奈良教育大学学術リポジトリNEAR
生活科における「家族」の学習のあり方 −学習指 導要領、教科書、指導書からの分析−
著者 鈴木 洋子
雑誌名 教育実践研究指導センター研究紀要
巻 4
ページ 81‑90
発行年 1995‑03‑31
その他のタイトル Learning of "Family" in Life Environmental Education
URL http://hdl.handle.net/10105/4401
一 学習指導要領、教科書、指導書からの分析 一
鈴木 洋子
(家庭科教育教室)
Learnlng Of Family in Life EnvironmentalEducation
Yoko Suzuki(Department of Home Economics Education,Nara University of Education)
小学校生活科における家族の学習を、これまでの低学年社会科および現行の家庭科における学 習と比較検討した結果、次のことがわかった。
1)これまでの低学年社会科における家族の学習は、家庭生活を支える仕事が母親を主軸として行 われていることに気づかせることをねらいとし、児童の家事参加に対する十分な発展は見られな かったが、生活科における家族の学習は、児童に家族の一員として積極的に家庭生活運営に参加 することを働きかけている。
2)家庭科第5学年の家族の学習過程は、家族(家庭生活)に必要な仕事とその分担を調べ、自分に できる仕事を見つけ実践するという流れで、生活科の学習過程と同様であり、また、それぞの教 科書に例示された自分にできる仕事にも大差はない。
3)生活科での児童の家事参加は補助的な立場におき、家庭科では責任ある立場で仕事に従事する といった、発達段階を明確にした目標を設定するべきである。
キーワード:家族の学習、生活科、家庭科
目 的
社会の変化に伴い家族形態の多様化と規模の縮小化が進み、さらに機能の多くは社会機関に委 譲され、家族という集団の捉え方自体に変革が起きている1)。とは言え、家族以外では代替えの できない固有な機能、すなわち心身の充実と安定を図る内面的、心理的な情愛的機能、福祉的機 能の存在は変わらないだろう。「あなたにとって1番大切と思うもの」の調査2)で、家族が1番に 上げられ、ここ数年その傾向が上昇している結果が、何よりもこのことを裏付けている。
健全な家族生活を保持するのに対内的には家族員相互の理解と思いやりが、対外的には多様化 した家族の形態、価値を認め合うことが根底に必要とされており、デモクラシーの最小単位であ る家族についての学習が、学校、家庭、社会のあらゆる教育の場において必要とされている。学 校教育における家族の学習は小・中・高等学校の全ての校種と複数の教科にみられるが、相互の 関連ならびに系統性が十分に図られているとは言い難い。
小学校における家族の学習は、教科では平成3年度までは社会科と家庭科が、平成4年度以降 は生活科と家庭科が扱っており、教科以外では道徳が扱っている。教科における学習が社会科学 からの接近であるのに対し、道徳では情操面に主眼を置いている。本報では、小学校における家 族の学習の系統性をはかることを目的とし、平成4年度からスタートした生活科における扱いを、
鈴木 洋子
従来の低学年社会科ならびに現行の家庭科における扱いと比較検討した。
方 法
生活科、社会科、家庭科の各学習指導要領、教科書、教科書付随の指導書から家族の学習に関 する記述を抽出した。そして、内容とその扱い、学習の目標を分析することにより各教科におけ る特徴を比較検討した。特に生活科については、出版されている全教科書を対象に、ページ数、
授業時数、授業の展開時期等について詳細に調べた。
結果及び考察
1 これまでの社会科における家族の学習
平成元年の学習指導要領の改訂により、第1学年と第2学年の社会科と理科が廃止され、生活 科が新設され4年度から開始された。生活科は、理科と社会科をはじめとする数種の教科を統合 したものではなく、子どもたちが自ら自然や社会環境に関わりながら自分自身を育て、生活力の 基礎を培うことをねらいに構想された総合的学習を扱う教科であり、従来の教科とは本質的に異
なっている。しかし、学習題材の中には、学習の目標に多少の違いは見られるものの、従来の社 会科で扱われていた題材が含まれており、家族の学習もそのひとつにあたる。
平成3年までの社会科第1学年における家族の学習を、指導書(文部省発行)3)の記述にみると、
第1学年では「児童が家族の一員としての気持ちを持っようになることをねらっているので、家 庭の中で自分の生活を支えている家族の人々の働きを取り上げて、その意味を考えさせるように
することが大切である。」とある。教科書4)5)では、これを受けて題材名「わたしたちの うち」
「いえの ひとの くらし」の学習で、母親の仕事調べをさせ、専業主婦の母親と勤めを持っ母親で は、家事の行い方に違いがあることを気づかせている。さらに、教科書付随の指導書6)7)では、母 親の仕事調べをさせることでそれぞれの仕事ぶりに違いはあるが、母親は家族の暮らしを支える 大事な仕事をしていること、母親が健康で家の仕事をしているおかげで家族が楽しく明るく生活 できることに気づかせることをねらいとしており、家庭の仕事が母親を中心に行われていること を黙示した記述傾向にある。
したがって、これまでの社会科における家族の学習は、家庭生活を支える仕事が母親を主軸と して行われていることに気づかせることをねらいとし、児童の家事参加に対する十分な発展は見 られない。
2 生活科における家族の学習 1)社会科との比較
新設された生活科における家族の学習の扱いを、学習指導要領に示された内容畠)にみると、
第1学年では「家庭生活を支えている家族の仕事や家族の一員として自分でしなければならない ことが分かり、自分の役割を積極的に果たすとともに、健康に気を付けて生活することができる ようにする。」第2学年では「生まれてからの自分の生活や成長には多くの人々の支えがあったこ とが分かり、それらの人々に感謝の気持ちをもち、意欲的に生活することができるようにする。」
82
である。第2学年には家族に関した異体的な記述はないが、自分の成長についての学習は家族の 学習にも発展できる。
生活科における家族の学習のねらいは、家族の一員としての自分の役割に気づき、それを積極 的に果たすことにより、家庭生活をよりよくできるようにしていくことに置かれている。家族の 一員として家庭生活運営に参加することを促しており、従来の社会科で行われていた学習に比べ
ると、一歩前進した目標になっていて評価できる。
2)教科書の分析
家族の学習について具体的な記述がある第1学年のみを分析対象とし、教科書9) ̄加)及び教科書 付随の指導書21) ̄32)の扱いを調べた(表1)。家族の学習に当てられていたページ数の割合は、下限
で7.1%、上限で14.0%、9.72(AVG)±1.79(SD)%を占め、全学習授業時間に対する割合は、下限 は8.8%、上限は14.7%、12.1(AVG)±1.99(SD)%となっており、教科書のページ数、授業時間数 ともに大差はない。授業展開の時期は、11月から12月に最も多い。これは、児童が学校生活にも慣 れ、自分の生活の場や生活を支えている家族へ目を向けることができるようになる時期であるこ と、冬休み前に置くことにより学習したことを家庭で実践する事が可能であるためと推察した。
各教科書の学習内容を表2にまとめた。表中の「家族調べ」は、家族の人数や家族の誕生日、
家族の食べ物の嗜好などを調べる内容で、「家族の生活調べ」は、家族の家庭での一目の様子を学 習者白身の個々の視点で観察する内容である。「家庭の仕事調べ」は、家庭生活を支えている仕事 の種類を調べるもので、家族の仕事分担を調べるまでには至っていない。「家族紹介」は、「家族 調べ」、「家族の生活調べ」、「家族の仕事調べ」で調べたことを基に、ベーブサートや紹介カード を用いて、友達に自分の家族を紹介する発表形式の学習である。「自分の仕事」は、家庭の中で自 分にできる仕事を見つけ、それを実践する学習で、その表現は仕事(S)と手伝い(T)の二通 りが使われており、これらの言葉の厳密な区別はなされていない。表中の「自分の仕事」のなか の「表の有・無」の項目は、自分の仕事を調べ、実践し記録する例が、教科書に記載されている か否かを調べたものである。
教科書に記載された家族の学習内容は、出版会社により多少の違いはあるが、「家族の仕事調べ」
と「自分の仕事」の学習内容は、1社を除く全てが取り入れている。これまでの社会科では、家 庭の仕事を支えてくれている人に気づかすまでに留まっていたが、生活科では、さらに自分の仕 事参加が加えられ、家庭生活への主体的なかかわりが強化されている。「家族紹介」の題材も半数 以上の教科書が取り上げており、他の家族を認識する機会を提供している。発表形式の学習は、
調べ学習にいっそうの意欲を持たせるとともに、家族の一員としての自覚を高めることに寄与し ている。
鈴木 洋子
表1 生活科第1学年教科書における家族の学習の扱い
教 科 書 N O
題 材 名 小 題 材 名 へ −シ 数 授 業
時 間 数 (時 )ll
授 業 展 開 の 時 期 (月 )2 コ
1 わ た し の か ぞ く わ た し の か ぞ く で す 1 4 / 1 0 0 1 5 / 1 0 2 1 1 中 旬 〜 う ち の し ご と を し ま す
ふ ゆ を げ ん き に す ご し ま す
(14 .0 % ) (1 4 .7 % ) 1 2 中 旬
2 わ た し の か ぞ く う れ し か っ た こ と を お も い だ そ う 1 0 / 9 6 1 5 / 1 0 2 1 1 〜 1 2 か ぞ く の 1 に ち を し ょ う か い し よ う
じ ぶ ん の し ご と を さ が そ う
ふ ゆ や す み に し た い こ と を か る た に し よ う
(1 0 .4 % ) (1 4 .7 % )
3 い え の く ら し わ た し の い え の は な し 8 / 8 8 1 2 / 1 0 2 1 1 へ′1 2 あ り が と う
じ ぷ ん で す る こ と 、 で き る こ と
(9 .1 % ) (1 1 .8 % )
4 う ち の ひ と わ た し の こ と を し ょ う か い し よ う 1 2 / 1 0 4 1 1 / 1 0 2 1 巨〉1 2 う ち の ひ と を し ょ う か い し よ う
わ た し に で き る こ と う ち の ひ と に お く ろ う
(1 1 .5 % ) (1 0 .8 % )
5 わ た し に も か ぞ く を し ょ う か い し よ う 8 / 8 4 1 0 / 9 2 1 1 〜 1 2
で き る よ し ぷ ん で で き る こ と は な に か な て つ だ い を し よ う
( 9 .5 % ) (1 0 .9 % )
6 わ た し の か ぞ く う ち の よ う す を は っ ぴ ょ う し よ う 1 0 / 9 4 1 2 / 8 4 1 1 へ′1 2 う ち で で き る し ご と を さ が そ う
げ ん き に す ご そ う
(10 .6 % ) (1 4 .3 , )
7 か ぞ く っ て か ぞ く を し ょ う か い し よ う 1 0 / 1 1 2 9 / 1 0 2 1 ′} 2 い い な じ ぷ ん で で き る こ と を し よ う ( 8 .9 % ) ( 8 .8 % )
8 お か え り な さ い る す ば ん 、 雨 ふ り の 日 、 ご ほ ん だ よ 、 お み や げ 、 8 / 8 6 9 1 1 こ う し て み よ う か な 、 い っ し ょ の と き 、
は や く な お る と い い ね 、 に ち よ う 日
( 9 .3 % ) ト )
9 ふ ゆ が き た さ む さ に ま け る な よ 8 / 錮 1 0 / 10 2 1 2 ′〉 1
お て つ だ い す る よ で き る か な
( 9 .1 % ) ( 9 .8 % )
1 0 わ た し の い え ぼ く の 一 に ち を し ょ う か い し よ う う ち の し ご と を さ が し て み よ う じ ぷ ん が で き る こ と を み つ け て み よ う お し ょ う が つ を む か え よ う
8 / 8 0
(10 .0 % ) 1 0 / 8 7
(1 1 .5 % ) 1 1 ′} 1 2
1 1 わ た し の か ぞ く み ず き さ ん の お か あ さ ん の 一一 に ち 8 / 1 1 2 1 0 / 7 5 1 0 へノ1 1 ひ ろ し さ ん の お か あ さ ん の 一 に ち
わ た し の し ご と
か ぞ く み ん な と た の し く
( 7 ,1 % ) (1 3 .3 % )
1 2 ひ と の く ら し 小 産 材 の 設 定 な し 8 / 日 2
( 7 .1 , ) 月 仁 )
1 1 − 1 2
% 平 均 ± 標 準 偏 差 9 .7 2 ± 1 .7 g 1 2 .0 6 ± 1 .9 9
1)、2):教科書付随の指導書より
84
表2 生活科第1学年教科書における家族の学習内容
教 科 書 N o l)
家 族 調 べ 家 族 の
生 活 調 べ
家 族 の 仕 事 調 べ
家 族 紹 介 自 分 の 仕 事 (手 伝 い )
実 践 記 録 表
1 ● ● ● ● ● S 2 ) 有
2 ● ● (〕 ● ● S 有
3 ● ● ○ ○ ● S T 無
4 ● × ◎ ● ● S 無
5 ○ ○ ○ ● ● T 無
6 ○ ○ ○ ● ● S T 無
7 ○ ○ (⊃ ● ● S T 無
8 × × ○ × ● S T 無
9 × × ○ × ● T 無
1 0 × × × × ● S 有
1 1 (⊃ ● ○ ○ ◎ S T 有
1 2 ● × × × ×
l
l 無
l
1)教科書Noは表1に同じ
2)Sは仕事、Tは手伝いの表現
● ‥1教科書・指導書ともに言己載
◎ … 教科書のみ記載
〇 日・指導書のみ記載
× … 記載なし
3 家庭科における家族の学習 一生活科との比較一
小学校学習指導要領盈)に示された家庭科における家族の学習の目標は、第5学年では「家庭に おける家庭の仕事や役割が分かり、家族の一員として家庭の仕事に協力できるようにする。」
第6学年では「団らんや仕事など生活時間の有効な使い方を工夫し、家庭生活に協力できるよう にする。」である。これまでの家庭科における家族の学習内容の変遷(表3)朗)をみると、第5学 年は家庭の仕事を、第6学年は生活時間の使い方を中心に家族の学習が構成されており、この内 容構成は昭和33年(1958年)版の学習指導要領から現行まで引き継がれている。
第5学年寄)舗)の家族の学習のおおまかな過程は(図1)、家族(家庭生活)に必要な仕事とその分
表3 小学校家庭科における学習の変遷 学年 指 領 検定 学 習 の 内 容 度
第 5 学 年 昭和33年版昭和43年版昭和53年版現行 S35S35S39S48S51S54S57S60S63H3 生 活
家族の立場と役わり△◎●▲●▲ いろいろな家庭△◎●▲●▲ 家庭のはたらき 家庭生活と社会 自分と家族の生活時間△ 家族の協力(心のつながり) 仕 事
家族(家庭)の仕事○△◎●▲●▲●▲●▲●▲▲●▲ わたしの仕事△◎●▲●▲●▲●▲●▲●▲●▲ 仕事のくふう そ の 他 仕事に役立つものの製作●●◆◇◆◇ 家族へのおくり物 わたしたちの成長と家族▲
第 6 学 年 昭和33年版昭和43年版昭和53年版現行 S34S35S3gS48S51S54S57S60S63H3 ●▲▲ △●▲●▲●●●▲ ▲▲▲▲▲●▲ △◎●▲●▲●▲●▲●▲●▲●▲ △△◎●●▲▲▲●▲●▲ △ Å●▲●▲ ▲▲●▲●▲●▲ ・▲▲ ● ‥・K社. 0… Ko社 ◎… KS社 ◆…被服領域(ミシンの学習)に挙げられているもの ▲‥・T社 △・‥ Ga社 A‥・KT社 ◇…住領域に挙げられているもの
詣斗⁚≠畢≠
担を調べ、自分にできる仕事を見つけ、実践する流れになっている。これを第1学年の生活科の 学習過程と比較すると(図1)、両者とも最終的には家庭の中の自分にできる仕事を見つけ、実践 することを通して、家族の一員としての意識を高める学習過程および学習のねらいに違いはみら れない。
両教科の教科書に例示された自分にできる仕事(手伝い)の例(表4)では、家庭科教科書に 記載されていた仕事の「ふとんの上げ下ろし」を除くすべての仕事が、第1学年の生活科教科書 に記載されている。生活科と家庭科の両方に挙げられていた「茶碗運び」「洗濯物」「後片付け・
整理整とん」「ごみ出し」は、低学年の児童に十分できる仕事である。記載例を見る限り、第1学 年と第5学年の児童に実践可能とされる仕事に違いは認められず、発達段階が考慮されていると は言い難い。第1学年の生活科で、自分にできる仕事を見っけ、それを実践するといった家族の 学習が、4年後の第5学年家庭科で再び同様に展開されては、学習に対する興味、関心を期待す ることはできない。学習が重複して行われている背景には、家事労働の全般的な軽減化と、児童 の習い事などによる生活時間の多様・多忙化などがあるが、いずれにせよ、生活科と家庭科にお ける家族の学習に、系統性、発展性は見受けられないと判断した。
前述のように生活科においては、教科書の記述から「手伝い」と「仕事」の表現への配慮は見 られなかったが、家庭科では「仕事」を、低学年、中学年の生活指導で用いられる「手伝い」と 区別して使用してきた経緯がある。すなわち「手伝い」は、他人の仕事の手助けする補助的な立 場であるのに対し、「仕事」は主体者としての責任をもって従事するものであり、家庭の仕事のな かには継続的に実行する必要があるものとして、「手伝い」より上位に「仕事」を位置づけている。
児童にとって、家事労働は家庭生活に必要な技術(技能)、知識のほかに、計画性、創造性、思い やりといった多くを育む大切な活動である。しかし、実状は実践の定着がはかられていないこと
生活科(第1学年)
家庭科(第5学年)
家 族 (家 庭 )の 仕 事 調 べ l
家族の仕事分担調べ 自分の仕事銅ぺ
図1 家族の学習過程 一生活科と家庭科−
鈴木 洋子
表4 日分にできる仕事(手伝い)の例
教 科 及 び 学 年 生 活 科 家 庭 科 教 科 書 記 載 の 例 (第 1 学 年 ) (第 5 学 年 )
茶 碗 運 び (配 膳 ) 8 2
洗 濯 物 (た た む ・干 す ・取 り 込 む ) 7 1
新 聞 と り 7
お っ か い ・買 い 物 7
そ う じ 7 (*1 )
電 話 番 7
後 片 付 け ・整 理 整 と ん 6 2
く つ 洗 い 6
ペ ッ トの 世 話 (え さ や り ・散 歩 ) 5
ご み 出 し 4 2
花 の 水 や り 4
弟 ・妹 の 世 話 、 看 病 2
回 覧 板 回 し 2
ふ と ん の 上 げ 下 ろ し 1
肩 た た き 1
お 迎 え (傘 を 持 っ て 駅 ま で ) 1
洗 車 (‡ 1 )
調 査 対 象 教 科 書 数 (冊 ) 1 2 2
(*)・‥家族の手伝いとして仕事をしているもの
から、家事労働実践の定着には螺旋構造をもった学習構造で臨む必要がある。発達段階に応じ、
低学年児童の家事参加は補助的な立場で行うのがよく、ひいては無理のない実践につながると考 える。
要 約
本報では、小学校生活科における家族の学習を、これまでの低学年社会科および家庭科におけ る学習と比較検討した。その結果、以下のことがわかった。
1)これまでの低学年社会科における家族の学習は、家庭生活を支える仕事が母親を主軸として行
88
われていることに気づかせることをねらいとし、児童の家事参加に対する十分な発展は見られな い。
2)生活科における家族の学習はおもに第1学年で行われ、教科書に示された内容には、家族紹介、
家族の仕事調べ、自分の仕事の構成をとるものが多い。
3)生活科における家族の学習は、従来の社会科に比べ、児童に家族の一員として積極的に家庭生 活運営に参加することを働きかけており、前進と評価できる。
4)家庭科における家族の学習は、第5学年は家庭の仕事を、第6学年は生活時間の使い方を中心 に構成されており、この形態は昭和33年(1958年)版の学習指導要領から現行まで同様である。
5)家庭科第5学年の家族の学習過程は、家族(家庭生活)に必要な仕事とその分担を調べ、自分に できる仕事を見つけ、実践する流れであり、生活科の学習過程と同じである。また、それぞれの 教科書に例示された自分にできる仕事にも大差はない。
6)生活科での児童の家事参加は補助的な立場におき、家庭科では責任ある立場で仕事に従事する といった、発達段階を明確にした冒標を設定するべきである。
参考文献
1)袖井孝子:家政学シリーズ4「家族関係学」、書店朝倉、151−181(1991)
2)統計数理研究所:国民性の研究 −1993年全国調査一、41(1994)
3)文部省:小学校指導書社会編、大阪書籍、16−17(1979)
4)重松鷹泰他:しょうがくしゃかい1ねん、大阪書籍、36−47(1989)
5)堀尾輝久他:しょうがく しゃかい1、日本書籍、20−31(1989)
6)重松鷹泰他:小学社会教師用指導書1年、大阪書籍、98−131(1989)
7)日本書籍、小学社会1教師用指導書、日本書籍、46−69(1989)
8)文部省:小学校指導書 生活編、教育出版株式会社(1989)
9)坂本昇一他:みんなのせいかつ1ねん、学研、60−71(1992)
10)日比裕他:わたしたちのせいかつ1ねん、大阪書籍、60−71(1992)
11)森隆夫他:せいかつ① みんな いきて いる、光村図書、62−69(1992)
12)武村垂和他:せいかつ1ねん、啓林館、68−79(1992)
13)加藤一郎他:しょうがっこう せいかつ1ねん、学校図書、58−65(1992)
14)今野喜清他:せいかつかなかよし1ねん、教育出版、60−69(1992)
15)水野丈夫他:あたらしいせいかつ1、東京書籍、93−102(1992)
16)金井昭他:せいかつ1あおぞら、社団法人信濃教育会出版部、66−73(1992)
17)高野清純他:わたしたちのせいかつ1ねん、日本書籍、66−73(1992)
18)東洋他:たのしいせいかつ1ねん、大日本図書、56−63(1992)
19)大野連太郎他:しょうがくせいのせいかつか みる しらべる つくる、中教出版、62−71
(1992)
鈴木 洋子
20)西村肇他:どうしてそうなの こどものせいかっ1、現代美術杜、76−85(1992)
21)〜32)9)〜20)に付随の指導書
33)文部省:小学校学習指導要領 家庭編、開隆堂出版(1989)
34)昭和33年版、昭和43年版、昭和53年版、平成元年版の小学校学習指導要領 家庭編、ならび に各指導要領に準拠した教科書
35)斉藤健次郎他:小学校わたしたちの家庭科 5、開隆望(1991)
36)伊東清枝他17名、新しい家庭 5、東京書籍(1992)
90