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取放水路に作用する津波の衝撃揚圧力低減方法

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Academic year: 2022

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取放水路に作用する津波の衝撃揚圧力低減方法

大成建設㈱ 技術センター 正会員 伊藤 一教 大成建設㈱ 技術センター 正会員 ○高畠 知行 大成建設㈱ 技術センター 正会員 小俣 哲平

1.目的

開水路で流れ,天井構造を有する取放水路に津波が来襲するとき,

天井に衝撃的な揚圧力が作用する場合がある 1).維持管理用のハッチ 等がその天井部に存在すると,浸水被害を回避するため衝撃揚圧力を 考慮したハッチ等の設計や対策が求められる.既往の研究成果 1)によ れば,天井部に作用する津波波圧は水面が天井に衝突するときに作用 する衝撃揚圧力と,後続の水位上昇によって作用する静水圧的な揚圧 力に区分される.

両者の大小関係は,津波高や波形に依存し,条件によっては衝撃揚圧 力が後続の静水圧的な揚圧力の 2 倍以上になる場合がある.後続の静水 圧的な揚圧力は作用する最大津波高を設定すれば比較的簡潔に外力を設 定できるが,衝撃揚圧力は水面衝突時の様相に依存する複雑な現象であ るため設定外力の不確実性があり,衝撃揚圧力評価には課題がある.

津波規模や波形に依存することなく衝撃揚圧力を低減でき,仮に静水 圧的な揚圧力以下に出来る対策が確立できるならば,外力設定を簡素化 することができる.そこで,衝撃揚圧力低減方法について検討した基礎 実験について報告する.

2.津波による衝撃的揚圧力の低減方法

既往研究1)によれば,水面が天井に衝突する際に十分な空気層を介し直 接衝突しない場合には,衝撃揚圧力は 30%程度まで低減できることが確 認されている.本稿で提案する衝撃的揚圧力の低減方法は,図-1 のよう

に天井部にエアバッグを設置する方法であり,エアバッグが積極的に空気層を提供するものである.

本稿で検討対象としたエアバッグは,立方体形状で底部には 小穴が設けられ,天井から吊下げる方法である.エアバッグ素 材は軽量撥水布材を想定しており,底部に小穴を設けることに より,容易に折りたたむことが出来ることから,取付作業を簡 易にできる.また,エアバッグは軽量であるため,天井への荷 重増加などの負荷は十分小さい利点がある

3.エアバッグの衝撃揚圧力低減効果確認実験 3.1 落下実験

エアバッグの衝撃圧低減効果について基礎データを取得する

目的で,図-2 に示すように,底面に圧力計を取付けた重錘(10 ㎝×10cm×1 ㎝,300g)を静水面に落下させ,

エアバッグ(10 ㎝×10cm×10 ㎝,帝人フロンティア㈱製 Cool Magic)の有無による衝撃圧の差異を計測した.

写真-1 に実験状況を示す.落下高 h は,水面から重錘下面までの距離あるいは水面からエアバッグ下面まで

キーワード 津波,揚圧力,水路,衝撃,エアバッグ

連絡先 〒245-0051 横浜市戸塚区名瀬町 344-1 大成建設株式会社 技術センター TEL045-814-7234 (a)エアバッグ設置説明図

維持管理空間 ハッチ

エアバッグ 外海

写真-1 落下実験の様子 (b)エアバッグの説明図 図-1 衝撃揚圧力の低減方法

図-2 落下実験の概要

圧力計

エアバック

h:落下高 h:落下高

土木学会第71回年次学術講演会(平成28年9月)

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Ⅱ‑168

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の距離とし,サンプリング時間は 2000Hz とした.図-3 は条 件によって 2~15 回実施して得た最大圧力の平均値を比較 した図であり,バラツキを示すため最大値と最小値も併記 した.図より,エアバッグによる衝撃圧の低減効果が大き いことがわかる.特に,エアバッグが無い落下高 2 ㎝のケ ースでは 15 回の試行で大きなバラツキを示すが,エアバッ グが有るケースではバラツキは小さく安定している.

図-4 は同一落下高の条件で計測した圧力時系列を示す.圧 力作用時間と最大圧力は,エアバッグが無い場合は 0.01 秒 のオーダーで約 25kPa に対して,エアバッグが有る場合に は 0.1 秒のオーダーで 2.5kPa である.両者の力積は概ね同 じオーダーであり,エアバッグによる衝撃力低減効果は,

エアバッグによる衝撃力作用時間の延伸に伴う最大圧力の 低下として解釈できる.

3.2 水路実験

図-5 のように水路内に津波を作用させ,天井部の圧力を 計測した.エアバッグは水路幅方向に 2 列配置し総計 4 個 と 6 個のケースで実施した.圧力計はエアバッグ中央と 2 個のエアバッグの境界に配置した.写真-2 に実験の様子を 示す.水路に侵入した津波は水平方向からエアバッグに 作用しその後鉛直上向きに方向を変えることがわかる.

本検討ではエアバッグ下端と静水面のクリアランスが小 さいため,初期段階における津波の水平力とそれによる エアバッグの変形が顕著になっている.

図-6 に示すエアバッグの有無による圧力時系列の比較 をみれば,揚圧力の最大値は,エアバッグ有のケースで,

ない場合に比べて 50~30%まで低減されてい る.このことから,エアバッグが津波による 衝撃揚圧力低減に寄与することが示唆された.

5.まとめ

取放水路の天井部に作用する津波による衝 撃揚圧力の低減を目的として,エアバッグの 効果について基礎的な検討を実施した.その 結果,エアバッグは衝撃揚圧力の低減に寄与 することが示された.しかし,エアバッグの 寸法,配置,素材,スケール効果など,今後 の検討課題がある.

参考文献

1)高畠ら(2015):津波来襲時に取放水路天 端に作用する圧力評価手法の研究,土木 学会論文集 B2(海岸工学),Vol.71 No.2 Page.I.259-I.264

図-3 落下実験の結果 0

5000 10000 15000 20000 25000 30000 35000

0 1 2 3 4 5

圧力[Pa]

最大

最小

7 10 13 16 19 落下高 [cm]

エアバッグ無:平均値 エアバッグ有:平均値

図-4 圧力時系列の例

0 5 10 15 20 25

1.2825 1.2850 1.2875

圧力[kPa]

時間[s]

エアバッグ無 落下高2cm

0.0 0.5 1.0 1.5 2.0 2.5

1.45 1.46 1.47 1.48 1.49 1.50

圧力[kPa]

時間[s]

エアバッグ有 落下高2cm

図-5 水路実験の説明図

圧力計No.2 圧力計No.1

圧力計

エアバック 135mm

120mm

400mm 150mm 300mm

津波造 波装置

エアバック

225mm

写真-2 水路実験の様子(エアバッグ 4 個)

図-6 圧力時系列の比較 0

2 4 6

2.7 3 3.3 3.6 3.9 4.2

圧力[kPa]

時間[s]

エアバッグ6個,圧力計No.1 エアバッグ6個,圧力計No.2 エアバッグ4個,圧力計No.1 エアバッグ4個,圧力計No.2 エアバッグ無,圧力計No.1,1回目 エアバッグ無,圧力計No.2,1回目 エアバッグ無,圧力計No.1,2回目 エアバッグ無,圧力計No.2,2回目 エアバッグ無,圧力計No.1,3回目 エアバッグ無,圧力計No.2,3回目

土木学会第71回年次学術講演会(平成28年9月)

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参照

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*1 (株)大林組 技術研究所 生産技術研究部 工修 (正会員). *2 (株)大林組 技術研究所 生産技術研究部副課長 工修

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