金沢 大 学十 全 医学 会 雑 誌 第9()巻 第4 号 5 5 5 ‑5 6 7 (1 9 81)
閉塞 性黄痘 に関 する実 験 的研 究
とくに, γ‑G T P の消 長よ りみた胆 道 感染時の 胆 汁 排 壮 路 障害につ い て
金 沢 大学 医 学 部 第2 外 科学 教 室(指 導: 宮崎 逸 夫 教授)
小 西 朗
( 昭和5 6年6 月2 日受 付)
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K ey w ords 閉 塞 性 黄痘, 胆 道 感染, 胆 汁 排 泄 路 障 害, 7/‑G T P , 酵 素 染 色
近年, 膵 胆 道 系 悪 性 腫 瘍な どによ る閉 塞性 黄痘の治 療に際し, 二期 的手 術が 一 般 化して いる。
一 期 的滅 黄 術の代 表的な ものと して. 経 皮経 肝 的胆 道ドレナ ー ジ (以下, P T C D と略す) が行わ れて いる が, 胆 汁 排 泄 路は確保さ れて いるにもか か わ ら ず, 充 分な胆 汁排 出 量 が得ら れ な かっ た り,ま た胆 汁 排 泄量は充 分であり な がら, 黄痘が遷 延す ること が あ る.
教室の永 川ら1 )は臨床 的 検討よ り,黄 痘 遷 延 因 子と し て胆道 感 染が, その 一 つにな り う ること を示 唆してお り,浅 野2 )は実験 的に,胆 道 感染 犬におい て は閉 塞 解 除 後では,I C G tr an Sfe r r ate c o n sta nts のう ち,b 値と h 値の回 復が遅 延す ること よ り, その原 因と して肝細 胞内の障害と胆 汁 排 泄 路の障 害を あ げて いる。 閉 塞性 黄痘の肝細 胞 障害に関す る研 究 は. 従 来よ りいくつか
報告さ れて いるa ) 4 〉が, 排 泄 路の障 害に関して は, その
研究は あ ま り み ら れ ず, 不 明の部 分が多い。 と くに閉 塞性 黄痘 解 除 前 後にわ た る排 泄 路の障 害ま た は回復 過 程を, 経 時 的に詳 細に検 討し た ものは皆 無とい っても 過言では ない.
そこ で, 著 者は, 胆 道 感 染が存在す る場 合に, こ の
排泄路に関 して , どの部 位に障 害が存 在して黄痘 が遷 延す るのか を明ら かに し よ う と し た.
さて . 胆 管 酵 素と呼ば れ る もの の中で, γ ‑ G lu ・ ta m yl Tr an SPeP tida s e (以下γ‑ G T P と略 す) は,
毛細胆 管以下の全胆 汁 排 泄 路に存 在す る といわ れ5),閉 塞性黄痘におい ては, 酵素 組 識 学 的にも, 血 中におい
ても,著 明な活 性 増 加を み る といわ れて いる。著 者は,
こ の点に注 目して, 雑種 成 犬を用い て t 単 純 胆 道 完 全 閉 塞 犬と,胆道 完 全 閉 塞・ 胆 道 感 染 犬の両群を作 成し,
閉 塞 解 除前 後にわ たって経 時 的に. と くに血 中な ら び に胆 汁 中γ‑ G T P 値の測 定を行い,さ ら に.γ ‑ G T P 活 性を酵素 組 織 学 的に検 索し た. その結 果, 閉塞 性 黄 痘 時の胆道 感 染にお け る胆 汁 排 泄 路の障 害 部 位な ら び にその障害 程 度, 回復 状況につ い て,2,3 興 味あ る知 見 を え たの で報 告す る.
対 象お よ び方 法
Ⅰ. 実 験 項 目
本 実 験は, 次のご と く二期に分けて , その病 態の推 移を換 索し た.
1. 総 胆 管 完 全 閉 塞 後にお け る 肝 ・ 胆 道の病 態の
推 移.
2. 胆 道 閉 塞 解 除 後にお け る肝 ・胆 道の病 態の 推 移,
Ⅱ. 実験 動 物お よ び作 成 法.
1. 使 用動 物お よ び麻 酔 法
体 重1 0 kg前 後の雑 種 成 犬を使 用し た. 麻 酔は, 初 回 塩 酸ケ タミンを 1 2.5mg/ kg皮 下 注し, 背 臥 位に固 定
し, 以後,
ベ ン トパル ビタ ール 2 5mg/ 回 静 注して維 持 し た.
2. 対 照 群 ( 単 純 胆 道 結 繋 犬) の作 成 法
上 腹 部正中 切 開に て開 腹し, 十二指 腸近 傍に て総 胆 管を切 開し, 胆 汁 採 取 用の Ato m tube を挿 入して先 端を総 肝 管の位 置で固 定し た後,総 胆 管を二重 結 集し,
An Expe rim e ntal Study in O bstr u ctiv e Ja u nd ic e of the Influ e n c e of B ilia ry T r a ct In‑
fe ctio n
, Espe cially abo ut Dysfu n ctio n of the B ile P athw ays in Vie w of γ・G T P A ctivit y.
Ichir o K o nishi, D epa rtm e nt of S u rge ry(II), Scho ol of M edicin e, Ka n aza w a U niv e r sit y.
5 5 6
その間を約5m m切 除し た ものを対 照 群と し た. A to m tube は皮 下に埋 没して閉 鎖し,胆 汁 採 取 時に 一時 的に
開 放し た.
3 . 感 染 群 ( 感 染 付 加 胆 道 結 繁 犬) の作 成 法 以 上の操 作に加え,自 家 十二指 腸 液0.5ml を,Ato m tube を通じて注 入し た ものを感 染 群と し た.
4. 閉 塞 解 除 大の作 成 法
前 記の方 法で対 照 群と感 染 群を作 成し,閉 塞1 4 日目
に,皮 下 埋没 してあった Ato m tube を解 放し,前 額 部
に固定して外 療と し た.
Ⅲ. 検 査項 目 お よ び方 法
胆 道 閉 塞 解 除 前 後に わ た り一 経 時 的に, 結 繁 後は 3 ,5,7,1 4,21 日目, 解 除後は 1 ,3,5,7,1 4,2 1 日目の各
1. 丘Ⅹ a厄o n (40c a c ぬ n,3 bェめ 2. dehydr atio n (a c eto n,3 hr s) 3. cle 血Ig (もe n zh ち1 bT) 4. e mbed d ing (5 30c, pa r aff in)
Se ctio n s (abo ut4 mic r o n s)
西
時 期に, 以下の検 索を行った.
な お, 血 清・ 胆 汁の検 査 項 目の結 焚 前 値は, デ ータ 作 成に 剛、た犬の中で無 作 為に7 匹 を 選 び, 血 液は股 静 脈よ り, 胆 汁は Ato m tube を 通 じて総 肝 管 胆 汁を 採 取して検 査し た. さ らに, 結 繋お よ び解 除 後の各時 期にお け る採 血・採 胆 汁も同 様にして行い, そ れ ぞ れ の時 期にお け る値は,いず れ も結 繁 後お よ び解 除後21 日目まで生き続け た ものを対 象と し, 死 亡 例や屠殺例 は加えて いない.
1. 血 液 生 化学 的検 査 1). 血 清 総ビリル ビン値
Je ndr a s si k ‑ C legho r n 法. 以下, 血清 総 「 ビ」 値 と略す.
1. depa = afi mizing (be n zin e,1 0m in) 2. cle a ring(eth an 01,distinedw ate r)
In c 11ba也o n (3 70c,4 5m 叫
(h c uもath g s olu也oh)
γ‑L 竜1ut am yM ITm eth 0 Ⅹy‑2 朝ap hthyla mide (6mg/ml) … ‥ 0.5ml G lycylTG lycine (2 0m g/ml)
0.1 M T 血 H C L Bnぼ奴(P H,7.2) Fa $tGa ∫n etG B C (1 5mg/ml) D ist山ed w ate 工
St血m ng
1. w a sh in g (n o m als alin e s olutio n,5 min)
2. in c ubatio n (0.1 M c op per S ul p hate s olutio n,5m in) 3. w a血in g (d istilled w atet)
4. stainming(Maye r
'
sH .E.s ohltio n,3m in) 5・ W a Sh ing (d isti ned w ateち 3 70c,1 0m h)
… .. 0.5 ml
… ‥ 1 0.O ml
… ‥ 1.O ml
… ‥ 2 8.O ml
F ig.・1. Meth od 鮎rhisto che mical study o n th e a ctivit y ofγ‑G T P
閉 塞性 黄 痘に関す る実 験 的研 究
2). 血 清γ ‑ G luta myltr a n spep tida s e 活 性 値
Sz a s z 法. 以下 血 清γ ‑ G T P 値と略 す.
3). 血 清A l kalin e P ho sphata s e 活性 値.
K ind ‑ k ing 法. 以下 血 清A L ‑ P 値と略す.
2. 胆汁 生 化 学 的 検 査
1, と同 様の項 目に つ い て検 索し た. 以 下, そ れ ぞ れ胆汁 総 「 ビ」 値, 胆汁γ‑ G T P 値. 胆 汁A L ‑ P 値 と略す.
3. 酵 素 組 織 学 的 検 索
毛細 胆 管か ら 肝外 胆 管にわ た り,γ ‑ G T P 染 色を行
った. 肝 内 胆 管は, 外 側 左 葉を選び その肝 門 部を, 肝 外胆管は, 肝 柔か ら 1 m涌任れ た部 位か ら 3 m mの長さで
採取し検 査に供し た. 採 取な ら びに染 色は, 経 時ぬに 行い, 採 取 後は, 図1 の方法で, 染 色を行った.
な お, 染 色 法は G le n n e r らの方 法6) 7 ,に準L:た. 染 色 終了後す ぐに鏡 検して, 撮 影し た. ま た, 染 色 阻 害 剤 と して は硝酸 鉛を用いた.
成 績
Ⅰ. 総 胆管 完 全閉塞 後にお け る病態の推 移
ハ リ
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O
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、 u
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F ig. 2. C ha nge s of total bilir ub in le v el in S e r u m afte r b ile du ctligatio n
L:Iigatio n
L 3 5 丁 目 2 1 Da
y
Fig・ 3・ C ha nge s of γ‑G T P a ctivit y in s e r u m afte r b ile du ctligatio n
L:1igatio n
5 5 7
1. 血 液 生 化 学 的 検 査 1 ) . 血清 総 「 ビ」 値 ( 図2)
対 照 群は結 集 後徐々 に上 昇し,1 4 日日で は ぽピー ク と な り, その後は横道いと なった. そ れ に射し, 感染 群は結 数3 日目で急 峻な上 昇を み, 以 後 横道い であつ
た.
各 時期で の対 照 群と感 染 群の値は,結 紫前 値は 0.2 3 土0・0 2mg/d l で あ り, 3 日日で2.61 ±0.3 7mg/ dl と5.65 土0・5 9mg/d l(p< 0.0 1), 5 日目で2.93 士0.47mg/dl と 5・78 土0・6 0mg/ dl(p< 0.0 1) と, 有 意の菱で感 染群の 方が高かっ た が, 7 日目以降は明ら か な善心み ら れず,
結染2 1 日日で は6.8 3 ±0.9 7mg/d l と5.8 5 ±0.5 7mg/ dl と なった.
2). 血 清γ ‑ G T P 値 ( 図 3 )
両 群と も結 繁 後 徐々 に上 昇し, 対 照 群では14 日目
に, 感 染 群では 7 日目にほ ぼピ ークと なった後は横 道
いを示し た.
各 時 期で の対照 群と感 染 群の値は. 結 勢前 値が 2.5
±0.3I U で. 以 後5 日目で32.0 ±5.2I U と 4 8.6 ± 4.6I U(p < 0.0 5),7 日目で4 7.9 ± 5.9I U と 69 .6 ±
∧ U
O
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‖nU n U
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Fig・4・Cha nge s of A L‑P a ctivit yin s e r u m afte r bile du ctligatio n
L:1igatio n
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F ig.5. C ha nge s of total b ilir ubin le v el in bile afte r bile du ctligatio n
L:1igatio n