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シートパイル基礎を利用した既設橋梁の耐震補強

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Academic year: 2022

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(1)

シートパイル基礎を利用した既設橋梁の耐震補強

京王電鉄

河辺 恵介

西平 宣嗣

大林組 正会員 喜多 直之 正会員 ○光森 章 正会員 武居 智 1.はじめに

京王電鉄多摩川橋梁は,大正 14 年に建設された全長 475m(支 間長 22.5m)の複線鋼桁橋(昭和 39 年に複線化)であり,橋脚 20 基(河川内橋脚 16 基,陸上部橋脚 4 基)と橋台 2 基によって構成 される。このうち,本報告で紹介する河川内橋脚は,無筋の小判 型躯体と N 値 30 以上の砂礫層を支持層とする井筒基礎 3 本から成 る(図 1-(a))。また,橋脚は,昭和 46 年に河床の洗掘防止策と して,シートパイルで橋脚周辺を囲み,天端を鉄筋コンクリート で覆う根固工が施工されている。今回,既往の耐震性能照査1)に よって躯体および基礎の線路方向の曲げ耐力が不足していること が判明したため,躯体および基礎両者の耐震補強が必要となった。

2.耐震補強工法採用までの経緯

躯体および基礎の耐震補強設計に際し,以下の問題点が挙げられた。1)基 礎を曲げ補強する場合,躯体のように直接的に耐力を向上させること(巻立て 工法等)は技術的に難易度が高い。2)既往の耐震性能照査1)における固有値 解析結果より,井筒基礎頭部が損傷している可能性がある。3)根固工の竣工 図(昭和 46 年)より,根固めコンクリート頂版は,河床から突出した井筒基 礎に接しているだけの状態で接合されていない(図 1-(a))。

上記の条件を考慮し,以下のプロセスで補強工法を決定した。

1)井筒基礎が損傷している可能性があるため,基礎補強設計では,橋脚周囲 に新たな基礎を構築し,井筒基礎を設計上考慮しない。本工事では,袴部に打 設された既設シートパイル(Ⅳ型)に着目し,根固めコンクリート頂版を撤去 した後,新たにフーチングを構築して,シートパイルおよび躯体を確実に接合 することで,フーチング前面およびシートパイルの地盤抵抗を期待できるシー トパイル基礎2)を採用することとした。2)河川内工事での締切り工に袴部コ ンクリートを利用するため,袴部内側の既設シートパイルに新設シートパイル を溶接延長し,新設フーチングとの一体化を可能とする構造とした(図 1- (b) (c))。3)躯体の補強方法については RC 巻立て工法とし,主筋を新設フーチン グ底部に定着させることで躯体の曲げ耐力の向上を図るものとした(図 1- (c))。一般的に,河川内橋脚を RC 巻立て補強する場合,メンテナンスが不要 となることが長所であるが,一方で河積阻害率を増加させてしまうという問題 点がある。本工事では,根固工と同時に構築された橋脚基部の巻立コンクリー トを撤去し(図 1- (b)),所定の耐震性能を確保できる RC 巻立て厚(t=180

㎜)を設定することで流下断面での河積阻害率を現状以下とした。

3.設計結果

解析モデル(図 2)は,躯体と基礎を一体化した二次元骨組みモデル2)とし,設計地震動は,当サイトで発生が キーワード シートパイル基礎,耐震補強設計,河川工事,河積阻害率

連絡先 〒206-8502 東京都多摩川市関戸 1-9-1 京王電鉄(株) 工務部 TEL.042-337-3246 FAX.042-374-9391

→ 線路⽅向

RC巻⽴て補強

(t=180㎜)

新設シートパイル

■ 河積阻害率:8.95%

既設シートパイル 躯体補強主筋定着

孔あき鋼板ジベル U型鉄筋による定着

新設フーチング

→ 線路⽅向

補強鋼材

(撤去)根固め コンクリート頂版

(撤去)巻⽴て コンクリート

図 1-(b)施工時

図 1-(c)完成時 図 1-(a)現況

シルト混砂礫

砂礫 砂利礫混 シルト

既設シートパイル

→ 線路⽅向

袴部 躯体

井筒基礎

コンクリート巻⽴て コンクリート頂版根固め

井筒基礎頭部損傷

未結合

■ 河積阻害率:8.99%

土木学会第68回年次学術講演会(平成25年9月)

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Ⅵ‑317

(2)

予想され,かつ構造物に対して最も厳しい立川断層地震波を選定 した。本解析では,鉛直荷重は施工手順を考慮して既設井筒基礎 で負担することとし,地震時慣性力は安全側の配慮からシートパ イルだけに負担することとして構造計算を行った。なお,袴部外 側のシートパイルおよび袴部コンクリートは構造体として評価し ない。また,既設基礎の補強であるため,フーチング底面鉛直・

水平せん断地盤抵抗は考慮しないものとする。構造物の耐震性能 および部材の損傷レベル・基礎の安定レベルについて表 1に,耐 震補強後の荷重変位曲線(G2 地盤,αf=1.0,ρm=1.0)を図 3に示 す。解析の結果,立川断層地震波による最大応答震度 Khr=1.459 に対して,構造物全体系の降伏震度 Khy=2.387(押込支持降伏)で あることから,弾性範囲内の挙動を示し,十分に地震時安全性が 確保できることを確認した。この要因として,1)現況の躯体が断 面の非常に大きい無筋構造であるところを RC 構造へ変更したこ と,2)既設シートパイルに合わせた基礎形状としたこと,で躯体 および基礎の耐力が大幅に増加したことが考えられる。

4.施工報告

2013 年 3 月末現在で,河川内橋脚 5 基の施工を完了している。 本工 事は,既設シートパイルを利用した基礎形式であることから,既設構造 物(シートパイル・井筒基礎)の出来形に合わせて施工を行う必要があ る。着工時点では,竣工図からしか既設構造物の出来形情報を判断でき ないことから,施工時に判明した既設シートパイルや井筒基礎の施工誤 差を設計・施工の両面で対応し,渇水期(11 月~5 月)内で施工を完了 する予定である(写真 1)。

5.まとめ

本報告では,河川内橋脚の耐震補強として既設シートパイルを利用し

たシートパイル基礎補強の事例を紹介し,所定の耐震性能を満足することを確認できた。本報告で紹介した橋脚と 類似の無筋壁式橋脚は多く存在するため,今後耐震補強工法を選定する際には,河川工事の施工性に優位で、かつ 耐力の大幅な向上が見込めるシートパイル基礎補強工法は有効な手段であると考える。

参考文献 1)財団法人 鉄道総合技術研究所:京王線多摩川橋梁耐震性能検討 報告書,平成 23 年 3 月.

2)財団法人 鉄道総合技術研究所:鉄道構造物に適用するシートパイル基礎の設計・施工マニュアル(第 2 版),平成 18 年 3 月.

謝辞 本業務では,鉄道総合技術研究所の基礎・土構造研究室および耐震構造研究室より,設計に関するプログラムの使用およびシートパイル 基礎構造に関する技術内容について,多大なるご支援ご協力を賜りました。また,中央復建コンサルタンツには,設計に関するご助言を 賜りました。ここに深く御礼を申し上げます。

図 2 シートパイル基礎の解析モデル図

K1: フーチング底面鉛直地盤抵抗

K2: フーチング底面せん断地盤抵抗(考慮しない)

K3: フーチング前面水平地盤抵抗 K4: 前背面シートパイル先端鉛直地盤抵抗 K5: 前背面シートパイル鉛直せん断地盤抵抗 K6: 前背面シートパイル水平地盤抵抗 K7: 側面シートパイル先端鉛直地盤抵抗 K8: 側面シートパイル鉛直せん断地盤抵抗 K9: 側面シートパイル水平せん断地盤抵抗

(考慮しない)

(側面シートパイル )

( 側面シートパイル)

K6

K3

K9

K8 K7

K6

K5

K4

K4

K5

K1

60344490

2000

6841 1140 1140

表 1 部材の損傷レベルおよび基礎の安定レベル

耐震性能Ⅰ 耐震性能Ⅱ 井筒基礎 部材評価せず 部材評価せず

躯体 1≦1 1≦1

フーチング 1≦1 1≦2

シートパイル - 1≦1

1≦1 1≦2

1≦1 -

想定地震動 L1地震動 L2地震動

(立川断層)

耐震性能

シートパイルと フーチング接合部 部材の

損傷レベル

基礎の安定レベル

図 3 荷重変位曲線 0.00

0.50 1.00 1.50 2.00 2.50 3.00 3.50 4.00

0 20 40 60 80 100 躯体頂部変位120δ(mm)

⽔平震度Kh

●押込⽀持降伏地盤降伏点 Khy=2.387

δy=33.60mm

●⽴川断層地震波による応答震度 Khr=1.459

δr=12.42mm 構造物全体系の降伏点

▲引抜⽀持降伏地盤降伏点 Kh=2.452

δ=46.44mm

写真 1 施工状況(フーチング打設完了時)

土木学会第68回年次学術講演会(平成25年9月)

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参照

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