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道路橋鋼コンクリート合成床版のずれ止めに作用する水平せん断力に関する解析的検討

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Academic year: 2021

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*12 種正会員 博士(工学) 近畿大学 理工学部 社会環境 工学科 教授 (〒577-8502 東大阪市小若江 3-4-1) *22 種正会員 博士(工学) (一社)日本橋梁建設協会 (〒105-0003 東京都港区西新橋 1-6-11)

道路橋鋼コンクリート合成床版のずれ止めに

作用する水平せん断力に関する解析的検討

ANALYTICAL STUDY ON HORIZONTAL SHEAR FORCE ACTING ON SHEAR CONNECTORS IN STEEL-CONCRETE COMPOSITE BRIDGE DECKS

東山 浩士*1 大久保 宣人*2 春日井 俊博*2 久保 圭吾*2

Hiroshi HIGASHIYAMA*1 Nobuhito OKUBO*2 Toshihiro KASUGAI*2 Keigo KUBO*2

1.はじめに 道路橋床版のひとつとして,これまで多種類の 鋼コンクリート合成床版(以下,合成床版)が開 発され,その耐荷性および疲労耐久性の検証がな されてきた[1].合成床版では,鋼板とコンクリー トとの一体化を図るため,鋼板上に溶接された頭 付きスタッドや孔あき鋼板ジベルなどのずれ止め に対する疲労耐久性の照査がなされる.すなわち, 合成床版においては,ずれ止めに作用する水平せ ん断力を適切に評価することが求められる. これまでの合成床版は,松井ら[2]の研究成果を 基に取りまとめられた,鋼構造物設計指針 PART B[3](以下,PART B)におけるずれ止めの設計に 用いる版のせん断力を基本にして設計されてきた 経緯がある.PART B には,合成床版に用いられる ずれ止めに作用する水平せん断力を算出するため に,版に作用するせん断力として次式が示されて いる. Vd = k (0.011L+0.747) P1) ここで,Vdは版に作用するせん断力 (kN/m),k はずれ止めの形式によって決定される作用荷重の 分担率(頭付きスタッドの場合は0.5,十分剛なず れ止めの場合1.0),L は床版支間長 (m),P は T 荷重の片側荷重 (100kN)である. 式(1)の導出における荷重は,文献[2]に記載 のように,疲労に対する照査であることから,荷 重列の再現頻度を考慮して床版支間長2m で 1 輪, 3m~5m で 1 軸,6m~8m で 1 軸と荷重を半減し た1 輪を幅員方向へ載荷した状態としている. しかし,2017 年に改訂された道路橋示方書[4] (以下,道示)では,合成床版の設計に関する規 定が盛り込まれ,ずれ止めに作用する水平せん断 力の算出においては,道示に規定されるT 荷重(衝 撃を含む)を満載することになり,PART B にて想 定されている荷重状態との間に差異が生ずること になった. そこで本研究では,PART B と同様に,道示に規 定されるT 荷重を合成床版上に満載した際の版に 作用する橋軸直角方向のせん断力を薄板理論に基 づく弾性有限要素解析により完全合成の状態を仮 定して求めることにした.また,現状を想定した 主桁上フランジ幅を基にケーススタディを行い, ABSTRACT Horizontal shear force acting on shear connectors in steel-concrete composite bridge decks has been basically designed by using Design Code for Steel Structures PART B so far. However, Specifications for Highway Bridges were revised in 2017 and the design load condition became different between them. In this study, shear force was analyzed by using elastic FE programs when T-type loads specified in the Specifications for Highway Bridges were applied on steel-concrete composite bridge decks. From the analytical results, the maximum shear force was presented at each loading position. Furthermore, from case studies, sharing ratio of the horizontal shear force acting on headed stud connectors was determined. Keywords: 鋼コンクリート合成床版,ずれ止め,水平せん断力,ケーススタディ

Steel-concrete composite decks, Shear connectors, Horizontal shear force, Case studies

第27巻第105号(2020年3月)

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3/6 (3) ここで,Vhは頭付きスタッド 1 本あたりの水平 せん断力(kN/本),Vdは版に作用するせん断力 (kN/m),G は合成床版の中立軸(全断面有効)に 関する底鋼板の断面1 次モーメント(m3/m),I は 合成床版の中立軸(全断面有効)に関する断面 2 次モーメント(m4/m),p は考えるせん断方向のス タッド間隔(m),nsは考えるせん断力と直角方向 の単位幅あたりのスタッド本数である. PART B の式(1)では,解析から得られた最大 せん断力に対して,安全余裕量として床版支間長 2m に対して 20%,12m に対して 0%となるように 設定されている.ここで,道示に規定されている 曲げモーメント式は,コンクリート系床版におけ る施工誤差から設定される安全余裕量が見込まれ ていることから,これと同様の考えに基づき,本 研究では,合成床版のコンクリート厚の施工誤差 を-10mm(危険側)[4]として,式(3)に及ぼす 影響を考慮することにした.すなわち,床版支間 長2m に対して 10%,床版支間長 8m に対して 4% と設定し,安全余裕量を次式で表すことにした[8]. γ s = -0.01L+1.124) また,本解析結果に衝撃の影響を考慮した次式 を版に作用する設計せん断力とすることができる. V d = γs(1+i)・k・Vs (5) ここで,Vdは版に作用する設計せん断力(kN/m),

γ

sは安全余裕量,i は衝撃係数,Vsは図3 に示す版 に作用するせん断力(kN/m),k は作用荷重の分担 (a) 床版支間長 2m (b) 床版支間長 3m (c) 床版支間長 4m (d) 床版支間長 5m (e) 床版支間長 6m (f) 床版支間長 7m (g) 床版支間長 8m 図3 版に作用するせん断力と支持辺からの距離(着目点)の関係 Vh=VdI𝑛𝑛𝑛𝑛p 𝑠𝑠𝑠𝑠 y = 16.99 x2- 45.87 x + 69.20 R² = 1.00 0 20 40 60 80 100 0.0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0 1.2 せ ん 断 力 Vs (k N/ m ) 支持辺からの距離x (m) y = 41.50 x2- 79.71 x + 83.15 R² = 0.99 0 20 40 60 80 100 0.0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0 1.2 せ ん 断 力 Vs (k N/ m ) 支持辺からの距離x (m) y = 33.17 x2- 68.09 x + 86.06 R² = 1.00 0 20 40 60 80 100 0.0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0 1.2 せ ん 断 力 Vs (k N/ m ) 支持辺からの距離x (m) y = 30.62 x2- 65.92 x + 96.69 R² = 1.00 0 20 40 60 80 100 0 0.2 0.4 0.6 0.8 1 1.2 せ ん 断 力 Vs (k N/ m ) 支持辺からの距離x (m) y = 28.00 x2- 60.00 x + 97.67 R² = 1.00 0 20 40 60 80 100 0 0.2 0.4 0.6 0.8 1 1.2 せ ん 断 力 Vs (k N/ m ) 支持辺からの距離 x (m) y = 24.13 x2- 55.33 x + 97.87 R² = 1.00 0 20 40 60 80 100 0 0.2 0.4 0.6 0.8 1 1.2 せ ん 断 力 Vs (k N/ m ) 支持辺からの距離 x (m) y = 25.64 x2- 56.27 x + 99.59 R² = 1.00 0 20 40 60 80 100 0 0.2 0.4 0.6 0.8 1 1.2 せ ん 断 力 Vs (k N/ m ) 支持辺からの距離x (m) 2/6 得られたせん断力とPART B の式(1)との比較を 行った.さらに,頭付きスタッドを想定したずれ 止めをばね要素に置き換え,コンクリート版と底 鋼板を層状にモデル化した弾性有限要素解析を行 い,ずれ止めの剛性を考慮した作用荷重(水平せ ん断力)の分担率k を検討した. 2.版に作用するせん断力 2.1 解析モデル 本解析では,2 辺単純支持された 1 方向版(辺 長比1:3)をモデルに,コンクリート版と底鋼板が 完全合成の状態にあると仮定した一様な版剛性 (等方性)を用いることにした.底鋼板とコンク リート版のヤング係数比は,PART B と同様に n = 10 とした.床版支間長は,道示に規定されている 2m~8m の範囲とし,各床版支間長における合成 床版の床版厚は,日本橋梁建設協会の合成床版設 計・施工の手引き[5]や鋼コンクリート合成床版設 計・施工指針(案)[6]に示されている式(2)か ら算出される値とした. h = 25L+110 (2) ここで,h は合成床版の最小厚 (mm),L は床 版支間長 (m)である.ただし,コンクリートの最 小厚を150mm 以上とし,底鋼板の最小厚を考慮し た合成床版の最小厚を160mm 以上とする. なお,ここでは底鋼板の板厚を一般的な8mm と した.解析に用いた合成床版の断面寸法を表1 に 示す. 2.2 載荷方法 荷重の載荷方法は,道示に従って,図1 に示す T 荷重(後輪荷重のみを考慮)を幅員方向に満載 することにした.ここで,まずは衝撃を含まない 荷重を載荷する.載荷面積は,図2 に示すように, 舗装を無視し,200mm×500mm を床版厚の 1/2 の 位置まで45°に拡張した寸法とした.また,本解 析では,版に作用するせん断力を求めることを目 的としていることから,実橋における合成床版の 一般的なハンチ寸法である幅300mm,高さ 100mm を想定した.さらに,荷重列は左側支持辺(主桁 ウェブ中心)からx = 0.3m の位置を起点として右 方向へ0.1m ずつ移動させた.なお,版に作用する せん断力は,支持辺に近づくほど大きくなること から[7],着目点(設計断面)は両側支持辺のハン チ付け根とした. 2.3 解析結果 ここでは,各床版支間長に対する版に作用する 表1 合成床版の断面寸法 床版支間長 L (m) 床版厚 h (mm) コンクリート厚 hc (mm) 底鋼板厚 hs (mm) 2.0 160 152 8 3.0 190 182 8 4.0 210 202 8 5.0 240 232 8 6.0 260 252 8 7.0 290 282 8 8.0 310 302 8 図1 T 荷重 2 載荷方法 せん断力と支持辺から最も近い輪荷重までの距離 x の関係を図 3 に示す.床版支間長 2m~4m では, 左側支持辺に近い位置の輪荷重において最大せん 断力が発生した.一方,床版支間長5m~8m では, 右側支持辺に近い位置の輪荷重において最大せん 断力が発生した.これはT 荷重を幅員方向に満載 して移動させた際の荷重列の違いによるものであ る.ただし,図3 は混乱を避けるため,すべて左 側支持辺を起点とした表現に統一している.各床 版支間長について,版に作用するせん断力と支持 辺からの距離の関係を2 次関数により近似した式 を図中に示した.これにより,上フランジ幅とハ ンチ幅の関係から想定される設計断面での橋軸直 角方向の最大せん断力を求めることができる. さらに,ずれ止めに頭付きスタッドを用いた場 合,頭付きスタッド1 本あたりに作用する水平せ ん断力は次式により算出できる[3]. 500 500 20 0 1750 2750 500 500 100kN 100kN 500 x 300 bf 100 h h/2 45° 着目断面 起点

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3/6 (3) ここで,Vhは頭付きスタッド 1 本あたりの水平 せん断力(kN/本),Vdは版に作用するせん断力 (kN/m),G は合成床版の中立軸(全断面有効)に 関する底鋼板の断面1 次モーメント(m3/m),I は 合成床版の中立軸(全断面有効)に関する断面 2 次モーメント(m4/m),p は考えるせん断方向のス タッド間隔(m),nsは考えるせん断力と直角方向 の単位幅あたりのスタッド本数である. PART B の式(1)では,解析から得られた最大 せん断力に対して,安全余裕量として床版支間長 2m に対して 20%,12m に対して 0%となるように 設定されている.ここで,道示に規定されている 曲げモーメント式は,コンクリート系床版におけ る施工誤差から設定される安全余裕量が見込まれ ていることから,これと同様の考えに基づき,本 研究では,合成床版のコンクリート厚の施工誤差 を-10mm(危険側)[4]として,式(3)に及ぼす 影響を考慮することにした.すなわち,床版支間 長2m に対して 10%,床版支間長 8m に対して 4% と設定し,安全余裕量を次式で表すことにした[8]. γ s = -0.01L+1.124) また,本解析結果に衝撃の影響を考慮した次式 を版に作用する設計せん断力とすることができる. V d = γs(1+i)・k・Vs (5) ここで,Vdは版に作用する設計せん断力(kN/m),

γ

sは安全余裕量,i は衝撃係数,Vsは図3 に示す版 に作用するせん断力(kN/m),k は作用荷重の分担 (a) 床版支間長 2m (b) 床版支間長 3m (c) 床版支間長 4m (d) 床版支間長 5m (e) 床版支間長 6m (f) 床版支間長 7m (g) 床版支間長 8m 図3 版に作用するせん断力と支持辺からの距離(着目点)の関係 Vh=VdI𝑛𝑛𝑛𝑛p 𝑠𝑠𝑠𝑠 y = 16.99 x2- 45.87 x + 69.20 R² = 1.00 0 20 40 60 80 100 0.0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0 1.2 せ ん 断 力 Vs (k N/ m ) 支持辺からの距離x (m) y = 41.50 x2- 79.71 x + 83.15 R² = 0.99 0 20 40 60 80 100 0.0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0 1.2 せ ん 断 力 Vs (k N/ m ) 支持辺からの距離x (m) y = 33.17 x2- 68.09 x + 86.06 R² = 1.00 0 20 40 60 80 100 0.0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0 1.2 せ ん 断 力 Vs (k N/ m ) 支持辺からの距離x (m) y = 30.62 x2- 65.92 x + 96.69 R² = 1.00 0 20 40 60 80 100 0 0.2 0.4 0.6 0.8 1 1.2 せ ん 断 力 Vs (k N/ m ) 支持辺からの距離x (m) y = 28.00 x2- 60.00 x + 97.67 R² = 1.00 0 20 40 60 80 100 0 0.2 0.4 0.6 0.8 1 1.2 せ ん 断 力 Vs (k N/ m ) 支持辺からの距離 x (m) y = 24.13 x2- 55.33 x + 97.87 R² = 1.00 0 20 40 60 80 100 0 0.2 0.4 0.6 0.8 1 1.2 せ ん 断 力 Vs (k N/ m ) 支持辺からの距離 x (m) y = 25.64 x2- 56.27 x + 99.59 R² = 1.00 0 20 40 60 80 100 0 0.2 0.4 0.6 0.8 1 1.2 せ ん 断 力 Vs (k N/ m ) 支持辺からの距離x (m) 2/6 得られたせん断力とPART B の式(1)との比較を 行った.さらに,頭付きスタッドを想定したずれ 止めをばね要素に置き換え,コンクリート版と底 鋼板を層状にモデル化した弾性有限要素解析を行 い,ずれ止めの剛性を考慮した作用荷重(水平せ ん断力)の分担率k を検討した. 2.版に作用するせん断力 2.1 解析モデル 本解析では,2 辺単純支持された 1 方向版(辺 長比1:3)をモデルに,コンクリート版と底鋼板が 完全合成の状態にあると仮定した一様な版剛性 (等方性)を用いることにした.底鋼板とコンク リート版のヤング係数比は,PART B と同様に n = 10 とした.床版支間長は,道示に規定されている 2m~8m の範囲とし,各床版支間長における合成 床版の床版厚は,日本橋梁建設協会の合成床版設 計・施工の手引き[5]や鋼コンクリート合成床版設 計・施工指針(案)[6]に示されている式(2)か ら算出される値とした. h = 25L+110 (2) ここで,h は合成床版の最小厚 (mm),L は床 版支間長 (m)である.ただし,コンクリートの最 小厚を150mm 以上とし,底鋼板の最小厚を考慮し た合成床版の最小厚を160mm 以上とする. なお,ここでは底鋼板の板厚を一般的な8mm と した.解析に用いた合成床版の断面寸法を表1 に 示す. 2.2 載荷方法 荷重の載荷方法は,道示に従って,図1 に示す T 荷重(後輪荷重のみを考慮)を幅員方向に満載 することにした.ここで,まずは衝撃を含まない 荷重を載荷する.載荷面積は,図2 に示すように, 舗装を無視し,200mm×500mm を床版厚の 1/2 の 位置まで45°に拡張した寸法とした.また,本解 析では,版に作用するせん断力を求めることを目 的としていることから,実橋における合成床版の 一般的なハンチ寸法である幅300mm,高さ 100mm を想定した.さらに,荷重列は左側支持辺(主桁 ウェブ中心)からx = 0.3m の位置を起点として右 方向へ0.1m ずつ移動させた.なお,版に作用する せん断力は,支持辺に近づくほど大きくなること から[7],着目点(設計断面)は両側支持辺のハン チ付け根とした. 2.3 解析結果 ここでは,各床版支間長に対する版に作用する 表1 合成床版の断面寸法 床版支間長 L (m) 床版厚 h (mm) コンクリート厚 hc (mm) 底鋼板厚 hs (mm) 2.0 160 152 8 3.0 190 182 8 4.0 210 202 8 5.0 240 232 8 6.0 260 252 8 7.0 290 282 8 8.0 310 302 8 図1 T 荷重 2 載荷方法 せん断力と支持辺から最も近い輪荷重までの距離 x の関係を図 3 に示す.床版支間長 2m~4m では, 左側支持辺に近い位置の輪荷重において最大せん 断力が発生した.一方,床版支間長5m~8m では, 右側支持辺に近い位置の輪荷重において最大せん 断力が発生した.これはT 荷重を幅員方向に満載 して移動させた際の荷重列の違いによるものであ る.ただし,図3 は混乱を避けるため,すべて左 側支持辺を起点とした表現に統一している.各床 版支間長について,版に作用するせん断力と支持 辺からの距離の関係を2 次関数により近似した式 を図中に示した.これにより,上フランジ幅とハ ンチ幅の関係から想定される設計断面での橋軸直 角方向の最大せん断力を求めることができる. さらに,ずれ止めに頭付きスタッドを用いた場 合,頭付きスタッド1 本あたりに作用する水平せ ん断力は次式により算出できる[3]. 500 500 20 0 1750 2750 500 500 100kN 100kN 500 x 300 bf 100 h h/2 45° 着目断面 起点 第27巻第105号(2020年3月)

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4/6 率である. 式(5)を式(3)に代入することにより,頭付 きスタッド1 本あたりの設計水平せん断力が求ま る. 3. ケーススタディ 版に作用する橋軸直角方向のせん断力は,2.3 に述べたように,支持辺に近づくほど大きくなる ことから,主桁上フランジ幅およびハンチ幅によ り,着目点が異なるため,ずれ止めの設計に用い る版に作用するせん断力は,上フランジ幅および ハンチ幅を考慮して設定する必要がある.そこで 本章では,ケーススタディとして,表2 に示す鋼 橋少数主桁橋の上フランジ幅を想定した際のずれ 止めに作用する水平せん断力について検討する. なお,ここでのハンチ幅は図2 に示した 300mm と する. 3.1 版に作用する設計せん断力 3 に示した各床版支間長における版に作用す るせん断力は,上フランジ幅の1/2 にハンチ幅を 加えた値をx とし,図 3 中の近似式から算出する ことができる.また,算出されたせん断力を式(5) に代入することにより,衝撃係数と安全余裕量を 考慮した表2 に示す版に作用する設計せん断力が 求まる.これら版に作用する設計せん断力とPART B に示されている式(1)との比較を図 4 に示す. ここで,式(1)および式(5)のずれ止めの形式 によって決定される作用荷重の分担率k は 1.0 と している.これについては後述する. 図4 から,床版支間長 2m~4m において,設計 せん断力はPART B に対して 4%~9%増と比較的 近い値であるが,床版支間長5mを越える範囲は, PART B を大きく上回る値となっている.上述した ように,PART B では,床版支間長 2m で 1 輪,3m5m で 1 軸,これを越える床版支間長で 1 軸と荷 重を半減した1 軸が幅員方向に載荷されている[2]. 本研究では,道示に準拠したT 荷重を幅員方向に 満載していることから,本ケーススタディで想定 した上フランジ幅およびハンチ幅から,載荷状態 は床版支間長2m で 1 輪,3m および 4m で 1 軸, 5m で 1 軸+1 輪,6m で 2 軸,7m および 8m で 2 軸+1 輪となる.これら荷重列の影響により,PART B との差異が大きくなっている. 3.2 頭付きスタッドに作用するせん断応力度 次に,ずれ止めに頭付きスタッドを用いた際の 作用荷重の分担率k を求めるため,合成床版のコ 2 ケーススタディの条件設定 床版支間長 L (m) 上フランジ幅 bf (mm) 設計せん断力 Vd (kN/m) 2.0 270 79.9 3.0 400 80.6 4.0 530 86.1 5.0 670 98.1 6.0 800 99.8 7.0 875 99.6 8.0 950 99.8 図4 版に作用するせん断力の比較 ンクリート版と底鋼板をシェル要素により層状化 し,主桁ウェブ中心を支点とした2 辺単純支持の 1 方向版(辺長比 1:3)として 3 次元弾性有限要素 解析を行った.ただし,底鋼板とコンクリート版 のヤング係数比はn = 10 である.また,頭付きス タッドはばねによってモデル化することでずれ剛 性を考慮した不完全合成時のせん断力を算出する ことにした.具体的には,図 5(a)に示すように, コンクリート版と底鋼板のシェル要素間には,頭 付きスタッドの位置において,橋軸方向および橋 軸直角方向に節点ばね要素を設定するとともに, 鉛直方向は剛体要素を設定した.なお,本解析の 再現性については,PART B のせん断応力度との比 較により,床版支間長2m~8m の平均で 10%程度 の差異であった. 頭付きスタッドの軸径は合成床版に用いられる 一般的なφ16mm あるいはφ19mm を,配置間隔 は橋軸方向および橋軸直角方向ともに 250mm あ るいは200mm を想定した.また,ばね要素のばね 定数は,既往の研究[9, 10]を参考に,押抜きせん 断試験における終局耐力の1/3 に相当する荷重レ ベルのばね定数(1 本あたり)として,頭付きス タッドφ16mm は 2.11×105N/mm,φ19mm は 2.50 0 20 40 60 80 100 120 0 2 4 6 8 10 せ ん 断 力 Vd (k N/ m ) 床版支間長 L (m) PART B 本研究 5/6 (a) 層状化した解析モデル (b) 着目する頭付きスタッドと載荷方法 図5 層状化した解析モデルと載荷方法 ×105N/mm とした.その際のコンクリートのヤン グ係数は道示に規定されている設計基準強度 30N/mm2に応じた28kN/mm2を用いた.ただし, 薄い底鋼板上に溶接された頭付きスタッドのずれ 剛性については今後の検討課題としたい. 荷重の載荷方法は,T 荷重を幅員方向に満載し た状態で,図 5(b)に示すハンチ付け根に位置する 頭付きスタッドに作用する水平せん断力が最大と なるように満載した荷重列を左側支持辺から右方 向へ0.1m ずつ移動した.なお,載荷面積はコンク リート版厚の1/2 の位置まで 45°に拡張した寸法 とした. 解析結果(衝撃係数と安全余裕量を考慮)を図 6~図 9 に示す.図中には,頭付きスタッドに作用 する水平せん断力を頭付きスタッドの軸部の断面 積で除した完全合成時のせん断応力度を合わせて 示す.いずれのケースにおいても,完全合成時の せん断応力度は床版支間長の増大とともに低下す るが,不完全合成時のせん断応力度の変化は比較 的小さい.これらの傾向はPART B の結果と同様 図6 スタッド径 φ16mm-250mm 配置 7 スタッド径 φ19mm-250mm 配置 8 スタッド径 φ16mm-200mm 配置 9 スタッド径 φ19mm-200mm 配置 である. 3.3 作用荷重の分担率 頭付きスタッドを想定した上記の完全合成時お コンクリート版 底鋼板 剛体要素 ばね要素 コンクリート版中央 コンクリート版中央 底鋼板中央 着目する頭付きスタッド 載荷幅 0 20 40 60 80 100 120 140 160 180 0 2 4 6 8 10 せ ん 断 応 力 度 τ (N /m m 2) 床版支間長 L (m) 完全合成 不完全合成 0 20 40 60 80 100 120 140 0 2 4 6 8 10 せ ん 断 応 力 度 τ (N /m m 2) 床版支間長 L (m) 完全合成 不完全合成 0 20 40 60 80 100 120 0 2 4 6 8 10 せ ん 断 応 力 度 τ (N /m m 2) 床版支間長 L (m) 完全合成 不完全合成 0 20 40 60 80 100 0 2 4 6 8 10 せ ん 断 応 力 度 τ (N /m m 2) 床版支間長 L (m) 完全合成 不完全合成

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4/6 率である. 式(5)を式(3)に代入することにより,頭付 きスタッド1 本あたりの設計水平せん断力が求ま る. 3. ケーススタディ 版に作用する橋軸直角方向のせん断力は,2.3 に述べたように,支持辺に近づくほど大きくなる ことから,主桁上フランジ幅およびハンチ幅によ り,着目点が異なるため,ずれ止めの設計に用い る版に作用するせん断力は,上フランジ幅および ハンチ幅を考慮して設定する必要がある.そこで 本章では,ケーススタディとして,表2 に示す鋼 橋少数主桁橋の上フランジ幅を想定した際のずれ 止めに作用する水平せん断力について検討する. なお,ここでのハンチ幅は図2 に示した 300mm と する. 3.1 版に作用する設計せん断力 3 に示した各床版支間長における版に作用す るせん断力は,上フランジ幅の1/2 にハンチ幅を 加えた値をx とし,図 3 中の近似式から算出する ことができる.また,算出されたせん断力を式(5) に代入することにより,衝撃係数と安全余裕量を 考慮した表2 に示す版に作用する設計せん断力が 求まる.これら版に作用する設計せん断力とPART B に示されている式(1)との比較を図 4 に示す. ここで,式(1)および式(5)のずれ止めの形式 によって決定される作用荷重の分担率k は 1.0 と している.これについては後述する. 図4 から,床版支間長 2m~4m において,設計 せん断力はPART B に対して 4%~9%増と比較的 近い値であるが,床版支間長5mを越える範囲は, PART B を大きく上回る値となっている.上述した ように,PART B では,床版支間長 2m で 1 輪,3m5m で 1 軸,これを越える床版支間長で 1 軸と荷 重を半減した1 軸が幅員方向に載荷されている[2]. 本研究では,道示に準拠したT 荷重を幅員方向に 満載していることから,本ケーススタディで想定 した上フランジ幅およびハンチ幅から,載荷状態 は床版支間長2m で 1 輪,3m および 4m で 1 軸, 5m で 1 軸+1 輪,6m で 2 軸,7m および 8m で 2 軸+1 輪となる.これら荷重列の影響により,PART B との差異が大きくなっている. 3.2 頭付きスタッドに作用するせん断応力度 次に,ずれ止めに頭付きスタッドを用いた際の 作用荷重の分担率k を求めるため,合成床版のコ 2 ケーススタディの条件設定 床版支間長 L (m) 上フランジ幅 bf (mm) 設計せん断力 Vd (kN/m) 2.0 270 79.9 3.0 400 80.6 4.0 530 86.1 5.0 670 98.1 6.0 800 99.8 7.0 875 99.6 8.0 950 99.8 図4 版に作用するせん断力の比較 ンクリート版と底鋼板をシェル要素により層状化 し,主桁ウェブ中心を支点とした2 辺単純支持の 1 方向版(辺長比 1:3)として 3 次元弾性有限要素 解析を行った.ただし,底鋼板とコンクリート版 のヤング係数比はn = 10 である.また,頭付きス タッドはばねによってモデル化することでずれ剛 性を考慮した不完全合成時のせん断力を算出する ことにした.具体的には,図 5(a)に示すように, コンクリート版と底鋼板のシェル要素間には,頭 付きスタッドの位置において,橋軸方向および橋 軸直角方向に節点ばね要素を設定するとともに, 鉛直方向は剛体要素を設定した.なお,本解析の 再現性については,PART B のせん断応力度との比 較により,床版支間長2m~8m の平均で 10%程度 の差異であった. 頭付きスタッドの軸径は合成床版に用いられる 一般的なφ16mm あるいはφ19mm を,配置間隔 は橋軸方向および橋軸直角方向ともに 250mm あ るいは200mm を想定した.また,ばね要素のばね 定数は,既往の研究[9, 10]を参考に,押抜きせん 断試験における終局耐力の1/3 に相当する荷重レ ベルのばね定数(1 本あたり)として,頭付きス タッドφ16mm は 2.11×105N/mm,φ19mm は 2.50 0 20 40 60 80 100 120 0 2 4 6 8 10 せ ん 断 力 Vd (k N/ m ) 床版支間長 L (m) PART B 本研究 5/6 (a) 層状化した解析モデル (b) 着目する頭付きスタッドと載荷方法 図5 層状化した解析モデルと載荷方法 ×105N/mm とした.その際のコンクリートのヤン グ係数は道示に規定されている設計基準強度 30N/mm2に応じた28kN/mm2を用いた.ただし, 薄い底鋼板上に溶接された頭付きスタッドのずれ 剛性については今後の検討課題としたい. 荷重の載荷方法は,T 荷重を幅員方向に満載し た状態で,図 5(b)に示すハンチ付け根に位置する 頭付きスタッドに作用する水平せん断力が最大と なるように満載した荷重列を左側支持辺から右方 向へ0.1m ずつ移動した.なお,載荷面積はコンク リート版厚の1/2 の位置まで 45°に拡張した寸法 とした. 解析結果(衝撃係数と安全余裕量を考慮)を図 6~図 9 に示す.図中には,頭付きスタッドに作用 する水平せん断力を頭付きスタッドの軸部の断面 積で除した完全合成時のせん断応力度を合わせて 示す.いずれのケースにおいても,完全合成時の せん断応力度は床版支間長の増大とともに低下す るが,不完全合成時のせん断応力度の変化は比較 的小さい.これらの傾向はPART B の結果と同様 図6 スタッド径 φ16mm-250mm 配置 7 スタッド径 φ19mm-250mm 配置 8 スタッド径 φ16mm-200mm 配置 9 スタッド径 φ19mm-200mm 配置 である. 3.3 作用荷重の分担率 頭付きスタッドを想定した上記の完全合成時お コンクリート版 底鋼板 剛体要素 ばね要素 コンクリート版中央 コンクリート版中央 底鋼板中央 着目する頭付きスタッド 載荷幅 0 20 40 60 80 100 120 140 160 180 0 2 4 6 8 10 せ ん 断 応 力 度 τ (N /m m 2) 床版支間長 L (m) 完全合成 不完全合成 0 20 40 60 80 100 120 140 0 2 4 6 8 10 せ ん 断 応 力 度 τ (N /m m 2) 床版支間長 L (m) 完全合成 不完全合成 0 20 40 60 80 100 120 0 2 4 6 8 10 せ ん 断 応 力 度 τ (N /m m 2) 床版支間長 L (m) 完全合成 不完全合成 0 20 40 60 80 100 0 2 4 6 8 10 せ ん 断 応 力 度 τ (N /m m 2) 床版支間長 L (m) 完全合成 不完全合成 第27巻第105号(2020年3月)

(6)

6/6 よび不完全合成時の解析結果から,両者の比を作 用荷重の分担率k とすると,図 10 および図 11 の ように表される.頭付きスタッドの軸径の差異に よる分担率の違いは小さく,PART B では分担率が 一定値(=0.5)となっているが,本研究では床版 支間長とほぼ線形関係である.ただし,いずれの 配置間隔においても分担率は床版支間長7m 前後 から一定値に収束する結果となった.この理由と して,本解析ケースにおいては,図4 に示したよ うに,完全合成時の床版支間長5m からのせん断 力の増大はほとんどなく,せん断応力度は式(3) に示すように断面諸量の違いによるものである. また,それらせん断応力度は不完全合成時のせん 断応力度の変化傾向に近づくためであるといえる. そこで,図中の式は,配置間隔250mm では 7m ま で,200mm では 6m までの範囲で直線近似したも のである. 最後に,本ケーススタディの結果は表1 および2 に示した条件に対するものであり,頭付きス タッドの配置間隔やずれ止めの種類,補剛材等に より,ずれ止めに作用する水平せん断力は変化す ると考えられるため,分担率k については合成床 版の構造特性を考慮した検討が必要であることを 記しておく. 図10 250mm 配置に対する分担率 11 200mm 配置に対する分担率 4. まとめ 本研究では,T 荷重を満載した際の鋼コンクリ ート合成床版に作用する橋軸直角方向のせん断力 を完全合成と仮定した解析により求め,せん断力 と支持辺からの距離の関係を示した.その結果, 床版支間長によっては,載荷状態の違いからPART B の設計せん断力を大きく上回る結果となった. 次に,頭付きスタッドをばね要素でモデル化し, 不完全合成を仮定した解析から,頭付きスタッド に作用するせん断応力度を求め,完全合成時と比 較した.その結果,分担率は床版支間長とほぼ線 形関係にあり,頭付きスタッドの軸径の違いによ る影響は小さかった. 参考文献 [1] 建設省土木研究所:道路橋床版の輪荷重走行 試験機における疲労耐久性評価手法の開発に 関する共同研究報告書,第221 号,1999. [2] 松井繁之,文 兌景,池田秀夫,武田芳久: 限界状態設計法に基づく鋼・コンクリート合成 床版設計指針(草案)について,第3 回合成構 造の活用に関するシンポジウム講演論文集, pp.13-18,1995. [3] 土木学会:鋼構造物設計指針 PART B 合成構 造物,鋼構造シリーズ⑨B,1997.9. [4] 日本道路協会:道路橋示方書・同解説 Ⅱ鋼 橋・鋼部材編,2017. [5] 日本橋梁建設協会:合成床版の設計・施工の 手引き,2005. [6] 土木学会:鋼コンクリート合成床版の設計・ 施工指針(案),複合構造シリーズ07,2016.1. [7] 阪神高速道路公団:道路橋 RC 床版のひびわれ 損傷と耐久性,1990. [8] 大久保宣人,前川 勉,春日井俊博,久保圭 吾,東山浩士:鋼コンクリート合成床版の設計 に関する一提案,橋梁と基礎,Vol.52,pp.15-20, 2018.12. [9] 中井 博,袴田文雄,酒造敏廣,山本竜太郎: スタッドの押し抜きせん断試験とバネ定数に ついて,土木学会関西支部年次学術講演会講演 概要集,I-37,1987. [10] 大谷恭弘,栄 真堂,堀江良太:頭付きスタ ッドのずれ剛性評価法について,土木学会第 72 回年次学術講演会,CS5-034,2017. ( 年 月 日原稿受理) 0.0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0 1.2 0 2 4 6 8 10 分 担 率 k 床版支間長 L (m) φ16mm φ19mm y=0.0712x+0.2266 0.0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0 1.2 0 2 4 6 8 10 分 担 率 k 床版支間長 L (m) φ16mm φ19mm y=0.0955x+0.2840 (2019 年 9 月 6 日原稿受理)

参照

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