社会・政治的態度の基本的三次元モデル? : 二次延 長因子分析による評価・外的統制―内的統制・適応 因子の解釈
その他のタイトル Three Basic Dimensional Model of
Socio‑Political Attitude II : Interpretation of second‑order factor, Evaluation,
External‑Internal Control and Adaptation by extension factor analysis
著者 辻岡 美延, 東 正訓
雑誌名 関西大学社会学部紀要
巻 19
号 1
ページ 87‑119
発行年 1987‑11‑30
URL http://hdl.handle.net/10112/00022690
関西大学『社会学部紀要」第19巻第1号, 1987, pp. 87‑119 ISSN 0287‑6817
社会・政治的態度の基本的三次元モデルIl
—二次延長因子分析による評価・外的統制ー内的統制・適応因子の解釈—
辻 岡 美 延 ・ 東 正 訓
Three Basic Dimensional Model of Socio‑Political Attitude II
ー Interpretationof second‑order factor, Evaluation, External‑Internal Control and Adaptation by extension factor analysis—
Bien Tsujioka, Masanori Higashi Abstract
By extension factor analysis, the meanings and the contents of three second‑order factors of socio‑political attitude: Secondary Evaluation factor (Optimistic vs. Pesimistic), External Control vs. Internal Control and Adaptation were interpreted in terms of the factor loadings of 200 opinion i terns.
These three basic dimensions were extracted from the factor correla‑
tions among six primary factors:Evaluation, Alienation, Participation, Heteronomy, Adaptation and Social Integration which were obtained in factor analysis of 24 hexis scales from the original starting item pool.
These bipolar secondary factor axes and also ‑four quadrants within each plane of factor axes (three conbinations as in figure 5) were reinterpreted from a historical viewpoint of the previous studies with reference to Seeman, Rotter and so forth.
External Control vs. Internal Control factor is a bipolar factor on which one side means active concern to socio‑political problems and another side means passive concern (political apathy, powerlessness etc.). This secondary factor is considered to be a latent variable of higher level on different alienation variables and concepts.
Authors'conclusion is that alienation scales developed by Seeman'.s school such as by Zeller R.A. et al, etc were limitted to rather negative side and to narrower area of hexis lebel in the socio‑political attitude.
Key words: social attitude, political attitude, factor analysis, item analysis second‑order factor, alienation, anomie, adaptation, Japanese university student.
抄 録
二次評価,外的統制ー内的統制,適応からなる社会・政治的態度の二次因子構造が延長因子分 析によってえられた200個の意見項目の因子負荷にもとづき解釈された。
これらの基本的な三次元構造は, 24個の習性水準尺度の相関行列を斜交因子分析してえた評 価,疎外,参加,他律性,社会的統合,適合の6因子間相関行列を主成分分析(Varimax回転)
してえたものである。
この基本的三次元を構成する二次因子の両極軸と,二因子の組み合わせからなる 3つの平面の 4象限が SeemanゃRotterの先行研究の観点と対比させながら再解釈された。
特に外的統制ー内的統制因子は,社会・政治的事象に積極的に関わろうとする態度と疎外など の消極的な非関与的な態度の両極的な内容を持ち,従来多くの諸概念で論じられてきた疎外諸態 度を包含する高次潜在変数として考えられる。
Seemanの類型に基づく疎外尺度は社会心理の否定的な側面に限定されており,社会・政治的 態度の階層体系からすると習性水準に該当する比較的狭い内容であるというのが結論である。
キーワード:社会的態度,政治的態度,因子分析,項目分析, 2次因子, 疎外, アノミー,適 応, 日本人大学生
(注)本稿は東が起草し,辻岡が加筆したものである。
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関西大学『社会学部紀要」第19巻第1号
〔 問 題 〕
先に,辻岡・東 (1986)は,社会や社会状況に対する個人の関係態度の基本的な次元や変数関 係を探索するために,社会・政治的態度の200項目からなる意見項目の因子分折を行い,社会・
政治的態度領域には,評価(悲観一楽観),疎外,参加,他律性,社会的統合,および適合の一次 6因子が存在することを明らかにするとともに,これら6因子に対応する態度尺度を構成した。
そして,これらの6因子を統括する二次因子として,『二次評価』, 『外的統制ー内的統制』, 『適 応』の高次因子からなる階層モデルを提案した。
本稿においては,この階層モデルにおける二次因子によって表される基本的三次元の内容を,
延長因子分折の応用である二次延長因子分析(項目の二次因子空間における負荷量を推定する)
を用いてさらに明確化することにした。同時にこの延長因子分析を階層モデルの解釈と評価の手 法として位置づけ,本論で用いられた二次延長因子分析の算法を提示する。
以上の中心テーマにはいる前に,前回おこなった尺度構成の実質科学的な位置づけを再度確認 しておきたい。そのために,われわれの尺度を構成する上で,参考にしてきたアメリカ社会学に おける疎外尺度の研究との関連と相違点を述べておくことは有意義なことと考える。
辻岡・東の社会・政治的態度尺度とアメリカ社会学における疎外尺度との関連 (1) Seeman, M. の疎外の類型化と疎外尺度の構成
Seeman, M. の疎外概念の類型化はアメリカ社会学における疎外(疎外感,または態度)の尺 度構成研究の一つの指針となったことは周知のところである。それらの尺度化は多くの研究者
(例えば, Nettler(1957), Dean (1961), Neal & Rettig (1963, 1967)など)により行わ れたが, Seemanの疎外の類型化のいずれかに帰着するものがほとんどである。中でも, 最も Seemanの類型化を再現し,かつ方法論的にも妥当と考えられるのが,近年発表された, Zeller, Neal & Groat (1980)の研究である。それらは,
1) Social isolation (社会的孤立)
2) Powerlessness (無力性)
3) Normlessness (無規範性)
4) Meaninglessness (無意味性)
の4尺度である。
この研究の中で,結局,態度尺度化が行われなかった類型は,自己疎隔(Selfestrangement) と, Seeman自身によって1972年に孤立 (Isolation)から分割された文化的疎隔 (Cultural estrangement)の二類型である。 なお,この時,彼は孤立 (Isolation)を文化的疎隔と社会的 孤立 (SocialIsolation)とに分割している。
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自己疎隔は Seeman自身もいうようにその意味を特定化しにくいが, 疎外にとって最も重要 な成分であるとされる。 Seeman自身はこれを,社会的学習理論の概念を用いて「予期される将 来の報酬 (reward), すなわち, その活動自体の外部に, 所与の行動の生起が従属している状 態 (Seeman,1959, p. 790)」と定義している。この定義は,まさに人間の本質的疎外状況に大 きく関わると同時に特定化しにくい。 Seemanや斉藤 (1982)では労働疎外を充て, Otto&
Featherman (1975)は仕事についての満足度や一般的な満足度の二種の単一項目指標を総括し た潜在変数によりこれを測定しようとしている。今後も測定場面では,自己疎隔は研究者の仮説 に従って定義・測定され,内容的妥当性のある尺度としては成立しにくいと考えられる。また,
文化的疎隔は知識労働者の疎外をさしている事から一般人向けの尺度は構成しにくいきらいがあ る。
このような理由から現状では, 少なくとも Zellerらの4尺度に対応する Seemanの類型が 現実的には尺度化可能ということになる。そのうち,彼らの Powerlessness尺度と Normless‑ ness尺度は社会的態度的である。一方, Meaninglessness尺度はやや内容と等質性に難があ
り,尺度としては不完全に思われるが,概念的に態度尺度化しやすい内容である。
これに対して, Socialisolation尺度はかなりパーソナリティ特性的な尺度と考えられる。
Zellerらはこれらの4尺度によって疎外的世界観の測定が可能であるとし,疎外的世界観は比較 的安定的で変化しにくいことをパネル調査により示している。
(2) 辻岡・東の社会・政治的態度尺度の評価と位置づけ
以上のようなアメリカ社会学の疎外尺度の構成研究と関連づけながら,辻岡・東 (1986)が作 成した尺度を評価しその位置づけをしておく必要がある。まずわれわれの研究と Zellerらに代 表されるアメリカ社会学との根本的な違いについて述べておかねばならない。
アメリカ社会学では主に疎外領域に限定して,尺度構成を行うのに対し,われわれは,最初に 社会や社会状況に対する個人の関係態度の基本的な変数構造を探索するために,疎外を当該領域 の一部として扱っている。そして単に疎外領域に限らず幅広い領域を設定し,帰納的に尺度構成 を企図している。そのために,疎外諸変数の対極となる変数や従来とは異なる変数間の結びつき を得ることができたと考えている。
第二の相違点として, 社会・政治的態度の設定に際して, いわゆる Socialisolationに関し てはバーソナリティ特性に近い項目を除外し,社会状況や風潮を評価する部分に限定している。
次に,一次6因子及び6尺度について検討すると,社会・政治的態度6尺度の内, Seemanの 疎外の類型と直接に関係するのは,疎外尺度,他律性尺度にすぎない。
疎外尺度は,一般的な疎外(社会機構が個人の望むようではないという不満や個人の社会にた いする無力性や影響力のなさ)に関するものである。この疎外因子は,無力性の範囲をこえたよ り一般的な疎外的社会観をあらわしていると考えられる。 6尺度のうち,この尺度が最も無力性
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に関係するが,無力性はより一般的な内容の疎外の一部として含まれることとなった。
また,無力性の内容は心理特性としては比較的狭い,階層モデルに当てはめれば習性水準レベ ルに該当するものであると考えられる。換言すれば, Seeman,M. の類型は,われわれの階層モ デルからみれば,大体習性水準の因子内容であると考えられる。本研究のように,習性水準尺度 間相関行列を因子分析した場合に得られる因子は,特性水準の因子内容になると考えられる。
一方,パス解析や LISREL(Analysis of Linear Structuctual Relationships by the Method of Maximum Likelihood)をもちいて因果関係を仮定する場合には,この無力性をユ ニタリーな概念として,測定計画をたてることが多い。この時は,無力性の一次元尺度が必要と なる。たとえば, Wheaton,Muthen, Alwin & Summers (1977)や Bentler& Bonett (19 80)にその例が示されている。
われわれの他律性尺度は,無規範性に大体一致していると考えられ,特に現実・社会悪の消極 的な肯定の内容がより明確となっている。この尺度は,現代人の社会的態度や行動を考えるうえ で,有効な変数となると考えている。
さて, Seemanの類型では,疎外の対極になる類型は明確には提示されていないが,彼が拠り どころとした社会的学習理論から発想するならば,内的統制であることが導かれる。その内的統 制の一面に関わるのがわれわれの参加因子である。この参加尺度は無力性の逆として位置づけら れる統制可能性を含みながら,社会運動(住民運動・署名運動)などの集団行動への参加やその 効用の肯定を測定するものと考えられる。そして,この参加尺度は基本的三次元 (6尺度相関行 列を主成分分析して直交回転した 3次元)において,外的統制方向の疎外尺度の対極として位置
しており,各尺度間のより有機的な接合関係を示している。
先の辻岡・東の研究の出発尺度として最初に,疎外諸変数に関係すると考えていた項目群は,
疎外関連の諸因子に含まれるものと『評価」と呼ぶ社会状況に対して楽観的か悲観的かの評価感 情の因子に含まれるものとに別れた。疎外尺度と評価尺度との相関は一0.485の逆相関である。
これは後者の評価因子を抜きにして疎外因子を語れないことを示している。また,疎外因子は基 本的三次元において『二次評価因子』の悲観方向と『外的統制ー内的統制』の外的統制方向に位 置している。つまりこの事は疎外因子の二面的存在,すなわち疎外因子は外的統制であり且つ悲 観的であることを示している。
また,評価尺度は社会に対して悲観的であるか楽銀的であるかを測定するのに有効な尺度であ り,種々の社会的態度や政治的態度との同時測定により興味深い結果が得られよう。
疎外関連の因子が,二次因子の『外的統制ー内的統制』としてまとまり,また,因子尺度間に も同様の関連が見られることは,先の辻岡・東 (1686)において述べたように,社会的諸問題・
社会悪に対しての関わり方(個人が社会を統制していこうとするのか,逆に社会が個人を統制し ているのか)の変数設定が可能であることを示唆している。
一方, Seemanの疎外の各成分の定義を尺度化した研究やその類型と同様の因子を抽出してい
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る因子分析的研究から推察すると,疎外諸尺度は互いに相関しており,その高次の潜在変数が仮 定できることと考えられる。
たとえば, Dean(1961)や Simmons(1966)によって, 疎外諸尺度の相互関連が示されて いる。また, Zellerらも先の4尺度に代表される因子が斜交解を許容し互いに正相関をもってい ることを示している。 Neal& Rettig (1967)は二次因子として疎外因子を抽出した。したがっ て,これらの疎外諸変数が高次の潜在変数に統括される可能性は充分大きいといえよう。むしろ この問題は階層体系における因子水準の問題といえよう。
我々の基本的三次元においては, Rotterにならって『外的統制ー内的統制』と名付ける一般 因子的な高次因子をえている。本稿では特にこの高次因子「外的統制ー内的統制」の検討を通じ て,より一般化された概念が定立可能かどうかを探索したいと考える。いままで,歴史的な理念 的考察が積み重ねられつつも,機能的な分類がなされなかったために見出されなかった疎外の諸 変数を統括する高次潜在変数を見出すことが本研究の重要な目的の一つである。今回の論文は,
その高次因子の検討を行うものである。
さて,我々は疎外関係の諸変数は個人と社会の対峙的関係を表す概念であるとして,並行的に それとは別の社会と個人の在り方を考えた。それが個人と社会との関係における融合的概念とし て設定した適応である。この適応は基本的三次元では適応因子として定立されている。
この適応因子の下位的な一次因子が,適合と社会的統合である。適合尺度は政治や法律などの 社会制度や社会の下部構造への信頼とそれらによる安定志向を測定する尺度である。適合因子が やや外的統制的であることが二次主成分分析において示されており,現社会の制度やインフラス トラクチャーを信頼しそれらによる安定を求めようとすることは,やや外的統制的であることを うかがわせている。これは一方,現状維持•生活保守主義と関連することを意味している。
社会的統合尺度は社会における道徳や義務を遂行し社会に対する主体的な参加と効力による関 与傾向を測定する尺度である。社会的統合尺度は道徳性と主体的参加の二つの下位成分をもつと 考えられる。この社会的統合因子は二次因子の適応と内的統制方向とに負荷するが,その機能に ついては今後の検討を要すると考えている。これらの新たに見出された二因子に関する結果は非 常に示唆的である。今のところ,これらを発展させる背景理論は未完成であるが,適合と社会的 統合両尺度の改良と探索的研究の進展によって明らかにしたいと考えている。また,本稿の後節 で論ずる基本的三次元の考察によっても,それぞれの因子の内容がより明らかにされよう。
〔 方 法 〕
本研究の方法論の根幹は,二次因子分析によって見出された二次因子に対する項目の因子負荷 量をもとめる二次延長因子分析にある。この二次延長因子分析によって二次因子の具体的な内容 解釈と内容的妥当性の検討を行うことができる。本邦では,このような試みはなされていないの
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で,これらの方法論について,歴史的にも振り返って整理しておくことは重要であると考える。
〔1〕 延長因子分析の展開 (1) 歴史的展開
最初に,延長因子分析(extensionfactor analysis)あるいは,延長分析 (extensionanaly‑ sis)の基本的な解法を示したのは Dwyer(1937)であった。
Mosier (1937)はDwyerの解法を多因子に拡張し, 次いで, 行列形式で延長変量の因子負 荷行列を求める公式をあたえた。後にこの Mosierの解法と同様の解を Cattell(1952)は紹介
している。
この Mosierの解法は Cattell学派の一人である Horn(1975)により説明があたえられてい る。ここでは, Mosier‑Hornの解法にそって解法手続きを展開しよう。
初期の因子分析の対象となった変量を核変量 (corevariables)と呼び, その因子分析の対象 外の変数を延長変量 (extensionvariables)と呼ぶ。ここで,核変量の個数をe個として, k+
e=nとする。この核変量と延長変量の超相関行列を R(nxn次)とする。
共通性を対角成分に持った縮減超相関行列 R*(nxn次) (reduced super‑correlation ma‑
trix)は, 因子パタン行列 VIP(nXm次;ここで m は因子数)と因子間相関行列 c,cmxm 次)によって(1)式のように表される。この場合,因子は一般に斜交因子を考えている。
(1) R*=V1pC1V'IP
この(1)式の行列形式を図によって表現すると Fig.1のようになる。
l 0 0 . . . . J, ...... k 1 .. , 1 ...... p,m
ccR
k l
EcR
EcR'
EER
k l
=
cV1p
EV/p
l ~ l l k l e
~c,
J
cV'1pI
EV'1pI
R*
e,
V1p C1 V'IP Fig. 1 Super‑Correlation Matrix in Extension Factor Analysis
ここで縮減超相関行列 R*は核変量間相関行列 ccR(kxk次),延長変量間相関行列 EER(e Xe次)と,核変量間の相互相関行列 EcR(exk次)とその転置に分割される。 Fig.1によっ て明らかなように,各分割相関行列は,
(2) ccR=c VfpCf c V'f P
(3) EcR'=cVfpCf EV'fp
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(4) EcR=EVIPCt cV'tp
(5) EER= E VtpCf EV'IP
のように表わされる。 ここで EVtpは求むぺき延長変量の因子パクン行列 (exm次)そのも のである。これを求めるため, (4)式の両辺に右から(6)式の下線部の行列を掛ける。そこで, (6)式 右辺の単位行列となる部分を省略すると, (6)式のように整理される。
さらに(6)式の両辺に C戸を右から掛けると,
(6) EcR cV1p(cV'1p cV1p)一1=EVtpc,
(7) EV/戸 EcRc V1p(c V'1 p c V1p)‑1 Ci―1
(7)式が求められる。
直交解の場合には,この(7)式が Mosierや Dwyerの解法と同等となる。
Hornはこの(7)式から,以下にしめす延長変量の因子構造行列 EVfs(eXn次)を導出してい る。
(8) EV/戸 EcRC v,.(c V'fs C v,.)一ICt
因子構造行列と因子バタン行列の関係より,延長変量の因子構造行列は次のようにも表現でき る。
(9) EV/戸 EcRC v,.Cc V'IP C V1p)‑1
Hornは,上の(8)式による延長変量の因子構造行列の算出法が, Horn(1965)や Harris(19 67)のいうところの FsMethod, すなれち主成分得点(芝の分類では F1にあたる) と延長変 量との相関を求める場合と同じであることを示している。この彼らの解法自体は,明らかに主成 分分析(回転後を含む)を行った場合の解であり,したがって,共通因子分析の場合の解法の一 般的解法を与えるものではないことに留意しなければならない。 この点については McDonald
(1978)によっても指摘されている。
もっとも因子得点の不定性 (indeterminacy of common factor scores)により, 真の因 子得点は実際には求めることはできず,推定される。実際の研究では,因子間相関を固定するた め等の理由で,特定の推定方法に限定される場合があるので, Hornらの解法を含む一般的な定 式化が必要である。
(2) 延長因子分析の一般的定式化
上のような論法によらず,因子構造値は所与の変量と因子得点(主成分得点)との相関である 事を利用して,より簡明で一般的な定式化を導くことができる。この一般的な定式化はGorsuch
(1974)によって与えられている。
まず,延長変量と因子得点の相関,すなわち延長変量の因子構造行列から定義する。
UO) E v,.=̲l.̲Ez, F=̲l.̲Ez, z w = EcR w N N
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ここで, EZは延長変量の標準得点行列 (Nxe次;Nは被験者数), Fは因子得点行列 (N xm次), Zは核変量の標準得点行列 (Nxk次), W は因子得点のための重み行列 (mxm 次)である。
また,これらの展開から延長変量の因子パタン行列は次のようにして求められる。
(11) E Vt戸 EcR W Ct―I
以上, (10)および皿式が延長因子分析の一般的公式である。
ここで,この展開式のうち,因子得点のための重み行列 W には,それぞれの目的に応じた因 子得点の重み行列が代入される。何となれば,因子分析においては因子得点は種々の仮定をおい た誤差を最小二乗法的に最小とする形で求められる推定値であるからである。
本研究では,一次因子分析においては主因子分析と斜交回転を,二次因子分析では主成分分析 と直交回転を行っている。特に一次因子分析において,延長因子分析をする場合には,因子間相 関を固定するために,芝 (1972)の分類における推定式Fl4による因子得点を斜交回転して用い ている。
この定式化は一般的なものであるので,本稿のように,二次因子への項目変量の延長因子分析 を考える場合でも容易に計算法を導くことができる。
(3) 二次延長因子分析への拡張
ここでは,先の定式化を参考にしながら二次因子分析解における延長変量の因子構造・因子パ クンを求める算法を考える。
まず,二次因子解における延長変量の因子構造行列 2EV1.(exl; lは二次因子数)は項目得点 と二次因子得点 2F(Nxt)との相関であるから,
U2l 2E V: た 一N EZ'2F=
―
N ‑EZ'F2W=EVf• 2Wで求まる。ここで 2Wは任意の因子得点(成分得点を含む)のための重み行列 (lxl)である。
また,因子パタンは先と同様に,
U3l 2E vf戸 Evfs 2 w 2cf‑1
でうることができる。ここで 2CFIは二次因子間相関行列 (lxt)である。
本研究では,延長変量の一次因子構造行列 EVfsに, 辻岡・東 (1986)で求められた 200X6 次の項目の因子構造行列を代入し,重み行列は Varimax回転後の成分得点の重みを用いて二次 因子段階の項目変量の因子負荷(構造)行列を求めている。
(4) 延長因子分析による高次因子の解釈
高次因子 (higher‑orderfactor)を仮定した分析を行うことは, 眼前のデークの充分な理解 を得るために非常に有効である。斜交解を求める際には,試みに高次因子分析を行ってみると,
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一次因子の連関についてより深い洞察が得られる。
また,大規模な項目を分析する場合には,辻岡 (1975)の提案した習性水準尺度間の相関行列 を因子分析し高次因子体系を構成する方法が勧められる。
探索的研究においては,一旦,階層モデルを構成することで,データの全体的展望がひらける ことがある。階層モデルを参考にして各構成因子の相互関係の全体的な把握を行うことにより,
より有効なパラダイムを構成するために,何が必要で不要かの見通しをつけることができる。
このように,延長因子分析は高次因子の解釈に役立てることができる。高次因子レベルでは,
少ない変数の負荷状況を参考にしながら解釈を行うことが多いため,恣意性が大きく,また単純 構造をうるための修正回転の手掛かりも少ない。
そこで,高次因子への延長因子分析を行って,項目変量の布置によって各因子を解釈するため の情報をうることができる。また,顕著な項目クラスターに因子軸を通して再回転を行うなど,
軸回転の手掛かりとすることができる。
高次因子はこのように有用な情報を与えてくれるが,数学的には因子間相関が任意である等の 不定性を持つおそれがある。手続きをふめば階層モデルはある程度自動的に得られるがために,
充分な検討をしないと曖昧で恣意的な結論を導きかねない。そこで延長因子分析を各階層につい て行うことによって,モデル全般を具体的な項目内容によって評価・解釈することができる。こ
こに二次延長因子分析の最も大きな役割がある。
〔2〕 社会・政治的態度の基本的三次元の二次延長因子分析
上記の延長因子分析の方法論的展開において述べたように,本研究の最大の目標は,先の研究 で得られた社会・政治的態度の基本的三次元を構成する二次3因子に対する延長因子分析によっ て社会・政治的態度についての200項目からなる意見項目の二次因子空間における因子負荷量を 求め,これを手掛かりとして,二次の三次元構造を把握することである。
その方法として,まず第ーに,二次3因子についての因子軸に対して高い負荷をもついくつか の項目クラスターをつくり,そのクラスターの代表的内容によってそれぞれの二次因子の解釈を 行った。
次に基本的三次元による二次元ずつを組み合わせて出来る三平面の合計12象限の意味すると ころを,具体的な項目内容について理解するという二段階の方法がとられた。
さて,本研究で用いた資料は以下の通りである。詳細は辻岡・東 (1986)を参照されたい。
① 被験者: 関西大学学部学生288名(男子184名,女子104名)
② 質問紙:東・辻岡,辻岡・東 (1986)で用いられた200項目からなる質問紙である。
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〔 結 果 〕
〔1〕 二次3因子(基本的三次元)の項目クラスターによる解釈
クラスター化の手順は求められた項目の2次因子空間における因子負荷量(構造値)をプロッ トし,項目内容を考えながら,また因子負荷の類似性をもとに,項目を集めた。また,従来の研 究により考えられる概念や特性に対応するような項目クラスターを探索した。この項目クラスタ ーを構成した目的は200項目の再度の分類を行うためではない。負荷量の類似性と意味的な同質 性をもつ項目を一つのクラスターにまとめることにより,一つのクラスターに項目群に共通の性 質を代表させ,それらのクラスターの示唆する下位概念の負荷状況から,より簡明に二次因子の 特性を解釈しようと考えたからである。
A. 二次評価因子(楽観一悲観) (Secondary Evaluation factor: EV)
この因子に高く負荷する社会・政治的態度尺度項目は評価尺度項目が一番多い。次には疎外尺 度項目が多く負荷しており,これらは悲観方向と外的統制ー内的統制因子の外的統制側に負荷し ている。これは,問題のところで述べたように,一次因子である疎外因子の二面性を示してい る。
また,適合尺度からの二項目は当該二次因子の楽観方向と適応因子の両方に負荷している。以 上の概観をふまえてクラスターの負荷状況をみてみよう。
純粋にこの二次評価因子に負荷しているクラスターは,楽観方向に負荷する,下表の ①社会 状況への楽観的評価クラスター(将来・現代の社会の状況に対する楽観的評価)と,悲観方向に 負荷をしめす R社会状況への悲観的評価クラスター(将来・現代の社会の状況に対する悲観的 評価)及び ⑧人間関係における疎隔感クラスターや ④無意味性のクラスターである。
ITNEo, M ① 社会状況への楽観的評価クラスター csラ) EV co AD ITEM ID SCALE HEXIS FACTOR SCALE
18 現在の状況から考えて,これからの若者にとって 566 ‑170 120 F 1 Sラ EV
未来は明るいと思う
108 将来の社会は今よりも理想社会に近づくと思う 518 ‑158 145 Fク Sラ E V 172 今の社会は個人の能力が発揮できる社会だと思う 463 ‑140 188 Sラ EV 82 今日の社会状況では, 自分の希望はだいたいかな 522 ‑037 156 Tシ Sラ EV
えられると思う
138 将来, 日本が国際紛争に巻き込まれることはほと 517 066 ‑049 F:::r ヘイ E V
んどないと思う
(EV : Secondary Evaluation factor, CO : External Control‑Internal Control, AD : Adaptation)
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