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バルブプレートを有する鋼床版の疲労き裂の傾向分析

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Academic year: 2022

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バルブプレートを有する鋼床版の疲労き裂の傾向分析

首都高速走路㈱    正会員  ○益子  直人 首都高速道路㈱    正会員    若林  登  (一財)首都高速道路技術センター  正会員  仲野  孝洋

1.はじめに 

  首都高速道路では,バルブプレートを有する鋼床版橋梁にも相当数の疲労損傷が発生している.損傷は,鋼 床版バルブプレートと横リブ(またはダイアフラム)交差部に多く,橋梁全体の損傷数の約 7 割を占めている.

これらの損傷要因は既往の研究より横リブスカラップ部やスリット部の局部応力であると考察されている.本 稿では,バルブプレートと横リブ交差部に発生している主要な損傷タイプについて,H19 年度までの点検結果 に基づき,バルブプレート周りの構造ディテールとの相関性を分析した. 

2.バルブプレートの変遷 

  バルブプレートと横リブとの交差部のスカラップ やスリットの形状や寸法は多種多様ではあるが,そ のスカラップ径とスリット幅(図-1)は製作された年 代により傾向がみられる.各年代の事例を表-1 に示 す.スカラップは,昭和 40 年代に供用した路線では,

R20 程度と小さく,50 年度以降では 30R 以上が確保 されており,現行ではさらに大きく 45R となってい る.スリット幅は,昭和 40,50 年代ではスリット幅 は 40mm 程度であったが,現行では

56mm とスカラップと同様大きくなる 傾向がある. なお,昭和 37 年度に供 用した径間の事例では,バルブプレー トの両面は横リブとそれぞれすみ肉 溶接により接合されておりスリット による隙間はない設計となっていた. 

3.バルブプレート周辺の損傷パターン

表-2 に首都高速におけるバルブプレートを有する径間で発生し た損傷の場所,比率,その割合およびタイプ分類を示す.き裂損 傷の内,36%が横リブ交差部スカラップ底側溶接部周辺 (DR2)から,

26%が横リブとデッキの溶接部周辺(FD1)から,9%が横リブ交差部 のスカラップ底部の母材(DS2)から発生しており,合計約 7 割を横 リブとバルブの交差部が占めた.図-1 に主要な 2 タイプである DR2 と FD1 の事例写真を示す.DR2 では,バルブと横リブの回し溶接部 周辺を起点とし,リブ母材へ進展する.進展は斜め上方へ向かう ことが多い.FD1 では,上フランジとリブのまわし溶接部周辺を起 点としデッキ母材方向へ進展することが多い. 

  キーワード  鋼床版,バルブプレート,疲労き裂 

  連絡先      〒100-8930  東京都千代田区霞が関 1-4-1(日土地ビル)  首都高速道路㈱  TEL03-3539-9529

昭和37年度 昭和40年代 昭和50年代 現行基準 (H8以降)

スカラップ30R 20R 30R 45R スリット(0mm) スリット40mm 40mm 56mm

事例

表-1 バルブプレートの変遷

場所 比率 タイプ タイプ分類図 横リブ交差部下側スカラップ(溶金) 36% DR2

横リブとデッキプレート溶接部 26% FD1 交差部下側スカラップ(母材) 9% DS2

垂直補剛材上端部他 29% その他

表-2 バルブプレート周辺の損傷タイプ

FD1 DR1

DR2

DS2 FD1

DR2 FD1

表-3 損傷事例(DR2、FD1)

土木学会第68回年次学術講演会(平成25年9月)

‑1151‑

Ⅰ‑576

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4.DR2 損傷の傾向と分析

DR2 の損傷は,バルブを有する全 311 径間の内 32 径間 (10.3%)で発見され,その損傷数は 511 箇所に及ぶ.その内 462 個所が向島線で発生している.DR2 はバルブプレートの 底部と横リブのスカラップとの接合部から発生しているた め,スカラップ R と密接に関連すると推測される.図-1 に 全路線に関して,損傷数を径間数で除した数字(径間当た り損傷数)とスカラップ径との相関を示す.スカラップの 半径は 20R から 50R まで 11 種類ある.その径間当たり損傷 数は R が 30mm 以上となると急激に減少した.また,R42 以 上では損傷していない. 

図-2 では,各路線の経過年数等の条件差を排除するため,

最も多くの DR2 損傷が発生している向島線で相関性を確認 した.図-1 と同様に 30R 以上となると損傷数/径間は激減 している.これは,R が大きくなると溶接施工性が向上し損 傷が発生しにくくなることが寄与していると推測される. 

5.FD1 損傷の傾向と分析

FD1 損傷は,311 径間の内,31 径間(10.0%)で発見されそ の損少数は 394 箇所であった.その内 177 個所を向島線が 占める.FD1 は上フランジと横リブとの溶接部で発生して おり,スリット周辺の局部変形に影響を受けることが予測 される.図-3 に全路線に関する,径間当たり損傷数とスリ ット幅との相関を示す.スリット幅は 0mm から 60mm まで 22 種類あったが,5mm きざみに 8 つのグループに分類した.

まず〜24mm までのスリット幅の径間では,他のグループと 比較して突出した損傷が発生している.一方で 25mm〜35mm と 55mm 以上のスリットには損傷が見つかっていない.55mm 以上(全 11 径間)で損傷がないのは上フランジと横リブの まわし溶接の品質が十分に確保されたためであることが推 定されるが,適正以上のスリット幅は,さらなる局部変形を 誘発する懸念もあり,判断にはさらなる検証が必要である. 

向島線における相関を図-4 に示す.向島線では,23mm〜

51mm までの 9 種類のスリットがあり,損傷が非常に多いス リット 23mm と 39mm の径間は,それぞれ特定の 1 径間で損 傷が集中的に発生しており,スリット幅以外の要因が寄与 している可能性がある. 35,40,51mm の径間では損傷数は 2 から 3 程度に留まっている.また 24.5,30,32.5mm の 3 つのタイプでは損傷は見つかっていない. 

6.まとめ 

  首都高速バルブプレート周辺の損傷について,仮定した要因との関連性を分析した.DR2 についてはスカラ ップの径が R30 を超えると溶接の施工性向上により急激に損傷が減少すること.FD1 についてはスリット幅と の間に明確な相関性がないため,特定の径間における他の要因の抽出や検証が必要であることがわかった. 

図-2  DR2 損傷数/径間とスカラップ径の相関(向島線)

図-3  FD1 損傷数/径間とスリット幅の相関(全路線) 

図-4  FD1 損傷数/径間とスリット幅の相関(向島線)  図-1  DR2 損傷数/径間とスカラップ径の相関(全路線)

土木学会第68回年次学術講演会(平成25年9月)

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参照

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