し,陰極電位 を一一 定 に して電解 し,電 流密度,電圧 の変化を測定 した。低電位 において は水素 の発生 のみであるが, もう少 し高 い 電 位 (
例 えば白金‑ タングステンでは ‑0 .1 2 4 V) で は 美 しい金属状の析出が得 られ,数時間陰極 は金属 光沢を失 わなか った.更 に高 い定電位 にす る上赤 褐色金属状析 出物 とな り, もっと高 くす ると黒猫 色海綿状析 出物 となる。 この ことよ りある定電位 においては析 出物の結晶配列が規則的にな って金 属状析出物 が得 られ ることが判 り,そ して析 出物‑
Q
)色よ りして W
O 2以下 の低級酸化物 ない し金属 タングステンであると考 え られ る。 もう少 し高 い 定電位では W0
2を析 出す る。
一方定電位電解 においては電流密度は電解 の進 行 につれて漸次低下 し,従 って抵抗 を増加す る。
2 ‑ 4 析 出に及ぼす種 々の影響
新 しく作 った電解液 は電気抵抗が大 き く,流れ る電流は小 さいが, これを電解す るにつれて抵抗 が減少 し,約 2 0 時間 ( 5 0 0 c c . の液を陰極面積 1 . 5 c m
2,陽極面積 2 . 0 c m
2で電解 した とき)で‑一 定 と
な り安定化す る。
電解の中途 で一・ 時電流を中断 して再び電解 を行 って も電流密度は前の継続 とな る。そのとき陰板 を引上 げて約 5 分間焼 いて も変 りがない。電解 の 中途で陰極 を新 しい もの と取 り換え ると電流密度 はまた初 め と同 じ様 に大 き くな り前の継続 にな ら ない。
陰極液 と陽極液 とを分離 して塩化 カ リウムの飽 和溶液で連結 して電解 して も陰極 に金属状析 出物 を生成 し,電解 中に W
O 4が南極で変化を受 け て陰極 に析 出す るとは考え られない。陽極 に金属
タングステンを用 いると溶解最 が非常 に大 き くな る。
2 ‑ 5 析 出物 の電子廻折 によ る検査
鋼板を陰極 として最良条件 で析出せ しめた灰 白
色金屑状 タングステンを電子廻折 によって検 べた
結果,析 出物 は倭の金属 タングステンと多量 の酸
化物か らで きていることが判 った。酸化物の組成
‑ タ ン グ ス テ ン 鍍 金 の 研 究‑
は明でないが,従来知 られている W
O 2, W
03に は相 当せず, これ ら以外の酸化物 であ る。
2 ‑ 6 実 験 考 察
タングステン鍍金 は タングステン酸 ソーダを電 解 して生成す ると考 え られ る錯塩 が錯解離を起 し て低級硬化物 の陽 イオンを生成 し, これが電解 に よ って陰極に運 ばれ放電 し,同時 に発生す る原子 状水素 によって還元せ られて低級酸化物 ない し金 属 タングステ ンとな り陰極面 に析 出す るもの と考 え られ る。陰極 に到達す る金属 イオンの数 と水素 の数が一定比率の とき析 出物 は規則的に配列 して 金属状 とな り,電位 が高 くな って金属 イオンの数 が多 くな ると水素還元 が不充分で高級酸化物 を析 出 して海綿状 にな る傾向が大 き くな る。析 出物が 分 子 内 に全然酸素を含 まない様 にす ることはェネ
ルギ‑的に考 えて容易ではないか ら,析 出物 は大 部分 W02 よ りも低級 な酸化物 の形 にあるもの と 見 られ る。併 しその組成は明でない。
定電流密度で あると陰極電位 が漸次上昇 し,吹 第 に不規則な析 出 とな って海綿状 にな ると推定せ
られ る。定電位で あ ると斯 る懸念 はないが,酸化 物 の析出であ る為 に電気抵抗 を増大 し,電流密度 が低下 し,析 出が起 らない様 にな るので,厚 く鍍 金す る事 は不可能 にな る。 それ故 に タングステン の鍍 金方法 と して重要 な ことは,析 出物 の電気伝 導度を低下 しない様 にす ることが必要で ある。 そ のために合金鍍金にす ることも一方法で,此 の着 想 については タングステン,錫 の同時析 出 とす る ことによ り実験的に既 に成功 した④。 もう一つの 方 法は錯解離 によ って生成す るタングステンの酸 化物 の陽 イオ ンの生成を容易な らしめ,その含有 酸素量を砂 くす ることで ある。
Ⅰ Ⅰ Ⅰ タングステ ン鍍 金液の研究① 3‑1 タングステン酸 の沈澱生成につ いて
タングステン酸 ソーダの水溶液 を フェ ノール ・ フタレンを指示薬 と して 2 N‑ HCl 及び 2 N‑ H
2S0
4にて中和 して酸性度 と沈澱生成の関係 を検べた。
アルカ リ性では完全 に潜解 し, PH が 7 ‑2 の範囲 で も肉眼で見 え るよ うな沈澱 は生成 しなか った。
但 し PH2 の ものは約 1カ月放 置 した ら微 量の沈 澱 を生成 した。更 に酸性度を強 くす ると白色不溶
33
性 の タングステン酸を沈澱 し, もっと多量 の酸を 加 えた ら黄色不溶性 の タングステ ン酸 を 沈 澱 し た。 これ よ りタングステン酸は徴酸性 で も安定 に H
2W0
4と して溶 け, これが‑一 定濃度以上 の酸性 で初 めて W
O 3.H 2 0 とな って沈澱 し,更 に酸が多 量 にな ると分子 内転移 を起 して 白色 よ り黄色 にな
るもの と推定せ られ る。 また N a 2 W0
4を酸で中 和す る反応 は鋭敏でな く,酸を滴下 して完全 に中 和す るまでに相 当な時 間 を 要 す る が, こ れ は Na
2W0
4の解離度が小 さいためで あろ う。
3 ‑ 2 酸性溶液 の電解
タングステン酸 ソー ダ溶液 を . ・ ・ 2 N‑
fI2S0
4で PH を約 2とな し電解 を試 み る。電解時 に於 け る溶液 内の変化を覗 うために,電解液中に二枚 の白金電 極 を挿入 して溶液の電気抵抗 の変化 を測定 した。
酸性溶液 の電解 に於 ては溶液 の電気抵抗 は恵解 の進行 とともに増加 した。 また陰極周辺 の溶液 は 青色 にな った。 しか し青色にな った ものは再び液 に潜解 した。
電流密度を非常 に高 くして電解す ると,陰極 に 情紫色粉末状の析 出物 を得た。 これ は恐 らく多 タ
ングステン酸 の析 出 と思 われ る。
その他有機酸溶液 について も試 みたが同様 な結 巣で あ った。
この実験 よ り酸性溶液を電解 して水素 の発生量 を増大 して金属 タングステンを析 出せ しめる企 は 不可能で あ ることが判 った。
3‑ 3 中性溶液 の電解
N a2 W
O 4溶液 を 2 N‑ H 2 S0
4で PH を約 7とな して電解 を試 みた。此 の場合 に も電解 の進行 とと もに溶液 の電気抵抗 は少 しづつ増加す るが,勲位 の場合 の如 く大 き くはなか った。陰極 には黒褐色 の析 出物 を生成 した。
3‑ 4 アル カ リ性溶液 の電解
タングステン酸 ソーダのアル カ リ性溶液 を電解 して溶液の電気抵抗 の変化を測定 した結果が第 1 表で あ る。
表 の如 く電解 の進行 につれて電気抵抗 が減少 し
た。減少 の割合 は苛性 ソ ーダの量 が多い程小 さか
った。 いづれ の場合 に も溶液 の着色 その他の変化
34 ‑ 戟 忠 孝‑
第 1表 アル カ リ性浴液の電気転抗 の変化 ( 8 0 Co )
電 解 条 件 電 気 抵 抗
陰 極 電 位 ( V)1極 闇 電 圧 ( V)J電流密度 ( A/ dm
2) I〟
〟
〟
〟
〟
〟
〟
1
〟
〟
〟
〟
〟
〟
1
〟 / /
〟
′′
〟
〟
1 a ) ‑ 0 ( i
4 . 7 3 . 5 3 . 5 1 . 7 1 . 3 4 1 . 4 3
I
. 3 0 1 . 2 9 0 . 7 5 0 . 5 5 0 . 6 4 0 . 6 0 0 . 6 4 0 . 6 4 0 . 6 3 0 . 8 5 0 . 67 0 . 6 5 0 . 6 6 0 . 6 2 0 . 6 6 0 . 6 7
は認 め られなか った。
3 ‑ 5 実 験 考 察
酸性溶液を電解す るとH
2W0
4が陰極で還元 さ れて ウォル フラム青 ( W
20 5ない し W5 0
14)を生成 す るか ら液が青 くな り, この ものは電解液 に可溶 ではあるが,酸化重合 の形で溶けてい るか ら不電 離で溶液 の抵抗が増加す るもの と推測 され る。中 性 溶液 に於 いて も略 々同様 な反応 が起 ってい る。
アル カ リ性溶液を電解す ると電気抵抗 が減少す るのは,電解 によ って電離度の大 きい錯塩 を生成 す るためであろ う。 すなわ ち電解 によ って酸化, 還 元 を受 けて電離度 の大 きい物質 に移行す るので あ ろ う 。Na 2 W04 を電解 して生成す る電離度 の大 きい物質 の本質 につ いては明でないが,文献㊥を 参 照 す る と Na6 〔 W( Wo° ) 6 〕 H2 0 か Na 2 〔 WO2 t oH) 。 〕あ るいは此れに類似す る物質 であろ うと
考 え られ る。 この何れであるかば決定容易で ない
が,電圧を高 くして急 に析出せ しめ ると W0
2と 一致す る析出を得 ること,および低 い電圧で徐 々 に析出せ しめて還元 を十分 に行 うと,灰色金属状 の低級酸化物 ( WO の組成に近 い物質 と考え られ る)ない し金屑 タンかステンを得 ることよ り,秦 そ らく鍍金液中には W0
2の形 の ものが存在 し, 鎖金液 は Na 2 〔 WO2 ( OH) 。 〕の形 にあ るのであろ
う。 そ して この ものが錯解離を起 して W
q 2 ++香 生成す るのであろ う。 それで急激 に析出せ しめる
と, W
O 2′ そのままの形で析出 し,還元を十分 な らしめるともっと低級酸化物 ない し金屑 タングス テンとな ると考 え られ る。
鍍金液が Na 2 〔 WO2 ( OH) 。 〕 とす ると, この も のはどこで生成す るかであるが,それは タングス テン酸 ソーダが アル カ リ性溶液中で陰極に発生す る水素 によ って,還元 され ると同時 に 溶 液 中 の OH と結合 して生成す るのであろ うとみ られ る。
そ して Na 2 〔 WO2 ( OH) 4 〕 を生成すればその電解に
‑‑ タ ン グ ス テ ン 鍍 金 の 研 究‑
よ り, タングステンを金属状 に析出せ しめ ること が可能 となる。
Ⅰ I I I 弗化物浴によ る新鎌 金法
タングステン鍍金液中にな るべ く早 く, な るべ く多量 に Na 2 〔 WO2 ( OH) 。 〕を生成す るよ う に す れば,長 く電流を通す必要がな くな り, 文W と結 合す る酸素をな るべ く少 くす るよ うにすれば金属 状 の厚 い析出が可能 にな る筈である。 そのために
35
は W のよ うな陰性 の大 きい金属元素 に対 しては, よ り強陰性元素 と化合 させて, タングステンを陽 性 に働かす ことが最 も適切 と考え られ る。 この条̲
件 を最 も満足す るものは弗素であろ う。 それで弗 化物鍍金浴 を試作 し,その検討を行 った。
4‑1 弗化 カ リの添加量 について
WO3 6 0 g/ l , Na OH6 0g/ l の溶液 に種 々の割合 に弗化 カ リを添加 し電解を試 みたO
第 2 表 弗 化 カ リ の 量 と 電 気 抵 抗 の 関 係
電 気 抵 抗
0. 88 0. 8 3 0. 9 4 1 . 0 0 1 . 00 0. 98 0. 92 1 . 01
6 1 1 ‑ 3 1 3 6 6
〃〃〝〃2 0
〃〃〃〃0
〃〃〃〃〃2 2
〃2
〃2 0
〃〃〃〃3 1 1 1 1
I1 1 1 1
36
‑ 乾第 2 表の如 く弗化 カ リの添加量が少い ときは電 解の進行 につれて電気抵抗が少 しずつ増加 した。
得 られた析出物 は黒ずみ且鍍金層が薄か った。弗 化 カ . )の量 を増加 して 3 0g/ l を添加 した ものは電 解の進行 とともに却 って電気抵抗 を減少 した。 こ の ことは生成物の錯解離度の大 きいことによ るの で あろう。析出物 は灰 白色の金属状で光沢が大で 天へん良好である。 この ときに Na2 WO41 分子 に対 して弗素が 2 原子の割合で̀ ぁる。
4 0 g/ l になると電気抵抗は初 めか ら低 く, 電 解 して も変化がない。析出物 は 3 0 g/ l の ときと同 じ で ある。
弗化 カ リ 6 0 g/ Jにおいては数時間電 解す ると極 聞電圧が上昇 し,電気抵抗が増加 して くる。析出 物 は金属光沢な く,海綿状で良好で ない。要す る に弗化 カ リの添加量 は 3 0‑4 0 g/ l 即 ち Na2 WO4 1
忠 孝‑
分子に対 し弗素 2 原子程度が良好である。
4 ‑ 2 苛性 ソーダの添加量について
弗化 カ リ鍍金浴においては苛性 ソ・ ‑ダの量がど の程度が最 も良好であるかを検討す る た め に,
W
O 36 0 g/ i ,KF3 0 g/ l に対 し苛性 ソーダの添 加 蓬を種 々変化 して実験を試み る。
苛性 ソーダ 2 8 g/ i%添加 した溶液に 2N‑H
2S
O 。を加えて中性 とす ると多量の弗 化 タングステンら しい沈澱を生成す る。酸性 においては沈澱の生成 が一層甚 しい。故に弗化物浴法において も酸性 な い し中性では電解不可能であ って,電解液はア) レ
カ リ性でなければな らない。
苛性 ソーダを 40‑6 0 g/ l 添加 した結果は第 3 表 の如 くである。
第 3 表 苛性ソーダの添加鼻と電気抵抗の関係 ( 8
0o c) 苛性ソーダ添加圭
( g/ J l )
電解時 間 !
電解
条件 電気 抵抗
( hr ) 座 席 電 位
V)(1極 由 電圧
V)(i電流密度 ( A/ dm
2)1 (
40
〟
〟
〟
〟
〟
60
〝〝〝〝〝80
〝〝〝〝〝 102 3 5 6
0123560123561 . 25 1 . 3 0 1 . 2 5
〝
〝
〝
5hr 後の析出量 l ' 2 " 5 f
・ f
5
hr後の析出 量
1.3
〝
′′ /
′
〝
〝
2. 2 5
〝
〝
〝
〝
〟
0. 8mg/ 2c m
22.1 5
〝
/
′
〝
′/
〟
1 . 2mg/ 2 c m
22. 5
〝
〝 /′
′′
〝
5hr 後の析出量 0. 6mg/ c m
2〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃‑〃〃〃〃〃
0. 9 6 1
.1 5
〝
〝
〝
〝
8
〃〃〃〃〃0 3 2 0 〃
〃〃〃1 1
苛性 ソーダ 4 0 g/ l の ときは電解す ると少時電気
‡ 抵抗が増加す る。電流密度 l A/ dm
2で電解 した と
き 5 時間の析 出量 は 0. 8 mg/ 2 c m
2であったO析出
物の外観は晴 々良好であった。
‑ タ ン グ ス テ ン 鍍 金 の 研 究‑
6 0 g/ l を添加 した ときは電気抵抗 の変化が認 め られなか った。析 出物 の外観は良好で 5 時間の析 出量 は 1 . 2 mg/ 2 c m
2であ った。80 g/ l 添加 した とき 5 時間の析 出量 は 0. 6 mg/ 2c m
2で,析 出物 の表面 は海綿状で幾分潜解 した傾向にあ った。
要す るに苛性 ソーダの添加量 は 60 g/ l が外貌状
第
4 表 電
解37
況最 も良好で,析出量 も最 も多量であ った。
4‑ 3 電解温度 につ いて
W
O 360 g/ i ,NaOH60 g/ i ,KF3 0/ glの溶液 につ いて種 々の温度にて電解を試 み,最 良の温度範囲 を検討 した。 その結果 は第 4 表の如 し。
温 度
400 に於ては析出速度が非常 に遅 く, 析 出層が
薄 くて実用困難である。 且析 出物が柔 い。 しか し 附着
状況は良好であ る。
500 においては金属光沢があ り, 附着 状 況 も良 好であ るが,次 の 6
00 の析 出物 に比較す ると劣 る。
600 におい
ては附着状況良好であ り, 析 出層が 厚 い。 しか し柔 い
傾向であ る。
800 の析出物 は 600 と著 し
い相違はないがかた く て ,附着が幾分早い感 じがす る
。
要す るに鍍
38 ‑ 戟
Ⅴ 総 括
5‑ 1 タングステン酸 ソーダ溶液 よ り■ タングステ ンの析出機構を研究 して次の結論を得た。
すなわちタングステンの析出電位 は水素 よ り負 であるが,その正確な電位 は水素発生のため析 出 曲線 よ り求 め難 い。定電流電解においては陰極電 位 は漸次上昇 し,定電位電解においては或定電位 で美 しい金属光沢の析出が得 られ るが,それよ り 少 し高い定電位では赤褐色金属状析出 とな り,更 に高い と黒褐色海綿状析出 となる。低 い定電位で は水素の発生のみで タングステンを析 出 しない。
電子線廻折 によると灰 白色,金属状 析 出 物 は wO2 ,WO 3以外の酸化物が大部分で, 金 属 タン
グステンが少 し混 っている。
タングステン酸 ソーダ溶液を電解す るとタング ステンは特殊 な酸化物の陽 イオンとな り, これを 或 る定電位で電解す ると,陰極に金属状に析出す る。 しか し析出物 は大部分低級酸化物 で あ る か ら,析出につれて抵抗 を増加 し,電流の通過困難 とな り,ある限度以上の厚 い析出を得 ることは出 来 ない。
5‑ 2 タングステン鍍金液を検討 して次の結論を 得 た。
タングステン酸は中性 は勿論,微酸性ない し有 機酸 々性溶液において も沈澱を生成 しない。微酸 性 ない し有機酸 々性溶液を電解す ると電気抵抗が 漸次増大 し,陰極液 は青色にな って多 タングステ
ン酸を生成す るO中性溶液の電解においては酸性 のよ うに著 しくないが同 じ傾向である。
アルカ リ性溶液を電解す ると Na
2W0
4の構 造
忠 孝 ‑
が変化 し, タングステン鍍金液中には N a 2 〔 WO
2( OH) 4 〕の形で存在 し, この錯塩が錯解離を起 し W
O 2 日を生成す ると推測 され る。 アルカ リ性溶 液 の電解においては電気抵抗が減少 し,一定時間 後 にほぼ一定 となることよ り推定 され る。抵抗滅 少 の割合はアルカ リ含有茂の多いほど少い。 タン グステン鍍金は錯解離によって生成 した W
O 2 十十が陰極に析出す ると同時に発生す る水素によって 還元せ られて金屑状に析出す るもの と推定せ られ
ウ J t P 。