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自己相関ロックインサーモグラフィによる鋼床版の疲労き裂測定

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Academic year: 2022

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自己相関ロックインサーモグラフィによる鋼床版の疲労き裂測定

~ 疲労き裂検出に及ぼす影響因子の検討 ~

大阪大学 正会員 阪上 隆, 正会員 鎌田 敏郎 大阪大学 学生会員 和泉 遊以 国総研 正会員 玉越 隆史, 正会員 石尾 真理 大阪工大 正会員 松井 繁之

1.緒 言 経年鋼橋梁の構造健全性を保証するためには,疲労き裂の発生・進展を的確にモニタリングす ることが重要となる.著者らはこれまでに,走行車両による輪荷重負荷の下での鋼床版の疲労き裂先端近傍の 応力分布を,自己相関ロックイン赤外線サーモグラフィを用いて高精度計測することにより,疲労き裂を遠隔 から検出する,新しい非破壊検査技術を開発した.本報では,自己相関ロックイン赤外線サーモグラフィ法を,

道路橋鋼床版に発生・進展する疲労き裂検出に適用するとともに,き裂検出性に及ぼす諸因子について検討し た結果を示す.なお,本研究の一部は,国土交通省「道路政策の質の向上に資する技術研究開発」により実施 したものである.

2.自己相関ロックイン赤外線サーモグラフィ法 き裂を含む構造物に載荷した時には,き裂による特異応 力場のため,き裂先端付近の熱弾性温度変動は周辺部に比べて局所的に大きくなる.この特徴的な温度変動分 布を赤外線サーモグラフィにより計測し,き裂による特異応力場を可視化することにより,き裂の検出および 寸法計測を行うことができる.しかしながら,温度変動は赤外線計測ノイズと同程度の微小なものであるため,

赤外線計測データと応力変動に関する参照信号とのロックイン相関処理を行うことによりノイズを除去し,微 小な熱弾性温度変動分布の計測を行う.従来のロックイン処理においては,応力変動に関する参照信号を,被 測定物に取り付けたひずみゲージなどから外部入力していた.自己相関ロックイン赤外線サーモグラフィでは,

赤外線計測画像内の一部領域の温度変動データから参照信号を作り,すべての領域の温度変動データとロック イン相関処理を行うことで,外部からの参照信号を用いることなく,走行車両によるランダムな輪荷重負荷の 下での相対応力分布を高精度に求めることができる.

3.走行車両位置および速度の影響 疲労き裂先端の応力分布は,床版上を走行する車両の走行状態による 輪荷重載荷条件の影響を受ける.本実験では,交通規制下の道路橋において荷重車の走行速度および走行位置 を変えて測定を行い,それぞれの因子が欠陥検出性に及ぼす影響について検討を行った.荷重車は,前輪 1 軸,後輪2軸(ダブルタイヤ)の総重量20tのダンプカーであった.測定対象は,図1に示すデッキプレート・

Uリブ間のビード貫通き裂とした.き裂直上の路面に,図2のようにき裂位置をスケールおよび養生テープで マークし,マークに対するタイヤの走行位置をビデオカメラにより測定した.走行位置を示す値としては,図 3に示すように,き裂位置から後輪外側タイヤまでの距離を用いた.

図1 測定対象 図2 走行位置の測定 図3 走行位置の表示方法 キーワード 非破壊検査,赤外線サーモグラフィ,熱弾性応力測定,疲労き裂,鋼床版

連絡先 〒565-0871 吹田市山田丘 2-1 大阪大学大学院工学研究科機械工学専攻

1-468 土木学会第63回年次学術講演会(平成20年9月)

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様々な走行条件での測定結果の中から,表 1 に示す走行条件によりき裂右 先端を測定したデータを示す.き裂右端付近の拡大写真を図 4 に示す.健全 な溶接部に点Bを定め,自己相関ロックイン処理では,点Bにおける赤外線 強度変動を参照信号として用いた.溶接部のビード貫通き裂は,図において 左から右に進展しており,目視により確認できた裂先端位置は図中にき裂右 端と示した所であった.自己相関処理結果および赤外線強度変動波形を図5 に示す.赤外線強度変動波形に現れた3つのピークは,荷重車の前後輪の荷 重によるものである.図5(a)および(b)の自己相関処理画像においては,き裂 先端の応力集中部が同程度に鮮明に現れている.車両の走行速度により,輪 荷重による赤外線強度変動周期は変化するが,自己相関処理による相対応力 分布は変化せず,き裂検出性には影響しないことがわかる.これに対して,

図5(c)では,き裂先端の応力集中部が確認しにくくなっており,走行車両が

き裂から離れた位置を通るとき,き裂の検出性が低下することが示された.

4.防食塗装膜の影響 防食塗装が施された供用中の道路橋鋼床版の,デッキプレート・Uリブ間ビード貫 通き裂の検出を行った.測定対象を図6に示す.塗膜割れの無い部分に点Aを定め,点Aにおける赤外線強 度変動を自己相関処理の参照信号とした.自己相関処理結果および赤外線強度変動波形を図7に示す.自己相 関処理画像において,塗膜下のき裂先端付近(塗膜割れの先端位置と一致)の応力集中部が鮮明に現れており,

測定対象領域に防食塗装が施されている場合にもき裂の検出が可能であることがわかる.

謝 辞 本実験の遂行にあたり,大阪大学学生 松本知浩君,浜田昌弘君の協力を得た.記して謝意を表する.

(a) 走行条件No.1 (b) 走行条件No.2 (c) 走行条件No.3 図5 自己相関ロックイン測定結果および赤外線強度変動波形

図6 防食塗装膜下のき裂検出 図7自己相関ロックイン測定結果および赤外線強度変動波形 表 1 荷重車走行条件

車速

(km/h)

走行位置

(cm)

No.1 60 +1 No.2 20 +1 No.3 60 +66

塗膜割れ先端

防食塗装除去領域

図4 疲労き裂右端

1-468 土木学会第63回年次学術講演会(平成20年9月)

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