• 検索結果がありません。

1-218 土木学会第63回年次学術講演会(平成20年9月)

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2022

シェア "1-218 土木学会第63回年次学術講演会(平成20年9月)"

Copied!
2
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

ゴムラテックスモルタルを施工した実橋鋼床版の応力低減効果の解析的検証

川崎重工 正会員 ○冨澤 雅幸 大垣 賀津雄 阪神高速 正会員 田畑 晶子 青木 康素 中島 隆 阪神高速道路管理技術センター 正会員 高田 佳彦 1.はじめに

近年,交通量の多い橋梁において,鋼床版の疲労損傷が多数報告されている.中でも,デッキプレートと U リブ の溶接部に発生し,デッキプレート側に進展する疲労き裂は舗装損傷や路面陥没に発展する重大な損傷である.こ の疲労き裂は輪荷重の直接載荷によるデッキプレートの局部変形が主な原因と考えられ,この対策として,鋼床版 デッキプレート上面にゴムラテックスモルタルを打設し,合成構造とすることでデッキプレートの剛性を向上させ る工法が検討されている 1) 2).今回,実橋鋼床版において,ゴムラテックスモルタルを施工し,その効果の検証し た.本稿では,実橋で行われた試験車による応力計測を FEM 解析により再現し,解析的に応力低減効果の確認した.

2.対象橋梁および応力計測概要

対象橋梁は図 1 に示す 4 径間連続鋼床版箱桁橋であり,本橋の一部にゴムラテックスモルタル舗装を施工した.

施工前のアスファルト舗装厚は 80mm であり,施工後はゴムラテックスモルタル舗装 45mm+アスファルト舗装 35mm である.応力計測は図 2 に示す試験車を用いて,複数の走行ライン(横断方向位置)を低速走行させ,縦リブ支間中 央部および横リブ交差部の各部の応力を計測している.なお,FEM 解析では CASE1~5 の走行ラインを対象とし, 橋 軸方向位置は後輪第1軸の位置で整理した(縦リブ支間中央位置は 1225mm, 横リブ交差部位置は 2450mm である).

3.解析モデル

解析モデルは図 3 に示すように,全体構造は梁要素でモデル化し,着目部周辺はシェル要素およびソリッド要 素で詳細にモデル化した.デッキプレートと U リブの溶接ビード形状は実橋で実施した形状計測結果を反映し,溶 け込み量は阪神高速でのこれまでの調査結果を元に平均的な 15%とした.舗装のモデル化は,アスファルト舗装お よびゴムラテックスモルタル舗装をソリッド要素とし,デッキプレートと完全に合成されているものとした.各材 料物性を表 1 に示す.なお,アスファルト混合物のヤング率については,応力計測結果から FEM 解析結果により同 定した値であり,表層および基層を一体として考えた等価なヤング率を示す.

キーワード 鋼床版,疲労,ゴムラテックスモルタル,FEM

連絡先 〒673-8666 兵庫県明石市川崎町 1-1 川崎重工業㈱ 技術研究所 強度研究部 TEL078-921-1626 P3

P4

P5

P2

P6

全体図

R22-R24 詳細図

横リブ交差部詳細図

デッキプレートと U リブ の溶接詳細部

最小メッシュサイズ 0.4mm

図 1 対象橋梁

図3 解析モデル

図2 試験車および走行位置

総重量 245kN

接地面(各タイヤ) 200mm×200mm

54.6m 58.1m

82.2m 57.2m

M R R R M

1-218 土木学会第63回年次学術講演会(平成20年9月)

-435-

(2)

表 1 材料物性値 ヤング率

[MPa]

ポアソン 205800 0.3 ゴムラテックスモルタル 19400 0.2 アスファルト混合物 1500 0.35

-30 -20 -10 0 10

0 1000 2000 3000 4000 5000 6000 試験車走行位置[mm]

[N/mm2]

-30 -20 -10 0 10

0 1000 2000 3000 4000 5000 6000 試験車走行位置[mm]

応力[N/mm2]

図 5 応力計測と FEM 解析結果の比較(応力影響線) 縦リブ支間中央

-160 -140-120 -100-80-60-40-2020400

0 1000 2000 3000 4000 5000 6000 試験車走行位置[mm]

[N/mm2]

-80 -60 -40 -20 0 20 40

0 1000 2000 3000 4000 5000 6000 試験車走行位置[mm]

[N/mm2]

図 6 デッキプレートと U リブの溶接ルート部の応力影響線(縦リブ支間中央)

-200-180 -160-140 -120-100-80-60-40-20200

0 1000 2000 3000 4000 5000 6000 試験車走行位置[mm]

応力[N/mm2]

-100 -80 -60 -40 -20 0 20

0 1000 2000 3000 4000 5000 6000 試験車走行位置[mm]

応力[N/mm2]

図 7 デッキプレートと U リブの溶接ルート部の応力影響線(横リブ交差部)

4.FEM 解析結果

評価対象は図 4 に示すように,応力計測点であるデッキプレートと U リブの溶接部付近の①,②,および,溶接 ルート部の③,④とした。③はルート部全体を評価対象として,図示の着目要素の最大主応力,最小主応力の最大値,

④はルート部デッキプレート側のみを評価対象とし,図示の着目要素の橋軸直角方向応力の最大値に着目した.図 5 に縦リブ支間中央部の①,②において,応力範囲が最も大きくなる走行位置(CASE5)での応力影響線を示す.応力計 測と FEM の結果が比較的一致しており,再現性があることが確認できた.また,ゴムラテックスモルタル舗装の施 工前後で,デッキプレート側の応力が大幅(FEM:75%)に低減していることが応力計測,FEM の両結果から確認できた.

図 6,図 7 に縦リブ支間中央および横リブ交差部における③,④の応力影響線(いずれも応力範囲が最大となる走行 位置)を示す.ルート部全体の応力は 23%程度低減,デッキ進展き裂に寄与すると考えられるルート部デッキプレ ート側応力は 44~58%低減しており,溶接ルート部においても応力低減効果が確認できた.

5.まとめ

実橋鋼床版においてゴムラテックスモルタルによる応力低減効果を解析的に検証し,各部の応力低減効果を確認 した.特に溶接ルート部デッキプレート側の橋直方向応力は 44~58%低減し,疲労耐久性の向上が期待できる.

謝辞:本検討において㈱竹中道路, 太平洋マテリアル㈱の関係各位には多大なご協力を頂き,ここに感謝の意を表します.

参考文献

1)

大垣

,

杉浦

,

大久保

,

若林

:

ゴムラテックスモルタルの既設鋼床版への適用法に関する研究

,

土木学会複合構造物の活 用に関するシンポジウム, 2007.11 2)青木,高田,服部,大西,松井ほか: ゴムラテックスモルタルを用いた合成鋼床版の疲労耐久性 の検討

,

土木学会第

62

回年次学術講演会

, 2007.9

④ルート部デッキプレート側

(水平方向応力着目)

③ルート部全体

(主応力着目)

①デッキプレート ②U リブ

③ルート部全体 ④ルート部デッキプレート側

③ルート部全体 ④ルート部デッキプレート側

図 4 評価位置

応力範囲 75%低減 応力計測(施工前) 応力計測(施工後)

FEM(施工前) FEM(施工後)

応力計測(施工前) 応力計測(施工後)

FEM(施工前)

FEM(施工後) 応力範囲 22%低減 FEM(施工前)

FEM(施工後) 応力範囲 24%低減 最大主応力

最小主応力

応力範囲 58%低減 FEM(施工前)

FEM(施工後)

応力範囲 23%低減 FEM(施工前)

FEM(施工後)

応力範囲 44%低減 FEM(施工前)

FEM(施工後)

1-218 土木学会第63回年次学術講演会(平成20年9月)

-436-

参照

関連したドキュメント

, Pace University Land Use Law Center 2006 Conducting Conflict Assessments in the Land Use Context, A Manual. 2)

日本コンクリート技術㈱ 正会員 ○篠田 佳男 北沢建設㈱ 正会員 北沢 資謹 京都大学 正会員 河野

ビームハードニング効果とは,照射される放射線が様々

広島大学 正会員 ○半井 健一郎,学生会員 森 優太,前橋工科大学 正会員 舌間孝一郎 鉄道総合技術研究所 正会員 西尾 壮平,正会員 上田 洋 東京大学生産技術研究所 正会員

大成建設株式会社 正会員○猪口 泰彦 正会員 高倉 克彦 正会員 村田 裕志 正会員 武者 浩透 正会員 竹中

(財)首都高速道路技術センター 正会員 町田 文孝 東京工業大学 フェロー 三木

首都高速道路公団 正会員 臼井 恒夫 首都高速道路技術センター 正会員 木ノ本 剛 JFE技研 正会員○栗原 康行 首都高速道路技術センター 正会員 津村 直宜

名古屋高速道路公社 正会員○前野裕文,正会員 杉浦裕幸 (財)名古屋高速道路協会 八木孝行 宮地建設工業㈱ 正会員 永谷秀樹,トピーエンジニアリング㈱ 神谷伸治