ア メ リ カ 製 造 物 責 任 法 に お け る 「 技 術 水 準 」 の 概 念

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(1)目. 次. 1 はじめに アメリカ製造物責任法 2.厳格責任における﹁欠陥﹂概念とその判断基準. 1.法理論の展開. 厳格責任訴訟における﹁技術水準﹂. 3.厳格責任の政策的根拠 1︒判例の動向. W. 川. 成 2.おわりに. 八三. 1.ネグリジェンスの再評価. 今後の課題. 谷. 海. アメリカ製造物責任法における﹁技術水準﹂の概念. n. 皿. 2.問題点の整理 3.小括 アメリカ製造物責任法における﹁技術水準﹂の概念. 長.

(2) じ. め. 早法六六巻二号︵一九九一︶. は. に. 八四. なっていない︒また︑日本では︑厳格責任を無過失責任とストレートに捉える向きもあるが︑アメリカ法の実態を見. ているのかなどの点については︑アメリカにおいてもさまざまな説が交錯しており︑議論が充分に煮詰まった状態に. しかし︑厳格責任の具体的内容が何であるのか︑欠陥をどのように理解するのか︑欠陥と過失との関係はどうなっ. の中心概念である﹁欠陥﹂についての研究は︑最近︑大きな成果を上げている︒. しいアメリカ法は︑日本でも広く紹介されている︒特に︑アメリカ製造物責任法の到達点としての厳格責任法理とそ. この分野は︑諸外国でも近年急速な展開が見られ︑とりわけ︑独立の責任類型としての製造物責任の発展がめざま. 造物責任の理論的発展は︑不法行為法の重要な課題となっている︒. 品に何らかの欠陥があるために︑その使用者もしくは第三者の生命・身体・財産等に損害が生じた場合に発生する製. は限らず︑さまざまな種類の消費者や最終使用者︵エンド・ユーザー︶が想定される︒このような状況において︑製. 造過程を経て︑複雑な内容・性質を有している︒さらに︑実際に商品を使用・消費するのは︑その直接購入者のみと. る立場の互換性もない︒そして︑消費者が必要とする商品の多くは︑専門家以外には理解できない高度に発達した製. 存することなく通常の市民生活を維持することはできない︒消費者と製造・販売業者との間には︑市民法の前提とな. トワークを経て最終消費者の手に届く︒また︑現代社会に生きる消費者は︑衣食住のあらゆる面で︑製品の購入に依. 生産・流通システムが高度に発達した現代社会においては︑商品は︑画一的な大量生産・販売の巨大かつ複雑なネッ. 1.

(3) るかぎり︑厳格責任を無過失責任と捉えることはできない︒. そこで︑厳格責任の責任要件となっている欠陥についての判断基準を中心にアメリカ法を検討していくうちに︑厳. 格製造物責任訴訟においては︑﹁技術水準﹂の問題がきわめて重要な役割を果たす要素となっていることがわかった︒. 以下︑本稿においては︑この﹁技術水準﹂概念に焦点を当て︑アメリカの判例を整理し︑今後の日本の製造物責任法 の研究にとってアメリカ法から学べき論点を提供することを課題としたい︒. あらかじめ結論を先取りして言えば︑その論点は以下のようなことになる︒. アメリカ製造物責任法における厳格責任の導入は︑製造者に対する帰責の根拠を製造者の﹁過失﹂から製品の﹁欠. 陥﹂へと転換し︑責任要件の判断基準の客観化を図ることによって︑︵社会保障法や被害者救済システムなどではなく︶. 不法行為法の枠内で被害者救済の範囲を広げる役割を果たした︒そして︑厳格責任の成果は︑製造物責任の無過失責. 任化という実体法上の責任要件の内容を変更した点ではなく︑むしろ︑訴訟における被害者の証明上の負担を軽減し た点に集約される︒. 厳格責任とは言っても︑過失の要素は完全には排除されていない︒むしろ︑有力な判断基準となっている危険効用. 基準によれば︑製造者の行為にかかわる要素を考慮することは避けられない︒その点から見て︑最近︑従来のネグリ. ジェンス法理においては不充分だった証明問題を解決することにより︑厳格責任が現実に果たしてきた消費者保護の. 八五. 成果を損なうことなく︑ネグリジエンス法理によって︑より論理的整合性のある形で製造物責任を処理することがで きるという主張が現れており︑注目に値する︒ アメリカ製造物責任法における﹁技術水準﹂の概念.

(4) 早法六六巻二号︵一九九一︶. 八六. この主張によれば︑原告の証明上の負担を軽減するために︑ネグリジェンスの事実推定則を発展させて︑原告が被. 告の注意義務違反について一応の証明をすれば証明責任を被告に転換させることが可能となる︒また︑先在義務・因. 果関係・損害・義務違反という不法行為の構成要件のうち︑先在義務・因果関係・損害については従来のとおり原告. に証明責任を負わせ︑それが証明されれば︑充分な注意義務を尽くしたことについての証明責任を被告に負わせる﹁過 失の推定﹂も提案されている︒. 日本においても︑一般不法行為について定める民法七〇九条の枠内で製造物責任を処理するための解釈論として︑. 初期に︑アメリカ法の事実推定則を模した過失推定説が唱えられた︒その後︑ドイツ法の表見証明や間接反証の理論. にもとづく証明責任の分配︑危険領域説による証明責任の転換などの主張が行われた︒このように︑現代型不法行為. 訴訟における原告被害者の証明上の負担の軽減と注意義務の高度化は世界的な趨勢となっている︒現行の日本法にお. いても︑外国法にも大きく依拠してきたこれまでの理論展開によって︑アメリカ法の厳格責任に劣らない成果を達成 することができよう︒. 製造物責任については︑日本でも立法化の必要性が強く認識されている︒立法の方向として︑無過失責任原則の採. 用という点ではほぼ一致した見解となっているようである︒この点では︑アメリカの厳格製造物責任法理の多大な影 響が見られる︒. ただ︑製造物責任を無過失責任とする場合に︑社会的に有用性は高いが︑危険性を確認するまでに時間のかかる医. 薬品などのいわゆる﹁開発危険﹂を許容するかどうかは問題となる︒現実の社会経済的影響からしても︑また︑産業.

(5) 界から予想される強い抵抗の中で立法を実現するためにも︑開発危険をある程度は許容し︑﹁技術水準﹂のような予 見可能性にかかわる要素を例外的な責任制限事由として認めざるを得ないであろう︒. しかし他方︑無過失責任を原則としつつ︑政策的配慮による責任制限条項を設けることには︑こうした例外が無限. 定的に増やされる危険性のあることも認識すべきである︒また︑﹁技術水準﹂といったあいまいな表現を明確な定義. なしに用いると︑アメリカ法に見られるような概念の拡張によって責任制限の範囲が恣意的に広げられる可能性も出. てくる︒そこで︑どのような場合に危険の予見不可能による責任制限を認め︑要件をいかに定めるかについては︑証. 明責任の問題も含めてなお慎重な検討が必要である︒そのためには︑製品の種類別の類型化と︑それぞれにおける予. 見可能性の基準について︑今後︑さらに詳しい分析が必要となろう︒この点については︑後日の課題とさせていただ きたい︒. アメリカ製造物責任法. 後の議論に必要な限り︑各法理論の展開をまとめておきたい︒ アメリカ製造物責任法における﹁技術水準﹂の概念. 八七. て︑ネグリジェンス︵需鵬凝8&︑保証責任︵≦費声昌身︶および厳格不法行為責任︵ω鼠9ぎ亘芽ぎ8旨以下︑厳 ︵2︶ 格責任とする︶が用いられる︒これらの内容や判例については︑わが国でもすでに広く紹介されているが︑ここでは︑. 1 法理論の変遷 ︵1︶ アメリカ法では︑製造物責任訴訟において︑製品の製造者・売主等の被告加害者に責任を帰するための法理論とし. H.

(6) 早法六六巻二号 ︵ 一 九 九 一 ︶. n ネグリジェンス. 八八. 当初︑製品の使用者がその製品の使用に起因する何らかの被害を受けた場合には︑その賠償責任を製造者に負わせ. るため︑不法行為法の一般法理であるネグリジェンスによって製造物責任が構成された︒これは︑製造者が過失によっ. て買主に対する注意義務を怠ったことを責任要件とするものだった︒したがって︑加害者と被害者との間に直接の契. 約当事者関係︵冥三蔓︶のあることを要件していた︒ ︵3︶ イギリスの先例である薯ヨ琶げ98ヨ︿●ミニ讐け︵一八四二年︶では︑郵便馬車が欠陥のために走行中に転倒︑道路. に投げ出された御者が負傷し︑馬車の製造販売業者に対して損害賠償を求めた︒馬車は業者から郵政長官に納入され. たものであり︑原告と被告との間には直接当事者関係がないことを理由に︑財務裁判所︵9ξざ一穿9Φ28は︑. 損害賠償責任を否定した︒直接当事者関係にない者にまで損害賠償請求権を認めると︑乗客でも通行人でも︑馬車の. 転倒によって負傷した者なら誰でも訴訟を起こすことができることになり︑﹁限りなく奇妙で許しがたい結果を招く. おそれがある﹂というのであった︒この原理はアメリカ法にも継承され︑直接の契約当事者でない製品の使用者等に 対する製造者の責任を制限することとなった︒. その後一八五二年にニューヨーク州で︑劇薬のビンに誤って他の薬品のラベルを貼って薬店に卸した業者に対して︑ ︵4︶ 直接当事者関係にない最終消費者の受けた被害についての損害賠償責任が認められた︵穿§霧<︒ミ昌訂ω§︶︒こ. れは︑人間の生命に切迫する危険性を本来的に有する︵一旨輿窪牙鼠轟Ro轟︶製品︵毒薬︑爆発物等︶については︑. 第三者の被害が予見され得るため︑製造者には損害回避義務があるとして︑そのような性質を持つ製品については︑.

(7) 例外的に︑直接当事者関係をネグリジェンスの成立要件からはずす先例となった︒. 判例は︑直接当事者関係の要件を次第に緩和し︑ネグリジェンスの適用を拡大していった︒しかし︑﹁本来的に危. 険な﹂製品に限らず︑不注意に製造されるならば入の生命・身体に危険を及ぼすことが相当に確実な製品一般につい. て︑直接当事者関係にない被害者に対する製造者のネグリジェンスを認めたのは︑一九一六年になってからのことで ︵5︶ ある︒この︑ζ8穿Φあ8<﹄鼠畠ζ9①ぺOρは︑走行中︑車輪の欠陥のために自動車のスポークが破砕され︑製造者. とは別の小売ディーラーから自動車を買った原告が車外に投げ出されて負傷したという事件である︒ニューヨーク州. 最高裁判所は︑製造に欠陥があれば危険性が生じること︑および︑その製品を直接の売主以外の者が使用することを ︵6︶ 製造者が知っていた場合には︑直接当事者関係の有無に関わらず製造者には注意義務があるとの判断を下した︒この. 判決は︑直接当事者関係の要件を廃して︑契約当事者ではない最終消費者に対しても︑﹁製造者に自らが作り出した ︵7︶ 欠陥に対する責任を認めた点で︑今日の製造物責任の発展に道を開いたもの﹂と評価されている︒. 働保証責任. 製品の欠陥に起因する損害についての責任を製造者に負わせる別の根拠に︑保証責任がある︒これは︑商品の品質. や性能に関して保証があり︑その保証表示が事実に反する場合に︑売主が買主に対して負う無過失責任で︑ルイジア. ナ州を除くすべての州が採用する統一商事法典︵UCC︶に規定されている︒まず︑取引の基礎として︑商品の性質. や価値について売主が何らかの約束をしたり︑事実としての確証を与えた場合には︑明示の保証︵Φ巻奉誘語冥磐身. 八九. UCC二⊥一二三条︶が成立する︒また︑商人によって売買される商品については︑当然に﹁商品性︵ヨR9き冨巨一昌︶﹂ アメリカ製造物責任法における﹁技術水準﹂の概念.

(8) 早法六六巻二号︵一九九一︶. 九〇. のあることが黙示的に保証され︵UCC二−三一四条︶︑また︑商品が特定の目的のために購入されることを売主が知. り得べき理由があり︑売主によるその目的にかなった商品の選択や供給を買主が信頼した場合にも︵UCC二−三二. 五条︶︑黙示の保証︵ぎ冨&≦貰声昌昌︶がある︒しかし︑いずれの保証責任も︑売買契約上の売主の買主に対する担. 保責任であり︑元来︑契約上の直接当事者関係が要件とされていた︒. だが︑ウィンドーが﹁こなごなに割れることはない︵ω冨箒雫冥08﹂と宣伝された自動車の購入者が︑走行中に ︵8︶ 石が当たったことによって破砕したウィンドーの破片で片目を失明した浮簿霞く扇︒こ累o旨霞O︒︒で︑一九三四年︑. ワシントン州最高裁判所は︑原告と被告フォード自動車との間に直接当事者関係がないにもかかわらず︑明示の保証. に違反した被告の責任を認めた︒直接契約当事者以外に対する黙示の保証責任は︑初めは食品について認め転氾︑そ ︵10︶ の後︑動物の飼料︑化粧品等直接身体に使用される製品︵箕o費器8二日首弩び&ξ霧①︶に拡大された︒一九五〇. 年代末には︑それはさらに︑建築用シンダーブロック︑電線︑自動車タイヤ等にまで適用されるようになった︒そし ︵11︶. て︑一九六〇年︑ニュージャージ!州最高裁判所は︑買主の妻が運転中に︑自動車の操舵装置が突然故障し︑妻が負. 傷した浮嘗ぎ膓窪<●国︒§瀞一αζ︒ぎ声冒ρで︑直接当事者関係にない原告に対する黙示の保証責任を︑販売業者. と製造業者双方について認めるにいたった︒複雑な商品を扱う複雑な取引関係が支配する現代の市場では︑消費者は︑. 厳格不法行為責任. 積極的な宣伝によって製品の購入を促す業者を全面的に信頼して製品を購入するしかない構造になっている︑という ︵12︶ 認識の下に︑社会正義の観点から︑直接契約関係を保証責任の要件としない原則が確立したのである︒ 筒.

(9) このように︑ネグリジェンスにおいても保証責任においても︑損害賠償請求権における直接当事者関係の要件が一. 般的に撤廃され︑その要件緩和によって製品の欠陥に起因する損害を被った最終使用者等が賠償を求めて製造物責任. を追及できる範囲は大きく広がった︒それでもなお︑ネグリジェンスの場合には︑被告加害者の過失によって製品に. 欠陥が生じ︑それが近因︵冥︒図ぎ器85①︶となって損害が惹起されたことの立証責任は原告被害者にあったため︑. 一般には専門的知識・経験を持たない被害者の訴訟における証明上の負担は大きかった︒ ︵13︶. また︑保証責任も︑契約責任としての限界を引きずっていた︒そこでは︑買主は売主による表示あるいは約束を信. ︵15︶. 頼したことが要件と麺・また・空が免責条項︵約款︶を挿入することに吉・責任を回避したり制限することが ︵16︶. 可能である︒さらに︑保証責任違反のあった場合には︑売主がそれを発見してから合理的期問内に買主に対して通知 しない限り︑救済を受けることはできない︒. 商品被害の救済をより容易にするために︑厳格責任法理が本格的に展開されるようになるのは︑一九六〇年代になっ. てからであるが︑その前駆的な判例は︑すでに一九四四年に現れた︒配達されて三六時問以上経過したコ!ラのビン. をケースから冷蔵庫に一本ずつ移していたレストランの従業員が︑手にしていたビンの破裂によって手を負傷した. ︵17︶ 国ω8宣く60800σω︒琶一昌αq9●9牢窃8で︑カリフォルニァ州最高裁判所は︑ネグリジェンスに依拠しつつも︑被. 害者の証明責任を軽減するために︑事実推定則︵お巴陽巴8三9憎︶を適用した︒. 事実推定則によれば︑被告の過失を推認するために︑事故の発生自体を状況証拠として採用することができる︒そ. 九一. の要件は︑当該事故が︑①何者かの過失が無ければ通常は起こらないものであり︑②被告の排他的な支配下にある行 アメリカ製造物責任法における﹁技術水準﹂の概念.

(10) 早法六六巻二号︵一九九一︶. 九二. ︵18︶ 為・手段によってその事故が生じ︑③原告の自発的な行為や寄与によって起きたのではないことである︒事実推定則. が適用される場合には︑被告の過失の有無は陪審の判断に委ねられることが多い︒州によっては︑被告が過失あるい. は因果関係の不存在を示す証拠を提出しないかぎり︑裁判所が原告勝訴の指示評決︵象話9&話こ鐸︶を下し︑証明. 責任を転換して無過失の証明を被告に課する場合もあるが︑一般には︑状況証拠による推理︵巨震魯8︶を許すこと ︵19︶ により︑推定︵冥Φ曽ヨ旨8︶がなされる可能性を生むにとどまる︒. 評8富判決では︑事実推定則の適用により︑被告の過失責任が認められた︒しかしこの判決では︑﹁本件のような. ケースにおいては︑原告の損害賠償請求権の根拠をもはや製造者の過失に求めるべきではない﹂とする補足意見が. ↓轟岩興判事から提出され︑それは︑後に確立する厳格責任法理の基礎となった︒﹁製造者は︑検査なしに使用され. ることを知りつつ自らが市場に出した商品が︑人に対する損害を引き起こす欠陥を有することが明らかとなった場. 合には︑絶対責任︵魯ω︒葺巴一暮⁝身︶を負うことが今や承認されるべきである﹂という王張であった︒そして︑欠. 陥製品による被害を効果的に防ぎ︑また︑欠陥によって生じた被害の費用を担保して広く分散することができるの. は製造者であるから︑欠陥製品による事故は︑過失の有無にかかわらず︑製造者の責任とすべきであって︑﹁損害賠. 償の根拠を過失とし︑実際には過失なき責任を課するのは︑必要以上にまわりくどい︒もし︑商品の製造者が過失の. 有無にかかわらず商品の性質に責任を持つことを公共政策が要求するならば︑その責任を公然と負わせない理由は. ない︒⁝⁝民事責任を課することによって︑欠陥ある商品の損害から市民を一般的に守ることは︑公共の利益にかな う︒﹂.

(11) ︵20︶ ℃o≦段勺﹃亀ぎ亘冒ρは︑妻からクリスマスに贈. その後︑一九六三年に同じ↓轟岩自判事が書いたカリフォルニア州最高裁判所の判決は︑厳格製造物責任を正面 から認めた最初の判例として有名である︒このOお窪目き<︐K呂. られた木工用の電動工具を使用中︑工具から飛び出した木片が額に当たって重傷を負った原告が︑保証責任とネグリ. ジェンスとを根拠として小売業者および製造業者を訴えたものである︒この事件では︑原告が被告に対して保証違反. の通知を行ったのが事故から一〇か月半後であったために︑損害賠償請求権が認められるために︑被害者からの損害 の通知が合理的期間内になされることを要するかどうかが争点となった︒. そして本件では︑原告が提出した証拠により︑工具の設計と製造に欠陥のあったことが証明され︑また︑保証違反. の通知期問の要件は︑業者問取引には適用されても︑消費者被害については適用されないとの判断が下された︒しか. もこうした事件では︑保証責任によらずとも︑﹁欠陥の有無についての検査なしに使用されることを知りつつ自らが. 市場に出した商品が︑人に対する損害を引き起こす欠陥を有することが明らかとなった場合には︑製造者は︑不法行. 為上の厳格責任を負う﹂と判断された︒そして︑厳格責任の目的は︑﹁欠陥のある製品が引き起こした損害の費用を︑. 筆者注︶をその意図された. 自分を守ることにおいて無力な被害者ではなく︑そうした製品を市場に出した製造者が負担することを保証すること﹂. にあり︑製造者の責任を認めるためには︑﹁原告がショップスミス︵電動工具の商品名. 使用方法に従って使用していた際に︑原告が認識しなかった︑ショップスミスを意図された使用にとって安全でなく. する設計・製造上の欠陥の結果として負傷したことを証明すれば足りる﹂ことが言明されたのである︒. 九三. この判決から二年後の一九六五年に︑アメリカ法律協会︵↓冨>幕旨きい署日徐εδは︑第二次不法行為法リ アメリカ製造物責任法における﹁技術水準﹂の概念.

(12) 早法六六巻二号︵一九九一︶. 九四. ステイトメント︵以下︑リステイトメントとする︶を発表し︑その四〇二A条で厳格製造物責任を規定した︒同条は︑. 使用者・消費者またはその財産に対して﹁不相当に危険な欠陥状態︵冒帥身憲牙Φ8区置o昌§お霧8筈ξ鼠凝霞︒¢の︶. にある製品を販売しだ者﹂は︑製品が最終使用者等に損害を与えた場合には︑その責任を負うべきものとし︑製品の ︵21︶. 売主が可能な限りの注意を尽くした場合でも︑また︑売主と使用者との問に契約関係がない場合にもこの責任負担が. 生じることが明示された︒これにより厳格製造物責任法理の本格的な展開が始まり︑また︑各州の裁判所にも広く採. 各法理論間の関係. 用されるタうになった︒. ㈲. 以上見たことから︑アメリカの製造物責任法における厳格責任法理の確立は︑欠陥商品によって被害を受けた原告. が︑損害賠償請求の根拠となる被告製造者の責任をより容易に追及できるようにするための理論展開の一つの到達点. と捉えることができる︒それは︑ネグリジェンスの過失要件を緩和し︑また︑無過失責任である保証責任から契約責. 任としての制約を廃する過程で︑両者を基礎としながらも︑新たに製品の欠陥という客観的な事由を要件とする不法 行為責任として構成された法理である︒. その意味では︑消費者等が製造物責任を追求する場合には︑ネグリジェンスや保証責任よりも厳格責任に依拠する. ︵22︶. 方が一般的には有利と言うことができよう︒しかし︑被害が有形被害︵℃ξω一琶互仁蔓︶でなく経済損失︵Φ88巨︒. 一8ω︶にとどまる場合や︑保証責任による出訴期限の方が長くなる場合には︑保証責任を追及する方が有利となる︒. また︑被告の過失が容易に証明できれば︑陪審の判断を有利に導き︑さらに陪審が認める賠償額の点でも有利となる.

(13) 可能性があるために︑被告のネグリジェンスを主張することに利点のある場合がある︒したがって︑厳格責任法理の ︵23︶. 確立にもかかわらず︑保証責任・ネグリジェンスは︑ともに製造物責任追及の根拠としての重要性は失っておらず︑ 同一の訴訟でこれらの法理が併せて援用されることも多い︒. 2 厳格責任における﹁欠陥﹂概念とその判断基準. 厳格責任法理の確立によって︑不法行為としての製造物責任は︑無過失責任に近づいたと言うことができよう︒つ. まり︑製品に起因する損害の賠償責任を製造者に負担させるために︑製造者の﹁過失﹂の証明が不要になったのであ. る︒過失に代わって︑製品事故の被害者は︑製品の﹁欠陥﹂を証明することが必要となる︒その意味で︑厳格責任は︑. 絶対責任︵ぎω・耳巴一ぎ導受︶を意味するものでも︑製造者を保険責任者︵一房ξ9とするものでもない︑と言われ. ﹁欠陥﹂の類型. るのである︒そこで︑厳格製造物責任訴訟においては︑その﹁欠陥﹂をどのように定義するのか︑事故の原因となっ ︵24︶ た製品の﹁欠陥﹂の有無を︑いかなる基準に依拠して判断するのかが焦点となる︒ ω. ﹁欠陥﹂は︑製造工程でのミスあるいは品質管理の不備などのために︑本来の設計仕様とは異なる製品が販売され︑. それが損害を引き起こす﹁製造上の欠陥︵暴妻富9霞一凝号哺Φ曾8房什毒鼠8号閤Φ&﹂︑製品の設計自体に含まれる要. 素が損害を引き起こす﹁設計上の欠陥︵号ω蒔p号︷Φ9﹂︑および︑製品の使用方法の説明や︑誤用・副作用などの可. 九五. 能性についての警告が欠如し︑もしくは不充分なために損害が引き起こされる﹁警告上の欠陥︵壽旨凝号秀什﹂? アメリカ製造物責任法における﹁技術水準﹂の概念.

(14) 早法六六巻二号︵一九九一︶. 雪牙①名霧巳轟との三種に分類するのが一般である︒. 九六. このうち︑製造上の欠陥は︑製造者が本来意図した状態から逸脱した製品が製造された場合であり︑これは︑同一 ︵25︶. の製造者による同種の他の製品と比較したり︑あるいはその設計仕様と照合することによって欠陥の有無が判断でき. る︵標準逸脱基準号≦豊目時︒ヨ夢Φ8§什8け︶︒しかし︑設計上および警告上の欠陥に関しては︑いかなる基準を. リステイトメントと﹁消費者期待基準﹂. 適用するべきかについて︑さまざまな議論がある︒ ω. 大多数の裁判所が援用するリステイトメント四〇二A条は︑﹁欠陥﹂を﹁不相当に危険な欠陥状態﹂と規定したが︑. 特定の製品にこの概念を適用するための基準を具体的に示してはいない︒しかし︑同条コメントgは︑﹁本条の規定は︑. ︵26︶. 製品が︑売主の手を離れた時点で︑最終消費者の予期しない︑最終消費者にとって不相当に危険な状態にある場合に. のみ適用される﹂と定めている︒さらにコメントーは︑欠陥とされる製品の不相当に危険な状態は︑﹁その特質に関 ︵27︶. して社会に共通した通常の知識を備え︑それを購入する︑通常の消費者が期待するものを超える程度に危険なもので. なくてはならない﹂としており︑﹁通常の消費者の期待﹂を一応の基準として提示している︒この通常の消費者の期. ︵28︶. 待にもとづく﹁消費者期待基準︵8巽幕菖巻鐘呂8竃ω什︶﹂は︑﹁欠陥﹂の判断基準として裁判所にも広く採用され. ている︒この基準は︑売買契約の目的物がその買主の期待に背く場合に売主の無過失責任を問うことができるという︑ ︵29︶ 製品の商品性に対する黙示の保証責任から発展したものと捉えることができる︒. しかし︑特定の製品の安全性に関する﹁通常の消費者の期待﹂の内容を客観的に定立するのは困難である︒一般に︑.

(15) 事実審の陪審員がその﹁期待﹂について判断する場合には︑自分自身あるいは被害者の主観を基準とすることになり. がちであろう︒特に︑専門家以外には理解できない機構やメカニズムが問題となる場合に︑﹁通常の消費者﹂がその. 性能や安全性について何を期待すべきなのか︑あるいはどこまで期待することが可能なのか︑商品として売られてい. る製品に危険性のあることを期待することがあるのかなどを考えると︑そもそも合理的な消費者の期待の内容を法的. に確定などできないのではないかとの疑問を禁じ得ない︒また︑たとえ製造者が製品の安全性を容易に高めることが ︵30︶. できる場合にも︑もし通常の消費者の目にその製品の危険性が明らかであれば︑それに起因する事故について製造者. ﹁危険効用基準﹂ーウェイド・フォーミュラー. の責任を問うことはできなくなる︒. ㈹. このように︑主観的で不明確だと批判されることの多い消費者期待基準よりも︑客観性の高い基準として有力となっ. ているのが︑﹁危険効用基準︵誘﹃登一一昌什婁とである︒これは︑製品の危険性と有用性とを比較衡量し︑製品に内. 在する危険性の程度が有用性を超えることが証明された場合に︑﹁不相当な危険﹂をもたらす﹁欠陥﹂の存在を認め. 2︶. 九七. 1︶. るものである︒具体的な製品の危険性と有用性とを比較する場合には︑ケースバイケースで製品に関する様々な要素 ︵3 を考慮する必要があるが︑これを一般的な形で定式化したものとして広く支持され︑判例でもしばしば引用されるの ︵3 がミ区Φ教授︵U8εo言華ミ区の︶が提唱した七項目の要素からなるウェイド・フォーミュラである︒ その七項目の要素は︑以下のようにまとめられている︒. ①製品の有用性と望ましさ︵留ω言匿ξ︶1使用者および社会全体に対する効用︒ アメリカ製造物責任法における﹁技術水準﹂の概念.

(16) 早法六六巻二号︵一九九一︶. ②製品の安全性!損害を引き起こす蓋然性および予想される損害の重大性︒ ③同一の必要を充たし︑危険性がより低い代替製品の入手可能性︒. 九八. ④有用性を損なったり︑効用を維持できないほどに価格を引き上げることなく︑製品の危険な性質を除去する製造 者の能力︒. ⑤製品を使用する際に注意を払うことによって危険を回避できる使用者の能力︒. ⑥製品の明白な状態についての一般社会の知識︑あるいは適切な警告もしくは指示が存在することによる︑製品に 内在する危険性とその回避可能性について使用者に期待される認識︒. ⑦製品の価格設定あるいは責任保険の加入によって損失を分散することについての製造者の側の実行可能性︒. ミ区Φ教授は︑以上の要素を比較衡量し︑製品の危険性については製造者が実際に知っていたと仮定した上で︑そ. の危険性ゆえに︑﹁合理的で慎重な製造者︵箕①器8魯8冥&①9誉曽自鼠9霞8﹂ならばその製品を市場に供給しなかっ ︵33︶. ネグリジェンスを基礎とする危険効用基準. たであろうという場合に︑製品の不相当な危険性を認めるべきであるとした︒. ㈲. 一方︑ネグリジェンス法理において加害者の過失の存在を判断する基準としては︑一83a浮&判事の公式が有. 名である︒ハンドの公式は︑P事故発生の確率︑L事故が引き起こす損害の重大性︑B損害防止のための負担︑とい. ︵級︶. う三つの要素を変数として︑P×LがBを上回る場合に加害者の注意義務違反による過失の存在を認めようというも. のである︒これは︑損害回避の費用と損害の発生率を考慮に入れた損害費用とを比較することによって過失の有無を.

(17) 判断する費用便益分析であり︑また︑問題とされる行為の社会的価値と侵害される利益の重大性とを比較衡量する危 険効用分析と捉えることができる︒. また︑同様の比較衡量は︑リステイトメントニ九一〜二九三条が行為の有用性と危険の重大性との比較衡量をネグ. リジェンスにおける合理性判断の基準として定めているところにも見られる︒リステイトメントニ九一条は︑﹁合理. 人であれば︑他人に損害を与える危険性のあることを認める行為について︑その危険性が行為あるいは行為の特定の. 方法の︑法が認める有用性を超える程度の重大性をもつ場合に︑危険性は不相当であり︑行為は過失ある︵需讐鵯8. ものである﹂と規定する︒そして︑二九二条は︑行為の有用性を判断するために考慮すべき要素として︑@行為のも. たらす利益に法が認める社会的価値︑⑥行為によってその利益が増進あるいは保護される蓋然性︑@より危険性の低. い代替行為によって利益が増進あるいは保護される蓋然性︑を挙げる︒二九三条は︑危険の重大性の判断要素として︑. @危険にさらされる利益に法が認める社会的価値︑⑥行為が他人の利益侵害を引き起こす蓋然性︑@危険にさらされ. る利益に及ぶ可能性の高い損害の程摩@損害発生の場合に利蒙侵害される人の歎を挙霧・ ︵36︶. したがって︑危険効用分析を責任判断の基準とするウェイド・フォーミュラの考え方は︑ネグリジェンスに基礎を. 置くものと考えることができる︒そして︑この危険効用分析を基準とする場合︑厳格責任とネグリジェンスとの違い. は︑ネグリジェンスにおいては加害者の行為が評価の対象となるのに対して︑厳格責任においては損害をもたらした. 九九. 製品が問題とされる点にある︒また︑製品の持つ危険性についての知識︵ω畠暮震︶が加害者に実際にあったかどう. かにかかわらず︑あったとみなすことによって︑加害者の責任を認める射程距離が広がるのである︒ アメリカ製造物責任法における﹁技術水準﹂の概念.

(18) カリフォルニア州最高裁判所の動き. 早法六六巻二号 ︵ 一 九 九 一 ︶. ⑥. バーカー基準まで−. 一〇〇. 一九七二年︑先の9Φ9目き判決によって厳格責任法理を判例の上で確立したカリフォルニア州は︑その後の厳. 格責任法理の発展においても︑先鋭的な役割を果たした︒ ︵37︶ o●中9ω80興℃.において︑製品に起因するすべての損害を製造者 カリフォルニア州最高裁判所は︑98冒<︒︸b. に保険責任者として負担させるのを避けるために挿入されたとされる﹁不相当に危険﹂というリステイトメント四〇. 二A条の語句について︑﹁ネグリジェンスの響きのする要素の証明責任を被害者である原告に負担させた﹂ものと批. 判した︒そして︑厳格責任は︑ネグリジェンスおよび保証責任の追及に必要な︑困難な証明責任から原告を解放する. ことを目的として発展したものであり︑製品の製造または設計に欠陥があったこと︑および︑その欠陥が損害の近因. であったことの証明を要件とすることによって︑売主は保険責任者とはならない︑とした︒結論としては︑﹁不相当. に危険﹂であることの証明を要件とすることは原告の負担を過重にするもので︑厳格責任の適用には︑製品の﹁欠陥﹂ があることの証明だけで足りるとの判断を下した︒. この98ぎ判決は︑消費者期待基準を否定し︑﹁不相当に危険﹂という概念を放棄したものの︑それに替わる﹁欠. ︵38︶. 陥﹂の判断基準を何も示さなかった︒そのため︑その後のカリフォルニア州の製造物責任法は混乱に陥ったと評され ている︒. ︵39︶ このような状況の下で︑一九七八年に︑カリフォルニア州最高裁判所は︑浮詩震<︒い邑め凝冒Φ段一凝9﹂琴にお. いて︑新たな基準︵以下︑バーカー基準とする︶を示した︒それはまず︑﹁不相当に危険﹂という要件は︑厳格責任.

(19) 原則の適用を不当に制限するものだという99嘗判決の判断を先例として踏襲した︒そして︑﹁欠陥﹂を判断する. ための基準として︑﹁第一に︑製品が本来の目的あるいは合理的に予見可能な方法で使用された時に︑通常の消費者. が期待する程度の安全性をもって作動しなかったことを原告が証明した場合には︑製品に設計上の欠陥があると判断. することができる︒第二に︑製品の設計が原告の被害の近因であることを原告が証明し︑被告が︑関連する要素に照. らして︑衡量において︑問題とされた設計の便益がその設計に内在する危険のリスクを超えることを証明しなかった 場合に︑製品に設計上の欠陥があると認めることができる﹂との判断を示した︒. このバーカi基準は︑消費者期待基準と危険効用基準とを並列的に結合させた﹁二股基準︵ヨ︒冥・お88﹂であ ︵40︶. る︒﹁不相当に危険﹂という要素を﹁欠陥﹂を認めるための要件とすることは否定したものの︑リステイトメント四. 〇二A条コメントーと同様の消費者期待基準によって欠陥が認められない場合に︑さらに重ねて危険効用基準を適用 できることとしたのである︒. 第一の消費者期待基準においては︑欠陥が特定できない場合であっても︑状況証拠によって製品に欠陥が存在する. ことを証明できる︒第二の危険効用基準では︑問題とされる設計のもたらす危険の重大性︑蓋然性︑より安全な代替. 設計の技術的実行可能性︑代替設計のもたらす製品および消費者に対する悪影響を考慮すべき要素として例示した︒. バーカー基準は︑二つの基準のうちどちらか一方によって欠陥が証明されれば被告の責任を認めるのであるから︑被 害者が救済される範囲を広げる可能性を含むことは確かであろう︒. 一〇一. そして︑バーカi基準の最も重要な特徴は︑第二の危険効用基準の適用にあたって︑証明責任を原告から被告に転 アメリカ製造物責任法における﹁技術水準﹂の概念.

(20) ︵q︶. 早法六六巻二号︵一九九一︶. 一〇二. 換したところにある︒つまり︑危険効用基準を適用して欠陥の存在を証明する責任は︑元来は原告にあったのに対し. て︑バーカー基準は︑原告が製品の欠陥が近因となって損害が発生したことの一応の証明︵冥ぎ巴豊︒怨〇三凝︶を. すれば︑今度は被告が︑有用性と危険性との比較衡量のために︑先に挙げたような製品の持つ特徴や要素についての. ︵42︶. 証拠を提出し︑製品の有用性が危険性を上回ることを証明しない限り︑被告の欠陥の主張を認めるのである︒. ㈲ バーカー基準に対する批判. だが︑このバーカー基準は︑その後の判決でもほとんど支持されず︑学説もおおむね批判的な態度をとる︒最も批 判が集中するのは︑やはり証明責任の転換に関してである︒. 原告被害者が設計上の欠陥の存在を証明するためには︑製造物責任訴訟の経験豊かな一流の弁護士に依頼するとと. もに︑専門家に鑑定や証言を依頼する必要があり︑それには多大な費用を要する︒そこで︑バーカー基準は︑その原. ︵43︶. 告被害者の証明上の負担の軽滅を図り︑本来専門家である被告製造者に証明責任を転換したものと考えることがで. きる︒したがってこれは︑ネグリジェンスにおける事実推定則に類似した反証可能な推定︵お日9ぎ一①冥Φ曽ヨ旨8︶. を厳格責任訴訟において行うことを意味する︒しかし︑製品による損害発生の事実だけから製品の欠陥を直接推定す ︵艦︶ ることができるという点について︑合理的根拠がないと批判される︒. また︑危険効用基準による製品の設計の評価では︑危険性が有用性を明らかに大きく超えていないかぎり︑通常の. 場合には︑何らかの代替設計との比較が不可欠とされる︒しかし︑バーカー基準に従えば︑原告が代替設計について. の証拠を提出する必要はない︒通常は︑このような代替設計を含め︑製品の欠陥を推定させるに充分な一応の証拠を.

(21) 原告が提出しない場合には︑事実審裁判所は︑陪審の判断に委ねることなく︑原告の証拠提出責任が尽くされないと. して指示評決︵費貧巴お邑&を下す︒ところが︑バーカー基準を適用する場合には︑製品に起因する損害の事実. さえあれば︑他に何の証拠がなくても欠陥が推定されるために︑原告の主張が法的実体に乏しい場合であっても︑大 ︵45︶ 半の事件における事実認定が陪審の判断に委ねられる可能性があり︑訴訟経済上の問題も指摘されている︒. 以上見たように︑一口に﹁厳格責任法理﹂と言っても︑その中心概念である﹁欠陥﹂の判断基準についての合意は. なく︑判例においてもその基準が揺れ動いている︒では次に︑実際に裁判の過程でさまざまな主張の裏づけとして挙. 厳格責任の政策的根拠. げられる︑厳格責任の政策的根拠を見ておきたい︒. 3 ︵46︶. 製品の製造者に厳格責任を課することについては︑主として従来のネグリジェンスとの比較で︑さまざまな政策的 根拠づけが行われている︒それらを簡単にまとめると︑以下のようなことになろう︒. ①製造者に対して︑製品の安全性を向上させるための刺激を与えるインセンティブとなること︒. 製品の欠陥に起因する損害の費用をすべて製造者が負担することになれば︑製造者はその損害費用を考慮に入れて. 製造方法を決定し︑安全性を高める調査研究に力を入れる動機が強まる︒また︑製造者から見て︑安全性が低いため. 一〇三. に市場に供給することがコストに合わないほど危険な製品は︑製造そのものが見合わせられ︑危険な製品が市場に出 回る確率は低くなる︒ アメリカ製造 物 責 任 法 に お け る ﹁ 技 術 水 準 ﹂ の 概 念.

(22) 早法六六巻二 号 ︵ 一 九 九 一 ︶. ②費用が内部化されることによって製品は真のコストを反映し︑資源の適正配分がもたらされる︒. 一〇四. 製品の価格は︑製造費用と事故のもたらす損害の社会的費用との双方を反映すべきである︒製品の危険性や損害発. 生の確率など事故費用算定に必要な情報は製造者が独占しているが︑製品の価格が危険性のコストを反映すれば︑消. 費者は︑価格から製品のすべての費用を知ることができ︑購入についての合理的な決定が可能となる︒製品のもつ危. 険性が高まれば︑製品の価格も上昇するために︑市場において︑製品の需要は安全性を反映しながら調整され︑社会. 的資源は適正に配分される︒もし︑製品から社会的費用が省かれて安価で売られれば︑その製品に過度の需要が生じ︑ 社会全体の資源配分に歪みが出る︒. ③製造者は︑製品の価格上昇や保険加入などによって損害を広く分散できる︒. 事故による損害は︑他に損害を分散することのできない被害者個人が負担するよりも︑損害費用を製品の価格に上. 乗せしたり︑保険に加入することによって︑損害を分散することのできる製造者が負担する方が望ましい︒製品によ. る便益を享受するのは︑社会全体であり︑とりわけその製品の購入者であるから︑その便益と引き換えに全購入者が わずかずつ事故費用を負担する方が︑被害者個人が大きな負担をするよりも妥当である︒ ④製品の危険性をコントロールできる立場にあるのは製造者である︒. 製造者と消費者とを比較すれば︑資力においても︑製品に関する情報・知識の量と質においても製造者が一般的に. 優位な立場にある︒また︑製品の製造過程を支配する製造者は製品の危険性をコントロールして損害を回避する能力. においても優位な立場にある︒特に︑高度で複雑な先端技術を駆使して製造される製品についてはそのことがよくあ.

(23) てはまる︒そのため︑事故発生以前の損害回避においても︑事故発生後の損害救済においても︑一次的な責任は製造 者が負うべきである︒. ⑤製品に起因する事故の責任を製造者に負担させることは︑社会的倫理観念に適合する︒. 製造者は︑製品の製造販売によって利潤をあげているのだから︑製品の欠陥が原因となって事故が起きた場合には︑. その損害の費用を負担するのが当然である︒また︑利潤を追求する営利事業として危険を伴う製品を社会に供給する. 製造者が︑製品の危険から生じる損害を補償することを条件としてはじめて︑その供給行為は社会的に許容される︒ ⑥現代社会のマーケティングが生む消費者の期待を保護すべきである︒. 現代社会では︑大量の広告宣伝など企業のマーケティング戦略によって︑消費者は︑購入意欲をあおられ︑安全か. つ良質な製品の供給を期待するよう習慣づけられている︒そこには製品の安全性についての期待もあり︑積極的にマー. ケティングを行う製造者に製品事故が発生した場合の損害賠償責任を課することによって︑消費者の持つ期待を社会 的に保護することができる︒. ⑦訴訟において原告被害者が被告製造者の﹁過失﹂を証明するのは困難である︒. 一般に被害者は︑専門的知識を持たず︑また︑製造者の支配下にある特定の製品の製造過程についての情報を容易. に得ることはできないため︑製造者の過失を証明するのは困難である︒その点︑より客観的に判断が可能な製品の欠. 一〇五. 陥が証明されれば製造者の責任を認めることを原則とすれば︑過失の存在を証明できないことだけを理由として救済. されなかったケースにまで法的救済の範囲を広げることができ︑訴訟経済上も節約になる︒ アメリカ製造物責任法における﹁技術水準﹂の概念.

(24) 早法六六巻二号︵一九九一︶. 一〇六. ①〜③に挙げた︑安全性向上のインセンティブ︑コスト内部化と資源配分︑損害分散という根拠は︑主として経済. 分析にもとづく議論であり︑⑤⑥の企業責任の社会的倫理︑消費者の期待保護は︑弱者としての消費者保護の一般的. な根拠となり得る要素である︒そして︑④のリスク・コントロールは︑経済効率と消費者保護とのいわば橋渡し的な. 性格をもつ︒また︑⑥の証明問題は︑訴訟上の公平な証明責任の分配に配慮することにより︑訴訟社会アメリカにお. ける消費者保護に実効性をもたせるとともに︑訴訟経済という一般的な法の要請と結びつけて消費者保護の根拠を補. 強するものと考えることができる︒したがって︑以上挙げた政策的根拠は︑製造者に厳格責任を負わせるべきである ︵47︶. ということを︑単独で充分説得的に厳格責任を根拠づけるものではなく︑それぞれが相互に補完し合いながら︑全体 として厳格責任法理を支えていると見るべきであろう︒. 製造物責任の責任主体には︑製造業者︑小売業者︑卸売業者︑ディーラー︑輸出入業者︑賃貸業者︑政府・行政機関︑役務提供者などが考え. られる︒本稿では︑責任主体の問題は特に論じないため︑以下︑製造物責任の責任主体を意味する﹃般的な語として﹁製造者﹂を用いる︒ただ. ︵−︶. 個別の問題を論じたものについては後に適宜触れるが︑さしあたり︑アメリカ製造物責任法を全般的に紹介する最近の文献として︑木下毅﹁諸. し︑判決文や制定法などの引用部分において﹁売主﹂など他の語で責任主体を指している場合には︑それに従う︒. 外国における製造物責任ωアメリカ︵現状を中心に︶﹂﹃消費者法講座2﹄日本評論社︵﹃九八五年︶︑松本恒雄﹁アメリカにおける製造物責任﹂. ︵2︶. 製造物責任間題の変遷﹂︵朝見行弘︶︑﹁同第2章第−節. 一〇ρ一㎝鱒国昌鮫幻8■藤ON︵一〇〇餌N︶・. 第1章. 製造物責任の責任理論﹂︵山口正久︶などがある︒. 判例タイムズ六七三号︵一九八八年︶︑安田総合研究所﹃製造物責任ー国際化する企業の課題﹄有斐閣︵一九八九年︶︑のうち︑特に﹁第1部. ζ︐鱒薯. アメリカ. この判決で︑カードーゾ︵9三8︒︶判事は︑一般的な原則を次のように表現した︒﹁ある物の性質が︑不注意に製造された場合には人の生命. Oρ一一一Z甲一〇㎝O︵一⑩一①γ N一刈2●K●ωo. OZ︐ドω㊤刈︵一〇〇㎝Ny. 6543.

(25) や身体に危険をもたらすことが相当程度に確実であれば︑それは危険物である︒その物の性質は︑予期されるべき結果について︑警告を与えて. 合には︑契約とはかかわりなく︑その危険物の製造者は︑注意深くその物を製造する義務を負う︒⁝⁝ネグリジェンスの結果を予見することが. いるのである︒危険の要素に加えて︑その物が買主以外の者によって使用され︑しかも改めて検査することなく使用されるという認識のある場. をしかるべきところに置いた︒その根拠を法に置いたのである︒﹂す. できる場合には︑生命と身体を守る義務が発生する根拠は契約以外の何ものにもない︑という認識をわれわれは斥けた︒われわれは義務の根拠. ︵8︶ 一①Q o妻器﹃■&O﹂培面含. 8︵這o︒N︶︐. ︵7︶ 竹内昭夫編﹃わが国の製造物責任法﹄有斐閣︵一九九〇年︶二頁︵森島昭夫︶︒. oレ2>卜oα8︵一〇①Oy 器o. ︒鼻y彗8ρ 一〇〇. ︵9︶ζ震Φ葺<■︾毒︒ξO︒こ誤要器罫①器﹂G︒㎝︐①︒︒︒︒︵一㊤一ω︶.. 鵠Z﹂. ︵10︶ 雰oのの男>召国田↓ozoz↓○胃の︵㎝昏①α. ︵11︶. ﹁事実として︑ディーラーも通常の買主も︑食品であろうと自動車であろうと︑それを自分自身で消費したり使用するだけの目的で買うこと. ︵12︶ その理由づけは次の通りである︒. はなく︑またそうは期待されていない︒製造者はこのことを認識し︑その前提の下に製品を宣伝し︑市場に置くのである︒このことは︑﹃ファ. ミリー﹄カー︑ベビーフード等の呼称からも明らかだ︒商品の売買契約における直接当事者関係の制限は︑市場関係が単純で︑製造者と買主と. が対等の立場で直接交渉することが多く︑製品の多くがそれほど複雑でなく︑品質を評価する能力のある買主が点検するに適したものであった. アによって作り出される︒そのような経済においては︑消費者は教化される者であることが判明した︒﹃消費者﹄という言葉は︑﹃買主﹄よりも. 時代に発達した︒⁝⁝大量販売の時代になると︑製造者は買主から離れた立場にあり︑売買は中問業者を通して成立し︑製品需要は宣伝メディ. 広い意味を持つことが明らかであった︒消費者とは︑売買当事者の合理的な思考において︑製品を使用することが予測される可能性のある人を. 最終消費者の問の当事者関係の要件を排除することによってのみ社会の利益は保護されるのである︒そのようにして︑欠陥のある商品を使用し. 意味した︒したがって︑売られた商品が欠陥を伴って生産されれば生命や身体に危険を及ぼす商品である場合には︑製造者とディーラーおよび. た結果生じる損失は︑危険を抑制することのできる︑あるいは損失が生じた場合にその損失を公平に配分することのできる立場にある者が負担. することとなる︒⁝: ⁝⁝現代的な条件の下では︑通常の素人は派手な宣伝の執拗さに応えて︑自動車が使用に適するかどうかを検査あるいは決定する機会も能力. 一〇七. このような市場環境においては︑﹇通常の消費者や﹈彼を通じて正当に要求することのできる人々の﹇損失の﹈救済は︑﹃売買法の複雑な事情﹄. も有しない︒自動車の製造を支配する製造者を信頼し︑また︑:・...自動車を点検・整備するディーラーにある程度依存するほかないのである︒. アメリカ製造物責任法における﹁技術水準﹂の概念.

(26) 早法六六巻二号︵一九九一︶. 一〇八. に左右されるべきではない︒﹃製造者の義務は直接契約関係のみを基礎とする﹇のではなく﹈︒⁝:社会正義の要求を基礎とすべきなのである︒﹄ ︵引用略︶. したがって︑現代の市場状況の下では︑製造者が新車を流通に置き︑一般市民による購入を促す場合には︑新車としての使用に適するという 黙示の保証がその車に付随して最終購入者にまで到達するものと判断する﹂軍 この論文の指摘に従った︒. ︵13︶ ≦⁝弩﹃零o器9↓竃︾ω器葺呂9①Ω93二の鼠9﹃昏旨q89Φ08霊目8噂8ぺ包のい・匂一8卸=ミ・以下の保証責任の限界についても︑. ︵14︶ UCC二−=二五条は︑黙示の保証の成立要件として﹁契約の時点においてその商品が必要とされる特定の目的を売主が認識する理由があり︑. UCC二⊥三六条は︑売主が保証責任を否定あるいは制限することを認め︑また二−七一九条は︑売主が保証の範囲を制限することを認めて. 適切な商品を選択あるいは供給する牽王の技術または判断を買主が信頼している﹂ことをあげる︒qOO勧b︒65ワ いる︒qOO諭㈱㌣QQ一9譲9. ︵15︶. 園9r謹&ωレ㎝O即Nα鼻ω①︵一㊤倉︶︒. ︵16︶ qOρ伽㌣OO刈︵G︒︶︵銭. ︵17︶. ︵18︶ 雰○鴇男︾召寄胃ozあ巷声88⑩る蕊倉・なお︑第二次不法行為リステイトメント三二八D条は︑次のように定める︒. ω. 原告および第三者の行為を含む他の責任原因が︑証拠によって充分に排除されていること︑かつ︑. 通常は過失なしには起こらない種類の事故であること︑. 原告の受けた損害は︑以下の場合には被告の過失︵需αq凝撃8︶に因るものと推理することができる︒. ﹁事実推定則︒. b. a. c 主張される過失が︑原告に対する被告の義務の範囲内にあること︒. ㈲ 陪審が合理的に推理を行う可能性があるか︑あるいは推理を必ず行わなければならないかを決定するのは︑裁判所の機能である︒. ⑥ 他の結論が合理的に導かれる可能性のある場合に︑推理を行うべきであるかを決定するのは︑陪審の機能である︒﹂勾湧ヌ田臣召︵oっ冒o召︶. 写oωの男>召欝胃07ω唇轟89一〇曾謡刈. o問↓o胃︒︒伽NωcoO︵一〇①㎝︶︑. ︵19︶. 使用者または消費者あるいはその財産にとって不相当に危険な欠陥状態にある製品を販売した者は︑以下の場合には︑その製品が最終使用. ﹁使用者または消費者に対する有形損害についての売主の特別責任. ︒ミー﹄αo︒S︵一8G︒︶︒ ︵20︶ $9一﹄α鶉一ミ9一︐閃冥﹃︐88G. ω. ︵21︶.

(27) 者または消費者あるいはその者の財産に対して引き起こした有形損害についての責任を課せられる︒. 第ω項の規定は︑以下の場合にも適用される︒. 製品が︑販売された時の状態に実質的な変更がないままで使用者または消費者に到達することが予期され︑あるいは現に到達する場合︒. a 売主がそうした製品の販売を業としており︑かつ︑. b. 有形被害とは︑生命・人体・財産に対する直接の被害であり︑経済損失とは︑欠陥製品の修理費用や欠陥による価値の減少︑欠陥による逸失. ︵の80否︶○男↓○霧の㈱轟8>︵一〇①㎝︶曾. b 使用者または消費者が︑その売主から製品を購入しなかった︑あるいは︑その売主と何らの契約関係にもなかった場合︒﹂寄︒・↓>↓畢男↓. a 売主が製品の調整および販売において可能なかぎりのあらゆる注意を尽くし︑かつ︑. 吻. ︵22︶. 一三頁以下︵山口︶︒. 利益などである︒一般には︑経済損失の賠償は契約責任によるものに限り︑厳格責任においては認められない︒安田総合研究所・前掲書注ω一. このアメリカの厳格製造物責任法理における﹁欠陥﹂概念については︑朝見行弘﹁厳格製造物責任理論における欠陥概念ーアメリカ製造物. 松本・前掲論文注①八七頁以下︒. ︵一8㎝y. 不相当に危険︵ご導①器8暮ξ∪き鴨3ロω︶. 本条の規定は︑製品の欠陥状態のために︑製品が使用者あるいは消費者にとって不相当に危険となる場合にのみ適用される︒多くの製品は︑. ﹁i. アメリカ製造物責任法における﹁技術水準﹂の概念. 一〇九. かの損害の危険性を含む︒普通の砂糖も︑糖尿病患者にとっては死をもたらす毒であり︑ヒマシ油は︑ムッソリー二の下では拷問の道具に使わ. すべての消費にとって完全に安全に作られることがまずもって不可能である︒また︑いかなる食物でも医薬品でも︑過剰に摂取すれば必ず何ら. ︵27︶. たという結論を支える証拠が提出できない場合には︑証明責任は果たされない︒︵以下略︶﹂力霧↓鴬雲男二留8呂︶畠↓○召諭斜8︾8旨墓暮喚. れる︒⁝⁝特定の売主の手を離れた時点で製品が欠陥状態にあったことの証明責任は︑原告被害者が負う︒そして︑その当時製品に欠陥があっ. 本条の規定は︑製品が売主の手を離れた時点で︑最終消費者が予期しない︑最終消費者にとって不相当に危険な状態にある場合にのみ適用さ. ﹁g 欠陥状態︵09Φ&話Oo且三自︶. 安田総合研究所・注︵1︶前掲書六五頁以下︵朝見︶︒. 号︵一九八六年︶ ︒. の記述も︑この論文に負うところが大きい︒朝見行弘﹁製造物責任責任理論における欠陥概念!アメリカ法を手がかりとしてー﹂私法四八. 責任理論の動向ー﹂︵一︶︵二︶法政論集︵名古屋大学︶九七号︵一九八三年︶︑一〇一号︵一九八四年︶︑が詳細な検討を加えている︒ここで. 2423. 2625.

(28) パ. 早法六六巻二号︵一九九一︶. 一 〇. れた︒これは本条でいう﹃不相当に危険﹄の意味するところではない︒売られる製品は︑その特質に関して社会に共通した通常の知識を備え︑. 8ヨヨo旨陣︵一㊤Oαy. oOy 3一ふ段︵むo. それを購入する通常の消費者が期待するものを超える程度に危険なものでなくてはならない︒︵以下略︶﹂園田↓︾田蕎轟︵留8琶窮ぎ鍔島さN> たとえば︑ω毎8≦ζ畦身−ζ豊9け曽Oo∈・ふ&劉謹濠卜︒︵ご蕊︶・皿1㈲参照︒. 望ヨげ窪β9暴葵言の島Φ↓婁穿Oa讐∪①h①3写§凝αq凝象8冒妻鷲声旨邑8の鼠g訟呂凶犀蔓8詩讐鵯gρ紹く弩身一 寄<●$鯉. ≦呂ρ○昌勺﹃oα8﹃︒∪︒ω一讐O①h︒9ω︑.き含↓獣巽>葺o轟びま9ωω<曽呂︐﹃沁①<. ︒9一■段B一レ宝9一 o. りo︒︵一〇9y. 智9嵩ωふ2即窪=紹.この事件では︑原告がパンの配達中に︑前を走るトラックを追い越そうした際︑突然そ. ∪一冨9a<霞象9勺声&︒Φ﹃誓Φ9≦9↓o﹃貫鴇2聖イ¢︒﹃認くふ器ひミーoo︵一⑩Q︒Ny. のトラックが左折して原告の運転する配達用トラックに衝突し︑配達用トラックが道路からはずれて溝に転落した︒その衝撃で︑運転席の後ろ. い勇Φ︿■お9. ωO−轟占る一3σ窪賞ω唇声8富ωρ讐①8ふOoo︐. 重傷を負った︒原告は︑横転防止のロールバーなど六点にのぼる代替設計の主張を行い︑安全装置がないローダーの設計に欠陥があると主張し. る土地上で運転操作していた原告が︑積荷が傾いて落ちそうになったローダーから飛び降りて逃げようとした時に︑落ちてきた木材に当たって. 89一薗窪占ω頼湊9一勇唱貧N謡ふお型謹武ω︵一雪o︒︶●この事件では︑建築現場で資材を持ち上げるハイリフト・ローダーを急斜面のあ. り9≦輿貫閃o話≦o﹃野¢巳Rω鼠且一凝ギ029︒︒=暮一一ξ層①刈9一 O●o. 告は︑止め具に欠陥があるとして︑被告の厳格責任を追及した︒. でパン棚を固定するアルミの止め具が壊れ︑棚が原告の背中を打ち︑原告はフロントガラスを突き破って地面に投げ出されて重傷を負った︒原. ︵37︶. 役に立たない︑という批判もあるσ↓蓄あ年留巨凝5①≦α色Φ9︒巨αωΦ薯︒雪評一8曽aの9区餌こω5∪Φω茜昌O昏9=凝豊o冥︾身曽9凝. この点で︑ウェイド・フォーミュラは単にリステイトメントのネグリジェンス基準を拡張・洗練したものにすぎず︑厳格責任の政策分析には. 幻霧↓>↓寒塁↓︵留8琶︶o哨↓o胃ωゆゆ8一. 雰oω︒り男>召穴国胃07ω6声8器一〇讐一お︸国陽琶p>↓げ8蔓o窃鼠9=暮一一ξる回●U①αq巴のけF窃一噛一黛山鶉︵這おy. 文集﹃私法学の新たな展開﹄有斐閣︵一九八○年︶四一二頁以下︑森島昭夫﹃不法行為法講義﹄有斐閣︵一九八七年︶二〇一︑四二八頁︑. 朝見行弘﹁製造物責任論における欠陥概念﹂注︵24︶一八九頁︑森島昭夫﹁損害賠償責任ルールに関するカラブレイジ理論﹂我妻栄追悼記念論. 置.噛讐ooωリムO︐. 一Sωy oG︒ o︵o o零−o 薯区ρ○昌誓︒Z曽冒話ohの霞鐸↓o旨口暮=ξho鷺℃﹃o身9ω層&霞ωω甲r一■oo謡曽o. たとえば︑○︑ω邑ロ<・ζ5ζpOgP逡Z・一一$﹂$︾ぎ田o︒︵お︒ o ω︶る8魯︿民88β809﹂鶉ふ謡型謹旨黛這刈春︶・皿1㈲㈲参照︒. O一ωふ=︵一〇〇〇〇︶■. 302928. 31 32 33 34. 3635 3938.

(29) た︒これに対して被告は︑原告の主張する安全装置は︑他の機能を損ない︑必要がない︑あるいは危険性を高めるもので︑事故の原因は原告の 往︵27︶参照︒. 未経験と危険な行為にある︑と反論した︒. ﹃閃①<︐ミ︒︒モo︒. 朝見﹁厳格製造物責任理論における欠陥概念︵︻︶﹂注︵24︶六八頁︑同﹁製造物責任理論における欠陥概念﹂注︵忽︶一九一頁︑浮区︒あ︒P短・. ムO㎝噂. これらの点につき︑浮且霞ω︒Pω名轟8竃鳶︑讐おやおo︒あ9奢曽畦貫︒︒唇轟88ωo ︒る区雪−&o︒一妻匿ρω6声8器8扇まおる・︾国召↓国劉. アメリカ製造物責任法における﹁技術水準﹂の概念. ねるべきではない︑という立場からの批判もある︒国9号あ︒P算導零壁層すこれは︑製造者の行為ではなく製品の欠陥を間題とする厳格責任. もかく︑実際に問題となる複雑な製品についての技術的な評価を必要とする実用的可能性を含めた設計についての判断を︑素人である陪審に委. なお︑バーカー基準によってあらゆるケースが陪審に付されることになりかねない︑という批判には︑ナイフのような単純な製品であればと. 摘する︒妻匿Φ﹂F暮㎝お︑. むしろ︑原告の証拠不充分として下される指示評決が少なくなり︑設計上の欠陥ケースのほとんどが陪審に付されることになる点が重要だと指. 証明責任の転換は厳格責任に内在するものではなく︑それによって被告の負担が軽減されるという主張にも︑実際の裁判過程では根拠はなく︑. が妥当であるという被告の積極的な主張の前に︑自らの主張を弁護する側に回らざるを得ないことになる︒の号語言﹂F讐&9また︑妻9︒号も︑. 設計の妥当性を主張するための証拠を提出することになり︑原告は︑その後に欠陥の主張を行うことになるからである︒つまり︑原告は︑設計. 力のある証拠を出した当事者が有利なのに対して︑バーカi基準によれば︑原告が製品の設計と損害との近因を一応証明すれば︑今度は被告が. ただし︑の9奉言によれば︑バーカ﹂基準の援用は︑訴訟戦略上︑必ずしも原告に有利とはならない︒それは︑陪審制の下では︑先に説得. 訟指揮となることを指摘する︒峯. o 曽さらに9器旨は︑﹁不相当に危険﹂という概念を拒否したことにより︑初めから原告に有利な訴 ζ8男乞評88房ロ岳∈譲ζ類︵冨o︒O︶るけ︒. ︵47︶. 格を欠くと評している︒欠陥のない製品による損害の例として︑切れるナイフでケガをした場合や︑高速で走る自動車でブレーキが問に合わず に事故を起こした場合などを挙げる︒一皇緯&?&S. 責任訴訟において事実推定則を採用する先例となった穿8一帥判決︵ω6轟8譜ミ︶と比較し︑バーカー基準はこのような合理的・常識的な性. この点での9語昌Nは︑適切に扱われたコーラのビンが破裂したことをボトラーの過失の推定の根拠とし︑ネグリジェンスにもとづく製造物. の9≦巽貫ω信℃声88ωoo噸暮轟O. その数少ない例の一つに︑O弩§一再ギ碧葺9●<.望葺㎝8コ匿o︒醇︵≧9ω蓋おお︶がある︒皿1ω参照︒. ︵一〇刈Oごの9≦曽﹃貫ωε茜8け①ωQ o−暮&食≦区ρωε審昌08Nρ讐㎝刈oo︸ω岸呂窪β雲質帥ぎ8ωρ讐①O㎝−①09. 口睾&︸且一︒邑O︒暮3<R亀9Ru︒h︒亀くΦ℃3段gU①昌量↓︒奉a9Φ℃おωR︿豊g︒︷き国目Φ愚畠08ω雪ω信ωふω置ωω. 4140. 464544.

(30) 早法六六巻二号︵一九九一︶. およそ厳格責任を論じる場合には︑何らかの政策的根拠づけを伴うのが普通で︑わずかでもこの点に触れる文献はきわめて多い︒ここでは︑. oOy o一︵這o ピ︒幻①︿︐①o たとえば︑厳格責任の根拠として最も頻繁に唱えられる損害の分散を考えてみると︑被害者の損害の負担を広く分散することのみを根拠にす. ロ9ω犀沁区一蔓噂ωω く 四 区. もなろう︒. 皿. の手段を尽くしていたことが認められる場合には︑被告製造者の責任は問われないことが多い︒. るいは業界の﹁技術水準︵馨弩︒P訂曽3﹂の下で製品の危険性を発見し︑損害を予防・回避するために可能な限り. ︵1︶. 過失の判断要素は︑厳格責任において本来は問題とならない︒しかし︑実際には︑製造・販売の時点における社会あ. 厳格製造物責任の責任要件が製品の﹁欠陥﹂である以上︑注意義務と義務違反︑危険の予見・回避可能性といった. 1 判例の動向. 厳格責任訴訟における﹁技術水準﹂. なると︑それはもはや訴訟を通じた法的処理よりも︑行政的な被害者救済システムあるいは社会保障制度によって解決すべき問題ということに. れば︑製造物事故に限らず︑あらゆる事故の損害を︑加害者の有責性とはまったく無関係に︑社会全体に拡散すべきという議論もなりたつ︒と. ︵49︶. 七頁以下︵朝見︶︒なお︑これらの政策的根拠を整理し︑それぞれを批判的に検討するものとして︑○蓄P認量爵一凝9Φぎぎ諺oあE9零oα・. 日本評論社︵一九八五年︶一〇五頁以下︑平野裕之﹃製造物責任の理論と法解釈﹄信山社︵一九九〇年︶四〇四頁以下︑安田総合研究所・前掲. ﹃現代損害賠償法講座4﹄日本評論社︵一九七四年︶四三七頁以下︑森島昭夫﹁製造物責任の発展ω製造物責任問題の展開﹂﹃消費者法講座2﹄. 邦語文献のうち︑一覧的にまとめているもののみを挙げておく︒以下のまとめも︑これらの文献に従った︒望月礼二郎﹁自動車製造者の責任﹂. ︵48︶. 対象となる︑という論理となろう︒. そのものを陪審制の裁判所が評価すべきではなく︑製造者の行為に過失・注意義務違反などの有責性が認められるかどうかのみが妥当な評価の. そのものに対する批判につながる︒つまり︑多様な要素をさまざまに組み合わせて設計仕様を決定するのは専門家の製造者であって︑その設計. 二.

(31) そこでまず︑この﹁技術水準﹂の概念が判例でどのように用いられているのか︑どのような役割を果たしているの. ﹁技術水 準 ﹂ 概 念 の 登 場 と そ の 多 様 性. かを追ってみよう︒. ω. ︵3︶. 田3雫9ぎき9︐であったという︒天井取付型のドアが落ちて負. ︵2︶. 製造物責任において﹁技術水準﹂が間題とされるのは︑もともとネグリジェンス訴訟においてであった︒この用語 が初めて用いられた事件は︑一九五六年のU昌く. 傷した原告が︑ドアの製造業者の設計上の過失責任を追求したこの事件で︑イリノイ州控訴裁判所は︑問題にされた. 設計は︑業界において経験上安全とされていることが明らかであり︑過去に何度も安全に使用されているために︑. ﹁その時点での技術水準および当該製品使用の過去の歴史は︑設計においても製造においても︑実質的な変更の必要. を示すようなものではなかった﹂と判断し︑原告の主張を斥けた︒ここでは︑被告の行為の合理性を示す証拠として. ﹁技術水準﹂が採用されたのである︒ネグリジェンス訴訟においては︑製造当時の﹁技術水準﹂の下で利用できる技. 術の範囲内で最善を尽くした製造業者の行為に注意義務違反を認めることは不合理で︑過失責任を負わせることはで. きない︑ということになる︒つまり︑﹁技術水準﹂は︑製造業者の注意義務の程度を評価するための一つの重要な基. 準となるのである︒だが本判決は︑﹁技術水準﹂が何を意昧するのかについて明確な定義は示さなかった︒. o塁判決以降︑﹁技術水準﹂の概念は︑実にさまざまな意味で使用されている︒それは大きく︑①同種の製品の製. 一二二. 造についての業界の標準的な慣行︑②法的あるいは行政上もしくは業界の自主的な品質・安全基準︑③科学・技術分 ︵4︶ 野での知識の到達水準︑④実際的・経済的な実行可能性の四つのカテゴリーに分類されている︒ アメリカ製造物責任法における﹁技術水準﹂の概念.

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