Title
昆虫病原性糸状菌を利用したナガチャコガネ防除と
Beauveria amorpha の宿主特異性の要因解析( 内容の要旨 )
Author(s)
柳沼, 大
Report No.(Doctoral
Degree)
博士(農学) 甲第400号
Issue Date
2006-03-13
Type
博士論文
Version
URL
http://hdl.handle.net/20.500.12099/3097
※この資料の著作権は、各資料の著者・学協会・出版社等に帰属します。氏 名(本個)籍) 学 位 の 種 類 学 位 記 番 号 学位授与年月 日 学位授与の要件 研究科及び専攻 研究指導を受けた大学 学 位 論 文 題 目 審 査 委 員 会 柳 沼 大 (福島県) 博士(農学) 農博甲第400号 平成18年3月13日 学位規則第3条第1項該当 連合農学研究科 生物環境科学専攻 静岡大学 昆虫病原性糸状菌を利用したナガチャコガネ防除 とjおaび柁r由a皿叩血の宿主特異性の要因解析 主査 静岡大学 教 授 廿日出 正 美 副査 静岡大学 助教授 虞 森 創 副査 信州大学 教 授 中 村 寛 志 副査 岐阜大学 教 授 土 田 浩 治 論 文 の 内 容 の 要 旨 本研究は、チャの難防除害虫であるナガチャコガネ物と叩ム〆ノ∂〆ce∂を効率的に防除 するため、新規の防除素材として昆虫病原性糸状菌に着目し、これを基礎とした防除体系 の確立を目的とした研究である。 ナガチャコガネは、幼虫がチャの根を食害することで,翌年のチャの収量を減少させる 重要害虫である.現在,幼虫および成虫を対象として化学薬剤を用いた防除が行われてい る.しかし,本種の生態的特性および茶の栽培上の理由などから,化学薬剤のみでの防除 法では不十分であり,難防除害虫となっている.これらの理由により,化学農薬の代替防 除素材の開発が望まれている.このような問題を解決し、効率的に本種を防除するため以 下の試験を実施した。 1.ナガチャコガネ幼虫に強い病原性を示す昆虫病原性糸状菌Beawwlaamozpha(Strain: HpBa-1)を用いてナガチャコガネ幼虫の防除試験を実施した.まず、E amozpha(Strain: HpBa-1)の特性を詳細に調査し,本菌株によるナガチャコガネ幼虫防除シミュレーションを 構築した.このシミュレーション結果を基に,圃場レベルでのE mozpha(Strain:HpBa-1) によるナガチャコガネ幼虫の防除試験を実施した.その結果,本菌株の感染実績が得られ、 防除素材としての有望性が示唆された。 2.ナガチャコガネ成虫に強い病原性を示す昆虫病原性糸状菌βe∂Ⅳ訂J∂ムrαコ卯J∂rとJJ (Strain:PBbr-1)を用いてナガチャコガネ幼虫の防除試験を実施した.本菌株を用いて按
ー77-種試験を行ったところ,強い病原性が確認された.また,感染までに要する時間が短く,
産卵抑制効果が認められた.以上の結果より,本菌株のナガチャコガネ成虫防除素材とし
ての可能性が示唆された. 3.ナガチャコガネの糸状菌による防除体系のベースとなるE amozpha(Strain:HpBa-1) は,ナガチャコガネ幼虫に対してのみ特異的に示される.本菌株を防除素材として使用す るためには,HpBa-1の病原性発現における宿主特異性の要因を解明する必要である.その ため,宿主の持つ生体防御反応,特に血球の働きについて調査した.その結果,HpBa-1が ナガチャコガネ幼虫血体腔内に生理的異常を引き起こして感染を助長していることが明ら かとなった.以上の結果を踏まえ,2種の昆虫病原性糸状菌を利用したナガチャコガネ防除体系を構築
した. 基礎となる学術論文 ・昆虫病原性糸状菌βeα〟Veriα〃椚叩力βのナガチャコガネ幼虫に対する殺虫活性と付着能力 の関係 日本応用動物昆虫学会誌 2004年 48巻2号101∼108ページ ・ナガチャコガネ幼虫に強い殺虫活性を示す昆虫病原性糸状菌助α〟Vgrねα椚叩ゐ〟の感染特 性および本菌株を用いた防除法の検討 日本応用動物昆虫学会誌 2004 年 48巻4号 297∼306ページ 審 査 結 果 の 要 旨 本研究は、チャの卓雄防除害虫であるナガチャコガネを効率的に防除するため、新規 の防除資材として昆虫病原性糸状菌に着目し、これを三基礎とした防除体系の確立を目 的とした研究をまとめたものである。その結果の詳細は以下の通りである。 1.ナガチャコガネ幼虫に特異的に強い病原性を示す昆虫病原性糸状菌β由び撒ゴ am叩ha(Strain:HpBa⊥1)を用いてナガチャコガネ幼虫の防除試験を実施した。 先ずこの糸状菌の特性を解明し、本菌株を用いたナガチャコガネ幼虫防除シミュレー ションを考案した。ナガチャコガネ幼虫の防除適期は、幼虫が地表近くに生息する時 期の10月下旬から11月中旬であるが(土壌温度は13∼15℃)、この条件でも本菌は 十分な殺虫効力を示すことを明らかにした。また、散布した本菌が翌年の3月でも多 少殺虫一性を示すことも明らかとなった。 2.ナガチャコガネ成虫に強い病原性を示す昆虫病原性糸状菌βeβロムぬ如虚血 (Strain:PBbr-1)を発見した。本菌は成虫に対して短時間で感染J性を示し、か っ、産卵抑制効呆のあることも明らかとなった。成虫の防除適期は6月上旬∼中旬の 短期間であるため、この防除資材の効果は大いに期待されることが示唆された。ー78-3..鮎azzT7eZjkamozp.b&(Strain‥耳pBa・1)がナガチャコガネ幼虫のみに感染性を示す メカニズムを解明するために、宿主の持つ生態防御反応について調′バた。 且β皿叩血(HpBa-1)の分生子をナガチャコガネ幼虫に接種すると、血球数が著しく減 少した。病原性を示さなかった〟点画励e伊MA・7)や且物血ヱ元武Bb・876)の分 生子を接種すると血球は活性化されたまま高い値で推移し、減少は確認されなかった。 これは血球が両分生子を効果的に排除していることが明らかとなった。 さらに、且丘皿q如β(HpBa・1)を接種すると、接種72時間後には23kDa付近に異 物認識のタンパク質の増加が発生することが示唆された。 4 ナガチャコガネの幼虫に対して且β皿叩ムβを成虫には且血てⅦ卯血刀妨を用いた 新しい防除シミュレーションを構築することができた。今後、実用試験を重ねて茶農 家に普及を試みたい。 以上について、審査委員全員一致で本論文が岐阜大学大学院連合農学研究科の学位 論文として十分価イ直のあるものと盲艶めた。 <基礎となる学術論文> 1.昆虫病原性糸状菌βe8打Ⅵ沈血β皿叩血のナガチャコガネ幼虫に対する殺虫活性と 付着能力の関係.日本応用動物昆虫学会誌2004年48巻2号101∼108ページ. 2.ナガチャコガネ幼虫に強い5投虫活性を示す昆虫病原性糸状菌.β由Uアeエ由aヱロqpムa の感染特性および本菌株を用いた防除法の検討.日本応用動物昆虫学会誌2004年 48巻297∼306ページ.