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博 士 ( 医 学 ) 高 橋 利 幸 学 位 論 文 題 名

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Academic year: 2021

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博 士 ( 医 学 ) 高 橋 利 幸

学 位 論 文 題 名

LAK 細 胞 に よ る ヒ ト 膵 癌 細 胞 傷 害 機 構

― 細 胞 間 接 着 分 子 の 役 割一

学 位 論 文 内 容 の 要 旨

I研 究 目 的

  膵癌外科治療後の遠隔成績は極めて悪く、補助療法としての免役療法にも期待が寄せられてい る。本研究では膵癌補助療法としてのLAK養子免役療法の効果を検討する目的でヒト膵癌細胞 表 面 分子 、特にintercellular adhesion molecule−1(以 下ICAM一1) の発現 とLAK細胞 表面 のlymphocyte function‑associated antigen−1(以下LFA−1)を介するLAK細胞と膵 癌 細 胞 と の 接 着 、 細 胞 傷 害 反 応 と の 関 連 に つ い て 基 礎 的 な 検 討 を 行 な っ た 。

II対 象 と 方 法

1.PCIー10の 樹立 : 膵 頭 部 原発 中 分 化 型管状 腺癌よ り新た に樹立 した ヒト膵 癌細胞 株 PCI一10を 実験に 使用 した。 約10 XlOmmの 組織 片を細 切して 、コラゲナーゼ、ヒアルロニ   ダ ーゼ添 加20%fetal bovine serum(以下FBS)加RPM11640に懸 濁し、 撹拌、 洗浄後、

細 胞成分 を20%FBS加RPMIに懸濁 して37℃、10%COZ下に培 養した 。上皮 細胞 コロニー形 成 後、FBSを10% に減 じて継 代培養 した。

2. PCI―10細 胞 表 面 分 子 の発 現 と 調 節:HLA classIであ るHLA−A,B,C、classIIの HLA−DR、DQ、 お よ びICAM―1の 発 現 をFACSを 用 い て検 討 し た 。 次にinterferon−r

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  (以下IFNーT)の添 加濃度 、培養時間と表面分子発現の関係、tumor necrosis factor‑ば   ( 以下TNF‑ロ)、interleukin―r1ロ 、p(以下IL−1ば、p)に よる発 現調 節を検 討し た。

3.LAK.PCI―10の接着 、細胞 傷害と 反応 時間、e舶ctor:target比(以下ET比)の関係:

LAK細 胞 は 健 常 人 末 梢 血よ り 単 核 細 胞を 分 離 、 粘 着細 胞 を 除 去 した 後 に1,oooU/ml irlterleu虹n−2と共に7日問培養誘導した。

1)LAK・PCI―10の 接 着 と 反 応 時 間 : 実 験48時 間 前 より 培 養 し たPCI―10にLAK細胞   を Crにて2時間標識後加え、15、30、60、120、240分の経過時間ごとに浮遊細胞を洗浄除     去 し 、 接 着LAK細 胞 をO,1NNaOHに て 破 壊 し、 ガ ソ マ ー カウ ソ タ ー で 計測 し た 。 2)LAK・PCI―10の 接 着 とET比 :LAK細 胞 を2X105の 定数 と し 、0.2X10 から40.OX1   O までのPCI−10に対する1時間混合培養後の接着を検討した。

3)LAK細胞 傷 害 反 応 とET比 :O.5X10 /well〜1.Oxl06/weuのLAKをmicroplateに播     き、PCI―10を5 CrO.lmCiにて1時間標識した後、1.Ox10 /wellにて加え、4時間 ℃r     releaSeaSSayを行なった。

4.LAK.PCI−10の 接 着 、 細胞 傷 害 に お よぼ すIFNーrの 影 響 : 種々 の 濃 度のIFN−rで 培 養 、 お よ びIFN―r100U/mlに て1〜4日 問 培 養 後 のPCI―10とLAKの 接 着 を 検 討 し た 。 次 に100、1,000U/mlのIFN−rに て 培 養 後のPCIー10に 対 す るLAK細胞 傷害 を検討   した。

5.LAK.PCI一10の接着 、細胞傷害におよぼす単クローソ抗体による細胞表面分子blocking   の 影 響 :LAK細 胞 とPCIー10を 抗HLA―A,B,C、 抗IC舳d―1、抗LFA−1抗 体 で 前 処 理し 、接着 を検討 した。 次にLAK.PCI一10混合培養液中に各抗体を添加し、細胞傷害を 検 討 し た 。 ま たLAKとPCI−10を 各 抗 体 に て 前 処 理 し 、 細 胞 傷 害 反 応を 検 討 し た 。

III結   果

1.PCI―10の 樹立:PCI―10はin vitroでは単層シ―ト状配列を示した。ヌードマウス皮下 に1 xi0'個/mouseにて皮 下注射 する と腫瘍 結節を形成し、原発巣類似の中分化管状腺癌像 を 呈した 。

2.PCI―10の細 胞 表 面 分 子 の発 現 と 調 節 :PCI―10はHLA―A,B,Cお よ びICAMー1を

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  発 現 し て い た が 、HLAーDR、DQは 発原 し てL、 なか った 。HLA―A,B,C、ICAM―1は   IFN‑rの 濃 度 依 存 的 に 発 現 増 強 が 認 め ら れ た 。HLAーDRも発 現 増強 が認 め られ た。

  IF丶N‑r 100 U/mlで はHLA―A,B,Cは4日目 まで 次 第に 上昇 し たが 、ICAM―1は2日   目 で 最 大 と な り 、 そ の 後 わ ずか に 減少 した 。I CAM―1はTNFば、IL−la、pで も軽   度に増強 した。

3. LAK.PCIー10の接 着 、細 胞傷 害 反応 と反 応 時間、ET比の関係 :LAK.PCIー10の 接着   は60分で 最大となり、その 後は除々に減少した 。LAK細 胞2x10sの 接着はPa―10 6.4X10<

個以下では 標的数に比例して 増加したが、それ 以上では増大しなか った。LAK細胞傷害反応   はETにし たがって増加しET比50以上で一定し た。

4. LAK.PCI一10の 接 着 ヽ 細 胞 傷害 反応 に およ ばすIFNーrの影 響 :LAK.PCI−10の接 着 はIFN‑rの 濃 度 依 存 性 に 増 加 し た 。 ま たIFNーrlOOU/mlで 培 養 後 のPCI−10に 対す   る接着は1日目で最 大となり、その後 は減少した。細胞 傷害はIFN‑アlOOU/mlではわ ずか   に 減 少 し 、1,OOOU/mlで は 増 強 し た が ` 同 時 にPCI―10の 変 性 を 認 め た 。 5, LAK.PCI−10の接着、細 胞傷害反応におよぼ す表面分子プロッ キソグの影響:接 着は LAKの 抗LFA −1抗 体 処 理 に て 有意 に低 下 し、PCI―10の 抗ICAMー1処 理に て 低下 する 傾 向 で あ っ た 。LAK・PCI一10混 合 培 養 中 に 抗 体 を 添 加す ると 抗LFA一1、 抗HLA−A. B,C抗体に て有意の細胞傷害 反応抑制が認めら れ、抗ICAM―1抗体でも低下傾向であった。

ま た 各 抗 体 に てLAK.PCIー10を 各 々 前 処 理 す る と 、LAK細 胞 の 抗LFA−1、 抗HLA一 A,B,C処 理 で 有 意 の 傷 害 抑 制 が、PCI−10の抗HLA―A,B.C処 理 では 有意 の 傷害 増強 が認められ た。抗Iく:AM―1処理では有意差は 認めなかった。

W考    察

  PCI−10は 膵癌に最も一般的 な中分化型管状腺癌細胞であり、膵癌細胞モデルとして普遍的 な 有 用 性 が 示唆 さ れた 。IFNーrはHLAclassI、IIお よびICAM―1の発 現を 増 強さ せる こ と が 知 ら れ てお り 、PCI−10でも 同 様で あっ た 。IFNーア 処理 し たPCI―10ではLAK細 胞 と の 接 着 はIFN‑r濃度 依 存的 に、 ま たICAM―1と時 間 的に ほぼ 並 行し て増 強 し、ICAM― 1がLAK細 胞と の 接着 に関 与 して `ヽることが 示唆された。LAK細胞のLFA−1blockingにて 有 意 の接 着低下が 認められるにもかか わらず、PCI―10のICAM―1blockingではまだ多くの

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接着が認めら れた。

  この点に関 しては抗ICAM―1抗体が真に接着に重要なepitopeを認識してL、ない、あるいは PCI−10にLFA―1のもう ひとつのりガソドで あるICAM一2が存在する可能 性が考えられる。

LAK細 胞傷 害 に与 えるIFN‑rの 効果 につ い ては 増強 性、抑制性の両方の 報告があるが、膵 癌においては 抑制性に働くものと推察され、I FN‑ Tl,OOOU/mlにて認められた傷害増強は、

I FN‑rの直 接作 用 によ り修 飾 され た可 能 性が 強い 。 傷害 実験 に おけ るICAM―1、LFA―1 blockingによ る差につL、ても前述のepitopeの問題とICAM―2の関与が示唆される。標的細胞 のHLA classIにつし、ては、LAK細胞に対 する感受性を低下さ せるとのいくっかの報告に矛 盾し な い。 またPCI―10の抗classI処理 によ る 傷害 増強 はLAKに よるantigen dependent cellular cytotoxicity(以下ADCC)機能が加わった ことによるもので、LAK細胞 の抗class I処 理 で はLAK細 胞 同 志 のADCCの た め にLAK細 胞 教 の 減少 が起 こ り、PCI−10に 対 する 細胞害反応を 低下させた可能性も 示唆された。

I V結    諭

  膵癌LAK療法に関わる 細胞表面分子と接着、細胞傷害反応に関する基礎的な検討を行ない以 下の結諭を得 た。

1.膵 癌細 胞 にはICAMー1の 発 現が 認め ら れ、LAK細 胞のLFA―1を介 する接着が 認められ   た。

2.  IFN‑rは膵 癌 細胞 に対するLAK細胞接 着を増強したが、 傷害反応は増強しな かった。

3. LAK細 胞 のLFA―1分 子 は 膵 癌 細 胞 傷 害 反 応 に 重 要 な 関 与 が あ っ た 。

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学位論文審査の要旨

  膵臓癌は増加傾向にあり,治療成績もいまだ満足できる状況ではない。近年,悪性腫瘍に対す るlymphokine activated killer (LAK)細胞を用いた養子免疫療法が注目されてきている。

一般にLAK細胞が腫瘍細胞を破壊するためには腫瘍細胞との結合が必要であり,その機序の解 明が望まれている。とくにLAK細胞の持つ主要接着分子であるlymphocyte function associー ated antigen一1(LFA―1)分 子 を介 するLAK療法 の効 果を 検 討す るた め,LFA―1のり ガ ンドのーっで あるintercellular adhesion molecule―1(ICAM―1)分子 の発現様式を検 討 し ,ICAM―1/LFA−1を 介 す るLAK細 胞 と 膵 癌 細 胞 と の 接 着 ,LAK細 胞 に よ る 膵 癌 細胞障害反応との関連にっいて基礎的検討を行った。

  実験方法は膵頭部原発中分化型管状線癌より新たに樹立したヒト膵癌細胞株PCI一10を使用 し た 。PCI―10細 胞 表 面 分 子 の 発 現 と 調 節 に っ い てHLA classIで あるHLAA,B,C, classuのHLA―DR,DQ, お よ びICAM―1の 発 現 をFACSを 用 い て 検 討 し た 。 次 い で interferon‑7( 以下IFN‑7)の添加濃度,培 養時間と表面分子発現の関係 ,tumor necro‑

sis factor‑ば ( 以下TNF‑ a),interleukin−la, ロ (以 下IL―ld,B)に よる 発現 調 節 を検討した。LAK・ PCI―10の接着,細胞傷害と反応時間,effector: target比(以下ET 比 ) の関 係を みる た め,1) LAK. PCIー10の接着と反応時間:培養したPCI―10にLAK細 胞 をsiCrにて 標識 後 加え ,経過時間ごとに 浮遊細胞を洗浄除去し,接着LAK細胞をO.1N N20Hにて破壊し,ガンマーカウンターで計測した。

2) LAK.PCIー10の接 着とET比 :LAK細 胞 を2xi05の定数とし,O. 2xl04から40. oxi04 までのPCI宀10に対する1時間混合培養後の接着を検討した。

3)LAK細 胞 傷 害 反 応 とET比 :O.5Xl04/wellNl.OX10e/wellのLAKをmicroplate に播き,PCI−10を゜lCr0.  ImCiにて標識した後,4時間゜iCr release assayを行った。さら にLAK.PCI―10の 接 着, 細胞 傷害 にお よ ぼすIFN ‑ア の影 響を みる た めIFN‑7で培養,

お よ びIFN‑7100U/祕 にて1〜4日間 培 養し て検 討し た 。次 に100,100U7mEのIFN‑ア に て 培養後のPCI―10に対するLAK細胞傷害を検討した。単ク 口ーン抗体による細胞表面分子

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三 暹

達  

  和

邊 巻

田 葛

授 授

教 教

査 査

主 副

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blocking の 影 響 に っ い て LAK 細 胞 と PCI − 10 を 抗 HLA ― A , B , C , 抗 ICAM ― 1 , 抗 LFA 一 1 抗体で 前処理 し,接 着を検 討した。 次にLAK ・ PCI ―10 混合培養液中に各抗体を添 加 し , ま た LAK と PCI ― 10 を 各 抗 体 に て 前 処 理 し , 細 胞 傷 害 反 応 を 検 討 し た 。    実 験 結 果 は , 1 :  PCI ― 10 は HLA ― A , B , C お よ び ICAM − 1 を 発 現 し て い た が , HLA ― DR , DQ は 発 現 し てい な か っ た。 HLA ― A , B , C , ICAM ― 1 は IFN ー アの 濃 度 依 存 的 に 発 現増 強 が 認 めら れ た 。 HLA → DR も 発現 増 強 が 認め ら れ た 。IFN‑7100U / 耐で は ICAM ― 1 は 2 日 目 で 最 大 と な り, そ の 後 わず か に 減 少し た 。 ICAM 一 1 は TNF‑d , IL ー1 d ,ロでも軽度に増強した。2 :LAK . PCI −10 の接着は60 分で最大となり,その後は徐々に 滅 少 した 。LAK 細胞 2xi05 の接 着はPCI ― 106 .4xl04 個 以下で は標的 数に比 例して増 加し た が,それ 以上で は増大 しなか った。 LAK 細胞傷害反応はET にしたがって増加しET 比50 以 上 で一定し た。3 : LAK . PCI ― 10 の接着 はIFN ‑ アの濃度依存性に増加した。またIFN‑ ア lOOU/mE で培養後のPCI ー10 に対する接着t ま1 日目で最大となり,その後は減少した。細胞傷 害 は IFN‑7lOOU/mE ではわず かに減 少し, 1 ,OOOU7mE で は増強 したが ,同時 にPCI ー10 の 変 性 を認 めた。 4 : LAK . PCI‑10 の接着 はLAK の抗 LFA −1 抗 体処理 にて有 意に低下 し,

PCI ― 10 の抗ICAM 一1 処理 にて低下 する傾 向であった。LAK . PCI ―10 混合培養中に抗体を 添 加 す ると 抗 LFA ー 1 , 抗 HLA ー A ,B , C 抗体に て有意 の細胞 傷害反 応抑制が 認めら れ,

抗 ICAM ― 1 抗 体 で も 低 下 傾 向 で あ っ た 。 LAK 細 胞 抗 LFA ― 1 , の 抗 HLA 一 A , B , C 処 理 で有意の 傷害抑 制がPCI ―lO の抗 HLA ―A ,B ,C 処理では有意の傷害増強が認められた。

   以 上の 結 果 か ら膵 癌 細 胞 とLAK 細 胞にf ま ICAM ―1/LFA ― 1 を介す る接着 が認め られ,

IFN‑7 は 接着を 増強さ せたが細胞傷害の増強は認めなかった。LAK 細胞による膵癌細胞傷害 反応にはLFA ―1 及びHLA −ABC の重要な関与が示唆された。

   口頭発表にあたって葛巻教授からcontrol としての正常血漿の使用の有無,IFN による接着 と傷害反応に解離のある理由,長嶋教授から接着と細胞傷害の解離機序,宮崎教授から腫瘍 m arker の発現,LAK 細胞傷害の機序などの質問があったが,申請者はおおむね妥当な回答を 行 っ た 。ま た 副 査 の葛 巻 教 授 ,長 嶋 教 授 には 個 別 に 審査 を 受 け 合格 と 判 定 され た。

   膵臓癌における養子免疫療法にっいて,LAK 細胞と膵癌細胞と接着,傷害の機序を明らかに

した本研究の意義は大きく,学位授与に値すると考える。

参照

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