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学位論文題名Characterization of an active DNA transposon n,Dart and its related elementsinrice

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Academic year: 2021

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博 士 ( 農 学 ) 高 木 恭 子

     学位論文題名

Characterization of an active DNA transposon n,Dart     and its related elementsinrice

(イネの活性を有するDNA トランスポゾン刀Dart とその関連因子の解析)

学位論文内容の要旨

  イ ネ は世 界の 主要 穀物 であ り、 ゲノ ム配列の解析や様々な機能ゲノム学的解析手法の開発 も進 ん でい るこ とか ら、 他の 穀物 のモ デル植物として注目が集まっている。ゲノム配列の解 析が ほ ぼ終 了し た現 在、 未知 遺伝 子の 機能を解明することが急務となっており、内在性の転 移性 因 子を 用い た遺 伝子 タギ ング は大 規模な遺伝子解析において非常に有効である。しかし なが ら イネ では 転移 活性 が確 認さ れた 内在性転移因子は非常に少数であり、そのほとんどは 培養 に よっ て転 移が 誘導 され るた め、 培養に伴う変異の影響を免れられない。実際、現在唯 一大 規 模な タギ ング 集団 が育 成さ れて いる レト ロト ラン スポ ゾ ンTos17も転移にカルス培養 を必 要 とす るた め、 高頻 度に 起こ る培 養変異の影響によってタギング効率はかなり低いこと が明らかになっている。

  基 礎 生物 学研 究所 分子 遺伝 学研 究部 門では、岡山大学資源生物科学研究所の前川雅彦教授 と 共 同 で 、 イ ネ の イ ン デ ィ カ 系 統(C‑5052)と ジ ャ ポ ニ カ 系 統(H‑126)の 交 雑 後 代 に 分離 した易変性ヴィレッセント変異 体pyl‑v(黄緑色地の葉に濃 い緑色の斑が入る変異体)から607 bpの hATス ー パ ー フ ァ ミ リ ー に 属 す る 新 規 の 非 自 律 性DNAト ラ ン ス ポ ゾ ンnDロrt   (non‑autonomous DNA‑based active rice transposon)を同定した。また、交雑実験の結果、Hー126 には 一 因子 の自律性因子(ロ Dart)が存在しており、aDartを交雑によって導入および分離す るこ と によ って凡Dartの活性を制御できることが明らかになった 。っまり、nDartは自然栽培 条件 下 で転 移を 制御 でき る因 子で あり 、同因子による遺伝子タギングが可能になれば、イネ の遺 伝 子機 能解 析に 大き く貢 献す るこ とが 期待 され る。 そこ で 、本研究ではnDartによる遺 伝子 タ ギン グの 可能 性を 検討 する ため 、イ ネゲ ノム 内のnDartおよび関連因子を探索し、そ の解析を行なった。

  ま ず 、同 定さ れたnDartの 配列 を 基に 、BLAST検索 によ って 公 開さ れて いる 日本 晴( ジャ ポニ カ )の ゲノ ム配 列内 のnDartお よび その 関連 因子 の探 索を 行なったところ、ほぼ同じ配 列を 有 する13コ ピー のnDartl.3サ ブグ ルー プ因 子の 他に 、末 端逆 方向 反復 配列(TIR)や隣 接する反復配列は等しいが内部 配列が異なる因子として、約600 bp前後の門Da′tl ‑101および nDartl‑201サブ グル ープ の因 子が 各々4およ び1コピ ーと 、一 部 が転 移酵 素と 推定 され る遺 伝子を有する3 kb前後のiDartl/dDartlサブグループ因子が53コピー見出された。また、iDartl 因子 が コー ドす る転 移酵 素遺 伝子 と高 い相同性を示す遺伝子配列を有するものの、末端の配

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列が 若干 異な る因 子と して 、iDart2、iDart3およぴiDart4サブグループの因子が各々7、1お よび2コピ ー同 定さ れた 。日 本晴 は交 雑実 験か ら活 性な 自 律性因子は存在しないことが示唆 され ているが、脱 メチル化剤の5アザシチジン (5−azaC)を種子に処理するとnDartlーコサブ グル ープ 因子 の脱 離が 認め ら れることから、 エピジェネティックに不活化された自律性因子 が存 在す ると 考え られ る。 そ れ故 、aDartはお そら くiDartl因子と類似の構造を持っことが 予想される。

  一方、転移性因子の遺伝子タギングヘの 有用性の評価や大規模なタギングを行なう上では、

ゲノ ム内 の因 子を 簡便 に可 視 化する手段が必 要不可欠である。そこで、トランスポゾンディ ス プ レ イ(TD)と い う 手 法 を 用 い て 、nDart関 連 因 子 の可 視化(Dart‑TD)を 試み た 。こ の手 法 はAFLP手 法 を 応 用 し たも ので 、制 限酵 素処 理を 行 なっ たゲ ノムDNAにア ダプ タ ーを 結合 させ 、転 移性 因子 に特 異的 な プラ イマ ーと アダ プタ ー特 異的なプライマ ーを用いてPCR増幅 を行 うこ とで 、転 移性 因子 の 近傍配列を一度 に大量に増幅することができる。先に同定した nDart関連因子の配列を元に、サブグループご と、あるいはいくっかのサブグループを同時に 増幅 でき る6種 のプ ライ マー を設 計し て実 験を 行っ た。 同 時に、設計したプライマーを用い た際 に検 出さ れる べきDart―TDバンドパター ンを日本晴のゲノム配列から計算し、実験で得 られたバンドパターンと比較することによ って実験系の有効性と′z Dart関連因子の近傍配列 の可 視化 の効 率を 検証 した 。nDart関 連因 子は 内部 配列 、 挿入配列ともにGC含量が高い場合 が多 く、'PCR増幅 は困 難で あ ったが、プライ マーや酵素を検討することによって、最終的に nDartl‑3サブグループ因子は100%、それ以外の因子も80 010以上の効率で増幅可能となった。

す な わ ち 極 め て 信 頼 性 の 高 い Dart‑TD実 験 系 の 確 立 に 成 功 し た と い え る 。   そ こで 確立 したDart−TDを 用い て、 次にnDart関 連因 子 の転移頻度および挿入部位の特徴 の調 査を 行な った 。用 いた 集 団は 単一 のpyl‑v個体 に由 来 する13個体の生殖細胞復帰体と、

さら にそ のう ちの4個体 の自 殖後 代52個体 であ る。 まずpyl‑v個体 と生 殖細 胞復 帰体 を用い てDart‑TD解析 を行 なっ たと ころ 、nDartl.3サブグループを可視化するプライマーでのみ多 数の多型が観察され、その他の関連因子で は転移の証拠は見っからなかった。このn Dartl・ゴ サブ グル ープ の高 い転 移頻 度 は生殖細胞復帰 体の次世代でも維持されており、親系統で転移 した因子の伝達も認められた。また、最初にpyl‑v変異体の原因遺伝子に挿入していた′zDartl・〇 因子 は、PCRで 脱離 を調 査す ると 他のnDartl‑3サブ グル ー プ因子に比べて高い脱離頻度を示 していた。そこで、nDartl・〇特異的に存在する塩基置換を利用して凡Dartl・〇因子のみを可視 化するDart‑TD系を確立して解析を行った。その結果、両世代において 転移した凡Dartl・コサ ブグループ因子のうちの半分以上がnDartl,〇であることが明らかになった。一方、新規挿入 因子 に相 当す るTDノく ンド を 切り 出し てシ ーケ ンス 解析 を行 い、155の 挿入 領域 をBLAST検 索に よっ て同 定し たと ころ 、 全ての染色体に 挿入が起こっており、挿入部位には特定の認識 配列 は認 めら れな かっ た。 さ らに、約60%の 因子は遺伝子領域に挿入しており、特に翻訳開 始点の5 上流 に挿入しやすい傾向が明らかになった。これらの結果は、nDarrl,ゴサブグルー プ因 子( 特にnDartl‑0)がaDartの 存在 下で 挿入 配列 の制 限な しに 高頻 度に 遺伝 子領 域に挿 入す るこ とを 強く 示唆 して お り、遺伝子タギ ングへの有用性を高く支持するものである。こ の予 想に一致して 、既にpyl‑v系統の後代集団 から複数の表現型変異体が分離されている。そ の内 のー っで ある ジベ レリ ン 非感受性矮性易 変性変異体thumbelin.a‑mutable (rhl・m)は、

Dart‑TD解 析に よっ て原 因遺 伝子 の同 定に 成功 した 。本 研 究で確立したDart―TDを利用した     ―1077―

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nDartによる遺伝子タギングは、今後のイネの遺伝子機能解析において非常に有効な手段とな りうるものと確信している。

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学位論文審査の要旨 主 査    教授    佐野芳雄 副 査    教授    三上哲夫 副 査    教授    飯田    滋 副査   助教授   貴島祐治

     学位論文題名

Characterization of an active DNA transposon 7zDart     and its related elements in rice

( イ ネ の 活 性 を 有 す るDNAト ラ ン ス ポゾ ン 刀Dartと そ の 関連 因 子 の解 析 )

  イネは世界の主要穀物であり、穀物のモデル植物としても注目が集まっている。イネでは、

現在、未知遺伝子の機能を網羅的に解明することが急務となっており、内在性の転移性因子 を用いた遺伝子タギングは極めて有効となる。イネでは転移活性が確認された内在性転移因 子は少なく、そのほとんどは培養によって転移が誘導されるため、培養に伴う変異の影響を 受ける。本研究では、近年発見された非自律性DNAトランスポゾンnDarと(non一autonomous DNAーbased active rice transposon)の活性化による遺伝子タギングヘの可能性を検討した。

得られた結果は以下のように要約される。

  1)既知のnDart配列を基に、BLAST検索によって公開されている日本晴(ジャポニカ)の ゲノム内のnDartおよびその関連因子の探索を行なったところ、ほば同じ配列を有する13コ ピーのnDartlヤサブグループ因子の他に、末端逆方向反復配列は等しいが内部配列が異なる 因子として、約600bp前後のnDar ti ‑101およびnDar tI ‑201サブグループの因子が各々4およ び1コピーと、一部が転移酵素と推定される遺伝子を有する3 kb前後のiDar tl/伽aruサブ グループ因子が53コピー見出された。また、jぬrt|因子がコードする転移酵素遺伝子と高い 相同性を示す配列を有するものの、末端の配列が若干異なる因子として、jDart2、j仍rt3お よびjぬrt4サブグループの因子も複数同定された。交雑実験から日本晴は活性ある自律性因 子をも たないは 存在しない ことが示 唆されて いるが、 脱メチル 化剤の5ア ザシチジン

(5ーazaC)を種子に処理するとn仍rt|ヤサブグループ因子の脱離が認められることから、エ ピジェネティックに不活化された自律性因子が存在すると考えられる。それ故、aぬrcは jぬrtJサブグループ因子と類似の構造を持っと予想される。

  2)転移性因子の遺伝子タギングへの利用を計る上で、ゲノム内の因子を簡便に可視化する 手段が必要不可欠である。そこで、トランスポゾンディスプレイ(TD)による、nDart関連因 子の可視化(Dart―TD)を試みた。先に同定したnDart関連因子の配列を元に、サブグループ ごと、あるいはいくっかのサブグループを同時に増幅できる6種のプライマーを設計して実 験を行った。同時に、設計したプライマーを用いた際に検出されるべきDart―TDバンドパタ     ―1079―

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ー ンを日本 晴のゲ ノム配列 から推 定し、実 験で得ら れたバ ンドパターンと比較することによ っ て実験系 の有効 性とnDart関連因 子の近傍 配列の 可視化の 効率を検証した。nDart関連因子 は 、GC含 量が高 く、PCR増幅は困 難であ ったが、 プライ マーや酵 素を検 討して極 めて信頼 性 の高いDart−TD実験系が確立した。

    次 に 、nDart関 連 因 子の 転 移 頻度 お よ び挿 入 部 位の 特 徴 の調 査 を 行な っ た と ころ 、 nDar tl―3サブグループを可視化するプライマーでのみ多数の多型が観察され、その他の関連 因 子では転 移は見 られなか った。 この結果は、nDartJ ‑3サブグループの転移頻度が高く、転 移 した因子 が世代を超えて伝達することを意味する。nぬrtJー〇因子のみを可視化する手法を 確立して解析した結果、転移したnぬrt|ー3サブグループ因子の半分以上がnぬrt|―〇であるこ とが明らかになった。

  3) 挿入 部 位の 塩基配 列特異性 を検討す るため 、新規挿 入因子 に相当す るTDバン ドを切り 出してシ ーケン ス解析を 行った。155の 挿入領域 をBLAST検索によ って同 定したところ、全て の染色体 に挿入 が起こっ ており、挿入部位には特定の認識配列は認められなかった。さらに、

約60%の因 子が遺 伝子領域 に挿入 しており 、転写開 始点の5 上流に挿入しやすい傾向が明ら かになった。゛これらの結果は、nぬrと|ー3サブグループ因子がa口arとの存在下で挿入配列の制 限なしに 高頻度 に遺伝子 領域に挿 入する ことを強 く示唆 しており 、遺伝 子タギングへの有用 性を 示 し てい る。 この予 想に一致 して、既 にpn―y系統の 後代集 団から複 数の表 現型変異 体 が 分 離 さ れ て い る 。 そ の 内 の ー っ で あ る ジ ベ レ リ ン 非 感 受 性 矮 性 易 変 性 変 異 体 舶 伽6elj朋 啣uta6|eは 、DartーTD解 析 に よ っ て 原 因 遺 伝 子 の 同 定 に 成 功 し た 。

  本研究 では、 遺伝的に 制御する ことによって、イネの非自律性DNAトランスポゾンを活性化 するこ とによっ て、効 果的な遺 伝子タ ギングが 可能で あることを明らかにした。本研究で確 立したnDartに よる遺伝 子タギン グ手法 は、今後 のイネ の遺伝子 機能解 析におい て極めて 有 効な手 段となり うるも のと期待 される 。  よって 審査員 一同は、高木恭子が博士(農学)の 学位を 受けるの に十分 な資格を 有する ものと認 めた。

参照

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