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博 士 ( 工 学 ) 高 田 幸 史

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Academic year: 2021

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博 士 ( 工 学 ) 高 田 幸 史

学 位 論 文 題 名

単 一 金 属 液 滴 の 凝 固 挙 動 に 関 す る 基 礎 的 研 究 学 位 論 文 内 容 の 要 旨

  近 年 、 半 導 体 分 野 に お い て 液 滴 凝 固 を 利 用 し て 球 状 半 導 体 を 作 製 す る 試 み が な さ れ て い る 。 液 滴 を 作 製 す る 方 法 と し て 、 複 数 の 液 滴 を 同 時 に 作 製 す る 方 法 及 び 単 一 の 液 滴 を 作 製 す る 方 法 が あ る 。 前 者 は 、 エ マ ル ジ ョ ン 法 、 ア ト マ イ ゼ ー シ ョ ン 法 で あ り 、 後 者 は 、 レ ビ テ ー シ ョ ン 法 、 ド 口 ッ プ チ ュ ー ブ 法 で あ る 。 工 業 的 な 観 点 か ら は 、 複 数 の 液 滴 を 凝 固 さ せ 、 一 度 に 大 量 の 試 料 を 得 る こ と は 有 利 な こ と で あ る が 、 個 々 の 液 滴 の 凝 固 挙 動 を 把 握 す る こ と は 困 難 で あ る 。 一 方 、 レ ビ テ ー シ ョ ン 法 は 、 単 一 液 滴 の 凝 固 挙 動 を 把 握 す る こ と は で き る が 、 試 料 の 組 成 や 大 き さ に 制 限 が あ り 、 装 置 も 大 が か り で あ る 。 ド ロ ッ プ チ ュ ー ブ 法 は 、 試 料 の 大 き さ に 制 限 が あ る と 同 時 に 液 滴 の 直 接 観 察 が 出 来 な い こ と か ら 凝 固 挙 動 の 把 握 は 困 難 で あ る 。   第1章 で は 、 液 滴 の 凝 固 に 関 す る 研 究 を3種 の 材 料 系 に 分 け て 紹 介 し て い る 。 ま た 、 上 述 し た 研 究 手 法 を 紹 介 す る と 共 に 、 そ の 問 題 点 を 指 摘 し て い る 。 さ ら に 液 相 か ら 単 結 晶 を 作 製 す る 方 法 と 球 体 の 利 用 法 を 紹 介 し 、 最 後 に 本 研 究 の 目 的 を 述 べ て い る 。 す な わ ち 、 始 め に 単 一 液 滴 を 簡 便 な 方 法 で 作 製 す る た め の 懸 垂 液 滴 装 置 を 考 案 し 、 そ れ を 用 い て 種 々 の 金 属 液 滴 の 凝 固 挙 動 を 直 接 観 察 す る と 共 に 、 球 状 化 、 単 結 晶 化 と 凝 固 組 祷 形 成 と の 相 関 関 係 さ ら に は 重 力 作 用 に よ る 凝 固 組 織 形 成 へ の 影 響 に つ い て 調 査 す る 。   第2章 で は 、 実 験 装 置 の 作 製 条 件 と 実 験 条 件 に つ い て 述 べ て い る 。 装 置 は 、 電 気 炉 、 液 滴 作 製 部 、 ノ ズ ル 付 黒 鉛 製 る っ ぼ 及 び 液 滴 冷 却 装 置 を 内 部 に 持 つ ス テ ン レ ス 製 チ ャ ン バ ー と 真 空 ポ ン プ 、 温 度 及 び 液 滴 作 製 の た め の 制 御 装 置 で 構 成 さ れ て い る 。 る っ ぼ は 、 底 部 に ノ ズ ル を 持 つ 注 射 器 の 様 な 形 状 で 、 溶 融 し た 試 料 を 押 し だ して ノ ズル 先 端に 液滴 を 懸垂 す るこ と がで き る。

  試 料 の 凝 固 は 、 二 通 り の 冷 却 方 法 で 行 っ た 。 一 方 は 、 炉 の 電 源 を 切 り 、 そ の ま ま 真 空 チ ャ ン バ ー 内 で 放 冷 し ( 懸 垂 凝 固 ) 、 他 方 は 、 電 源 を 切 っ た 後 、 冷 却 板 を 液 滴 の 下 方 か ら 接 触 さ せ る こ と で 強 制 冷 却 ( 強 制 冷 却 凝 固 ) さ せ た 。 強 制 冷 却 凝 固 で は 、 微 小 重 力 下 で も 実 験 を 行 っ た 。 実 験 に 用Lゝ た 試 料 は 、 大 き く 分 け て3種 類 で 、 金 属 材 料 と し て ア ル ミ ニ ウ ム 及 び ア ル ミ ニ ウ ム 合 金 、 半 導 体 材 料 と し て ガ リ ウ ム ー ア ン チ モ ン 合 金 、 ア モ ル フ ァ ス 系 材 料 と し て マ グ ネ シ ウ ム ― 銅 一 イ ッ ト リ ウ ム 合 金 で あ る 。 金 属 材 料 と ア モ ル フ ァ ス 系 材 料 は 凝 固 収 縮 す る 系 で あ り 、 半 導 体 材 料 は 凝 固 膨 張 す る 系 で あ る 。 ま た 金 属 材 料 と 半 導 体 材 料 は 液 相 の 粘 性 が 低 く 、 ア モ ルフ ア ス系 材 料は 、粘 陸 が高 い 特徴 を 有す る 。

  第3章 で は 、 液 滴 が 落 下 す る ま で の 臨 界 大 き さ の 調 査 と 液 滴 の 凝 固 時 間 の 予 測 に つ い て 述 べ て い る 。 水 や 有 機 物系 に おい て 、単 ―I孑Lカゝ ら 作製 さ れる 液 滴径 の式 と して 、 d舳 =1.62Bonゴ5が 導き 出 され て いる。 ここで、

も は 液 滴 径 (mm) 、 由 は ノ ズ ル 径 (Inm) 、Boは ボ ン ド 数 と 呼 ば れ る 無次 元 数で 、Bo d02g△p/ ア、gは 重力 加 速 度 (nめ 、 △pは 液 滴 と 周 囲 の 密 度 差 舛g/m3) 、 ア は 表 面 張 力 甜 川 で あ る 。 内 径o.51nmの ノ ズ ル を 用 い て 作 製 し た 液 滴 の 最 大 大 き さ は 、 高 純 度 ア ル ミ ニ ウ ム の 場 合 、 約51nm、 ガ リ ウ ム ア ン チ モ ン の 場 合 、 約215mmで あ り 、 上 式 と 良 く 一 致 し た 。 こ の 結 果 、 同 式 は 金 属 系 の 材 料 に お い て も 適 用 可 能 で あ る こ と を 示 し た 。   液 滴 の 凝 固 に 要 す る 時 間bを 液 滴 の 凝 固 潜 熱 カ 敬 寸 流 熱 伝 達 と 輻 射 熱 伝 達 で 外 部 に 放 出 さ れ る と し た 熱 バ ラ ン ス 式を 解 き、b ̄ph居Aを 得 た。 こ こで 、Lは 凝固 潜熱 (J/k) 、A二ニXh卩・T.0) 十ED卩4‐Tめ 、hは熱伝 達係数、

T,T0は そ れ ぞ れ 液 滴 、 周 囲 の 温 度 ∞ 、Eは 輻 射 率 、Dは ス テ フ ァ ン ・ ボ ル ツ マ ン 定 数m′ / ・ (m2Kり で あ る 。 そ

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の 結 果 、 液 滴 の 冷 却 は 輻 射 が 主 で あ り 、 僅 か に 対 流 も 影 響 し て い る こ と が 計 算 と 実 測 値 と の 対 応 で 示 さ れ た 。   第4章 で は 、 ア ル ミ ニ ウ ム 及 び ア ル ミ ニ ウ ム 合 金 に お け る 液 滴 の 凝 固 現 象 を 述 べ て い る 。 懸 垂 凝 固 で は 、 液 滴 は 凝 固 し た 後 も 全 て 球 状 と な っ て い る 。 液 滴 の サ イ ズ が 大 き な 場 合 で は 、 試 料 の 上 下 方 向 で 不 均 一 な 組 織 と な っ た 。 固 相 が 粒 子 状 で あ る と 仮 定 し 、 ス 卜 ー ク ス の 式 に よ っ て 算 出 し た 移 動 速 度 は 、 合 金 系 で の 初 晶 の 浮 上 速 度 が8mm/sと な り 、 液 滴 の 凝 固 中 に 固 相 が 十 分 移 動 可 能 で あ る こ と を 示 し た 。 液 滴 の 大 き さ を1mm ま で 減 少 さ せ る と 、 固 相 の 移 動 が 抑 え ら れ 、 よ り 均 一 な 組 織 の 試 料 カ 滞 ら れ た 。 特 に 高 純 度 ハ の 場 合 で は 、 液 滴 の 大 き さ を1mmま で 小 さ く す る こ と で 、 観 察 視 野 内 で は 単 結 晶 試 料 が 得 ら れ る こ と を ラ ウ ェ 法 で 確 認 し た 。

  強 制 冷 却 凝 固 で は 、 太 鼓 状 の 試 料 形 態 と な り 、 通 常 重 力 下 と 微 小 重 力 下 で 凝 固 し た 試 料 の 組 織 を 比 較 す る と 、 後 者 の 結 晶 粒 が 粗 く な っ て い た 。 こ れ は 微 小 重 カ に よ り 固 液 前 面 で の 流 れ が 抑 制 さ れ 、 そ れ が 熱 的 な 乱 れ を 無 く す る こ と で 、 連 続 的 な 結 晶 成 長 を 促 進 す る こ と 及 び 試 料 周 り の 自 然 対 流 が 無 く な る こ と で 輻 射 の み の 冷 却 と な る た め 、 試 料 の 冷 却 速 度 が 遅 く な っ た た め と 考 え ら れ る 。 一 方 、 共 晶 組 成 のAl合 金 で は 、 通 常 重 力 下 と 微 小 重 力 下 で 凝 固 さ せ た 試 料 の ラ ヌ ラ ー 間 隔 に 差 は 認 め ら れ な か っ た 。

  第5章 で は 、 ガ リ ウ ム ー ア ン チ モ ン 合 金 に お け る 液 滴 の 凝 固 現 象 を 述 べ て い る 。 懸 垂 凝 固 で は 、 一 部 の 組 成 を 除 き 、 ほ と ん ど の 試 料 で 凝 固 中 に 突 起 を 形 成 し た 。 凝 固 中 の 突 起 の 形 成 を 直 接 観 察 し た 例 は 、 他 で は ほ と ん ど 報 告 さ れ てお らず 、 非常 に 特異 な 現象 で ある 。組 織 観察 とElectron Back Scattering Diffraction法 によ り 、 組 織 は1つ の デ ン ド ラ イ ト で 構 成 さ れ て い る こ と が 確 認 さ れ 、 立 方 晶 ( 閃 亜 鉛 鉱 型 ) の 主 軸 と 側 枝 と の な す 角 度 に ほ ぼ 対 応 し て 曲 が っ て い る 。 す な わ ち 、 こ の 液 滴 は ア ル ミ ニ ウ ム と 異 な り 大 き く 過 冷 し て い る こ と か ら 、 核 は ノ ズ ル 近 傍 で 生 成 し 、 そ れ が 主 軸 と な っ て 液 滴 下 方 に 成 長 す る と 共 に 残 液 相 を 成 長 前 面 に 押 し だ し 、 そ の 液 相 が 無 く な る と 他 の 液 相 領 域 に 側 枝 を 伸 ば し て 凝 固 を 終 了 し た と 考 え ら れ る 。   強 制 冷 却 凝 固 で は 、 全 て の 試 料 で 突 起 の 形 成 が 抑 え ら れ 、 よ り 球 形 に 近 い 形 状 の 試 料 と な っ た 。 強 制 冷 却 で は 、 一 方 向 凝 固 と な り 、 液 滴 を ノ ズ ル と 冷 却 板 で 上 下 に 拘 束 し た 形 に な る た め 、 突 起 の 形 成 が 抑 え ら れ と 考 え ら れ る 。 ま た 、 微 小 重 力 下 で 強 制 冷 却 凝 固 さ せ た 試 料 は 、 通 常 重 力 下 で 凝 固 さ せ た 試 料 よ り も 結 晶 が 粗 大 化 し て お り 、 こ れ は ア ル ミ ニ ウ ム の 結 果 と 一 致 し て い る 。

  第6章 で は 、 比 較 的 容 易 に ア モ ル フ ァ ス 化 す る 系 と し て 知 ら れ て い る マ グ ネ シ ウ ム ― 銅 ー イ ッ 卜 リ ウ ム 合 金 に お け る 液 滴 の 凝 固 現 象 に つ い て 述 べ て い る 。 懸 垂 凝 固 に よ り 球 状 形 態 の 試 料 を 作 製 で き た が 、 組 織 と し て は 、 初 晶 と 共 晶 お よ び 凝 固 後 の 析 出 物(Mg 28.5%,Cu 59.90/0,Y12.6%)が 観 察 さ れ た 。 強 制冷 却 凝固 では 、 初 晶 と 共 晶 の み が 観 察 さ れ た こ と よ り 、 こ れ ま で こ の 系 で 得 ら れ て い な い 三 元 系 の 相 形 成 過 程 を 推 定 し た 。   第7章 で は 、 得 ら れ た 結 果 の ま と め を 述 べ て い る 。

  こ の よ う に 液 滴 を 利 用 し て 球 形 状 の 材 料 を 作 製 す る た め に は 、 体 積 膨 張 す る 系 よ り も 体 積 収 縮 す る 系 の 方 が 有 利 で あ り 、 ま た 小 さ く す る こ と に よ り 単 結 晶 的 な 結 晶 成 長 を 行 わ せ る こ と が 出 来 こ と 、 及 び 微 小 重 力 環 境 は 単 結 晶 作 製 に 有 利 で あ る こ と を 明 ら か に し た 。

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(3)

学位論文審査の要旨 主 査    教授    工藤昌行 副 査    教授    石井邦宜 副 査    教授    野口    徹 副査   助教授   伊藤洋一

学 位 論 文 題 名

単一金属液滴の凝固挙動に関する基礎的研究

   近年、半導体分野において球状半導体を作製する試みがなされており、そのーっに液滴凝固法がある。

液滴を作製する方法として、集団的にはエマルジョン法、アトマイゼーション法があり、単一としてはレ ピテーション法、ド口ップチューブ法がある。工業的な観点からは、複数の液滴を凝固させ、一度に大量 の微小試料を得るほうが有利であるが、液滴の凝固挙動を把握することは一般に困難である。一方、レピ テーション法は、単一液滴の凝固挙動を把握することに適しているが、試料の組成や大きさに制限があり、

装置も大がか;りである。またドロップチューブ法も、試料の大きさに制限があると同時に液滴の直接観察 が出来ない等の欠点を有する。著者は、単一液滴の凝固挙動を簡便に直接観察できる装置を開発すると共 に 、 液 滴 の 凝 固 過 程 に お け る 球 状 化 、 単 結 晶 化 に つ い て 検 討 し た も の で あ る 。    第1 章は、緒言であり、これまでに報告されている液滴凝固に関する研究を述べ、問題点を指摘してい る。次ぎに液相から単結 晶を作製する方法と球体の利用法を述べ、最後に本研究の目的を述べている。

   第2 章は、単一液滴を作製するための装置の作製条件と実験条件について述べている。装置は微小重力下 でも実験が行えるように小型化、小電力化が必要である。実験装置は、電気炉、液滴作製部、ノズル付黒鉛 製るっぼ及び液滴冷却装置を内部に持つステンレス製チャンバーと真空ポンプ、温度及び液滴作製のための 制御装置で構成されている。るっぼは、底部にノズルを持つ注射器の様な形状で、溶融した試料を押しだし てノズル先端に液滴を懸垂する。実験は二通りの冷却方法で行っている。一方は、そのまま真空チャンバー 内での放冷(懸垂凝固)であり、他方は、冷却板を液滴の下方から接触させることでの強制冷却(強制冷却 凝固)である。微小重力条件では強制冷却のみである。用いた試料は、金属材料としてアルミニウム及びア ルミニウム合金、半導体材料としてガリウム―アンチモン合金、アモルファス系材料としてマグネシウム―

銅一イットリウム合金である。

   第3 章は、液滴が懸垂できる最大大きさと凝固時間の予測について述べている。金属液滴の最大大きさは、

水や有機物系において確立している液滴重量と懸垂時の表面張カバランスから求められた液滴径の式から予 測できることを示した。凝固に要する時間は、液滴の凝固潜熱が対流熱伝達と輻射熱伝達で外部に放出する 熱パランス式から求めた。これを実測値と対応させることにより、本実験の冷却は輻射が主体的であるが、

←啼隣擶鰍も影響していることを明らかにした。

   第4 章は、アルミニウム及びアルミニウム合金における液滴の凝固現象を述べている。懸垂凝固では全て 球状となっている。合金系の液滴では、その大きさが大きいと固相の移動により試料の上下方向で不均一な 組織となるが、液滴をImm まで減少させると、固相の移動が抑えられ、より均一な組織となった。一方、高

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(4)

純 度 ア ル ミ ニ ウ ム は 、 液 滴 の 大 き さ をImmま で 小 さ く す る こ と で 、 観 察 視 野 内 で 単 結 晶 と な る 。 ま た こ の 組 成 の 試 料 は 液 滴 径 が5mmと 大 き く て も 観 察 視 野 内 で 単 結 晶 化 し た 。 合 金 系 で も 微 小 重 力 下 で 強 制 冷 却 す る と 、 通 常 重 力 下 で 凝 固 し た 結 晶 粒 よ り も 粗 く な っ た 。

  第5章 は 、 ガ リ ウ ム ― ア ン チ モ ン 合 金 に お け る 液 滴 の 凝 固 現 象 を 述 べ て い る 。 懸 垂 凝 固 で は 、 一 部 の 組 成 を 除 き 、 ほ と ん ど の 試 料 で 凝 固 中 に 突 起 を 形 成 し た 。 凝 固 中 の 突 起 の 形 成 を 直 接 観 察 し た 例 は 、 こ れ ま で ほ と ん ど 報 告 さ れ て お ら ず 、 非 常 に 特 異 な 現 象 で あ る 。 こ の 組 織 は ほ ぼ1つ の デ ン ド ラ イ ト で 構 成 さ れ て い る が 、 突 起 は 主 軸 か ら 側 枝 の 成 長 に 対 応 し て い る こ と を 、 直 接 観 察 とElectron  Back  Scattering Dif fract ion 法 と で 明 ら か に し た 。 強 制 冷 却 凝 固 で は 、 全 て の 試 料 で 突 起 の 形 成 が 抑 え ら れ 、 よ り 球 形 に 近 い 形 状 の 試 料 と な っ た 。 こ れ は 液 滴 を ノ ズ ル と 冷 却 板 で 上 下 に 拘 束 し た 形 に な る た め 、 突 起 の 形 成 が 抑 え ら れ と 考 え ら れ る 。 ま た 、 微 小 重 力 下 で 強 制 冷 却 凝 固 さ せ た 試 料 は 、 通 常 重 力 下 で 凝 固 さ せ た 試 料 よ り も 結 晶 が 粗 大 化 し て お り 、 こ れ は ア ル ミ ニ ウ ム の 結 果 と 一 致 し た 。

  第6章 で は 、 容 易 に ア モ ル フ ァ ス 化 す る 系 と し て 知 ら れ て い る マ グ ネ シ ウ ム ― 銅 一 イ ッ ト リ ウ ム 合 金 に お け る 液 滴 の 凝 固 現 象 に つ い て 述 べ て い る 。 懸 垂 凝 固 に よ り 球 状 形 態 の 試 料 を 作 製 で き た が 、 組 織 と し て は 、 ア モ ル フ ア ス に な ら ず 、 初 晶と 共 晶お よ び凝 固後 の 析出 物(Mg 28.5% ,Cu 59.9%,Y12. 6%)が観 察さ れ た。 一 方、

強 制 冷 却 凝 固 し て も 、 初 晶 と 共 晶 の み が 観 察 さ れ た 。 こ の ニ つ の 凝 固 過 程 と 組 織 観 察 、 濃 度 測 定 か ら こ れ ま で 報 告 さ れ て い な い こ の 系 の 相 形 成 過 程 を 示 し た 。

  第7章 は 、 総 括 で あ る 。

  こ れ を 要 す る に 、 著 者 は 金 属 お よ び 半 導 体 材 料 の 液 滴 凝 固 挙 動 を 詳 細 に 調 査 す る こ と に よ り 、 単 一 微 小 金 属 の 球 状 化 、 単 結 晶 化 に 関 す る 新 知 見 を 得 た も の で あ り 、 凝 固 工 学 に 貢 献 す る と こ ろ 大 な る も の が あ る 。 よ っ て 著 者 は 、 北 海 道 大 学 博 士 ( 工 学 ) の 学 位 を 授 与 さ れ る 資 格 あ る も の と 認 め る 。

一 854―

参照

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