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博士(医学) 咼橋健太 学位論文題名

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Academic year: 2021

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     博士(医学)   咼橋健太 学位論文題名

メチル化CpG 結合夕ンノヾク質h/IeCP2 とJC ウイルスタンノヾク質の      相関に関する研究

学位論文内容の要旨

【 背 景 と目 的 】JCウ イ ルス(JCV)はsmuan virus 40,BKウイ ルス等 が含まれ るポリ オ ー マ ウ イ ル ス に 属 す る . 進 行 性 多 巣 性 白 質 脳 症(progressive multifocal leukoencephalopathyPML)は, 後天性 免疫不全 症候群 や造血器 系腫瘍 などに罹患し,免 疫抑制状態にある患者に発症する致死的疾患であるが,効果的な治療法は未だ確立されて いない, PML脳組織の病理組織学的特徴は,多巣性の脱髄病変と,病変部での腫大した核を 有 す る 乏 突 起 膠 細 胞 , 奇 怪 な 核 を 有 す る 巨 大 な 星 細 胞 の 出 現 で あ る ,   JCVは ,5130塩基 対の2重鎖環 状DNAか ら成る ゲノムと カプシド より構 成される ,JCV の ゲノムは 転写調節 領域,LargeT抗原(T antigen,TAg)とsmallt抗原をコードする早期 遺伝子,およびVPl,VP2,VP3とagnoproteinをコードする後期遺伝子を含む:′I、Agはウイ ル スDNAの 複製やウ イルス タンパク質の転写を制御し,また宿主細胞の増殖および細胞周 期に影響を与えることが知られている.

  メ チノ レ 化CpG結合タ ンノく ク質MeCP2(MethylCpGbindingprotein2,MeCP2) はX染 色 体にコー ドされる 核タンパク質で,遺伝子のCpG配列に結合して転写活性を制御する機 能 を有し, クロマチ ンの構 造やRNAスプラ イシング に関与 すること も報告さ れている.

MeCP2は神経の発達やシナプス形成に重要な作用を有し,発現量は厳密に制御されており,

MeCP2の 変 異はX連 鎖性 の 神 経発 達 障 害で あ るRett症 候群 の 原 因で あ る .MeCP2は2つ の ア イ ソフ オ ー ム, す な わちMeCP2AとMeCP2Bを 有 する が ,MeCP2Aは 神 経系細胞 にお いて細胞死をもたらすことが報告されている.

  PML脳 病 変部 の 免 疫染 色 に おい て ,TAgを 発現 する細胞 で核のMeCP2陽性 像が多数 認 められるが,その意義や機序は不明である.今回の研究では,培養細胞を用いた血鹹rDの 系にて,MeCP2の発現とJCV IヽAgの関連性について検討した.

【材 料 と方法】 今回の 実験では ,10種の ヒト神経 系細胞株(IMRー32,U‑87 MG,U‑138 MG,u‑2si MG,U‑343 MG,T98G,KMG4,SH‑SY5YSK‑N‑SH,SVG‑A)お よび6種 のヒ ト非神経 系細胞株(Caco‑2,HCA‑7,HEK 293,MCF7,HeLa,A431NS)を使用した.最初に JCV′IヽAgによ るMeCP2プロモー ター活 性への影 響につ いて,JCV感受性のあるIMR‐32 細胞 を 用 いて , ル シフ ェ ラ ーゼ ア ッセイ にて検討 した.次 にJCV′mLgがMeCP2のmRNA 発現に与 える影響について,13種の細胞株を用いてりアルタイムPCRにて検討した.続い

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てJCV′rAgがMeCP2タンパ ク質の発 現に与 える影響 につい て,16種の細胞株を用いてイ ムノブロット法にて検討した.さらに,MeCP2タンパク質の過剰発現が,JCV早期および後 期遺伝子転写調節領域の活性に与える影響について,IMR‑32細胞を用いてルシフェラーゼ アッセイにて検討した,最後に,MeCP2タンパク質の過剰発現が,JCVタンパク質の発現に 与 え る 影 響 に つ い て ,IMR‑32細 胞 を 用 い て イ ム ノ ブ ロ ッ ト 法 に て 検 討 し た .

【結果】 今回の研 究にお いて以下 の新知 見が得られた. (1) IMR‑32細胞において,JCV TAgの発現により,MeCP2プロモーター活性は著明に亢進する.(2) IMR‑32細胞において,

JCV TAgに よるMeCP2プ ロモ ー タ ー活 性 の 亢 進に は ,MeCP2 exon1よ り307‑257塩基上 流と,178塩基上 流からexonl開始9塩 基までの 配列が 重要であ る.(3)ヒト神経系7種お よび 非 神 経系6種の細胞 株にお いて,JCV′IヽAgによ るMeCP2mRNA発現上昇 は明ら かで なぃ.(4)ヒ ト神経 系lO種およぴ非神経系6種の細胞株において,JCVT AgによるMeCP2 タンパク質発現亢進は明らかでない.(5)MeCP2タンパク質の過剰発現は,JCV′IIAg共発現 下において,JCV早期および後期遺伝子転写調節領域の活性を亢進させなぃ.(6)MeCP2タ ン パ ク 質 の 過 剰 発 現 は ,JCV IヽAg,Vp1,agnoproteinの発 現 を 上昇 さ せ なぃ ,

【 考 察 】PML脳 で はJCV TAg発 現 細 胞 でMeCP2陽性 細 胞 を 多数 認 め るが , 血vitroで はJCV rAgに よ りMeCP2の プ ロ モー タ ー 活性 は 上 昇す る に も関 わ ら ず,MeCP2のmRNA およ びタンパ ク質発 現の亢進 は認め ず,プロ モーター活性とmRNAおよびタンパク質発現 は乖 離してい た.こ の乖離については複数の原因が考えられるが,第一にマイクロRNAに よる 転写後修 飾の可 能性や,mRNAあるい はタンパ ク質が急速に分解される可能性が考え られ る.次にPML患 者脳と, 今回の 血vitroの 系における,他の様々な転写調節タンパク 質 を コ ー ド す る 遺 伝 子 の 脱 メ チ ル 化 や ア セ チ ル 化 の 状 態 の 差 異 も 考 慮 さ れ る .   PML脳 のJCV′IヽAg陽性細胞 において 多数のMeCP2陽性 細胞を 認めるこ との意 義につ いて は未だ明 らかに されていないが,MeCP2はへルペスウイルスの潜伏感染に関与すると 報 告 され て い る.JCVも 健常人 において は潜伏 感染して おり,PML脳に おけるJCVTAg陽 性 細 胞で のMeCP2発現が ,PMLの 病態に直 接また は間接的 に関与 している 可能性 も考え られ る.

【結論 】  本研 究でJCV′I、Agは,MeCP2のプロモーター活性を亢進させるが,MeCP2の mRNAおよび タンパ ク質の発 現レベ ルは変化 させなかった.本乖離の原因として,転写後 調節等 が関与 すること が示唆さ れた.

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学 位 論 文 審 査 の 要 旨

主 査 副 査 副 査 副 査

教授 教授 教授 准教授

志 田 壽 利 田 中 伸 哉 有 川 二 郎 矢 部 一 郎

学 位 論 文 題 名

メチル化 CpG 結合夕ンパク質IVIeCP2 とJC ウイルスタンパク質の      相関に関する研究

,進行性多巣性白 質脳症くPML)は,JCウイルス(JCV)により惹起される致死的疾患であるが 効果的な治療法は 未だ確立されていない. Methyl CpG binding protein2(MeCP2)はDNAプロ モーター領域の転写を制御する分子である. PML脳では,JCVT抗原(T antigen,TAg)が発現し ている乏突起膠細 胞においてMeCP2発現細胞が 多数認められることが免疫染色にて判明し,

MeCP2の 発現 がJCVの 感染 に関 与す る 可能 性が 考え られ た, 本研 究で は由vitroの系でJCV

′I、AgによるMeCP2のプロモーター活性を詳細に検討すると共に,JCVTAgによるMeCP2発現 の 影響 を検 討し た.JCVTAgに よりMeCP2プロ モーター活性は上昇するにも関わらず ,mRNA およびタンパク質発現の亢進は認めず,プロモーター活性とmRNAおよびタンパク質発現に乖離 が認められた.乖離の原因として,microRNA(m皿N心による転写後修飾機序が関与する可能性 が考えられた.また本実験系でのepisomalなプロモーター活性がendogenousなプロモーター活 性を正確に反映し ていなぃ可能性や,今回の実験系でクローニングしたMeCP2のプロモーター 領域外の配列がJCV′IヽAgによるプロモーター活性に影響した可能性も否定できず,乖離の原因に エピジェネティックな制御機構が関与する可能性も考えられた,

  発表後,副査の有川二郎教授より,まずPML脳の脱髄機序について質問があり,JCVが乏突起 膠細胞に感染することで髄鞘が破壊され脱髄が生じると回答した,次にメフロキンがJCV感染に 作用する機序につ いて質問があり,メフロキンがJCVDNA複製を阻害すると回答した.続いて PMLモデル動物について質問があり,JCVはヒト特異的に感染するウイルス でありPMLモデル 動物は存在しない が,サルにおいて,SV40とサル免疫不全ウイルスの重複感染によりPMLと同 様の白質脳症が発症すると報告されていると回答した.副査の矢部一郎准教授からは,まずJCV 感染経路と潜伏感染,乏突起膠細胞への感染経路について質問があり,JCVは幼・小児期に経気道 感染し,扁桃やりンパ節で初期増殖した後,骨髄,腎で潜伏感染し,免疫能が低下した際に血行性

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に 中 枢 神 経 系 に 到 達 す る と 考 え ら れ て い る と 回 答 し た . 続 い てPML脳 で の 免 疫 染 色 に お い て , JCV感 染 細 胞 の う ち 全 て にMeCP2発 現 が 認 め ら れ る わ け で は な い 理 由 に つ い て の 質 問 で は , JCV感 染 細 胞 に お け る 感 染 時 期 の 違 い がMeCP2発 現 に 関 与 す る 可 能 性 が 考 え ら れ る と 回 答 し た . さ ら に 今 回 の 実 験 で 神 経 芽 細 胞 種 細 胞 株IMR‑32を 主 に 使 用 し た 理 由 に つ い て の 質 問 で ,IMR‑32 JCV感 受 性 を 有 す る 限 ら れ た 細 胞 腫 の ー っ で ,JCV感 染 実 験 を は じ め と し た 由vitroで 使 用 で き る ヒ ト 乏 突 起 膠 細 胞 株 の 系 が 存 在 し な ぃ と 回 答 し た . ま たPML脳 のmiRNA発 現 の 変 化 に つ い て 質 問 が あ り , 今 回 の 実 験 で は 検 討 で き な か っ た が ,MeCP2は 脳 で 高 発 現 す るmiRNA132に よ り 発 現 が 抑 制 さ れ て お り ,PML脳 病 変 部 に お い てmiRNA132発 現 が 低 下 し て い れ ばMeCP2発 現 が 亢 進 す る 可 能 性 が あ る と 回 答 し た . 副 査 の 田 中 伸 哉 教 授 か ら は , エ ピ ジ ェ ネ テ ィ ッ ク な 影 響 と し て ゲ ノ ム の メ チ ル 化 や ア セ チ ル 化 の 状 態 は 検 討 し た か 質 問 が あ り , 脱 メ チ ル 化 剤5‑azacytidine や ヒ ス ト ン 脱 ア セ チ ル 化 酵 素 阻 害 薬 の バ ル プ ロ 酸 を 投 与 し た 予 備 実 験 も 行 っ た が ,MeCP2タ ン パ ク 質 の 発 現 に 変 化 を 認 め な か っ た こ と を 回 答 し た . 最 後 に 主 査 の 志 田 壽 利 教 授 か ら は ,PML脳 の 免 疫 染 色 像 か らMeCP2JCV感 染 に ど う 関 与 す る と 考 え ら れ る か 質 問 が あ り , 本 実 験 系 に お い て は 明 ら か に で き な か っ た がMeCP2発 現 亢 進 がJCV増 殖 を 亢 進 さ せ る 機 序 が 存 在 す る 可 能 性 を 当 初 考 え て い た こ と を 回 答 し た , ま た 面vivoの 現 象 を 血vitroで 再 現 で き な か っ た 理 由 に つ い て の 質 問 で は , 発 表 中 の 考 察 に 加 え , 実 験 系 で 使 用 可 能 な 細 胞 株 が 乏 突 起 膠 細 胞 で な い た め 細 胞 特 異 性 に よ り 再 現 で き な か っ た 可 能 性 や , 本 実 験 で 使 用 し たJCV Mad‑l株 が 免 疫 染 色 で 使 用 し た PML脳 か ら 分 離 培 養 し た 株 で は な い こ と か ら , ウ イ ル ス 株 のvariantが 実 験 で の 結 果 に 影 響 し た 可 能 性 に つ い て 回 答 し た .

  本 研 究 はPMLの 病 態 解 明 に 関 す る 基 盤 的 研 究 と し て 高 く 評 価 さ れ , 現 在 面vivoモ デ ル の 存 在 し な ぃ PMLの 実 験 系 の 確 立 に 重 要 な 知 見 が も た ら さ れ る と 期 待 さ れ る .   審 査 員 一 同 は こ れ ら の 成 果 を 高 く 評 価 し , 大 学 院 課 程 に お け る 研 鑽 や 取 得 単 位 な ど も 併 せ 申 請 者 が 博 士 ( 医 学 ) の 学 位 を 受 け る の に 十 分 な 資 格 を 有 す る も の と 判 定 し た ,

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