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学位論文題名Angiotensinogen gene polymorphism in Japanese patients with hypertrophic cardiomyopathy

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Academic year: 2021

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博 士 ( 医 学 ) イ シ ャ ー ノ ヴ ・ ア リ シ ェ ー ル

     学位論文題名

Angiotensinogen gene polymorphism in Japanese     patients with hypertrophic cardiomyopathy

(肥大型心筋症におけるアンジオテンシノーゲン遺伝子多型症について)

学位論文内容の要旨

【背 景】左室肥大は、高血圧症、大動脈弁狭窄症などのpressure overjoadやカテコラミン、アン ジ オテ ンシンIIなどの液性因子な どによって発症、進展するこ とが知られている。一方、 肥大 型心 筋症(HCM)は遺伝的透過性の 高い疾患であり、心筋構造蛋 白であるミオシン重鎖、ト口ポニ ンTな どの 遺伝 子 異常 の関 与が多 く報告されている。欧米では 、その割合は30から50%と 考え ら れて い るが 、日 本人 で は、ミオ シン重鎖、トロポニンTの遺 伝子変異が欧米ほど多くな いこ と から 、 強カ な昇 圧系 で ある レニ ンー アン ジ オテ ンシン系(RAS)における遺伝子多型性 との 関 連が 着 目さ れて おり 、 我々はこ れまでにアンジオテンシン 変換酵素遺伝子とHCMの関連 につ い て報 告している。さらに最近、 レニン基質であるアンジオテ ンシノーゲン遺伝子が、心 筋梗 塞 や心 肥大などの心疾患と関連す ることが報告され、心肥大の 進展への関与について研究 され てい る。

【 目的 】 今回 、我 々は 、HCMとレ ニンーアンジオテンシン系の 関連をさらに明らかにする 目的 で 、HCM患 者、 お よび その 健常家 族において、アンジオテンシ ノーゲン遺伝子多型性を検 討し た。

【 方 法 】 対象 :対 象 は心 エコ ー検 査を 施 行し 、HCMと 診断 され た患 者 『全HCM患者 群』96名 と その 家 族歴 を有 する 健 常者『健 康家族群』105名及びコント 口ール群160名の計361名。 これ ら を 同 一 家計 内複 数 発症 を認 める 家族 性HCM患 者 群(FHCM群) と家 族内 発症 を 認め ない 弧発 性HCM患 者 群(SHCM群 )に 分類 し、 家族 歴 聴取 、血 圧測 定 、心 電図 検査 を施 行 した 。以 上の 操 作に よ って 分類 した の 各群間で アンジオテンシノーゲン遺 伝子多型の3通りのgenotypeの出 現比 率に属する人数を調べ比較し た。

統 計はX2(カイ二乗検定)を用い 、5%の危険率で各群間の独 立性を検定した。HCM発症に おけ る アン ジ オテ ンシ ノー ゲ ンT7M遺伝 子 多型 の関 与と 評 価す るた め、 オッ ズ 比と95%信頼 区間 は 健康 家族群の低い危険率を元に 算出された。さらに我々は危 険率のぺースラインを求め るた め に 健 康 家 族 群 を 用 い 、TT多 型 よ る 危険 率と 同 様にTaljeleの関 与に つい て も検 討し た。

分 析方 法 :遺 伝子DNAは、 白血 球細 胞 核よ り抽 出し た。アン ジオテンシノーゲンのT174Mおよ びM235T塩 基 置換 部位 はエ ク ソン2に存 在 して いる ため 、 エク ソン2及 びイ ント ロン2に 相補 的な プライマーを用い、polymerase chain reaction (PCR)法によりエクソン2断片を増幅した。

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制限酵素SfaNI処理することにより、266塩基対に断片化されるPCR産物(M235)と、断片化 されずに303塩基対のもの( T235)に分けられ、各群間でアンジオテンシノーゲン遺伝子につ いてTT遺伝子型,MT遺伝子型,MM遺伝子型に分類した。なお、操作に伴うコンタミネーショ ン防止のため、サンプルDNAとプライマ一以外のすべての試薬には紫外線照射を行い、更にPCR の際にはサンプル5本にっき1本のブランクをおいて分析した。

【結果】各群の間で、年齢、血圧に有意差を認めなかった。心工コー図法上、FHCM群とSHCM 群間においては、左室最大壁厚について差を認めず、また肥大の形態についても偏りを認めな かった。アンジオテンシノーゲン遺伝子‑rr,MT,MMはそれぞれ、肥大型心筋症と健常家族の 男性の66%、33%、1%に対し、女性の63%、32%、4%に認められ、有意差はなかった。

アンジオテンシノーゲン遺伝子の3っの遺伝子型;TT,MT,MMの出現パターンを比較した場合 も、IT遺伝子型の発現頻度がSHCM群において高く、コント口ール群の間に、有意差を認めた。

FHCM群においては、コント口ール群の間に差を認めなかった。遺伝子型比率は健常家族の Hardy‑Weinberg式に従っており(X2=0.4)、コントロール群と同様であった(X2=1.7)。

オ ッズ比(HCMとTT遺伝子 型、MT遺 伝子型、MM遺伝子 型の間の 相対危険率の検定)はHCM 群で1.5(95%信頼区間0.9〜2.8、X2〓2.1)、FHCM群で1.1 (95%信頼区間0.5〜2.3、xz=0.1) そしてSHCM群で2.1 (95%信頼区間1.0〜 4.3、Xz=3.9、pく0.05)であった。FHCM群とSHCM 群 の ア ン ジ オ テ ン シ ノ ー ゲ ンT/M遺 伝 子 型 の 間 に は 有 意 差 を 認 め な か っ た 。 各群間のアンジオテンシノーゲン遺伝子多型の分析結果によって、肥大のない健常家族群のT allele頻度は0.78であり、コン卜ロール群と同様であった。全HCM群も0.80でほぼ同様のTallele 頻度を認めた。SHCM群のTallele頻度は高い値を示し(88%vs 78%,X2ニ6.0、pく0.025)、コ ントロール群との間に有意差を認めた。健常家族群の兄弟と子孫との間のT aljele頻度は、高血 圧及び左室肥大を認めないコント口ール群でのそれと同様であり(78%vs 78%)有意差を認め なかった。健常家族群の兄弟と子孫のM allele頻度はSHCM群患者よりも高率であった(23%vs 12%,X2=4.6、pく0.05)。

【討議、結論】アンジオテンシノーゲン遺伝子多型とHCMの関連について検討した結果、Tajlele 頻度とrr遺伝子型の出現パターンについて家族内発症を認めないsporadicHCM群において相関 を認めた。アンジオテンシノーゲン遺伝子は、HCM(特に弧発例において)における心肥大形 成に重大な役割を担うと考えられた。

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学位論文審査の要旨

     学位論文題名

Angiotensinogen gene polymorphism in Japanese     patierits with hypertrophic cardiomyopathy

( 肥 大 型 心 筋 症 に お け る ア ン ジ オ テ ン シ ノ ー ゲ ン 遺 伝 子 多 型 症 に つ い て )

  肥大型心筋症(HCM)は遺伝的透過性が高く、約半数の症例において家族内発症が認められ、さ らにその半数において心筋構造蛋白であるミオシン重鎖、トロポニンTなどの心筋サルコメア 構成たんぱく質に遺伝子変異が見い出される。しかし、HCMの半数は責任遺伝子の明らかでは ない弧発発症例であり、日本人では、ミオシン重鎖、トロポニンTの遺伝子変異は欧米ほど多 くはないこと、また、疾患発症は成人例が多いことからサルコメア構成たんぱく質以外に発症 あるいは進展関連遺伝子の存在することが示唆されていた。申請者は、心肥大とレニン・アン ジオテンシン系との強い相関性に着目し、中でも、レニン基質であるアンジオテンシノーゲン 遺伝子が、心肥大と関連するとの報告に基づき本研究に着手した。すなわち、本研究はHCMへ のレニン・アンジオテンシン系の関与を明らかにする目的で、HCM患者、およびその健常家族 において、アンジオテンシノーゲン遺伝子多型性を検討したものである。対象は心エコー図検 査を施行し、HCMと診断された患者「全HCM患者群」96例と心肥大を有しない家族「健常家 族群JI05例及び「全HCM患者群Jと性、年齢を マッチさせた健常者コントロール群160例の 計361例である。 「全HCM患者群Jは同一家系内複数発症者を認める家族性HCM患者群(FHCM 群)と家族内発症を認めない弧発性HCM患者群(SHCM群)に分類し、家族歴聴取、血圧測定、

心電図検査、心エコ―図検査を施行した。以上の操作によって分類した各群間でアンジオテン シノーゲン遺伝子多型の3通りのgenotypeの出現比率と臨床上の指標とを比較検討した。遺伝子 DNAは、自血球細 胞核より抽出した。アンジオテンシノーゲンのT174MおよびM235T塩基置 換部位はエクソン2に存在しているため、エクソン2及びイントロン2に相補的なプライマーを 用い、polymerase chain reaaion (PCR)法によルエクソン2断片を増幅した。制限酵素SfaNI処 理することにより、266塩基対に断片化されるPCR産物(M235)と、断片化されずに303塩基 対のもの(T235)に分け、各群間でアンジオテンシノーゲン遺伝子についてTT遺伝子型.MT 遺伝子型,MM遺伝子型に分類した。その結果、アンジオテンシノーゲン遺伝子Tアレル頻度及 びrr遺伝子型の頻度はHardy‑Weinb erg式に従ったことが示されている。その際、肥大のない健

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和 顕

義  

  玲

上 畠

川 北

授 授

教 教

査 査

主 副

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常家族群のT allele頻度はO.78であり、コントロール詳と同様で差を認めなかった。しかし、

SHCM群においてTアレル頻度及びrr遺伝子型の頻度が高く、健常家族群及びコントロール詳 の問 に有意差 を認め た。申請 者は、 さらにHCMとTT遺 伝子型、MT遺伝子型、MM遺伝子型 の間の相対危険率の検定するため、オッズ比用いてHCM群で1.5、FHCM群で1.1そしてSHCM 詳で2.1であるることを示した。しかし、FHCM群とSHCM群のアンジオテンシノーゲンT/M 遺伝子型の間には有意差を認めなかった。以上の結果から、申請者はアンジオテンシノーゲン 遺伝子が、HCM、特に弧発例において、心肥大形成に重大な役割を担うと結論している。

  学位論文の公開発表に際して副査の岸教授から、孤発性肥大型心筋症と家族性肥大型心筋症 との本質的な違い、予防医学的な立場から方法論としての遺伝子多型性の検討の意義、ことに 申請者によるレニン・アンジオテンシン系遺伝子多型性の意義と将来展望について、副査の北 畠教授から、孤発性肥大型心筋症と家族性肥大型心筋症との肥大様式の違い、遺伝子多型性の 違いが肥大様式へも影響しうるか否かについて、また、アンジオテンシノーゲン遺伝子Tアレ ルの人種間の違いとTアレル頻度の病態的意義について、また、主査の川上教授からはアンジ オテンシノーゲン遺伝子Tアレル頻度と血清アンジオテンシノーゲン濃度との関係ついて、さ らに、今回明らかにされたアンジオテンシノーゲン遺伝子と孤発性肥大型心筋症の関係の遺伝 学的意義と家族性肥大型心筋症ですでに明らかにされている責任遺伝子との意義の違いについ て質問がなされた。申請者は研究結果に基づぃて、あるいは、文献的知識を駆使して、誠実に かつ、概ね適切に回答し得た。

肥大型心筋症(HCM)の発症あるいは進展に関連する遺伝子として、レニン・アンジオテンシン 系、ことにアンジオテンシノーゲン遺伝子との関連性を明らかにした本研究は、原因の必ずし も明らかではない肥大型心筋症の成因、発症機転の解明に重要な寄与をしうるものと評価され る。

  審査員一同は、申請者の豊富な学識に併せて、この研究が肥大型心筋症研究の進展に与える 成果 を評価し 、申請 者が博士(医学)を受けるに十分な資格を有するものと判定した。

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参照

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