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nl2007 2 最近の更新履歴 北海道都市地域学会

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Academic year: 2018

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  第 31 回北海道都市問題会議報告

31回北海道都市問題会議は、1025・26日に岩見沢市で北海道市長会、北海道都市地域学会 の共催により開催した。道内各地の市町村長や市町村議会議員、地域住民、大学関係者、自治体職員ら 約150人が参加した。講演や市内の施設見学、パネルディスカッションなどが実施し、まちづくりの 在り方について発表・討論を行った。

 講演に先立ち、主催者を代表して渡辺孝一岩見沢市長が「〝市民主体のまちづくり〟は、行政と地域 住民が協力しながらまちづくりを進めている岩見沢にマッチしたテーマ。岩見沢市のまちづくりが少し でも参考になればと思う。21世紀のまちづくりに向け、今日の会議が地域の問題解決のヒントになる よう全力で臨みたい」との挨拶がなされた。

引き続き、北海道都市地域学会佐藤馨一会長より、「地域主権時代における市民主体のまちづくり」 のテーマ解説および北海道都市地域学会の活動状況(今年、日本学術会議協力学術研究団体の認定)の 報告が行われた。

 会議では、社会資本整備審議会都市計画・歴史的風土分科会の黒川洸会長の基調講演「わが国のまち づくりの進むべき方向」が行われた。

 続いてパネルディスカッションが2セッション行われ、第1セッションでは北海学園大学法学部の佐 藤克廣教授をコーディネーターに緑が丘共和国委員会の小川孝成会長やいき・いき北の街フロンティア の会の平野義文副会長、札幌大学法学部の武岡明子講師、インタラクション研究所の安田睦子代表がパ ネラーを務め、「地域資源の蓄積と活用によるコミュニティ自治力の強化策を考える」をテーマにさま ざまな意見を交わした。

 第2セッションでは、室蘭工業大学建設システム工学科の田村亨教授をコーディネーターに渡辺市長、 北海道教育大学(岩見沢校担当)佐川正人副学長、札幌学院大学大学院太田清澄教授、社団法人北海道 開発技術センター原文宏理事がパネラーとなり、「新たな担い手によるまちづくりの推進と連携強化方 策を考える」をテーマにさまざまな意見を交わした。

 また26日には、ぷらっとパークやJR岩見沢駅前、いわみざわ公園室内公園色彩館、教育研究所な ど各施設を見学し、岩見沢市におけるまちづくりの取り組みを参加者に紹介していただいた。

その後、北海道教育大学教育学部札幌校の佐々木貴子准教授によるセミナー「災害図上訓練(DIG) を用いたまち育て人育て」、及び札幌大学経営学部の千葉博正教授によるセミナー「中心市街地活性化 の隘路」を行い、閉会した。

(北海道都市地域学会企画委員会)

2 07

北海道都市地域学会

ニュースレター

第2号

TOPICS

★第 31 回「北海道都市問題会議」報告

★地域は「上質な暮らし」をデザインできるのか?  ―「文化創造」という概念―

★『都市学研究 45』募集案内

(2)

地域は「上質な暮らし」をデザインできるのか?

― 「文化密度」という概念 ―

     吉 田 順 一 (北海道大学観光学高等研究センター 教授)

Kernoel ― ケアン・エォール。いささか難しいドイツ語の発音だが、 地元の人々がそう略して呼ぶのが、カボチャの種(Kuerbiskern)か ら搾った、黒色に近い独特の濃い碧色をした食用油(Oel)のことであ る。その産地は、EU の一国、オーストリーの南部地方、シュタイヤー マルク州である。私がこの地域に関係をもったのは、いまから30 数年 前のことだが、当時、このケアン・エォールは「(貧しい人たちを意味 する)お百姓さんが使う安物サラダ油」と言われ、この地方の経済的な 貧しさの象徴であった。ところが近年、首都ウィーンは勿論、その他 EU の大都会など、世界中の高級食料品店で、最も高価な生搾りオリー ブオイルと同じ棚に並ぶようになっているのだ。

まさに、「田舎の廉価品」が、文化価値創造、文化デザインという手法で、世界のグルメ愛好 家をうならせるデリカテッセン、超高級食材に変身した。このケアン・エォールという地域ブラ ンドだけではない、銘柄ワインもそうだし、オーガニック農業の産物もこの地域では絶好調だ。 実はここ数年、私は現地に入って、この地域の洗練した「文化デザイン力」の正体をフィールド 調査中である。

 この地域の文化デザイン力の源泉を一言で表現するなら、私の言葉では「文化密度」という概 念になる。リチャード・フロリダの提唱する「クリエイティヴ・クラス集積論」は、最近、都市 研究者の間で有名になったが、私は、彼が実証研究を発表する以前、1995 年頃から、この「文 化密度」という概念を提唱してきた。いくつかの機会に発表してきたが、残念なから「経済の文 化化・文化の経済化」という文脈にも通じる議論は、いわゆるハコモノ開発主義を是とするわが 国の街づくりの専門家たちには理解されなかった。

 文化密度とは、劇場、美術館、映画館など、いわゆる文化施設の数、集積度合いを指している のではない。文化稼業人(マスコミ、デザイン、広告、情報コンテンツなど文化創造に従事する 職業人)を核とする創造志向のプロフェッショナルの集積を意味している。つまり、人間の数、 人口密度を超えて、文化創造の人的ポテンシャルのことを文化密度と呼ぶことにしている。この 概念も、発表当時は「都市」という空間での適応性を議論していたが、しかし、上に紹介したオ ーストリーの「地方」にも、この文化密度の概念は拡張可能であることが明らかになってきたのだ。  都市の文化創造力という点では、EU 地域では、大都市はその拠点性を失いつつある。最近、 ドイツの知識層が読む週刊SPIEGEL 誌に「クール(魅力的)なヨーロッパの都市 - ロンドン、 パリを忘れて!」という特集があった(2007 年8 月20 日号)。この特集で紹介される都市と はアムステルダム、コペンハーゲン、ダブリン、バルセロナなどの中核都市で、記事の中で「知 識指数(Talentindex)」という数値を使うのだが、知識集約型産業の就労者数で、その都市の 創造力ポテンシャルが評価されている。まさに「クリエイティヴ・シティー」の活力が議論され ている。

(3)

 が、しかし、私のフィールド研究のエッセンスを簡潔に紹介すれば、ヨーロッパではさらに

小型の地方都市が、文化デザイン力(=文化的生活価値の創造)、生活の質の高さという基準で 評価したとき、さらに魅力的な存在であると言えるのだ。その事例として紹介したいのが、上 のカボチャの種油の生産地であるシュタイヤーマルク州の州都(オーストリーの首都、ウィー

ンから南西に約 180 ㎞)、グラーツである。このグラーツとその周辺の事例は、とくに北海道 への応用可能性を考えるとき、極めて大きな意味を持つ。ちなみに、北海道とオーストリーの 面積はほぼ同じ。雪のある気候風土もよく似ている。また農業や観光がこれからの経済の主役 になるという産業構造にも類似性がある。

北海道の「都市」にも共通しているのだが、グラーツでは、都市部とその周りに広がる田園地 域、その外にある農業地域には境界がなく、すべてが一体化した生活文化圏となっている。グ ラーツはこの国の第二の都市だが、人口は約23万人、周辺地域を含めても約30万人、日本 の基準では小都市である。グラーツの中心部、歴史地区はユネスコ世界遺産に認定されていて、 2003年 度 に は 全EUの 文 化 首 都 に も 選 ば れ て い る。 こ の 都 市 を 核 と し て 周 辺 の 農 業 地 域 は、 この国のオーガニック農産物の有数の生産拠点である。これらのオーガニック農産物は、文化 的生活価値意識が極めて高いこの街の市民に消費される。つまり地域内の農業生産と消費の相 互関係が「農業の文化化」を可能にしているのだ。

近年、 スローフー ドやスローライフ、 あるいはLOHAS (Lifestyle of Health and Sustainability) というような価値意識が EU から日本にも紹介されているが、まさに、文化的 生活価値創造の先端地域がここグラーツとその周辺地域なのである。すなわち、特殊な職業グ ループとしてのクリエイティヴ・クラスの先導的・部分的集積ではなく、一般市民とその生活 を支える周辺地域の農業従事者等の全体が、広く深く「創造的生活者」という社会的階層を形 成 し て い る。 こ の グ ラ ー ツ の 文 化 市 民 層 が「 共 有 し て い る 価 値 意 識 」 の 高 さ や 洗 練 度 こ そ が、 この地域の文化密度であり、文化デザイン力の源なのでる。

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北海道都市地域学会事務局からのお知らせです。

1.「都市学研究45 研究論文投稿のご案内

現在、「都市学研究 45」の研究論文の投稿を受け付けております。会員の皆様からの活発な投 稿をお願いいたします。学会ホームページ(URL: http://wwwsoc.nii.ac.jp/haus/index.html)  で「投稿案内」をご覧の上、必要書類をダウンロードしてください。

2. 会員情報の変更のお届けと会員の紹介について

  北海道都市地域学会会員で、住所や所属を変更された方は、学会事務局までお知れせくださ  いますようお願いいたします。学会事務局の住所は下記の通りです。

  また、身近に当学会に関心をお持ちの方がおられましたなら、是非ご紹介ください。 3. 学会事務局連絡先 (2008年1月から新しくなりました)

    〒 060-8628 札幌市北区北 13 条西8丁目

       北海道大学大学院工学研究科 建築都市空間デザイン専攻        空間計画講座建築史意匠学研究室気付

       TEL 011-706-7891 FAX 011-706-7123        

 今、日本では「下流社会」という言葉が広がり、「格差のある社会」が問題になっている。「豊 かさ」を人々は、高級とか高額という概念に結びつけて、「下流」という表現の対極にある「上 流社会」との関連でイメージしてしまう。しかし、真に豊かな生活とは「上流社会」ではなく、 生活価値の高さ、洗練度が問われる「上質社会」にあって、はじめて実現するのではないだろ うか。「上質社会の形成」という方向、その意味での「文化デザイン」というテーマを理解で きる成熟生活者の集積こそが、「真の豊かさの実現」をめざす地域の課題でると言える。ヨー ロッパでは「リッチ志向」(キンキンピカピカ消費)は、貧しさの裏返しだと思われるように なってきている。成熟する文化的市民層は、「リッチ・ピープル」の肩書きを拒否して、生活 価値の文化的洗練、生活美学を実践するという意味での「ビューティフル・ピープル」に変身 しようとしている。オーストリー、グラーツ地域のビューティフル・ピープルたちは、「人生 を愉しみ、美しく生きる…」という、真の豊かさについての意味を再発見しているようだ。こ の「共有された価値」について、そしてそれを具体化している「文化密度の濃さ=地域の魅力

=文化デザイン力」について、新たな文化科学の視点からのアプローチが緊急課題であるとい うことが、北海道とオーストリーの地域比較から見えてくるのだ…。

著者プロフィール:1953年大阪市生まれ。オーストリア国立ウィーン経済大学博士課程修了。社会・経済科学 博士(Dr.rer.soc.oec.)。88年流通科学大学助教授、95年神戸大学大学院経営学研究科教授、05年大手前大学副 学長などを経て、07 年4月より北海道大学大学院(観光創造専攻)観光学高等研究センター教授。専攻・開拓分野は、 消費文化分析(マクロマーケティング)及び生活文化デザイン論。「生活価値創造 (value design)」という視点から、 消費・生活文化とマーケティングとの関わりを研究している。代表的な著書は、ウィーンで出版された(原文ドイツ 語)“Produktinnovation in Japan”(1988)。他にも論文など、様々な著作がある。

参照

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