• 検索結果がありません。

博士(医学)若狭健太郎 学位論文題名

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "博士(医学)若狭健太郎 学位論文題名"

Copied!
4
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

     博士(医学)若狭健太郎 学位論文題名

細胞死による誘発抗原と樹状細胞応答に関する研究 学位論文内容の要旨

【背景・目的】

  

近年、細菌やウイルスなどに対する自然免疫において、病原微生物特有の構成成分(PAMP

s

)を認識するTLR (Toll 一like receptor) が重要な役割を担っていることが明らかになっ た。LPS はグラム陰性菌の細胞壁成分であり、内毒素として発熱や炎症を誘導する。TLR フ ァミ リーのー つであ るTLR4 はそのLPS の受容体であり、強カな免疫賦活作用を誘導するの に必須の受容体であることが明らかとなった。また、細胞死はネク口ーシスとアポトーシ スに 大別され るが、 細胞がネ ク口一 シスに陥 ると細胞内容物が細胞外に漏出し、danger

signal

として炎症を誘導することが明らかとなっている。さらにネク口ーシス細胞の異常

蓄積は慢性炎症や自己抗体の産生を誘導し、慢性炎症性疾患や自己免疫疾患の一因となる ことが知られている。しかレ、それらの自己抗体やそれによって誘導される補体などがネ ク口ーシス細胞の免疫応答においてどのように関わっているかは明らかとなっていない。

こ れ ら の 解 明 が 進 め ば 、 種 々 の 疾 患 の 診 断 や 治 療 に 発 展 す る 可 能 性 が あ る 。

  

ネク口一シスを誘導した死細胞を免疫細胞が貪食する過程で、それらの貪食細胞や抗体 お よ び補 体 がどの ような 免疫応答 および 機能を担 っている かにつ いて検討 を行っ た。

  

【対象と方法】

  

ネク口ーシス細胞、マウス樹状細胞およびマクロファージ、マウス血清、上記monoclonal 抗体などを用いてin vitro の系で貪食細胞の死細胞に対する免疫応答と、それに関わる抗 体や補体の機能を調べた。

  

ヒト死細胞で免疫したマウスから、死細胞を認識するmonoclonal 抗体を得た。Anti ―Fas 抗体や、熱刺激、uv 照射などの方法で細胞死を誘導し、それらに対する抗体や補体の結合 を、AnnexinV や

PI

などの螢光抗体、抗マウス免疫グ口ブリン二次抗体などを用いてフ口ー サイトメトリー法にて評価した。

  

貪食の評価などは、主貪食細胞と死細胞を別の螢光抗体で標識するなどの方法でフ口ー サイトメトリー法により測定した。また、サイトカイン産生は主に貪食細胞と死細胞の共 培養の上清をELISA 法によって測定して評価した。

【結果】

  

種々の方法で誘導されたネク口ーシス細胞に抗体が結合することで補体の沈着が促進さ

れた。また、ネク口ーシス細胞に抗体および補体が結合することで、マク口ファージの貪

食効率が上昇した。樹状細胞がネク口ーシス細胞を貪食する際には、抗体や補体の結合で

    

―360 ―

(2)

IL― 6産 生 が 上 昇 す る 傾 向 が 見 ら れ た が 、 貪 食 効 率 に は 差 は 認 め ら れ な か っ た 。   LPS存 在 化 で は マ ク 口 フ ァ ー ジ か ら のIL−6とTNF産 生 が 、 ネ ク 口 ー シ ス 細 胞 を 貪 食 す る こ と で 上 昇 し た 。 こ れ ら の サ イ 卜 カ イ ン 上 昇 の 反 応 は マ ウ ス 血 清 を 添 加 す る こ と で 抑 制 さ れ た が 、 逆 にIL−10の 産 生 は 血 清 を 添 加 す る こ と で 産 生 が 上 昇 し た 。 こ れ ら の 反 応 はIL6 お よ びTNFに お い て は 、C3KOマ ウ ス の 血 清 を 用 い て も 変 化 な く 、IL―10の 中 和 抗 体 を 添 加 し て も そ の 抑 制 は 解 除 さ れ な か っ た 。

【 考 察 】

  感 染 症 に お い て は ま ず 自 然 免 疫 が 病 原 微 生 物 の 侵 入 を 感 知 し 生 体 防 御 反 応 を 行 う が 、 自 然 免 疫 系 を 活 性 化 す る 受 容 体 は 不 明 で あ っ た 。 近 年 、TLRを 介 し た 自 然 免 疫 の 解 明 が 進 ん で お り 、 様 々 なPAMPsを 認 識 し 免 疫 応 答 を 調 節 し て い る こ と が 明 ら か と な り 、TLR4は グ ラ ム 陰 性 菌 の 細 胞 壁 成 分 で あ るLPSを り ガ ン ド と し 、 強 カ な 免 疫 賦 活 作 用 を 誘 導 す る た め に 必 須 の 受 容 体 で あ る こ と が わ か っ て い る 。

  ま た 補 体 は 抗 原 の オ プ ソ ニ ン 化 な ど を 介 し て 免 疫 細 胞 へ の 貪 食 を 促 進 す る と さ れ て き た が 、 近 年 、 補 体 受 容 体 の 一 種 で あ るCRIgが マ ク 口 フ ァ ー ジ な ど に 発 現 し て お り 、 そ の 貪 食 応 答 な ど に 重 要 な 役 割 を 担 っ て い る こ と が 示 さ れ た 。

  今 回 我 々 の 検 討 で は 、 ネ ク 口 一 シ ス 細 胞 が 抗 体 や 補 体 で 修 飾 さ れ る こ と で マ ク 口 フ ァ ー ジ の 貪 食 効 率 が 上 昇 す る こ と が 示 さ れ た 。 ま た 、LPS刺 激 下 に お い て 、 炎 症 性 サ イ 卜 カ イ ン の ー つ で あ るIL−6やTNF、 ま た 抑 制 性 サ イ ト カ イ ン の ー つ で あ るIL―10な ど の サ イ ト カ イ ン 産 生 に 変 化 が み ら れ る こ と が 示 さ れ た 。 そ れ ら の 調 整 に は マ ウ ス 血 清 に 含 ま れ る 何 ら か の 未 知 因 子 が 関 係 し て い る こ と が 示 唆 さ れ た が 、IL一10の 産 生 上 昇 に 関 し て は 補 体 系(C3) が 関 与 し て い る 可 能 性 が 示 さ れ た 。

  こ れ ら の 結 果 は 、 死 細 胞 の 免 疫 調 整 は 、 貪 食 細 胞 や 抗 体 ・ 補 体 、TLRな ど 様 々 な 因 子 に よ っ て 複 雑 に 制 御 さ れ て い る も の と 考 え ら れ た 。

【 結 論 】

・ ネ ク 口 ー シ ス 細 胞 に 抗 体 が 結 合 す る こ と で 、 補 体 の 沈 着 が 促 進 さ れ た 。

・ ネ ク 口 ー シ ス 細 胞 に 抗 体 が 結 合 し 補 体 が 沈 着 す る こ と で 、 マ ク 口 フ ァ ー ジ に よ る ネ ク 口   一 シ ス 細 胞 の 貪 食 効 率 が 上 昇 し た 。

・ 抗 体 や 補 体 が 結 合 し た ネ ク ロ ー シ ス 細 胞 に 対 し 、 樹 状 細 胞 はIL―6産 生 を 亢 進 さ せ て い   る 可 能 性 が 示 唆 さ れ た 。

・ LPS刺 激 下 で は 、 マ ク 口 フ ァ ー ジ が ネ ク 口 ー シ ス 細 胞 を 貪 食 す る こ と で 、 マ ク 口 フ ァ ー   ジ か ら のIL‑6お よ びTNFの 産 生 が 亢 進 し た

・ 血 清 成 分 を 加 え る こ と で 、LPS刺 激 下 で の 死 細 胞 貪 食 マ ク 口 フ ァ ー ジ か ら 産 生 さ れ るIL6   お よ びTNFは 抑 制 さ れ 、 一 方ILー10の 産 生 は 亢 進 し た 。

・IL6やTNFの 産 生 を 抑 制 す る 因 子 は 補 体 系(C3)と は 関 連 が な く 、 な ん ら か の 未 知 の 血   清 因 子 に よ る も の の 可 能 性 が 考 え ら れ た 。

・ 補 体 成 分(C3)は 、 ネ ク 口 ー シ ス 細 胞 を 貪 食 し た マ ク 口 フ ァ ー ジ か ら のILー10産 生 の 亢   進 に 関 連 し て い る こ と が 示 唆 さ れ た 。

―361―

(3)

学 位論文審査の要旨 主 査    教 授    瀬 谷 副査   准教授   田中 副 査    教 授    佐 邊 副 査    教 授    今 村

学 位 論 文 題 名

    司 淳 司 壽 孝 雅 寛

細胞死による誘発抗原と樹状細胞応答に関する研究

く内容要約冫本研究では抗体・補体関与するネクローシス死細胞の排除機構に関与する自然免疫系の新た な役割 の解明に迫った。すなわち、培養細胞(MT1)を用いたネクローシス細胞傷害系を作製し、それを 免疫源にして死細胞のマウス特異抗体を作製した。その抗体と補体(マウス血清)がMT1死細胞をマクロ ファー ジに貪食 促進さ せる際 に、微 生物成 分(パ ターン 分子、PAMP)が存在すればIL‑10過剰産生が起 きて免疫抑制の表現型に変わることを証明した。結果はネクローシス細胞の貪食において貪食細胞内に補 体刺激経路とtoll‑like receptor (TLR)系のクロストークが起きることを示唆した。しかし、解析手技と研 究遂行の不備のため詳細な機序の解明には至らなかった。

く質疑応答冫

田中 淳司 准教授 から死 細胞の 調整法 っいて 検討を してい るかどう か、MT1(ヒトATL細胞株 )を使 っ たことの意義にっいて質問があった。FAS抗体でアポトーシスを起こした細胞の更なる処理(加熱など)、

15時 間 の 放 置 、UV照 射 な ど が 必 要 で あ っ た こ と 、 ど の 方 法 で も ネ ク ロ ー シ ス (Annexin暦I double.positive)が誘導できたことを答えた。また、ATLの細胞株が必須であるわけでなく、FASで死に 易い性質と調整が簡便であったことを理由として答えた。ヒ卜ーマウスの種間相違が問題になるかはこの 研究では言及しなかった。

佐邊壽 孝教授からどこまで自分で考えて進めたか、とこの仕事がもつ独創性について質問があった。ま た、論文の記載と発表の内容にギャップがあることも指摘された。申請者は自カで進めた部分(死細胞特 異抗体の作製とマクロファージの貪食促進活性系の確立)を強調し、独創性はマクロファージの貪食とサ イトカイン産生がパラレルに増強しないことが補体―,TLR関与のシグナル応答の特徴であることを説明し た。論文と学位審査の公表内容の相違は、当初の抗体作製の目的が死細胞特異抗体によってphosphatidyl serine以 外 の 蛋 白 性 細 胞 死 抗 原 を 同 定 す る こ と に あ っ た , と 云 う 見 解 を 示 し た 。 今村雅 寛教授か ら分子 量8万の 死細胞特異抗原(細胞がネクローシスすることで細胞表面に出て来る分     ―362−

(4)

子)は何か、と云う質問、また、単クローン抗体の作製条件についての質問があった。申請者は抗体が認 識した分子量8万の分子は免疫ブロッティングで得られたものであり、それ以上の解析はしなかったこと、

現在ならマスのプロテオーム解析が可能であることを答えた。MT1の死細胞は細胞内の分子が表面に出る 変 化 を 起 こ し た も の を 免 疫 源 と し た た め 、3種 の 特 異 抗 体 が 取 れ た こ と を 説 明 し た 。 瀬谷 司 教 授 からPAMPの 外 因 性 シグ ナ ル にLPSを 用 い た こと の 意 義 、Annexin/PI2重 陽性細 胞をネ クローシス細胞としたことの意義、TLR経路と補体受容体経路のクロス卜ークの意義などの質問を受けた。

申請者は抗体・補体が関与する免疫応答は細菌感染症が多いため、LPS(リポポリ多糖、gram陰性細菌由 来) を 用 い たこ と を 述 べた 。2つ 目 の 質 問に はAnnexinがphosphatidyl serineに特 異結合 し、PI (propidium iodide)が核内のDNAと結合する試薬であることから両者で染まる細胞をネクローシス細胞と した、と答えた。最後の質問はまだ未解明のシグナル系が補体レセブターの下流にあり、それがTLRのシ グナル産物を修飾するようなモデルを考案していることを告げた。

  最後の議論で補体系の欠損症における自己免疫疾患の高頻度と本知見(感染・貪食時の補体による免疫 抑制シグナルの起動)との関連について質問があった。重要なポイントなのでdiscussionに取り入れて今 後の考案の糧としたい。

参照

関連したドキュメント

[r]

[r]

[r]

   はじめに、 SH3 (N) を介してシグナルを伝えるC3G 蛋白への結合を、COS 細胞に一過性 に発現させたCrk エエまたは変異型Crk

   実験終了後記録部位には10 〜15 肛A の陰性電流を10 〜15 分流して染色を,また刺激部位には30 uA の陽性電流を30sec 通電し傷害を作った。その後脊髄を取り出し10

[r]

   以上の結果から、川アポト―シスを起こした HUVEC は補体活性化能を発現し、補体を活性化 してC3

[r]