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博士(工学)曽根田学位論文題名

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Academic year: 2021

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     博 士 ( 工 学 ) 曽 根 田 学 位 論 文 題 名

Formation of Graphite Intercalation Compounds   with Metal Chlorides in Chloroform Solution

(クロ口ホルム中での金属塩化物一黒鉛層間化合物の生成)

学位論文内容の要旨

  金属 塩化物 宀黒鉛 層間化 合物 は軽量 導電材 ,電池 活物質 ,有 機反応 触媒な どの応用が期待され てC、る。 その合 成方 法とし ては挿 入物質 (イン タ一 カレー ト)の蒸気を高温で黒鉛と接触させる 気相法 が最 も広く 研究さ れてい るが, 工業 的に利 用する ために はよ り穏和 な合成条件を見いだす ことは 重要 てある 。

  一方 ,いく っかの 金属塩 化物 は非水 溶液中 で黒鉛 と反応 して 黒鉛層 間化合 物を与えることが知 られて いる 。この 溶液法 は反応 が室温 付近で進行し,装置や手順が簡単であるなどの利点かある。

また溶 液法 で得ら れる生 成物は ,金属 塩化 物と共 に溶媒 分子を も黒 鉛眉間 に取り込み,金属塩化 物 一溶 媒 分子― 黒鉛か らなる3元 系層間 化合 物とな ると考 えられ る。 しかし ,黒鉛 層間で のイン ターカ レー ト濃度 が高い 低ステ ージ化 合物が得られていないこと,溶媒分子の定量が困難であり,

化 合物 の 化学組 成が決 定し難 いこ となど の理由 からそ の反 応過程 および 生成す る3元系化 合物の 物 性 に っ い て は ほ と ん ど 明 らか に さ れ て いな い 。 本 研 究で は 溶 媒 と し て主 に ク 口 口 ホル 厶 (CHC1ヨ )を 用 い , 金 属塩 化 物 ―CHC1ヨ ― 黒 鉛層 間 化合 物の合 成に っいて ,その 反応過 程を 明 ら か に す る こ と , 生 成 し た 黒 鉛 眉 間 化 合 物 の 物 性 に っ い て 考 察 す る こ と を 目 的 と した 。   3種 類 の ク口 口 ア ル カ ン 溶媒 (CC1ー ,CHC1い1,2ーCzH。Cl2)中で ,FeClヨ ,MoClヨ ,AIC1 NiCl:の 黒鉛へ の室温 での インタ 一カレ ーショ ン反 応をシ ート状 黒鉛の 電気抵 抗率をその場損lJ 定 する こ とと, 天然黒 鉛粉末 の反 応時間 に伴うX線 粉末図 形測定 を行 うこと によっ て追跡 した。

反 応時 間 の 経 過 に伴 っ て シ ー ト状 黒 鉛 の 電 気 抵抗 率 は滅 少し,X線 粉末図 形から はイン 夕―カ レ―シ ョン 反応の 進行が 確認さ れた。 多く の場合 は塩素 ガスの 導入 によっ て反応が加速され,電 気抵抗 率の 著しい 滅少が 観察さ れた。 そし て反応 過程の 抵抗率 減少 曲線の 形状と最終生成物の抵 抗率は 用い た溶媒 と溶質 の組合 せに依 存し ていた 。これ らの結 果は 溶媒分 子が塩化物と共にイン タ 一カ レ ートし て3元系層 間化合 物が生 成し ている ことを 示して おり ,また 塩化物 と溶媒 分子と

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の相互作用が個々の場合によって異なっていることに起因していると考えられる。この実験結果 をもとに,インターカレーション反応と用いられた溶媒の性質との関連を理解するために,溶媒 のアクセプ夕一数を用いて議論した。アクセプター数とドナ一数はそれぞれ溶媒分子のアニオン とカチオンに対する溶媒和能を表す尺度として提案された経験的パラメーターであるが,イン タ一カレーション反応の可否に対して,溶媒にっいてのこれらのパラメーターが良い指標となり 得ることを示した。

  FeClヨのCHC1。溶液中での黒鉛へのインタ一カレ―ション反応において,反応条件に依存し て構造が異なる2種類のFeClヨ―CHC1。―黒鉛3元系層間化合物が得られることを見い出した。

黒鉛をFeClヨのCHC1ヨ溶液中に分散させて塩素ガスを飽和させると,反応初期には気相法な どで合成される2元系化合物と同じc軸周期を持つFeClヨ‑CHC1。一黒鉛眉間化合物が生成し,

その後数日の反応で新しいc軸周期を持つ構造へと変化することが観察された。本論文では前者 をI型,後者の新しい構造をH型黒鉛層間化合物として区別した。反応液体の紫外―可視吸収ス ペクトル測定より,溶液中のFeClヨ濃度が1.5g/lOOmEより低く,かっ光を照射して合成を行つ た場合,溶液を調製してから数日後にFeCl,|―の急激な生成が観察された。そしてその様な条件 下で層間化合物 の合成を行った場合,溶存種の変化に伴って新しいc軸周期を持つH型FeCl。

―CHC1ヨ―黒鉛層間化合物が生成することを見い出した。一方,溶液中のFeClヨ濃度が高い場 合,あるいは希薄溶液であっても反応を暗所で行った場合にはFeCl|−は生成せず,そのような 条件下では気相法などで得られる2元系黒鉛層間化合物と同じI型構造を持つ黒鉛眉間化合物の みが得られ,新しい皿型構造の黒鉛層間化合物は得られなかった。また,気相法などで得られる 2元系FeClヨ一 黒鉛層間化合物化合物におけ るc軸周期はインタ―カレート層が塩化鉄分子1 層から成る事が明らかにされており,CHC1。中から得られたI型構造はこれと一致している;

一方矼型構造においては,実測のX線粉末図形とモデル構造からの計算強度との比較から,イン 夕一カレート層が塩化鉄分子の2層から成ることを明らかにした。

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合 物 から 調製し た膨 張化黒 鉛は, 対応す る2元系黒 鉛層間 化合 物を熱 分解し たもの より も黒鉛 層 面 の 剥 離 が 顕 著 で あ る こ と が 走 査 型 電 子 顕 微 鏡 観 察 よ り 明 ら か に な っ た 。   ま た ポリ イ ミ ド フ アル ム を 焼 成 す るこ と に よ って 得られ る黒鉛 フア ルムを 用いて3元 系Feー Clヨ ―CHC1。 ―黒 鉛 層 間 化 合 物お よ び3元 系MoCl。ーCHC1ヨ 一 黒 鉛 層 間化 合物と2元 系MoClヨ

― 黒鉛眉 間化合 物を 合成し ,室温 と液体 窒素 温度に おいて 電気伝 導度, ホー ル係数,磁気抵抗を 測 定した 。そし て, それら の実験 値から ,そ れぞれ の温度 での伝 導バン ド中 のキャリヤ―の濃度 と 易動度 を2キャリ ヤーモ デル を用い て計算 した、 。い ずれの試料も原料黒鉛より高い電気伝導度 を 示 した が,そ の増 加の程 度は層 間化合 物の構 造に 依存し ている ことが 明ら かとな った。3元 系 MoClヨ ーCHC1。 一 黒鉛 層 間 化 合 物は 対 応 す る2元 系 化 合 物 の1/4程 度 の電 気 伝 導 度 を示 し , 2種 類 の3元 系FeClヨ‑ CHC1ユ 一 黒鉛 層 間 化 合 物 はそ の 中 間 の 値を 示 し た。 すべて の層間 化合 物 試料に おいて 正孔 が主た るキャ リヤー であ り,黒 鉛層か らイン ターカ レー ト層への電荷移動が 起 こって いるこ とが 示され た。い ずれの 試料 におい ても室 温での キャリ ヤ一 濃度はほとんど変わ ら ず ,電 気伝導 度の 差は易 動度の 違いに よるも ので あった 。一方 ,液体 窒素 温度に おいて2元 系 MoClヨ― 黒 鉛 層 間 化合 物 の 正 孔 濃度 に 変 化 は みら れな いも のの, その他 のすべ ての3元系 層間 化 合物に おいて は, 正孔濃 度が減 少して いた 。しか し,す べての 層間化 合物 試料において温度の 低 下によ る正孔 易動 度の著 しい増 加にと もな って, 電気伝 導度が 増加し ,金 属的挙動が観察され た 。

  以 上, 有機溶 媒中で の金属 塩化物 の黒鉛へのインターカレーション反応にっいて,CHC1ヨ―Fe― Clヨ 系 を中 心 に そ の 反応 過 程 を 明 ら かに し た 。 特に この反 応系に 特徴 的な新 しい構 造の3元系 FeClヨーCHC1ヨ 一 黒 鉛 層 間化 合物の 生成を 見い出 した 。また ,CHC1ヨ 溶液か ら合成 したFeClヨ お よ びMoClヨ ―CHC1ユ ― 黒鉛3元 系 層 間化 合 物 の 熱的 および 電気磁 気的性 質にっ いて 明らか に し た。

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学位論文審査の要旨 主 査    教 授    稲 垣 道 夫 副 査    教 授    岩 本 正 和 副 査    教 授    小 平 紘 平 副査    教授    古市隆三郎

  本論文 は, 金属塩 化物と ク口口 ホル 厶分子 を同時 に黒鉛 結晶層 間に 持った 化合物,すなわち三 元系金 属塩化 物― ク口口 ホルム ―黒鉛 層間化 合物 ,にっ いて, その生 成過 程を検討すると共にそ の電磁 気物性 およ び加熱 挙動を 明らか にし, 黒鉛 層間で の金属 塩化物 とク 口口ホルムとの相互作 用 に っ い て 議 論 し た 結 果 を ま と め た も の で あ る 。 本 論 文 は 全7章 か ら 成 っ て い る 。   第1章 は諸論 であ り,黒 鉛層間 化合物 を非 水溶液 中で合 成する ことの 意義 を中心 に論ず ると共 に,本 論文の 目的 を述べ ている 。

  第2章 で は,FeClヨ ,MoCls,AIC1ヨおよ びNiClユ のク 口口ア ルカン (四塩 化炭素 ,ク 口口ホ ルムお よびジ ク口 口工タ ン)溶 液中に保持した黒鉛試料の電気抵抗率をその場測定するとともに,

X線 粉 末図形 の測定 から ,金属 塩化物 と一緒 に溶媒 分子 がイン 夕一カ レート し, 三元系 黒鉛層 間 化合物 が生成 して いるこ とを示 した。 層間化 合物 の生成 は酸化 剤であ る塩 素ガスの導入によって 著しく 加速さ れる ことを 実験的 に示し た。ま た, 生成層 間化合 物の抵 抗率 が溶媒に強く依存する ことを 明らか にし た。

  第3章 で は,FeClヨ の ク 口 口 ホル ム 溶 液 中 で のイン ター カレー ション 反応に よっ て構造 の異 なる2種 類 の 三元 系 化 合 物 を 合成 し 得 る こ とを 見 出し た。そ の中の1種 (I型と呼 ぶ)は 従来合 成が 報 告 さ れ て いる も の で,FeClヨの 蒸気と の反応 によっ て生 成する 二元系 化合物 と同一 の構 造パ ラメ 一夕 を示す 。ク口 口ホル ム溶液 中で の反応 初期に はこのI型 の三元 系層 間化合 物が生 成

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て , 黒 鉛層 間 で の 金 属塩 化 物 と ク口 口ホル ム分子 との相 互作 用の程 度が金 属塩化 物によ って 異 な っ て いる こと を示し た。 また,FeCl。―CHC1ヨ一 黒鉛層 間化合 物にっ いて は,100℃付 近まで の 加 熱 によ って 且型か らI型への 構造 変化が 見出さ れた。 この 相転移 は少量 のク口 口ホル ムの 放 出を とも なって おり, そのク 口口ホ ルム が黒鉛 層間で の金属 塩化 物の構 造に強 い影響を持ってい るこ とか 実験的 に示さ れた。

  第5章 で は , 本 研 究 で 合 成 し た2種 のFeClヨとCHC1ヨ と の 三 元 層間 化 合 物 お よ びMoCl。と CHC1ヨ の 三 元 系黒 鉛 眉 間 化 合 物に っいて 電気 伝導度 ,ホー ル係数 ,磁気 抵抗 を室温 および 液体 窒 素 温 度で 測定 し,伝 導バ ンド中 のキャ リヤ一 濃度 とその 易動度 を2キャリ ヤーモ デルを 用い て 算出 した 。その 結果, いずれ の化合 物も ホスト 黒鉛よ りも高 い電 気伝導 度を示 し,それは主キャ リヤ ―で ある正 孔の濃 度が増 加して いる ことで 説明で きた。

  第6章でtま ,これ らの 研究結 果を基 に,ク 口口 ホルム の黒鉛 層間化 合物生 成に 対する役割を論 じて いる 。すな わち, ク口口 ホルム は金 属塩化 物の溶 媒とし ての 役割の みでな く,黒鉛に対する 酸化 剤を 保持し 供給す る役割 を持っ てい る。さ らに, それは 金属 塩化物 と一緒 に黒鉛層間にイン 夕― カレ ーショ ンする 。この インタ ―カ レート として 黒鉛層 間に あるク 口口ホ ルムは金属塩化物 と 種 々 の相 互 作 用 を 持ち 得 る と 考 え られ た 。MoClヨ とCHC1ヨ の 間に は 強 い 相互 作用 が認め ら れ る こ と が 生 成 層 間 化 合 物 の 熱 挙 動 お よ び 電 磁 気 物 性 の 損l亅 定 か ら 明 ら か と な っ た 。   第7章は 総括 であり ,本論 文の研 究成 果を要 約して いる。

  こ れを要 するに ,著者 は金 属塩化 物―ク 口口ホ ルム― 黒鉛 三元系 眉間化 合物の 生成過程を検討 する こと によっ て,新 しい構 造を持 つ黒 鉛眉間化合物の合成に成功するとともに,.黒鉛層間でク 口口 ホル ム分子 が金属 塩化物 と種々 の相 互作用 を持ち 得るこ とを それら の熱挙 動および電磁気物 性の 測定 から明 らかに した。 これら の成 果は応 用化学 ,応用 物理 学,さ らに炭 素材料工学の進歩 に寄 与す るとこ ろ大で ある。 よって ,著 者は博 士(工 学)の 学位 を授与 される 資格あるものと認 める 。

参照

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