していないため,十分な分析はされていないが姥較的高い値が予測されている。また人為的に資源培 養を図る場合,スモルト化幼魚の春放流の外に秋の終り(1i月〜12月初め)にスモルトサイズ(10 g前 後)に達した幼魚を河川に放流し,自然環境下で越冬・スモルト化させるという,スモルト生産過程の 一部を自然環境を利用して行う方法も極めて有効であることが実証された。また春季に放流された池産 系1+スモルトの回帰が実証され,それら副輪の厳が天然魚と比べても全く遜色がなく,池産系種 卵が資源培養用スモルトの生産に十分活絹出来ることが明らかとなった。更に,淡水生活期を短縮した 0十スモルトの秋放流群は今の所回帰は認められていないが,春放流群の1尾の翻帰が確認されたこと や,岩手県での実証例から(第更一4参照),0十スモルト放流も十分有効であると考えられる。
従って今後の放流技術の開発のための研究展開方向については立地条件や社会経済環境を十分勘案し たスモルトの合理的,効率的生産体制の確立と健康な種酬生の高いスモルトの量的生産技術の確立が:重 要と考えられるとともに,それらの能率的,効率的推進を支える基礎研究の充実が期待される。
(執筆老:小林哲夫)
引 用 文 献
1)サクラマス研究グループ(1984):サクラマス資源増大をめざして,近海漁業資源増大への新し いアプローチ,第1期成果の概要,農林水産技術会議,1〜33.
2)広井修(1985):性成熟に及ぼす各種ホルモンの効果, マリーンランチング計画昭和59年度研究 報告,農林水産技術会議,24〜25.
3)広井 修(1986)1性成熟に及ぼす各種ホルモンの効果,マリーンランチング計画昭和60年度概究 報告,農林水産技術会議,22〜23.
4)広井 修(1984):サクラマス親魚の養成技術,マリーンランチング計画プログレスレポート,サ クラマス(4),さけますふ化場,120〜128.
5)野村哲一・真山絃・大熊一正(1985):サクラマスに関する生理学的研究一醒,種々の生活期にお けるサクラマスの脂質含量の変化,同上誌(5),10〜2亀
6)吉田文一・笠原恵介・藤原健(1986):海水飼育によるサクラマス親魚の育成一1985年の飼育結 果,i司上誌(6).
7)山崎文雄・馬海飛(1985):スモルト化に伴う内分泌瞭の変化一サクラマスとカラフトマスとの交 雑F蒙のスモルトの発現と内分泌腺,同上誌(5),55〜66。
8)山崎文雄(1986):人工スモルトの促進機構の解明。組織生理学的および遣伝学的検討,同上誌
(6).
9)佐藤良三・福田讐三・陶久津梅二(1985):サクラマス0年魚スモルトにおける変動,同上誌(5),
1〜9.
10)今野哲・陶部幸・高橋進(1984):光及び水温調節によるスモルト生産,同上誌(4),20〜30.
11)今野哲・阿部幸・高橋進(1985):光及び水温三二によるスモルト生産,同上誌(5),23〜3位 12)今野哲・阿部幸・高橋進(1986):光及び水温調節によるスモルト生産,同上誌(6).
13)長内稔(1984):スモルト作出時期のコントロール,マリー・ンランチング計画昭和58年度研究報告 書,農林水産技術会議,74〜75.
14)喜多正広・斉藤譲二・泉孝行(1986):スモルト作出時期のコントロール,L池灌サクラマス0÷
一160一一
スモルトの標識放流試験,マリーンランチング讃画昭和60年度委託事業報告書,1〜軌
15)三三パ小島博・黒川忠英(1986):池中継代鵬サクラマス〇+スモルトの放流櫛特性,マ
リーンランチング計画プログレスレポート,サクラマス(6),さけますふ化場。16)真山絃・野村哲一・大熊一正(玉984):サクラマスのスモルト化幼魚の標識放流試験一ig83年に おける[馨帰,同上誌(4),109〜119.、
17)真由絃・野村哲一・大熊一歪(1985):サクラマスのスモルト化幼魚の標識放流試験一1984年に おける回帰,同上誌(5),109〜120
18)真山絃・野村哲一・大熊一正(1986):サクラマスのスモルト化幼魚の標識放流試験一1985年に おける回帰,同上誌(6)。
19)金沢広重・原子保(1985):雌i姓化によるスモルトの生産率の向上,同上誌(5),31〜35 20)金沢広重源子保(1986):雌イヒによるスモルトの生産率の向上・同上誌(6).
2の村井武四・尾形博(1986):スモルト化に及ぼす飼料条件,マリーンランチング謙趨昭湘6(庫度研 究報告書,農林水産技術会議,32〜33.
22)尾形博・村井武四(1986):サクラマススモルトの栄養学的特姓,,マリーンランチング計画プログ レス・レポート,サクラマス(6),さけますふ弓場.
23)支援技術系・病害防除グループ(1984):サクラマスの感染症の診断と山回防除,マリーンランチ ング計癒プログレスレ・ポート,病害防除技術,養殖研究所,3〜103.
24)木瞥克裕(1984):宮城県沿岸におけるサクラマス幼魚に関する知見.マリーンランチング計画プ ログレスレポート,サクラマス(4),さけ一まずふ弓場,93〜104
25)木曽克裕・竹内勇G985):1983隼の宮城県沿岸におけるサクラマス幼魚の食物組成,同上誌(5},
101〜108
26)木曽裕(1986):宮城県沿岸におけるサクラマスの生物学的情報,岡上誌(6)..
27)支倉理(ユ984):岩手県沿岸におけるサクラマスの漁業実態と生物学特性,、同上誌(4),85〜9之 28)宮沢公明・支倉理・木村礼司(1985):岩手県沿岸におけるサクラマスの生態的特性,同上誌(5),
86〜100
29)宮沢公明・支倉理・大村礼司(1986):岩手県沿岸におけるサクラマスの漁業の実態と生物学鱒性,
同上誌(6)層
D
3Q)佐々木文雄・大宅伊佐人・小林喬(1985):母本海北都海域におけるサクラマスの生態的塒性,同 上誌(5),67〜84.
31)佐々木文雄・大宅伊佐人・小林醤(1986):B本海北部海域におけるサクラマスの生態的特性,同 上誌(6).
32)待鳥精治(1981):サクラマスの生活史と沖合分布,サケマス調査研究資料,水産庁遠洋水産研究
所.
33)中山信之・丸山秀佳・大槻知寛・宇藤均・姦月i好見(1983):秋ざけ魚群分布行動調査,昭和57年 度箏業報告書,北海道立網走水産試験場,72〜82.
34)加藤史彦・長谷川誠三(1986):日本海系サクラマスの資源診断,マリーンランチング誹画プログ レス・レポート,サクラマス(6),さけ目すふ山場.
35)岡崎登志夫(ig86):サクラマス河川集団の遺伝的変異と集団構造,同上誌(6).
一161一
36)土田一夫・佐藤真彦・岡良隆(1986):スモルトの母川記銘の機構,嗅覚神経系の構造と機能,同 上誌(6).
37)岩手撃漁業振興課(1986):サクラマス標識魚の圃帰状況について(資料;未発表).
一162一一
E。ヒラメ・カレイの資源培養をめざして
(浅海域幼魚成育場の総合的管理による資源増大)
チームリーター
サブリーダー
研 究 担 当 者
服織激繭駆纏蹴所)(,。、.1一,。。、6)
尾形観補繭区水翻獅)(齢、6一,。。、6)
蕩橋善弥(南顯海区水産研究所)(60.8.16〜)
本縣銀西駆水翻究所)(57.、.1一,。1.、6)
畔旺戯繭区纏磯所)(,。1.16一,。。,)
加藤史彦(西海区水産研究所)(60.4.1〜)
南西海区水産研究所 西海区水産研究所
西海区水産研究所下関支所 日本海区水産研究所 新潟県水産試験場 新潟県栽培漁業センター 京都大学農学部
長晦大学教膏学部 長崎大学水産学部
伊東弘。山目義昭。国行一正・正木康昭・東海正 e)
d)
照中克・中嶋純子・木元克則・畔田正格・池本麗子・首藤宏幸・
森騰泰啓・鬼頭鉤・加藤史彦 f)
花渕信夫。小鵯喜久雄・大森蓮夫。花渕靖子・土門隆・木下貴裕 輿石裕一・田中邦三・野口昌之。広認祐一
柿元晧銑加藤和紀r)
板野英彬・平山和博 田中克
東幹夫 松宮義膜
a)現東北区水産研究飯 b)現啓蒙海区水産研究所
。)現東海区水産研究所 d)現水産庁研究部 e)現京都大学農学部 f)現東北大学農学部
9)現瓢潟県栽培漁業センター
E。ヒラメ・カレイの資源培養をめざして
(浅海域幼魚成育場の総合的管理による資源増大)
1.はじめに …………・・……・……… 163 高恩仔魚の生活様式 ………・・…・……166 1.浮遊期紙魚の分布………・・…・… 166 2.浮遊期仔魚の巳齢の推定 ……… 169 3.浮遊期仔魚の摂解 ……… … 171 4.底生生魚期稚魚の分布 ……… 173 5.底i生生活期稚魚の成長 ……… 176 6.底生生活期稚魚の摂露 ………178 猫.成育場の環境特性 ……… 180 L 浮遊期隠魚の餌料環境 ……… 182 2.厳島生漉期稚魚の餌料環境 ………… 184 3,稚魚生患場の底環境 ……… 189 1V.天然個体群の動態 ………・ … …… 191
1.浮遊仔魚量および着底稚魚量:の
年変動 ・・・・・・・… 一一・… 一・・… 。・・… 。・・。・… 191
2.幼魚9成魚の分布 ………191 3. ヒラメ漁業の実態 ………192 4.ヒラメの資源特性 …………一……・…195 V.入工種苗の実験放流 …・…・…………・…196 1.放流後の分散 ………一・……一197 2.放流後の摂餌と成長 ………200 3.放流魚の馴化過程 ………201 4.効果:的放流方法の検討 ………204 V1.むすび ………・一……・204 引用文献 ………・・………・…206
1.はじめに
ヒラメ[Pαγα 廊麓算・伽α偲雄(伽痂π・ん86s・ん孟・9・の〕は,サハリン沿津から南シナ海にかけ て分有し,わが国沿岸では北海道から九州まで広い範囲にわたって沿岸漁業の重要な対象となっている。
ここ34年闇におけるヒラメの漁獲量は6,200から11,200トンと比較的変動は少ないが,近年は7,000ト ン前後でやや滅少の傾向にある。海区別漁獲量では,東シナ海区,日本海北区・西区,太平洋北区が多
く,県別漁獲量(昭和59年)では,福岡の894トンを最高に以下長崎,北海道,青森,薪潟,島根,愛 媛,秋田,石川の順となっている。漁法は底曳網。定謬網。購網。延縄。一本釣り・曳縄釣りなどがあり,
主として来成魚は底曳網,成魚は潮網・釣りによる漁獲が多い。沿岸漁業資源の中にあって,ヒラメは 強い魚食性,速い成長,高い経済性といった点で共通しているが,その漁獲量はマダイのほぼ半分であ
る。
1,2)
艶本近海のヒラメについては,日本海側に5系統群,太平洋{貝1に2系統群が知られているが,標識放 流調査からは地先型と広域圓遊型の存在が示唆されており,漁獲対象群の明確な区分はなされていない のが現状である。これらの系統群の間では産卵期。成長などにかなりの差異がみられる。
ヒラメの雄は3歳,雌iは4歳で成熟する。産卵期は繭で早く,北で遅い傾向があり,最も早い熊本
(1〜2,月)と遅い岩手(6〜8月)との間には約半年の差がある。産卵期間はおよそ2ケ月(長くて 4ケ月)で,沖合いに分布していた親魚は,水深80m三三の沿岸に移動して産卵を行う。1回の放卵数は 3)
50〜60万粒で,最終的には1尾の雌からは650〜3,600万粒の卵が産み出される。卵は1〜2懸でふ化 し仔魚となり約1ケ月の浮遊生活をおくり,その後半に変態した後,全長15㎜前後で極沿毒域に着底す