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博士(獣医学)大友俊彦 学位論文題名

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Academic year: 2021

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     博士(獣医学)大友俊彦 学位論文題名

抗体工学的手法を用いたヒト悪性脳腫瘍治療薬に関する研究 学位論文内容の要旨

  ヒト腫 瘍細 胞に 特異 的に 結合 する マウ スモ ノク 口ーナル抗体を腫瘍特異的な抗腫瘍薬と して応用する場合、いくっかの問題点が存在する。マウスモノクローナル抗体はヒトにおい て強い抗原性を示し、ヒトヘの連続投与が制限される。さらに、ヒトにおいて抗体依存性細 胞傷害活性を誘導することができず、抗腫瘍活性を誘導するためには植物・細菌由来の毒素 ならびに放射同位元素を融合させる必要が生じるが、その場合分子量の大きさにより腫瘍組 織内部への浸透性の低さが問題となる。そこで本研究ではヒト髄芽腫ならびにグリオーマ細 胞 に 特 異 的 に 結 合 す る マ ウ ス モノ ク 口 ー ナ ル 抗 体ONS‑M21のヒ ト髄 芽腫 なら びに グリ オ ー マ治療 薬へ の応 用を 目的に、抗体工学的手法を用いて抗体の改変を行い、むvitro実験に より臨床応用の可能性を検討した。

  マ ウ ス モ ノ ク □ ー ナ ル 抗 体 のヒ ト に お け る 抗 原 性 を減 弱さ せる ために マウ スONS‑M21 抗 体 を 抗 原 認 識 部 位(CDR)を ヒ ト 抗 体 上 に 移 植 す るCDR‑グ ラフ ティ ング 法を 用い てヒ ト 型化を行った。抗体のヒト型化において、ヒト型化の際の鋳型として用いるヒト抗体の選択 な ら び に 抗 原 結 合 部 位の 再構 築に 必要 不可欠 なフ レー ムワ ーク(FR)のア ミノ 酸残 基の 同 定 が 最 も 重 要 で あ る 。鋳 型と なる ヒト 抗体は 相同 性の 高さ やCDRの サイズ に加 え、CDRル ー プ の 保 持 に 重 要 な カ ノ こ カ ル残 基 、 重 鎖 可 変 領 域(VH)と 軽 鎖 可 変 領 域(VL)の 分子 介 合に重要なアミノ酸残基がより保存されているものを選択することが可能である。また、機 能 的な抗 原結 合部 位の 再構 築の 際に 必要 不可 欠な マウスFR中のアミノ酸残基については抗 体 に よ り 異 な っ て お り 、 そ の 同定 が ヒ ト 型 化 の 成 功 の可 否を 担っ ている 。ONS‑M21抗 体 VH領 域 の ヒ ト 型 化 に お い て は 、FR1、2及 び3に つ い て は ヒ ト 抗 体EUの も の を 、FR4に つ し ゝ て は ヒ ト 抗 体NDのFRを 鋳 型 と し て 用 い 、H鎖CDR1ル ー プ の カ ノ 二 カ ル残 基 で あ る27、28、29、30及 び94位の アミ ノ酸 を保持 する こと で、 マウ ス抗 体と 同等 の抗 原結 合 活 性を示 した 。一 方、VL領 域に つい ては その 相同 性の 高さ よルヒ ト抗 体REIを 鋳型として 用い、ヒト型化を行った。初めに、抗原結合部位の形成に影響ある可能性のある残基として、

20、21、71、73な ら びに87位 のア ミノ 酸残基 に注 目し たも のの 、そ れら の置 換で は機 能 的 な抗原 結合 部位 を再 構築 でき なか った 。そ こで 、どのマウスFRに抗原結合部位の形成に 必要不可欠なアミノ酸残基が含まれているのかを明らかにするために、マウス抗体とヒト型 化 抗体か らな る2種の ハイブリッド可変領域を構築した。ハイブリッド可変領域を用いた検 討 の 結 果 よ り 、 マ ウ スFR1とFR2の いず れか一 方ま たは 両方 に重 要な アミ ノ酸 残基 が含 ま れていることが明らかになり、さらに数種のバージョンを設計した。抗原結合能を検討した

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結 果 、FR2の46位 のProの ーア ミノ 酸残基 が機 能的 な抗 原結 合部 位の 形成 に必 須な アミ ノ 酸 残基 であ るこ とが 明ら かとな り、 最終 的に はマ ウスONS‑M21抗 体と 同等 の抗 原結合活性 を 示 す ヒ ト 型 化ONS‑M21抗 体 の 構 築 に 成 功 し た 。 以上 の結 果よ り、 ハイ プリ ッド 可変 領 域を用いた手法は、ヒト型化が困難な抗体において機能的な抗原結合部位の再構築に必要不 可欠なアミノ酸残基の同定に有用であると考えられた。

  続い てキ ャリ アー 分子 として の可 能性 を明 らか にす るた めに 、ヒ ト型 化ONS‑M21抗体を 基 に 、 一 本 鎖 抗 体(schM21)を 構 築 し 、 さ らに り シ ンA毒素 と結 合さ せた イム ノト キシ ン を 用い 、腫 瘍細 胞内 へ取 り込ま れる か検 討し た。SchM21は大腸菌を用いて分泌発現させ、

一 段階 のア フイ ニテ ィー 精製に より 容易 に調 製で きた。精製したschM21はヒト髄芽腫細胞 株ONS‑76細 胞 に 結 合 し 、 そ の 結 合 活 性 は ヒ ト 型 化ONS‑M21抗 体Fab断 片 と同 等 で あ っ たことより、元の抗体と同等のアフイニティーを持つ一本鎖抗体の構築に成功した。さらに、

リ シ ンA毒 素 を結 合 さ せ た イ ム ノ ト キ シ ン は 抗 原 を発 現し てい るONS‑76細胞 の増 殖の み を 阻害 した のに 対し 、抗 原を発 現し てい ないHuH‑7細 胞に対 して は全 く影 響を 与えなかっ た こと より 、schM21は細 胞表面 の抗 原に 結合 した 後、細胞内へ取り込まれることが示され た 。従 って 、schM21は脳 腫瘍の 診断 薬、 ある いは 治療薬のキャリアー分子としての利用が 期待される。

(3)

学位論文審査の要旨 主査

副査 副査 副査

教授 教授 教授 助教授

前 出 吉 光 小 沼    操 渡 邉 智 正 杉 本 千 尋

学 位 論 文 題 名

抗体工学的手法を用いたヒト悪性脳腫瘍治療薬に関する研究

  本 論 文 は ヒ ト 髄 芽 腫 な ら び に グ リ オ ー マ 細 胞 に 特 異 的 に 結 合 す る マ ウ ス モ ノ ク ロー ナ ル 抗 体 の ヒ ト 悪 性 脳 腫 瘍 治 療 薬 へ の 応 用 を 目 的 に 、 抗 体 工 学 的 手 法 を 用 い て 抗 体 の 改変 を 行 い 、 臨 床 応 用 の 可 能 性 を 検 討 し た も の で あ る 。

  最 初 に 、 マ ウ ス モ ノ ク ロ ー ナ ル 抗 体 の ヒ ト に お け る 抗 原 性 を 減 弱 さ せ る た め に マウ ス 抗 体 の 抗 原 認 識 部 位(CDR)を ヒ ト 抗 体 上 に 移 植 す るCDRグ ラ フ テ イ ン グ 法 を 用 い て ヒ ト 型 化 を 行 っ た 。H鎖 の ヒ ト 型 化 に お い て は 、 ヒ ト 抗 体 を 鋳 型 と し て 用 い 、HCDR1 ー プ の カ ノ ニ カ ル 残 基 で あ る272829、30及 ぴ94位 のア ミ ノ 酸 残基 を 保 持す る こ とで 、 マ ウ ス 抗 体 と 同 等 の 抗 原 結 合 活 性 を 示 し た 。 ま た 、L鎖 の ヒ ト 型 化 に お い て は 、 ヒ ト 抗 体 を 鋳 型 と し て 用 い 、46位 の1ア ミ ノ 酸 残 基 の み を 保 持す る こ とで マ ウ ス 抗体 と 同 等の 抗 原 結 合 活 性 を 示 す ヒ ト 型 化 抗 体 の 構 築 に 成 功 し た 。 構 築 し た ヒ ト 型 化 抗 体 は マ ウ ス 抗体 と 同 一 の エ ピ ト ー プ 領 域 を 認 識 し 、 か つ 同 等 の 抗 原 結 合 活 性 を 示 し た 。 次 い で 、 同 抗体 の 抗 腫 瘍 剤 等 の キ ャ リ ア ー 分 子 と し て の 可 能 性 を 明 ら か に す る た め に 、 ヒ ト 型 化 抗 体を 基 に 一 本 鎖 抗 体 を 構 築 し た 。 一 本 鎖 抗 体 はH鎖 可 変 領 域 とL鎖 可 変 領 域 を そ れ ぞ れ15ア ミ ノ 酸 残 基 か ら な る ぺ プ チ ド リ ン カ ー で 連 結 さ せ る こ と で 構 築 し た 。 作 成 し た 一 本 鎖 抗体 は 抗 原 結 合 部 位 が 一 価 に な っ た こ と に よ る 抗 原 結 合 活 性 の 低 下 が 認 め ら れ た も の の 、ヒ ト 型 化 抗 体 と 同 等 の ア フ イ ニ テ イ ー を 示 し た 。 こ の 一 本 鎖 抗 体 と り シ ンA鎖 を 結 合 さ せ た 一 本 鎖 抗 体 イ ム ノ ト キ シ ン は 抗 原 を 発 現 す る ヒ ト 髄 芽 腫 細 胞 に の み 特 異 的 に 細 胞 傷害 活 性 を 示 し 、 抗 原 を 発 現 し な い ヒ ト ヘ パ ト ー マ 細 胞 で は 全 く 細 胞 傷 害 活 性 が 認 め ら れな か っ た 。

  以 上 の 研 究 成 果 は 、 マ ウ ス モ ノ ク 口 ナ ー ル 抗 体 の ヒ ト 型 化 抗 体 及 び ヒ ト 型 化 一 本鎖 抗 体 は ヒ ト ヘ の 頻 回 投 与 が 可 能 で あ り 、 ヒ ト 悪 性 脳 腫 瘍 に 対 す る 体 内 診 断 薬 、 な ら び に新 規 な 治 療 薬 と な る 可 能 性 が 高 い こ と を 示 し て お り 、 学 術 的 価 値 が 大 き い 。 よ っ て 審 査委

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員一同、大友俊彦氏は、博士(獣医学)の学位を受けるのに十分な資格を有するものと 認めた。

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