学校不適応児に対する教師の援助に関する研究
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(2) はじめに. ここ十数年来、いじめ、非行、登校拒否、自殺、校内暴力、高校生の中途退学 など、児童生徒をめぐる問題は社会問題の中心となっている。遅刻する生徒が教 師の閉めた校門に挟まれて死亡する事件や、生徒を砂浜に生き埋めにした事件な ど、生徒指導と子どもの人権をめぐる議論や訴訟問題も後を絶たない。文部省の. 学校基本調査によれば、学校嫌いを理由に年間で30日以上欠席した登校拒否(. 不登校)の小中学生は1995年度に前年度より約4,000人増え、81,5 62人と過去最高を更新したとしている。小、中学校の児童生徒数が過去最低と なる一方で、増加の一途をたどる登校拒否は中学生で70人に1人、小学生で5 00人に1人の割合になっている。 そして、これらの問題行動への対策が論じられるたびに、 「生きる力をはぐく む指導」 (文部省,1995「教育白書」)が強調され、教育相談(カウンセリング). 的な実践がクローズアップされてきているのが昨今の生徒指導の状況であるとい えるであろう。. 1990年の教育職員免許法施行規定改正に伴い、教員養成課程においても、 「教育相談」は「生徒指導」と並んで必須教職専門教育科目に加えられた。また、. 1995年度の文部省スクールカウンセラー調査研究委託事業により、教師以外 が入ることのなかった教育現場で、 「スクールカウンセラー」が心の専門家とし. て学校に配置された。このことは、まさに「教育の開国」ともいえることであり、. さらに1996年度には開始当初の予算を3倍にして事業は拡大されているし、 今後も拡充されていく方向にある。. また1989年開校の生野学園高等学校や、1995年開校の黄夢野高等学校 など、不登校生徒や中退経験者を積極的に受け入れる私立高校が増えてきており、 学校以外にも登校拒否児童生徒の学習の援助や、 「心の居場所」づくりに取り組. むフリースクールなどの民間教育グループも次第にその数を増してきている。. 学校不適応児をめぐるこのような情勢にあって、今、学校においては、スクー ルカウンセラーや心理療法家などの’こころ’の専門家のスーパーヴィジョンを受 けながら、教師と児童生徒ならではの人間関係の在りようと、 「生きる力をはぐ くむ」心理的・教育的援助に新しいパースペクティブを開き、具体的なストラテ ジーを探っていく時代であろうと思う。 教師は、どんな問題をどのように抱えて1いる児童生徒であっても、その問題の. 深さ、重さにかかわらず、日常的に付き合っていなければならないし、また、他 の専門機関やスクールカウンセラーにその問題を委ねたところで、その問題を学 級担任を中心に学校でも抱え、対応を迫られることに何ら変わりはない。本研究 において、学校生活に不適応状態にある児童生徒の調和的発達と、さらには個々 の児童生徒の自己指導能力の育成のために、教師にできる、そして教師であるか らこそできる心理的・教育的援助の端緒を見いだしたいと思う。.
(3) 次. 目. 第1章 問題と目的. 1. …一…一一・一一一一……一一一t……一一一一一……一…一一一一…一一一一…一一一一一一一一一………一一一一一一一一. 第1節 学校不適応児に対する教師の援助に関する研究の意義 第2節 質問紙法による教師の援助に関する先行研究. 1. 4. 1. 「教師の指導態度」と「教師と児童生徒の人間関係」. 4. 2.児童生徒に対する「教師の援助」と「カウンセリング研修」. 3.学校不適応児に対する教師の援助 第3節 「援助」の概念と原理. 第4節 本研究の目的. 7. 8. 9. 13. 第2章 学校不適応児に対する教師の援助行動評定尺度の作成. 第1節 尺度の作成にあたって. 17. 17. 第2節尺度項目作成のための面接調査. 18. 1.目的 18. 2.方法 18 (1)調査対象 18 (2)実施方法 18. 3.結果. 19. (1)調査対象者の構成 19 (2)援助行動の分類. 20. (3)援助の具体例 21. 第3節 予備調査. 21. 1.方法 21 (1)調査対象 21 (2)実施方法 22. 2.結果 22 第3章 本調査及びその分析. 第1節 目的. 24. 第2節 方法. 25. (1)調査対象. 25. (2)実施方法. 25. 24.
(4) 第3節 研究結果. 26. 1.調査対象者の構成. 26. 2.援助行動評定尺度の作成. 27. (1)援助行動を構成する因子の構造. 27. 1)登校拒否傾向児A子への援助行動の因子分析 2)非行傾向児B男への援助行動の因子分析 (2)援助行動評定尺度項目の選定. 27. 32. 36. 1)登校拒否傾向児A子への援助行動項目の選定. 36. 2)非行傾向児B男への援助行動項目の選定 37 (3)信頼性の検討. 38. 3.援助行動の担任(担当)経験による群間の差 (1)自由記述の内容による群分け 1)群分けの基準と分類 2)自由記述の具体例. 38. 38. 38 40. 3)具体群と抽象群の属性の分析結果 (2)経験による線番の分析結果 1)登校拒否傾向児への援助 2)非行傾向児への援助. 40. 43 43. 44. 4.援助行動の性差、勤務校種問の差、教職経験年数による差. (1)性差の分析結果. 45. 1)登校拒否傾向児への援助 2)非行傾向児への援助. 1)登校拒否傾向児への援助 2)非行傾向児への援助. 45. 46. (2)勤務校種の差の分析結果. 47 47. 49. (3)教職経験年数による差の分析結果 1)登校拒否傾向児への援助 2)非行傾向児への援助. 第4節 考察. 45. 49. 50. 51. 52. 1.面接調査の回答の分類と因子構造について 2.援助の群間の差について. 52. 53. (1)具体群と抽象群の属性の差について. 54. (2)援助行動の担任(担当)経験による群間の差について. 1)登校拒否傾向児への援助. 55. 55.
(5) 2)非行傾向児への援助. 55. 3.援助行動の性差、勤務校種間の差、教職経験年数による差について. (1)性差について. 56. 1)登校拒否傾向児への援助 2)非行傾向児へめ援助. (2)勤務忘種の差について. 2)非行傾向児への援助. 56. 57. 57. 1)登校拒否傾向児への援助. 57. 57. (3)教職経験年数による差について 1)登校拒否傾向児への援助 2)非行傾向児への援助. 58. 58. 59. 第4章 学校不適応児の性の違いによる教師の反応の差の調査及びその分析. 第1節 目的. 60. 第2節 方法. 60. (1)調査対象. 60. (2)実施方法. 60. 第3節 研究結果. (2)非行傾向児の性差による教師の援助行動の差. 61. 62. 63. 第5章総合考察 ・一一一…一一一一…一t一…一一一一一一一一…一一一……t一一…一一一一一一一一一一一一一一一一…一…一一一……一一…. 第1節 登校拒否傾向児に対する教師の望ましい援助のあり方 第2節 学校不適応児に対する教師の望ましい援助のあり方 第3節 学校不適応児に対する教師の援助の課題にふれて. 要約. 72. 引用文献. 76. Appendix 82 謝辞. 60. 60. (1)登校拒否傾向児の性の違いによる教師の援助行動の差. 第4節 考察. 56. 64 65. 67. 65.
(6) 第1章 問題と目的. 第1節 学校不適応児に対する教師の援助に関する研究の意義. 増えつづける学校不適応児に対して、また不適応行動に対する対応や指導 方法をめぐって、学校は、また最も身近に日常的に児童生徒に接している学 級担任は、どのように学校不適応児をとらえ、どう対応すればよいのか。 当然のことながら、学校では、児童生徒の不適応行動への対応は、 「生徒 指導」と「学校教育相談」 (特に断らない限り、以下「教育相談」とする) という機能によって対応することになる。. 中西(1994)が指摘するとおり、 「わが国のような来談者中心的カウンセ. リングが主流をなしている学校カウンセリングでは、規律を強調する生徒指 導主事は検事的役割を演じ、他方、カウンセラーは弁護士的役割を演じると 学校現揚では見られている」ため、 「生徒指導的発想と教育相談(カウンセ リング)的発想が対立してしまう」 (菅野,1993)ことがある。学校での児 童生徒の不適応行動の処遇をめぐって、,生徒指導主事と教育相談主任の役割. の違いにとどまらず、生徒指導的な対応か教育相談的な対応かというような. 論争が、学校内に起こることもしばしばある。集団の規律を強調し、学校に 集団の秩序と統制を図るための「生徒指導」、個々のもつ問題を解決すべく. 援助を求めている児童生徒との相互作用を通して、問題解決の能力や姿勢を 身につけさせる「教育相談」というように、一般には、生徒指導か教育相談 かという対極の二元構造的な見方で論じられることが多いので、まず本来的 な両者の機能について整理しておく。. 今日的な生徒指導の根源は、 「生活体験や人間関係を豊かなものとする生 徒指導」 (文部省,1988)に次のように定義されている。 「生徒指導とは、. 本来、一人一人の生徒の個性の伸長を図りながら、同時に社会的な資質や能 力・態度を育成し、さらに将来において社会的に自己実現ができるような資 質・態度を形成していくための指導・援助であり、個々の生徒の自己指導能 1.
(7) 力の育成を目指すものである。」. この定義によれば、生徒指導の対象は、学校不適応児のみでなく、学校内 の全ての児童生徒であり、彼らの社会的な自己実現を助ける過程であり、自 己指導能力を育成させる積極的、開発的な教育活動の機能であるといえる。 「教育相談」については、 「教育相談は、生徒指導の一環として位置づけ られるものであり、しかもその中心的な役割を担うものである」とした上で、 「教育相談は、一人一人の児童の発達と教育にかかわる諸問題をめぐって、. 本人及びその保護者などに必要な心理・教育的援助を行うものであり、それ ぞれの当事者が問題を柔軟にとらえ直し、その解決に向けて主体的に努力す る過程を尊重し、その過程が円滑に生じるように側面から可能な援助をする ことを基本としている。」 (文部省,1991)ものであり、 「必要に応じて集. 団的形態や関係者のチームワークも採用される」としている。. つまり、生徒指導と教育相談はその役割において、学校生活への適応上の 問題や心理的な問題を持つ児童生徒への消極的、治療的対応とともに、予防 的、開発的な側面への積極的な役割が強調されている点においては同じであ り、集団・個別の指導形態を駆使して、児童生徒一人一人の人格の調和的発 達を究極の目標にしている点では同じであるといえる。.. 坂野・宮川・大野(1994)は、 「生徒指導も教育相談も、めざすものは同 じ」であり、 「どの教師にも、生徒指導と教育相談が必要」とした上で、. 「生徒指導」的方法と「教育相談」的特徴として、その対象生徒と方法の特 徴を次のように示している。 「生徒指導」的方法は、 「しつけが不十分な子、. 人の迷惑がわからない子など、いわゆる社会的行動の未学習な生徒に、現実 原則に基づく行動のあり方を教えていく」ものであり、 「緊急な問題へ迅速 に対応」し、 「速効性がある」としている。一方、 「教育相談」的方法は、. 「緊張や不安の強い子、心のエネルギーが低下した子などに、心の解放や心 の充電をめざしたカウンセリング的はたらきかけを行う」ものであり、 「注. 意や説教といったはたらきかけよりも、自己洞察や自己成長が生徒の内側か らわき起こってくるようなはたらきかけ」を心がけるものであるとしている。 つまるところ、学校において、教師の行う学校不適応児への援助は、 「生. 徒指導」的方法か「教育相談」的方法かという対極的な図式のもとに行われ 2.
(8) るべきものでなく、坂野・宮川・大野(1994)の指摘するとおり、 「相補う. 関係」なのであり、不適応児の抱える問題の質や程度を見極めた上で、教師 はそれぞれの機能を担いつつ、 「生徒指導においては、そのある一面の機能 の取り上げることのみでじゅうぶんであるといえない」し、 「相談助言的な. 立場を中心とするカウンセリングだけを万能のように考えることも行き過ぎ であり、また、それだけでは、じゅうぶんな効果をあげえないもの」 (文部 省,1988)ということを弁えておくことが必要であろう。 また、 「教育相談」とよく似た概念として、昨今、注目を浴びている「学 校カウンセリング」という機能についても、少し触れておくと、 「学校カウ. ンセリング」という概念は、まだまだ未整理であり、混沌としたものであり、 明らかな概念規定は今のところなされていない。上地(1994)は「学校カウ ンセリング」について、次のように説明している。. 「学校カウンセリングは、その内容と特性から大きく二つの意味合いをも っていると理解される。その一つは、治療的カウンセリング(Psychothera− peutic Counseling)、またはパーソナル・カウンセリング(Personal Coun. seling)の側面であり、もう一方は、予防的・開発的カウンセリング(Pre− ventive,Developmental Counseling)としての役割である。」としており、. 「学校カウンセリングの相談内容は、学業相談と進路相談および適応相談の 三つの領域に大別される」のであるから、 「学校カウンセリング」は、学校. 教育相談の機能とほぼ同じであると考えられる。しかし、治療的なニュアン スの濃いカウンセリングのみを「学校カウンセリング」と呼ぶ考え方もある。 堀内(1991)によれば、 「学校カウンセリングは、学校において教育相談係. とか、学校カウンセラー(school counseler)と呼ばれる立場にある教師の. 行うカウンセリング(相談)活動である。従って担任教師などが行うカウン セリングは、たとえその活動内容がカウンセリングそのものであっても、学 校カウンセリングとは言わない」のであるから、本研究の対象としている学 級担任を中心とした教師の学校不適応児に対する心理・教育的な援助を包含 する基底概念としては、学校カウンセリングは当てはまらない。. また、教師は、担任をしている、いないにかかわらず、学校ないし教育と いう枠の中にいるわけで、時間的にも空間的にも大きな制約がある。立場、 3.
(9) 時間、期間、目標も自分で自由に治療構造をつくっていける心理療法やカウ ンセリングの方法をそのまま適要できるものは極めて少ないはずである。. では、学校において、学級担任を中心として教師は、学校不適応児に対し てどのように心理的・教育的にかかわっていくのか。. 前田(1991)は、 「学校教育と密着していて、しかも古い権威一教条主 義に縛られることなく、また無責任に自由だけを説く神経症的な人間主義に. 偏らないような”学校カウンセリング”という独自性のある応用論を打ち出 すこと、この努力と工夫が必要とされている時代である」としている。. そこで、本研究においては、上地(1994)による「人間尊重の教育的実践 の課題として、学校不適応児童生徒に対する教育的援助の責務をすべての教 師が積極的に担う立場にある。この意味において、これからの学校教師は、. 医者に準ずる治療者として、またカウンセラーとしての専門的役割をも同時 に遂行できるように力量を高めることが望まれている」とする今日的な学校 教師の課題を踏まえつつ、学校不適応児に対して教師がどのように心理的・. 教育的に援助することが、最も学校不適応児の肯定的な変容のプロセスを促 進するこのかということを実証的に研究していきたいと思うのである。 「指. 導」か「相談」かという対立的な捉え方をして、学校不適応児に対して教師 はどちらの援助の方法が良い、悪いという主と従の関係を導こうというので は勿論ない。学級担任がカウンセラー的役割を果たす場合、 「日頃、生徒と ふれあう機会が多い」 「教育相談に活かせるさまざまな資料や情報を得やす い」 (文部省1990)利点を活かして、生徒指導、教育相談の本来的な機能に. 即しながら、教師にこそできる心理的・教育的援助の具体的なストラテジー を探ろうとしているのである点を最初に強調しておきたい。. 第2節 質問紙法による教師の援助に関する先行研究. 1. 「教師の指導態度」と「教師と児童生徒の人間関係」. 学級における教師の指導態度の類型化や教師と児童生徒の関係に関する研 4.
(10) 究は、従来からきわめて多くなされてきた。. 教師の行動、態度と児童・生徒の行動や態度の関係を究明しようとした横 断的研究には、古くは小川(1958)の研究がある。 小川(1958)は、児童生 徒の問題行動に対する教師の指導態度について、 「精神衛生家の態度を規準. にして、常に集団を対象とした学級経営の場に立っている教師の態度を問題 とするのでなく、あくまで教師独自の立場」において、不道徳・不正直・権. 威に対する違反などの進攻的な問題行動よりも、退避的・退行的・内閉的な 態度や行動などの内攻的な問題行動を重視する態度的要件を持つ教師の担任 する学級の方がより親和的・協力的であり、好ましい教師と生徒の人間関係 を構成することをソシオメトリック・テストなどを用いて明らかにした。. 学級経営にあたって配慮しなければならない教師と児童・生徒の人間関係 について、その後も多くの知見が示されてきている。教師は、非言語的行動 を頻繁に行い、児童に対する否定的な発言が少ないほど、 「児童生徒塗受け. 入れ、児童生徒の側に立ってともに問題に対処していこうとする」受容的・ 共感的な態度について児童に認知されやすく (濱名・登・吉田,1989)、こ. の教師の態度変数が、学級における教師と児童生徒の肯定的関係に重要であ る (旧名・北山, 1988)ことを、濱:名らは、HRT (Human Relation Test). などを用いて検討した。. コミュニケーション的行為理論に基づいて教師と児童・生徒の人間関係の あり方を探った因子分析的研究に、山田・渡邉(1994)の研究がある。山田 ・渡邉(1994)は、何らかの成果をあげることを意図する「成果志向的態度」. に対して、主体相互の了解を目指す「了解志向的態度」の教師の教育的行為 を「真理性」、 「理解可能性」、 「誠実性」、 「教師としての自己認識」と. 4つの因子を抽出して構造化した。. また、教師の指導態度の類型化に関する研究には、代表的なものとして、. 三隅のPM理論がある。三隅(1966)は、一般的なリーダーシップ機能概念 を目標達成機能(Performance function;P機能)と集団維持機能(Main− tenance function;M機能)の2つの側面から類型化を試みた。 P、 M両機. 能を独立した機能概念として、その相対的強度により、PM、 Pm、 pM、. pmの4つの指導類型を設定した。教師のリーダーシップ行動について、こ 5.
(11) のPM理論に基づき、その後、それぞれの指導類型の教師の学級における児 童・生徒の行動が分析されてきた。阿久根(1973)は、教師のリーダーシッ プ行動を児童の認知に基づき測定し、教師のリーダーシップ行動を構成する 3っの因子、 「児童の学習条件に対する配慮の因子」、 「教師の児童に対す. る受容度、親和度、および信頼性の因子」、 「しつけ、訓練および学習に対. する圧力、学習目標の指示に関する因子」を見い出した。佐藤・藤原(1976) は、学級担任教師の指導類型が学級意識、学級雰囲気に対して与える潜在的. 影響力について、強度の強いMカテゴリーに、さらに強度の強いPカテゴリ ーが結合するとき、その影響力が一層大きくなることを学級を単位とする集 合調査法を用い、数量化理論H類を適用して明らかにした。また、教師のリ ーダーシップ行動測定尺度の作成が三隅・吉崎・篠原(1977)、三隅・矢守 (1989)の研究等によって行われ、学習意欲、学級連帯性などの要因を外的. 基準変数としてPM指導類型の効果性を検討した。その結果、 PM型教師の 学級で最も高く、pm型の教師の学級で最も低く、要因によって若干の差異 は認められるものの、M型、 P型の順でその効果性が認められた。さらに、. 佐藤(1993)は、生徒の学校モラールに及ぼす、学級集団、生徒個人の2つ. の要因のPM式指導4類型の効果について検討し、学級集団でのPM式指導 4類型の主効果については、三隅・吉崎・篠原(1977)、三隅・矢守(1989) の研究結果を支持するもであることを明らかにし、交互作用効果については、. 集団次元でのPM式類型は、個人次元での全体のモラールに対して促進的な 効果を及ぼすことなどを明らかにした。 戸ヶ崎・秋山・坂野(1994)は、. 三隅・吉崎・篠原(1977)のリーダーシップ行動測定尺度によって、小学生 のストレス反応と教師のリーダーシップ行動との関係について検討し、児童 の学校適応のためには、教師の行った指導と児童が受け止めた指導の差異を 具体的に明らかにし、教師がその差を小さくするような働きかけが必要であ ることを明らかにした。. これらの諸研究を概観してみると、すべて学級における教師の行動のあり 方もしくは指導態度は、その学級の児童・生徒の様々な行動や態度に大きく. 影響することが示されている。教師の個人的要因による行動の違いは、直接 的に、あるいは児童・生徒の認知を介して間接的にも、児童・生徒の行動や 6.
(12) 態度に影響しているといえる。. 濱名・北山(1988)が指摘するとおり、これらの研究は個々の砺究によっ て教師の態度や行動の呼び方は異なるが、児童・生徒に対して肯定的な影響 を与える教師の変数として一貫した共通性を見いだすことができる。小川の. 研究では内攻的な問題行動重視の態度であり、旧名・北山(1988)の研究で は、Rogersの無条件の肯定的配慮(unconditional positive regard), 一. 致性(congruence)、共感的理解(empathic understanding)の3つの要件 を備えた態度である。山田・渡邉(1994)の研究では、了解志向的態度であ. るし、三隅らのPM理論に基づく教師のリーダーシップ行動に関する研究で は、児童・生徒の内発的動機づけを反映する要因については、集団維持機能 (M機能)の強調的態度が重要であるとしている。これらに共通するものは、 教師としてのidentitiy(教師だからこそできる児童・生徒とのかかわり合い、. ふれ合い)を一方で堅守しながらも、児童・生徒の内的世界を理解し、受け 入れ、暖かく包み、はぐくみ、育てる母性的態度であるといえる。. 2。児童生徒に対する「教師の援助」と「カウンセリング研修」. 児童・生徒に対する教師の援助について、臨床的な研究に目を移してみる と、山口・芹澤・原野(1989)の研究によれば、中学生は教師の非指示的応 答よりも指示的応答や教育援助的応答を有意に多く求めていること、またカ ウンセリング・マインドを身につけた教師がある方向づけをもった助言や指. 示を与えていく方が現実的な問題や悩みの解決に効果的であることを明らか にした。. 児童生徒の問題行動に対する教師の援助に関する研究には、山口・中島・ 山本・原野(1992)があり、カウンセリング研修の経験を積んだ教師は、経 験を有さない教師に比べて、問題行動に対して非指示的応答を好むことを明 らかにしている。また、坂倉・佐野・福島(1993)は、カウンセリング研修 の経験を積んだ教師は、他の一般教員、生徒指導の教師に比べて、有意に受. 容的な理解、また生徒の個性を尊重した視点での対応を好んでいることが明 らかにしている。. 7.
(13) しかし、これらの諸研究に用いられた質問紙では、問題点として東條・前 田(1993)が指摘するとおり、教師の幅広い教育相談活動に対して、 「認知 的水準での行動の測定にとどまっている」し、 「共感的理解という非指示的. カウンセリングの基盤をなすものが、項目の中にうまく表現されなかったと いう方法論上の問題」 (山口・芹澤・原野,1989)も残している。坂倉・佐. 野・福島(1993)も「受容的態度というよりは曖昧な対応とでもいうべき項 目も含まれてしまっている」と指摘する。. 学校不適応行動に対する教師の個別的な援助についての調査研究には、福 島(1988)の因子分析的な研究があり、教師の生徒に対するかかわり方につ いて、基本的関係性(かかわりの態度)については「好意・信頼の態度の因 子」、 「共感的理解の態度の因子」、 「理解感の因子」の3因子、教師の指. 導性(どのような指導努力をしているか)については「認める因子」、 「心 配と警戒の因子」、 「本人任せの因子」、 「成長予期の因子」の4因子を抽. 出して、教師の特徴とカウンセリング研修の課題を検討した。福島(1988) は、 「小・中学校教師は、教育実習生、家庭教師学生、看護学校教師らに比. べて、受容的関係に基づいて生徒の努力を認める指導をするという面で低く、 心配と警戒の面で高い。つまり、教師は厳しい」ことを明らかにし、また、 対象生徒の問題傾向の型による比較では、 「外向的問題行動群に対する好意. ・信頼の態度や認める指導が他の生徒群に比べて最も低い」ことなどを明ら かにした。さらに、カウンセリング研修の課題として、 「教師の関心事であ. る外向型問題傾向を示す生徒をどう理解し、どう関係を作り、どう指導する かということが取り上げられる必要があろう」と示唆している。. 3.学校不適応児に対する教師の援助. 臨床的な教師の援助の場において、質問紙法による先行研究を概観しても、. 概してカウンセリング的態度が生徒指導や生徒理解に有効であり、学校不適 応児に対する教師の援助にもカウンセリング的態度が重要であるとの研究報 告がなされているといえる。. 相談的であるか指導的であるか、あるいは二者の折衷を試みるにせよ、こ 8.
(14) れは教師にとって大きな命題である。 「教師はあまりにも多くの児童生徒の 悩みや問題を一度に抱え込んでしまわなければならない」 (山口・芹澤・原. 野,1989)ため、教師は臨機応変に、かつ短時間で対応を迫られる。また児. 童生徒も短時間で効率のよい援助を求めているということから、学校不適応 行動に対する教師の対応は、 「精神衛生家の態度を規準にして教師の態度を 問題とするのでなく、あくまで教師独自の立場」 (小川,1958)において検. 討されるべきである。従って心理療法家やカウンセラーのそれとはまた必然 的に異なるであろうし、また、上述のような教師と学級集団においてなされ る教育的営みにおけるものと、学校不適応状態にある個々の児童生徒に対し てなされる援助とでは、児童生徒に肯定的な効果を及ぼす要件に違いがある かもしれないと考えられる。福島(1988)の研究以外には、学校不適応行動 に対する教師の対応についての調査研究は、ほとんどなされていない現状を 鑑み、本研究は、いわゆるパイロットスタディ的な要素を内包していること を顧みつつ進めたいと思う。. 第3節 「援助」の機能と原理. 教師が、学校不適応児に対して直接何らかの働きかけをするときの行動や 態度、また働きかけないまでも、ノンバーバルな行動や態度によって児童生 徒に自然に認知される潜在的な雰囲気とかいったものは、援助の際、常につ きまとうことである。. この教師の行う学校不適応児に対する意識、行動、そして態度による援助 には、大きく二つの原理があるのではないかと考えられる。一つは母性的援 助の原理であり、 「保護と受容」のはたらきをするものである。もう一つは、 父性的援助の原理であり、 「切断と権威」のはたらきである。 G.Medini, J.Lomranz, E.H.Rosenberg, E.Bisker(1982)は、保護的で、. あたたかく、受容的な母性的機能をrbeing」、 積極的で、威厳があり、指. 導的な機能を rdoing」として心理臨床家の治療の機能をこの二つの側面か ら検討している。. 9.
(15) また、山口(1985)は思春期・青年期の男女が男性性と女性性をどのよう にして取り入れようとしているのか検討するために、従来の単一的な次元構. 造を批判して、新しい尺度を開発している。一方の極にMasculinity(男性 性)があり、もう一方の極にFemininity(女性性)があるとする従来の定義 に反して、イメージとしての男性性・女性性を考えるならば、男性性、女性. 性をともに合わせ持つ人、あるいは両方とも持たない人という把握が可能で あるとした。. さらに、吉田(1995)は、山口(1985)の立場に従って、女性性と母性、. 男性性と父性の四つの独立した次元の、それぞれ肯定的な側面と否定的な側 面について、八つの尺度(Table1, Table2)を作成した。. Table1 母性一父性尺度の項目(吉田,1995). MOP尺度. MON尺度. FAP尺度. FAN尺度. 保護的な. 過保護な. 頼りがいのある. 支配的な. 包み込むような. 盲目的な. ゆるぎない. 頑固な. あたたかい. 口うるさい. 物事に動じない. 威圧的な. 育てばぐくむ. おせっかいな. 威厳のある. 厳格すぎる. 慈悲深い. 呑み込むような. 指導的な. ワンマンの. ぬくもりのある. 溺愛する. 権威のある. 独裁的な. 豊かな. 甘やかす. 一家を支える. えらそうにする. 家庭的な. 過干渉の. 厳しさのある. 横暴な. 自己犠牲的な. 束縛する. 岩のようにどっし. 上から押さえつ. りとした. ける. 母性の肯定的側面(MOP:MOther Positive),母性の否定的側面(MON:MOther Negative) 父性の肯定的側面(FAP:FAther Positive),父性の否定的側面(FAN:FAther Negative). 10.
(16) Table 2 女性性一男性性尺度の項目(吉田,1995). FEP尺度. FEN尺度. MAP尺度. MAN尺度. 控えめな. 受け身の. 力強い. 理屈っぽい. しなやかな. ヒステリックな. ストレートな. スケベな. 曲線的な. わがままな. 行動力のある. 荒々しい. 従順な. すぐすねる. 勇敢な. 理想を追いたがる. 艶のある. 他人まかせの. 論理的な. 攻撃的な. かわいい. 気まぐれの. さっぱりとした. がさつな. しおらしい. なよなよした. 理性的な. 破壊的な. 優雅な. 群をつくりたがる. たくましい. だらしのない. 繊細な. 陰口をたたく. 精力的な. 野蛮な. 女性性の肯定的側面(FEP=FEminine Positive),女性性の否定的側面(FEN:FEminine Negative),男性性の肯定的側面(MAP:MAsculine Positive),男性性の否定的側面(MAN : MAsculine Negative). 本研究では、この吉田(1995)の尺度を参考にしながら、 「相談的な接し 方」は、母性尺度・女性性尺度項目の接し方、 「指導的な接し方」は、父性. 尺度・男性性尺度項目の接し方であるとして、教師の援助の特徴について検 討を試みることにする。吉田によって示された尺度項目の内容は、とりもな おさず、教師が学校不適応児に対して行う援助の二つの接し方、すなわち、 相談的にかかわること、指導的にかかわることの二つの中心となる接し方の 肯定的側面と否定的側面そのものであるといえるからである。 前掲の堀内(1991)は、 「生徒指導と学校カウンセリングの違い」として、. また坂野・宮川・大野(1994)は「生徒指導的方法と教育相談的方法」とし て、それぞれの機能や原理、援助の形態などを説明しており、これを参考に して、 「学校不適応児に対する教師の援助の機能と原理」を、吉田(1995). の八つの尺度を基にして、筆者が独自に整理することにした(Table 3)。. 11.
(17) Table3 学校不適応児に対する教師の援助の機能と原理 接し方. 指導. 相談. 機能. 切断と権威. 受容と保護. 原理. 父性(男性性)原理. 母性(女性性)原理. 自己指導能力の育成. s適応行動の修正. 目的. @ 環境の改善. 人格的統合と再構成 A. 認知の変容. @. 環境の改善. 内容. スキル中心. 体験中心. 志向. 集団志向. 個人志向. 頼りがいのある. 関係. 過程. 解決手段、結果の尊重. 相互に協同する 問題解決の過程の尊重. 筆者が独自にすることにしたのは、本研究においては生徒指導と教育相談 や学校カウンセリングの役割や技法の違いを明らかにすることではないし、 「生徒指導」と「教育相談」という学校教育における機能を問題にしている のではないからである。勿論、校内体制的に援助を進める際に、相通じると ころもあるのだろうが、本研究では、教師但人の中にある学校不適応児に対. する援助の機能と原理を探りたいと考える。この機能と原理について、全て の教師がよくわかっていること、そしてその中で自分がいかに援助していこ うとしているかということ、さらに自分がどのように援助することが自分に. 最もぴったりくるのか、また、こないのか、そして、それは何故そうなのか ということを考えようとすることこそが、学校不適応児への援助についての. 研究を進める最も大きな意義であろうと思うし、これが本研究に付随する一 つの価値であると思うからである。. この相談と指導の機能と原理が、個々にアンバランスに働いているようで は、学校教育において、人間形成の営みは成立しないと考える。全ての、そ. れぞれの教師自身のなかで、車の両輪のようにバランスよく働いてこそ、学 校不適応児に対する最も望ましい援助が可能になるのではないかと考えられ る。なぜなら、学校とは、個々それぞれの児童生徒のもつ欲求や要求が、受. 12.
(18) 容され、実現され、支持される快適で楽しい面白い側面と、時間的にも空間. 的にも制限され、修正され、制約があり、拒否されるという不快で不満を伴 う側面のアンビバレンツな共存によって、人間形成の営みがなされる場だか らである。. この意味においても、前述したように、立場、時間、期間、目標も自分で 自由に治療構造をつくっていける心理療法やカウンセリングの援助の機能や. 原理をそのまま適要できるものは極めて少ないはずであろうと考えるからで ある。. 第4節 本研究の目的 学校不適応児が抱える問題は多様であり、その程度も様々である。学校不. 適応児のどのような問題を取り上げるかによって、教師の援助の様式や程度 は大きく違ってくるであろう。. もし仮に、学校不適応児の問題を具体的に提示しないで教師の援助につい て調査研究を行ったとしても、具体性に乏しい、概念的で、社会的に望まし いとされるであろう援助のあり方にとどまってしまうであろうし、教師の幅 広い援助の活動に対して、 「認知的水準での行動の測定にとどまって」 (東. 條・前田,1993)しまうことは容易に予想できる。どのような仮想の不適応 行動を提示して、その援助のあり方を問うのかということが、本研究の方向 付けをする大きな鍵であろう。. まず、本研究の対象としている「学校不適応児」について、その「ネ適応」 の概念規定しておく。佐藤(1996)の定義により、 「不適応」とは、 「個人. はいろいろの要求を持つが、この要求が内外の事情によってうまく満たされ ないで、慢性的な欲求不満状態となり、これが行動、性格、からだなどを通 じて個人の日常生活を歪める形で表現されたときのその個人の状態」である とする。. 「不適応行動」とよく似た概念として「問題行動」という概念があるが、 「不適応行動」と「問題行動」について、内山・前田(1986)は、 「問題行. 13.
(19) 動とは、児童・生徒の学校・家庭・及び社会での生活における適応上問題の ある行動、すなわち不適応行動を指す」としており、 「不適応行動」は、 「. 問題行動」と同義であると捉えることができる。さらに、坂野・宮川・大野 木(1994)によれば「学校不適応という概念について明確な定義があるわけ ではない」としながらも、 「学校不適応行動」とは「登校拒否や無気力など の非社会的行動、校内暴力や非行などの三社:会的行動のように、心理的要因. に起因し、正常な学校生活を妨げる問題行動を総称する」と定義しており、 本研究で対象とする「学校不適応児」とは、これらの定義に従うものとする. 内山・前田(1986)の問題行動の態様と分類を引用すると、問題行動は次 の三つに大きく分類されるとしている。. ①反社会的行動… 乱暴、暴力、嘘つき、盗みなど、一般的に物を破壊し たり、他人を攻撃したりというように、周囲に対して攻撃的な形で示す行動 が多い。いわゆる非行のほとんどや、校内暴力、家庭内暴力、いじめなど。. ②非社会的行動… 他に対して危害を加えることは少ないものの、現実の 問題場面に対して適応できないため、その場面から逃避するという形で示さ. れる。引っ込み思案、絨黙、孤立、無気力の行動など。代表的なものとして 登校拒否がある。. ③神経性習癖… 運動性習癖(チック、爪かみなど)、基本的生活習慣に おける異常(過食、夜驚、夜尿など)、精神身体反応における異常(頭痛、. 腹痛、乗り物酔いなど)、性的行動による異常(同性愛、露出症など)、神 経症的異常(不安傾向、強迫傾向など) 本研究では、 「学校不適応行動」を広く対象にしているので、最も教師に とって身近であり、深刻であり、一且つ、学校や担任を中心とした教師の問題. でもあるとされやすい不適応行動を二つ取り上げることにする。一つは、神 経症的な登校拒否であり、もう一つは、非行傾向のある子どもの教師への反 抗である。この非社会的な不適応行動と反社会的な不適応行動を比較しなが ら、学校教育現場では典型的で代表的な仮想事例をもとに、教師の援助につ いて研究を進めていくことにする。 「従来、問題行動を反社会的な問題行動. と非社会的な問題行動とに大きく区分することが多かった。しかし、この両. 者は、個人と環境との間に生じてくる緊張感や不適応感の表れ方の差異であ. 14.
(20) り、また表面化した兆候上の相違であって、本質的な問題行動の差異を示す ものではないことに注意しなくてはならない」 (文部省,1986)ことを弁え. つつ、表面上、心的エネルギーの向かう方向からみれば、対比的とも捉えら. れるこれらの二つの不適応行動への援助の指標を持つとするなら、学校不適 応児に対する援助の様式や程度に関して充分な説明力を包含すると考えるか らである。. まず、これらの学校不適応児に対して、また学校不適応児の抱える問題に 対して、教師は、その問題をどのようにとらえ、どのように対応しようとし ているのかという教師の援助の具体的な行動について調査し、その行動を分 類・整理し、項目化することを試みる。学校不適応児の「集団の要請の内容 と主体条件との一致」 (戸川,1976)のために、 「人と環境が調和した良い. 関係にある状態」 (福島,1989)への変容のために、さらに、 「マイナスを. ゼロにするなどということでなく、そこから多くのプラスのことが引き出さ れてくる」 (河合,1984)ための教師の援助の特徴的な行動を明らかにする。. 援助の行動の裏に見え隠れするであろう不適応行動のとらえ方や不適応行動 に対する意識、感情、態度についても、援助の行動の調査の中で、部分的に は明らかにされると思われるが、本研究では、最も他者からも見えやすく、 自分自身でも自己評価しやすいと考えられる「行動」についての特徴を中心 にとりあげることにする。. この援助の特徴的な行動について項目化し、 「学校不適応児に対する教師. の援助行動評定尺度」を開発・作成する。本尺度によって、教師は学級担任 と学校不適応児童生徒との日常のかかわりの程度や様式を自己評価したり、. 学級担任としての自分の援助行動の型を評定できるであろうし、副次的には、 教育相談研修で得たものについて参加者が自ら点検するための道具となりう るであろうと思われる。また、援助の行動の勤務経験校種による差、性の違. いによる差、教職経験年数による差を明らかにし、教師の援助の行動の特徴 について検討できるものと思われる。. 教師は、学級担任の経験があれば、質や程度の差はあるものの、少なから. ず学校不適応児との直接的で密接なかかわりを教師は体験しているはずであ る。学校不適応児を直接、担任、担当した経験の中には、望ましいと思われ 15.
(21) るその自分の援助によって、学校不適応児がその問題を解決したり、克服し. たという事例やエピソードがあると思われる。そういう好転したケースを経 験した教師群と経験のない教師群の間には、援助の行動の様式や程度に差が あるのではないだろうか。この援助の行動の様式や程度を「相談」と「指導」 という二つの視点から捉えてみたい。そして、そこから必然的に学校不適応. 児に対する望ましいかかわり方の様式や程度が導き出せるのではないかと考 える。. 本研究の目的は、次の三つに要約できる。筆者の研究意図の順にあげると、. ①学校不適応児に対する教師の望ましい援助の様式や程度を明らかにする。 ②学校不適応児への「援助行動評定尺度」を開発・作成する。 ③学校不適応児に対する教師の援助の行動の特徴を明らかにする。. 16.
(22) 第2章 学校不適応児に対する教師の援助行動評定尺度の作成. 第1節 尺度の作成にあたって. 前章で述べたとおり、学校不適応児に対する教師の援助について、教師自 身の自己評価によって評定できる尺度を作成する。 丸山(1995)によれば、 「自己評価」とは、 「自分の行動を内省的に観察」. し、 「そのフィードバックの情報を求めて活用することである」としている。. 教師が自分の援助の行動を自分自身でより客観的に把握し、評定し、自分自. 身で自己認知(Self−cognition)を修正できうる測定具とyての尺度は、学 校教育現場での研修の機会はもとより、教育研修センターなどでおこなわれ る教育相談研修の効果を測定する道具としても幅広く利用でき、有用であろ うと思われる。. また、本尺度では、特に断らない限り「教師」は、 「学級担任」と同義に. 扱うことにする。学級担任としての援助に限定した積極的な理由は、文部省 (1970)による「生徒との接触の機会が深く、生徒を最もよく理解できる立. 場にある学級担任の教師が直接の生徒指導の担当者であり、推進役でなくて はならない」学級担任としての生徒指導上の役割からである。文部省(1970). は、学級担任の教師が、なぜ生徒指導上重要な立場にあるのかについて、4 っの視点で説明している。. (1)他の教師との協力のもとに、生徒指導を直接的、継続的に推進する立 場にある。(2)さまざまな機会を通して、学級の生徒と最も多く接触する機 会をもつことができ、種々の点についてよく知りうる立場にある。(3)学級. の中のすべての生徒について、継続的な指導が重要であり、それができるの は学級担任の教師である。(4)ひとりひとりの生徒について、そのおかれて いる諸条件を総合的にとらえ、計画的に指導を進めるには、生徒とより多く 接し、よく理解できる立場にある学級担任の教師が最も適している。. また、一般的にも、児童・生徒にとって学校と自分とをつなぐ最も重要な. 17.
(23) 要となるのが学級担任であり、児童・生徒にとって最も大きな存在であると 考えられるからである。. さらに、教師の援助を学級担任に限定した消極的な理由として、授業をも. たない加配教諭や養護教諭、また、管理職として学校不適応児に援助する場 合とでは、援助のあり方が違うと考えられ、教師としての立場を明確にして おく必要からである。. 第2節 尺度項目作成のための面接調査. 1.目的. 教師が日常の教育実践の中で、学校不適応児童、生徒の行動に対してどの ように対応しているのか、その教師の援助の行動や態度の特徴を把握、分類 し、項目化することにより、行動目録を作成する。そして、行動目録から抽 出・選定した暫定項目により、予備調査票を作成することを目的とする。. 2.方法. 1)調査対象. 面接対象者は、教育相談研修の経験豊富な現職の公立小・中学校教諭17. 名、臨床心理学系の現職教諭のH大学院生16名の計33名である。対象者 の選定にあたっては、できるだけ心理臨床経験が豊富で、臨床能力が高いこ とを第一義に優先した。被調査者の性、年齢、勤務地域については、できる だけ偏りがないように配慮した。. 2)実施方法. 面接者(筆者)が自分自身の面接者の役割や被面接者の役割について説明 18.
(24) して構造化を図り、以下の4つの質問を面接者(筆者)が行った後、被面接 者が自分の考えを自由に述べる半構成的な方法によって面接を行った。また、 「面接者からの情報提供、忠告や示唆、元気づけや指示を行わない、面接者 が解釈したりしない、どのような相手の発言や態度・考え方も批判しない」 (佐治,1978)とするクライエント中心の面接法に依拠した。. 仮想事例による具体的指導場面が2例(登校拒否傾向を示すA子の事例・ 非行傾向を示すB男の事例〈Appendix1>)示され、筆者により、. ①「あなたなら、学級担任として、その時、どう言い、どんな行動をしま すか?」. ②「その時あなたは、どんな気持ちですか?どんな感じですか?」 ③「あなたなら、学級担任として、その後、どう援助していきますか?」 ④「もっと必要な情報はありますか?」. という質問が実施された。順序効果が相殺されるように、2事例の提示順序 のカウンターバランスをとった。被面接者は仮想事例の不適応行動に対する とらえ方、援助のしかたについて回答を求められ、テープ録音された。調査. 時期は1995年12月下旬から1996年1月中旬とした。この期間を選 定した理由は、冬季休業中であり、教師の学級事務の少ない期間であると考 えたからである。. また、仮想事例の登校拒否傾向を示すA子、非行傾向を示すB男の事例の 時期を両方とも中学1年のゴールデンウィーク明けとして設定した。これは、. 中学1年の前半であれば、小学校の教師も、中学校の教師も日頃かかわって いる年齢の子どもであり、現実的で実際的な援助のしかたがとらえやすいと 考えたからである。. 3.結果 (1)調査対象者の構成. 対象者の属性をTable4からTable7に示す。. 19.
(25) Table4校種. Table5 性. 小学校. !6. 男. 中学校. 10. 女. 3. 計. 高等学校. 適応指導教室等. 4. 計. 33. 19 14 33. Table7勤務地域. Table6年齢 3. 20代 30代 40代 50代. 16 13. 計. 33. 1. 都市部. 12. 新興住宅地. 7. 農山村漁村部14 計. 33. (2)援助行動の分類. 質問①、質問③に対する回答から、具体的な449項目の援助行動項目が 得られ、これを大きく2つの援助の行動として分類することにした。. Table3「学校不適応児に対する教師の援助の機能と原理」に従って、相談 的な接し方であり、受容的・保護的なかかわり、すなわち共感的・密着的・. 協調的・親和的・家庭的・自己犠牲的・柔和的な援助の行動を「相談的行動 項目(Counseling lnventory;C行動項目)」、 また、指導的な接し方であ り、切断的、権威的なかかわり、すなわち構成的・計画的・厳格的・組織的 ・活動的・精力的な援助の行動を「指導的行動項目(Guidunce Inventory;G 行動項目)」として、筆者が分類を行った。 援助行動項目は、 「相談的行. 動項目(C行動項目)」、 「指導的行動項目(G行動項目)」、そしてその どちらにも分類されない行動を「他の行動項目」として、大きく3つのカテゴ. リーに分類され、227項目の援助行動に集約された(Table8)〈Appendix2 参照〉。. これをもとに、筆者が、学校不適応児に対する教師の援助の行動の相談的 な機能、指導的な機能を最も特徴的に表す援助行動項目を抽出・選定し、援. 20.
(26) 助行動目録が作成された。. Table8 各カテゴリーの項目数 父性的行動. 母性的行動. 他の行動. 計. 59 47. 57 46. 7. 106. 103. 123 104 227. A子 B男 計. 11 18. 登校拒否傾向児A子への援助の行動項目数は、52項目 (C行動=31、. G行動=21)であり、非行傾向児B男への援助の行動項目数は、50項目. (C行動=27、G行動=23)であった。 上記の手続きにより選定された援助行動目録を面接法により、臨床心理学 を専攻する大学院生8名に実施し、理解しにくい表現を修正して、暫定項目 による予備調査用の調査票が作成された。登校拒否傾向児A子への援助の行. 動項目数は、32項目(C行動=17,G行動=15)、非行傾向児B男への 援助の行動項目数も、32項目(C行動=17,G行動=15)であった。 (3)援助の具体例. 面接調査によって得られた回答結果の中から、<Appendix3>に援助の具 体例を一部列記する。特徴的であると思われる24例を掲載する。. 第3節 予備調査 1.方法. (1)調査対象. 調査の対象は京都府の教育相談研修経験の豊富な小・中学校教諭6名、現. 21.
(27) 職教諭の大学院生9名、計15名とし、直接配布、回収した。. (2)実施方法. 調査票に対して感想・意見を自由に記述してもらい、その後、さらに聞き. 取り調査により、ワーディングが検討、修正された。調査時期は1996年 3月とした。この期間は春季休業中であり、教師にとって時間的に余裕の持 ちやすい期間であろうと考えたからである。. 2.結果 教師を被験者とする調査においては、久冨(1988)が、 「教員文化の社会 学的研究」において、D.H. Hargreavesが示した教員文化の体系的性格として. 取り上げた諸要素の中に、 「教員という仕事は、その達成を正確にはかるこ とができないので、その専門的能力についてはかることも難しい。教員同志、. この点で奇妙なほど謙虚であり、内心では互いに同僚の能力をはかり合って いても、オープンに評価し合うことはない」という指摘がある。これについ て十分配慮し、また、久冨(1988)が示唆するように、 「教員集団は外に対. しては高い壁をはりめぐらし、本音を抽出することが難しい」点についても. 検討を加え、予備調査実施後、特に次の3点について、臨床心理学を専攻す る大学院生数名と指導教官により検討を重ね、本調査用の調査票を作成した。 ①質問紙を実施する前に、 「実施上のお願い」として注意書きを添え、本 質問紙の実施の趣旨について口頭でも十分に説明する。. ア.学校不適応児に対する被調査者の日常のかかわりについて、被調査 者自身が振り返るためのものであること。. イ.被調査者の援助行動の型を被調査者自身が自己評定するためのもの であること。. ウ.これ以外の目的のために回答結果が使用されることは一切ないこと。. ②被調査者の評定に偏りのある項目は、項目の弁別力を高めるため、カテ. ゴリーの相対度数が50%を越える項目について、断定的でない文末表 22.
(28) 現を用いる。. ③「どちらともいえない」の選択肢に回答が集中する中心化傾向を避ける ため、あえて4件法を採用する。 ④社会的に望ましいとされる、理想的、模範的な回答に偏らないように、 できるだけ現実的な援助の場面での具体的な指導・援助のしかたを問う ようにする。. 23.
(29) 第3章 本調査及びその分析. 第1節 目的 研究の手順に従って、本章の目的を3つ列挙する、. 第1の目的は、予備調査を経て作成された「学校不適応児に対する教師の 援助の行動」を問う調査票を用いて、教師が日常的にどのように学校不適応 児にかかわっているのか、不適応行動に対してどのように援助しようとして いるのかを自己評定できる「援助行動評定尺度」を、 「登校拒否傾向児」と 「非行傾向児」のそれぞれについて「登校拒否傾向児への援助行動評定尺度」、. 「非行傾向児への援助行動評定尺度」として確定することである。. 第2の目的は、面接調査(前章に記述)で得られた学校不適応児に対する 教師の援助の行動の特徴を、さらに多数の教師に対して広く質問紙法によっ. て調査し、援助の様式や程度を数値化して把握し、検討することである。教 師の性の違い、勤務三種の違い、教職経験年数の違いによる群間の比較を通 して、これらの違いによる教師の援助の特徴を明らかにすることである。. そして、第3の目的は、学校不適応児を直接担任(担当)した経験やエピ ソードを、本調査と同時に自由記述によって調査し、自由記述の内容と評定. 尺度の得点を比較、検討することにより、教師の望ましい援助の様式や程度 を明らかにすることである。自由記述により、自分が担任(担当)した学校 不適応児への援助について、心理的・教育的に望ましいものであり、かっ、 具体的な援助のあり方が示されるとするならば、そのように記述がなされる. 群となされない群の教師の属性の違いを検討することにより、学校不適応児 に対する教師の援助がどのような要因によって影響されているのか明らかに されるであろうし、尺度得点の群間比較によって望ましい援助を行うための 方向性が探れるとものと考える。. 24.
(30) 第2節 方法 1.調査対象. 対象は、H大学に入学直後の現職教諭の大学院生全員とした。. また、講義時間に調査を行うという調査実施上の理由と、本章の考察にお いて後に述べるが、教師集団との比較集団としての理由から、現職教諭の大 学院生と併せて、教職経験のない教員志望の同大学院生についても、現職教 諭の大学院生と同様に対象とした。. 2.実施方法. 調査時期は、1996年4月上旬とし、講i義時間に直接配布、回収された。 H大学大学院に入学直後の修士課程1年を調査対象としたのは、次の4つの 理由からである。. ①大学院生の7割以上が現職の教員であり、講義時間に一斉に調査票を直 接配布、回収でき、口頭でも実施上の諸注意を添えることができる。 ②入学直後であり、大学院での生活によるバイアスは極めて少ない。 ③カウンセリング、教育相談などの講義・演習が、まだ始まっておらず、 これらの変数による影響はほとんど皆無である。 ④居住、勤務地域が幅広く、特定の学校、地域に偏らない。. また、質問紙は、調査への心理的抵抗を少なくするため、タイトルを「学 校不適応児への指導・援助に関する調査」とした。できるだけありのままに 素直な回答がなされるように、調査の目的について、また調査の結果を講義 時間に報告する旨、指導教官の趣意書が添えられた。. 質問紙の回答の選択肢は、4件法を採用し、「まったくあてはまらない」 「あまりあてはまらない」「ややあてはまる」「よくあてはまる」とした。. また、学校不適応児の担任(担当)経験による群間の差を検討するため、. 被調査者に過去の自分の担当経験について選択肢による回答と自由記述によ る回答を求めた。これは、本尺度の妥当性の一部を検討することでもあるた. 25.
(31) め、質問項目は以下のとおりとした。. ①神経症的な登校拒否を経験した子どもを最近5年間に担任(または直接 担当)されたことがありますか?. ②あると答えられた方は、あなたのかかわりでケースが好転したことがあ りますか?. ③あると答えられた方は、最も好転したそのケースの概要(学年・性別・ 訴えなど)を記述してください。 ④そのケ・・一一一スの子どもに対して、担任としてどのように指導・援助されま. したか?具体的なエピソードを書いてください。. 非行傾向児についての担任経験については、質問項目①の「神経症的な登 校拒否を経験した子ども」を「教師に対して反抗的で非行傾向のある子ども」 として、以下同様の質問項目で選択肢と自由記述による回答を求めた。. 第3節 研究結果 1.調査対象者の構成. フェイスシt一一一一ト項目のカテゴリ度数はTable9からTable11に示す。 (). は相対度数(%)である。実施した216名のうち、記入漏れ、記入ミスの. なかった登校拒否傾向児A子への援助行動尺度の有効回答は212名(有効 回答率98.2%),非行傾向児B男への援助行動尺度の有効回答は209名( 有効回答率96.8%)であった。. Table9. 性別. Table10校種. Table11教職年数. 男165(76). 小学校. 5 9 (27). 女. 中学校. 5 6 (26). 高等学校. 5 2 (24). 20年以上. 21(10). 他. 4 9 (23). 計. 2 1 6 (100). 計. 2 1 6 (100). 51(24). 計216(100). 26. なし. 41(19). 1∼19年 154(71).
(32) 2.援助行動評定尺度の作成. (1)援助行動を構成するの因子の構造. 本調査で得られた回答に1∼4点(「まったくあてはまらない」1点, 「あまりあてはまらない」2点, 「ややあてはまる」3点, 「よくあてはま. る」4点)の得点を与え、216名の標本全体を主因子法による因子分析を 行い、学校不適応児に対する教師の援助行動の因子の構造を検討した。. 1)登校拒否傾向児A子への援助行動の因子分析. 主因子法による因子分析の後、 Varimax回転させたところ、解釈可能な4 因子が抽出された。第1因子は、 「A子が話せる時間や場所を見つけようと. する」、 「A子の興味・関心のあることをA子と一緒にする」など、登校拒 否児に対して受容的、保護的にかかわろうとする項目で構成されているので、 「相談の因子(8項目、寄与率13.98%)」と解釈される。第2因子は、 「あと少し頑. 張るようにA子を励ます」、 「どうして教室に来れないの?とA子に尋ねる」 など、切断的、権威的にかかわろうとする項目で構成されているので、 「指 導の因子(7項目、寄与率12.68%)」と解釈される。第3因子は、 「A子の思いや気. 持ちの変化を知る手がかりになる情報を集める」、 「専門機関で診断しても. らい、A子へのかかわり方について指導を受ける」など、家庭や他の教職員、. 専門機関などと連携しながら、援助をすすめていこうとする項目で構成され ているので「連携の因子(5項目、寄与率10.49%)」と解釈される。また、第4因子. は、 「神経症的な登校拒否の子どもは教育では対応できないから、基本的に. は専門機関に任せる」、 「自分がA子を担任している間だけは、A子との関. 係が悪くならないようにする」など、登校拒否児への援助を他の人に任せて しまったり、逃げ腰で援助したり、無関心であったり、放任したりする項目 で構成されているので、 「拒否の因子(5項目、寄与率8.18%)」と解釈される。. 各質問項目の因子負荷量をTable12,項目内容と平均値及び標準偏差をTa− ble13−1∼13−4に示す。. 27.
(33) Table12. 登校拒否傾向児A子への援助行動得点の因子分析結果 (N=216,Varimax回転後の因子:負荷量行列). 質問項目. 因子1. 因子2. 因子3. 因子4. 124. O.740. 一〇.024. 一〇.016. O.052. 126. 0.708. 0.158. −O.302. −O.024. 125. 0.684. 0.177. −O.235. −O.101. 120. 0.560. −O.366. −O.171. 0.207. 128. 0.557. −O.358. −O.029. 0.039. 119. 0.539. −O.130. −O. 3’70. 115. 0.456. −O.068. −O.192. 0.222. 0.165. −O.048. 0.281. 112. −O. 420. −O.007. 130. 0.050. −O.795. −O.030. 0.145. 109. 0.049. −O.784. −O.093. 0.059. 101. −O.051. −O.779. −O.057. 0. Oll. 103. −O.095. −O.753. −O.019. O.026. 104. 0.162. −O.536. −O.073. 0.351. 129. 0.315. −O.507. −O.366. −O.101. 105. 0.204. 0. 467. −O.151. 0.160. 111. −O.022. 0.126. −O.757. 0.084. 127. −O.205. 0.199. −O.675. −O.085. 116. 0.029. 0.202. −O一. 665. −O.186. 123. −O.017. 0.116. −O.602. −O.121. 102. −O.275. 0.114. −O.538. 0.279. 131. −O.018. 0.061. 0.185. 0.778. 121. −O.322. −O.091. −O.058. 0.548. 113. −O.182. −O.306. −O.020. 0. 531. 108. −O.169. −O.015. −O.351. 0. 476. 122. 0.033. 0.327. −O.075. 0. 461. 3.552. 3. 916. 2.939. 2.292. 因子の寄与率(%). 12.686. 13. 986. 10.498. 8.185. 累積寄与率(%). 12.686. 26.672. 37.170. 45.355. 因子負荷量の2乗和. 因子相関は、1−2間が一〇.23, 1−3間が一〇.49, 1−4間が0.06 2−3間が0.25, 2−4間が一〇.33, 3−4月目一〇.31であった。 28.
(34) Table13−1. 第1因子(鰍の因子)の質問項目と項目ごとの平均値・標準偏差 項目. 項目内容. M. SD. 2.72. O.85. 3.62. O.53. 3. 57. O. 58. 3.36. O.68. 2. 86. O. 89. 3. 09. O.80. 2. 79. O. 88. 3.33. O. 70. 124学習内容を材料にしてA子と話 せるから、A子との課外学習の 設定をA子にもちかける. 126A子が話せる場所や時間を見つ けようとする. 125A子に対するいじめの実態がな いか、学級の子どもから様子を 探る. 120A子が学校や担任に対して思っ ていることを母親から聴く 128「先生はA子のことが好きだな. あ」とA子にも学級の子どもに も思わせる. 119A子の興味・関心のあることを A子と一緒にする. 115A子のことについて、緊急に学 年会や校務分掌などで相談して もらおうとする. 112「先生はいつも私のことを思っ. てくれている」とA子が感じら れるようにする. 29.
(35) Table13’2 第2因子(指導の因子)の質問項目と項目ごとの平均値・標準偏差 項目. 項目内容. M. SD. 2.97. O.88. 2. 48. 1. 08. 2.31. 1. 01. 2.56. O. 93. 1. 83. O. 86. 3.30. O. 73. 2.84. O. 90. 130A子が周りの子どもたちに認め られることをすることができる. ようにA子を励ます 109「学校にA子を連れてきてもら うのは、大変だったでしょうね」 . と母親に言う. 101「どうして教室に来れないの?」. とA子に尋ねる. 103あと少し頑張るようにA子を励 ます. 104とりあえず手を引いてA子を教 室に連れていく. 129学校や担任、家庭に対して、A 子が今、どんな気持ちでいるの. かA子に聴く. 105A子の仲の良さそうな子どもに 「A子の様子をみて来て」と頼む. 30.
(36) Table13−3. 第3因子(醗の因子)の質問項目と項目ごとの平均値・標準偏差 項目. 項目内容. 127A子の思いや気持ちの変化を知. M. SD. 3. 61. O.54. 3. 01. O.85. 2. 91. O. 80. 3. 06. O. 87. る手がかりになる情報を集める. 116父親にも面談に同席してもらえ るように言う. 123専門機関で診断してもらい、A 子へのかかわり方について指導 を受ける 102 「お母さん、今が大事なときで. すから一緒に良い方法を考えて いきましょう」と言う. Table13−4 第4因子(拒否の因子)の質問項目と項目ごとの平均値・標準偏差 項目. 項目内容. M. SD. 2.11. O.78. 3.08. O. 82. 1. 44. O. 63. 3. 04. O. 87. 2.30. O.96. 131神経症的な登校拒否の子どもは 「教育」では対応できないから、. 基本的には専門機関に任せる. 121A子が集団になじめない様子を 具体的に母親に伝える. 113A子のことについて他の教師に は、できるだけ言わないように する. 108朝、教室に入れないようなら、 保健室や相談室に移動するよう. にA子に言う. 122自分がA子の担任をしている間 だけは、A子との関係が悪くな らないようにする 31.
(37) 2)非行傾向児B男への援助行動の因子分析. 主因子法による因子分析後、 Varimax回転させたところ、解釈可能な4因 子が抽出された。第1因子は、 「B男に言いたいように、まず言わせる」、’. 「B男の興味・関心のあることをB男と一緒にする」など、非行傾向児に対 して受容的、保護的にかかわろうとする項目で構成されているので、 「相談 の因子(11項目、寄与率19.33%)」と解釈される。第2因子は、 「先生になんか文. 句あるのか?とB男に尋ねる」、 「いけないことはいけないということがき. ちんとB男に伝わるまで注意を与えるjなど、非行傾向児に対して、切断的、 権威的にかかわろうとする項目で構成されているので、 「指導の因子」と解 釈される。第3因子は、 「父親にも面談に同席してもらえるように言う」、. 「とにかく辛抱強く家庭訪問を続ける」など、家庭や他の教職員と連携しな がら、援助をすすめていこうとする項目で構成されているので「連携の因子 (4項目、寄与率8.73%)」と解釈される。また、第4因子は、 「担任では対応しき. れないので、生徒指導や教育相談の担当に基本的に任せる」、 「この次にB. 男が問題を起こしたとき、注意を与える」など、非行傾向児への援助を他の 人に任せてしまったり、逃げ腰で援助したり、無関心であったり、放任した りする項目で構成されているので、 「拒否の因子(5項目、寄与率7.20%)」と解釈 される。. 各質問項目の因子負荷量をTable9,項目内容と平均値及び標準偏差をTa− ble10−1∼10−4に示す。. 32.
(38) Tablell. 非行傾向児B男への援助行動得点の因子分析結果 (N=216,Varimax回転後の因子:負荷量行列). 質問項目. 因子1. 因子2. 因子3. 因子4. 209. O.741. 一〇.084. 219. 0.740. 0. 085. −O.133. −O.061. 220. 0.724. 0. 281. 0.020. −O.026. 229. 0.712. 0.228. −O.085. 0.002. 228. 0.699. 0.242. 0.048. 0.027. 223. 0.696. 0.178. −O.085. 0.074. 211. 0.647. 0.059. 0.126. 0. 061. 213. 0.555. 0.124. −O.068. 0. 037. 218. 0. 551. 0.152. 0.107. 0.102. 231. 0.503. 0.203. 0.342. 0.129. 224. 0.377. 0.290. 0.126. −O.067. 202. −O.335. 0. 665. 0.161. −O. 013. 203. −O.072. 0. 636. 0.283. −O.035. 204. 0.049. 0. 636. −O.115. 0.069. 201. 0.187. 0. 494. 0.123. −O.269. 210. 0.127. 0.481. 0.126. 0.380. 221. 0.125. 0. 033. 0. 871. 0.076. 222. 0.114. 0.093. 0.734. 0.050. 226. 0.204. 0.117. 0.726. −O.047. 227. 0.356. 0. 057. 216. −O.043. 0.191. −O.216. 0.643. 215. −O.081. 0.106. 0.054. 0.603. 214. 0.062. −O.007. 0. 097. 0.556. 205. 0.152. −O.113. 0.336. 0.442. 206. 0.308. −O.088. 0.248. 0.433. 因子負荷量の2乗和. 5.026. 因子の寄与率(%) 19.329 累積寄与率(%). 19.329. 一〇. 015. 0. 619. O. 016. 0.021. 2. 270. 2.884. 1.871. 8. 731. 11.092. 7.198. 28.060. 39.152. 46.350. 因子相関は、1−2間が0.06, 1−3間が 0.43, 1−4間が0.17 2−3間が0.24, 2−4間が0,17, 3−4間が0.10で.あった。 33.
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