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博 士 ( 歯 学 ) 新 田 幸 絵

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Academic year: 2021

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博 士 ( 歯 学 ) 新 田 幸 絵

     学 位 論 文 題 名

The phenotype of peritumorallymphatic vessels     could beaprognostic faCtorin

    humantongueSquamouSCe11CarCinoma      ( ヒ ト 舌扁 平上 皮 がん 腫瘍 周 囲リ ンパ 管 の形 質は      腫 瘍 の 予 後 を 規 定 す る 因 子 と を り う る )

学 位 論 文 内 容 の 要 旨

  舌扁平上皮がんは頸部リンパ節ヘ転移することが多く、転移の有無は患 者の予後因子ので最も重要な要素を占めている。これまでの研究は腫瘍そ のも のの 生物学 的解 析が 主で、 腫瘍 周囲 のり ンパ管 の形 質と 腫瘍の悪性 度との関連についてについて検討したものは少ない。本研究は、舌扁平上 皮がん周囲のりンパ管を主として形態学的に解析し、臨床的病理学的パラ メ ー タ ー と の 関 係 に つ い て 検 索 す る こ と を 目 的 と し た ,   1993年か ら2003年 の 間 に 、 北 海 道大 学 歯 学 部 附 属 病 院 口腔 外科 を受 診し 、病 理組織 学的 に舌 扁平上 皮癌 と診 断し た43症 例を 対象 とした。症 例 の 内 訳 は 、 男 性33例 、 女 性10例 で 、 初 診 時 の 年 齢 は28歳 か ら91歳 で 平 均 年 齢 は64歳 だ っ た . 臨 床 病 期 はUICCのTNM分 類 に 従 い 分 類 し た。T分類ではTl,14例、T224例、T3,4例、T4,1例であった。N分類では、

初 診 時 、N036例 、Nl‑3は7例だっ たが 、経 過観 察中に りン パ節 後発 転移 が7例に みら れた 。初診 時、 遠隔 転移は43例全例に認められなかったが、

経 過 観 察 中 に2例 に 遠 隔 転 移 が 認 め ら れ た . 病理 組 織 学 的 に 腫 瘍 の 増 殖 様 式 を浸 潤 性 増 殖 、 膨 張性 増殖 の2群に 分類 したと ころ 、浸 潤型 増殖 症例 は17例、膨 張型 増殖 症例は26例 であ った .なお 、今 回の 検索は、術 前 放 射 線 療 法 ・ 化 学 療 法 を 行 っ て い な ぃ 症 例 を 対 象 と し た 。

(2)

リ ン パ 管 の 同 定 に はD2‑40抗 体 を 用 い た 。D2‑40は 精巣 胚 細胞 腫 瘍に 発 現 す る 分 子 量40kDaのO型 シ アロ 糖 タン パ クで あ る癌 胎 児性 抗 原 のM2A抗 原を認識し 、正常組織 中ではりン パ管内皮細 胞を特異的 に認識することが 示されている。本研究では、D2‑40抗体陽性のりンパ管を、その大きさから腫 瘍微小リン パ管、腫瘍 大リンパ管 の2群に分類した。腫瘍微小リンパ管は極 めて小さな 管腔および 管腔が不明 瞭なものを 含む管腔径 が30M111以下のり ンパ管とし、腫瘍大リンパ管は、集合リンパ管には満たないが、毛細リンパ管 の中 で は極 め て大 き い、 管腔径 が5011m以上 、100ルm以下の ものとした 。 腫 瘍 よ り500ル m以 内 の 任 意 の3部 位 中 の り ン パ 管 数 を 測 定 し 、 そ の 平 均 を 各 症 例 の 平 均 リ ン バ 管 数 と し た . 平 均 リ ン パ 管 数 が5個 以 上 み ら れ た も の を 腫 瘍 リ ン パ 管 多 数 症 例 、5個 未 満 の も の を 少 数 症 例 と した.

    腫 瘍 微 小1」 ン パ 管 の 数 と 臨 床 病 理 学 的 な パ ラ メ ー タ ー と の 関 係 に つ い て 検 討 し た 。 腫 瘍 微 小 リ ン パ 管 の 数 と 年 齢 、 性 別 、T分 類 と の 間 に 相 関 は 認 め ら れ な か っ た が 、 腫 瘍 が 浸 潤 型 の 増 殖 様 式 を 示 す 場 合 、 腫 瘍 微 小 リ ン バ 管 の 数 が 増 加 す る 傾 向 が み ら れ 、 さ ら に 、 腫 瘍 微 小 リ ン パ 管 数 と 腫 瘍 の 転 移 を き た し た 症 例 と の 間 に は 有 意 の 相 関 が み ら れ た 。 な お 、 腫 瘍 微 小 リ ン パ 管 は 腫 瘍 に 近 接 す る 部 位 に 多 く 認められた。

    腫 瘍 大 リ ン パ 管 の 数 と 臨 床 病 理 学 的 パ ラ ヌ ー タ ー との 関 係で は 、 年 齢 、 性 別 、T分 類 と の 間 に 相 関 は 認 め ら れ な か っ た が 、 増 殖 様 式 お よ び 腫 瘍 の 転 移 を き た し た 症 例 と の 問 に は 有 意 の 相関 が みら れ た。

  腫瘍の転移 をきたした 症例では、 腫瘍微小リ ンパ管数お よび、腫瘍大リ ンパ管数が多くなり、リンパ管数と腫瘍転移の間には有意の相関がみられ、

腫瘍 リ ンパ 管 数の 検 索が 腫 瘍の 予 後予 測 因 子と し ての 臨床 的有用性が 示 された.

  43例 中19例 を 対 象 に 、 腫 瘍 リ ン パ 管 内 皮 細 胞 の 増 殖 活 性 の 検 討 を

(3)

行 な っ た 。 連 続 切 片 を 作 成 し 、D2‑40抗 体 お よ ぴ 細 胞 周 期 マ ー カ ーで あ る MIB‑1抗 体 を 用 い て 免 疫 染 色 を 行 っ た 。 リ ン パ 管 内 皮 細 胞 核 にMIB1の 発 現 が み ら れ るも の を 増 殖活 性の ある内 皮細 胞と みな し、 管腔 の不 明瞭 なり ン パ管 、も しく は1っ のり ンパ 管内 皮細 胞か らな るり ンパ管 を除 外し 、内皮細胞 に お い てMIB‑1陽 性 細 胞 が1つ 以 上 み ら れ た り ン パ 管 を 、 増 殖 活 性 の 高 い り ン パ 管 と 評 価 し た 。 正 常 粘 膜 下 の りン パ 管 に はMIB‑1陽 性 細 胞 は認 め ら れ な か っ た が 、 腫 瘍 周 囲 の り ン パ 管 にはMIB‑1陽 性 を 示 す り ン パ 管が 存 在 し た 。 腫 瘍の 転 移 を き た し た 症 例 は 、 増 殖 活 性 を も つ 腫 瘍 リ ン パ 管の 割 合 が 平 均23.6% と 高 く 、 一 方 、 腫 瘍 の 転 移 の み ら れ な か っ た 症 例 で は、 増 殖 活 性 を も つ腫 瘍 リ ン パ 管 は8%で 、 腫 瘍 リ ン パ 管 の 増 殖 活 性 と 腫 瘍 のり ン パ 節転 移の 間に 密接 な関 係のあ るこ とが 示唆 され た.

  43症 例 の う ち28症 例 を 対 象 に 、HE染 色 標 本 上 で 腫 瘍 リ ン パ 管 内 皮 細 胞 の 核 ク ロ マ チ ン 濃 度 を 画 像 解 析 装 置 に よ り 計 測 し た 。 .   正 常 上 皮 下 に み ら れ た り ン パ 管 内 皮 細 胞 の 核 の 濃 度 を1と し た 場 合 、 腫 瘍 の 転 移の み ら れ な か っ た 症 例 で は そ の 平 均 値 が1.17、 腫 瘍 の 転移 を き た し た 症 例 で は1.38と 腫 瘍 リ ン パ 管 内皮 細 胞 核 平 均DNA濃 度 が 高 いこ と が 示さ れ、 それ ぞれ の問 に有意 の相 関が 認め られ た。

以 上 の 結 果 か ら 、 腫 瘍 の 転 移 を き た し た 症 例 で は 、 リ ン パ 管 数 の 多 さ と 有 意 の 相 関 が み ら れ る こ と よ り 、 腫 瘍 リ ン パ 管 数 の 検 索 が 、 腫 瘍 の 予 後 予 測 因子 と し て の 臨 床 的 有 効 性 を 持 つ こ と 、 お よ び 、 腫 瘍 の 転移 を き た し た 症 例 では 、 腫 瘍 リン パ管 内皮細 胞が 活発 に増 殖し てお り、 腫瘍 リン パ 管 の 増 殖 と腫 瘍 の り ン パ 節 転 移 に 密 接 な 関 係 の あ る こ と が 示 唆 さ れた . さ ら に 、 正 常 上 皮 下 に み ら れ る り ン パ 管 内 皮 細 胞 の 核 濃 度 に 比 較 し 、 腫 瘍 リ ン パ 管 内 皮 細 胞 で は 核 濃 度 が 有 意 に 高 く 、 腫 瘍 リ ン パ 管 が 、 腫 瘍 血 管 内 皮で い わ れ て い る よ う な 染 色 体 異 常 を も つ 可 能 性 が 示 唆 され た .

結 語

(4)

1 腫瘍の転移をき たした症例では、 腫瘍周囲のりンバ管数の有意 の増加がみられた。

2   リンパ節後発転移をきたした症例では、微小リンパ管が有意に 多く、リンバ節後発転移のスクリーニング検査として、臨床的に有 用性が高いことが示された.

3 腫瘍のりンパ節 転移と腫瘍周囲リ ンパ管内皮細胞増殖活性の間 に有意の相関関係が認められた.

4 腫 瘍 周 囲 の り ン バ 管 内 皮細 胞の DNA 量 は正 常組 織 のり ンパ 管 内皮細胞に比ベ増加し、腫瘍周囲リンバ管が正常組織のりンバ管と 異 な る 遺 伝 子 背 景 を 有 す る 可 能 性 が 示 唆 さ れ た . 以上の所見は、腫瘍リンパ管の形質を検索することが、腫瘍の転移・

予後 を予 測 するマーカーとして 有用性が高いこと が示された。

(5)

学位論文審査の 要旨

     学位論文題名

The phenotype of peritumoral lymphatic vessels     could beaprognostic factor in

    human tongue squamous cell carcinoma      (ヒト舌扁平上皮がん腫瘍周囲リンパ管の形質は      腫 瘍 の 予 後 を 規 定 す る 因 子 と な り う る )

  審査は、審査員全員が出席の下に、申請者に対して提出論文とそれに関連した学科目に っいて口頭試問により行われた。

最初に、申請者により学位論文に関する以下の説明がなされた。

    舌 扁平上皮が んは頚部リ ンパ節ヘ転 移すること が多く、転 移の有無は患者の予 後 因子ので最 も重要な要 素を占めて いる。これ までの研究 は腫瘍その ものの生物学 的 解析が主で 、腫瘍周囲 のりンパ管 の形質と腫 瘍の悪性度 との関連に っいてについ て 検討したも のは少ない。本研究は、舌扁平上皮がん周囲のりンパ管を主として形態 学 的に解析し 、臨床的病理学的パラメーターとの関係について検索することを目的と し た.

  1993年 か ら2003年 の 間 に 、 北 海 道 大 学歯 学 部附 属 病院 口 腔外 科 を 受診 し 、病 理 組 織学 的 に舌 扁 平 上皮 癌 と診 断 した43症 例 を対 象 とした 。症例の内 訳は、男性 33例 、 女 性10例 で 、 初 診 時 の 年 齢 は28歳 か ら91歳 で 平 均 年 齢 は64歳 だ っ た . 臨 床 病 期 はUICCのTNM分 類 に 従 い 分 類 し た 。T分 類 で はTl。14例 、T2 24例 、 T3,4例、T4,1例であ った。N分類では 、初診時、N036例 、Nl‑3は7例 だったが、経 過 観 察 中に り ンパ 飾 後発 転 移が7例 にみ ら れた 。 初診 時 、遠 隔 転移 は43例 全 例に 認 め られ な かっ た が 、経過 観察中に2例に遠隔 転移が認め られた.病 理組織学的 に

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腫瘍 の 増殖 様 式を 浸 潤 性増 殖 、膨 張 性増殖 の2群 に分類した ところ、浸 潤型増殖症 例は17例、膨張型増殖症例は26例であった.

  リンパ管の 同定にはD2‑40抗体を用いた。D2‑40抗体陽性のりンパ管を、その大きさ から 腫 瘍微 小 リン パ 管 、腫 瘍 大リ ン パ管 の2群 に 分類 し た。 腫 瘍よ り500Um以内 の 任 意 の3部 位 中 の り ン パ 管 数 を 測 定 し 、 平 均 リ ン パ 管 数 が5個 以 上 み ら れ た も の を 腫 瘍 リ ン パ 管 多 数 症 例 、5個 未 満 の も の を 少 数 症 例 と し た . 腫 瘍 の 転 移 を きたした症例では、腫瘍微小リンパ管数韜よぴ、腫瘍大リンパ管数が多くたり、リンパ管 数と 腫 瘍転移の 問には有意 の相関がみ られ、腫瘍 リンパ管数 の検索が腫 瘍の予後予 測因子としての臨床的有用性が示された.

  43例 中19例 を 対 象 に 、 細 胞周 期 マー カ ーで あ るMIB‑1抗 体を 用 い て腫 瘍 リン パ 管内 皮 細胞 の 増殖 活 性 の検 討 を行 な った 。 転移 を きた し た症 例 は、 増 殖活性をも つ腫瘍リ ンパ管の割 合が平均23.6%と高く、一方、転移のみられなかった症例では、

増殖活性をもつ腫瘍リンパ管は8ワ。で、腫瘍リンパ管の増殖活性とりンパ節転移の間 に密接な関係のあることが示唆された.

  43症例の うち28症例を 対象に、HE染 色標本上で 腫瘍リンパ 管内皮細胞 の核クロマ チン 濃 度を画像 解析装置に より計測し た。正常上 皮下にみら れたりンパ 管内皮細胞 の核 の 濃度 を1とし た 場合 、 低転 移 能症 例ではそ の平均値が1.17、 高転移能症 例で は1.38と腫瘍リ ンパ管内皮 細胞核平均DNA濃度が 高いことが 示され、それぞれの間に 有意の相関が認められた。

  以 上 の結果から 、腫瘍リン パ管数の検 索が、腫瘍 の予後予測 因子として の臨床的 有効性を持っこと、および、腫瘍リンパ管の増殖とりンパ節転移に密接な関係のあるこ とが 示 唆さ れ た, さ ら に、 腫 瘍リ ン パ管 内 皮細 胞 では 核 濃度 が 有意 に 高く、腫瘍 リンパ管 が、腫瘍血 管内皮でいわれているようを染色体異常をもつ可能性が示唆され た.

1 2 3 4 5

引き続き、審査担当者からの質問が行われた。主な質問項目は、

リンパ管を直径から2群に分けた理由

リンパ管内皮細胞のDNA濃度の意味するところ 血管の分布との関連性

舌 以 外 の 部 位 の り ン パ 管 と の 性 状 の 違 い に っ い て 腫瘍周囲500,umの範囲をどのように決定したか  などであった。

  いずれの質問に対しても、申請者から明確な回答が得られ、関連分野に関しても深い知 識を有しており、学位授与に相当するものと考えられた。

参照

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