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学位論文題名Genetic analysis of the hooded phenotype in the rat

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Academic year: 2021

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博 士 ( 獣 医 学 ) 鳥 越 大 輔

    

学位論文題名

Genetic analysis of the hooded phenotype in the rat

(ラット頭巾斑表現型の遺伝学的解析)

学位 論文内容の要旨

げっ歯類における被毛色研究は、その明らかな表現型故に古くから研究がなされており、現在ま でに約150個の遺伝子座と約1,000個の対立遺伝子の存在が明らかとなっている。一般的に被毛色は、発 生初期段階において神経堤より派生する神経堤細胞から分化、誘導されるメラノサイトが産生するメ ラニンによって規定される。神経堤細胞はメラノサイト以外にも骨細胞や軟骨細胞、末梢神経細胞、

内分泌細胞 など様々な系列に分化できる多能性を持っており、ワーデンブルグ症候群に代表される神 経堤 細胞の分化異常の疾患では、被毛色異常と同時に難聴や腸管神経節欠損など、皮膚以外の臓器に

も異常が見られることが報告されている。

頭巾斑表現型はラッ ト特有の被毛色表現型で、その遺伝子座は第14染色体に座位し常染色体劣性 遺伝様式を示すことが明らかとなっている。頭巾斑遺伝子座には複数の対立遺伝子が存在することや、

頭巾斑の表 現型を修飾する遺伝子座が存在することが報告されているが、それらの責任遺伝子は未だ に明らかと なっていない。また、頭巾斑表現型は被毛色のみに現れ、その他の神経堤細胞由来の細胞 系列は正常である と考えられる。従って、頭巾斑遺伝子座の解析は被毛色異常のメカニズムを明らか にするだけ でなく、神経堤細胞の分化、遊走のメカニズム解明にも有用であると考えられる。よって 本研究では、頭巾斑表現型ならびに頭巾斑表現型修飾因子の遺伝学的解析を試みた。

第一章 では野生型のISラットと頭 巾斑表現型のLEAラットの戻し交配個体795匹を用いて詳細マツ ピング を行った。その結果、頭巾斑遺伝子座はマイクロサテライトマーカーD14Hoklと強く連鎖し、

D14Rat841J>らD14Got40までの約0.4 Mbpに存在することを明らかにした。この領域に含まれるタンパク

830 ‑

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質 を コ ー ドす る遺 伝 子はKitの みで あ り、 ゼブ ラ フィ ッシ ュ から ヒト に 至る まで 多 くの 脊椎 動 物に おい

Kit遺 伝子 の 変異 によ り 色素 産生 異 常を 呈す る こと が報 告 され てい る 。こ のこ と からKitが頭巾 斑遺伝 子 座 の有 カな 原 因遺 伝子 で ある と考 え られ た。 し かし なが らKitの コー ディ ン グ領 域に は 野生 型と 頭 巾 斑 表 現 型 の 問 で1つ の 同 義 変 異 が 存 在 す る のみ で、 胎 齢期 から 新 生子 期、 成 体ま でKitのmRNAの発 現量

に 有 意 た 差 は 見 ら れ な か っ た 。 さ ら に 、免 疫 染色 によ る とメ ラニ ン が存 在し な いLEAラッ トの 白 色被 毛 部 位に おい て もメ ラノ サ イト マー カ ーで あるKit陽 性 の細 胞が 検 出さ れた 。 この こと か ら頭 巾斑 表 現 型 はKitの 単純 な発 現 量の 変化 で はな く、 何 らか のメ カ ニズ ムに よ るメ ラノ サ イト の機 能 異常 が原 因 で

あ ると推測された。

次 に 、 頭 巾 斑 表 現 型 の修 飾遺 伝 子座 を同 定 する ため に 、野 生型 に 類似 した 表 現型 を示 す 頭巾 斑の 対 立 遺 伝 子 が を 保 持 す るBNラ ッ ト とLEAラ ッ トを 用い て 遺伝 解析 を 行っ た。F2個体 にお い て体 表面 積 に 占 め る 有 色 被 毛で 覆わ れ た面 積を 背 側、 腹側 、 全体 にっ い てそ れぞ れ 調べ たと こ ろ、 その 値 は全 て 明 ら か な2群に 分 離せ ず連 続 的な 値を 示 した こと か ら複 数の 遺 伝子 座に よ る制 御が 示 唆さ れた 。 そこ で QTL解 析 を 行 っ た と こ ろ 、 全 て の 場 合 に お い てD14Got40近 傍 に 非 常 に 強 いQTLが検 出 され た。 ま た背 側 に お け る 第17染 色 体 に 強 いQTLが 、 な ら び に 腹 側 に お け る 第15染 色体 に弱 いQTLが 検出 され た 。次 に 遺 伝 子 座 間 の 相 互 作 用、 エピ ス タシ ス解 析 を行 った と ころ 、背 側 の表 現型 に 関し てD14Got40 D20Mitl間 、お よびD14Got40D1 7Rat2間 に おい て強 い 相互 作用 が ある こと が 明ら かと なった。

D14Got40は 頭 巾 斑 遺 伝 子 座 の ま さに 近 傍で あり 、 これ らの 結 果か ら頭 巾 斑遺 伝子 座 その もの が その 他 の遺 伝子 座 と相 互作 用 して 頭巾 斑 表現 型を 調 節し てい る 事、 っま りKitと 他の 遺伝 子 座に コー ド され る タ ンパ ク 質の 相互 作 用が 頭巾 斑 表現 型の 調 節に 重要 で ある 事が 示唆された。

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(3)

学位論文 審査の要旨 主査

副査 副査 副査

教授 教授 教授 准教授

安居院 昆 木村 佐々木

高志 泰寛 和弘 宣哉

    

学位論文題名

Genetic analysis of the hooded phenotype in the rat     

( ラ ッ ト 頭 巾 斑 表 現 型 の 遺 伝 学 的 解 析 )

げ っ 歯 類 に お け る 被 毛 色 研 究 は 、 そ の 明 ら か な 表 現 型 故 に 古 く か ら 研 究 が な され てお り、

現 在 ま で に 多 数 の 遺 伝 子 座 と 対 立 遺 伝 子 の 存 在 が 明 ら か と な っ て い る 。 一 般 的 に 被 毛 色 は 、 発 生 初 期 段 階 に お い て 神 経 堤 よ り 派 生 す る 神 経 堤 細 胞 か ら 分 化 、 誘 導 さ れる メラ ノサ イ ト が 産 生 す る メ ラ ニ ン に よ っ て 規 定 さ れ る 。 神 経 堤 細 胞 は メ ラ ノ サ イ ト 以 外に も骨 細胞 や 軟 骨 細 胞 、 末 梢 神 経 細胞 、内 分泌 細胞 など 様々 ぬ系 列に 分化 でき る多 能性 を 持っ てお り、

ワ ー デ ン ブ ル グ 症 候 群 に 代 表 さ れ る 神 経 堤 細 胞 の 分 化 異 常 の 疾 患 で は 、 被 毛 色異 常と 同時 に 難 聴 や 腸 管 神 経 節 欠 損 な ど 、 皮 膚 以 外 の 臓 器 に も 異 常 が 見 ら れ る こ と が 報 告 さ れ て い る 。 頭 巾 斑 表 現 型 は ラ ッ ト 特 有 の 被 毛 色 表 現 型 で 、 そ の 遺 伝 子 座 は 第14染 色 体 に 座 位 し 常 染 色 体 劣 性 遺 伝 様 式 を 示 す こ と が 明 ら か と な っ て い る 。 頭 巾 斑 遺 伝 子 座 に は複 数の 対立 遺 伝 子 が 存 在 す る こ と や 、 頭 巾 斑 の 表 現 型 を 修 飾 す る 遺 伝 子 座 が 存 在 す る こ とが 報告 され て い る が 、 そ れ ら の 責 任 遺 伝 子 は 未 だ に 明 ら か と な っ て い な い 。 ま た 、 頭 巾 斑表 現型 は被 毛 色 の み に 現 れ 、 そ の 他の 神経 堤細 胞由 来の 細胞 系列 は正 常で ある と考 えら れ る。 従っ て、

頭 巾 斑 遺 伝 子 座 の 解 析 は 被 毛 色 異 常 の メ カ ニ ズ ム を 明 ら か に す る だ け で な く 、神 経堤 細胞 の 分 化 、 遊 走 の メ カ ニ ズ ム 解 明 に も 有 用 で あ る と 考 え ら れ る 。 よ っ て 申 請 者 は、 頭巾 斑表 現 型 な ら び に 頭 巾 斑 表 現 型 修 飾 因 子 の 遺 伝 学 的 解 析 を 試 み た 。

  ま ず 申 請 者 は 野 生 型 のISラ ッ ト と 頭 巾 斑 表 現 型 のLEAラ ッ ト の 戻 し 交 配 個 体795匹 を 用 い て 詳 細 マ ッ ピ ン グ を 行 っ た 。 そ の 結 果 、 頭 巾 斑 遺 伝 子 座 は マ イ ク ロ サ テ ライ ト マー カ ーD14Hoklと 強 く 連 鎖 し 、D14Ra t84か らD14Got40ま で の 約0.4 Mbpに 存 在 す る こ と を 明 ら か に し た 。 こ の 領 域 に 含 ま れ る タ ン パ ク 質 を コ ー ド す る 遺 伝 子 はKitの み で あ り 、 こ の こ と か ら ぬ さ が 頭 巾 斑 遺 伝 子 座 の 有 カ を 原 因 遺 伝 子で あ ると 考え られ た。 しか しな がら 皿t の コ ー デ ィ ン グ 領 域 に は 野 生 型 と 頭 巾 斑 表 現 型 の 問 で1つ の 同 義 塩 基 置 換 が 存 在 す る の み で 、 胎 齢 期 か ら 新 生 子 期 、 成 体 ま でKitmRNAの 発 現 量 に 有 意 な 差 は 見 ら れ な か っ た 。

(4)

さらに、免疫染色によるとメラニンが存在しないLEA ラットの白色被毛部位においてもメ ラノサイトマーカーであるKit 陽性の細胞が検出された。このことから申請者は、頭巾斑 表現型は

Kit

の単純な発現量の変化ではなく、何らかのメカニズムによるメラノサイトの 機能異常が原因であると推測した。

  

次に申請者は、頭巾斑表現型の修飾遺伝子座を同定するために、野生型に類似した表 現型を示す頭巾斑の対立遺伝子ロを保持するBN ラットとヵを保持するLEA ラットを用い て遺伝解析を行った。F2 個体において体表面積に占める有色被毛面積の割合を背側、腹 側、全体についてそれぞれ調べたところ、その値は全て明らかな

2

群に分離せず連続的 な値を示したことから複数の遺伝子座による制御が示唆された。そこでquantitative

trait locus (QTL)

解析を行ったところ、全ての場合に船いてD14Got40 近傍に非常に強 いQTL が検出された。また背側に茄ける第

17

染色体に強いQTL が、ならぴに腹側に茄け る第

15

染色体に弱い

QTL

が検出された。次に遺伝子座間の相互作用、エピスタシス解析 を行ったと ころ、背側 の表現型に 関して

D14Got40

とD20M1 甜間、および

D14Got40

D1 7Ra

餾間において強い相互作用があることが明らかとなった。D14Got40 は頭巾斑遺伝 子座のまさに近傍であり、これらの結果から頭巾斑遺伝子座そのものがその他の遺伝子 座と相互作用して頭巾斑表現型における有色被毛率を調節している事、っまりKi とと他 の遺伝子座にコードされるタンパク質の相互作用が頭巾斑表現型の有色被毛率調節に重 要である事が示唆された。

  

以上一連の研究成果は獣医学の分野において新しい知見を与えるものと判断された。

よって、審査員一同は、上記博士論文提出者、鳥越大輔氏の博士論文は、北海道大学大

学院獣医学研究科規定第6 条の規定による本研究科の行う博士論文の審査等に合格と認

めた。

参照

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