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博士(歯学) 葭内朗裕 学位論文題名

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Academic year: 2021

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     博士(歯学)   葭内朗裕 学位論文題名

北海道における高齢者の歯の状況と全身の健康に関する研究      ―医科医療費からの分析―

学位論文内容の要旨

  本研究は、北海道国民健康保険団体連合会(以下、 北海道国保連合会 と略)から 提供を受けた平成19年5月のレセプトデータに基づき、北海道内の国民健康保険被保 険者のうち、満70歳以上で歯科医療機関を含む医療機関を受診した者を対象に、現在 歯数、欠損補綴状況、歯周病罹患状況と被保険者1人あたりの医科診療費との関連およ びレセプト1件あたりの医科診療費から現在歯数と生活習慣病の罹患状況との関連に ついて調べたものである。

  その結果、平均医科診療費は、1)現在歯が20歯未満の高齢者は、20歯以上の高齢 者に比べ、1.2〜1.3倍、中でも現在歯数が0〜4歯の高齢者は、20歯以上の高齢者に比 べ、1.4〜1.6倍と有意に高いこと、2)歯の欠損部の補綴処置を受けていない高齢者は、

受けている高齢者に比ベ、1.1倍程度と統計学的に有意ではないがやや高い傾向にある こと、3)重度の歯周病を有する高齢者は、歯周病がない、あるいは軽度の高齢者に比 べ、統計学的に有意ではないが1.ト1.3倍程度とやや高い傾向にあること、などが明ら かとなった。また、生活習慣病による平均医科診療費(レセプト1件あたり)は、1) 現在歯が20歯未満の高齢者は、20歯以上の高齢者に比べて1.1〜1.3倍、中でも現在歯 数O〜4歯の高齢者は、20歯以上の高齢者に比べて1.2〜1.7倍と有意に高かった、2)悪 性腫瘍、糖尿病、高血圧性疾患、脳血管障害では、現在歯が20歯未満の高齢者は、20 歯以上の高齢者に比べるとそれぞれ1.1〜1.4倍、中でも現在歯数が0〜4歯の高齢者は、

20歯 以 上 の 高 齢 者 に 比 べ 、 1.4〜1.7倍 と い ず れ も 有 意 に 高 か っ た 。

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学 位 論 文 審査 の 要 旨

主査   特任教授   井上農夫男 副 査    教 授    川 浪 雅 光 副 査    准 教 授    本 多丘 人

学 位 論 文 題 名

北 海道に おける 高齢者 の歯の状 況と全 身の健康に関する研究      ―医 科医療 費から の分析―

  審査 は審 査担 当者 が一 同に 会し て約1時間 半か けて 行わ れた。まず 申請者に本論文 の概要の説明を求め,口 頭試問形式で提出論文の内容及び関連分野について試問した。

申請者は論文の概要を以 下のように説明した。

  我が国 では、超高齢化社会を迎え,高齢期における健康寿命の 延伸に多大な関心が寄 せ られ てい る。 な かで も歯 の健 康の 維持 は全 身の 健康 と関 連し 高齢 期のQOLを担保す る不可欠 の要素とされている。本研究に先行し、医科レセプト, 歯科レセプ卜を調査客 体 とし て行 われ た 研究 は, レセ プ卜1件 あたりのデータで あって,患者1人あたりのデ ータでは なかった。さらに歯の状況と生活習慣病との関連に関す る分析は行われていな かった。

  このよ うなことから,本研究では,北海道国民健康保険団体連 合会から提供を受けた 平 成19年5月 のレ セプ 卜デ ータ に基 づき ,北 海 道内 の国 民健 康保 険被保険者のうち,

満70歳 以上 で歯 科 医療 機関 を含 む医 療機 関を受診した者を対象に,現在歯数,欠損補 綴 状況 ,歯 周病 罹患状況と被保険者1人あたりの医科診療費との関連を調べた。また,

生活習慣 病(悪性腫瘍,糖尿病,高血圧性疾患,脳血管障害,虚 血性心疾患)に関して は,現在 歯数と疾患ごとの医科医療費との関連を調べた。

  1) 年 齢 区 分 は 、70〜 74歳 、75〜  79歳 、80歳 以 上 の3区 分 と し た 。   2)現 在歯 数区分は、区分0: 20歯以上、区分1:15 ‑19歯、区分2:10〜14歯、区分     3:5〜9歯 、 区 分4:0〜4歯 の5区 分 と した (第 三大 臼 歯は 歯数 に含 めた )。 現在     歯 数が20歯 以 上( 区分0) を「 達成 者」 、20歯 未満 (区 分1〜4)を「非達成者」

    とし た。

  結果、分析対象とした年齢区分別、現在歯数区分別の医科被保険者数は、53,706人であ った。そ のうち現在歯数が20歯以上の「達成者」は15,911人(29.6%)、20歯未満の「非 達成者」 は37,795人(70.4%)であった。

  満70歳 以 上 の 平 均 医 科 診 療 費 は ,1) 現在 歯が20歯 未 満の 者は20歯 以上 の者 に比

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べ1.3倍,現在歯数が0〜4歯の者は20歯以上の者に比べ1.6倍といずれも有意に高か ったが,一方、2)欠損部補綴処置の有無や3)重度歯周病の有無については、統計学 的な有意差は明らかでなかった。

  同様に生活習慣病(悪性腫瘍,糖尿病,高血圧性疾患,脳血管障害,虚血性心疾患)

における年齢区分別の平均医科診療費(レセプト1件あたり)は,1)現在歯が20歯 未満の者は20歯以上の者に比べて1.1〜1.3倍で,75〜79歳の群を除いて,有意に高かっ た。中でも現在歯数O〜4歯の者は20歯以上の者に比べて1.3〜1.7倍といずれの年齢区 分においても有意に高かった。2)悪性腫瘍,糖尿病,高血圧性疾患,虚血性心疾患,脳 血管障害の各疾患別の平均医科診療費では,現在歯が20歯未満の高齢者は20歯以上の高 齢者に比べるとそれぞれ1.1〜1.4倍,中でも現在歯数がOへ4歯の高齢者は20歯以上の高 齢者に比べ1.4〜1.7倍といずれも有意に高かった。

  本研究から,現在歯数が全身の健康状態,とくに生活習慣病と関連することが医療費 の観点から示唆された。

各審査委員が行った主な質問は以下のとおりである。

1)回帰解析は行ったのか

2)各レセプトにシールを貼付し,記入を行ったのは誰か 3)「補綴必要なし」群の定義は

4)なぜ達成者と非達成者の比率を出したのに口頭試問用の説明プリントには記されて     いないのか

5)歯数区分4のPO群が他のPO群に比べて人数が6倍も多いのか

6冫5っの代表的な生活習慣病における達成者と非達成者との比率に関する詳細につい     て

  これらの質問に対して,学位申請者は十分な学識に裏づけられた明快な回答と説明を 行い,今後の研究についても発展的な将来展望を示した。審査委員一同は,本研究には 新知見が認められ,今後の歯科医学の発展に大きく貢献するものと評価した。よって,

申請者は北海道大学博士(歯学)の学位を授与される資格を有するものと認めた。

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参照

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