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ポスターセッション

2日目

脳動脈瘤に対するステントを用いたコイル塞栓術 初期治療成績 奈良医大 放射線科1) 医真会 八尾総合病院 放射線科・脳血管内治療科2) 医真会 八尾総合病院 脳神経外科3) 奈良医大 脳神経外科4) 和田 敬1) 高山勝年2) 明珍 薫2) 中川裕之1) 吉川公彦1) Wada Takeshi 黒川紳一郎3) 中川一郎4) 中瀬裕之4) 【背景】わが国でも脳動脈瘤コイル塞栓術用のステントである Enterprise (EP)が 2010 年 7 月から,Neuroform(NF)も 2013 年 2 月から保険認可 され使用可能となった.【目的】ステントを用いた脳動脈瘤コイル塞栓術 の初期治療成績を報告する.【対象,方法】2010 年 7 月から 2013 年 7 月 までにステントを用いてコイル塞栓術を施行した未破裂脳動脈瘤 35 例 (EP30 例 35 動脈瘤,NF5 例 5 動脈瘤,男性 8,女性 27,年齢 34-84 歳, 中央値 64 歳),部位は内頚動脈 31(paraclinoid17,P-com9,cavernous4, petrous1),脳底動脈 5,椎骨動脈 2,中大脳動脈 2,大きさは 2.8-15.3mm(平 均 7.46mm),全例広頚の動脈瘤で,コイル塞栓術後再発瘤 8 例,クリップ 後の残存または coating 後の再増大瘤 3 例,手技は 1 例を除き全身麻酔下 で行った.技術的成功率,塞栓の程度(Raymond 分類),周術期合併症, 術後 3 ヵ月以降の脳血管造影での塞栓の程度について検討した.【結果】 1 例を除きステントを留置し,コイル塞栓術に成功した(97.1%).1 例(2.9%) で minor stroke が認められたが術後 30 日以内に症状は完全に消失した. 術直後の造影で complete(CO)15 例(44.1%),residual neck(RN)7 例(20.6%), residual aneurysm(RA)12 例(35.3%)であった.Follow up の血管造影が 得られた28例中(平均6.4か月,3-24か月),CO20例(71.4%),RN4例(14.3%), RA4 例(14.3%)であった.1 例(2.9%)は 3 ヵ月後 RN であったが 1 年 後再開通が認められ再治療を施行した.【結語】脳動脈瘤に対するステン トを用いたコイル塞栓術の初期治療成績は良好であったが,今後多数例 および長期の経過観察が必要である. 当院における Enterprise VRD 併用コイル塞栓術の経験 昭和大学藤が丘病院 脳神経外科1) 昭和大学藤が丘病院 脳神経内科2) 昭和大学病院 脳神経外科3) 松本浩明1) 樫村洋二郎1) 桑島淳氏1) 河面倫有1) 国井紀彦1) Matsumoto Hiroaki 今泉陽一1) 泉山 仁1) 神谷雄己2) 市川博雄2) 水谷 徹3) 【はじめに】従来治療困難といわれた脳動脈瘤に対して Enterprise VRD を 用いることで治療が可能となった.国内では 2011 年に使用可能となった が,当院でも 2012 年 8 月より治療可能となった.初期治療の報告で,虚 血合併症のリスクが高いことや抗血小板薬・抗凝固薬の使用法に一定の 見解がないとの指摘がある.今回,当院で 2013 年 7 月までに Enterprise VRD を併用して治療した 7 例を経験した.少数例ではあるが問題点も踏 まえて報告する.【症例】未破裂脳動脈瘤が 4 例(脳底動脈先端部が 2 例, 内頚動脈瘤再治療例が 2 例),破裂脳動脈瘤が 3 例(椎骨動脈解離性脳動 脈瘤が 2 例,脳底動脈先端部動脈瘤が 1 例)で検討した.未破裂瘤はバ イスピリン(100)1T/ 日,プラビックス(75)1T/ 日を 1 週間以上前か ら内服させ,治療中は ACT を 300 以上にした.破裂瘤は guiding catheter 留置後にアスピリン末 100mg とプラビックス 300mg を胃管から投与し, ACTは250前後にして治療した.治療後のMRIでhigh spotを未破裂で1例, 破裂で2例に認めた.しかし,神経脱落症状は全例で認めなかった.【考察】 治療に当たり,複数本の microcatheter が必要となる例が多く guiding catheter を太くすることになる.これだけでも,虚血性合併症のリスクが 高まる.さらに事前に治療戦略を十分に検討することや,抗血小板薬・ 抗凝固薬の使用法が重要となる.特に破裂瘤に対しては十分な薬物療法 が行えないため,より慎重に症例を選択することが大切である.

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ステント支援下脳動脈瘤塞栓術の初期・中期治療成績:特に虚血性 合併症について 杏林大学 医学部 脳神経外科1) 報徳会 西湘病院 脳神経外科2) 佐々総合病院 脳神経外科3) 水戸ブレインハートセンター4) 公立阿伎留医療センター 脳神経外科5) 佐藤栄志1) 小西善史2) 島田 篤3) 林 基高4) 小松原弘一郎1) Sato Eishi 笹森寛生5) 脊山英徳1) 清水淑恵1) 塩川芳昭1) 【はじめに】ステント支援下脳動脈瘤塞栓術は,2010 年に Enterprise VRD, 2012 年に Neuroform EZ の使用が認可.今回ステント支援下脳動脈瘤塞栓 術の初期・中期治療成績につき報告する.【対象と方法】2011 年 7 月から 2013 年 7 月までにバルーン支援等が困難と考えられ,ステント支援下脳 動脈瘤塞栓術を施行した脳動脈瘤 43 個(42 例[男性 6 例,女性 36 例, 平均年齢 65.0 歳])を検討対象.使用したステントは,Enterprise VRD = 32 個(未破裂瘤= 26,破裂瘤= 6),Neuroform EZ = 11 個(全例未破裂). 塞栓術は jailing 法を原則.抗血栓療法は未破裂瘤では治療 7 日前から抗血 小板剤 2 剤服用,最低 3 ヶ月持続,その後 1 剤を継続,術中全身ヘパリ ン化の後,アルガトロバンを 48 時間持続.破裂例では急性期は術中全身 ヘパリン化,術直後から抗血小板剤 1 ~ 2 剤投与とアルガトロバンにて 対応した.【結果】動脈瘤の部位は IC-paraclinoid = 22,IC-cavernous = 8, IC-Pc = 5,BA tip = 4,VA = 3(fusiform = 2),P1-2 = 1,大きさは small = 37,large = 6,giant = 0.コイル・コンパクション再治療時使用 は 4 例.全例でステント留置は成功,手技は jailing 法= 29 例,jailing 法 → trans-cell 法= 11 例,trans-cell 法= 2 例,rescue = 1 例.術中破裂・治 療後出血や消化管出血等の出血性合併症はない.未破裂瘤 4 例に術後

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破裂動脈瘤に対する Enterprise VRD 支援塞栓術治療成績 戸田中央総合病院 脳神経外科1) 獨協医科大学越谷病院 脳神経外科2) 東京女子医科大学東医療センター 脳神経外科3) 木附 宏1) 秋山真美1) 新居弘章1) 兼子尚久1) 兵頭明夫2) Kizuki Hiroshi 糟谷英俊3) 【緒言】破裂動脈瘤に対する Enterprise VRD(以下,EP)支援塞栓術は虚 血性合併症.出血性合併症を増加させる可能性が示唆される.我々は SAH3 例の EP 支援塞栓術を施行したので検討する.【対象,方法】2011 年 1 月 -2013 年 5 月,男性 1 例,女性 2 例,平均 67 歳(54-91)部位は ICPC,VA,Acom 各 1 例, 全 例 jailing tecknique, 使 用 し た EP は 4.5x22mm,術後シロスタゾール200mgクロピドグレル75mg内服とした.【結 果】症例 1:91 歳女性,grade1,IC-PCaneurysm(14x9x9mm)に対して EP を展開,塞栓術施行,GR,独歩退院.症例 2:54 歳女性,grade1, PICA distal VAdissection に対して PICA に EP を展開,PICA 確保後,解 離部を short segment に塞栓術施行,GR,独歩退院.症例 3:54 歳男性, 慢性腎不全未治療.grade3,AcomAN に対して simple tecknique にて塞栓術 施行,術後 3 日,再出血,coil 逸脱を認め EP を A2 に展開,塞栓術を施行. MD.【考察】症例 1:baloon assist も考慮されたが高齢,虚血耐性を考慮, EP を選択した.症例 2:PICA 分枝,付近より解離部を認め確実な PICA 温存を目的に EP を PICA に留置した.症例 3:逸脱した coil を血管壁に 圧着させneckremnnantを確実に塞栓することを目的にEPを使用した.【結 語】3 例の破裂動脈瘤に EP 支援塞栓術を施行.良好な結果を得た.

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Neuroform stent assist 脳動脈瘤コイル塞栓術の初期経験

弘前大学 医学部 脳神経外科1)

奈良岡征都1) 嶋村則人1) 吉川朋成1) 大熊洋揮1)

Naraoka Masato

【目的】Open cell type の Neuroform stent(NF)の登場により,本邦におい ても脳動脈瘤治療に対して 2 種類のステントが使えるようになった.同 機材の使用経験から,Enterprise(EN)との違いについて報告する.【対象・ 方法】2013 年 2 月より NF 支援瘤内塞栓術を 3 例(症例 1.66 歳,女性, 右傍鞍部脳動脈瘤.症例 2.54 歳,女性,左眼動脈分岐部脳動脈瘤.症 例 3.62 歳,女性,左傍鞍部脳動脈瘤)に対して行った.【結果】全例, ステントおよびコイルの留置に成功し,手技による合併症は無かった. Stent delivery catheter は,滑らかで,中大脳動脈への誘導は容易であった. Stent release 時にカテーテルが滑落する可能性があり,Delivery wire を確 実に押さえ,カテーテルをゆっくりと引き戻す必要があった.Stent が展 開されると,NF の安定性は良好であったが,NF の押し込みに注意が必 要であった.NF は口径不整な血管へも適応した.Jailing および Trans cell techniqueともに容易に行いえた.瘤内のコイル安定性も良好であった.【考 察】母血管の太さと Neck 径から NF の太さと長さを選択せねばならず, 詳細な計測が必要である.EN では血管走行の変化を来すことがあるが, NFでは生じないため,Stentによる血行動態の変化は期待出来ない.【結論】 NF は血管密着性に優れており,stent 支援脳動脈瘤コイル塞栓術に有用で ある.特性を理解した上での使用が肝要である.

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Enterprise VRD 留置後に MRI 上可逆性脳実質変化をきたした 4 症例 福岡大学筑紫病院 脳神経外科1) 田主丸中央病院 脳神経外科2) 溝上泰一朗1) 堤 正則1) 坂本王哉1) 松本佳久2) 花田迅貫1) Mizokami Taichirou 江藤 歩1) 光武尚史1) 尤 郁偉1) 伊香 稔1) 中井完治1)   相川 博1) 風川 清1) 【はじめに】Enterprise 留置後の亜急性期に MRI 上可逆性脳実質変化をき たした 4 症例を提示する.【症例】2010 年 7 月から 2012 年 7 月まで, Enterprise 併用の動脈瘤塞栓術を行った 57 例のうち 4 例で亜急性期に可 逆性脳実質変化を認めた.4例は全例女性で,平均年齢は69.5歳(57-77歳). 全例未破裂動脈瘤(内頚動脈 3 例,中大脳動脈 1 例).周術期は抗血小板 剤 2 剤を投与した.手術手技の合併症,術翌日の頭部 CT での異常は認 めなかった.術後 MRI を平均 4 日後(3-6)日後に撮影し,MRI FLAIR High,ADC map High の病変を治療側分水領域に認めた.MRI 検査時には 無症状だった.その後症候性になったものは 3 例で頭痛,一過性脱力, 一過性感覚障害を認めた.症状の出現時期は術後平均 15.5 日(10-21 日) であり,画像上病変の拡大を伴っていた.2 例に cortical SAH を伴い,1 例では白質病変の悪化を認めた.症候性の 3 例は症状出現時に脳血管撮 影を行うが,異常を認めなかった.1 例でステロイドを投与した.すべて の症状は一過性で回復した.慢性期 follow up MRI ではすべての例で脳実 質病変は消失していた.【考察】今回我々が経験した Entrprise 留置後に起 こった可逆性脳実質変化は,通常の虚血性出血性合併症とは言い難く, PRES(可逆性白質脳症)様の画像所見の経過をたどった.また同時期の 頭蓋内ステント未使用動脈瘤塞栓術には見られない所見であった. Enterprise 等の Nitinol Stent が,PRES の誘因である可能性を検討し報告 する.

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再発瘤に対してエンタープライズ使用追加塞栓術行った 4 症例の 検討 川口市立医療センター 脳神経外科1) 古市 真1) 佐藤祥史1) 五十嵐崇浩1) 谷地一成1) Furuichi Makoto 【はじめに】コイル塞栓術はクリッピング術に比較して再治療を要する例 が多いことが指摘されている.当院での再治療を要した中でエンタープ ライズ併用した症例について報告する.【対象】2002 年から 2013 年まで 11 年間にコイル塞栓術行った 176 例(破裂 107 例,未破裂 69 例).X-p, MRA でフォローして再増大やコンパクションにより再破裂の危険がある と判断したものに対して再治療を行った.再治療を行ったのは 11 例 15 回であった.再治療例の初発は破裂 8 例,未破裂 3 例であった.再治療 としては追加塞栓術を 14 回,クリッピング術を 1 回行った.追加治療時 にバルーンアシストのみでは困難なものや再再発の 4 回に対してエンタ ープライズを併用した塞栓術を行った.治療時期は初回から 33 か月から 53 か月後であった.【症例】未破裂 Wide neck IC-PC にコイル塞栓行いそ の後ネック部が増大した例.破裂 BA top 瘤のコイル塞栓術後に再発し 2 回の追加塞栓行うも再再発例の 4 回目の塞栓術.未破裂 A-com 瘤の再再 発例の 3 回目の塞栓術.未破裂解離性椎骨動脈瘤での再発に対する追加 治療.【結果】全例でエンタープライズアシストでのコイル塞栓術が可能 であった.合併症は術中出血が 1 例と透析患者での術後脳内出血があっ たが無症候性であり予後には影響しなかった.その後のフォローで BA top と VA の 2 例において再度再発認めているため経過観察中である.【ま とめ】術後再発症例には追加コイル塞栓術を選択することが多く,エン タープライズ併用が可能となって治療適応が拡大したがそれでも完全に 治癒できない症例が存在する.今後 Y ステントやステント in ステントを 考慮する必要がある.

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Enterprise VRD 併用脳動脈瘤コイル塞栓術における慢性期虚血 性合併症の検討 国立循環器病研究センター 脳血管内科1) 筑波大学 脳神経外科2) 昭和大学藤が丘病院 脳神経内科3) 虎の門病院 脳神経血管内治療科4) 早川幹人1) 鶴田和太郎2) 神谷雄己3) 天野達雄4) 佐藤允之4) Hayakawa Mikito 松丸祐司4)

【 目 的 】Enterprise VRD 併 用 コ イ ル 塞 栓 術(Enterprise-assisted coil embolization;EACE)における慢性期(術後 1 か月以降)虚血性合併症(DI) の要因を明らかにする.【対象 / 方法】2010 年 7 月~ 12 年 6 月の EACE 例で 1 年以上経過観察した 52 瘤(49 例 /60 歳 / 女性 74%)を対象とした. dual antiplatelet therapy(DAPT)は原則 1 年継続後減量した.DI(+)群 と(-)群で背景因子,治療内容 / 結果,incomplete stent apposition(ISA), in-stent stenosis(ISS),DAPT 減 量 / 中 断[1 年 未 満:premature discontinuation(PMD)/1 年以降:planned discontinuation(PLD)]を比較し た.【結果】未破裂 47 瘤,最多部位は IC paraclinoid(36.5%)で瘤径中央 値 8.1mm であった.単一ステント 46 瘤,複数ステントは 6 瘤(Y ステン ト 3 瘤)であった.単一ステントの DI(+)群 4 瘤(8.7%)と(-)群 42 瘤の比較では背景因子,治療内容 / 結果,ISA,ISS に有意差はなかっ たが PMD は(+)群で高率(75 vs 4.8%,p = 0.003)であった.複数ス テントでは Y ステント 1 瘤(16.7%)で PLD にも関わらず DI を生じた.【結 論】単一ステントで PMD と DI の関連が示唆された.Y ステントは PLD でも DI を生じ,より長期の DAPT を要する可能性がある.

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ポスターセッション

2日目

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高齢者くも膜下出血に対する血管内手術 藤田保健衛生大学 医学部 脳神経外科1) 田中鉄兵1) 定藤章代1) 早川基治1) 安達一真1) 石原興平1) Tanaka Teppei 稲桝丈司1) 廣瀬雄一1) 【はじめに】本邦では超高齢化時代の到来を迎え,高齢者に対しくも膜下 出血を積極的に治療する機会が増えてきている.当院では高齢者に対す る治療は低侵襲性の観点からコイル塞栓術を第一選択としているが, outcome は必ずしも良好とはいえず様々な問題が存在する.今回当院にて 治療を行った 80 歳以上の高齢者を対象としその治療成績について検討し た.【対象と方法】2007 年~ 2011 年までに当院に搬入された 80 歳以上の 破裂脳動脈瘤によるくも膜下出血患者 25 症例ので,積極的に手術を行う ことが可能であったのは 19 患者 20 症例であった.治療の内訳はクリッ ピング術 7 例でコイル塞栓術は 13 例であった.【結果】コイル群では入 院 時 WFNS は grade1 1 例,grade2 3 例,grade3 2 例,grade4 5 例, grade5 2例であった.動脈瘤の内訳は内頚動脈瘤7例,前交通動脈瘤3例, 中大脳動脈瘤 2 例,後大脳動脈瘤 1 例であった.(クリッピング群は 7 例 で血腫を合併した症例が 2 例,3 例が中大脳動脈瘤であった.)退院時の mRS は 1 0 例,2 2 例,3 1 例,4 4 例,5 5 例,6 0 例であった. 1 例で術後 1 年後に再出血を生じ再治療を要した.【結論】高齢者におけ る血管内治療は動脈硬化による access 困難やマイクロカテーテルの不安 定性など様々な問題が存在するものの転帰良好例も見られた.ただし術 後の合併症などによる長期臥床に伴い ADL の低下を生じた症例が少なか らず認められ治療のみならず周術期の合併症の回避が非常に重要である.

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80 歳以上の破裂脳動脈瘤に対するコイル塞栓術 岡山大学大学院 脳神経外科1) 新治有径1) 菱川朋人1) 高杉祐二1) 清水智久1) 春間 純1) Shinji Yukei 平松匡文1) 徳永浩司1) 杉生憲志1) 伊達 勲1) 【目的】人口の高齢化に伴い,80 歳以上の破裂脳動脈瘤に対する外科治療 症例が増加しているが,予後不良とする報告が多い.当科における 80 歳 以上の破裂脳動脈瘤に対するコイル塞栓術の治療成績と,予後に関与す る因子を検討した.【方法】2003 年 1 月から 2012 年 10 月までの破裂脳動 脈瘤連続 46 例を対象とした.80 歳以上(E 群:12 例),79 歳以下(Y 群: 34 例)に分類し,Hunt & Kosnik grade,症候性脳血管攣縮,正常圧水頭症, 予後良好例の発生頻度を比較した.さらに一次脳損傷,手術合併症,脳 血管攣縮について予後への関与を検討した.【結果】E 群:男性 6 例,女 性 6 例,平均年齢 83.3 ± 2.3 歳,Y 群:男性 13 例,女性 21 例,平均年 齢 62.9 ± 9.7 歳.動脈瘤の局在は E 群:前方循環 11 例,後方循環 1 例, Y 群:前方循環 20 例,後方循環 14 例.H&K grade は E 群 I:3,II:3, III:2,IV:4,Y 群 I:4,II:8,III:12,IV:10(P = 0.55).症候性脳 血管攣縮は E 群:7/12 例(58%),Y 群:2/34(5.8%)(P = 0.0004),正 常圧水頭症は E 群:2/12 例(17%),Y 群:9/34 (26%)(P = 0.7)に認め た.退院時 mRS 0-2 の割合は E 群:0/12(0%),Y 群:10/34(29%)(P = 0.04).一次脳損傷,コイル塞栓時の合併症,脳血管攣縮についてこれ らの因子が mRS 3-5 への関与する割合はそれぞれ,E 群 vs Y 群:50% vs 75%(P = 0.13),8.3% vs 13%(P > 0.99),33% vs 4.2%(P = 0.03)だった. 【結論】当科での 80 歳以上の破裂脳動脈治療例の予後は 79 歳以下と比べ 有意に不良であった.80 歳以上では症候性脳血管攣縮の発生頻度が有意 に高く,79 歳以下と比べ予後悪化への関与が高い.高齢者における脳血 管攣縮の治療成績向上が予後改善に寄与する可能性が示唆された.

Neuroform EZ Stent System の有用性と問題点

医翔会 札幌白石記念病院1) 米増保之1) 野中 雅1) 高橋 明1) 恩田敏之1) 大坊雅彦1) Yonemasu Yasuyuki 本田 修1) 【はじめに】近年脳動脈瘤塞栓術において,VRD が使用可能となり,以前 は治療困難であった Wide Neck で大型の動脈瘤や不整形動脈瘤の治療が可 能となってきている.VRD は Closed cell type の Enterprize のみが使用可 能 で あ っ た が,2013 年 2 月 よ り Open cell type の Neuroform EZ Stent System が使用可能となった.Neuroform の使用経験を報告し,Enterprize との相違点について検討した.【対象・方法】3013 年 4 月より Neuroform を使用して脳動脈瘤治療をおこなった 5 症例で,治療結果,ステント形状, 使用感などを検討し,Enterprize を使用して治療した症例と比較した.【結 果】全例でステント留置可能で,塞栓術は行えた.ステントは屈曲部で はつぶれずに留置されていた.症候性の合併症は認めなかった.【考察】 Open cell Stent のためステントのずれは少なく,形状の保持に優れていた. 特に屈曲部での形状保持は有効と思われた.また,Trans cell でのストラ ット通過は容易であり,位置決めマーカーの視認性も良好であった.ス テントデリバリー用カテーテル(Excelsior XT-27)はやや太く,血管選択 性や追従性がやや悪い印象であった.また,Cell にワイヤーやカテーテル が引っかかることがあり,特に屈曲部ではその傾向が強いと思われた.【結 語】Open cell type の VRD である Neuroform を使用した.両 Device の特徴 を考えて,症例ごとに選択すべきと思われた.

Neuroform EZ stent system の初期使用経験

名古屋市立大学 医学部 脳神経外科1)

間瀬光人1) 西川祐介1) 相原徳孝1) 山田和雄1)

Mase Mitsuhito

【目的】Neuroform EZ stent system を用いてワイドネック未破裂脳動脈瘤の コイル塞栓術を行ったので,初期使用経験を報告する.【方法】対象は 2013 年 4 月 -7 月に当院で Neuroform を用いて治療した未破裂脳動脈瘤 5 例(50-72 才)である.動脈瘤最大径 7.6-22.6mm(平均 11.4),ネック 4.7-9.7mm(平均 7.3)で,部位は IC3 例,BA2 例であった.全麻下に jail(2), jail & tran-scell(1),trans-cell(1),semihail & trans-cell(1)で塞栓術を行 った.術中操作性や周術期治療成績について検討した.【結果】XT-27 flex angle は比較的硬く,挿入時ワイヤーを十分に末梢まで進める必要があっ た.Stent 留置は 5 例中 4 例で予定した部位に正確に留置できた.1 例で は stent 展開後 distal は予定位置にあったが,留置血管が蛇行していたた め shortening が起こった.Stent の視認性は透視でも可能で,X-per CT 上 圧着性は良好であった.手術終了時成績は CO(1),NR(3),DF(1)で あった.周術期合併症は穿刺部血腫を 1 例認めた.術後 3 日目の MRI で 無症候性の high intensity spot を 2 例認めた.【結論】留置時のずれが少な いので予定していた部位に正確に留置可能であるが,血管蛇行などによ り shortening する可能性があった.いわゆる open cell の特徴を理解して使 用すれば安全で良好な結果が得られる stent system と考えられる.

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80 歳以上の破裂脳動脈瘤に対するコイル塞栓術の治療成績と問題 点 岸和田徳洲会病院 脳神経外科1) 和歌山県立医科大学 脳神経外科2) 和歌山ろうさい病院 脳神経外科3) 松本博之1) 武本英樹1) 廣鰭洋子1) 増尾 修2) 平山勝久2) Matsumoto Hiroyuki 八子理恵2) 寺田友昭3) 岡田秀雄3) 【目的】80 歳以上に対しては急性期の再出血を予防することを最優先し, 積極的にコイル塞栓術を行っている.80 歳以上の破裂脳動脈瘤に対する コイル塞栓術の治療成績と問題点について述べる.【対象】2000 年 1 月か ら 2013 年 4 月までに破裂脳動脈瘤に対してコイル塞栓術を施行した 80 歳以上の症例は 34 例である.全例女性で,年齢は 80 歳から 91 歳(平均 83.5 歳),IC-PC 19 例,IC-Ach.2 例,Acom 5 例,MCA 1 例,BA-VA 系 7 例である.来院時の重症度と退院時の mRS との関連,周術期の合併症 の現状を示す.【結果】来院時の H&K は grade1;3 例,grade2;6 例, grade3;9 例,grade 4;10 例,grade5;6 例である.退院時 mRS0-2;7 例, mRS3;2 例,mRS4-5;20 例,mRS6;5 例であった.grade が 1-3 でも退 院時機能的予後は良好とは言えない.術中の血栓性合併症を 3 例で認め 予後に影響した.経過中の再出血例は認めていない.【考察】80 歳以上で は来院時すでに重症例が多く,primary brain damage がより重篤化しやすい. 来院時軽症であっても廃用性症候群などにより機能的予後不良となりや すく,急性期に脳に新たなダメージを加えることなく再出血を予防し, 速やかに次の治療ステップに移行し,改善を期待すべきと思われる.【結論】 80 歳以上の破裂脳動脈瘤の予後は決して良くはないが,良好な転帰をと る例もあり,急性期に脳に新たな侵襲を加えることなく再出血を予防で きるコイル塞栓術は考慮すべき治療である.

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高齢者(80 歳以上)の破裂動脈瘤によるくも膜下出血の治療成績 福岡大学病院 救命救急センター1) 福岡大学 医学部 脳神経外科2) 福岡赤十字病院 脳神経外科3) 岩朝光利1) 東 登志夫2) 福田健治2) 大川将和2) 野中 将2) Iwaasa Mistutoshi 安部 洋2) 小林広昌1) 湧田尚樹2) 吉岡 努3) 重森 裕1)   石倉宏恭1) 井上 亨2) 【目的】高齢者の動脈瘤破裂によるくも膜下出血は重症例が多く,全身状 態を考慮した治療戦略を検討する必要がある.80 歳以上の破裂脳動脈瘤 によるくも膜下出血患者における,臨床像・治療方法・治療結果を retrospective に検討した.【対象・方法】対象は最近 5 年間で当施設に入院 した 80 歳以上の破裂脳動脈瘤によるくも膜下出血患者 27 例.入院時 WFNS grade,治療方法,退院時の Glasgow outcome scale(GOS)について 検討した.破裂動脈瘤に対する治療は,コイル塞栓術を第一選択として いる.【結果】男性 3 例,女性 24 例,平均年齢 84.0 歳(80 ~ 92 歳).来 院時の WFNS grade は平均 4.1 であった.破裂動脈瘤に対し治療を行った のは 17 例で,コイル塞栓術(CE)11 例,直達手術(DS)6 例,10 例に 保存的加療(CTx)を行った.治療群の WFNS grade は平均 3.6,CTx 群 の平均は 4.9 であった.DS の内訳は,中大脳動脈瘤 3 例,前交通動脈瘤 1 例,解離部から PICA が分枝している解離性椎骨動脈瘤 2 例であった. CE 群は退院時 GR は 5 例(45%),DS 群は 2 例(33%)であった.内視 鏡による血腫除去術を 4 例に行っている.フォローアップ期間中の再破 裂を認めていない.【結論】高齢者の破裂脳動脈瘤によるくも膜下出血は 重症例が多いが,積極的な治療を行った場合は比較的良好な結果が得ら れた.全身状態を考慮しきめ細かい集学的治療を行うこと,長期臥床を 避け早期リハビリテーションを積極的に行うことが望ましい.

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高齢くも膜下出血患者に対するコイル塞栓術の長期予後と課題 大田市立病院 脳神経外科1) 福田 稔1) 福田理子1) Fukuda Minoru 【はじめに】GDC によるコイル塞栓術の初期には,消極的な理由から高齢 のくも膜下出血患者に対する適応が検討され実施されることが多かった. その後は塞栓術の相対的な優位性が示されるなかで高齢者への適応等は 話題の中心から遠く離れて行った感がある.しかし高齢者への治療の中 から多くを学び塞栓術の有用性を高めてきたことも事実であり,予後や その有用性に関しての検討には大きな意味があると考える.今回我々は 初期に本治療を実施した高齢患者の予後を調べ治療の妥当性や課題を検 討したので報告する.【対象・方法・症例】当時の余命を念頭に 2000 年 3 月から 5 年間にくも膜下出血で当院を受診し急性期に破裂動脈瘤に対し て全身麻酔下に塞栓術を行った 80 才以上の高齢者を対象とし,全例で生 命・機能予後を追跡調査した.症例は男性 2,女性 11 例の計 13 例,発症 当時の平均年齢は 86.2 才,重症度(H&K)別内訳は grade 5 が 5 例,以下 4:5,3:1,2:2 であった.【結果】GOS は GR:2 例~ D:3 例で自宅 への独歩退院は 4 例あった.現時点での存命例は 9 年を経た 1 例である. 余命の平均は 3.62 年で発症当時の患者の余命平均 7.18 年のおよそ半分で あった.くも膜下出血死以外の死亡原因は肺炎 4,癌 1,脳出血 1,新生 瘤の破裂 1,老衰 1,不明 1 であった.【考察・結論】重症例の割合がそ のまま GOS に反映されたと見なすことに違和感はなく初期治療効果とし ては許容範囲内にあると考える.従って再破裂予防策としての塞栓術の 更なる技術・精度の向上は余命延長への期待にもつながるが,重症例を 減らすなど再破裂予防策以前の医療対応が鍵となるかもしれない.

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当施設に於ける ,80 歳以上の高齢者くも膜下出血・症例に対する , 脳血管内手術の成績と課題 洛和会 音羽病院 脳神経外科1) 幸生会 琵琶湖中央病院2) 洛和会 洛和会音羽病院 脳神経外科3) 洛和会 洛和会音羽病院 正常圧水頭症センター4) 洛和会 洛和会音羽病院 脳卒中センター5) 大脇久敬1) 武澤正浩1) 竹中朋文1) 藤田晃司2) 山本一夫3) Owaki Hisayuki 石川正恒4) 岡本新一郎5) 【背景と目的】昨今,人口の高齢化が進み,社会保障や福祉の面などで問 題と為って来て居る.殊に就労可能者の割合が鍵でも在り,臨床では, 罹患から回復後の ADL が大きな課題と思われる.脳血管内治療が果たす 役割も大きく,従来なら保存的観察と為る例でも積極的に介入する事例 が増えつつ在ると考える.断らない救急を掲げる当院には,80 歳以上の 高齢者くも膜下出血例も少なくない事より,現状と打開策に付いて検討 する.【対象と方法】直近の 1 年半で,血管内治療を施行した脳血管障害 50 例の中,実に 7 例が 80 歳以上で在り,局在も内頚動脈 - 傍床突起,前 交通動脈分岐,前大脳動脈遠位部,中大脳動脈と比較的・多岐に亘って 居た.実際の手術介入は,明らかに予後不良と思われる超重症例を除き 御家族の意向を尊重して行った.尚,椎骨 - 脳底動脈例は 70 代後半に留 まった.【結果と考察】中 2 名は,演題投稿時点で,未だ回復期リハビリ 病棟にて入院加療中で在るが,5 名は退院されて居り,中には途中,重症 肺炎など偶発合併症で重篤化された症例も在るが,最終的には脱却され, 脳血管攣縮に依り,大きな後遺症を残された方は居ない.約 1/3 には水 頭症手術を要したが,一定の効果を得て居る.併し,腎機能不全などに 伴う遷延性意識障害を残し,その為,家族背景などから,在宅療養が果 たせ無かった症例も認めた.一方で,従来の経験からは,直達手術での 望ましい予後は難しい,と判断された例でも,社会的背景次第では在宅 療養も可能と思しき経過も含まれた.【結語】御高齢者故の易感染性,廃 用症候群からの離床遅延,病前よりの独居や基礎疾患など障害も多いが, 治療の意義は大きいと愚考する.

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ポスターセッション

2日目

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再発と再治療を繰り返した高齢者脳底動脈瘤の 1 例 永寿総合病院 脳神経外科1) 篠田 純1) 金井隆一1) Shinoda Jun 再発と再治療を繰り返した高齢者脳底動脈瘤の 1 例について報告する. 症例は初回治療時 87 歳の女性である.SAH で発症し,入院時 WFNS grade I であった.同日 BA-lt SCA 動脈瘤に対して,コイル塞栓術を施行 した.動脈瘤の径は 5 × 12 × 12mm で,茸のような形状であった.左 SCA の分岐部が動脈瘤の dome にかかっており,この部位の塞栓は困難で あるため行わなかった.術後の経過は良好で3週間後に独歩退院となった. 初回治療後 5 ヶ月経過した時点での MRA にて,coil compaction による再 発を認め,初回治療後 7 ヶ月の時点で再治療を施行した.その後外来で 経過を観察していたが,初回治療後 13 か月,2 回目治療後 6 か月の時点で, MRA にて再々発を認めた.その後も増大を続け,初回治療後 29 か月,2 回目治療後 22 か月の時点で脳血管撮影を行った.その結果,2 回の治療 で用いられたコイル塊が泣き別れになっており,径は 10mm を越えていた. この結果より,引き続きコイル塞栓術を受けていただくよう説得したが, 拒否された.その 9 日後(初回治療の 29 ヶ月後,2回目治療の 22 ヶ月後), 再びSAHを発症した.搬送時WFNS grade IIIで同日コイル塞栓術を行い, mRS 3 でリハビリ病院に転院となった.3 回目治療後 15 ヶ月経過した現 時点では,MRA にて動脈瘤頚部が僅かに描出されるが,増大傾向は認め られない.日常の生活動作はほぼ自立している.

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塞栓術に治療戦略を要した高齢者 wide neck 前交通動脈破裂脳動 脈瘤の 2 例 松山赤十字病院 脳神経外科1) 武智昭彦1) 梶原佳則1) 渡邊陽祐1) 瀬山 剛1) Takechi Akihiko 【目的】高齢者破裂脳動脈瘤に対し塞栓術が選択される機会が多いが,形 状によっては治療に難渋することもあり,特に wide neck の場合には塞栓 術が困難な場合もある.今回我々は,高齢者のwide neck前交通動脈(AcomA) 破裂脳動脈瘤に対し,AcomA 閉塞と bleb 閉塞で治療した 2 症例を経験し たので報告する.【症例 1】85 歳女性.頭痛,意識障害で発症し,CT で diffuse SAH を認めた.初診時の Hunt & Hess(H&H)Grade は 3.右 CAG で AcomA に wide neck の動脈瘤(dome 8mm,neck 6mm)を認めた(右 A1 優位).瘤内だけの塞栓は困難と判断し,左 CAG で左 ACA が描出される ことを確認した後,右 A2 を温存しながら,動脈瘤と対側 A2 に流れる AcomA を塞栓した.塞栓術直前に再破裂を生じたこともあり(H&H Grade 4 に悪化),正常圧水頭症に対する脳室腹腔シャントの後,modified Rankin Scale(mRS)5 で転院した.【症例 2】86 歳女性,頭痛で発症し, CT で大脳縦裂基部に SAH を認めた.H&H Grade 1.右 CAG で AcomA に wide neck の動脈瘤(dome 11mm,neck 7mm)を認めた.瘤本体の塞栓 は困難と判断し,出血部位と考えられた 2mm の bleb のみ塞栓した.術後 は再出血なく経過し,mRS 3 でリハビリ目的に転院した.【結語】治療の 選択枝が限られる高齢者の wide neck 動脈瘤に対しても,血行動態を考慮 した治療,あるいは,出血部位のみを target とした治療で対処できる可能 性があると考えられた. 85 歳を超えるくも膜下出血症例の臨床調査―血管内治療の役割に ついて― 知多厚生病院 脳神経外科1) 中塚雅雄1) 福島庸行1) 古部昌明1) 水野志朗1) Nakatsuka Masao 【目的】85 歳を超える高齢者におけるくも膜下出血の臨床経過を調査し, 血管内治療の有用性について検討した.【対象と方法】2003 年 1 月 1 日か ら 2012 年 12 月 31 日までの 10 年間で,CT でくも膜下出血と診断され当 科に救急入院された連続 105 例のうち,85 歳を超える 11(86 ~ 96 歳: 男 1,女 10)例を対象とした.手術適応が考慮される症例においては直 達手術より血管内治療を優先検討し,経過を評価した.【結果】4 例は破 裂脳動脈瘤で,うち 3 例にコイル塞栓術を施行,2 例は独歩,1 例はベッ ド依存状態で退院された.他の 1 例は CTA で脳動脈瘤の診断後,同日に 死亡された.2 例は硬膜動静脈瘻で,ともに栄養血管コイル塞栓術を施行 した.うち 1 例は介助歩行で退院.もう 1 例はベッド依存状態となった. 3 例は CTA 施行のうえ出血源不明で,うち 1 例は,保存的観察後介助歩 行で退院された.他の 2 例は急性期に死亡された.残りの 2 例は追加検 査不能のまま死亡された.全 11 例中 5 例にコイル塞栓術を施行,いずれ も手技は成功し,救命し得た.うち 3 例は歩行退院でき,低侵襲である 血管内治療の有効性が推察できた.術後の脳血管造影検査は全例控えて いるが,再出血は経験していない.【結語】85 歳を超える高齢者に発症す るくも膜下出血は一般に予後不良で,手術リスクも高いと考えられる. 血管内治療は,アクセスルートや他臓器の影響も充分に配慮が必要であり, 安易に行うべきではないと思われるが,救命および一定の ADL が保持で きる症例も認めらるため,全身状態などの充分な評価の上で,治療選択 の一つとして考慮すべきではないかと思われた. 80 歳以上の超高齢者くも膜下出血における当院でのコイル塞栓術 例の検討 水戸医療センター 脳神経外科1) 粕谷泰道1) 阿久津善光1) 田村剛一郎1) 細尾久幸1) 山崎友郷1) Kasuya Hiromichi 加藤徳之1) 安田 貢1) 【目的】当施設では脳動脈瘤治療に血管内治療を第一選択としてきた.80 歳以上の高齢者破裂脳動脈瘤における当院での治療成績とその特徴につ き報告する.【対象】1997 年 3 月より 2013 年 6 月まで瘤内塞栓術を施行 した破裂脳動脈瘤は519例である.そのうち80歳以上の症例を対象とした. 【結果】1)80 歳以上は 37 例で,全症例の 7.1%.2)女性 34 例男性 3 例.3) 動脈瘤の大きさは,5mm 未満:13,5mm 以上 10mm 未満:19,10mm 以上: 4.4)部位は IC-PC:9,MCA:8,Acom:10,VA-PICA:4,BA-top:3, ACA:1,BA-SCA:2 であった.4)術直後の塞栓結果は,CO:16, NR:7,BF:14.5)治療の合併症は,虚血性合併症が 3,術中破裂が 2, 術後出血が 3 例認められた.6)Hunt&Kosnik grade は,Gr.1:7,Gr.2: 11,Gr.3:14,Gr.4:4,Gr.5:1 で,コイル塞栓施行例の予後は,GR:8, MD:10,SD:11,V:3,D:5 で予後良好群(GR,MD の症例)が 48.6% であった.7)術前 H&K Grade1/2 の症例では予後良好群は 67% 認 めた.【結論】H&K grade1/2 の治療成績は概ね良好だったが Grade4/5 の 症例は全例予後不良であった.Grade3 の症例では合併症なく経過すれば 良好な予後が期待できるものと考えられた.高齢者においては,治療中 の虚血 / 出血合併症はやや高い結果であり,合併症は致命的になり得る. 合併症を可能な限り防ぎ,早期離床を徹底させることが重要な要素と考 えられた.

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動脈瘤を数値から考察する:経過観察例,開頭術例,脳血管内治療 例 1089 動脈瘤の報告 流山中央病院 脳神経外科1) 佐久総合病院 脳神経外科2) 埼玉医科大学国際医療センター 脳神経外科3) 金澤隆三郎1) 落合育雄2) 石原正一郎3) 山根文孝3) Kanazawa Ryuzaburo 2007 年 4 月から 2013 年 5 月まで,何らかの治療または経過観察となった 1089 動脈瘤(経過観察例 307,開頭術例 299,血管内治療 483)について, 3D-DSA から得られる parameter(neck,瘤の体積を決める 3 つの径,親 血管径)からどの程度,破裂・未破裂の判別が可能か,統計学的手法を 用いて解析した.また,部位別にどこが破裂しやすかったか,なども解 析した.動脈瘤の計測は一定の規則に従って行い,破裂・未破裂の判別は, 多変量解析(判別分析法)を用いて行った(使用ソフト:エクセル統計 2010).その結果,統計学的に有意な判別式が得られ,retrograde な評価で はあるが,得られた parameter から破裂・未破裂の判別が可能であること がわかった.また,部位別では前交通動脈,内頚動脈 - 後交通動脈分岐部, 脳底動脈先端部が全体の中では相対的に破裂しやすいという結果が得ら れた.全体としては 7 割程度で確実な判別が可能であった.動脈瘤が大 きかったり不整形であったりすれば手術の適応には悩まないがそうでな い動脈瘤を見たときにどのように治療,経過観察を行うか,判別式はひ とつの参考になりうると思われた.逆に判別しきれないものもあり,こ れらについては,サイズ(5mm,7mm 以上であるかどうか),形状(不整 かどうか)などの別の角度からの考察も合わせて行い,判別を試みる.

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脳動脈瘤クリッピング後の再発に対する脳血管内治療の有用性と問 題点 石岡循環器科脳神経外科病院1) 和歌山労災病院 脳神経外科2) 大島幸亮1) 寺田友昭2) 檜山孝美1) 伊藤清佳1) 大久保信治1) Ooshima Kousuke 池田律子1) 工藤 忠1) 小林博雄1) 【緒言】今回,開頭クリッピング術後の再発例に対し,脳動脈瘤コイル塞 栓術を行い,その有用性と問題点について報告する.【対象】過去に開頭 クリッピング術を施行した 6 動脈瘤を対象とした.年齢は 35-81 歳,男性 2 例,女性 4 例,初回手術からの今回の治療までは 82 ヶ月(1-300 ヶ月) であった.内訳は、1)クリッピング術後にくも膜下出血を起こし,コイ ル塞栓術を施行した 1 例(IC-PC),2)クリッピング術後の経過観察にて 瘤の増大を認め,コイル塞栓術を施行した 3 例(MCA,A.com,an,IC-PC),3)不完全なクリッピング術の為に,臨床的に再治療が必要と判断 した 2 例(A2 fusiform,IC-PC)である.【方法】治療は全例治療前に 3DRA を行い,neck を分離し,瘤形状を検討した.バルーンを用いたコイ リングを 4 例,2 例はステント併用コイル塞栓術を施行した.【結果】全 例治療に成功した.治療に伴う,morbidity,mortality はなかったが 1 例で 術中破裂を来すも脱落症状なく退院した.【考察】クリッピング術後再発 に対する再手術は難易度が上がり,血行再建など虚血に対する配慮が必 要なこともある.これに対しコイリングは侵襲が低いことが利点である. ステント併用が出来る様になり,適応が広がりつつある.問題点としては, 1)Working angle がとりにくい,2)Broad neck のタイプが多く,ステント

が必要となるケースがあり,長期的な成績が不明などが挙げられる.【結語】 クリッピング術後再発例に対する脳動脈瘤コイル塞栓術は有用な方法で あった.

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海綿静脈洞部血栓化巨大内頚動脈瘤 endovascular trapping 時 の工夫 天理よろづ相談所病院 脳神経外科1) 公立甲賀病院 脳神経外科2) 田中敏樹1) 秋山義典1) 時女知生1) 多喜純也1) 松本敦仁1) Tanaka Toshiki 設楽智史1) 取越貞治1) 渡辺一良2) 金子雅春2) 布施郁子2) 【はじめに】Mass effect で発症した海綿静脈洞部血栓化巨大内頚動脈瘤の endovascular trapping を行う場合,瘤内に coil をあまり入れずに遠位側の内 頚動脈をしっかり閉塞させることは結構難しい.遠位側を安全に閉塞す るために少し工夫した症例を報告する.【症例】75 歳女性.数年の経過で, 海綿静脈洞部血栓化左内頚動脈瘤が拡大し,視力障害,顔面の知覚低下 が出現してきたため,バルーン閉塞試験を行い虚血耐性を確認した後, 局所麻酔下に endovascular trapping を施行した.動脈瘤近位側の左内頚動 脈内には 6Fr Optimo を置いて近位側閉塞用の Excelsior1018 を挿入し,動 脈瘤遠位側の左内頚動脈内には椎骨動脈に 5Fr Launcher を置いて左後交 通動脈を経由して Excelsior SL10 を挿入した.動脈瘤内には coil が入らな いように,それぞれの catheter から coil を挿入し trapping した.術後,神 経症状は改善し,動脈瘤も徐々に縮小した.【考察】血栓化内頚動脈瘤の trapping を行う際,通常は動脈瘤内を通して遠位内頚動脈に catheter を挿 入し遠位部の閉塞を行う.動脈瘤内を通す時に distal embolism を生じる危 険や,遠位側に catheter をうまく誘導できない可能性,また後交通動脈, 前脈絡叢動脈に閉塞が及ぶ危険等がある.同側の後大脳動脈 P1 部や後交 通動脈が発達している場合,動脈瘤を経由せずにあらかじめ遠位側に catheter を留置し,後交通動脈より近位側で安全に trapping できる可能性 がある.

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バイパス術を併用した内頚動脈大型・巨大動脈瘤の治療戦略 筑波メディカルセンター病院 脳神経外科1) 筑波大学医学医療系 脳神経外科2) 筑波大学附属病院 日立社会連携教育研究センター・日立総合病院 脳神経外科3) 中村和弘1) 松村英明1) 木野弘善1) 伊藤嘉朗1) 中居康展2) Nakamura Kazuhiro 上村和也1) 小松洋治3) 松村 明2) 【はじめに】内頚動脈大型・巨大脳動脈瘤では,直達手術やステント併用 塞栓術が困難で母血管閉塞を必要とする症例も多い.今回は,さらなる 治療成績向上のため,とくに術前閉塞試験の有効性について自検例を検 討した.【対象】2006 年 4 月より 2013 年 5 月までに当院と筑波大学付属 病院で治療した内頚動脈(ICA-cavernous,ICA-paraclinoid)大型・巨大未 破裂脳動脈瘤のうち母血管閉塞(PAO)を必要とした連続 7 例.【方法】 可能な症例で balloon occlusion test(BOT)を試行し,症状の有無や stump pressure,pan-aortography の所見を総合的に判断し,high-flow bypass や low-flow bypass 併用の要否や種類を決定している.PAO は直達手術が困難の 場合は coil ligation とした.【結果】7 例中,3 例で high-flow(EC-RA-M2 bypass),4 例で low-flow(STA-MCA bypass) bypass を併用して PAO を施 行し,PAO のみの症例はなかった.6 例で BAO を施行し,pseudo-negative の症例はなかった.7 例中 4 例で一過性の虚血症状が出現したが,全例で 退院時の GOS は GR であった.【考察】BOT は各施設で方法や基準も異 なり,一定したものはない.当院では stump pressure や pan-aortogprphy の 所見を参考にしている.現在まで問題なく行われているものの,今後も BOT の精度向上が必要と考えている.

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ポスターセッション

2日目

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クリッピング術後にコイル塞栓術の追加を必要とした脳動脈瘤の検 討 横浜栄共済病院 脳卒中診療科・脳神経外科1) 野村素弘1) 玉瀬 玲1) 上出智也1) 森 健太郎1) 関 俊輔1) Nomura Motohiro 北村佳久1) 【目的】再発または不完全なクリッピングとなった脳動脈瘤に対して血管 内治療の追加が必要となる症例が存在する.これらの症例において,そ の特徴,治療上の留意点などについて検討を行った.【対象】2004 年 4 月 から 2013 年 7 月までの間に,クリッピング術後にコイル塞栓術を追加し た脳動脈瘤の 4 例.【結果】クリッピング術後に残存あるいは再発した動 脈瘤が破裂したものが 2 例.いずれも IC-PC 動脈瘤で,1 例はくも膜下 出血後 20 年,他は未破裂動脈瘤クリッピング術後 17 年でくも膜下出血 を発症した.いずれの症例もクリップのブレードに接して末梢側に動脈 瘤を認めた.コイル塞栓術を追加し,動脈瘤の描出は消失した.一方, 不完全クリッピング術の症例は 2 例で,いずれもくも膜下出血発症当日 にクリッピング術を施行.1 例は IC-PC 動脈瘤の残存.経過中に再破裂 はなかったが,術後 54 日にコイル塞栓術を追加した.他の 1 例は,前交 通動脈瘤のクリッピング術後 21 日にクリップのブレードに接して右前頭 葉内に出血を生じた.2 本のクリップの間に動脈瘤の残存を認めた.再ク リッピング術には,初回のクリップの除去が必要と考えられ,左 A1 の血 管攣縮が改善した第 55 病日にコイル塞栓術を行った.【考察】再度のク リッピング術が困難と思われる動脈瘤に対して,コイル塞栓術を行い良 好な結果が得られた.再発くも膜下出血の症例はいずれも IC-PC 動脈瘤 であり,残存した動脈瘤頚部が増大したものと予想された.クリッピン グ術後の動脈瘤残存には追加治療としてコイル塞栓術は有効であるが, 親動脈や動脈瘤の形態,サイズなどにより治療が困難となる場合もあり

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破裂脳動脈瘤クリッピング術後残存・再発動脈瘤に対するコイル塞 栓術 永冨脳神経外科病院 放射線科1) 大分大学 医学部 放射線医学講座2) 大分県厚生連鶴見病院 放射線科3) 新別府病院 放射線科4) 永冨脳神経外科病院 脳神経外科5) 道津剛明1) 清末一路2) 堀 雄三1) 田上秀一2) 柏木淳之2) Dotsu Takeaki 島田隆一2) 相良佳子3) 岡原美香4) 浅野智重5) 永冨裕文5)   森 宣2) 【目的】破裂脳動脈瘤クリッピング術後残存・再発動脈瘤に対するコイル 塞栓術の治療成績について検討した.【方法】2003 年 1 月から 2013 年 7 月までに当院および連携施設でクリッピング術後残存・再発動脈瘤に対 してコイル塞栓術を施行された 18 例(男性 8 例,女性 10 例,平均年齢 59.6 歳,IC-PC 7 例,ACoA 6 例,IC-AChoA 4 例,MCA 1 例)について クリッピング術から塞栓術までの期間,瘤径,D/N ratio,治療手技,術 直後の塞栓率,合併症,再発の有無について検討した.【結果】クリッピ ング術からコイル塞栓術までの期間は 0-264 ヵ月(平均 77.6 ヶ月)であり, 再出血発症例は 3 例であった.残存・再発瘤の最大径は 3.2-19.6mm(平均 7.1mm),D/N ratio は 1.0-5.7(平均 2.1)であった.10 例はシンプルテクニ ックにて,3 例でダブルカテーテル法,3 例でステント併用,2 例でバル ーン併用にて治療した.術直後の血管造影では完全閉塞 6 例,ネック残 存 3 例,瘤残存 9 例であり,VER は 18-43%(平均 30%)であった.周術 期症候性合併症は認めず.退院時臨床転帰は GOS にて GR9 例,MD4 例, SD3 例,D2 例(1 例胸部大動脈解離,1 例脳室炎)であった.術後観察 期間は 0-60 ヵ月(平均 15.4 ヵ月)で,再破裂は認めなかったが,1 例で 急性期破裂前交通動脈瘤の当院でのコイル塞栓術治療成績―クリッ ピング術と比較して― 横浜新都市脳神経外科病院1) 尾崎 聡1) 服部伊太郎1) 根本哲宏1) 疋田ちよ恵1) 岩崎充宏1) Ozaki Satoshi 桑原孝之1) 猪原正史1) 森本将史1) 【目的】当院では急性期破裂前交通動脈瘤に対して,重症度,コイルの性状, 年齢,等でコイル塞栓と開頭術を使い分けている.当院におけるコイル 塞栓術の治療成績をクリッピング術と比較検討する.【方法】2010 年 4 月 から 2013 年 7 月までに当院でクリッピングあるいはコイル塞栓術を発症 後 72 時間以内に施行した 32 症例のうち 6 ヶ月以上の経過観察が可能で あった 27 症例(男:女= 11:16,平均年齢 63.6 歳)を対象として臨床 転帰を中心に検討した.【結果】対象の 27 例のうちコイル塞栓術(Co 群) を施行した症例は 14 例,クリッピング(Cl 群)を施行した症例は 13 例 であった.Co 群 14 例のうち 1 例は coil compaction のため発症後 1 ヶ月後 にクリッピング術を施行したが,他症例は手技的に成功した.WFNS 分 類 Grade III 以上の重症例は全症例の 22.2%(6 例)で,Co 群 35.7%(5 例), Cl 術群 7.7%(1 例)で,Co 群に重症例が多かった.しかし,術後 6 ヶ月 後の mRS が grade1-2 の予後良好例は,全症例の 70.4%(19 例)で,Co 群 64.3%(9 例),Cl 群 77.0%(10 例)だった.Co 群の予後不良例 5 例(35.7%) 中 2 例は,コイル塞栓したにもかかわらず術後再出血を来した.【結論】 破裂前交通動脈瘤に対するコイル塞栓術は重症例が多いなかで,比較的 良好な結果が得られている.しかし,文献的にも,術後の再出血が他部 位と比較して多い部位であるため,術後の抗血栓療法,血圧管理,鎮静 など,特に厳重な管理が重要である. 多発脳動脈瘤に対するクリッピングとコイルを用いた multimodal treatment に関する検討 北海道医療センター脳神経外科1) 宮本倫行1) 内田和希1) 安喰 稔1) 安田 宏1) 牛越 聡1) Miyamoto Michiyuki 【目的】コイル塞栓術の治療対象となる動脈瘤は,device の進歩により確 実に広がってきている.一方で,脳動脈瘤に対する開頭クリッピング術 の再発予防としての根治性は確立されたものがある.当施設では,多発 脳動脈瘤に対してコイル塞栓術とクリッピング術の利点,欠点を踏まえ た上で,根治性も加味して治療方針を決定している.その結果として, コイル塞栓術と開頭クリッピング術とそれぞれの治療(multimodal treatment;MT)を要した症例に関して検討したので,文献的考察を加え 報告する.【対象】2010 年 4 月に当院脳神経外科が開設されて以来,治療 が行われた動脈瘤 114 例のうち,8 例が多発動脈瘤の症例であり,そのう ち MT を施行した 6 例を対象とした.【結果】MT を施行した 6 例中 5 例 は未破裂脳動脈瘤であった.このうち,3 例においてコイル塞栓術を先行 し,抗血小板薬が中止可能となる 3 ヶ月以上の期間を開けてから開頭ク リッピング術を施行した.2 例に関しては,クリッピング術を先行させた. クリッピングを先行した症例は,初回治療で瘤を沢山処置できるため, サイズが大きい動脈瘤がコイル塞栓術の適応がなかったためであり,そ れ以外の症例はコイル塞栓術を先行させた.くも膜下出血を認めた1例は, 脳底動脈瘤に対してコイル塞栓術を施行した後に,同日左 BA-SCA の動 脈瘤に対してクリッピング術を施行した.【結語】多発脳動脈瘤に対する 治療は一様ではなく,様々な選択肢が存在する.MT は症例をうまく選択 していけばより確実で,より安全な治療を提供できる可能性があると考 えた.

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Scepter C balloon catheter を用いたもやもや病に合併した未 破裂脳底動脈瘤に対する脳血管内治療 相模原協同病院 脳血管内治療科1) 相模原協同病院 脳神経外科2) 日本大学 医学部 脳神経外科3) 渋谷 肇1) 梅沢武彦2) 石原隆太郎2) 松崎粛統3) 片桐彰久3) Shibuya Tadashi 須磨 健3) 吉野篤緒3) 片山容一3) 【目的】もやもや病に合併した脳底動脈瘤の脳血管内治療では,全脳血流 は椎骨脳底動脈系へ依存しており,balloon assist 下のコイル塞栓術では, balloon の安定性が悪く,難渋することも多い.また,ステントも閉塞性 合併症で使用困難である.我々は,double lumen で compliant な balloon であ る Scepter C balloon catheter を用いてもやもや病に合併した未破裂脳底動 脈瘤に対して脳血管内治療を行い,良好な結果が得られたので報告する. 【症例】45 歳男性.糖尿病で内科通院中であったが,頭蓋内精査で脳底動 脈瘤がみられたため,当科へ紹介となった.両側内頚動脈は閉塞しており, もやもや病に合併した未破裂脳底動脈瘤と診断した.脳血管内治療の予 定であったが,右後頭葉に脳内出血を合併,保存的に加療し,2 ヵ月後に 全身麻酔下の脳血管内治療を施行した.脳底動脈瘤は,最大径 4.3mm で neck 2.4mm で small size & broad neck であり,neck が BA tip から右 P1 にか かるため,adjunctive technique が必要と判断した.ステントは脳内出血の 既往と閉塞性合併症を考慮して使用せず,balloon assist での加療とした. 右 PCA にガイドワイヤーを留置し,Scepter C balloon catheter で balloon assist を行ったが,balloon の安定性は良好,balloon 変形能での neck remodeling も十分で BA-BIF AN の tight packing が可能であった.術後経過 は良好で自宅退院となった.【結論】Scepter C balloon catheter は,血流量 の多い血管の balloon assist で安定性,操作性に優れており,有効であった.

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脳動脈瘤塞栓支援用頭蓋内ステント留置における ASAHI CHIKAI black ガイドワイヤーの有用性 福岡大学筑紫病院 脳神経外科1) 相川 博1) 堤 正則1) 中井完治1) 伊香 稔1) 尤 郁偉1) Aikawa Hiroshi 坂本王哉1) 溝上泰一朗1) 光武尚史1) 江藤 歩1) 花田迅貫1) 風川 清1) 【目的】自己拡張型頭蓋内ステントの導入により,脳動脈瘤に対する血管 内治療の可能性は飛躍的に高まりつつある.しかしディバイスを目的の 動脈瘤頚部に適応するためには比較的大径で硬質な専用カテーテルを動 脈瘤を越えてさらに末梢まで誘導する必要があり,確実性や安全性上の 問題となっている.我々はこのデリバリーに ASAHI CHIKAI black をガイ ドワイヤーとして用いて良好な感触を得ているのでこれを検証する.【対 象と方法】2010 年 7 月以降,頭蓋内ステント支援下に施行した動脈瘤塞 栓術の症例,79 例を対象とした.これらをデリバリーカテーテルの誘導 を CHIKAI black を用いて行った群(A 群= 20 例),CHIKAI black 導入以 前のガイドワイヤーを用いて行った群(B 群= 37 例),カテーテル交換 法にて行った群(C 群= 22 例)に分け,それぞれの動脈瘤部位,留置達 成率,合併症出現率を検討した.【結果】動脈瘤の部位を中枢型(内頚動脈, 椎骨動脈,脳底動脈)と抹消型(前大脳動脈,中大脳動脈,後大脳動脈) とすると A 群ではそれぞれ 75.0%,25.0%,B 群は 86.5%,13.5%,C 群で は 31.8%,68.2% であった.手技(= stent 留置)未達成率は各群それぞれ 4.8%10.8%,4.5% であった.また出血性合併症の出現率はそれぞれ 0%, 2.7%,13.6% であった.【結論】CHIKAI black を用いた群では動脈瘤分布 は末梢型が多かったにも関わらず,他の wire を用いたものと比べステン ト留置達成率が高かった.出血性合併症は見られず,安全性も各群の中 で最も良好であった.

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破裂脳動脈瘤に対して急性期コイル塞栓術と慢性期クリッピング術 を併用した 1 例 東京都立多摩総合医療センター 脳神経外科1) 虎の門病院 脳神経血管内治療科2) 堀川弘吏1) 吉田信介1) 佐藤允之2) 松丸祐司2) 太田貴裕1) Horikawa Hiroshi 【緒言】脳動脈瘤コイル塞栓術では,不完全閉塞による動脈瘤再発が一定 の割合で起こりえる.今回われわれは破裂脳動脈瘤に対し,急性期はコ イル塞栓術により再破裂予防を行い,慢性期に開頭手術を併用し,良好 な経過をたどった 1 例を経験したので報告する.【症例】52 歳女性.突然 の頭痛と意識障害で救急搬送され,頭部 CT でくも膜下出血を認めた.脳 血管撮影で左内頚動脈分岐部に後内側下方向きで 5mm 大の動脈瘤を認め た.動脈瘤は内頚動脈の真裏に位置し,開頭手術では穿通枝梗塞の危険 性が高いため,コイル塞栓術を選択した.治療直前に撮影すると,当初 と比較して動脈瘤は小さく描出され,動脈瘤先端部の血栓化が疑われた. バルーンアシストによるコイル塞栓術を行ったが,瘤内に誘導したカテ ーテルが安定せず,Neck Remnant で終了した.発症 1 週間後の脳血管撮 影では,コイルは動脈瘤先端部へ迷入し,動脈瘤頚部が造影され再治療 が必要な状態であった.再治療に際してコイル塞栓による再治療では根 治が困難と考え,開頭クリッピング術を選択した.手術では MEP モニタ ー下に,内視鏡で穿通枝を確認しながらクリッピングを行った.術後血 管撮影では動脈瘤の完全閉塞を確認した.【考察】今回は動脈瘤の場所, 方向から急性期の開頭手術はリスクが高く,再破裂予防にコイル塞栓術 を行った.その後の再発動脈瘤に関しては,コイル塞栓術による根治が 難しいため,慢性期に準備を整えた上で開頭手術を行い良好な経過をた どった.血管内手術及び開頭手術のそれぞれの治療法の利点を考え,症 例に合わせて選択,あるいは組み合わせて治療を行うことが重要と考え られた.

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浅側頭動脈 ‐ 中大脳動脈吻合部動脈瘤に対してコイル塞栓術を施 行した 1 例 札幌医科大学 医学部 脳神経外科1) 札幌医科大学 救急医学講座2) 砂川市立病院 脳神経外科3) 大森義範1) 鈴木健吾1) 堀田祥史1) 宮田 圭2) 飯星智史1) Oomori Yoshinori 鰐渕昌彦1) 三國信啓1) 関 隆史3) 南田善弘3) 【目的】浅側頭動脈‐中大脳動脈吻合術(STA-MCA bypass)は脳梗塞予 防のために行われている一般的な手術手技であるが,吻合部における動 脈瘤形成の報告は少ない.今回 STA-MCA bypass 術 15 年後に吻合部近傍 に動脈瘤が発生し,これに対して血管内治療を行った 1 例を経験したので, 文献的考察を加え報告する.【症例】76 歳男性.糖尿病,高血圧,腹膜透 析の既往があり,1997 年に脳梗塞を発症,右 STA-MCA bypass 術を施行 され,以後,軽度左片麻痺を後遺したが問題なく外来通院してた.経過 中の MRA にて右 STA-MCA bypass 吻合部の動脈瘤が指摘され増大傾向を 示しているため,2012 年脳血管撮影を施行すると動脈瘤サイズは 9.8 × 9.1 × 7.1mm で,ネック 6.5mm であり,分枝血管の温存が可能と判断し瘤 内塞栓術を施行した.現在も再開通なく経過している.【考察】浅側頭動 脈‐中大脳動脈吻合部動脈瘤はまれな合併症であり,これまで破裂例 6 例, 未破裂例 8 例が報告されている.治療法は様々で,clipping,coating, trapping,coaglation など行われていたが,血管内治療の報告はほとんどない. 治療の適応や方法など確立された治療法はなく症例ごとに検討し,アク セスルートや分枝血管温存の問題がなければ血管内治療でも根治可能と 考える.また動脈瘤の仮性,真性の判断も術前には困難であり,治療法 を術前に十分に検討する必要がある.

参照

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