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近海漁業資源増大への新しいアプローチ(マリーンランチング計画)第II期成果の概要

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(1)

近海漁業資源増大への新しいアプローチ(マリーンランチン

グ計画)第II期成果の概要

誌名

近海漁業資源増大への新しいアプローチ

著者

農林水産省農林水産技術会議事務局,

掲載ページ

p. 1-406

発行年月

1987年3月

農林水産省 農林水産技術会議事務局筑波事務所

(2)

近海漁業資源増大への新しいアプローチ

   (マリーンランチング計画)

     第II期成果の概要

    昭和62年(1987年)3月

(3)

は じ め に

 我が蟹は南からの暖流と北からの寒流に洗われるとともに,屈蘭に蜜んだ浅海。内湾域にも恵まれ, 周辺水域は多様な水産生物が豊富に生患している。我々は古くから水産物に親しみ,魚類から海藻に至 るまで多面的に海の幸を利用してきた。現在、我が圏の動物性蛋白質摂敬量の半分近くは水産物によっ てまかなわれており,食生活において水産物は極めて重要な位置を占めている。200海里漁業水域時代 の到来とともに,高度化,多様化する需要に応え,中・高級魚介類の安定的供給を図るためには生産性 の高い我が国周辺漁場(200海里内水域面積451万雌,世界第6位)の再開発が緊急の課題となってき ている。このため従来からの”とる漁業”に加え,入為的手段を講じて天然の海の生産力をより効率よ く利用しようとする“つくり育てる漁業”が強力に推進されるようになった。  このような背景の下で昭和55年度から9か年計函でマリーンランチング計翻が始められた。:本計麺は, 現在の資源培養技術をさらに高度に,スケールの大きいものにするための基盤研究として,騒公立試験 研究機関,大学,民閥企業等の研究能力を結集して実施している大型プロジェクト研究である・概に, サクラマス,クロマグロ,ヒラメ・カレイ等の重点研究対象魚介類の生態の解明と生残率鳶上を霞指し た第王期の研究(昭和55−57年度)及び生態特性に基づいた資源培養技術の実証的展開を屋指した第曇 期の研究(昭和58−60年度)を行い,多くの成果を・挙げている。  本報告書は,繁嚢期の研究成果を中心にとりまとめたものであり,水産に関係する広い分野の方々の 参考にしていただければ幸いである。

昭和62年3月

農林水産技術会議事務局長 畑 中 孝 晴

(4)

 マリーンランチング計画の概要 …・…… A。砂浜開発と海洋空間の立体利用        をめざして ………    砂浜域の環境勝性 ………    ポケットビーチ(入山入涯)の造成…    中。底層施設の設計 ……・・…………・ B.海鼠造林による魚介藻類の資源増大        をめざして・…    アラメ・カジメ類の海中林造成と       管理・一・    ホンダワラ類の海中林造成と管理…… C.イタヤガイ・アカガイの資源培養を       めざして……    イタヤガイの資源培養 ………    アカガイめ資源培養 ……… D.サクラマスの資源増大をめざして ……    サクラマスの種卵の安定生産 ………    スモルト生産 ………・一……・    幼稚魚の生活の実態 ………’”    未成魚,成魚の生活実態と資源の       現状……    実証実験によるスモルトの回帰 …… E.ヒラメ。カレイの資源培養をめざして…   稚歯魚の生活様式 ………   成育場の環境特性 ………   天然個体群の動態 ……… 1 11 12 22 33 45 47 67 101 101 116 137 138 1硅1 1荏7 149 154 163

166

ユ80 191    人工種苗の実験放流 …’………●『196 F.流れ藻によるマアジの資源培養を        めざして……… 2i1    流れ藻及びマアジ稚仔魚の分廊        動態……… 212    マアジの初期生活史における減耗…… 220    潮目周辺における鱈料生物相の        時空間的変化……… 222    人為的な流れ藻に対する稚魚の蝟       集反応……・・224    マアジ地方群の移動。交流の鯉明…… 232 G.クロマグロ海洋牧場化へのアプローチ… 241    太平洋クロマグロの資源加入実態と        圃遊パターン……… 244    親魚の養成と幼稚仔の飼育 …………262 H.魚介類の病害防止と健全種蕾の育成   275    サクラマスの感染症と病害防除 …… 276    クロマグロ幼稚魚の病害防除 ………289    イタヤガイの異常発死と病態生理…… 299       3111.魚介類の好適な環境づくりをめざして…   鱈料生物となる低次生産動植物の        増大……   環境清報の生物生産への利用 ………  Summary………・…・…一………… 用語解説 ……… 発表文献 ………・・…・……… 311 337

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377

(5)

マリーンランチング計画の概要

 200海里時代の幕開けと同時に,海洋牧場の構想は,水産行政や研究面の:重要課題として取りあげら 札実行に移された。行政施策としては,沿岸漁場整備開発事業の大規模増殖場や入工礁魚場造成事業, さらには海域総懸開発事業,沖合養殖が企爾され,事業として実施された。一方,技術開発の面におい ては,このマリーンランチング計画(「近海漁業資源の家魚化システムに関する総合研究」)が,海洋 牧場の技術関発研究として発足し,昭和55年度から63年度までの9か年,}B期にわたるプロジェクトと して進められている。 (1) 計画の内容  本研究は農林水産省農林水産技術会議事務局の大型別枠研究として発足し,その実施には水産関係の 国立試験研究機関,地方自治体の水産試験場,大学及び民間企業にわたる産・欝・学の研究能力(60年 度36機関)を結集している。  また,この研究では,海という大自然を対象として,従来の増養殖生産の枠を越えて海洋生態系の総 合的活用を図るために,来航の領域にも踏み込んでいくことが必要になっている。このため,水産麗係 のみならず,生物学,物理学,工学,その他の広範な領域の先端的な科学技術を駆使して進めている。  既に,第1期・第H期研究(55∼60年度)で累系予算22億円を投入し,数多くの成果を挙げており, 三蹟期研究(61∼63年度)では今までの成果を活かした複含型資源培養システムの研究に着手すること としている。  この研究プロジェクトは,5つの柱から構成され,各期の研究の内容は次の通りである。(表)

①第1期概究(昭和55∼57年度)

 水産生物の資源量は,発育初期における減耗に大きく左右される。第1期では重点研究対象種を中心 に,発育初期の生態解明を行うとともに,工学面から水の流れや底質を制御することによる対象生物の 生き残り率を高めるための研究を実施した。この際,生残率を向上させるのに必要な人聞の働きかけを, 発育期のどの時期に,またどの程度の海域の広がりに行えばよいかを見究めることに重点を置いた。  まだ,対象とする生物については,開発された技術がなるべく多くの種類に適用できるように配慮し, 生活型が類似した生物群をまとめ,それぞれの生活型を代表するような種を研究の対象にしている。  生活型と代表種は,  ○河川や河口に遡上して産卵を行うサクラマス  ○幼期を流れ藻の下で過ごすマアジ  ○広い海洋の表層を山遊するクロマグロ  ○回遊性の底生魚であるヒラメ・カレイ  ○定着性砂泥底生物群としてイタヤガイ・アカガイ  ○岩礁性大型多年草として,アラメ・カジメ・ホンダワラ である。 一1一一

(6)

ひQ i       表 「近海漁業資源の家島化システムの開発に関する総合研究」の研究体系 1.作目別生産管理技術(55∼58年度)       W.複合型資源培養技術系(58∼63年度) 罵.作録別闘病システム技術系(58∼60年獲) 1,優占種の作出による複合生産システム 河川汽水産卵型表申層性魚介類の カ残率「晦上(サクラマス) 岩礁生態系における複合生産システム iアラメ,カジメ) iDアワビ。ウニ・クロソイ・ニシン 岩礁生態系の環境容量の拡大に 謔骼糟ケ増大(アラメ,カジメ, zンダワラ) 流れ藻依存型表中層性魚介類の生 ci率向上(マアジ) 砂泥性二枚貝を中心とする複合生巌シ Xテム(イタヤガイ,アカガイ) ?バイ・ホ・キガイ 全生活史の総合的管理による資 ケ増大(イタヤガイ,アカガイ) 広域圓遊型表中鷹性魚介類の生残 ヲ陶上(クロマグロ) 回遊性底生魚介類の生残率向上 iヒラメ・カレイ) 河川沿岸産卵型魚介類の添加量 フ補強と管理を基軸とした資源 搗蛛iサクラマス) 圃帰性魚類を中心とする複合生産シス eム(サクラマス) ㏍Tケ 定着姓砂泥底生魚介類の生残率向 縺iイタヤガイ・アカガイ) 浅海域幼魚成育場の総合的管理 ノよる資源増大(ヒラメ,カレイ) 2.生物の生態特性を利用する複合生藤 @システム 砂浜性魚類を中心とする複合生産シス eム(ヒラメ,カレイ) iDマダイ・アワビ・ウエ 定着性岩礁性魚介藻類の環境容量 フ拡大(アラメ,カジメ,ホンダワラ) 沖合再生産場の適正管理による 糟ケ増大(マアジ) 歪}。 環境詰蔑1御技術系 ( 55 ∼57年度 ) 人工再生産過程の造成による添 諸aの強化と資源増大(クロマク切 生活圏藻場を中心とする複合生産シス eム(ホンダワラ) ?マアジ・ブリ ㊦叢たる複合対象生物種 水環境の制御と ヌ理技術 制御施設 フ建造・ {工技術 V. 支援技術系 ( 55∼60年度 ) 底環境の制御と ヌ理技術

病害防除技術

好適生活圏の拡大

(7)

② 第1期研究(昭和58∼60年度)  第1期研究において明らかとなった魚介類の生態特性に基づく資源培養技術について,実際の現場で 検討した。また,海水,海底といった魚介類にとっての成長・生活環境を最適に欄御する技術について も,その有効性を検討するとともに,制御施設の構造・施行技術についても研究を行った。さらに,支 援技術として,有用魚介類の食物摂餌等にとって好適な生活圏の拡大及びその維持管理に関する研究を 行った。

③第廼期研究(昭和畠∼65年度)

 自然の海の生産力を高度に活用するためには,単一の魚介類のみではなく,資源培養を目櫓す有用魚 介類を中心に,複数の魚介類を時間的。空聞的に組み合わせたシステムを開発する必要がある。  昭和61年度より開始する第厭期研究では,鯖韮期までに得られた作鶴別生産システム技術等の研究成 果を駆使し,実際の海域において,対象とする有用魚介類を中心に複数の魚介類を合理的かっ立体的に 培養し,海域の生産を総合的に高める複合資源培養システムの開発を目指すことにしている。

(8)

参  考

(年次計画) 1.作霞生物管理技術系 年 度 課    題

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1河川,汽水産卵型表 中層性魚介類の生残率 陶上(サクラマス) {D種苗の早期育成技 術 (2)好適系群の育成技 術 2流れ藻依存型表中層 姓魚介類の生残率向上 (マアジ) ω産卵生態と流れ藻 への蝟集機構の解明 (2疏れ藻からの離脱 機構と躍遊期の生態 解明 3広域圓遊型表中層性 魚介類の生残率向上 (クロマグロ) ω回遊実態の解明と 幼稚魚の計画養成 4圓遊性底生魚介類の 生残率向上(ヒラメ, カレイ) {1溌育場の選択過程 の解明 (2溌弓場における生 活様式の解明

一4一

(9)

年 度 課    題

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・rT認「

5定着姓砂泥底生魚介 類の生残率向上(イタ ヤガイ,アカガイ) (D大量発生機構の解 明 (2>感泣集団形成のた、 めの環境要因の把握 6岩礁生態系の環境容 量の拡大(有用海藻群 落) {D餌料海藻群落の保 護育成 (2拗稚仔育成海藻群 の育成 君.環境制御技術系 年       度 課    題

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1.水環境の制御と管埋 Z術の開発 @ほ砂浜流の制御 @(2疏動拡散の制御 Q底環境の制御と管理 Z術の開発 @q)生物環境の制御 R.制御施設の建造・施

H技術

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課    題 年       度

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ω漁場における標流 サ制御技術 i2漁場における制御 {設の設計法 盤.作目別生産システム技術系 年 度 課    題

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1河川,沿岸産卵型魚 介類の添加量の補強と 管理を基軸とした資源 増大(サクラマス) @{D大規模放流による 実i証実験 (2)モデル河川及び海 域における管理技術 2二念型再生産場の適 正管理による資源の増 大(マアジ) 〔1)マアジ幼稚魚の保 護管理技術 (2)モデル海域におけ る資源管理技術 3.陶工再生産過程の造 成による添加量の強化 と資源増大(クロマグロ)

一6一

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課    題 年 度

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q贋源加入実態の解 明と資源管理技術 4浅海域幼魚成育場の 総合的管理による資源 増大(ヒラメ・カレイ) ω実験放流による検 証 (2)モデル海域におけ る管理技術 5.全生活史の総合的管 理による資源増大 (イタヤガイ・アカガイ) 早j宝貝集団形成と種 苗の大量確保 (2)モデル海域におけ る管理技術 6.岩礁生態系の環境容 :量の拡大による資源増 大(有用海藻) {1餌料海藻群落の造 成と管理 (2)幼稚仔育成海藻群 落の造成と管理

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w.複合型資源培養技術系 年 度 課    題

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1優占種の作出による 複合システムの開発 ω岩礁生熊系におけ る複合生産システム (アラメ・カジメ) (2砂泥性二枚貝を中 心とする複合生産シ ステム (イタヤガイ・アカガイ) (3)回帰盤魚類を中心 とする複合生産シス テム(サクラマス) 2.生物の生態特性を利 費する複合生産システム q)砂浜性魚類を中心 とする複合生産シス テム(ヒラメ・カレイ) (2)生活圏藻場を中心 とする複合生産シス テム(ホンダワラ) 3.新しい漁業システム の組立て ω資源培養型漁業の 成立条件 (2)資源培養型漁業の 管理モデルの開発

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V.支援技術系 課    題 年       度:

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6王

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L病害防除技術 i1膜病感染種苗検査 @(2)補給種苗からの感 防除技術の確立 Q.好適生渚圏の拡大 早j生物生産基盤の強 サ(2)モニタリングシス @テムの開発

一9=

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ム 砂浜開発と海洋空間の立体利用をめざして

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研  究  担  当  者 チームリーダー 水産工学研究所 中村充(水産工学研究所)(58.4.1∼59.6.篠) 菅原輝男(水産工学研究所)(59.6.5∼61.3.31)        ⇒ 乃万俊文・武内智行・萩野静也・杜多哲・川俣茂・山本正昭・    b)     c) 俳藤勝一・中山哲巖・中泉轟光・間辺本文・安永義暢・日向野純也 小山武夫・鈴木誠治・神山保・上北征男・明田定満 a)現養殖研究所 b)現国土庁 。)現水産庁

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A.,砂浜開発と海洋空間の立体利用をめざして

(制御施設の建造・施工技術)

1. はじめに: …………・・…・…・………・・11 ■。砂浜域の環境特性 ……・…・………・……12  1.海中構造物による徳環流 ………12  2. 底質移動と離i岸:堤による瀞1御 …・…・・エ3  3.波浪流と浮遊幼生の分散 ………17 皿.ポケットビーチ(人工入江)の造成 …22  1. ポケットビーチの物質          分散掬止機能 …・…9・22  2. ポケットビーチ造成のための          呂毎中構造物  一・・・・… 噂・。 29 1V.中・畜産施設の設計 …・…………・・… 33  1.底層流の設計流速 ……… 33  2.中層浮施設に働らく流体カ………・・36 V.むすび ………・…・・…・…………・・42   弓1用文献  鱒・・騨・・い・・。・鴨・樋・。鱒鱒。・・。・…@鱒・ 43

1.はじめに

 我が困の沿岸・沖合水域の漁業を一層振興させる上で,海津線延長33,000キロメートルの約1/3を 占めその利用が著しく遅れている砂浜海域の開発を推進することと,大水深海域での海洋空際の積極的 利用を図ることは緊急かっ重要な課題である。  砂浜海域は,カレイ,ヒラメ等の底魚類やハマグリ等の二枚貝類,さらにはガザミやタコ等の甲殻類, 軟体類にとって産卵・幼稚仔の生育の場として或いは生息の場として:重要な環境であるにもかかわらず, 波や流れ,さらにこれらに:伴う漂砂の影響を強く受け,海底形状や底質の変化が激しいなど極めて不安 定な状態にあるため,砂浜海域の利用は著しく遅れている。しかしながら,青森県八戸港内に於けるホ ッキガイ,茨城県鹿島港漁港区に澄けるチョウセンハマグリ稚貝の大量発生の事例が示すように,波浪 や漂砂等を適切に制御し,水産生物にとってより婬適な環境条件を整えることにより,浅海砂浜域での 資源の増大と漁業生産の増大を回ることは十分可能であると考えられた。  そこで,第1期研究に澄いては主として砂浜海域の流動環境の麹握と底質遷御技術の基礎的研究を行 ない,第皿期研究に驚いては,突堤や離岸堤を組み合せて流動や底質を制御し,二放貫類の好適な環境 を造成すること,即ちポケットビーチ(人工入江)の造成に集約して研究を進めた。  自然金濠の中には両端が岩礁や岬で囲まれた比較的規模は小さいが安定した砂浜海面が存在して於り, これを一般にポケットビーチと呼んでいる。このような場を入工的に造成する工法の開発診よびポケッ トビーチのもつ物質分散の卸止や砂床鷹質の安定といった物理特性の多面的解明を目指した。  さて,海洋空聞の立体利用は浮魚礁や中・底層の採苗施設・養殖施設の形で一部実現しっっあるが, これらの施設はこれまでの経験による試行的な設計,製作の段階にあり,このため,流失などの事故が 多く,工学的安全設計が強く求められている。加えて,沖合養殖システムや中層浮基礎の開発などを今 後積極的に展開していく上で,これらの係留系,特に大水深域での流動波動下に澄ける係留系の設計

一11一

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技術を確立することは不可欠である。そこで作昌溺生産システム研究と関連のあるイタヤガイの中層採 苗施設を例としてとり上げ,波による振動形態や施設に作用する波力を解明しながら,振動が少なく, 耐波性のある一般的浮施設の設計法を開発することを翼指したものである。

正砂浜域の環境特性

 窪.海中構造物による循環流  海の生物は生長の過程で受ける大きな減耗を補償する意味もあってか極端な多産性である。生物の減 耗は卵から稚仔期に至る発生初期(これはまた同時に浮遊期でもあるが)に大規摸に起こり,そのため 初期減耗という言葉さえある。滅耗の原困は試論できない,補食される,また,流動によって不適当な 環境へ運ばれて死滅する等である。最後は原油への対策として,流れを制御して好適環境をつくるとと もに,浮遊幼生を好的環境に導き減耗を防ぐことが考えられる。  浅海砂浜域は,波・流れの作用により激しい拡散の場となっており,ここに発生した浮遊幼生は沖合 域や他の水域へ運ばれるのがむしろ当然のことと考えられる。これを敢えて運ばれないようにするには, 何らかの方法で幼生をとじ込めねばならない。単に四方を物理的に囲った場合,囲いの中の海水は淀み, 幼生の死滅が予測される。海水は流動していながらある範囲から外へは流高しない,例えば渦のような 機構が必要とされる。渦や循環流は沿岸流などの一般流からある程度独立しているため,浮遊幼生が沿岸 流によって運び表られることを防ぐことができるからである。このような特性をうまく利用し,外海に 麗した砂浜海域の二放貝などの転用水産生物の生産を安定化させるために,しばしば離岸潜堤や離岸堤 工法が採用されている。  離岸堤は海岸から沖側に離して,ほぼ汀線に平行に設けられた構造物で,元来,海岸に入射してくる 波を減衰させ,海岸付近の漂砂移動の制御や養浜工として古くから海岸工学関係で用いられてきた。        1)  図1は離岸堤周辺部の流れをシミュレーションした結集の∼例である。この計算モデルは大きく分け て海底地形,離岸堤等の構造物による波の変形(屈折,回折,浅水変形),論よびこれらの波によって 生ずる流れの計算モデルより構成される。流れを発生させる外力はラジエーション・ストレスの場所的 な変化である。  波運動による運動量を考えると一周期平均は零とならず,波の進行方向に運動量の流れが生じるQそ して波の進行によってこの運動量が変化すれば,この運動量の変化の割合に等しい力が発生する。この 力をラジエーション・ストレスといい,波の運動によって生ずる過剰運動量の流束と定義される。  図1は沖波波高1m,周期6秒の波が構造物に直角に入射した場合の流速分廊である。離岸堤背後の 砕波帯周辺に顕著な婚環流が認められる。この循環流の流速は沖波の周期が長くなる程,また波高が大 きくなる程増大する。  次に離罎雨受は潜堤上を波が通過するとき,砕波を起こさせ,波のエネルギーを岸に向う流れのエネ ルギーに変える。これと同時に潜堤背後の水位は上昇し,潜堤背後の水は潜堤と潜堤の間の水深の深い 藤から離岸流として流出し,平面的な循環流を発生させる。この時の循環流の強さは潜堤前後のラジエ        2) 一ション・ストレスで評価される。波による循環流のパタ∼ン模式図を図一2に示す。  一方,囲いの中に海水の流動を起こさせる方法もある。三:方を突堤や離岸堤等で囲い,沖側を開放し て,ここから波を入射させ,そのエネルギーで海水流動を起こさせようというものである。これらの構 造物を組み合せて作った地形は自然のポケットビーチに似ている所から人工ポケットビーチ(人工的面

一12一

(18)

江)工法と呼ぶ。この工法は浮遊幼生の分散を掬止する機能が離岸堤や離岸潜堤より大きいので,沿岸 流や漂砂の車越する海域でも安定した漁場を造成することができる。

蕪iiiiiiill耀

離岸堤

流遼分霧

長   さ

間  隔

設置水深

A ㌣  イ 《

1倉

360糧  薮高

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 Vεし6CITY o.口 窪.2 0.4 0.8 画零a Lo     矧/SEC 図1.離岸堤による循環流 Fig1. Wave−induced circulation ar幟d     the offshore breakw舞ter  ポケットビーチ内の流れや分散擁止については 盟一1で詳述するが,ポケットビーチ内を環流す る大きな徳環流が形成され,その流速は開口部纏 が大きい程,沖波周期が長い程,また波高が大き い穫流速が大きくなる0  2.底質移動と離岸堤による制御 (1)底質移動  深い水深に澄ける底質の移動限界擶流力は魚礁 や大水深海灘構造物などの洗掘や埋没を議論する 上で重要な要素である。そこで流況変動による底 質のふるい分けと従来の河川の移動限界掃流心公 式が大水深に適用できるかを検討した。  瀬戸内海廊刈瀬戸周辺の流速分布と底質分布の       3) 現地調査データを用いた。図3が50%の等粒径分 布図で,流れは東流は導流,西流はポテンシャル       一13一 こE≡ヨ  波

3

似ξら1

堤防 潜堤 非越流部 図2.離岸潜堤による循環流 F192. Wave−induced circu1&tion     arou捻d the offshore     subτnerged dyk:e

(19)

流と仮定し,限界摩擦速度は粒径のべキ乗に比例 すると仮定したモデルを作成した。そしてその係 数を種々変えてシミュレーションで粒径分布を作 成し,現地の粒径分布を最もよく再現する値を検 索したQその結果,現地の粒度分配をほぼ再現し ていると思われる場合を図4に示した。現地での 粒径0.5αηの分痛は瀬戸狭さく部より約3K篤粒 径α1侃は約5Kπの範囲までほぼ長円状に分布し ているが,シミュレーション結果はこれとほぼ一 致している。この時の限界摩擦速度U幹は粒径d =0.50寵の場合,U弊認9.OdO.婆瓢6.8㎝/s, 粒径0.1御zの時はU菅;7.OdO’5瓢2.2翻/徳であ った。岩垣の限界掃流力公式の場合は,粒径0.5 翻の時,U幹凝9.OdO’5ご=6.4(物/s,0.1伽の時 はU曽漏7.42dO’』2.3απ/sであり,ほとんど 一致した。その結果,従来の河絹で用いていた岩 壇公式が適用できることがわかったので,今度は     しむ

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とU仁πから講し綱一麟の時間の

違いによるバラつきである。後者の比較的確かな   4) 解釈から得られた分野と似たことは興味:深い。図 7はプ( 2一γ)をσとの関係でプロヅトしたも ので,びを一与えても大きく誤差がでる。このこと は海底摩擦係数は流速平均のみならず,底質や海 底地形の影響を受けているものと思われる。

Y

K細 3、 2. 1,       のま

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1、  2. 3.

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4. ら, 6.醐X 図4.粒径分布 Fig4 Distrib“tion of     particle size

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(20)

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 (2)離岸:堤による制御  1)離岸堤の機能  増養殖場造成のための消波堤には下記のような 種々の機能が要求される。  ①波浪の減殺効果 ②海水の流通性の維持 ③ 拡散の柳止(沿岸流・離丁丁の抑止語よび循環流 の発生) ④堆砂の促進あるいは麹止  これらの機能の中には制御の方向が相反するも のも含まれるが,①及び②が必須条件とすれば浅 海にみける消波堤の構造としてはブロック積透過 堤,穴あきケーソン堤,不透過式潜堤などが考え られる。このうち,海熊保全の分野で最も実績が あるプロヅク積透過堤 配置を考え,       6)  前回の移動床実験においては, f   海 底 摩 擦 係 数 )

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    図6.U央とUの関係

      (東京湾:鷲見栄一ら)     Fig6, Relati。R between U曽a箕d        U(Tokyo Bay:Eiichi        washim呈and others) .・・「ゴ 81 コ 、[

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一15一

(21)

水面上15侃,’P本約300㎝とし,一定の開口部を置いて一20㎝または一8㎝の深さに設置した。離岸堤 の配置形状に関する実験ケースは20種である。計測には計測台車十サーボ式連続砂面計,容量式波高計, 小型プロペラ流速計を用いて定点観測を行うと同時に,浮子により表面流を測定した。

無麟楽≒蟻÷懸1襲煮÷一暴門門》

      図8.離岸堤の実験ケースと配置形状       Fig8. Experi瓢ental cases and 1捌youts of offshore breakwaters.  ろ)実験結果と考禦  a 堤内の波高滅殺効果:堤内の平均波高は開口部通過波と堤体透過波のエネルギーの合成から求ま るが,その際,開口部の洗掘を考慮する必要がある。  b 拡散の抑止効果:①離岸堤を設けた塵後の直線的海岸では蛇行する現象は見られるが,不透過式 堤体で発生するような循環流は認め難い。その後トンボロの発達により沿岸流の流速は弱められ,かつ, 循環流が発生する。

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         2蒔閥後       11晴閻後        図9.浮子流藁薦(海底勾配1/30,堤水深8απ)        Fig9・ Traee Gf floater (boむ七〇撤sIope:箕//30, setも圭ng dep七h       of break㌧va七ers:一8(wz)  ②開口部前方に設置した醐堤(ケースN,Q, L)は波高を減衰させ,離岸流・沿岸流速を抑える効 果があった。また,不透過の予冷(ケースR,M, P)や不透過斜め堤(ケースT)は沿岸流速の抑止 効果が大きい。  ③砕波三内よりも砕波回外に離岸堤を設けた場合が波による拡散は小さい。  c 堤内地形の変化:①侵食堆積の中間領域に属する海底勾配1/30では堤内の砂の増減はなかった。 砕波野外に離岸堤を設けた場合はトンボロ現象が発生し難いが,砕波帯内では離岸堤背後にトンボロが付 きやすい。特に,開口幅比が1/3∼玉/2の場合に顕著であった。しかし,その発達速度は不透過堤に比 べると遅い。        一16一

(22)

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      図10.染料の拡散(海底勾配ユ/30,堤水深8翻)       Fi審10, Diffusion of dyes tracer(bottom slope:ゾ30,        se甑ng depth of bre翫kwaters:一8αη)  ②ゾ10画面で砂補給を絶てば,堤内の砂は堤外へ流失する。堤内堆砂量の減少からのみ離岸堤の侵 食防止効果を順位ずけするならば,堤内波高の減殺効果と良く一致している。即ち,開口蟷が小さいほ ど有効であること,副堤は有効に働くが,墨型の縦堤はほとんど効果がないことがわかった。∼方,堤 内流速と堤内堆砂量の関係は波高ほど贋確でなかった。  5.波面流と淫遊幼生の分散  開放性の砂浜海岸に澄ける水産生物には二枚貝,ヒラメ・カレイ類など産業と重要な種類があるが, その初期成長期を砕波帯ないしその近辺で過ごすことが知られている。しかしながら,砕波帯を中心と        7) する各種幼生類の分布機構に:ついては不明な点が多く調査例に乏しい。  本研究では砂浜性二枚員の浮遊幼生を主要穀象種として,波浪流による分散,集積現象を現場調査と 水槽実験の両面から明らかにし,ひいては環境制御システムに基ずく砂浜域での増殖技術の開発に資す ることを目的とする。  (の 砕波帯における浮遊幼生の分布について

 つ調査方法

 図11に示すように鹿島灘波崎地区の波崎新港薦側堤防から北方約2㎞,水深10τnまでを調査水域に設 定した。同水域はチョウセンハマグリ,コタマガイ,ウバガイなどの砂浜性二放貝の漁場で庭質は細砂 を中心とする勾配1/100∼ゾ三50程度の遠浅の海岸である。 主要な講登項器と結果は以下の通りであ った。

 ①流向・流速の測定

 水産工学研究所漁場水理研究室の協力を得,フラット型もしくは直立型の電磁流速計を用い,流向・ 流速を測定した。測定点は麟11に示すよう.に,波崎新港西側堤防の影響を受けることが想定されるC瓦 E点ほか,1回の調登につき1∼3点とした。  同測定と並行し,プラスチヅクボール,於よびウラニン色素を用いた拡散状況の観測を行った。プラ スチックボールについては追跡船の位置をトランシットで読みとる方法により,また,色素については 予め設定した測線上を曳航したバリオセンスで検出する方法によった。

一17一

(23)

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波 緬 薪 港 〔 建設途上蒋  〉 3:1蹴1、鵬’ノlll畠瓢∵,?,∵1;き 薪:乳㍑1㍑棚:   図U.調査対象水域概略と流速計設置点.1圃目A∼C:昭和57年8月.2國目D:同10月.      3[面目E∼F:巳召和60年9月.   Fig11. 孚he researeh area and the measuri簸g poia七s of curren七veloci七y. The first       research:A∼C,August 1982.       The seco漁d rese鍵eh:D,October 1982. Theもhird research:E∼F,Sepもember 1985.  ②幼生の分布量と流況の関係  北原式の表面プランクトンネット,もしくは定量プランクトンネットの水平曳,垂直曳確より,調査 水域内の浮遊生物の定量採集を試みた。採集にあたっては水深2m前後までは用船により,同水深以浅 では徒歩人力によった。また,游水量は淵水計で補正し,採集位置はトランシットで読みとったQ  2)調査結果および考察  ① 流麟・流速の測定  図12に調登3圓分,C∼E点の測定結果例を示す。三,、3圃鋸は20∼30αη程度の波高で比較的穏かな 海況下にあり,各測点とも平均流速は5∼10α〆sが60%以上を占めた。ただし,流向の変動状況は測点 間で異なり,王回自の場合,図13の累進ベクトルに示されるように,概ねA点は爾東向,B点は西向で あるのに対し,C点は測定初期から終了までの間北向から南西向まで大きく変化している。  2回目は波高が1m前後とやや高く,波浪の周期に呼応すると見られる80∼120α7;/sの流速が観測さ れたQ  俵た,図14は2圓目の流況下に於けるプラスチヅクボールの移動と色素の拡散状況,澄よび流速の累 進ベクトルを示すが,ボール,色素ともほぼ波浪流にしたがって南西方向を中心に移動,拡散していく 様子が窺われる。

一18一

(24)

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  o    π     24    }δ    鴫。    鱒     刀     自・    05    mO    I20    15z    口辱    b5    塾bO    l齢 6εじ彦       図12.調査水域に澄ける各点の流速ベクトルの一部を示す。       F隻g12. Aρarも of data of current velocity vector in each measuring        point.

 ②幼生の分布

 図15は1回目の流況下に診ける100m曳網あたりのプランクトン沈澱量を示す。  同採集では堤防に対し平行方向訟よび垂盧方向に定距離曳網し,両者の平均値で各ブロックの沈澱量 を表したため,分課の概要を把握するにとど濠るが,堤防から300∼400m,水深3∼5mに大きい値 が見られている。このとき,採集水域の流況は図13にしたがうと,sもAに相当する調査水域沖合から堤: 防に斜めに当った流れが堤防で屈曲し,stcからstBにかけ複雑な流況変動が生起している。両測点か ら沖合にかけての水域にどの程度渦流効果,滞水効果が生じているかはな訟検討を要するが,たとえば, 図13でプラスチヅクボール4個が姥較的まとったまま緩速度で移動した点は一定程度同状態を反映し, 図王5に示されたような浮遊生物の濃度増大をもたらしているとも解釈されよう。  また,図16は昭和60年9月5日に実施した垂直曳きによる二枚貝幼生の分布:量と流速累進ベクトルを 示す。二枚貝幼生は沖合部の水深7m線帯,齢よび堤防側水域の水深1.5m前後の2点で2.0∼3.0個/4 を中心とする若干高い値が出現したものの顕著な集積傾向は見られていない。ただし,堤防の影響 が乏しいとみなし得る水深7m帯を除けば堤防側水域と対照水域を比較した場合,前者が平均136個/4, 後者が0.78個/6となり,明らかに前者が大きい。これに対し,流速の平均値は前者で2.0α〆s, 後者で9.0磁/sと逆に前者が小さい。 したがって,マクロな比較においては堤:防側水域の静穏度が高 く,水深1.5m前後を中心として幼生の集積効集をある程度生ぜしめていることが推察される。

一19一

(25)

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 つ実験方法

 実験材料には入工採卵したチョウセンハマグリD状幼生を用い図17に示したようにプランジャー式造 波機を備えた波浪環境水路(長さ18,5m,幅0,6m,深さ1m)の水路綴測部右辺より幼生を投入,中央 部語よび左辺部からサイフォンにより経時的に30分後まで採水した。幼生の投入は造波機を作動後,波 が定常状態となってから行い,採水層は底面から10,30,50戯とした。次いで,採取した海水100認中 の幼生数を実体顕微鏡下で計数した。また1辺30伽の角柱型摸型を中央部よりやや投入点よりに設置し て上記と同様の実験を行ったQなお,移送実験終了後,容量式波高計を用いて実験波高を,俵た,饅祝 により周期,波長を測定した。模型を設置した場合は構造物を中心とした水路内各点の流速を超音波式 三次元流速計により測定したQ  2)実験結集および考察  図18に構造物を設置しない場合の採集結乗を示す。8m採集点では最初に10分後,下層で採集された が12分後には上,中層から採集され,以後の採集個体数は上,中,下層間で大きな差が見られなかった。 このことから浮遊幼生の移送速度は底層で1.330〆sと計算された。  一方,波高計による波濃諸元の測定結果は入射波高11.68αη,反射波高1.96㎝,周期1.78s,波長355

一20一

(26)

投入点

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散係数あるいは生長畔う上口,遊泳能力の測態どが轍の課題として残さ批。

㈲まとめ

 実際の海域下で波浪流と幼生類の挙動との関係を定量的に把握するには流況の面的観測澄よび幼生の 定量的採集がネックとなって勘り,本研究に澄いても十分な解析結果を得るには至っていない。しかし ながら,ブラックボックスとして扱われてきた砕波帯を中心とする幼生類の分廊機構の解明を目的とし た本研究の実施は今後の砂浜域に訟ける同種の調査実施と方法の改善による精度向上の可能性を示唆し

一21一

(27)

符たと考える。  また,水槽実験を通じて縛られた幼生の移送と 波浪流との関連性について,実験事例の積み重ね により,な澄高い精度で説明が可能となれば実際 の海域に診ける流動環境の制御による幼生の集積 促進,拡散防止技術の開発に資すること大であろ う。困に,本調査水域内に存在する堤防は近傍水 面に特異的な流況変動を生ぜしめ,同変動がさら に幼生類の分布に影響をもたらすことが示唆され ている。今後はシミュレーション手法も合わせ, 各種構造物の存在によって生ずる流動環境の特異 性と幼生類の分布に関する定量的調査の実施によ って,幼生類の集積,沈着,育成促進効果をもた らし得る環境改変技術のための基礎資料を求める ことが必要であろう◎

彪_/_螂

皿.ボケツトビーチ(人工入江)の造成

{。ポケットビーチの物質分敵抑止機能       図15プランクトンのブロック別沈澱量

(1)目的      Fig15. Density・f pla撮(t・n as sedim瞬s

外海に面した砂浜漁場は波や流れ,さらにそれ       in each samphng block.

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(28)

らに伴う漂砂移動が激しい海域である。そのためこの海域はこ枚貝などの浮遊幼生の分散が大であった り,稚貝の着底環境が不安定であり,生物の生息環境としては厳しい場となっている。これまで開放性 の砂浜漁場を二四貝などの安定した増殖場にしょうといろいろな工法が試みられてきた。それらの工法 の一つは突堤,離岸堤である。それらの工法は構造物によって波を静穏にしたり,循環流を形成させる ことにより,稚貝の打上げ防止や浮遊幼生の集積,分散寸止をねらったものである。 注人 卜一一8m 血ヒ          「Eamρ勧9.ト4加一擁.ρo副ng ‡ ・.,_.〆    一曹・・噛・‘r@  rρ C.., e・∫∫;三瀬 9畠.層 d、、 ナイホン式採水管 慮匿 、− 轡三 50Cm R〔}c匝 P〔lcm

   I

@   i @   } k:w幽 , 「僻・「:.. 1 レ l    l 媛次ビン 図17, 幼生の移送実験に用いた水槽論よび幼生の採集方法略図 Fig17. The equlpmeat for transportaもion experiment of larvae and     s&mpling method Qf larvae. ε20 ミ § ≦1G 三 菱 賃 _騨鯨映YεR.ヒ層 一一一一 tmDLE LAYER中鷹1 ___ オOWER しAYER   ㎝ド層 !0       20  丁Σ門E  ( 旧in ) 3e = ミ10 §   5 ≦ 葺 菱・o 語 0 2 0 」 畠則採集点 一UPPER LAY鰍 上層 一一… 曹P眼ELAYER中層 一・一顧@しO耀ER しAYEa  …F層 8屠採鷹憲  A       /9、 ,パ_モ 0 三〇      20  τ猟E (旧1臼) 30 図18.模型非設置時の幼生の採集個体数    経時変化 Fig18 The re韮ation beもween sampling     time and captured湘mber of     larvae in cεしse of no seもt主ng of     the mode 1. 図19.模型設置時の幼生の採集個体数経時変化 Fig 19.孚he relaもion beむween sampli没9     も宝me and eapもured nu鵜ber of larvae     in case of setting of the狙odel. 一一

Q3一

(29)

      5        4,5        4        3.5       3        2.5          Dis象ance ξrom象hepouringρoint (m} 十 一一一}+詞h 十  →・ 峠 中 ゆ 申 } 州 一 串 + 響 十 申   中  申  } 亨 申 応   申   一   噛   甲    噛     9 L }   伊   揃   { ve,ticai垂痘方向  ↓  十一員。rlz。ntaI

20c剛s水平方向

図20.模型設置時の流速分布 Fig20. Distributio獄of currenもvelocity in the捻nk in ease of     setting of塩e modeL しかし沿岸流や漂砂の卓越する漁場では必ずしも安定した漁場を造成することができない場合もある。 そこで考え出されたのが突堤や離岸堤を組み合せたポケットビーチ(自然海岸において,ポケットビー チと呼ばれる地形は,砂浜の規模が比較的少さく,その両端が岩礁などの岬によって囲まれた海罎を言 うが,以下では地形的に類似な入園的入江をこのように呼ぶ)工法である。このヒント.になったのは北 海道浜中や琵琶馬面などのボケソト状地形がしばしば有用二放貝の好適漁場を形成していることや八戸 港や鹿島港などの港湾内でホッキやチョウセンハマグリ稚貝の高密度分字域が形成されることである。 ポケットビーチ工法による漁場形成機構としては次のようなことが考えられる。  ①浮遊幼稚仔が他の海域へ流出するのをある程度抑止する(輸送,拡散抑止効果)。②底質粒度組成 に多様化が生じ,粗砂,細砂,砂泥区の官途により稚貝のすみ別け場が形成される。(心底場,育成 場造成)③波がある程度静穏になる。(稚貝の打ち上げ防止作用,制砂効果)④波による循環流が発生 し,水魂が淀むことがない。⑤波の質量輸送により沖側の浮遊幼生をビーチ内にもちこむ。(集積作用)

 ポケットビーチの概念図を図21に示す。こ

磐瑛鷲膿::熱議救鍵   ノ波麟.

その流動による物質分散抑止機能を水理実験,

数値シミュレーションおよび現地調査により

男籍責艦凸凹門門繍 ノ・   ロ

形を人工的に造成するための基礎的知見を得

ることを囹的とした。  (2)研究の方法  海底匂配ソ1GOの砂浜海域固定床に幅5.4m,

汀線からの長さ3,6m,開口部纏1,2mのボケ

ソトビーチ状地形模型,(現地換算縮尺主を        ユoo 想定)を作った。この模型に波高王,3伽,周期α6,

一24一

図21。ボケツトビーチ概念図 F主921,Schema嫉。 represe頁tatio獄of     artif主cial pocket−beach

(30)

1.0秒の波をあて,さ、らに汀線に平行に沿岸流などを想定した流速約3α〆sの一般流を与えた場合と与 えない場合の実験を行った。そしてポケットビーチ内外の波高分布,流速分布澄よび染料濃度の時間的 変化などを測定することにより浮遊物質の分散特性を明らかにした。流速測定は二次元超音波導流庵流 速計を用いた。また波高の測定は容量式波高計を用いた。染料濃度測定は最初に開爾部を仕切板で仕切 り,ボケツトビーチ内をウラニン溶液で一定濃度にした後,仕切板を外し,それと同時に測定を開始し た。測定には光電比色式濃度計を用いた。  さらに物質分散抑止効果を求める数理シミュレーション手法の開発を行い,浮遊幼生を想定した粒子 を分散モデル上で流した数値計算を行い,水理実験と比較した◎  人工ポケットビーチ状地形として茨城県平磯漁港を選定し,波,流れ澄よび染料,プラスチックボー ルによる海水交換特性把握のための現地調奮を行った。

㈲研究成果

 実験結果の一例として沿馬流のある場に開[コ部幡1,2mのポケットビーチ(開口部水深6翻)を設

置し塒の流速ベクトル及び転記を図22に示す8)この欧鰍矢印は流速ベクトルを礼点線は

      10) 波高分布を示す。またこれらのケースの染料の階間的濃度変化を図23に示す。図の縦軸は測定濃度を初 期濃度で無次元化した値で,横軸は時間経過を示している。敵中のSt番号は図22のSt番号に対応し ている。 沿翁 岸⇒} 流砲 /f一・ンノー・一_一   ,’一、 St 3  ノ      ゆゆり  ヒゲユゆむ ノ

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  ポケットビーチ(開口幅 1狐)ポケットビーチ(開口輻 2m)

       図22.実験結果(流速ベクトルと狂蕩分布;入射波高3碗)        Fig22, Current vectors and w駄ve he玉ght  これらの図よりボケツトビーチ内を環流する安定した大きな流れが形成されており,その流速は開口 部幅2mの方が開口部幅1mの場合(流速約2吻/s)に比べ約2倍の流速になっていることが判る。こ れは開口部纏lmの場合にはビーチ内の広い範躍で波が遮へいされているのに篤し,開日部幅2mの場 合,離岸堤の後方のみが波高が小さくなって繋り,前者に比べ波高が大きく,かっ波高の距離変化率が 大きいためである。  次に染料濃度の時悶的変化について述べる。ポケットビーチ内の染料濃度は時間的に暫滅して澄り,

一25一

(31)

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      7:匠{終1N】      了瓶粥漏       図23.染料濃度の時間的変化       Fig23. Time change of dye conceRtration そのてい減速度は開口部に近いほど大きい。これはビーチ内の高濃度水が外から入ってきた低濃度水と 混合したためである。そこでこれを完全混合と仮定して,ポケットビーチ内の染料濃度が時間の経過に 伴って次式で示される式で減少するとする。

      二_ゼα・         ____(、)

       C◎  ここにC;経過時間tの濃度,Co;初期濃度, t;経過時間, e;慮然対数の底  いまポケットビーチ内の染料の平均滞流時間を孚とし,濃度が元の濃農のソeになるに要する時間で 定義すればT=レαで表わされる。このαはボケツトビーチ内外の海水交換を表わす指標で交換速度 係数と呼ばれているQ  染料濃度のてい減状態から海水交換速度係数を推定すると,開口部幡王mの場合,ビーチ奥部で約 0.01∼0.015/分,開口部周辺で0.02∼0.03/分であったQこれに対して開口部幅2mの場合,ビーチ奥 部で0.O15∼α025/分,開口部周辺ではほぼ開潤部幅lmと同じであった。  同様にして沿岸流のない場合の離岸堤(実験ケース5∼20)およびボケツトビーチの交換速度係数を 図2繧に示す。これにより開口部編が狭い程,また離岸堤よりボケツトビーチの方が交換速度係数が小さ いことがわかるQさらに実験ケース37∼42に示すように開口部に導:流堤をっけさらにその取付角度を変 ることによって,交換速度係数を小さくすることができる。以上より,ポケットビーチ状地形は浮遊物 質の輸送拡散抑止効果があると推定できる。な語徳環流のパターンはどのケースもほぼ嗣じであるが, その流速は沖波周期が長い程,また沖波波高が大きい程大きくなる◎  次に水理実験で得られた水理特性を補完するために,離岸堤後方およびポケットビーチ内に一様に分 布させた粒子がどのように分散していくかを数値計算した。その結果を図25,26に示す。これらの流速 分布は水理実験で得られた結集とほぼ問じであった。ポケットビーチの場合の粒子は奥部砕波帯周辺部 に集積し,離岸堤の場含,粒子は奥部砕波帯内櫃環流部と離岸堤周辺部に二重に分散集積することがわ かった。

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(32)

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  実験ケースNO

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謙iツ

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        継分布       .粒子の颪

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参照

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