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鋼床版デッキプレートとトラフリブ溶接部の疲労き裂発生分析

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Academic year: 2022

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(1)

鋼床版デッキプレートとトラフリブ溶接部の疲労き裂発生分析

首都高速道路株式会社  正会員  ○上坂健一郎        財団法人首都高技術センター  正会員    村野益巳        首都高速道路株式会社  正会員    中野博文      財団法人首都高技術センター  正会員    斎藤豪       

 

1.はじめに   

首都高速道路では鋼床版の疲労き裂対策を実施している.鋼床版の疲 労き裂のうち,鋼床版デッキプレートとトラフリブの溶接部に発生する き裂は図1〜3に示すように,溶接ルート部から発生し,デッキプレート に進展するタイプ「き裂A」と,溶接ビードに進展するタイプ「き裂B」

の2種類がある. 

き裂Aは進展するとデッキプレートを貫通し,路面が陥没する恐れがあ るため,非常に危険なき裂であるが,外観による点検では発見できない ため,既往の研究1)では発生位置等の分析を行えなかった.その後,半自 動超音波探傷装置(以下SAUT)による点検手法2)が確立されたことでき 裂Aの発生状況を把握することが可能となり,データが蓄積された. 

本稿では首都高速道路の鋼床版の疲労対策が進んでいる重交通路線を 対象に主にき裂Aに着目して発生傾向について分析を行った結果を報告 する. 

2.点検手法     

鋼床版の点検は一般にデッキ下面から実施され,き裂Bは目視および磁 粉探傷試験により検出可能であり,全てのデッキプレートとトラフリブ 溶接線を点検対象としている.一方,き裂Aはデッキ下面側からSAUTによ り点検を行っている.SAUTにより検出できるのはデッキ方向に深さ6mm 以上進展したき裂である(図4〜5).なお,SAUTによる探傷は輪直下の溶 接線を対象としている. 

3.分析項目と分析結果    

分析を行うにあたり,今回は(1)車線位置別(2)き裂長別(3)損傷発生位 置別(4)き裂の長さと深さの関係に着目した.  

き裂 A の条件別発生割合を表 1に示す.なお,数値はこの路線に発生 したき裂 A の総数に対する各条件別の発生割合である. 

(1)車線別によるき裂発生割合    車線別では約94%が左車線に集中し ている.これは大型車の通行が左車線に多い影響であると推測される. 

(2)き裂長別によるき裂発生割合    き裂長では比較的短いき裂が多く,

300㎜以上は3%と非常に少なかった.なお,き裂長は実き裂長ではなく,

SAUTにより検出した深さ6mm以上のき裂長である. 

(3)損傷発生位置別によるき裂発生割合     

縦リブ支間中央部(以下「一般部」)と横リブ交差部と比較すると,一般  キーワード  鋼床版,疲労き裂,トラフリブ,き裂発生分析,デッキ方向き裂 

連絡先      〒100‑8930  東京都千代田区霞ヶ関  首都高速道路株式会社  保全・交通部  TEL  03‑3539‑9576   

デッキプレート

トラフリブ

トラフリブ

図 1  デッキプレートとトラフリブ 溶接部に発生する疲労き裂 

図 4  き裂探傷方法 

図 5  き裂探傷状況 

6mm 不溶着部

(溶接ルート部) 溶接ビード き裂A

き裂B

デッキプレート

図 2  き裂 A  図 3  き裂 B 

デッキプレート

トラフリブ トラフリブ デッキプレート

疲労き裂

土木学会第66回年次学術講演会(平成23年度)

‑343‑

Ⅰ‑172

(2)

部では交差部の約4倍のき裂が発生していた.しかし,デッキ プレートを貫通しているき裂はすべて横リブ交差部にて発生 していた. 

(4)き裂A(交差部)の長さと深さの関係    交差部に発生して いるき裂Aについてき裂深さと長さの関係を図6に示す.なお,

SAUT点検の検出限界がき裂深さ6㎜程度であるため,深さ6㎜以 下のデータはない. 

既往の疲労試験結果3)では,交差部におけるき裂Aの進展状況 を確認しており,き裂発生後深さ方向にき裂が進展した後,す ぐにはデッキプレートを貫通せず,溶接線のルートに沿って進 展し,長さ525㎜に達した際にデッキプレートを貫通している. 

図6より,比較的き裂長さが短い(100㎜未満)場合,深さ方 向に大きく進展している.しかしデッキプレートを貫通してい るき裂長さは,最小で200㎜程度となっており,試験結果に比 べ比較的き裂が短い場合でもデッキを貫通している. 

(6)その他    疲労き裂の発生は鋼床版の製作方法,溶接品質 等の条件に大きく影響を受けると考えられる.表2は,縦断方 向に連続するある3工区におけるき裂A,Bの発生状況を整理し たものである. 

き裂発生状況についてはa工区,b工区に比べ,c工区はき 裂の発生が著しく多い.き裂タイプについては,a工区,c工 区はき裂Bが多く発生しており,b工区はき裂Aが多く発生して いる. 

これらの傾向は,その工区を制作した会社により,製作方法,

品質管理水準が異なり,のど厚,脚長,溶け込み等の溶接条件 の違いが影響していると考えられる. 

5.まとめ     

今回とり上げた路線を対象にデッキプレートとトラフリブの溶接部におけるき裂損傷の発生状況について分析を行 った結果以下のことが分かった. 

①車線別では.き裂Aは左車線に多く発生している. 

②き裂長別では比較的短いき裂が多く,300mm以上の長いき裂の割合は3%だった. 

③損傷箇所別では一般部において交差部の約4倍のき裂が発生しているが,デッキ貫通き裂は交差部のみに発生して いる. 

④交差部に発生するき裂Aは,き裂長さが短い場合でもデッキを貫通している可能性がある. 

⑤製作会社によってはき裂の発生傾向が大きく異なる可能性がある. 

 

参考文献     

1)神木ら:鋼床版の疲労き裂発生パターンに関する一分析,土木学会第59回年次学術講演会,I-544,2004  

2)村野ら:鋼床版デッキプレート方向き裂の進展性状とその超音波探傷方法,土木学会第62回年次学術講演会,I-425,2007 

3)小野ら:既設鋼床版の疲労性状と鋼繊維補強コンクリート敷設工法による疲労強度改善効果に関する研究,土木学会論文集

A,vol.65No2,335-347,2009.4

左車線 右車線         L<100 100≦L<300 300≦L

未貫通 79%

貫通 0%

未貫通 18%

貫通 3%

3%

94%

6%

74%

23%

(1)車線別 (2)き裂長別

(3)損傷発生   位置別

一般部 交差部

表 2  工区別き裂発生状況 

0 2 4 6 8 10 12 14

0 200 400 600 800 1000

き裂長L(mm)

展深さmm) 貫通

未貫通 d=12㎜ デッキ厚

L=525㎜ デッキ貫通時のき裂長

(輪荷重試験)

0 2 4 6 8 10 12 14

0 200 400 600 800 1000

き裂長L(mm)

展深さmm) 貫通

未貫通 d=12㎜ デッキ厚

L=525㎜ デッキ貫通時のき裂長

(輪荷重試験)

図 6  き裂長さと深さの関係 

工区 a工区 b工区 c工区 橋長(m) 170 150 140 き裂A 4% 17% 6% 27%

き裂B 11% 7% 55% 73%

計 15% 24% 61% 100%

計 表 1  工区別き裂発生状況  土木学会第66回年次学術講演会(平成23年度)

‑344‑

Ⅰ‑172

参照

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