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鋼床版の疲労き裂発生パターンに関する一分析

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Academic year: 2022

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(1)

鋼床版の疲労き裂発生パターンに関する一分析

首都高速道路公団 正会員 ○神木  剛   首都高速道路技術センター 正会員  町田 文孝 首都高速道路公団 正会員  下里 哲弘   首都高速道路技術センター 正会員  澁谷  敦 首都高速道路公団 正会員  増井  隆   首都高速道路技術センター      弓削 太郎  

1.はじめに 

 鋼床版については,これまでにも疲労き裂の発生が報告されている1),2).首都高速道路においても,主に第一走 行車線の輪荷重直下位置近傍において鋼床版の疲労き裂が発生している3). 維持管理においては,定期点検時に疲 労き裂の発生を見落とさない点検手法の確立が要求される. また,補強・補修検討に際しては,十分な損傷原因の 究明を行うことが効果的な補修・補強方法へ繋がる.本稿では,首都高速道路における鋼床版の点検結果を整理し,

疲労損傷の発生位置などの統計的分析を行った. 

2.鋼床版の構造形式 

 首都高速道路における鋼床版の全径間数は,約 850 径間であ る.縦リブ形状で大別すると,トラフリブが約 500 径間, 板リ ブを含めた開断面のリブ形式(以下,バルブ等)が約 350 径間 である.首都高速道路における供用年度別径間数を図‑1 に示す.

トラフリブは S50 年頃から採用されており,供用から 10 年未満 の比較的新しい鋼床版ではトラフリブが多い.供用から 20 年以 上経過した鋼床版についてはバルブ等が多い傾向になっている. 

今回の分析は,トラフリブ

88

径間,バルブ等

134

径間の計

222

径間の点検結果をもとに実施した.

3.点検結果 

(1)疲労き裂発生部位 

  発見されたき裂の主な発生位置とき裂数を図‑2 に示す. トラフリブでは,デッキプレートと垂直補剛材の溶接 部,スリット部で損傷が多く発生している.また,バルブ等では横リブ交差部(スカラップ,スリット部),デッキ プレートと垂直補剛材の溶接部で多く発生している. 垂直補剛材とデッキプレートの溶接部は,縦リブ形式によら ず損傷が多く発生している.また,トラフリブではデッキプレートとの溶接部にき裂が発生しており,図‑3 に示す ようにデッキプレートを貫通する危険性を有しているため早期の対策が必要である. 

キーワード;鋼床版,疲労き裂,疲労き裂発生部位,発生パターン 

連 絡 先;〒100‑8930 東京都千代田区霞が関 1‑4‑1 首都高速道路公団 TEL03‑3539‑9487 

0 20 40 60 80 100 120 140 160 180

〜S40 S41〜45 S46〜50 S51〜55 S56〜60 S61〜63 H1〜5 H6〜10 H11〜

供用年度

径間

トラフリブ バルブ等

図‑1 供用年度別の鋼床版径間数 

図‑2 疲労き裂発生部位(トラフリブ,バルブ等の模式図) 

デッキプレートと垂直補剛 材の溶接部のき裂

トラフリブ:

210

箇所 バルブ等 : 51箇所

デッキプレートと縦リブの 溶接部のき裂

トラフリブ:

81

箇所 バルブ等 : 8箇所

スリット部の溶接部のき裂 トラフリブ: 95箇所 バルブ等 :

465

箇所

スカラップ部の溶接部のき裂 トラフリブ: 3箇所 バルブ等 :

121

箇所 土木学会第59回年次学術講演会(平成16年9月)

‑1085‑

1‑544

(2)

(2)疲労き裂発生部位毎の分析  1) デッキプレートと垂直補剛材の 

溶接部のき裂 

 デッキプレートと垂直補剛材の溶接部の き裂は,溶接ビード止端部のき裂が 95%

(図‑4),溶接ビード中央部のき裂が 5%

(図‑5)である.溶接ビード止端部におい て多く発生しており,デッキプレートの応 力の影響が大きい. 

2) デッキプレートとトラフリブの  溶接部のき裂 

 デッキプレートとトラフリブとの溶接部 のき裂は,進展方向によってはデッキプレ ートを貫通し走行性に影響を及ぼすことか ら最も注意が必要である.き裂位置で分類 すると,縦リブ支間中央部に発生している き裂は 60%(図‑6),横リブとの交差部に 発生しているき裂は 40%(図‑7)であり,

発生率はほぼ同一の結果となった. 

 図‑8 にリブ厚によって分類した結果を 示す.縦リブ支間中央部ではトラフリブの 板厚が厚くなると,損傷率も大きくなる傾

向がみられ,デッキプレート(12mm)とトラフリブの板厚による微妙な剛性のバランスによって損傷率が変化する 傾向が伺え,鋼床版の疲労対策の難しさが分かる.今後更に縦リブ・横リブ配置とき裂発生パターンについて分析を 行う.図‑9 にトラフリブ支間長によって分類した結果を示す.き裂とトラフリブ支間長の間に明確な相関関係は見 られなかった.これは,き裂発生原因がトラフリブ面内のデッキプレートの変形によるためであると考えられる. 

5.おわりに 

 鋼床版の疲労き裂に対して,縦リブ形式や,き裂発生位置についてデータを整理した.今後,更なる点検結果の 整理,構造データとの関係,疲労実験等により分析を進め,確実に疲労耐久性を有する補修補強方法を早期に確立 していきたい. 

参考文献;1)鋼床版の疲労,社団法人,土木学会,平成 2 年 9 月  2)鋼橋の疲労,社団法人,日本道路協会,平成 9 年 5 月 

      2)吉川ら:Uリブを用いた鋼床版の疲労損傷事例,土木学会第

57

回年次学術講演会,Ⅰ-277,

2002.9.

縦リブ支間中央部のき裂

6径間 13径間

8径間 61径間

0%

20%

40%

60%

80%

100%

6 8

リブ厚(mm)

損傷割合 損傷無し

損傷有り

縦リブ支間中央部のき裂

4径間

0径間 0径間

15径間 0径間 2径間

11径間 8径間

45径間 3径間

0%

20%

40%

60%

80%

100%

〜1500 〜2000 〜2500 〜3000 3000〜

縦リブ支間長

損傷割合

損傷無し 損傷有り

図‑4 デッキプレートと垂直補剛材の き裂(溶接止端部) 

図‑5 デッキプレートと垂直補剛材の き裂(ビード中央部) 

図‑6 トラフリブとデッキプレートの  溶接部のき裂(縦リブ支間中央部)

図‑7 トラフリブとデッキプレートの  溶接部のき裂(横リブ交差部) 

図‑3 トラフリブとデッキプレートの溶接部の  き裂パターン 

横リブ交差部のき裂

1径間 7径間

67径間 13径間

0%

20%

40%

60%

80%

100%

6 8

リブ厚(mm)

損傷割合

損傷無し 損傷有り

横リブ交差部のき裂

4径間 0径間 0径間 0径間

4径間

56径間 3径間 8径間 11径間 2径間

0%

20%

40%

60%

80%

100%

〜1500 〜2000 〜2500 〜3000 3000〜

縦リブ支間長

損傷割合 損傷無し

損傷有り

図‑8 トラフリブ厚さと損傷率の関係 

図‑9 トラフリブ支間長と損傷率の関係  土木学会第59回年次学術講演会(平成16年9月)

‑1086‑

1‑544

参照

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