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博士(医学)新井隆太 学位論文題名

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Academic year: 2021

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     博士(医学)新井隆太 学位論文題名

滑膜肉腫に対するキナーゼ阻害薬の抗腫瘍効果      及 び そ の 分 子 機 構 に 関 す る 研 究

学位論文内容の要旨

【 背 景 と 目 的 】 滑 膜 肉 腫 は 全 軟 部 悪 性 腫 瘍 の7―10% を 占 め 、 悪 性 線 維 性 組 織 球 症 、 脂 肪 肉 腫 に 次 い で 多 い 軟 部 悪 性 腫 瘍 で あ る 。 標 準 的 治 療 と し て 広 範 切 除 術 や 四 肢 切 断 術 な ど の 外 科 的 切 除 に 加 え 、 化 学 療 法 お よ び 放 射 線 療 法 が 併 用 さ れ る 。 し か し 肺 や 骨 な ど へ の 転 移 や 再 発 が 高 率 に 認 め ら れ 、5年 生 存 率 は24% 〜76% 、10年 生 存 率 は11% 〜57% と 予 後 不 良 で あ る 。 ・ 一 方 、 滑 膜 肉 腫 で は 様 々 な 受 容 体 型 チ 口 シ ン キ ナ ー ゼ の 発 現 亢 進 が 認 め ら れ る こ と か ら 、 こ れ ら に 対 す る 分 子 標 的 治 療 も 試 み ら れ て い る も の の 、 有 効 な 治 療 効 果 を 得 ら れ る に は 至 っ て い な い 。

  Srcフ ァ ミ リ ー キ ナ ー ゼ(SFK)は 非 受 容 体 型 チ 口 シ ン キ ナ ー ゼ で あ り 、 様 々 な 腫 瘍 細 胞 に お い て 発 現 亢 進 や 活 性 化 が 報 告 さ れ て い る 。SFKは 腫 瘍 微 小 環 境 ( 増 殖 因 子 ・ サ イ ト カ イ ン ・ 細 胞 外 基 質 ・ 細 胞 間 接 着 な ど ) の 影 響 を 受 け て 活 性 化 し 、 細 胞 増 殖 や 運 動 ・ 浸 潤 、 腫 瘍 血 管 新 生 等 に 対 し て 促 進 的 に 働 く こ と が 明 ら か に な っ て い る 。 こ の た め 、 腫 瘍 細 胞 に 対 す るSFKの 抑 制 効 果 を 正 当 に 評 価 す る た め に は 、 腫 瘍 微 小 環 境 、 す な わ ち 生 体 内 腫 瘍 組 織 に お け る 検 討 が 必 要 不 可 欠 と な る 。

  我 々 は こ れ ま で に 、 培 養 細 胞 株 を 用 い てSFKが 滑 膜 肉 腫 細 胞 の 増 殖 ・ 運 動 に 促 進 的 に 関 与 す る こ と 、 ま た 古 典 的SFK阻 害 薬PP2が こ れ ら を 劇 的 に 抑 制 す る こ と を 報 告 し て き た が 、 生 体 内 腫 瘍 環 境 に お け るSFK抑 制 に よ る 抗 腫 瘍 効 果 に つ い て は 未 だ 不 明 で あ っ た 。 そ こ で 本 研 究 で は 、 滑 膜 肉 腫 の 異 種 移 植 片 モ デ ル を 作 製 し 、 マ ウ ス ヘ の 全 身 投 与 が 可 能 なSFK阻 害 薬SU6656を 用 い て そ の 腫 瘍 抑 制 効 果 と 抑 制 の 分 子 メ カ ニ ズ ム を 検 討 し た 。

【 材 料 と 方 法 】 動 物 実 験 は 北 海 道 大 学 動 物 実 験 に 関 す る 規 定 に 従 っ て 実 施 し た 。 ヌ ー ド マ ウ ス の 皮 下 に ヒ ト 滑 膜 肉 腫 細 胞 株Fuiiを 接 種 し 、5日 後 あ る い は 擬 似 臨 床 モ デ ル と し て14 日 後 か らSU6656を 週3回 ま た は3日 投 与 一2日 休 薬 の サ イ ク ル で 腹 腔 内 投 与 し た 。42日 後 に マ ウ ス を 安 楽 死 さ せ て 腫 瘍 を 摘 出 し 、 腫 瘍 重 量 お よ び 体 積 を 測 定 し た 。 ま た 病 理 学 的 検 索 に よ り 、SU6656に よ る 腫 瘍 形 成 、 周 囲 組 織 へ の 浸 潤 、 腫 瘍 血 管 新 生 へ の 抑 制 効 果 を 検 討 し た 。SU6656に よ る 抗 腫 瘍 効 果 の 詳 細 な 機 序 は 、 カ 灯tro実 験 系 ( 増 殖 能 : 増 殖 ・ 生 存 実 験 、 イ ム ノ ブ 口 ッ テ イ ン グ 、 フ 口 ー サ イ ト メ ト リ ー に よ る 細 胞 周 期 解 析 、 細 胞 分 裂 期 の ラ イ ブ イ メ ー ジ ン グ 、 運 動 能 : 創 傷 治 癒 試 験 、 浸 潤 実 験 、 プ ル ダ ウ ン 法 に よ る 活 性 化 型Racl の 検 出 、MMPの ザ イ モ グ ラ フ イ 、 細 胞 接 着 斑 の 免 疫 染 色 、 腫 瘍 血 管 新 生 :RTーPCRお よ びELISA に よ るVEGF発 現 量 解 析 、 血 管 内 皮 細 胞 の 走 化 性 試 験 ) に よ り 解 析 し た 。 ま た 、PyMOLソ フ 卜 ウ ェ ア を 用 い て ヵsilicoで の 蛋 白 質 立 体 構 造 解 析 を 行 い 、SU6656と キ ナ ー ゼ 間 の 結 合 の 有 無 と そ の 結 合 様 式 を 解 析 し た 。

【 結 果 】 異 種 移 植 片 モ デ ル で はSU6656に よ り 腫 瘍 形 成 や 周 囲 組 織 へ の 浸 潤 の 有 意 な 抑 制 が 認 め ら れ 、 腫 瘍 形 成 確 認 後 か ら 投 薬 を 開 始 し た 擬 似 臨 床 モ デ ル に お い て も 、SU6656は 全 身 状 態 に 影 響 を 与 え る こ と な く 腫 瘍 の 進 展 阻 害 を 達 成 し た 。 カvitroの 実 験 系 に お い て も 、 SU6656は 滑 膜 肉 腫 細 胞 株 の 細 胞 増 殖 と 生 存 を 有 意 に 抑 制 し た 。 さ ら に 特 徴 的 所 見 と し て 、

―149―

(2)

SU6656処 理 に よ っ てG2/M期 の 蓄 積 と 分 裂 溝 の 形 成 不 全 に よ る 細 胞 質 分 裂 の 障 害 が 生 じ 、 そ れ に よ り 多 核 細 胞 と ア ポ 卜 ー シ ス の 誘 導 が 観 察 さ れ た 。 し か し 、 こ れ ら の 現 象 はPP2処 理 で は 再 現 さ れ ず 、SU6656がSFK以 外 の 分 子 を 標 的 と し て い る 可 能 性 が 示 唆 さ れ た 。SU6656 処 理 に よ り 、 細 胞 分 裂 の 主 要 制 御 因 子 オ ー 口 ラ キ ナ ー ゼ の 基 質 蛋 白 質 ヒ ス 卜 ンH3の り ン 酸 化 が 抑 制 さ れ た こ と か ら 、SU6656の オ ー ロ ラ キ ナ ー ゼ ヘ の 抑 制 効 果 が 示 唆 さ れ た た め イ ム ノ ブ 口 ッ ト に て 検 討 し た 。SU6656の6時 間 処 理 で は オ ー 口 ラ キ ナ ー ゼBお よ びCの 酵 素 活 性 に 重 要 な ス レ オ ニ ン 残 基 の り ン 酸 化 が 阻 害 さ れ 、72時 間 処 理 で は オ ー 口 ラ キ ナ ー ゼAお よ びBの 蛋 白 質 自 体 の 発 現 量 が 低 下 す る こ と が 明 ら か と な っ た 。 さ ら に 、PyMOLを 用 い た 立 体 構 造 解 析 に お い て 、SU6656は オ ー 口 ラ キ ナ ー ゼBの 触 媒 部 位 に4個 の 水 素 結 合 を 介 し て 安 定 的 に 結 合 し 得 る こ と が 確 認 さ れ 、 そ の 阻 害 作 用 は 直 接 的 で あ る と 示 唆 さ れ た 。 一 方 、 同 構 造 解 析 に お い て 、PP2の オ ー 口 ラ キ ナ ー ゼBへ の 安 定 し た 結 合 は 結 合 様 式 上 困 難 で あ っ た 。SU6656はMMPの 発 現 や 活 性 を 抑 制 し な か っ た も の の 、 低 分 子 量G蛋 白 質Raclの 活 性 化 や 細 胞 接 着 斑 の 成 熟 を 抑 制 し 、 細 胞 運 動 能 を 有 意 に 低 下 さ せ た 。 ま た 、SU6656は 腫 瘍 細 胞 のSFKを 阻 害 す る こ と に よ っ て 腫 瘍 細 胞 か ら のVEGF産 生 を 抑 制 す る と 同 時 に 、 血 管 内 皮 細 胞 の 生 存 、 遊 走 、 細 胞 質 分 裂 を 直 接 抑 制 し て 腫 瘍 血 管 新 生 を 抑 制 し た 。PP2と オ ー 口 ラ キ ナ ー ゼ 阻 害 薬vx―680の 併 用 に よ っ て 単 独 処 理 時 に 比 べ て 有 効 な 増 殖 抑 制 効 果 が 認 め ら れ た 。

  【 考 察 】 本 研 究 に よ り 、 こ れ ま でSFK特 異 的 阻 害 薬 と し て 汎 用 さ れ て き たSU6656が 、SFK と 同 時 に 、 オ ー 口 ラ キ ナ ー ゼBお よ びCの 活 性 も 阻 害 す る こ と 、 ま た こ れ ら 両 キ ナ ー ゼ の 同 時 抑 制 が 単 独 抑 制 時 よ り も よ り 有 効 な 腫 瘍 抑 制 効 果 を も た ら す こ と が 明 ら か と な っ た 。 オ ー ロ ラ キ ナ ー ゼ はA、B、Cの3つ の サ プ タ イ プ か ら 構 成 さ れ 、Aは 中 心 体 の 成 熟 や 紡 錘 体 構 築 、 紡 錘 体 チ ェ ッ ク ポ イ ン 卜 、Bは 染 色 体 の 凝 縮 や 微 小 管 一 動 原 体 の 接 着 、 中 央 紡 錘 体 構 築 や 細 胞 質 分 裂 に 関 与 す る こ と が 報 告 さ れ て い る 。 本 研 究 に よ り 、SU6656が ま ず オ ー 口 ラ キ ナ ー ゼBの 酵 素 活 性 を 阻 害 す る こ と に よ っ て 細 胞 周 期 のG2/M期 が 遅 延 し 、 そ の 後 オ ー 口 ラ キ ナ ー ゼAとBの 蛋 白 質 発 現 量 が 低 下 す る 結 果 い ず れ の 機 能 も 損 な わ れ 、 細 胞 分 裂 の 様 々 な 段 階 に お い て 障 害 が 生 じ 、mitotic slippageや 倍 数 体 細 胞 の 形 成 、 ア ポ ト ー シ ス が 引 き 起 こ さ れ て 劇 的 な 腫 瘍 形 成 抑 制 効 果 が 発 揮 さ れ た と 示 唆 さ れ た 。 一 方 、SU6656に よ る 腫 瘍 細 胞 の 運 動 ・ 浸 潤 能 抑 制 機 構 に つ い て は 、SU6656はMMPの 発 現 量 や そ の 活 性 化 に 影 響 を 及 ぼ さ な か っ た こ と か ら 、Srcの 抑 制 に よ っ てRaclの 活 性 が 阻 害 さ れ 細 胞 骨 格 の 適 正 な 再 構 築 が 阻 害 さ れ た 結 果 、 腫 瘍 細 胞 の 運 動 能 が 抑 制 さ れ た も の と 示 唆 さ れ る 。 ま た 、 腫 瘍 血 管 新 生 の 抑 制 に お い て は 、SU6656は 腫 瘍 細 胞 のSFKを 阻 害 し てHIF−laやSTAT3に よ る VEGF発 現 亢 進 を 抑 制 す る と 同 時 に 、 血 管 内 皮 細 胞 のSFKと オ ー 口 ラ キ ナ ー ゼ を 阻 害 す る こ と に よ っ て 増 殖 、 生 存 、 遊 走 を 抑 制 す る と 推 察 さ れ た 。 イ ム ノ ブ 口 ッ ト 法 で はSU6656に よ る オ ー ロ ラ キ ナ ー ゼAの 活 性 阻 害 効 果 は 認 め ら れ な か っ た が 、 カsilico解 析 で はSU6656 が オ ー 口 ラ キ ナ ー ゼAに も 結 合 し 得 る 可 能 性 が 示 さ れ て お り 、 今 後 実 際 の タ ン バ ク 質 と SU6656と の 熱 力 学 的 解 析 や 結 晶 構 造 解 析 を 行 う 必 要 が あ る と 考 え ら れ た 。

【 結 論 】 本 研 究 に よ り 、SFK特 異 的 阻 害 薬 と し て 頻 用 さ れ て き たSU6656が オ ー 口 ラ キ ナ ー ゼ に 対 す る 阻 害 効 果 も 併 有 し て い る こ と を 明 ら か に し た 。SFKと オ ー 口 ラ キ ナ ー ゼ は 滑 膜 肉 腫 悪 性 化 に 独 立 し て 寄 与 す る こ と か ら 、 こ れ ら の 二 重 阻 害 は 本 腫 瘍 の 治 療 上 相 乗 的 抗 腫 瘍 効 果 を 発 揮 す る と 期 待 さ れ る 。

―150―

(3)

学位論文審査の要旨 主査 副査

副査 副査

准教授   濱 准教授   丸 教 授    佐 教 授    三

田淳 一 尾聖 爾 邊壽 孝 浪明 男

学 位 論 文 題 名

滑膜肉腫に対するキナーゼ阻害薬の抗腫瘍効果      及 び そ の 分 子 機 構 に 関 す る 研 究

  滑膜肉腫は全軟部悪性腫瘍の7―10%を占める腫瘍である。広範切除術や四肢切断術など の外科的切除に加え、化学療法および放射線療法が併用される。しかし転移や再発が高率 に認められ、5年生存率は24%〜76%、10年生存率は11%〜57%と予後不良である。ー方、

滑膜肉腫では様々な受容体型チロシンキナーゼの発現亢進が認められ、これらに対する分 子標 的治療も 試みら れている ものの、 有効な 治療効果 を得ら れるには 至って いない。

  Srcファミリーキナーゼ(SFK)は非受容体型チロシンキナーゼであり、様々な腫瘍細胞に おいて発現亢進や活性化が報告されている。SFKは腫瘍微小環境の影響を受けて活性化し、

細胞増殖や運動・浸潤、腫瘍血管新生等に対して促進的に働くことが明らかになっている。

この ため、腫瘍細胞に対するSFKの抑制効果を正当に評価するためには、腫瘍微小環境、

すなわち生体内腫瘍組織における検討が必要不可欠となる。申請者らはこれまでに、培養 細胞株を用いてSFKが滑膜肉腫細胞の増殖・運動に促進的に関与すること、また古典的SFK 阻害 薬PP2がこれらを劇的に抑制することを報告してきた。しかしながら、生体内腫瘍環 境に おけるSFK抑制による抗腫瘍効果については未だ不明であった。そこで本研究では、

滑膜 肉腫の免疫不全マウスヘの移植モデルを作製し、マウスヘの全身投与が可能なSFK阻 害 薬 SU6656の 腫 瘍 抑 制 効 果 と そ の 抑 制 の 分 子 メ カ ニ ズ ム を 検 討 し た 。   移植モデルではSU6656により腫瘍形成や周囲組織への浸潤の有意な抑制が認められ、腫 瘍形成が確認された後から投薬を開始した擬似臨床モデルにおいても、SU6656は全身状態 に影響を与えることなく腫瘍の増殖・浸潤を抑制した。In vi troの実験系においても、SU6656 は滑膜肉腫細胞株の細胞増殖と生存を有意に抑制した。さらに特徴的所見として、SU6656

‑ 151―

(4)

処 理 に よ っ てG2/M期 の 蓄 積 と 細 胞 質 分 裂 の 障 害 が 生じ 、そ れ によ り多 核細 胞と ア ポト ーシ ス の 誘 導 が 観 察 さ れ た 。SU6656処 理 に よ り 、 細 胞 分裂 の主 要 制御 因子 オー ロラ キ ナー ゼの 基 質 蛋 白 質 ヒ ス ト ンH3の り ン 酸 化 が 抑 制 さ れ 、p53の 分 解 抑 制 が 認 め ら れ た こ と か ら 、 SU6656の オ ー ロ ラ キ ナ ー ゼ ー の 抑 制 効 果 が 示 唆 さ れ た 。 事 実 、SU6656処 理は オー ロラBお よ びCの 酵 素 活 性 に 重 要 な ス レ オ ニ ン 残 基 の り ン 酸 化 を 阻 害 す る こ と が 明 らか と なっ た。

さ ら に 、PyMOLを 用 い て 立 体 構 造 解 析 を 行 っ た と こ ろ 、SU6656は オ ー ロ ラBの 触媒 部位 に4 個 の 水 素 結 合 を 介 し て 安 定 的 に 結 合 し 得 る こ と が 確認 され 、 その 阻害 作用 は直 接 的で ある と 示 唆 さ れ た 。SU6656は マ ト リ ッ ク ス メ タ ロ プ ロ テイ ナー ゼ の発 現や 活性 を抑 制 しな かっ た も の の 、 低 分 子 量G蛋 白 質Raclの 活 性 化 を 抑 制 し 、 細 胞 運 動 能 を 有 意 に 低下 さ せた 。ま たSU6656は 、 腫 瘍 細 胞 のSFKを 阻 害 しVEGFの 産 生 を 抑 制 す る と と も に 、 血 管 内 皮 細 胞 に も 直接 作 用し てそ の生 存 、遊 走、 細胞 質分 裂 を抑 制し て腫 瘍血 管 新生 阻害 作用 を 発揮 した 。   発 表 後 、 丸 尾 准 教 授 か ら 、 生 存 試 験 で 細 胞 増 殖 を考 慮す ぺ きと の指 摘が あっ た 。滑 膜肉 腫 で し ば し ば み ら れ る 染 色 体 転 座 に 伴 い 産 生 さ れ る融 合タ ン パクSYTーssxの治 療 上の 有用 性 に つ い て 質 問 が な さ れ た 。 こ の 質 問 に 対 し て 、 申請 者か ら 同タ ンパ ク質 を標 的 とし た治 療 では 有 効な 抗腫 瘍効 果 が得 られ なか った こ とが 回答 され た。

  佐 邊 教 授 か ら 、 滑 膜 肉 腫 細 胞 に お け るp53の 発 現 量 や 変 異 、SUに よ る カ ゼイ ン キナ ーゼ 等 の 抑 制 効 果 に つ い て 質問 がな さ れた 。p53の 変異 は確 認さ れ なか った こと 、カ ゼ イン キナ ー ゼ 等 に 対 す る 活 性 抑 制 作 用 に つ い て は 今 後 検 討 す る 旨 の 回 答 が な さ れ た 。   三 浪 教 授 か ら 、SUの 副 作 用 に つ い て 質 問 が な さ れた 。滑 膜 肉腫 細胞 ではSUが 標 的と する キ ナ ー ゼ の 発 現 や 活 性 が 亢 進 し て お り 、 適 切 な 投 与量 によ り 正常 細胞 ーの 影響 を 最小 限に 抑 え る こ と が 可 能 と の 回 答 が あ っ た 。 滑 膜 肉 腫 以 外の 腫瘍 細 胞へ のSU使用 につ い ての 質問 が あ り 、 様 々 な 細 胞 株 へ の 使 用 が 現 在 検 討 さ れ て い る と の 回 答 が な さ れ た 。   濱 田 准 教 授 は 、 移 植 モ デ ル で の 他 臓 器 へ の 転 移 にっ いて 質 問し た。 本実 験で は 全群 にお い て 肉 眼 的 な 転 移 巣 を 認 め な か っ た が 、 観 察 期 間 を延 長す れ ば転 移抑 制効 果も み られ たで あ ろ う と の 回 答 が な さ れた 。ま た 、SFKと オー ロラ キナ ーゼ を 二重 阻害 する 際の 副 作用 につ い て 質 問 し 、 骨 髄 抑 制 を 中 心 と し た 副 作 用 の 可 能 性 に つ い て 回 答 が な さ れ た 。   申 請 者 は 、 本 研 究 に おい て、 こ れま でSFK特 異的 阻害 薬と し て汎 用さ れて きたSU6656が、

SFKだ け で な く 、 オ ー ロ ラBお よ びCの 活 性 を も 阻 害 し 、 腫 瘍 の 増 殖 ・ 浸 潤 を抑 制 する こと を 明 ら か に し た 。 こ のSU6656の ユ ニ ー ク な 阻 害 活 性の 発見 は 、本 剤を 基盤 とし た 新規 薬剤 の 開発 や 臨床 応用 ーの 展 開に 繋が るも のと 期 待さ れる 。

  審 査 員 一 同 は こ れ ら の 成 果 を 評 価 し 、 大 学 院 過 程に おけ る 研鑽 や取 得単 位な ど も併 せ申 請 者が 博 士( 医学 )の 学 位を 受け る資 格を 有 する と判 定し た。

―152―

参照

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