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鋼床版の疲労予防策として適用された SFRC 舗装の現状と耐久性

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Academic year: 2022

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(1)

鋼床版の疲労予防策として適用された SFRC 舗装の現状と耐久性

日本建設機械化協会 施工技術総合研究所 正会員 ○小野 秀一,渡辺 真至

1.はじめに

鋼床版の疲労損傷予防策として国道357号横浜ベイブリッジ(以下,YBB)の鋼床版においては,鋼繊維 補強コンクリート(以下,SFRC)舗装が採用された

1)

.鋼床版の疲労損傷予防を目的として,SFRC 舗装が本 線に採用された事例としては我が国初である.このようなことから,YBB では供用開始後,実橋モニタリング による SFRC 舗装の健全性評価や,SFRC 舗装のひび割れ調査,さらには実橋の鋼床版を模擬した試験体を用い た移動輪荷重疲労試験による疲労挙動調査などを実施し,今後の維持管理手法の検討が行われてきた.

本稿では供用開始後約6年(平成 16 年 4 月供用開始)が経過した SFRC 舗装鋼床版の現状と,実橋鋼床版モ デル試験体を対象とした輪荷重疲労試験の概要を報告する.

2.実橋 SFRC 舗装のひび割れ調査

YBB 鋼床版では厚さ 75mm の SFRC 舗装が施工され,供用開始当初から SFRC 舗装にはひび割れが観察された.

その後,定期的に SFRC 舗装のひび割れ調査が行われている.図 1 は供用開始後約 1 年半が経過した時点(平 成 18 年 7 月)における SFRC 舗装のひび割れ状況(港外側車線)を示し,図 2 ではその調査結果を橋軸直角方 向のひび割れ分布として整理したものである.これらの図から,ひび割れの主な発生位置は,鋼床版の縦桁上 および輪荷重位置であることから,ひび割れは鋼床版の縦桁や

横桁位置に生じる負曲げ,輪荷重の繰返し載荷によって生じた ものと推定される.

これまでのひび割れ調査結果から,SFRC 舗装のひび割れの発 生パターンとして,①港外側車線に多い,②斜張橋部スパン中 央から大黒側の車線に多い,③鋼床版縦桁上に多い,④当初は 橋軸方向のひび割れが多く見られたが,橋軸直角方向にも見ら れる(横リブ上),⑤輪位置に多い,⑥ひび割れの発生や進展は 近年,収束している,などの傾向が見られる.

3.実橋モニタリング

実橋においては文献 2)に示すように,SFRC 舗装と鋼床版との 合成効果,すなわち SFRC 舗装による鋼床版の疲労対策機能の健 全性について判定するため,実橋モニタリングが行われている.

文献 2)では,供用開始後8ヶ月間において,SFRC 舗装が健全に 機能していることが示されている.

その後も平成 22 年 3 月まで,実橋モニタリングが実施されて おり,詳細は省略するが,供用開始後6年間においても,SFRC 舗装の疲労対策効果は保持されていることが確認されている.

なお,鋼床版のデッキプレートとトラフリブの溶接部につい ては,平成 22 年 2 月の代表位置における目視および超音波探傷 試験による点検の結果,鋼床版の疲労き裂は検出されていない.

4.疲労試験

実橋の SFRC 舗装のひび割れ状況や実橋モニタリング結果から,

供用後7/18調査(港外側 部分調査)

0 5 10 15 20

0

0.25 0.50.75 1

1.251.51.75 2

2.25 2.52.75 3

3.25 3.53.75 4

4.254.5

4.75 5

5.255.55.75 6

6.256.5 次の

縁石からの距離

頻度

S5 S6

S7 ST4 ST3

ST5

3×580=1740 5×580=2900 350

3600 350 350

2440 L3

350

240 1250 3500

図1

SFRC

路面の状況(ひび割れ補修済み)

図2 ひび割れ分布(大黒側港外側車線)

キーワード 鋼床版,疲労試験,鋼繊維補強コンクリート,維持管理

連絡先 〒417-0801 静岡県富士市大渕 3154 (社)日本建設機械化協会 施工技術総合研究所 TEL.0545-35-0212 土木学会第65回年次学術講演会(平成22年9月)

‑191‑

Ⅰ‑096

(2)

SFRC 舗装の破壊に至る過程を,SFRC 舗装に生じたひび割 れが亀甲状に進展した後,SFRC 舗装と鋼床版との付着が 切れて,剥離・破損に至ると想定した.ここでは,輪荷 重の繰返しによる疲労試験によって,想定した SFRC 舗装 の破壊過程の検証および疲労挙動の解明を目的として,

次の 4 段階の輪荷重疲労試験を実施した.

第1段階:SFRC 舗装、接着層ともに健全(ひび割れ無し)

第2段階:SFRC 舗装に模擬ひび割れ導入(カッターによ るスリット)、接着層は健全(接着剤塗布)

第3段階:接着層が劣化し SFRC 舗装の付着力低下を想定 して接着剤塗布無し→模擬ひび割れ導入 第4段階:SFRC の完全付着切れを模擬して境界面にビニ

ルシート挿入→模擬ひび割れ導入

輪荷重疲労試験は,図 3 に示すようにひび割れが多い 港外側車線の鋼床版を対象として,縦桁上の負曲げに着 目できるような載荷方法とした.図 4 には疲労試験状況 を示す.SFRC 舗装は実橋と同じ仕様とし,試験は,実際 のトラックタイヤを 2 軸 4 輪に配置した総重量 28 トンの 載荷装置が,距離 3.6m の範囲を往復する移動載荷方式と した.載荷回数は試験段階によって 75 万~100 万輪とし て,延べ 310 万往復(1240 万輪)の疲労試験を行った.

疲労試験の結果として,輪荷重疲労試験の各段階にお ける載荷輪直下に位置するデッキプレート(デッキ-ト ラフ溶接部近傍)の応力計測結果の履歴を図 5 に示す.

最終的には SFRC 舗装の完全付着切れ部に模擬ひび割れ を導入して破壊状態となったが,第 4 段階までの模擬ひ び割れを導入した状態や付着力が低下した状態,または これらを組み合わせた状態での疲労試験では,鋼床版の 補強効果が失われたと判断できる状態には至らなかった.

5.おわりに

供用後6年が経過した現在,SFRC 舗装にはひび割れが 見られるものの,鋼床版の疲労損傷予防としての SFRC

舗装は健全に機能し,保持されていると考えられる.今後も定期的に SFRC 舗装のひび割れ発生状況などの現 状を調査し,SFRC 補強鋼床版の維持管理要領を検討するための基礎データを蓄積していきたいと考えている.

謝辞:本検討は「一般国道 357 号横浜ベイブリッジ鋼床版舗装管理検討委員会(委員長:東京工業大学 二羽 教授)」(平成 16,17 年度開催)の審議を踏まえて実施されているものである.二羽元委員長をはじめとする 関係者の皆様には,多大なご指導,ご協力などを頂き,心から感謝の意を表する次第である.また,このよう な論文作成にご協力頂いた YBB を管理する国土交通省 横浜国道事務所の方々には深く感謝する次第である.

参考文献

文献 1):たとえば「細谷悦雄,川端道雄;鋼床版の SFRC 舗装,舗装 39-3,2004.」など

文献 2):三木 千壽,鈴木 啓悟,加納 隆史,佐々木 栄一,石田 稔,高森 博之;鋼床版の疲労への SFRC 舗 装による予防補強とその健全性モニタリング,土木学会論文集A,Vol.62,No.4,pp.950-963 (2006).

1250 3500 3500 3500 1250

(後ろ向き)

モーメント図

(イメージ)

大黒方面車線 本牧方面車線

主な着目部位

試験体とする部位

(ひび割れが多く見ら れる )

ST1 ST2 ST3 ST4 ST5

ST-3 ST-4 ST-5

R1 R2 R3 R4 R5 R6 R7 R8 R9 R10 A-A

544 1750

340 300 250 300 2400

300 1500 300

港外側車線 港内側車線

図3 疲労試験の着目部

実橋の断面

試験体の断面

総重量

28tf (軸重 14tf)

図4 疲労試験状況

R9 R10 R7 R8

R6

ST4 ST5

SFRC

鋼床版試験体

総重量

28tf

移動

3.6m

ST4 R7 R6

載荷輪

0 10 20 30 40 50 60

0 50 100 150 200 250 300 350

累積載荷回数(万往復)

応力振幅(MPa) 付着力低下

ひび割れ導入 無補強(試験体)

健全 無補強(FEM)

健全(FEM)

完全付着切れ

ひび割れ導入

ひび割れ導入 破壊

1

段階

2

段階

3

段階

4段階

図5 鋼床版の応力測定結果 土木学会第65回年次学術講演会(平成22年9月)

‑192‑

Ⅰ‑096

参照

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