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鉄道下路溶接トラス桁縦桁疲労き裂対策に関する一考察

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Academic year: 2022

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(1)

鉄道下路溶接トラス桁縦桁疲労き裂対策に関する一考察

JR西日本 〇(正)藤野 恭平(正)中山 太士(正)佐藤 和久 日本特殊塗料㈱ 荒野 伸和

図.2 上フランジの変形状況

-4 -3 -2 -1 0 1 2 3 4 5

0 1000 2000 3000 4000 5000 6000 7000 8000 9000 10000

縦桁位置(起→終)(mm)

フランの変形量(mm)

フランジ内側 フランジ外側

1. はじめに

鋼鉄道橋は主桁あるいは縦桁の上フランジ上にまくらぎを設置した開床 式の橋梁が多く存在する(図.1).近年,まくらぎの長期耐久性確保を目的 に木まくらぎから合成まくらぎ(ガラス繊維入り樹脂)に取り替えられる ケースが多くなっているが,取り替え後に上フランジの面外曲げ応力が高 くなることが報告されている 1).今回対象とする開床式トラス橋において,

縦桁の中間補剛材上端溶接部の全周き裂およびスカーラップまわし溶接部 からウェブへ水平方向に進展する疲労き裂を確認した.当該橋梁では後述 する調査結果から他の中間補剛材においてもき裂発生が懸念されたため,

対策方法を検討することとした.

図.1 鋼鉄道橋(開床式)

2. 対象橋梁と調査結果

試験施工を行った橋梁は架設年度が1967年および1973年の 複線式下路トラス(溶接構造),支間64m,全29連から構成さ れている.本橋梁を通過する列車本数は1日当り最大約350本 の高密度線区である.本橋梁において,木から合成まくらぎへ 取り替えた後にまくらぎと縦桁の上フランジの接触状態を確認 したところ,上フランジの内側で上フランジとまくらぎに 1~ 3mm程度の隙間が確認されたので,以下の調査を行った.

図.3 上フランジ変形状況 上フランジ

腹板

中間補剛材

(1) 上フランジの変形状況

上フランジの変形状況を確認した結果を図.2に示す.横軸には縦桁端部起 点方からの距離を示しており,縦軸に上フランジ端の変形量をフランジ外側 および内側毎に示している.上フランジの変形量とは図.3に示す値であり列 車荷重がない状態での変形量である.ウェブ直上を 0 とし,上フランジ内外 側の端部とウェブ直上の高さの差をそれぞれ変形量としている.上フランジ 変形量は図.2からわかるように全ての測定点においてフランジ外側が上方,

内側が下方へ変形していることが分かった.外側と内側の変形量の絶対値を比 較したとき,外側(上方)が大きいときはフランジ上面が凹形

に変形しており,内側(下方)が大きいときは凸形に変形して いると言えることができる.箇所によって変形量の規則性は 見らないが,凹型の変形が生じている箇所が比較的多いこと が分かった.

(2) 実働応力測定

列車通過時の上フランジの状況を観察した結果,図.4に示 すように上フランジ外側が押し下げられ,反対に上フランジ

内側が上方へ変位する挙動が確認された.そこで上フランジの首振り現象を確認するため,上フランジの変位測定 および上フランジ首部の実働応力測定を行った.応力測定位置は補剛材スカーラップのまわし溶接部から水平方向 に10mm離れたウェブ面とその裏面とし,これらの位置に鉛直方向に単軸ゲージを貼付して測定した.測定の結果,

列車載荷なし 列車載荷時

まくらぎ まくらぎ

上フランジ

腹板

補剛材

図.4 上フランジの変形状況

キーワード 鋼鉄道橋,疲労き裂,まくらぎ,緩衝材

連絡先 〒545-0053 大阪市阿倍野区松崎町1丁目2番12号 近畿統括本部 大阪土木技術センター 土木学会第67回年次学術講演会(平成24年9月)

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(2)

上フランジの変位はフランジ外側が下方0.83㎜に,フランジ内側が上 方に約0.89㎜変位することが確認され,実働応力測定では,外側が圧 縮(65.7Mpa),内側が引張(69.7Mpa)の応力が発生していることがわかっ た.

3.き裂対策の検討

(1)これまでの対策事例 図.5 緩衝材の改良

文献 1)によると,今回と同様の開床式トラス縦桁の補剛材天端部からのき裂 が生じ,軌道パットや鋼製プレートをまくらぎと縦桁の間に挿入することによ り,応力が低減することが確認されている.ただし,このケースのき裂発生原 因は縦桁中心間隔が軌間より広いことにより,上フランジ内側に応力集中が生 じたものである.今回のケースでは上フランジ外側が接触しており,フランジ 面の多くが凹形に変形していること,および上フランジの変形に起因して上フ ランジとまくらぎとの間に 1~3mm の大きな隙間があることから,フランジとま くらぎの接触状態に関して文献 1)と同等とみなせるかは不明であった.そこで 当該橋梁に対し,フランジとまくらぎとの間に緩衝材を挿入することによって応 力低減の効果があるかを確認することとした.

写真.2 緩衝材の移動状況

(2)緩衝材の挿入

まくらぎと上フランジの隙間にゴム系の緩衝材を挿入した.材料は CR ゴム,

ばね定数は96kN/mmである.寸法はまくらぎ幅とフランジ幅の2/3(200㎜×300

㎜)とした.厚みはまくらぎと上フランジの最大隙間量である3㎜とした.ゴム 系の緩衝材の施工後の効果を検証するため,実働応力測定を行った結果,表.1に 示すように約50%の応力低減効果が得られた.しかし,緩衝材設置後7日で現場調 査を行ったところ,列車通過時の振動により,写真.2に示すように緩衝材のほぼ全 数で,まくらぎ下から移動していることが確認された.

写真.3 改良後の緩衝材

(3)緩衝材の改良

材料はNBRゴム,ばね定数は113.6kN/mmの緩衝材を使用した.緩衝材の列車通 過時の移動を防止するため,図.5に示すようにまくらぎ幅に合わせて立ち上げ部を 設け,フックボルト部分に切欠き部を設けた.また,寸法をまくらぎ幅とフランジ 幅(210㎜×400㎜)とした.改良した緩衝材の

設置状況を写真.3 に示す.改良した緩衝材の効 果を検証するために実働応力測定を行った結果 を表.3 に示す.この表からわかるように,80% 以上の応力低減効果が得られた.また,施工後6 ヶ月で現場調査を行ったところ,写真.4 に示す

ように,緩衝材にずれ等の移動や緩衝材の割れ等の損傷 は確認できなかった.

写真.4 改良緩衝材の状況(6 ヶ月後)

表.1 緩衝材挿入前後の実働応力測定結果

外側

(簡易対策後)

内側

(簡易対策後)

変位測定 応力測定 変位測定 応力測定 応力測定 応力測定

測定値(mm) 測定値(MPa) 測定値(mm) 測定値(MPa) 測定値(MPa) 測定値(MPa)

最大値 0.35 9.9 0.89 69.7 11.2 27.0

最小値 -0.83 -65.7 -0.18 -8.9 -21.1 -11.3 外側

(対策前)

内側

(対策前)

表.2 改良型緩衝材挿入前後の実働応力測定結果

外側(MPa)

(パット設置前)

外側(MPa)

(パット設置後)

内側(MPa)

(パット設置前)

内側(MPa)

(パット設置後)

最大値 28.2 4.0 73.1 8.0

最小値 -100.8 -4.5 -24.2 0.5

4.まとめ

まくらぎと上フランジの隙間が確認された箇所において列車通過時の変位計測,実働応力測定を行い,応力低減 のため,緩衝材を検討・実橋へ適用し,一定の効果が得られた.今後は緩衝材の耐久性確認,形状改良等の検討が 挙げられる.今後も継続的に取り組んでいきたい.

【参考文献】

1)大都他;下路トラス鉄道橋縦桁におけるマクラギ直下上フランジの面外曲げ挙動,鋼構造年次論文報告集,第16巻,pp.703 -710,日本鋼構造協会,2008.11

2)鈴木他;トラス橋疲労亀裂の原因究明と恒久対策の検討,日本鉄道施設協会誌,pp.123-125,2001.2

土木学会第67回年次学術講演会(平成24年9月)

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参照

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