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博士(薬学)稲垣 準 学位論文題名

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Academic year: 2021

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(1)

     博士(薬学)稲垣   準 学位論文題名

ピンナトキシンA の合成研究

― BCDEF 環部の立体選択的構築―

学位論文内容の要旨

  ピンナトキシン矧は1995イ1こ、1. +すらによりiI|1縄J齷|枚工!イワカワハゴロモガ イ(Pinna muricata)からポ.離・構造 決定された。本化合物群は食川Hによる食1ニ書J毒 の原因物質と考え`られており、CL12゛チャネルのj襾t/l:化作川 が示唆されている。ま た、6,7―スピロイミン環(AG環)、6,5っ6―ジスピロケタールf(BCD環)、6,5‐ビシク ロ 環(EF環 )の 七つ の環 を含 むinij性イ オン 州: 人環 状ポ リエ ーテ ル構 造を 持つ こと が特徴として挙げられる。1998イIt、jtとらはI .村らの提唱す る′ト合成仮説に沿っ た合成戦略により全合成を達成し、ゝ1′l初f技;Ifされていた絶々、j.)r仆眦Iルが人然物の も の と は 逆 で あ る こ と を 川 ら か に し た 。 `11研 究 乞tで は ビ ン ナ ト キ シ ンAの 構 造 活性棚f剿に1りけての第ー‐歩として侖成fけ『究を1r ,ている。筆者は絶対円じmに関す る岸らの報・´lkを受け、これまでォrってきた符フラグメントの 合成法を|1f検討する と 共 に 、 ヘ ミ ケ タ ー ル ア ル コ キ シ ド の 分 「‑1´ 、Jヘ テ ロMichael反 心 を 利 川 す る BCDEF環 肖 |5の . ジ 体 選 択 的 備 築 法 をIj‖ 発 し た の で 以I` に *Ii;ltす る 。

1.合成計0|li

  ピ ン ナ ト キ シ ンAのBCDEF: 隙 舟bに 十u:I′ |す るClO‑C31フラ グメ ント のう ちEF 環部 分は 駿州 :条件.ドでの分n´、Jケター・ル化によってf艀築することにした。BCD 環部に*u 1′Iするジスピロケタールの合成汕:としては、対Lビするij't状のケトジオー ルを酸´は条件,l丶Iで環化さ廿るのが 般I的であるが、^n軒はC25fサのカ レボニル 慕に 注Hし、;:環 們: のス ピロ ケタ ール 合成iよの ・っ とし て:1られ ている分f‑I)jヘ テロMichaelJ攵J二ビを利J・l・jして.こ環rI!ジスピロケタールをf艀築することをォ1 川し た。さらに、環化反応nロ 巧J{仆はC23.C24fサIfllJで切Iりfし、C10―C23フラグメント とC24―C31フラグメントをアルドール荊おイ〒によルイ千成するォI.IlIIiを・、アてた。

2.フラグメントの合成

  ClO‑C2:3.ノ ラグ メ ント はDHPか ら合 成し たジ チ アン とI,− リンゴ駿 から合成した ヨウ化物をアルキル化によって網お合しC15−C23fサ卉15分の炭索´iす脩を+艀築し、7,|:

(2)

程 を 縦 てCl4‑C23付 : 轟お 分 に ホu`1′lす る メチ ル ケ ト ンを 合 成 し た。 こ の メ チル ケ ト ン とDー リ シ ゴl唆 か ら 合 成 し た ア ル デ ヒ ドを ア ル ド ール 反Lビ で 網 お 合し た 後 、71: ネ 琶を 経てCIO−C23f1Ziils分に杣|I′|するアルデヒドを合成した。

  C24‐C31フラグメントはL−アラビノースをfl|発弼〔1; I として9:1:ボ1!で合成したぱ,p 不 飽和 ケ ト ン に対 す る ケ トン に 対 す るイ ・r機 ¢ 恥式 薬のJヒ 役付カ ‖反Jー むをオrなった 。 BF、.OEtっのjヒ 存 1 MeCu(CN)Liを川 い、顰 みとす るC24―C31フラグメントを収゜辛く 80%で、ア体選択1的に合成した。

3.モデル化合物をJ1Jいた分r.iAJヘテロMichael反LCの倹 丶亅.

  実 際 の 系 で の分rl勺ヘ テ 口Michael炊J, ビ をjJ ̄ うの に 允 サ ち、 反J心 の 解 析 、′ |t成 物 の 構 造 決 定 を 容 易 に す る た め 、 モ デ ル 化 合 物 で 検 討 をirな , た 。CIOーC23フ ラ グ メ ン トをWittig試 薬 によ ルイく 飽羽Iケ トシと し、脱 保,茨、1峻化な ど3.I: オ輩の 変換を 経 て 環 化 反 応 前pjl;<体 ト リ ケ ト ン に 導 い た 。Bu』NFに よ る 脱 シ リ ル 化 と1司 時 に 環 化 を 行 うi阿 接 的な 方 法 で は、 柴 質 が 分解 す る の みでI・・I| ′V物は 幇|ら れなか ったが 、IN 塩 酸 に よ りTES魅 を 脱 保 護 し 、i醫 ら れ た `1 衡 ね .6合 物 を ナト リ ウ ム メト キ シ ド で処 理 し た と こ ろ 環 化 反J心 が 迎 オJ'し 、IInり と す る6,5,6‐ ジス ピ ロ ケ ター ル が 凶 種類 の 混合物として得られることが分かった。炊LC粂イ′トのi汝適化をjrりた$1|f LIJ、J・II:Lズ;と し て ル チウ ム メ ト キシ ド を 門Jい た 場合 にflこ成 する 凶種類 の|1゜ 性仆の うちl‥I的の, 量 体 配越を もつの ′・lこ 成比がj泣もl| 6いことを儿いfI|した。また、*みの、レ体陀fけをも つ 環化生 成物は セミカル バゾン ヘと誘 導し、X #IJIWi'1構造 解析を オ」 ̄ うこと でヽ・ ′.仆 化 学 を 確 定 し 、 残 り のIつ の 舛 性 体 に つ い て はNOE災 験 に よ っ て 符 々 決 定 し た 。 さ ら に 、 得 ら れ た災 験 結 果 から 、 熱 丿 丿´t的 支tじ に よ る ′lt成 物や 速 度 論 支| 叱 に よ る 生 成 物 を19jら か に し 、 反 応 機 構 に つ い て 考 察 をiJ. な ´ ) た 。 そ の 耕 果 、 喫 み の ザ 仆 配 織 を もつ 環 化/ft成 物を ;1お 選 択 得る た め に はJ.31腆´H: 度の述 いが爪 熨である ことが 判ゆjした。

4. CIO―C3Iー ノラグメ ントの 合成

  モ デ ル 災 験 で 得 ら れ た 如 | 儿 を も と に 、 災 際 の 系 で 分‑l)]ヘ テ ロMichael仗Lふ を 利 用 し た ジ ス ピ ロ ケ タ ー ル 合 成 を オt′jた 。 先 に 介 成 し たCIOーC23フ ラ グ メ ン ト と C24ーC31フ ラ グメ ン ト を アル ド ー ル 反J.ビ に よ り 荊お 合 し 、 アセ チJレ 化 、JjiL離 によ り 共 役 エ ノン を 合 成 した 。 こ れ に対 し モ デ ル化 合 物の‖ |と|I ij様の 変換をネ ≠て環 化|竹 駆 体を合 成した。 この化 合物をj舗駿で 処りぃ して`1′.衡 ね.と 合物と し、モ デル系で の巌 適 条什を 適Juした ところ、BCD環湖5に罰J`1′Iするジスピ口ケタールが亠I丈 キ!75%でi l| ら れ る こ と が 分 か っ た 。 さ ら に をCSAと 反Lbさ せ る こ と で ア セ ト ニ ド の 脱 保 護 と 分 子I・ ´ 、jケ ター ル 化 を 行い 、EF環ふbに 川 `11す る ビ シ ク口 ケ タ ー ルを,l拵 築した 。こ の 工 程 で ジス ピ ロ ケ ター ル 藷15が 煕 ´V| イ ヒし て な い こと をNOE災 験 によ り 仰 ! かめ た 。   以 .1.. の 様 に して 、 ピ ン ナト キ シ ンAのBCDEFJ‑1舟15に袖u′| す るClO‑C31フ ラグメ ン トのザ 休j靈崩 ヾ「向合 成をオJ ̄なっ た。

(3)

学 位 論 文 審 査 の 要旨 主 査

副 査 副 査 副 査

教授 教授 助教授 助教授

橋 本 俊 一 森   美和子 濱 田 辰 夫 中 島    誠

     学位論文題名

ピ ン ナ ト キ シ ン A の 合 成 研 究

―BCDEF 環部の立体選択的構築一

ピ ン ナ ト キ シ ン 類 は1995年 上 村 ら に よ り 沖 繩 産 二 枚 貝 イ ワ カ ワ ハ ゴ ロ モ ガ イ(Pinna muricata)か ら 単 離構 造 決 定さ れた 。本化合 物群は 食用貝に よる食中 毒 の 原 因 物 質 と 考 え られ て お り、Ca2+チ ャ ネ ルの 活 性 化作 用 が 示唆 さ れ てい る 。 ま た 、 構 造上 の特 徴として は6,7− スピロイ ミン環 (AG環)、6,5,6―ジス ピロ ケ タ ー ル 環(BCD環 ) 、6,5− ビ シ ク ロ 環(EF環 ) の 七 つ の 環 を 含 む 炭 素27員 環 で あ り 、 分 子 内 で 両 性 イ オ ン を 形 成 し て い る 点 が 挙 げ ら れ る 。1998年 、 岸 ら は 上 村 ら の 提 唱 す る 生 合 成 仮 説 に 沿 っ た 合 成 戦 略 に よ り 全 合 成 を 達 成 し、

当 初 報 告 さ れ て い た 絶 対 立 体 配 置 が 天 然 物 の も の と は 逆 で あ る こ と を 明 らか に し た 。 著 者 の 所 属 す る 研 究 室 で は ピ ン ナ ト キ シ ンAの 構 造 活 性 相 関 に 向 け て の 第 一 歩 と し て 合 成 研 究 を 行 っ て い る 。 著 者 は 絶 対 配 置 に 関 す る 岸 ら の報 告 を 受 け 、 こ れ ま で行 っ て きた 各 フ ラ グメ ン ト の合 成 法 を再 検 討 する と 共 に、

ヘ ミ ケ タ ー ル ア ル コ キ シ ド の 分 子 内 ヘ テ ロMichael反 応 を 利 用 す るBCDEF環 部 の 立 体 選 択的 構 築 法に つ い て検 討 を 行な っ た 。

  ま ず 、 ピ ン ナ ト キ シ ンAC)BCDEF環 部 に 相 当 す るCl0―C31フ ラ グ メ ン ト の 逆 合 成 解 析 を 行 な っ た 。EF環 部 は 酸 性 条 件 下 で の 分 子 内 ケ タ ー ル 化 に よっ て 構 築 す る こ と に し 、 鎖 状 化 合 物 に 導 い た 。BCD環 部 に 相当 す る ジス ピ 口 ケタ ー ル の 合 成 法 と し て は 、 対 応 す る 鎖 状 の ジ ケ ト ジ オ ー ル を 酸 性 条 件 下 で 環 化す る の が 一 般 的 で あ る が 、 著 者 はC25位 の カ ル ボ ニ ル 基 に 注 目 し 、 二 環 性 の ス ピ ロ ケ タ ー ル 合 成 法 の ー っ と し て 知 ら れ て い る 分子 内 ヘ テロMichael反 応 を 利 用 す る こ と を 計 画 し た 。 環 化 前 駆 体 に 予 め 導 入 す る 不 斉 炭 素 (C23位 ) を ー つ 減 ら せ る だ け で な く 、BCD環 構 築 後 、C25位 の カ ル ボ ニ ル 基 を 利 用 し て 、 直 接EF環 を 構 築 す る こ と が で き る 利 点 も あ る 。 環 化 前 駆 体 はC23―C24位 間で 切 断 し 、Cl0−C23フ ラグ メ ン ト とC24―C31フラ グ メ ント を ア ルド ー ル 縮合 に よ り 合 成 す る計 画 を 立て た 。

  各 フ ラ グ メ ン ト は 以 下 の 様 に 合 成 し た 。Cl0―C13フ ラ グメ ン ト は当 初 はnリ ン ゴ 酸 か ら 調 製 し た が 、 不 斉 ヒ ド 口 キ シ ル 化 に よる 改 良 合成 法 に より5工 程短

(4)

縮す ること ができた 。C14―C23フラ グメント はDHPから合成 したジチ アンとL

・リンゴ 酸から合 成したヨウ化物をアルキル化によって縮合し、保護基の付け 替え、メ チル基の 導入等を 経て合成 した。Cl0−C13フラグメントとC14‑C23フ ラグメン トをアル ドール反応により縮合した後、1,4―還元、立体選択的なメ チル基の付加等の7工程を経てCl0−C23フラグメントとしてアルデヒドを得た。

C24―C31フラグメントはL・アラビノースを出発原料として9工程で伐,p‐不飽和 ケト ンを調 製し、有 機銅試薬 によるメ チル基の共 役付加反 応を検討 すること で立体選択的に合成した。

  実際の系 での分子 内ヘテロMichael反応を行 うのに先立ち、反応の解析、生 成 物 の 構 造 決 定 を 容 易 に す る た め 、 モ デ ル 化 合 物 で 検 討 を 行 な っ た 。 Cl0―C23フラグメントから4工程でモデル化合物としてトリケトンを合成した。

Bu4NFに よる 脱 シ リル 化 と同 時 に 環化を行 う直接的な 方法では 、基質が 分解 する の み で目 的 物は 得 ら れな か った が、1N塩酸に よりTES基を 除去し、 得ら れた平衡 混合物をTHF―MeOH(10:1)中ナト リウムメ トキシドで処理したところ 環化反応が進行し、目的とする6,5,6―ジスピロケタールが4種類の異性体混合 物と し て 収率91%で得 ら れ るこ と が分か った。反応 条件の最 適化を行 った結 果、 塩基と してりチ ウムメト キシドを 用いた場合 に望みと する立体 配置をも つの 異性体 の生成比 が最も高 くなるこ とを見い出 した。な お、生成 比の最も 高い 望 み の環 化 生成 物 は セミ カ ルバ ゾンヘと誘 導し、X線 結晶構造 解析を行 うこ と で 、残 り の三 つ の 異性 体 につ いてはNOE実験 によって 、それぞ れの立 体化 学を決 定した。 さらに反 応条件( 塩基、温度 、時間) を変化さ せた際に 得ら れた実 験結果、 および分 子力場計 算によって 求めた生 成可能な ハつの異 性体の相 対立体エ ネルギーなども考慮して反応機構について考察を行なった。

本反 応にお いて、望 みの立体 配置をも つ環化生成 物が高立 体選択的 に得られ たの は、単 に熱力学 的支配だ けによる ものではな く、速度 論的にも 反応が制 御さ れた結 果である ことが分 かり、用 いる塩基の 塩基性度 が重要な 役割を果 たしていることが示唆された。

  モデル実 験で得ら れた知見 をもとに 、実際の 系で分子内ヘテロMichael反応 を利用し たジスピ ロケター ル構築を 行った。Cl0−C23フラグメントとC24‑C31 フラグメ ントをア ルドール 反応によ り縮合し た後、5工程を経て環化前駆体を 合成した 。この化 合物を塩 酸で処理 して平衡 混合物とし、THF―MeOH(10:1)中 リチ ウムメ トキシド と反応さ せたとこ ろ、望みの 立体配置 をもっジ スピロケ ター ルが収 率75010で得ら れること が分かっ た。さらにCSAと反応さ せること で分 子内ケ タール化 を行い、EF環部に相 当するビシ クロ環を 構築した 。この 工程 で ジ スピ ロ ケタ ー ル 部が 異 性化 を起こして いないこ とをNOE実験 により 確かめた。

  以 上のよう にして、 分子内ヘ テロMichael反応 を鍵段階と してBCD環部 の構 築を 行ない 、ピンナ トキシンAのBCDEF環部に 相当するCl0―C31フラグメ ント の立体選 択的な合 成を達成 した。本 研究は分 子内ヘテロMichael反応によるジ スピ ロケタ ール環構 築の初め ての例で あり、新た な合成手 法となる ことが期 待される。

  従 って、審 査委員会 は稲垣準 氏の論文 が博士(薬 学)の学 位を受け るのに 十分値するものと認めた。

参照

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