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博 士 ( 工 学 ) 江 頭 学 位 論 文 題 名

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Academic year: 2021

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     博 士 ( 工 学 ) 江 頭 学 位 論 文 題 名

黽 ^

キャビテーションをともなう高速気泡流のモデル方程式 の導出とそれに基づく気泡流中の波動伝播の解析

学位論文内容の要旨

  高速で流れている液錐の圧うりが,汾鉢のカm塞などにより,その温度における飽芹ロ蒸気圧よりも 低く なると, 液体に 含まれ ていた 微小な 気泡が気液界面での相変化をともないつつ急激に成長す る. その後の 静圧ヒ 昇によ って, 成長し た気泡は急激に収縮し消滅(崩壊)する,このとき,気 泡の近傍に数GPaにも及ぶ衝箪釣高圧が発生する.この現象はキャビテーションと呼|ヨョしる.キ ヤビ テーショ ンは, 流体麟臓の性能低―P甥蚤音,振動,ポンプやプロペラの翼面の壊食を引き起 こすとして問題視される一方で,近年では,水中ウォータージェットを用いた加工,切削,洗浄,

水中 に溶解ナ る有機 物の分 解など に有妨 剛用されている.しかしながら,このような流れ場には 直径10ロm程度 の微細 な気泡 が多数含 まれて おり, それら は激し く膨張・収縮しながら数10 m/s を超 える高速 で運動 してい る.こ のため ,流れ場の構造およぴ流れの中での気泡の挙動などは理 解さ れておら ず,キ ャビテ ーショ ン現象 そのものが十分に解明されていない.これほどに複雛な 流れ 場を実験 的に解 析する ことは 非常に 困難である.それゆえ,信頼できる理論に基づく適切な モデ ルを導入 し,こ れを精 密に数 値解折 することが要求される.ところが,これまでに提出され ているモデ・/l′ね式は,気泡の半径を一定とみなすことができるような低速の流れに対するもの がほ とんどで あり, キャビ テーシ ョンを ともな う高速 の流れ に対して は,こ れを言 耐るための モラ‑1/方程式は確立されていなかった.

  本研 究の目 的は, キャビテ ーショ ンをともなう高速気泡流にも適用可能な,気泡の大損幅の膨 張・収縮によって発生する衝撃的高圧を記述できる新しい二流体モデンレの平均化方程式を導出す るこ とである .さら に,得 られた 方程式 の物理的妥当性を検証するために気泡流中の線形平面波 の伝播過程の理論解听と数値解听を行なう.

  本 論 文 は 全6章 で 構 成 さ れ て お り , 各 章 の 概 要 と 関 連 は 以 下 の 通 り で あ る .   第1章 ではキ ャヒ、 .テー ション現 象ならびに気液二相流の理論解听・数値輔nこ関する従来の 研究にっいて概説し,本研究の位置づけ,その目的と特徴を述べる.

  第2章では,本研究の核となる体積平均化と呼ばれる疎移訂ヒヨ≧法に関する議論を行なう.体債 平均 化とは, 流れの 代表ス ケール よりは 十分小さいが気泡径よりは十分大きな慚責における物理 量の 体積平均 を新た な従属 変数と して導 入し,これを支配する方程式系を導くことである,とく に本 研究のよ うに, 気泡の 集合か らなる 気相とそれを取り囲む液旧について別々に体積平均化を 行な うことに よって 導かれ る方程 式系を 二流体モデルという.体積平均化は個々の気泡の挙動の 詳細 にとらわ れるこ となく 気泡の 集団的 ふるまいを明らかにできるという点で,多数の微細気泡 を含 む高速気 泡流の 解析に 適して いる. しかしながら,疎視化手法であるがゆえに,方程式系を

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従属変数に関して閉じさせるためにさらなるモデンレイ匕カミ必要である.二流体モデルでは気液界 面近 傍での 各相の 質量・ 運動量 .エネ ルギーの輸送が,気液界面近傍各点での平均化されていな い物理量の界面にI斐け゛る積分として表される.最終的に得られるモデル方程式の有捌生I適切性 は, 対象と する流 期場の 特徴を いかに 物理的に正しく数学的に厳密に考慮してこれらの積分をモ デルイ匕するかによって決まる.

  第3章で, キャビ テーショ ンをと もなう 高速気 泡流に 適用で きるニ流体モデルの平均化方程式 を導 出する .この 章が本 論文の 中心と なる章である.キャビテーションをともなう高速気泡流に 特有 でカF) 最も重要な現象は,高速の流れの中で激しく気泡が崩壊する際に,気泡近傍の液体中 に局 所的な 衝輔的 高圧が 発生す る現象 である.従来の二流体モデルのように,気泡径より十分大 きな体積で気液各相の圧三カを体積平均してしまうと,気泡近傍に発生する局所的な高圧を言E述す るこ とが不 可能と なる. そこで 本研究 では,気液界面近傍での運動量輸送の圧カに関する部分を 平均 量でモ デルf匕する際,気液各相の体積平均圧カに加え 気泡近傍での液体の表面平均圧カを 導入 する. この表 面平均 圧カの 効果を 首尾一貫した仮定のもとに矛盾なく気液各相の運動量保存 の式に細み込むことが本研究の特色である.

  第4章では ,第3章 で得ら れたモラ シレ方程式の物理的妥当性を検証するために,気泡流中を伝 播す る線形 平面波が哩論鱆听を行なう.従来の気泡流中の波動のfrザrぐは,液旧の圧縮陸は気相 のそれに比べて十う州ヽさぃとして無視される場合が多かった.その結果,正負の方向に伝播する 波のモードは一種頃しか見出されなかった.本研究では,液旧の圧縮性を考慮して解沂を行ない,

正負 の方向 に伝播 する波 のモー ドがニ 種類であることを明らかにする.このニ種類の波のモード をそ の位相 速度の 特陸か らs10wm( ぬ,伝SttIK此と名づける,本章では,液旧の圧縮陸を考慮し た場 合と無 視した 場合の 波の各 モード の分散関係式を比較することによって,液旧の圧縮性の効 果が気泡流中の波動伝播の問題において本質的に重要であることを示す.すなわち,(i)本研究で 得られたモデンl/カ程式で液旧の圧縮性を無規した場合 従来の液旧を非圧縮とする理論の結果に ほぼL甜ること,(めskHvm(ふヵ鞠逢来の液相誹澗ミ縮のモードに対応し,伍stmodeカ湖針目の圧縮 性に より新 たに生 じる波 のモー ドであ ること,讎)気泡流中の音速として広く用いられている等 温平 衡音速 が,液 旧を非 圧縮と して得 られる波の伝播速度の長波長梱垠であるため,気相体積率

(ポ イド率 )がゼ ロに近 づくに したが って無限大に発散するのに対し,液旧の圧縮性を考慮した mwmodeの 伝播 速 度 の 長波 長 極 張 は液 単 相 の音速 と一致 すること などを 示す. また, ニ種類 の 波の モード に与え るボイ ド率の 影響や 重要なパラメータである代表気泡径と代表波長のスケー ル比の影響も明らかにする.

  第5章 では , 第4章 で 得た 線 形 化 され た モデル 方程式 に様々 な初期 条件を 与え,Macくbmack 法を 用いて 数値的 に解き ,気泡 を含む 静止液体中での微小振幅波の伝播のシミュレーションを行 なう .得ら れた結 果と第4章で行 なった 線形理 論角諦fの結果 とを対 比させ, 液相の 忸紕を考慮 した 場合の 二種類 のモー ドの波 の伝播 特性を詳細に調べる,ここで,代表気泡径と代表波長のス ケーノレ比が,波形に最も大きな影響を及ぼけンくラメータであることを実証する.また,数魑割算 で得 られた 液旧の 圧力波 形に停 留僻ロ の方法 から得 られる波 形を重 ね各モ ードの 波の特定を行 なう ことに よって ,スケ ール比 のパラ メータ が小さ い場合, 伝播速 度が遅 く揖幅 の大きいs10w rrK血 の波に 先行し て,プリ カーサ のよう な伝播 速度が 大きく 按晦の小さい丘唖modeの波が伝播 することを明らかにする.

  第6章では,本研究で得られた結果をまとめ,本研究の総括を行う.

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学位論文審査の要旨

学 位 論 文 題 名

キャビテーションをともなう高速気泡流のモデル方程式 の導出とそれに基づく気泡流中の波動伝播の解析

  高速でiiFraている液体の圧カが,流体のカロ速などにより,その温度における飽和蒸気圧よりも 低くなると,液体に含まれていた微小な気泡が気液界面での相変化をともなぃつつ急激に成長す る.その後,下流での静圧ヒ昇によって,成長した気泡は急激に収縮し消滅(崩壊)する.この と き,気泡 の近傍 に数GPaにも及ぶ 衝撃的 高圧が 発生す る.この現象はキャビテーションと呼 ばれる.キャビテーションは,ポンプやプロペラの翼面に壊食を引き起こすとして問題視される 一方で,近年では,水中ウォータージェットを用いた加工,切削,洗浄,有機物の分解などに有 効利用されている.しかしながら,このような流れ場の構造および流れの中での気泡の挙動など は理解されておらず,キャビテーション現象そのものが十分に解明されていなぃ,それは,流れ 場が極めて複雑であるため実験的解析が困難であることや,キャビテーションをともなう高速の 流 れを記述 するモデル方程式が未だ確立されていなぃことなどによる:それゆえI信頼できる理 論 に 基 づ く 適 切 な モ デ ル を 導 入 し , こ れ を 精 密 に 数 値 解 析 す る こ と が 要 求 さ れ る .   本研究の目的は,キャビテーションをともなう高速気泡流にも適用可能な,気泡の大搦幅の膨 張・収縮によって発生する衝顰釣高圧をi己述できる新しいニ'制苓モデルの平均fヒ方程式を導出す ることである.さらに,得られた方程式の物理的妥当性を検証するために気泡流中の線形平面波 の伝播過程の理論解析と数値解析を行なう.

本論文は全6章で構成されており,各章の概要と関連は以下の通りである.

  第1章では,キャビテーション現象ならびに気液二相流の理論解析・数値角晰に関する従来の 研 究 に つ い て 概 説 し , 本 研 究 の 位 置 づ け , そ の 目 的 と 特 徴 を 述 べ る .

  第2章では,本研究の出発点となる二流体モデルに対して,―擲ね的な平均化方程式の導出を行 なう,多数の微細気泡を含む高速気泡流を解析する場合,気液界面までも解像する直接数値シミ ユレ ーショ ンや個 々の気泡 を追跡 する手法は今日のコンピュータの能カでは現実的ではなぃた め,本研究では,体積平均化に基づく二流体モデンレを基礎とする.そこでは,各相の体積で平均 化された物理量の平均量が従属変数となる.本章で導出される二流体モデルの平均化方程式では,

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雄 紀

靖 猛

重 良

授 授

授 授

   

   

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気液界面近傍での各相の質量・運動量・エネルギーの輸送が,気液界面近傍各点での平均化され ていなぃ物理量の界面に関する積分として表されているため,この段階で得られた平均化方程式 は数学的に閉じていなぃ,数学的に閉じたモデル方程式を導出するためには,対象とする流れ場 の 特 徴 を 考 慮 し て , こ れ ら の 積 分 を 平 均 量 で モ デ ル 化 す る 必 要が あ る こ とを 述 べ る .

  第3章で,キャビテーションをともなう高速気泡流に適用できる数学的に閉じたニ流体モデル の平均化方程式を導出する.この章が本論文の中心となる章である.キャビテーションをともな う高速気泡流に特有でかっ最も重要な現象は,高速の流れの中で気泡が崩壊する際に,気泡近傍 の液体中に局所的な衝撃的高圧が発生する現象である.この現象を捉えるため,本研究では,気 液界面近傍での運動量輸送の圧カに関する部分を平均量でモデル化する際,気液各相の体積平均 圧カに加え,気泡近傍での液体の表面平均圧カを導入する.この表面平均圧カの効果を首尾一貫 した 仮定の もとに 矛盾な く気液各相の運動量保存の式に組み込むことが本研究の特色である.

  第4章では, 第3章で 得られ たモデ ル方程式の妥当性を検証するために,気泡流中を伝播する 線形平面波の理論解析を行なう.本研究では,液相の圧縮性を考慮して解析を行ない,正負の方 向に伝播する波のモードが二種類であることを明らかにする.この二種類の波のモードをその位 相速度の特性からslow mode,fast modeと名づける.得られた結果を要約すると,(i)本研究で得 られたモデル方程式で液相の圧縮性を無視した場合,従来の液相を非圧縮とする理論の結果にほ ぼ二致する,価)slowmodeが従来の液相誹澗ミ縮のモードに対応し,伍Stmodeが液相の圧縮性によ り新たに生じる波のモードである,(齣気泡流中の音速として広く用いられている等温平衡音速 が,液相を非圧縮として得られる波の伝播速度の長波長極限であるため,気相体瞶率(ポイド率)

がゼ ロに近 づくに したが って無 限大に 発散するのに対し,液相の圧縮性を考慮したslowmodeの 伝播速度の長波長極限は液単相の音速と一致する,さらに,ニ種類の波のモードに与えるボイド 率の影響や,重要なパラメータである代表気泡径と代表波長のスケール比の影響も明らかにする.

  第5章 では, 第4章で 得た線形 化され たモデ ル方程 式に様 々な初 期条件 を与え,MacCormack 法を用いて数値餅に解き,気泡を含む静止液体中での微小擬矚波の伝播のシミュレーションを行 なう. 得られた結果と第4章で行なった線形理論解析の結果とを対比させ,液相の圧縮性を考慮 した場合の二種類のモードの波の伝播特陸を詳細に調べる.ここで,代表気泡径と代表波長のス ケール比が,波形に最も大きな影響を及ぼすンくラメータであることを実証する.また,数値計算 で得られた液相の圧力波形に停留位相の方法から得られる波形を重ね,各モードの波の特定を行 なうこ とによ って, スケー ル比のパラメータが小さぃ場合,伝播速度が遅く振幅の大きいslow modeの波に先行して,プリカーサのような伝播速度が大きく擬幅の小さいfast modeの波が伝播 することを明らかにする.

第6章では,本研究で得られた結果をまとめ,本研究の総括を行う.

  これを要するに,著者は,キャビテーションをともなう高速気泡流の極めて複雑な流加場を記 述できる新しいモデル方程式を導出し,その妥当性を示すとともに,モデル方程式の検証の過程 で,従来明らかでなかった波動現象を明らかにしている.このことは,現在,発展途ヒの段階に ある気液二相流に関する流体工学を発展させるものであり,さらに剛矧戒工学の発展に貢献する ところ大なるものがある.よって,著者は北海道大学博士(工学)の学位を授与される資格があ るものと認める.

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参照

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