日中同形異義漢字語の研究 : 「愛人」の意味変化を めぐって
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(2) <1>. 日中 同形 異 義 漢 字語 の研 究 「愛 人 」 の 意 味 変 化 を め ぐ っ て. 舒 一. 志田. 、 は じめ に. 1.同. 形 異 義語. 中 国 語 と 日本 語 は 、 多 く の 漢 字 を 共 有 して い る 。 漢 字 の 正 書 法 上 の 差 異 を 無 視 す れ ば 、 そ の 多 く は 同 じ形 を して い る 判 。 し か し、 同 じ漢 字 で 書 か れ た 単 語 は 、 日本 語 と し て の 意 味 と 中 国 語 と し て の 意 味 が 常 に 同 じ と は 限 らな い 。 日 中 同 形 漢 字 語 の うち に 、 意 味 ・用 法 の ズ レが 見 られ る もの 、 若 し く は 全 く異 な る 意 味 の も の が 随 分 あ る 。 い わ ゆ る 日 中 同 形 異 義 漢 字 語 で あ る。 以 下 、 「愛 〜 」 と い っ た 構 成 の 漢 字 語 を 例 と して 見 て ゆ こ う。 1. Ⅱ. Ⅲ. あ い い く 【愛 育 】. あ い け ん 【愛 犬 】. あい がん. あ い い ん 【愛 飲 】. あ い こ う 【愛 校 】. あ い き ょ う 【愛 嬌 ・愛 敬 】. あ い え ん か 【愛 煙 家 】. あ い こ く 【愛 国 】. あ い き ょ う 【愛 郷 】. あ い き 【愛 機 】. あ い さ い 【愛 妻 】. あ い こ う 【愛 好 】. あ い き ょ うび 【愛 敬 日 】. あ い じ 【愛 児 】. あ い じ ょ う 【愛 情 】. あ い こ 【愛 顧 】. あ い しや 【愛 車 】. あ い し ょ 【愛 書 】. あ い さ ん 【愛 餐 】. あ い た し ゅ ぎ 【愛 他 主 義 】 あ い じ ん 【愛 人 】. あ い しや 【愛 社 】. あ い ば 【愛 馬 】. あ い じゃ く 【愛 着 ・愛 著 】 あ い ぶ 【愛 撫 】. あ いせ き あ いそ. 【愛 玩 】. 【愛 惜 】. 【愛 想 】. あ い し よ う 【愛 諦 】. あ い べ つ り く 【愛 別 離 苦 】 あ い ち ょ う 【愛 聴 】. あ い じ ょ う 【愛 嬢 】. あ い ぼ 【愛 慕 】. あ い ぞ う 【愛 蔵 】. あ い よ う 【愛 用 】. あ い そ く 【愛 息 】. あ い よ く 【愛 欲 】. よ り(1998年. あ い ち ゃ く 【愛 着 】. あ い れ ん 【愛 憐 】. 類 は筆者 。. あ い び ょ う 【愛 猫 】 ※. 『ハ イ ブ リ ッ ド新 辞 林 』 、 三 省 堂);分. Iは 現 在 の 日 本 語 独 自 の 表 現 で あ る 。 Ⅱ は 、 日 中 両 方 と も に あ る も の で 、 か っ 意 味 ・用 法 が 殆 ど 一 致 し て い る も の で あ る 。Iに. 一80一. つ い て は 、 か つ て 中 国 で は 用 い られ た か.
(3) 〈2>. ど うか 、 和 製 漢 語 の 場 合 で あ っ て も 、 か つ て(特. に 十 九 世 紀 末 か ら 二 十 世 紀 初 頭)中. 国 に 持 ち 込 ま れ た こ とが あ る か ど うか 、 な ど の 研 究 課 題 が 依 然 多 い 。 Ⅱ に つ い て は 、 そ れ ぞ れ の 語 が ど ち らか ら の 流 入 か 、 流 入 時 期 な ど を 特 定 す る 必 要 が あ り、 と りわ け 日本 の 文 献 に お け る 日本 語 と して の 使 用 実 態 を 明 らか に す る研 究 が 期 待 され る 。 こ こ で 問 題 に して い る の は Ⅲ の 部 の い わ ゆ る 同 形 異 義 語 で あ る。 上 記 の 例 で は 、 「愛 玩 」 「愛 嬌 」*2「 愛 想 」 「愛 聴 」 は 中 国 語 で は 「愛+v.」(「. よ く 〜 す る 」 の 意 味)と. い. う構 成 に 想 定 さ れ る の が 普 通 な の で 、 そ れ ぞ れ 、 一 つ の 独 立 の 語 彙 と して は 頗 る 不 安 定 的 な も の で あ る。 「愛 書 」 「愛 猫 」 な どは 、 中 国 語 と して 日本 語 と 同 じ意 味 を も 持 っ て い る が 、 更 に 、 「我 愛 書/わ う な 使 い 方 も あ る。. た しは 本 が 好 き 」 「我 愛 猫/私. が 猫 が 好 き 」 とい っ た よ. 中 国 語 の 「愛 好 」 は 日本 語 で は 「趣 味 」 に な る(但. し、 動 詞 と し. て の 意 味 が 同 じで あ る)。 「愛 惜 」 は 両 方 と も 「大 切 に す る 」 とい う意 味 で あ る が 、 日 本 語 の ほ うが か な り文 語 調 で あ る。 従 つ て 、 中 国 語. 「像 要 愛 惜 地/彼. 女 を 大切 に しな. き ゃ 」 を 、 「彼 女 を 愛 惜 し な け れ ば な ら な い 」 と、 そ の ま ま 日本 語 に 直 訳 す る とや は り 可 笑 しい 。 「愛 情 」 は 中 国 語 で も 日本 語 で も な に か を 愛 す る 感 情 を 示 す 。 しか し 、 語 義 の 範 囲 が 異 な る 。 中 国 語 の 「愛 情 」 は 特 に 異 性 間 の 「 愛 情 」 だ け を指 して い る が 、 日本 語 の 「 愛 情 」 は 異 性 以 外 の 人 に 対 し て も 、 事 物 に 対 して も 言 え る。. 2.研. 究 目 的 ・方 法. 従 来 の 日 中 同 形 異 義 漢 字 語 の 研 究 は 、 個 々 の 語 の 意 味 記 述 に 止 ま つ て い る よ うに 思 わ れ る 。 し か し 、 日中 両 言 語 に お け る 語 彙 交 流 の 史 実 を 考 慮 す る 場 合 、 こ れ だ け で は 不 充 分 だ と 思 わ れ る。 外 来 の 要素 が 既成 の語彙 体 系 に入 りこむ とき、意 味 や用 法 に お い て、 多 かれ 少 な か れ 変 化 が 生 じ、原 語 か らず れ て い く の は 普 通 で あ り、〈 中 略 〉 変 化 を 蒙 らず に 、 異 言 語 に 入 っ て く る 外 来 語 は な い とい っ て よ い 。 従 っ て 、 変 化 の 有 無 で は な く 、 変 化 の 実 態 や 変 化 に 於 け る 程 度 の 差 を 問 題 に し な け れ ば な ら な い。 (沈 国 威1994、pp.61〜62) 特 に 、 個 々 の 語 に 関 して は 、 そ の 意 味 の ズ レ 、 変 化 な ど に つ い て の 詳 細 な 考 察 が 、 ま だ 欠 け て い る と言 え ざ る を 得 な い 。 本 稿 で は 、 「愛 人 」 を 例 と して 、 そ の 意 味 変 化 を め ぐ っ て 、 主 に 近 代 に お け る 日 中 間 の 交 渉 及 び そ の ズ レ の 生 じた 過 程 を 明 らか に した い 。 英 漢 ・漢 英 ・英 和 ・和 英 ・国 語 辞 書(日. 中)な. ど各 種 の 辞 書 に 於 け る 対 象 語 の 意 味 記 述 、 及 び 各 種 の 文 芸 作 品 な ど. に 於 け る 用 例 を 収 集 し、 そ の 意 味 、 用 法 の ズ レ の 様 相 と過 程 な ど を 明 らか に す る 。 ま た 、単 な る 語 誌 的 な 研 究 に 止 ま ら な い よ うに 、該 当語 の 意 味 ・使 用 の 変 化 に 伴 う社 会 、 文 化 的 な 背 景 の 把 握 に も 留 意 しな が ら、 考 察 を 行 い た い 。. 一79一.
(4) 〈3>. 二 、 「愛 人 」 の 意 味 記 述. 日 中 両 方 の 意 味 を合 せ て 見 れ ば 、 「愛 人 」 に は 、 大 体 、 次 の よ う な 意 味 が あ る。 日中 共 通 の 意 味: ①. 人 を 愛 す る こ と。. ②. 愛 して い る 異 性 。 恋 人 。. 日本 語 だ け に あ る 意 味: ③. 情 人 。 「情 婦 」 「情 夫 」 に 代 わ る語 で 、 普 通 「恋 人 」 と区 別 して い る。. 中 国 語 だ け に あ る 意 味: ④. 配 偶者 を指す 。. ⑤. 可 愛 い;喜. ば しい 。. 意 味 ① は 中 国 の 古 典 に あ り、 漢 籍 の 流 布 と共 に 日本 に も伝 わ っ た 。 例 え ば 、 明 治 期 の 漢 学 者 の 中 村 敬 宇 が 唱 え た 「敬 天 愛 人 」説 に 見 られ る も の は 、 こ の ① の 意 味 で あ る 。 但 し、 本 稿 で は 主 に 近 代 に お け る 日 中 語 彙 の 交 流 を 問 題 に す る の で 、 こ の 意 味 ① に っ い て 、 詳 しい 検 討 は 暫 く省 く こ と に す る。 ま た 、 意 味 ⑤ に お け る 「愛 人 」 は 、 他 の も の と の 間 に 、 語 構 成 的 な 違 い が 見 られ る の で 取 り除 く。 こ こ で 問 題 に した い の は 意 味 ② 、 ③ 、 ④ で あ る。. 三 、 翻 訳 語 と し て のr愛. 人② 」の 成立. 江 戸 末 期 及 び 明 治 時 代 の 英 和 ・和 英 辞 書 類 を30余. 種 を 調 べ て み た 結 果 、 「愛 人 」 と. い う用 語 ま た は 見 出 し語 が 出 た の は 、 次 の よ う な も の が あ る 。 1)英. 和 対 訳 袖 珍 辞 書(堀 Lover,愛. スル 人 、 恋 人 。. Sweetheart,愛 Honey,蜂 2)附. 人. 蜜 、 愛人. 音 挿 画 英 和 玉 篇(入 Darling,寵 Lover,愛. 3)双. 達 之 助 等 編 、1862). 江 依 徳 訳 、 東 京 鶴 声 社 、1885). 愛 ヲ 受 クル 人 。 人、 情郎。. 解 英 和 大 辞 典(島. 田 豊 編 、 共 益 商 社 書 店 、1892). Darling,Onewhoisdearlybeloved.最. 愛 ノ人 、可憐 子 、愛 人。. Lover,Onewholoves;afhend;especiallyoneinlovewithapersonoftheoppositesex; onewholikesorispleased.愛 言 葉 自体 で は. 「愛 人 」 が. スル 人 、友 、愛人 、情 人 、朋 友 、恋 人 、好 ム人 。 「恋 愛 」 よ り も 早 く 成 立 し た の で あ る 。 広 田 栄 太 郎 氏 の 調. 一78一.
(5) <4>. 査 に よ る と 、 「恋 愛 」は 明 治 七 年(1874)加. 藤 弘 之の使 用 例 を 最 初 と して 、そ れ が 普 及. す る の は 明 治 二 十 年 代 に 入 っ て か ら で あ る 。一 方 、辞 典 の ほ う で は 、明 治 二 十 年(1887)、 仏 学 塾 出 版 の 『仏 和 辞 林 』 に 、Amourの. 訳 語 と し て 「恋 愛 」 が 掲 げ られ て い る*3。 一. 般 に は 、 「恋 愛 」 が あ っ て 始 め て 「愛 人 」 が あ る か ら 、 言 葉 の 面 で も 「恋 愛 」 の ほ う が 先 に 成 立 し た ろ う と、 わ た し が 推 測 し た が 、 『英 和 対 訳 袖 珍 辞 書 』 に 見 られ る 「愛 人 」 の 例 は 、 意 外 に 早 い 印 象 を 与 え る 。 但 し 、 そ れ が 一 つ の 固 定 語 彙 と して 、 ど の 程 度 定 着 して い る の か 、 甚 だ 問 題 で あ る 。 わ た しが 調 べ た と こ ろ 、 辞 書 類 以 外 の 文 献 に お い て は 、 明 治 二 十 年 代 以 前 の 「愛 人 」 の 用 例 は 確 認 で き な か っ た の で あ る。 半沢 洋 子 氏 が 、人 を 示す. 「愛 人 」 は 翻 訳 上 の 必 要 か ら 、 「恋 人 」と性 別 上 の 対 立 語 と. し て 成 立 し た も の だ ろ う と指 摘 して い る が*4、 し か し、 私 が 調 べ た 限 り、 『英 和 対 訳 袖 珍 辞 書 』 に 見 られ る よ うな 例 は む し ろ 極 少 数 で あ り、 しか も 、 『附 音 挿 画 英 和 玉 篇 』 の あ た りか ら、Loverの. 訳 語 と し て も 「愛 人 」が 宛 て ら れ た の で あ る 。 だ か ら、 「恋 人 」. と性 別 上 の 対 立 語 と し て 成 立 し た 意 図 的 な も の よ り も、 最 初 か ら、 単 な る 「愛 シ 人 」 と い う意 訳 よ り凝 縮 され た 漢 語 形 と して 、 触 発 的 に 誕 生 し た も の と 考 え た ほ うが 妥 当 か も しれ な い 朽 。 そ れ は 、 や が て 「愛 ス ル 人 、 愛 サ レル 人 」 と も 解 釈 され る よ う に な っ た 。 従 っ て 、 『英 和 対 訳 袖 珍 辞 書 』 と 『附 音 挿 画 英 和 玉 篇 』 に お け る 「愛 人 」 は 、 字 面 が 同 じで あ る が 、 意 味 的 に は 違 っ て い る よ うに 思 わ れ る 。 な お 、 実 際 の 文 学 作 品 や 書 簡 な ど に お け る 意 味 ② の 使 用 例 は も う少 し遅 れ 、 大 体 明 治 二 十 年 代 の 後 半 あ た りか ら 見 られ る よ うに な っ た の で あ る 。即 ち 『双 解 英 和 大 辞 典 』 が 現 れ た 後 で あ る 。 本 辞 書 は 何 回 も 版 を 重 ね て 世 間 に 出 回 り、 世 の 人 に 広 く読 ま れ た の で 、 「愛 人 」 とい う言 葉 の 定 着 に 関 係 した の か も しれ な い 。 4)僕. の 存在 には 貴方 が必 要 だ。 ど うして も必要 だ。僕 はそ れ だ け の 事 を貴 方 に話 し. た い 為 に わ ざ わ ざ 貴 方 を 呼 ん だ の で す 。」 代 助 の 言 葉 に は 、 普 通 の 愛 人 の 用 い る様 な 甘 い 文 彩 を含 ん で い な か っ た 。 5)し. 『そ れ か ら』(1909). か し僕 に も しそ ん な 愛 人 が 出 来 た ら、 叔 父 さ ん は た と い 僕 か ら 手 紙 を 貰 わ な い. で も 、 喜 ん で 下 さ る で し ょ う。. 『彼 岸 過 迄 』. そ れ ま で は 、 「恋 人 」 の ほ か 、 「色 」 「色 男 」 「色 女 」 な どの 和 語 又 は 「意 中 人 」 「情 人 」 「情 郎 」 「情 娘 」 な ど の 漢 語 が 用 い ら れ た。 6)然. レ ドモ 、汝 余 二 告 ズ 恣 マ ニ 情 郎 ト逸 居 シ テ 長 ク歓 楽 ヲ 尽 ス 。. 7)処. 女 若 シ ー 旦 心 ヲ 委 ヌ ル ア ラ バ 必 ズ 見 聞 ノ感 ヲ 絶 チ 飲 食 ノ 味 ヲ 忘 レ其 情 人 ノ 死 後. 二 至 ル モ 尚 ホ 貞 操 ヲ守 リテ 二 夫 二 見 エ ズ 。(同 他 に 、 方 言 で は 大 槻 文 彦 の 『外 来 語 源 考 』(1877)に. 『花 柳 春 話 』(1878). 上) 示 され た 「相 思 」 の よ う な 言 い. 方 もあ る。 8)シ. ャ ン ス(相. 思)唐. 音 ナ リ、 九 州 ニ テ 情 人 ヲ 云 フ。. 国 語 辞 書 に 於 い て は 、 例 え ば 、 『和 漢 雅 俗 い ろ は 辞 典 』(高 橋 五 郎 ・1888)、 『言 海 』 一77一.
(6) 〈5>. (大 槻 文 彦 ・1889)、. 『日 本 大 辞 書 』(山. 田 美 妙 ・1892)、. 『こ と ば の 泉 』 ・『言 泉 』(落. 合. 直 文)、 『大 日 本 国 語 辞 典 』(上 田 万 年 ・】915)、 『辞 林 』 ・『広 辞 林 』(金 沢 庄 三 郎 ・1925)、 『辞 苑 』 ・『広 辞 苑 』(新. 村 出 ・1935)な. ど に 、 い ず れ も意 味 ② で の. 「愛 人 」 の 見 出 し 語. 又 は用 例 が 見 当た らな い。 逆 に言 えば 、 これ は 、意 味② が 翻 訳 に よ る新 義 で あ る こ と の 裏 付 け に も な る。 そ し て 、 同 時 代 の 中 国 で は 、 ど う な っ て い る か 。1910年 る. 「愛 人 」 は 、 依 然 と し て 、 従 来 の. 以 前 の 翻 訳 辞 書 類 に 見 られ. 「人 ヲ 愛 ス ル コ ト」 の 意 味 で あ る 。 西 洋 文 化 と と. も に 次 第 に 中 国 人 に 知 られ た 西 洋 の 恋 愛 事 情 に 関 す る 言 葉 の 訳 も 、 ま だ あ る 種 の 古 め い た もので あ る。 9)英. 華 辞 典(W.H.Medhurst.1847‑8上. 海MissionPress). 愛 人Tolovemeningeneral. 10)英. 華 字 典(W.Lobscheid.1866‑9、HONGKONG) Darling,寵. Loveら. 愛 的人 、切 愛者 、壁人 。. 愛 者 、#5老 、 姻 膠 、好者 。. 愛 人Tolovemeningeneral. 11)華. 英 音 韻 字 典 集 成(羅 Darling,寵 Lover,愛. 務 印 書 館 、1902). 愛 的 人、切 愛 之人 。 者 、 情人. Sweetheart,情 Honey,蜜. 布 存 徳.商. 人 、 愛者. 、 蜜 糖1. ロ ブ シ ャ イ トの. 「愛 者 」 の 訳 は 、 中 国 語 の 古 典 に よ つ た も の で あ り 、 日 本 の. 「愛 人 」. と あ る 類 似 性 を 有 し て い る 。 「愛 人 」 が 使 わ れ る 以 前 、 中 国 近 代 の 翻 訳 小 説 に も 用 い られ た こ とが あ る。 12)嬌. 梛 就聰 於摩 登家 為書記 。 故在 園 内与 其二 愛置 私 会 云 。 (迫 斎 訳. 13)前. 回 記 羅 夢 之 愛 者 嬌 梛.為. 『盗 偵 探 』、 『月 月 小 説 』 第 三 号 、pp99). 摩 登 家 書 記 。(同. 上 、pplO2). 中 国 は 、 近 代 に 入 っ て か ら は 、 西 洋 文 化 に 出 会 い 、 そ れ ま で と ま っ た く ち が う対 応 を せ ま ら れ る こ と に な っ た 。 「遅 れ 」 に 気 づ い た 中 国 人 は 、 歴 史 上 初 め て 異 文 化 を 手 本 とせ ざ る を え な く な っ た 。 恋 に か ぎ っ て い え ば 、 欧 米 文 化 の 移 入 に よ り、 恋 の 習 慣 か ら 、 恋 の 情 緒 表 現 に い た る ま で 大 き な 変 化 が 生 じた 。 中 国 文 学 に お い て. 「恋 愛 」 と. い う こ と ば は 、 十 九 世 紀 の 後 半 か ら二 十 世 紀 に か け て 西 洋 文 明 の 用 語 の 訳 と して 、 ま た 西 洋 文 化 の 一 っ の シ ン ボ ル と し て 、 中 国 に 導 入 さ れ た と 言 わ れ て い る 。*6 西 洋 風 ゐ 恋 愛 に 関 す る そ の 他 の 表 現 も ほ とん ど翻 訳 流 の も の で あ り、 そ れ が 最 初 は た ど た ど し さ を伴 い 、 次 第 に 洗 練 さ れ 、 自身 も変 革 した 中 国 語 の 組 織 の 中 に 新 しい 表 現 と して 定着 す る に至 った。 人 を表 す 西洋 流 の 一76一. 「愛 人 」 も 、 新 名 詞 と し て 人 々 に 認 識.
(7) 〈6>. され て い る。 14)王. 雲 五 新 詞 典(商. 務 印 書 館 ・1943). 【愛 人 】 博 愛 人 群 。(論 語 ・陽 貨)君 〔今 〕(1)同. 上 。(2)親. 子 学道則 愛 人。. 愛 之 人,(特. 指 男 女 間 之 関 係)。pp55. 而 し て 、 そ れ が 一 般 に 定 着 す る ま で は 、 い ろ い ろ な 工 夫 が 凝 ら され た よ う で あ る 。 そ こ に は 伝 統 の 根 強 い 抵 抗 が あ っ た と さ え 感 じ られ る。 周 知 の よ う に 、 中 国 古 典 に お け る. 「愛 」 は 主 と し て 、 君 主 の 愛 、 父 母 の 愛 、 夫 婦 の 愛 な ど と い っ た. り、 そ れ も る. 「愛 卿 」 「愛 子 」 「愛 女 」 「愛 妻 」 「愛 妾 」 な ど の 表 現 に 反 映 さ れ た 、 い わ ゆ. 「上 対 下 」 「強 者 対 弱 者 」 の. され た. 「倫 理 愛 」 で あ. 「愛 」 で あ る 。 近 代 西 洋 文 化 と の 接 触 に よ っ て 作 り 出. 「愛 人 」 に 見 ら れ る 平 等 ・ 自 由 の. 洋 の 恋 愛 小 説 、 『巴 黎 茶 花 女 遺 事 』(フ 訳 、 原 題Ladameauxcamelias.)は. 「愛 」 は 一 切 な い 。1889年. に 林 舒 が 訳 した 西. ラ ン ス の 小 説 、 デ ュ マ ・フ ィ ス の 椿 姫 の 中 国 語. 一 世 を 風 靡 した が 、 そ の な か に は. 「愛 人 」 と い う用. 語 が な か った。 また 、 林舒 が翻 訳 に あた っ て、 「 愛 」 と い う 言 葉 と 並 ん で 、 「情 」 の よ うな 従 来 の 文 学 に よ く 用 い られ た 語 句 を 訳 本 の 中 に 故 意 に 混 入 させ 、 西 洋 の 恋 愛 事 情 を 如 何 に も 中 国 流 に 解 釈 し よ う と した 。 そ れ は 一 見 、 た だ 、 読 者 を こ うい っ た 外 国 作 品 に 馴 染 ま せ よ う と い う手 段 で あ る よ う に 見 え る が 、 根 本 的 に は や は り 中 国 伝 統 の 「愛 」 へ の 冒 涜 を で き る か ぎ り避 け よ う と し た 訳 者 の 意 識 的 な 問 題 で は な い か 、 と も 思 わ れ る 。 従 っ て 、 「愛 人 」 の 登 場 は 、 二 十 世 紀 初 頭 に 勃 興 し た. 「新 文 化 運 動 」 を 待. た な け れ ば な らな か っ た 。 以 下 、 人 を指 す. 「愛 人 」 が 中 国 で は ど の よ う に 導 入 さ れ た の か 、 に つ い て 見 て い き. た い。 前 述 した. 『王 雲 五 新 詞 典 』 は 、 「愛 人 」 の 新 義 を 記 し た が 、 そ れ は 日 本 か ら の 新 名. 詞 な の か 、 或 い は 宣 教 師 ・翻 訳 者 な ど に よ る 新 名 詞 な の か 、 に つ い て は っ き り 指 摘 し て い な い し、 そ の 用 例 を も 何 も 示 して い な い 。 私 が 調 べ た 限 り、 人 を 意 味 す る. 「愛 人 」 を い ち 早 く 掲 載 し た 辞 書 は 李 玉 波 の. 『漢 英. 新 辞 典 』 で あ る。 15)漢. 英 新 辞 典(商. 務 印 書 館 ・1918). 愛 人Honey;sweet‑hart;10ver;admirer;mistress(指. 女).. 同 辞 典 の 例 言 に よ れ ば 、 「本 書 所 備 之 参 考 。 為 漢 英 、 英 漢 、 継 英 語 、 漢 語 、」 購. 、瀬. 、 各 辞 典 。 以 及 各 専 門 辞 典 。 術 語 辞 典 。 共 八 十 余 種 。」(波. と あ る よ うに 、 日本 の 辞 書 を も参 照 した の で 、 こ こ で の 意 味 の. ど 編 集 、 商 務 印 書 館 、1929)、. 『総 合 英 漢 辞 典 』(1935)に. 一75一. 世 塗、 歴志 雲 な. も 、 「愛 人 」 が 登 場 し て い る 。. こ の 二 つ 辞 書 は い ず れ も 日本 の 辞 書 か ら の 影 響 を 受 け て い る。 漢 模範 字 典. 線 筆 者). 「愛 人 」 と 言 う も の は 、. 日 本 か ら の 借 用 で あ る 可 能 性 が 十 分 あ る 。 後 の 、 『英 漢 模 範 字 典 』(張. 16)英. 、各 辞 典 。.
(8) 〈7>. darlingn.愛. 人. sweetheartn.情 loven.④. 一a.鍾 愛 的;親 人;愛. 情 人;愛. lover1.愛 sweetheart.情. 人;恋. 愛 的. 人. 物. 好 者;景. 仰 者 。2.情. 人 。apairoflovers。. 一 対 情 人 。aloverandhis. 人 及 其情 婦。. こ れ 以 前 に 、 英 語 のdearを. 「愛 人 」 と 訳 し た 例 が 見 られ る 。. 17)LadyMarkby:Letmeintroduceyou.(ToMrs.Cheveley.)!My1LgggbdSirRobert Chiltemisdyingto㎞owyou!/麻:譲. 我 介 紹 与 伽 。(対 斉 佛 雷 夫 人 説)我. 的 愛 人。 紀 爾. 泰 洛勃 脱 君。 眼 巴 巴的 望着 像哩 。 (『意 中 人 』 英 国OscarWilde原. 作 、 醇 瑞 瑛 訳 、 『新 青 年 』1‑3〔1915.11〕. し か し 、 こ れ は む し ろ 例 外 で あ り 、mydearに. 、pp221). 対 す る 訳 語 と し て は 、 「吾 愛 」 「親 愛 的 」. な ど が も っ と一 般 的 で あ る。 文 学作 品 に於 い て は、 武者 小 路実 篤 の を 、 魯 迅 が1919年. に 訳 した. 『あ る 青 年 の 夢 』(『 白 樺 』7‑4,5掲. 『一 個 青 年 的 夢 』(『 新 青 年 』7‑2,3,4掲. 載)に. 載 ・1916) 見 られ た. 「愛. 人 」 の 用 例 が わ た し が 調 べ た 限 り 、 も っ と も 早 い も の で あ る. 18)幸. 福 的 神 明正 微 笑給 我家 看 的時 候 、我 的 愛人 正把 好意 給 我看 的 時候 、 戦争 便 将 我. 運 到 離 開 本 国 幾 千 里 的 地 方 去 了 。(『 新 青 年 』7‑2、pp236/原. 文:幸. 福 の 神 が我 が 家 に. 微 笑 み を 見 せ だ し た と き 、 私 の 愛 人 が 私 に 好 意 を 見 せ だ した 時 、 戦 争 は 私 を 本 国 か ら 何 千 里 離 れ て い る 処 に っ れ 去 り ま し た 。 『白 樺 』7‑4、ppl4) 19)我. 椚 正 在 説 笑 。 我 因 為 従 愛 ム 送 到 了 一 張 照 相,被. 人 笑 了 。(同pp236/原. 文:私. 達 は 笑 い 話 を して い ま した 。 私 は 恋 人 か ら 送 っ て 来 た 写 真 に 皆 に 笑 わ れ て い ま した 。 同ppl4〜15) 20)若. 我 能 鰺 略 略 推 想 伯く椚 的 愛 人 和 伯く 椚 的 父 母 的 心,想. (同pp238/原. 文:あ. 来便未 必 会行 若 無 事 的殺 了。. な た の 愛 人 、 御 両 親 の 心 を 少 し で も 察 した ら あ ん な 呑 気 な 気 持. ち で あ な た 達 を 殺 す こ と は 出 来 な か っ た ろ う と 思 い ま す 。 同ppl7) 21)我 /原. 如 果 対 着 愛 人 和 父 母 説 了 、 他 椚 一 定 満 眼 含 着 涙 、 従 心 裏 感 謝 伯く咤!(同pp239 文:私. は そ れ を 愛 す る者 や 、 親 に 語 っ た な らば 、 彼 等 も 目 に 涙 を た め て あ な た 達. に 心 か ら 感 謝 し た で し ょ う 。 同ppl9)・ 22)来. 摩 頭 的 時 候,才. 取 笑 的 話 。(同pp239/原. 触 着 了 片 鱗,真 文:あ. 是 連 愛 人 也 没 有 通 知 過 我 的 一 種 喜 悦,一. 這 並 非. な た が 頭 を さす っ て 下 さ っ た 時 そ の 片 鱗 に ふ れ ま し た 。. 恋 人 も 知 ら し て く れ な い あ る 喜 び で し た 。 私 は 皮 肉 に 言 う の で は あ り ま せ ん 。 同pp19) 23)休. 也 該 有 愛 人 在 地 上 罷?這. 人 若 像 我 這 般 死 了 急 様 ロ尼?(同pp252/原. 文:地. 上 に. は あ な た の 愛 す る 方 が い ら っ し ゃ る で し ょ う。 そ の 方 が 妾 の よ う に 死 ん だ ら ど う な さ り ま す.同pp42) 但 し、 魯 迅 の 訳 文 に あ る. 「愛 人 」 は 、 そ の 原 語 が 必 ず し も 同 一 語 で は な い 。 上 記 の 一74一.
(9) <8>. 例 で 示 さ れ た よ う に 、 「恋 人 」 「愛 人 」 「 愛 す る 者(方)」. との 三 通 り で あ る。 っ ま り 、. 字 面 だ け で は な く 、 そ の 意 味 も 正 し く 理 解 され て い る。 一方. 、 魯 迅 の 弟 で あ る 周 作 人 が 訳 し た ス ペ イ ン の〉icenteBlascoIbanez原. 狗 病 』(IsaacGoldbergの 24)一. 英 訳 本 よ り 訳 出)に. 天 是 礼 拝 六,巴. 大 約 半 夜 光 景,有 是 等 着 他 的,現. 他 愛 人 家 裏 回 来,在 略)他. 在 一 見 這 狗 的 牙 歯 的 青 黒 的 半 圏 和 紅 点,即. 眼 前 只 是 高 興 的 一 饗 肩 膀,(不. 26)少. 時 叫 喚 起 来,便. 例. 在 房 内 忙 着. 新 青 年 』9‑5[1921/09/01]pp672). 礼 拝 六 到 愛 人 家 裏 去 時,伊. 黙 的 互 相 看 着,或. 村 庄 的 一 条 小 路 上,. 的 母 親 在 他 去 訪 問 愛 ム 的 夜 間,照. 予 備 膏 薬 和 飲 料 。(『 25)毎. 『顛. も 「愛 人 」 の 使 用 例 が 見 ら れ る 。. 斯 加 勒 武(Pascualet)従. 一 隻 狗 咬 了 他 一 口;(中. 著 の. 常 常 問 起 他 的 健 康 。 「那 咬 傷 急 様 了?」. 説 什 歴,)他. 椚 両 人 便 坐 下 在 厨 房 的 一 個 角 落 裏,総. 談 着 未 来 家 庭 裏 的 衣 服 和 汝 鋪,但. 年 的 愛 人 来 了,伊. 他 在 姑 娘 的. 是 不 敢 彼 此 接 近 。(同. 的 大 而 且 黒 的 眼 精 被 眼 涙 濡 湿 了 。(同. 是 黙. 上 、pp673) 上 、pp674). そ の 後 、 中 国 の 新 文 化 運 動 の 勃 興 に 伴 い 、 「女 子 問 題 」 「婚 姻 問 題 」 「恋 愛 問 題 」 が 盛 ん に 論 じ ら れ る よ う に な っ た 。 一 九 二 四 年 、 『婦 女 雑 誌 』 十 巻 九 号 の 恋 愛 問 題 」 を 発 端 に 、 『中 国 青 年 』51期 題 」、66期. に は. に. 「中 国 青 年 與 恋 愛 問 題 」、57期. 「中 国 目 前 的 に は. 「恋 愛 問. 「介 紹 共 産 主 義 者 的 恋 愛 観 」 な ど の 一 連 の 論 文 が 掲 載 さ れ 、 人 々 の 関. 心 を 呼 ん だ 。 「愛 人 」 「恋 人 」 な ど の 言 葉 も 、 し ば し ば 登 場 す る よ う に な っ た 。 27)干. 是 乎 一般 青年. 解 決,真. 不 能 安 干 実 際 生 活 的 現 実 奮 闘,便. 誠 的 恋 愛 既 難 実 現;干. 椚 底 心 中 口 中只 有 一 個. 「愛 人 」:大. 之 趨 勢 。(一 28)即. 是 乎 折 白 的 恋 愛,不. 止. 使 喝 力 奮 闘,難. 脱 家 庭,而. 際 生活 既 未. 断地 呈 現 干我 椚 眼 前。 而一 般 青 年. 有 呉 三 桂 国 亡 父 死 都 可 以 不 過 問,只. 要 陳 園 園 到 手. 「中 国 青 年 與 恋 愛 問 題 」 『中 国 青 年 』51期. 、1924.11). 社 会 処 処 是 一 様 的 凶 悪,終. 挿 足 。(小 29)寂. 耽 酔 干 撲 愛 ム,実. 立. 不 許 伯く椚 一 対 親 愛 的 蛮 ム. 「恋 愛 問 題 」 『中 国 青 年 』57期. 、1924.12). 箕 得 我 一 個 人, 再 也 没 有 拭 愛 人 。(普. 30)陳. 希 金 著 、 嬰 秋 白訳. 『茨 岡 』、1932). 真 説 我 一 輩 子 技 不 到 愛 ム 。 他 也 許 有 理 。(巴 金 『愛 情 的 三 部 曲 之 一:霧. し か し 、国 語 辞 書 で は 、中 華 大 辞 典(欧 辞 通(朱. 起 鳳 編 、1934)、. な どに は皆 、 人 を示す. 辞 海(舒. 陽 淳 ら 編 、1915)、 辞 源(陸. 新 城 主 編 、1936〜7)、. 「愛 人 」 の 見 出 し 語 が 登 場 し て い る 。. 31)国. 四 冊 ・p.3791). 語 辞 典(第 愛 人ayren①. 新 中国 成 立後 の 32)学. 文 化 字 典(黎 愛. 爾 奎 主 編 、1915、1931)、. 聯 綿 字 典(符. 「愛 人 」 の 見 出 し語 又 は 用 例 が な い 。1947年. は じめ て 人 を 表 す. 即 情人 。. 定 一 編 、1943) の. ②恵 愛他 人. 『学 文 化 辞 典 』 辞 書 に も こ の 語 が 採 録 さ れ て い る 。 錦 煕 ・商 務 印 書 舘 ・1952.10). ① 喜 好。 〔 例 〕 愛説 愛 笑。我 愛 這 張叢 。 一73一. 』1933). 『国 語 辞 典 』 に.
(10) <9>. ② 因 為 関 係 密 接 、 表 示 特 別 有 好 感 。 〔例 〕 愛 国。 愛 子 女 。 ③ 親 熱 。 〔例 〕 階 級 之 愛 。 ④ 愛情 、 恋愛。 〔 例 〕 愛人。 ⑤ 愛 惜 。 〔例 〕 愛 公 物 。 ⑥ 容 易 発 生 某 種 現 象 的 意 思 。 〔例 〕 愛 壊 、 愛 干 、 愛 長 銃 。. 四 、 「愛 人 」 の 意 味 変 化. 現 代 中 国 語 で は 、 「愛 人 」 は 普 通 、 妻 或 い は 夫 を指 す.日. 本 の国語 辞 書 の 中で さえ、. こ の よ うな 注 意 書 き が 施 さ れ て い る 。 しか し、 い つ 頃 か ら そ の よ うな 使 い 方 が 始 ま つ た の か 、 あ ま り知 られ て い な い 。 『新 語 詞 大 詞 典 』(韓 明 安 主 編 、 黒 竜 江 人 民 出 版 社 ・ 1991)で 33)愛. は、 人airen初. 指 情人 的 一方 、 後為 夫妻 間 的互 称。 △ 宋 薇 同志 是我 的 愛 人 、這. 是 誰 都 知 道 的 ロ麻!(魯. 彦 周 『天 雲 山傳 奇 』1979). と 、 「愛 人 」 は 最 初 は 恋 人 同 士 を 指 し 、 後 に 夫 婦 間 の 呼 称 と な つ た 、 と 指 摘 し て い る だ け に と ど ま っ て い る。 い ち 早 く 「愛 人 」 を 「夫 婦 を 特 別 に 指 す 」 よ うに 意 味 限 定 し た の は 、1953年. に 人民. 教 育 出 版 社 よ り出 され た 『新 華 字 典 』 で あ る 。 34)愛. ① 喜 歓 、 対 人 或 事 物 有 好 感:〜 ② 喜 歓 的 、 有 感 情 的(人 ③ 容 易:這. 祖 国 。 〜人 民。 〜公 物。 〜 労働 。. 或 物):〜. 人(特. 指 夫 妻)。 割 〜(捨. 去 所 喜 愛 的)。. 種 布 〜 壊 。 鉄 〜 生 銃 。 他 〜 害 病 。(pp618). しか し 、 こ れ 以 後 の 再 版 『新 華 字 典 』 に は 、 な ぜ か こ の 「愛 人 」 の 例 が 取 り消 さ れ た 。 『新 華 字 典 』 と 同 じ年 に 出 版 さ れ た 『盟 秋 白 文 集 』 巻1の. 扉 に は 、 作 者 とそ の 妻. の 写 真 が 掲 載 さ れ 、 写 真 の 下 に 、 「作 者 和 他 的 愛 人 之 華 」 と の 説 明 が あ る。 も っ と も前 記 の 『漢 英 新 字 典 』(1918)に. 既 に 見 られ る よ う に 、 「愛 人 」 の 訳 と して 、. mistress(女 主 人 、 主 婦 、 女 教 師 、 恋 人 等 の 意 味)が. 宛 て られ た の で あ り、wifeに. 直接. に結 びっ か なか っ た もの の 、相 当近 い 関係 にあ る と思 われ る。 但 し、 こ こで は 、女 性 の み 指 して い る の で 、 「夫 」 ま で は 含 ん で い な い 。 実 際 の 用 例 で は 、 『新 華 字 典 』 よ り も っ と早 い 時 期 に 配 偶 者 を 指 す た 。 『漢 語 大 詞 典 』(1986)に 35)落. 「愛 人 」 が 現 れ. は 、 次 の よ う な 例 が 示 され て い る。. 拓 的 学 生 青 年 、 常 常 会 着 這 様 甜 蜜 的 幻 夢:将. 来戎 到相 当的職 業 、 不 一定 太 岡、. 甚 至於 根 清 苦、 可是 有一 個愛 人在 懐 里、 有一 個 温暖 的家 庭。 盟 秋 白 『乱 弾 ・臓 悔 』(1932)/巻7・PP632. そ の 他 に 、 も うい くつ か を 見 て い こ う。. 一72一.
(11) 〈10〉. 36)以. 前 是 奴 隷 的 結 婚,現. 在 是 用 友 愛 確 定 的 自 由 結 合,這. 女1門提 供 的 。古 時 奴 隷 的 両 性 関 係,並 這 時 候,人. 類 的 汚 辱,圧. 就 是 新 労働 者 的国 家 要替 男. 不 如 現 時 這 様 是 愛 人 又 是 朋 友 的 自 由 公 正 的 結 合,. 迫 労働 者 的一 種可 伯 的弊 害是 可以 消 滅 的。. (山 川 菊 栄 作 、 李 達 訳 『労 農 俄 国 的 婦 女 解 放 』、 『新 青 年 』9‑3[1921ノ07/01]pp408) 37)我. 是 純 粋 作革 命 工作 的 、但 我 又是 一位 十 九歳 的青 年 、我 家 中 尚有 三 十二 歳 的妻 、. 俺 巳 完婚 六 年 了 、 地在 家 中遇 的 那種 生活 、 巳 不是 人 的生 活 、 又加 上 地 的 愛 人一 我 在 外 辺 不 回 家 、永 不 回 家 、更 形 難 堪 。(『 38)自 生 活,愛 39)這. 従 春 天 来,自. 従 地 丈 夫 開 始 了 新 的 苦 痛 来,地. 人 的 生 活 。(丁. 是"八. 就 不安 起 来 了 的。 不安 於 這太 太 的. 七"会. 自 己 早 已 発 覚 一 一 到 去 年 更 是 完 完 全 全 了 解 了,已 議 之 后,我. 去 年 我 還 是 決 断 不 下,以. 偶 然 露 一 点 口風,往. 、 「通 信 」一 急 様 安 置 妻 子). 玲 『一 九 三 〇 年 春 上 海 』1930). 種 雨 元 化 的 人 格,我. 毫 自欺 的 了;但 出 來,在. 中 国 青 年 』第99期. 併 没 有 公 開 地 説 出 來,四. 致 延 遅 下 來,隠. 忍 着,甚. 経不能綜. 中全 会 之 后也 没 有 説. 至 対 之 華(我. 的 愛 ム)也. 只. 往 還 要加 一 番彌 縫 的話。 没 有這 様 的勇 氣。 (『多 余 的 話 』 嬰 秋 白1935.06). 以 上 の 四 例 に あ る 「愛 人 」 は 、い ず れ も 自分 の 配 偶 者 を 指 す の で 、現 代 中 国 語 の 「愛 人 」 と 同 じ意 味 合 い を 有 す る と 考 え られ る 。 但 し 、 『新 語 詞 大 詞 典 』 の 例 の よ う な 、 会 話 文 で の 使 用 例 は ま だ な か っ た よ うで あ る。 と こ ろ で 、 な ぜ こ の よ うな 使 い 方 が 起 き た の か 。 も っ と も 、 夫 婦 間 の 親 密 な 情 と恋 人 同 士 の 恋 情 と は 、 一 直 線 上 に あ る も の で あ り、 「愛 人 」 が そ の 両 方 と も言 え る の も 別 に 何 の 不 思 議 も な い 。 しか し 、 そ こ に は も う一 つ の 理 由 が 考 え られ る 。 つ ま り 、 中 国 で は 恋 の 情 緒 と 見 られ る も の の 中 に 、 夫 婦 の 間 の 感 情 が 重 要 な 位 置 を 占 め て い る と い っ た 事 実 で あ る 。 「未 婚 男 女 の 恋 が ほ と ん ど あ り え な か っ た 中 国 で は 、 夫 婦 の 間 の 相 思 相 愛 の 情 は 長 年 来 、 恋 と し て 見 られ 」*7て き た 。 『詩 経 』 の 「巻 耳 」 「君 子 干 役 」 「采 緑 」 な ど の 歌 か ら 、 漢 代 、 六 朝 の 「怨 情 」 詩 、 唐 代 の 「宮 怨 」 詩 な どで 見 られ る よ う な 、 夫 婦 の 哀 歓 離 合 を 詠 む も の は 数 少 な く な い 。 民 間 伝 承 に お い て も 、 「孟 姜 女 千 里 尋 夫 」 な どで 代 表 され る よ う な 夫 婦 間 の 愛 情 物 語 は 千 百 年 来 、 言 い 伝 え ら れ て き た 。 西 洋 風 の 自 由 恋 愛 が も た ら し た 「愛 人 」 と い う言 葉 が 、 夫 婦 間 の 呼 称 と も な っ た の も 、 こ うい っ た 伝 統 に 関係 して い る の で は な い か と思 わ れ る 。 つ ま り、 西 洋 の 「LO〉ER」 は 、 そ の 時 代 中 国 人 の 目か ら見 る と 、 自 由 恋 愛 の 相 手 で あ る 「恋 人 」 を 表 わ す よ り も 、 「夫 婦 」 を 表 わ す ほ うが 座 りが ず っ と い い か も しれ な い 。 そ して 、 も うひ とつ 考 え られ る の は 、 社 会 イ デ オ ロ ギ ー の 影 響 で あ る。 新 中 国 が 誕 生 し て 間 も な く 、 「愛 人 」 が 夫 婦 を 特 別 に 指 す よ うに な つ た の は 、 男 女 平 等 を 提 唱 し た 社 会 主 義 の イ デ オ ロ ギ ー に 一 致 し た か ら で あ ろ う と思 わ れ る 。 と い う の は 、 香 港 ・ 台 湾 で は 「愛 人 」 が 配 偶 者 を 言 うよ うな 使 い 方 は な い の で あ る 。*8今 世 紀 五 十 年 代 に 中 国 で は 「漢 語 規 範 化 」 運 動 が 起 き た 。 そ の 時 、 い ろ い ろ な 面 で 用 語 の 選 択 と規 制 が 一71一.
(12) 〈11>. 行 わ れ た 。 「愛 人 」 も そ の 時 に 指 定 され た 用 語 で あ る か ど うか 断 言 で き な い が 、 共 産 主 義 の イ デ オ ロ ギ ー に 関 係 して い る の は 前 記 した 二 、 三 十 年 代 の 用 例 か ら 見 て も 分 か る だ ろ う と思 う。 これ らの 例 は 、 或 い は 共 産 主 義 を 同 情 す る雑 誌 に 掲 載 され た も の だ っ た り、 或 い は 共 産 主 義 に 関 す る 文 章 だ つ た り、 或 い は そ の 作 者 自身 が 共 産 主 義 者 だ っ た りで あ る 。 特 に 、 盟 秋 白 は 中 国 共 産 党 の 創 立 期 の 指 導 者 の 一 人 で あ り 、 彼 の 文 章 の 影 響 力 も か な り大 き か っ た 。 「愛 人=配. 偶 者 」 の成 立 に は彼 の役 割 が 無 視 で きな い. だ ろ う と思 わ れ る。 市 場 経 済 が 徐 々 に 進 ん で い る 現 在 、 中 国 で は 、 配 偶 者 の 呼 称 と して 「先 生 」 「太 太 」 「夫 人 」 な ど が 復 権 し つ つ あ り、 「愛 人 」 は い つ か 呼 ば れ な く な る か も しれ な い 。 一 方 、 日本 で は 、 「愛 人 」 は 違 う道 を 辿 っ た 。 『岩 波 国 語 辞 典 』(第 四 版 ・1986)に 愛人. は 次 の よ うな 指 摘 が あ る。. 恋 愛 の 相 手 。 こ い び と。 第 二 次 大 戦 後 、 新 聞 で 「情 婦 」 「情 夫 」 を 避 け て. こ の 語 を 使 い 、 「恋 人 で な く〜 だ 」 の よ う な表 現 も生 じ た 。 40)愛. 人 を 殺 し て 自 首(朝. 日新 聞 ・昭 和26.1.3). 一 日朝 五 時 品 川 区 大 井 山 中 町 四 二 三 〇 丸 山 氏 方 無 職 ○ ○ ○(二 聞 き な が ら、 愛 人 の ○ ○ さ ん(二. 三)を. 九)は. 除夜 の 鐘 を. 殺 し た と大 井 署 に 自首 し た 。(中 略)○. ○は. 早 瀬 謙 の 芸 名 で 日劇 シ ョ ウ な ど に 関 係 して お り、 広 島 県 に妻 子 が あ る。 41)ピ. ス トル 心 中 (前 略)○. 警 官 と愛 人(朝. 日新 聞 ・昭 和26.1.9). ○ 氏 は 新 潟 県 に い る 妻 と別 居 、 昨 年 八 月 ご ろ か ら ○ ○ さ ん と 同 居 す る. 前 に も別 の愛人 が あ っ た。 ま た 、太 宰 治 が 戦 後 間 も な く書 い た 小 説 、『斜 陽 』(1947)に 42)私. は 次 の よ うな 例 が あ る。. が 前 か ら、 或 る お 方 に 恋 を して い て 、 私 将 来 、 そ の お 方 の 愛 人 と し て 暮 らす つ. も りだ と い う事 を は っ き り言 っ て しま い た い の で す 。 43)私. は 、 お メ カ ケ 、(こ の 言 葉 、 言 い た く な くて 、 た ま ら な い の で す け ど 、 で も 、. 愛 人 と 言 っ て み た と こ ろ で 、 俗 に 言 え ば 、 お メ カ ケ に 違 い な い の で す か ら、 は つ き り 言 うわ)そ. れ だ け 、か ま わな いん です。. 「愛 人 」 は い わ ば 、 俗 の 「メ カ ケ 」 に 対 す る 雅 称 で あ り、 遠 回 しの 言 い 方 で あ る 。 「斜 陽 族 」 とい う流 行 語 ま で 生 み 出 し た 太 宰 治 の 名 著 が 、 「愛 人(め. か け)」 とい う表. 現 の 定 着 に 大 き く影 響 した に違 い な い 。 ち な み に 、 現 在 の 読 売 新 聞 の 『差 別 表 現 ・不 快 語 ・注 意 語 要 覧 』 で は 、 「愛 人 」 は 、 「特 別 な 場 合 以 外 は 使 わ な い 方 が よ い 」 と さ れ るBラ か け 」 な どの 言 い 替 え と して 挙 げ ら れ て い る。(※A…. ン ク の 「情 夫/情 使 用 し な い;C…. 婦/二. 号/め. 文脈 に よっ. て は 使 わ な い 方 が よ い)。 し か し、 そ の 表 現 す る こ と 自体 に 対 す る 認 識 が 根 本 的 に 変 わ ら な い 限 り 、 言 葉 を い く ら替 え て も 、 結 局 、 言 い 回 し を 重 ね て い く 単 な る 「言 葉 の 置 き 換 え 」 に な りか ね な 一70一.
(13) 〈12>. い の で あ る 。 戦 後 で は 聞 こ え の い い 「愛 人 」 も 昭 和 四 十 年 代 に 入 る と 、 「何 と も 言 え な い 陰 湿 な 響 き 」 を 帯 び る よ うに 変 わ っ た。 44)愛. 人 に 愛 人 以 上 の 昇 格 は な い の だ 。 同棲 、 愛 人 とい う言 葉 に は 、 何 と も 言 え な い. 陰 湿 な 響 き が あ っ た。 罪 の 匂 い が す る し、 不 潔 で あ っ た 。 45)愛. 人 とい う言 葉 に 、 陰 湿 な 響 き を感 ず る の も 、 み ず か ら の 立 場 を 卑 下 し て い る か. ら で あ っ た。 妻 よ り も 愛 人 の ほ うが 一 段 と格 が 下 で あ る と 、 観 念 的 に 決 め こ ん で し ま っ て い る の だ 。 妻 と愛 人 を 、 比 較 す る 必 要 な い の で は な い だ ろ うか 。 妻 と愛 人 は ま っ た く別 個 の も の で あ り、 従 つ て そ の 立 場 も対 等 だ と考 え れ ば い い 。 人 間 的 な 意 味 で は 、 男 と女 の 関 係 に お い て 結 婚 よ り も愛 が 優 先 す る は ず で あ る 。 と す れ ば 、 形 だ け の 妻 の ほ か に 、 真 の 愛 人 が い て も そ れ を 不 倫 と 言 え る だ ろ うか 。 46)愛. す る 人 、 愛 され る人 、 だ か ら 愛 人 よ。 そ うい う意 味 だ つ た ら 、 愛 人 っ て 凄 く素. 敵 だ と 思 わ な い?(以 47)ふ. 上 三 例 、 笹 沢 左 保 『愛 人 』1969年). つ う愛 人 と呼 ば れ る 女 は 、 相 手 の 向 うに い つ も妻 の 存 在 を 強 く意 識 し な が ら暮. ら し て い る。 愛 す る 人 の す べ て が 自 分 の も の 、 と言 い 切 れ な い も ど か し さ に 、 自分 自 身 を苛 み 、愛 す る人 が妻 や 子 の待 つ 家 へ帰 って しま った後 の 空 し さに 、耐 え きれ ない 想 い を 噛 み し め る。(『. 愛 人 ヨ ー コ の 遺 書 』 ・解 説 ・藤 本 統 紀 子). 五 、 ま とめ. 本 稿 は 「愛 人 」 に つ い て 、 日中 間 の 交 渉 及 び そ れ ぞ れ の 国 の 言 語 に お け る 意 味 変 化 の 様 子 を 見 て き た 。 「愛 人 」 は 本 来 、 「人 ヲ 愛 ス ル 」 と の 意 味 で 、 これ が 日本 の 古 典 に も 同 じ意 味 で 使 わ れ て き た が 、 近 代 に 入 っ て か ら西 洋 文 化 と の 接 触 に よ っ て 、 翻 訳 語 と して の 「愛 ス ル 人 、 愛 サ レル 人 、 恋 人 」 と い う意 味 の 「愛 人 」 が 成 立 し 、 二 十 世 紀 初 頃 、 中 国 に も 逆 輸 入 され た 。 後 に 、 日本 の 方 で は 、 「愛 人 」 は 「恋 人 」 と 区 別 して 、 主 に 「情 婦 」 「妾 」 を 指 す よ う に な り、 戦 後 の 新 聞 に 出 た 愛 人 関 係 の 記 事 に 自 殺 ・心 中 な ど とい った 内容 が 多 か ったせ い か、 この言 葉 に は陰 湿 な イ メー ジ が 強い 。 一 方 、 中 国 の 方 で は 、 夫 婦 愛 を 重 視 す る恋 愛 事 情 に 加 わ り 、 「男 女 平 等 」 を 唱 え る 社 会 主 義 国 家 の 新 中 国 の 成 立 と い う背 景 な ど も あ っ て 、 「愛 人 」 と は 口語 で 専 ら 「夫 或 い は 妻 」 を 指 す よ うに な っ た 。. 注 *1厳. 密 的 に は 、 音 形 式 も同 じで な い と 、 「同 形 」 と は 言 え な い が 、 本 稿 で は 、 音 形. 式 の 問 題 を 考 慮 に 入 れ て い な い。 *2「. 愛 嬌 」 は 中 国 語 の 古 典 で は 、 「な ま め か しい もの を 愛 す る 」(大 漢 和)と 一69一. の意.
(14) <13>. 味 が あ る が 、 現 代 語 で は 、 「這 核 子 真 愛 嬌/こ. の 子 は 本 当 に 甘 え ん 坊 で す ね 」 とい う. よ うな 使 い 方 しか な い が 、 日本 語 と 同 じ よ うな 「可 愛 い 、 愛 想 が い い 」 と い う意 味 も 一 時 あ っ た ら しい 。 看 地 的 年 紀 至 多 不 過 十 七 八 歳 、 相 貌 和 挙 動 都 有 不 少 的愛 璽 。 (巴金 『愛 情 的 三 部 曲 之 一:霧. 』1933年. 、pp61). こ の よ うな 事 実 は 、 同 形 異 義 語 の歴 史 的 な 研 究 の 必 要 性 を も示 唆 して い る 。 *3加. 藤 弘 之 の 例 は 『明 六 雑 誌 』 第13号. (W.Lobscheid)『 英 華 辞 典 』(1866〜9)に 「Fond…;doting,恋. に 見 え る。 辞 書 の 方 で は 、 ロ ブ シ ャ イ ド 既 に 、 「Eagemess…;Fevor,恋. 慕、恋 愛」. 愛 、 貧 愛 」 の よ うに 、 「恋 愛 」 の 語 が 散 見 す る が 、 今 日 わ れ わ れ. が 使 う意 味 と必 ず し も一 致 しな い。 *4「loverとsweetheartは. 、 そ れ ぞ れ 特 に 、 男 の 恋 人 、 女 の 恋 人 を さす よ うで あ る が 、. 《恋 人 》 と 《愛 人 》 とい う訳 語 が 対 立 的 に あ て られ て い る 初 期 辞 典 に お い て は 、 他 明 確 に 男 女 の 別 を 示 す 訳 語 同 様 、 そ の 二 語 に よ り性 別 を も表 わ そ う と した も の と考 え られ る 。 これ は 、 《愛 》 が 本 来 、 強 者 の 弱 者 に 対 して 抱 く 、 い とお しみ の 感 情 を 意 味 す る 言 葉 で あ る こ とに か か わ りが あ る の か も しれ な い 。」 (『講 座 日本 語 の 語 彙10語 *5こ. れは. 「 愛 シ子 」→. 誌 Ⅱ』 明 治 書 院 、 昭 和58年. 。pp47.). 「 愛 子 」 の よ うな 既 存 語 彙 に 準 え て 新 た に 造 出 され た も の. で あ ろ う と思 わ れ る。。 *6張. 競 『近 代 中 国 と 「 恋 愛 」 の 発 見 』、 岩 波 書 店 、1995。pp9‑10.. *7張. 競 、 『近 代 中 国 と 「恋 愛 」 の発 見 』ppl7‑36。. *8韓. 国 で は 、 「愛 人 」 は ① 「人 を 愛 す る こ と 」、 と② 「恋 人 」 と の 意 味 しか な い 。. 日本 語 の 意 味 で の③. 「め か け 、 情 夫 、 情 婦 」、 と 中 国 語 の 意 味 で の ④ 「配 偶 者 で あ る. 妻 また は夫」 は ともにな い。. 【参 考 文 献 】 高 名 凱 ・劉 正 土炎(1958)『 一(1984)『 永 嶋 大 典(1970)『. 現 代漢語 外来 詞研 究』文 字改革 出版 社、 北京 漢 語 外 来 詞 詞 典 』 上 海 辞 書 出版 社. 蘭 和 ・英 和 辞 書 発 達 史 』 講 談 社. F.Masini著 、 黄 河 清 訳(1997)『. 現代漢 語詞 彙的形 成一 十九世 紀漢 語外 来詞研 究』 漢 語 大 詞 典 出版 社 、 上 海. 沈 国 威(1994)『. 近 代 日中 語 彙 交 流 史 』 笠 間 書 院. 日本 語 教 育 研 究 資 料(1978)『 狂 大 捷(1986)『. 中 国 語 と対 応 す る 漢 語 』 文 化 庁. 中 日 両 用 日漢 双 解 同 形 異 義 日語 漢 字 詞 典 』 中 国 農 業 机 械 出 版 社. 日本 語 と 中 国 語 対 照 研 究 会 編(1986)『. 一68一. 日本 語 と 中 国 語 の 同 形 語 』.
(15) 〈14〉. 佐 藤 享(1980)『. 近 世 語 彙 の歴 史 的 研 究』 桜 楓 社. 山 田 孝 雄(1940)『. 国 語 の 中 に 於 け る漢 語 の 研 究 』 宝 文 館. 杉 本 つ と む(1983)『 上 野 恵 司 ・魯 曉 現(1995)『. 日本 翻 訳 語 史 の 研 究 』 八 坂 書 房. 王 健 宜,王 彦 良(1995)『. お ぼ え て お き た い 日 中 同 形 異 義 語300』 光 生 館 日漢 同 形 詞 辮 異 詞 典 』 商 務 印 書 館. (じ ょ. 一67一. し で ん ・九 州 大 学 大 学 院 博 士 後 期 課 程).
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