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博 士 ( 歯 学 ) 舞 田 健 夫

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Academic year: 2021

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(1)

博 士 ( 歯 学 ) 舞 田 健 夫

     学位論文題名

鑞付の簡易化に 関する研究    学 位 論 文 内 容 の 要 旨

  I.緒  言

  鑞付法は、歯科補綴物を作製する上で欠かせない金属接合法のーっとして、広く 用いられていて、精度及び強度の向上、作業の省力化などを目的にこれまで数々の 研究開発が行われている。火炎鑞付法は、各種鑞付法の中で比較的手軽に行うこと ができ、その操作さえ熟練すれば、その精度は実用上支障はないものと考えられて いるが、複雑な操作手順のために、術者の熟練度によって鑞付の結果に差が生じる ことが多い。そこで本研究では一般的な火炎鑞付法の手順として行われている母材 金属の仮着、鑞材及び、フラックスの供給を1つのステップとして簡易化し、鑞付 は一定の温度に設定された電気炉を用いて行うシステムの開発を試みた。また、こ の仮着材としての働きを合わせ持った鑞材を用い、さらに炉内鑞付を行うことで、

鑞付作業の簡易化および鑞付結果の均質化と質的向上を計ることを目指し、それを 評価する上で、現在最も一般的に行われている火炎鑞付法との比較検討を行った。

  H.予備実験  ―仮着材として使用可能な粉末鑞の試作―

  まず鑞材が仮着材として使用可能であることを考慮し、粉末状の鑞とフラックス を混入し、賦形が容易でなおかつ、ある程度の強度があることを条件に、結合材と してスティッキーワックスを選択し、実際にそのような鑞を用いて鑞付が可能か否 かを検討した。鑞付される母材としては12%金含有金銀パラジウム合金のバージ ンメタルを用いた。使用した鑞材はコントロールとして、金銀パラジウム鑞を用い、

これに対して溶融したスティッキーワックスの中に粉末状のフラックスと粉末状の コント口ールと同じ鑞を混入した粉末鑞(以下ワックス粉末鑞)を用いた。この2 種類の鑞材を用いて母材金属を突き合わせ継ぎ手として、火炎鑞付法で鑞付し、引 張り試験を行った。その結果、コントロールとワックス粉末鑞の引張り強さはほぽ 同程度を示した。しかし、破断面及び鑞付部断面の観察によると、ワックス粉末鑞 は従来法のコント口ールに比べて鑞の内部に欠陥が数多く観察され、結合材のワッ クス、フラックスの配合比、粉末状の鑞の形状および大きさなどについて検討が必 要と思われた。また、火炎の代わりに熱源として電気炉を用いて鑞付を試みたが、

鑞の酸化が著しく、鑞付は不可能だった。

  m.ア口ンアルファ粉末鑞の開発

  鑞付される母材としては12%金含有金銀パラジウム合金のバージンヌタルを用 い、100Umの隙間ゲージを介して治具に固定した。継手形状は突き合わせ継手と し、鑞付用埋没材を用いて埋没した。粉末鑞は鑞の形状、大きさ、混入するフラッ クスの配合比を変えた9種類を用いた。削片状の鑞はコント口ールに使用した金銀 パラジウム鑞をヤスリ掛けして作製したもの1種類で、球状の鑞はア卜マイズ法に よっ て作製 した2種類の 粒径 (平 均粒径20ルmと50ロm)を使用した。粉末状の鑞

(2)

を混入する結合材は結合性と焼却性に優れている瞬間接着材を使用した。粉末状の フラックスは、ホウ砂とホウ酸を主成分とする高温用フラックスを一旦溶融し、硬 化 さ せ て ガ ラ ス 状 に し た も の を 再 度 粉 末 状 に し た も の で あ る 。   鑞付の手順は粉末状の鑞とフラックスを混合したものに純水を加え、良く混和し てぺースト状にし、鑞付間隙に流し込むと同時に鑞付後の鑞材の体積収縮を見込ん で必要とされる量を鑞付部に盛り上げ、鑞付部以外の周囲にはアンチフラックスと して研磨用のルージュ(酸化ク口ムCr2○3)を塗布した。その後、ドライヤーで1 分問、流し込んだ粉末鑞の水分を乾燥させた後、瞬間接着材を粉末鑞の上に一滴た らして浸透硬化させ、仮着を行なった。電気炉内で母材金属表面ならびに粉末鑞の 酸化をある程度抑制するために、黒鉛るっぼに試料を入れ、炉内で850℃で加熱し た。黒鉛るっぼはあらかじめ850℃に加熱しておき、試料を炉内に入れた時の炉内 温度の低下を最小にするよう配慮した。今回の試料の大きさで炉内温度を850℃に 設定した場合は、削片状の粉末鑞では3分問、球状の粉末鑞では2分間で、鑞付が 完了することをあらかじめ確認しておいた。

  以上の実験で得られた試料から、鑞付部分の引張り強さと引張り試験後の試料破 断面及び、鑞付部分の断面における金属組織の観察を行い、現在最も一般的に行わ れている、火炎鑞付法との比較検討を行った。

  IV.結  論

  粉末状の鑞材とフラックスの混合物および瞬間接着材で構成され、炉内で鑞付が できる仮着材としての役割を持つ新しい鑞材を開発した。この鑞材を用いた鑞付結 果を従来の火炎鑞付法と比較検討し、以下の結論を得た。

  1.新たに開発した粉末状の鑞とフラックスの混合物を純水を用いてぺースト状に し、これをあらかじめ埋没材で固定された母材金属の鑞付間隙に必要な量だけ流し 込み、乾燥後に瞬間接着材を滴下して硬化させることで母材金属を仮着した。そし て、電気炉内に設置された黒鉛るっぼ内で決められた温度で一定時間加熱すると、

鑞付を行うことができた。

  2.粉末鑞の形状に関しては削片状のものは、球状のものに比べて鑞付に要する時 間が長くなり、鑞付部分の拡散が著しく、結晶粒も粗大化して従来法の火炎鑞付に 比べて鑞付部の引張り強さが小さかった。

  3.球状粉末鑞を用いた場合は従来法の火炎鑞付に比べて鑞付部の引張り強さは同 程度の値が得られ、さらに削片状の粉末鑞に比べて鑞付結果を良好にする上でのフ ラックスの配合比を少なくすることができた。

  4.引張り試験後の鑞付部の破断面はフラックスの配合比が39:1と少なく、粒径 が平均20 111T1程度の球状粉末鑞を用いた場合に気泡などの欠陥が最も少なく、均 一な構造を呈していた。

  5.鑞付部の断面による金属組織は削片状粉末鑞では拡散が著しく、結晶粒の粗大 化が観察された。また、鑞付に要した時間が比較的長いこともあって過熱が生じた と思われる。球状粉末鑞の場合は、削片状粉末鑞のような拡散および結晶粒の粗大 化は観察されなかった。このことは鑞付に要した時間が比較的短いこともあって過 熱が生じることもなく結果的に比較的良好な鑞付が行われたことを示している。

  6.今回新しく開発した仮着材の働きを持った粉末鑞と炉内鑞付法を用いると、母 材金属の仮着、鑞材及び、フラックスの供給を1つの作業ステップに簡易化でき、

さらに埋没材で固定後、使用する鑞材ごとに決められた温度と時間、電気炉で加熱 すれば術者の技能の差にかかわらず、ばらっきの少ない鑞付結果の得られることが わかった。

(3)

学 位 論 文 審 査 の 要 旨

     学位論文題名

鑞付の簡易化に関する研究

  

本研究は一般的な火炎鑞付法の手順として行われている母材金属 の 仮着 、鑞材 及び、 フラッ クスの 供給をまとめて

1

つのステップと し 、後はそのまま埋没し、鑞付は一定の温度に設定された電気炉を 用 いて行うシステムの開発を目的としている。その中で、この仮着 材 としての働きを合わせ持った鑞材を用い、さらに炉内鑞付を行う こ とで、鑞付作業の簡易化および鑞付結果の均質化と質的向上を計 る ことを目指し、現在最も一般的に行われている火炎鑞付法との比 較検討を行っている。

  

まず、予備実験として鑞材を仮着材として使用することを考慮し、

ス ティッキーワックスに粉末状の鑞とフラックスを混入し、鑞付が 可 能 か 否 かを検 討して いる。 鑞付 される 母材と しては

12

%金 含有 金 銀パラジウム合金のバージンメタルを用い、鑞材はコント口ール と して、金銀バラジウム鑞を用い、これに対してステイッキーワッ ク スの中には粉末状のフラックスと粉末状のコントロールと同じ鑞

( 以下 ワック ス粉末 鑞)を 混入し 、この

2

種類の鑞材を用いて火炎 鑞 付法で鑞付して、引張り試験を行っている。その結果、コント口 ー ルとワックス粉末鑞の引張り強さはほぼ同程度を示したが、電気 炉 を用いて鑞付を行った場合は、鑞の酸化が著しく、鑞付は不成功 に終わっている。

炉内鑞付用としてのア口ンアルファ粉末鑞の開発

  

予備実 験と 同じヌ タルを 、

100

m

の隙 間ゲージを介して治具に 固定し、鑞付用埋没材を用いて埋没したものを用意し、粉末鑞は鑞 の 形状、大きさ、混入するフラックスの配合比を変えた

9

種類を用 いている。鑞は削片状の鑞を

1

種類と、

2

種類の粒径の球状の鑞(平 均 粒 径

20

m

50

m

) を 使用 し て い る 。粉 末 状 の 鑞を 混入す る 結合材は結合性と焼却性に優れている瞬間接着材を使用し、鑞付の 手順倣粉末状の鑞とフラックスを混合したものに純水を加え、良く

一 夫

洋 文

山 理

内 亘

授 授

教 教

査 査

主 副

(4)

混和してべースト状にし、鑞付間隙に流し込むと同時に必要とされ る量を鑞付部に盛り上げ、粉末鑞の水分を乾燥させた後、瞬間接着 材を使用して仮着を行っている。電気炉内で母材金属表面ならびに 粉末鑞の酸化をある程度抑制するために、黒鉛るっぽに試料を入れ 炉内で850 ℃に加熱し、鑞 付を行っている。

   以上の実験で得られた試料から、鑞付部分の引張り強さと引張り 試験後の試料破断面及び、鑞付部分の断面における金属組織の観察 を行い、火炎鑞付法との比較検討を行い、以下の結諭を得ている。

  1 .新たに開発 したア口ンアルファ 粉末鑞を用いるこ とで母材金 属を仮 着し、埋没固定後 、そのまま電気炉内に設置された黒鉛るつ ぽ内で 決められた温度で 一定時間加熱すると、鑞付を行うことがで きること。

  2. 粉 末鑞 の形 状 に関 して は 削片 状のも のは、球状のもの に比べ て鑞付 に要する時間が長 くなり、鑞付部分の拡散が著しく、結晶粒 も粗大 化して従来法の火 炎鑞付法に比べて鑞付部の引張り強さが小 さかっ た。球状粉末鑞を 用いた場合は、従来法の火炎鑞付法に比べ て鑞付 部の引張り強さは 同程度の値が得られ、さらに削片状の粉末 鑞に比 ぺて鑞付結果を良 好にする上でのフラックスの配合比を少な くできること。

  ,j . 引張 り試 験 後の 鑞付 部 の破 断面は 、フラックスの配 合比が 39 : 1 と 少 な く 、 粒 径 が 平 均 20 ル m の 球 状 粉 末 鑞 を用 い た場 合に 気 泡 な ど の 欠 陥 が 最 も 少 な く 、 均 一 な 構 造 を 呈し て いる こと 。   4 .今回新しく 開発した仮着材の働 きを持った粉末鑞 と炉内鑞付 法 を用いると、母材 金属の仮着、鑞材 及び、フラックスの 供給を 1 つの作 業ステップに簡易 化でき、さらに埋没材で固定後、使用する 鑞材ご とに決められた温 度と時間、電気炉で加熱すれぱ術者の技能 の 差に か かわ らず 、 ばら っき の 少な い鑞付結果の 得られること。

   上記の研 究にっき、主査、 副査が一堂に会し、学位申請者に研究 内容に ついて説明を求め た後、質疑を主として審査を行った。学位 申請者 は研究の意図につ いて明確に説明するとともに、鑞付につい ての広 範な知識を披歴し 、この研究が歯科臨床に貢献することを見 定めた上で十分な準備を持ってなされたことが認められた。さらに、

本研究 が歯科臨床におけ る鑞付の技法をより簡易化するとともに高

品質化 を図る土で価値が あり、博士(歯学)を授与するに値するこ

とを全員が認めた。

参照

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