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押収物の留置の必要性判断

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Academic year: 2021

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研究ノート

押収物の留置の必要性判断

清水晴生

117押収物の留置の必要性判断(清水)

二 押収処分の必要性判断との異同 判例にあらわれた留置の必要性判断の具体的基準 1一般的判断構造 2必要性を根拠づけうる具体的事項 3不要性を根拠づけうる具体的事項 証拠開示の問題については、その重要性に即応してさかんに論じられてきている。そして、捜査機関による押収物の 留置継続または還付︵刑訴一一二二条一項︶ないし仮還付︵同二二二条二項︶をめぐる問題も、証拠開示と異なり還付請

パレ

求権が一般に認められている点は異なるものの、証拠開示と同様の問題性をはらむものである︵刑訴規一七八条の一一

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白鴫法学第14巻2号(通巻第30号)(2007)118 参照︶。しかし押収物の還付をめぐる問題のうち、︵請求権の有無にかかわらず重要な︶押収物の留置の必要性に関する 議論は必ずしも十分ではない。むろん、押収物の留置の必要性に関する判断は具体的事実関係を前提とするものである し、しかもその規定︵刑訴一二三条︶の形式から留置している側の広い裁量が認められるものと一般に解されている。 以下では、まず国学院大映研フィルム事件最高裁決定以来比較的論じられてきた押収処分の必要性判断との異同を確 認し、その上で、公表された判例中に現れている押収物の留置の必要性に関する個々の判断内容を比較検討し、その妥 当な判断のあり方をさぐってみたい。

押収処分の必要性判断との異同

押収処分の必要性判断に関する最高裁の態度は、主に報道機関の報道・放映用取材テープに対する押収処分の要否を

ハロ

めぐって明らかにされてきた。類似の側面を有する国学院大映研フィルム事件最高裁決定は、押収処分の必要性判断に 関するリーディングケースとして次のように判示していた。すなわち﹁差押は﹃証拠物または没収すべき物と思料する もの﹄について行われることは、刑訴法二二二条一項により準用される同法九九条一項に規定するところであり、差押 物が証拠物または没収すべき物と思料されるものである場合においては、差押の必要性が認められることが多いであろ う。しかし、差押物が右のようなものである場合であつても、犯罪の態様、軽重、差押物の証拠としての価値、重要性、 差押物が隠滅殿損されるおそれの有無、差押によつて受ける被差押者の不利益の程度その他諸般の事情に照らし、明ら

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119押収物の留置の必要性判断(清水) かに差押の必要がないと認められるときにまで、差押を是認しなければならない理由はない﹂と。 そして、国学院大映研フィルム事件最高裁決定が示した必要性判断の基準は、博多駅事件取材フィルム提出命令事件 最高裁決定においてはっきりと比較衡量の判断として確定された。すなわちコ面において、審判の対象とされている 犯罪の性質、態様、軽重および取材したものの証拠としての価値、ひいては、公正な刑事裁判を実現するにあたつての 必要性の有無を考慮するとともに、他面において取材したものを証拠として提出させられることによつて報道機関の取 材の自由が妨げられる程度およびこれが報道の自由に及ぼす影響の度合その他諸般の事情を比較衡量して決せられるべ きであり、これを刑事裁判の証拠として使用することがやむをえないと認められる場合においても、それによつて受け る報道機関の不利益が必要な限度をこえないように配慮されなければならない﹂と。つまり、比較衡量の一方の要素は、 ①罪質、態様、軽重、証拠としての価値といった捜査・訴追上の要請であり、他方の要素は、②報道機関の取材の自由 が妨げられる程度、報道の自由に及ぼす影響の度合、その他諸般の事情といった憲法による人権保障上の要請を内容と するものであり、比較衡量により押収処分の必要性が認められた場合でもさらに﹁最小限度性﹂が要請される。この判 断方法は、その後の日本テレビ事件最高裁決定、および、TBS﹁ギミア・ぶれいく﹂ビデオテープ差押え処分事件最 高裁決定にも引き継がれている。 現在にいたる判断方法へと引き継がれた国学院大映研フィルム事件最高裁決定が示した必要性判断基準については、 それにくわえて、必要性を広く肯定する方向で﹁差押物を使っての再犯のおそれ︵常習賭博のゲーム器等︶﹂も考慮さ

パロ

れてしかるべきとする主張もあれば、逆に必要性を限定的に認定する方向において﹁差押物の証拠としての非代替性な いし代替困難性﹂を考慮すべき場合があるとする主張もある。さらには、裁判所の提出命令ではなく捜査機関による報

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白鴎法学第14巻2号(通巻第30号)(2007)120 道機関の取材テープ差押えをめぐり争われたTBS﹁ギミア・ぶれいく﹂ビデオテープ差押え処分事件最高裁決定につ いての評釈の中で、﹁捜査手続における報道資料の差押まで利益衡量によって許したことは、疑問であった。犯罪の嫌 疑があると思料する捜査機関は、可能な限り多くの証拠を収集しようとする。証拠の関連性ないし重要性を緩やかに、 それゆえ過大に捉えるという本来的傾向をもつ捜査手続の段階では報道資料の差押もルーズになりがちであり、利益衡

パマレ

量による規制には自ずから限界があった﹂としたものもある。 留置の必要性に関する判例の判断方法も、押収処分の必要性判断のあり方を踏襲しているとするものがある。留置の 必要性判断における、押収処分の必要性判断におけるのとは異なる具体的基準の検討は次にあつかうとして、ここでは ひとまず、いま見てきた押収処分の必要性判断ととくに異なると考えられる点について確認しておく。 ①まず、押収された物件については、その存在、状態、内容等の確認が済み、また被疑事実との関連性など当該物件 にかかる証拠保全の要否に関してもひとまずは判断可能な状態が獲得された以上、例外︵押収処分︶の例外︵留置︶と してあらためて固有の必要性が求められる。ただし例外︵押収処分︶が許容された要素が失われた場合には当然ただち に、そのさらなる例外である留置の必要性もまた失われる。 ②当該物件と被疑事実とに関連が認められる場合であっても、当該物件の存在、状態、内容等について確認が済んだ 後は、その状態や内容等の記録・複製がその物の性質上可能である限りにおいて、当該物件の留置の必要性は減殺され る。 ﹁例外の例外としての固有の必要性﹂や﹁記録・代替の可能による留置の不要﹂は、刑訴一二三条一項が請求をまた ずに、﹁押収物で留置の必要がないものは、被告事件の終結を待たないで、決定でこれを還付しなければならない。﹂と

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義務的に定めていることから容易に導かれるものと解される。

二判例にあらわれた留置の必要性判断の具体的基準

参照できた判例群︵長崎地裁昭和二九年一二月二八日判決・下民集五巻一二号二二二四頁、大阪地裁昭和三八年一月 二九日決定・下刑集五巻一H二号一五七頁、東京地裁昭和四〇年七月一五日決定・下刑集七巻七号一五二五頁、大阪地 裁昭和四三年一一月一九日決定・下刑集一〇巻二号一二五頁、大阪地裁昭和四五年九月三日決定・判例時報六二二号一 〇四頁、大阪地裁昭和五〇年九月二五日決定・判例時報八〇四号二三頁、神戸地裁昭和五六年一〇月二八日判決.判 例タイムズ四六六号二二二頁、最高裁昭和五八年四月二八日決定・刑集三七巻三号四三一頁、松山地裁平成一五年二月 一二日決定・刑集五七巻六号八九九頁、最高裁平成一五年六月三〇日決定・刑集五七巻六号八九三頁︶における判示お よび還付請求者側・捜査機関側双方の主張から、以下に示すような、︵1︶一般的判断構造、︵2︶必要性を根拠づけう る具体的事項、︵3︶不要性を根拠づけうる具体的事項を抽出することができた。 1一般的判断構造 押収処分の必要性の判断構造と同様に留置の必要性の判断構造としても、留置する側の捜査や公判維持の利益と留置 される側の押収物にかかわるさまざまな利益との比較衡量という方法がとられる。

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白鴫法学第14巻2号(通巻第30号)(2007)122 ﹁押収物の仮還付は、捜査の複雑且困難性に鑑み検察官の自由裁量に委ねられた処分と解するのが相当である。⋮然 しながら押収は公権力により強制的に個人の財産を侵害することになるのであるから、可及的にこれを差控えるのが人 権保障の精神に徴して望ましい﹂︵長崎地裁昭和二九年一二月二八日判決・下民集五巻一一一号一二四三頁︶、﹁物の占有 を取得する差押という強制処分が相手方の財産権を侵害する場合が多い⋮。こンに﹃留置の必要性﹄の有無は、被疑事 件として犯罪捜査の見地から、被告事件としては公訴維持のため当該事件の立証上必要であるか否かの立場より判断す べきであり、仮還付はその押収物件は留置の必要性が全然なくなつたわけではなく押収処分を継続しておく必要ありと するも、その反面当該物件の留置により蒙る個人の物的損害又は迷惑、不便等を考慮して仮に所持者等に還付する処分 であり、それは一次的には捜査機関又は原告官としての立証責任を負う検察官の判断に委ねるべきではあるが、それは 恣意的のものであつてはならない。犯罪捜査或いは公訴維持という公共的必要性と留置の継続による︵ママ︶蒙る個人 の権利侵害とを如何に調和させるかという憲法上の要請より慎重に判断されなければならない﹂︵東京地裁昭和四〇年 七月一五日決定・下刑集七巻七号一五三四頁︶などとされている︵その他、大阪地裁昭和五〇年九月二五日決定・判例 時報八〇四号一一三頁、松山地裁平成一五年二月一二日決定・刑集五七巻六号九〇〇頁参照︶。 2必要性を根拠づけうる具体的事項 捜査・訴追機関側が主張する留置の必要性を具体的に根拠づけうる事項の主なものは、①証拠保全︵滅失殿損による 証拠浬滅のおそれ、鑑定等への供用︶、②再犯のおそれである︵長崎地裁昭和二九年一二月一一八日判決・下民集五巻一 二号二一四四頁﹁再度これを密貿易の用に供し、或はその滅失殼損による証拠浬滅の虞が全くないとはいえない︵これ

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まで左様な事態の生じたことが在つた︶し、又船舶は滅失殿損の虞が大きく且航海等による移動性も激しいから、将来 鑑定や検証等の必要が生じた場合に、何時でもこれに応じ得る如く万全の措置を講じておく必要があつたといえる﹂、 大阪地裁昭和四三年二月一九日決定・下刑集一〇巻二号二一七頁﹁公判で再鑑定が実施されることになつた場合、本件 物件の存在が不可欠の要件となつてくる﹂、その他、松山地裁平成一五年二月一二日決定・刑集五七巻六号九〇一頁等 参照。さらに没収の執行確保につき刑訴九九条︶。 しかし、①証拠保全の必要は捜査機関側のみならず被疑者・被告人側でも同様であるから、捜査機関側が仮還付ない し還付に応じない理由とは必ずしもならず︵刑訴規一七八条の二︶、また、②再犯のおそれそれ自体は当該事件に関 する捜査の必要︵刑訴一二八条︶とかかわらない以上、刑訴法一二三条一項の﹁留置の必要﹂を根拠づけうるものでは ない︵長崎地裁昭和二九年一二月二八日判決・下民集五巻一二号一二三七頁参照︶。 3不要性を根拠づけうる具体的事項 留置の不要を具体的に根拠づけうる事項としては次のようなものがある。

︵一︶相当の時間経過

留置継続が長期にわたることはそのこと自体が権利の甚大な制約であり︵最高裁平成一五年六月三〇日決定・刑集五 七巻六号八九八頁参照。ただし、松山地裁平成一五年二月一二日決定・刑集五七巻六号九〇一頁も参照︶、押収物が高 価であったり︵大阪地裁昭和四三年二月一九日決定・下刑集一〇巻二号二一九頁﹁本件物件は相当高価なものであり、

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白鴎法学第14巻2号(通巻第30号)(2007)124 このまま長期間放置すると発錺、絶縁劣化等のため、解体修理によって使用可能な機器までも朽して申立人に対する損 害を一層増大することは容易に推測できる﹂等参照︶、あるいは後述するように﹁生業の用に供するもの﹂であればな おさら権利制約の程度は大きいものとなる︵長崎地裁昭和二九年二一月二八日判決・下民集五巻一二号二二二七頁参照︶。 また後述する﹁十分な記録﹂や﹁捜査の進展が見込めない﹂といった事情が併存する場合にはとりわけ、長期の留置 継続は留置の必要性を減殺させる理由となる︵東京地裁昭和四〇年七月一五日決定・下刑集七巻七号一五二七∼二八頁 参照︶。 ︵二︶訴訟準備の必要︵その他、重大な期日の到来︶ 刑事訴訟規則一七八条の一一が﹁検察官は、公訴の提起後は、その事件に関し押収している物について、被告人及び 弁護人が訴訟の準備をするにあたりなるべくその物を利用することができるようにするため、法第二百二十二条第一項 の規定により準用される法第百二十三条︵押収物の還付、仮還付︶の規定の活用を考慮しなければならない。﹂と定め ていることから明らかなように、捜査・訴追側と同様に還付請求者たる被告人・弁護人側の訴訟準備の必要も、還付の 必要性を理由づける事情にほかならない︵東京地裁昭和四〇年七月一五日決定・下刑集七巻七号一五一一七頁参照︶。 手形の満期日の接近を考慮したケース︵大阪地裁昭和五〇年九月二五日決定・判例時報八〇四号二四頁、神戸地裁 昭和五六年一〇月二八日判決・判例タイムズ四六六号二壬二頁参照︶があることも考え合わせれば、刑事裁判の準備の ためのみならず、民事裁判の準備︵最高裁昭和五八年四月二八日決定・刑集三七巻三号四三六頁参照︶、申告納税の準 備︵東京地裁昭和四〇年七月一五日決定・下刑集七巻七号一五二八頁参照︶、必要な更新手続き︵松山地裁平成一五年

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二月一二日決定・刑集五七巻六号九〇一頁︶といった事情についても、最大限考慮されてしかるべきである。

︵三︶代替可能

すでに、押収処分の必要性を限定する方向において﹁差押物の証拠としての非代替性ないし代替困難性﹂を考慮すべ き場合があるとする主張を見ておいた。また、押収処分の必要性判断とは異なる留置の必要性判断においては、﹁②当 該物件と被疑事実とに関連が認められる場合であっても、当該物件の存在、状態、内容等について確認が済んだ後は、 その状態や内容等の記録・複製がその物の性質上可能である限りにおいて、当該物件の留置の必要性は減殺される﹂ ︵記録・代替の可能による留置の不要︶とも述べた。 代替・複製が可能であることは判例上も考慮されている。たとえば、事故の鑑定に事故車両と同種同型の電車が使用 されていることを考慮したもの︵大阪地裁昭和四三年二月一九日決定・下刑集一〇巻二号一二八頁︶、押収物の賊物性 を立証するには﹁手形の写でも足ゆる﹂としたもの︵神戸地裁昭和五六年一〇月二八日判決・判例タイムズ四六六号一 三三頁︶などがあり、また﹁今日においては複写技術の進歩によりその内容形状を克明に写し取ることが可能である﹂ ︵大阪地裁昭和五〇年九月二五日決定・判例時報八〇四号一二二頁︶と述べたものもある。

︵四︶証拠としての価値

捜査・訴追側が留置の必要性を根拠づけるために持ち出す﹁①証拠保全︵滅失殼損による証拠浬滅のおそれ、鑑定等 への供用︶﹂の利益が、﹁将来鑑定や検証等の必要が生じた場合に、何時でもこれに応じ得る如く万全の措置を講じてお

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白鴎法学第14巻2号(通巻第30号)(2007)126 く必要﹂といった抽象的利益として語られる場合︵松山地裁平成一五年二月一二日決定・刑集五七巻六号九〇〇∼九〇 一頁も参照︶には、当該事案のうちの﹁具体的にどのような事柄を立証するために使用されるのか﹂、またその立証の ために﹁具体的にどのようにして使用されるのか﹂が明らかにされないならば、その限りで留置の必要性は減殺されざ るをえない︵大阪地裁昭和四三年二月一九日決定・下刑集一〇巻二号二一八頁、大阪地裁昭和四五年九月一一日決定・ 判例時報六二二号一〇六頁、最高裁昭和五八年四月二八日決定・刑集三七巻三号四三五頁参照︶。

︵五︶十分な記録

押収物の性質上複製できないものであっても、謄抄本の作成︵松山地裁平成一五年二月一二日決定・刑集五七巻六号 九〇一頁参照︶など十分な記録をおこなうことでこれに代えることができる場合は少なくない︵大阪地裁昭和四三年二 月一九日決定・下刑集一〇巻二号一二八頁﹁検察官は、公判審理の段階において本件事件の被害状況などを明らかにす るため、裁判所に対して本件物件の検証を申請する予定であると主張する。申立人が本件物件の領置処分の継続に異議 のない状態で公判審理の段階にいたつた場合には、検察官の申請によつて右のような検証が実施されることがあるかも しれないが、すでに本件事故発生の直後に詳細な実況見分が実施されその調書には本件物件の損傷状況なども写真の利 用等によつて克明に記録されているのであつて、右実況見分調書の取調請求により検察官の右のような目的は達せられ るものと考えられる﹂、その他、最高裁平成一五年六月三〇日決定・刑集五七巻六号八九七頁も参照︶。

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︵六︶捜査進展の見込みがないこと

捜査の進展が客観的に期待されえない状況に至った場合︵神戸地裁昭和五六年一〇月二八日判決・判例タイムズ四六 六号一三三頁参照︶、あるいは、当該事件の捜査が放置されたまま相当期間経過した場合︵最高裁平成一五年六月三〇 日決定・刑集五七巻六号八九九頁参照︶には、それ以上の留置の必要性は認めがたい。

︵七︶事件との具体的関連性

﹁証拠としての価値﹂の具体性を問う以前に、事件との具体的な関連性が精査されなければならない 八年四月二八日決定・刑集三七巻三号四三五頁参照︶。 ︵最高裁昭和五

︵八︶最小限性

留置の目的を達するために当該押収物件の一部の留置で足りるときは、留置の継続を必要最小限度の範囲内にとどめ るべきである︵最高裁昭和五八年四月二八日決定・刑集三七巻三号四三五頁、最高裁平成一五年六月三〇日決定・刑集 五七巻六号八九七∼八九八頁参照︶。 ︵九︶生業の用に供するものであること 当該押収物件が生業の用に供するものである場合、留置の継続が自白強要やいやがらせに利用されないように、留置 の必要性は厳しく判断されなければならない︵長崎地裁昭和二九年一二月二八日判決・下民集五巻一二号二二二七頁、

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128 白鴎法学第14巻2号(通巻第30号)(2007) 最高裁平成一五年六月三〇日決定・刑集五七巻六号八九八頁参照︶。

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︵3︶ ︵4︶

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永野・前掲一九〇頁。 高田昭正﹁報道機関に対する捜索・差押﹂﹃刑事訴訟法判例百選︵第六版︶﹄︵別冊ジュリスト一一九︶四九頁。 小田中聰樹﹁刑訴法四三〇条による不服申立を受けた裁判所と差押の必要性に関する審査権﹂警察研究四六巻一号七七頁。 河上和雄﹁裁判官による差押えの必要性の判断﹂﹃警察実務判例解説︹捜索・差押え篇︺﹄︵別冊判例タイムズ一〇︶二二頁。 的を有すること等︶とを比較衡量してみた場合には、右フイルムの強制的な差押までは許されないものと解するのが相当である﹂と。 イルムを押収されることの、その所持者たる映画研究会に与える不利益︵その一つとして、彼らはこれを期日の迫つた学園祭に上映する目 者の被疑事実との関係で考える限り、第三者が適法に撮影し所持している右フイルムを押収する必要性はさほど強いものとは言えず、右フ で、その罪責に対する影響、被疑者の役割りの軽重の判定、その他被疑者の罪を立証すると思われる作用は極めて低いと思われ、本件被疑 れを本件についてみるに、右フィルムは、本件被疑者の具体的な犯行状況を内容とするものではなく、他の共同者の行為を内容とするもの 解するが︵刑訴法一〇五条などは制限列挙と解する︶、押収される第三者のもつ利益との比較衡量が必要といわねばならない。そして、こ さらに次のようにも述べていた。﹁第三者の所有する物についても、捜査の必要性が十分に認められる場合には、その押収が可能であると 原審東京地裁昭和四三年三月二二日決定・刑集二三巻三号一七六頁もすでに、各差押え物件の当該被疑事実との関連性を検討するほか、 ミア・ぶれいく﹂ビデオテープ差押え処分事件最高裁決定︵平成二年七月九日・刑集四四巻五号四一二頁︶。 年二月二六日・刑集二三巻二号一四九〇頁︶、日本テレビ事件最高裁決定︵平成元年一月三〇日・刑集四三巻一号一九頁︶、TBS﹁ギ 機関の報道・放映用取材テープに対する押収処分の要否が争われてきている。博多駅事件取材フィルム提出命令事件最高裁決定︵昭和四四 リーディングケースとされる国学院大映研フィルム事件最高裁決定︵昭和四四年三月一八日・刑集二一二巻三号一五三頁︶のあとは、報道 解説︹捜索・差押え篇︺﹄︵別冊判例タイムズ一〇︶一八九頁参照。 最高裁平成一五年六月三〇日決定・刑集五七巻六号八九三頁、および、永野義一﹁押収物還付請求却下に対する準抗告﹂﹃警察実務判例 たとえば特集記事として、季刊刑事弁護一九号一六頁以下、法と民主主義三七九号二頁以下、法学セミナー五八四号四〇頁以下。 ︵本学法学部専任講師︶

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