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博士(歯学)金 啓明 学位論文題名

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Academic year: 2021

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(1)

     博士(歯学)金   啓明 学位論文題名

BMP 誘 導異所骨形 成における

ヒドロキシアパタイト細胞支持体の幾何学的要素 学位論文内容の要旨

I緒言

  骨 形 成 の生 化 学的メ カニズム を理解 するため に、我 々はこの 複雑な過 程を5つの要 素に分 けて 考察す る事が 得策であ ると提 唱してき た。そ れらは、 (1) 骨形成 に直接関 わる細 胞、(2)細胞 が産生 するマ ト1」 ックス 、(3)体液、 (4)石灰化 の物理化学過程ならびに、細胞活動一般に対 する制 御因子 、そして (5)メカ二 カル・ス トレス である。この作業仮説を証明するために、我々 は実験 系としてBMP(bone morphogenetic proteIn)が誘導する異所性の骨形成を選択した。BMPは、

骨以外 の組織 において も、適 切なキャ リアー と共に埋 植すると 骨を誘 導する性 質があることが知 られているサイトカインである。

  我 々 は 、こ れ ま で に10種 類以 上 の 異な る 形 態を 持 っ キャ リ ア ーを 開 発、試験 し、BMPが誘発 する骨 、及び 軟骨形成 はキャ リアーの 形態の 幾何学性 質に高度 に依存 するとい う結論に達した。

キ ャ ル ア ー の 形 態 の 違 い に よ り 、 骨 形 成 の 過 程 及 び 骨 形 成 の 量 が 異 な る 。   本 研 究 では 、 以上の 過去の知 見をさ らに確認 し、BMPが誘発 する細胞 分化に おけるキ ャリア ー の幾何 学的特 性の効果 をより 深く理解 する目 的で、ハ 二カム状ヒド口キシアパタイト(honeycomb shapedhydroxyapatite.HCHAP)を開発し、2種類の異なる形態のアバタイト、多孔性顆粒状ヒドロ キシアパタイト(porouspaJticlesofhydroxyapatite,PPHAP)、多孔性ブ口ック状ヒドロキシアバタイ 卜(porousblocksofhydroxyapatite,PBHAP)と比較した。

n実 験 材料 及 び 方法

Oキ ャ リア ー の 形態 の 幾 何学 的 性 質

  HCHAPは円 柱 状 で長 さ1〜1.5mm、 直 径700umの 顆粒で ある。 粒子には 縦方向に7つ の直径l10 ルmの トン ネ ル があ る 。

  PPHAPの 粒 径 は300〜500ymで 、 気 孔 径 は150ym、 気 孔 率700hで 、 気 孔 は 貫通 し て いる 。   PBHAPは 5x5xlmm (40mg)の 小 ブ 口 ッ ク で 、 気 孔 径 は 106ー 212ymで あ る 。     −491―

(2)

Q)BMP含浸と埋植

  HCHAP、PPHAP、およ びPB HAP(いず れも40mg)に、 リコンビナ ント・ヒトBMP‑2(5Ug) を含浸し4週齢のWistar‑ぬng AH系雄ラットの背部皮下に埋植した。埋植後、1、2、3、14週目に、

埋植物を摘出した。

◎組織学的観察及び生化学的分析

  摘出された埋植物を固定、脱灰してから、パラフィン包埋し、4‑5ymに薄切し、ヘマトキシリ ン . エ オ ジ ン 及 び toluidine blue染 色 を 行 い 、 光 学 顕 微 鏡 に て 観 察 し た 。

@生化学的分析

1. ア ル カ リ ホ ス フ ァ タ ー ゼ 活 性 (ALP): lく ind‑lく ing法 に よ り 測 定 し た 。 2.オステオカルシン(Oc)測定:既報に従い測定した。

3.RT‑PCRによる オステオ カルシンmRNAの検出:摘出物より抽出されたRNAをテンプレート     として、RT‑PCRによる分 析をオス テオカルシンとGAPDHについて行った。PCR産物は2%

  アガ口ースゲル電気泳動により分析した。

ni結果

組織学的観察

  PPHAP/BMP埋植体においては、1週では骨も軟骨も見られず、毛細血管と共に結合組織細胞が PPHAP埋植体の外表面に集まっていた。2週目になると、ほとんどの孔の内表面に骨形成が観察 された。軟骨はどの観察期間においても観察されなかった。3〜4週で孔の内面に沿った骨の層は 厚みを増し、孔は段階的に骨で満たされていった。しかしそれぞれの孔の中心部では血管あるい は骨髄様組織の空隙が残っている。

  PBHAP/BMP埋植体においては、結合組織細胞は1週でPB HAP内の表層近くの層まで侵入し、

孔の内表面に凝集するが、軟骨も骨形成も検出できなかった。2週になるとPBHAPの表層近くの 孔では内表面に細胞が集まり、骨形成が見られる。.しかし、PBHAPの中心部には細胞は侵入して いないし、細胞の凝集もまばらである。どの期間においても、PPHAP同様、PBHAP/BMP埋植体 でも軟骨は検出されなかった。3および4週の埋植体において、骨形成は、埋植体の表面近くの層 で のみ 起 こっ て お り、埋植 体の中心 部におい ては、骨形 成や細胞 の凝集は 見られな い。

  HCHAP/BMP埋植体においては、1週では軟骨形成がトンネル内部および、HC HAP粒子間で見 られた。2週では軟骨はトンネルの内部にのみ見られた。トンネル長軸方向にみて中央部では軟骨 が、卜ンネルの入り口近くでは骨が存在し、両者が隣接している像が観察される。さらに34週 目では軟骨はすべて骨によって置換されて消失した。血管はトンネル内の中心部に常に存在した。

生化学的分析

‑ 492 ‑

(3)

  摘出した埋植体のアルカリホスファターゼ活性を時間を追って調べた結果、どの種類のヒドロ キシアノヾ夕イトにおいても、2週でピークを示し、3 ^‑4週で滅少した。2週におけるPPHAPやHCHAP のアルカリホスファターゼ活性はPBHAPのアルカ1」ホスファターゼの約3倍高く(pく0.01)、中 でも平均値ではHCHAPが最も高い値を示した。。

  PPHAP埋植体におけるオステオカルシンの含有量は2週間でゆっくり上昇し、3、4週まで上昇、

4週 で 最 高 値 に 達 す る 。4週 で 、PPHAP、HCHAPとPBHAPを 比 較す る と 、PPHAPとHCHAPが PBHAPより、1.5〜2.5倍高いことがわかった(pく0.05,pく0.01)。

  3、4週 での埋植 体から抽 出されたmRNAのRT‑PCR産物を2%ア ガロース ゲルによる電気泳動 において分析した結果、オステオカルシンのバンド(3Q3bp部位)がすべてのサンプルにおいて出 現した。

考察

1.細胞支持体の意義

  本研究で、骨形成はどのタイプのハイドロキシアバタイトにおいても、その表面において観察 された。ハイドロキシアパタイトが、BMP誘導異所性骨形成において細胞の足場としての重要な 役割を果たしていることを示している。

2.細胞支持体の形態の幾何学要素に依存する組織誘導

  この実験より、多孔性のアバタイトの中で、孔の大きさ、連続性、直線性、並びに粒子の大き さ等 の違いに よって、BMP誘導異所性骨形成が異なることが示された。HCHAPでは、軟骨から 骨が できたが 、PPHAPとPBHAPでは、軟骨形成の段階を経ないで、直接に骨が形成された。ま た骨 形成の分 布を見る と、PPHAPとHCHAPでは 、骨形成が孔の内部にまで存在したが、PBHAP では、骨形成が、埋植体の表面近くの層でのみ起こっており、埋植体の内部においては、骨形成 は見 られない 。ALPとOc量の生化学的分析の結果が、組織学的観察と一致し、PPHAPとHCHAPi ではALP値とOc量がPBHAPより高かった。従って、多孔性のアバタイトの孔の大きさ、連続性、

直線性、並びに粒子の大きさ等は、血管新生と未分化結合組織細胞の埋植体への進入を支配し、

結 果 的 に 、BMPに よ る 骨 芽 細 胞 へ の 分 化 の 作 用 に 影 響 す る こ と と 考 え ら れ る 。

結諭

  新しく導入したハ二カム状ヒド口キシアパタイト(HCHAP)は、比較的長い連続直線状かつ複数 の細孔を備えた特徴ある細胞支持体であり、血管侵入と骨・軟骨形成との関係を解明する目的に 適うものと考えられる。

‑ 493

(4)

学位論文審査の要旨

学 位 論 文 題 名

BMP 誘 導異 所骨形成における

ヒドロキシアパタイト細胞支持体の幾何学的要素

  金啓 明 の学 位論文審 査は、上 記3名の審 査員によ って行われ た。先ず 、申請者 によって 論文 内容の口 頭による説 明が行わ れ、それ に対して 審査担当 者から詳 細な質問がなされ、

そ れ に 対 し て の 申 請 者 の 回 答 が な さ れ る と い う 形 で 審 査 が 行 わ れ た 。   本論 文は、骨 形成の生化 学的メカ ニズムと その再建 法を理解 することを目的とし、その た め 申請 者 らは こ の 複雑 な メカ ニ ズ ムを5つ の 要素 に 分 けて 考 察す る 事にし た。それ ら は、 (1)骨形 成に直接関わる細胞、(2)細胞が産生するマトリックス、(3)体液、(4) 石 灰 化の 物 理化学過 程ならび に、細胞 活動一般 に対する制 御因子、 そして(5)メカ二 カ ル ・ スト レ スである 。これら の諸因子 の中で、 (1)細胞、 (3)体液 ならびに (5)メカ ニカ ルストレ スは、その 組織が本 来機能し ている部 位では、 条件が満 たされており、再建 の た めに は (2)マ ト リ ック ス と(4) 制 御因子を 適切に投与 すれば、 骨を作る ことが出 来る と考えら れる。この作業仮説を証明するために、実験系としてBMP(bone morphogenetic protein)が 誘導 す る 異所 性 の骨 形 成 を選 択 し た。BMPは、 骨 以 外の 組 織におい ても、適 切な キャリア ーと共に埋 植すると 骨を誘導 する性質 があるこ とが知ら れているサイトカイ ン で ある 。 これ ま で に10種類 以 上 の異 な る 形態 を 持っ キ ャ リア ー を開 発、試 験し、BMP が誘 発する骨 、及び軟骨 形成はキ ャリアー の形態の 幾何学性 質に高度 に依存することが明 らかにされている。

  そこ で、ハ二 カム状ヒド口キシアバタイト(honeycomb shaped hydroxyapatite,HCHAP)を 開発 して直線 的トンネル 型の孔の 中、骨が どのよう に形成さ れるが検 討することにした。

同 時 に、 既 に開 発 し た2種類 の 異な る 形 態の ア バタ イ 卜 、多 孔 性顆 粒 状ヒド 口キシア バ タイト(porous particles of hydroxyapatite,PPHAP)と、多孔性ブ口ック状ヒド口キシアノヾ 夕イ卜(porous blocks of hydroxyapatite,PBHAP)と比較した。

  今回 、 申請 者 ら が新 し く開 発 し たし たHCHAPは 、円 柱 状 で長 さ1〜1.5:mm、直径70011 mの 顆 粒 で あ るが 、 粒子 内 に 縦方 向 に7つの 直 径110ルmの ト ンネ ル を 有す る 特異 な 幾 何 学 的 構造 体 であ る 。 一方 、PPHAPの 粒径 は300〜500Umで、気孔 径は150rum、気孔 率70u/0 で 、 気 孔 は 貫 通 し て い る 。 そ し て 、PBHAPはSx5xlmm (40mg)の 小ブ 口 ッ クで 、 気孔 径 は106〜212Umである。

  HCHAP、PPHAP、 お よ びPBHAP( い ず れ も40mg)に 、 リ コ ン ビ ナ ン ト ・ ヒ 卜BMP‑2 徳夫

稔 芳文 木理 田 保 久 亘 脇 授授 授 教教 教 査査 査 主副 副

(5)

  (511g) を 含 浸 し4週 齢 のWistar‑ King AH系 雄 ラ ッ ト の 背 部 皮 下 に 埋 植 し た 。   そ の 結 果 、 ト ン ネ ル 構 造 をもつHCHAPの みに 軟骨 形成 が生じ 、続 いて 観察 され た骨 形 成の ノヾ 夕ー ンが きわ めて 特徴 的で あっ た。 すな わち 、HCHAPにおける骨形成は、トンネ ルの 両側 の入 り□ から 始ま り、しだいに卜ンネル深部へと進行し、しかもトンネルの内壁 に沿 って 同心 円状 に骨 が付 加さ れて いく こと が、 明ら かにされた。さらに、比較された3 種の ヒド 口キ シア /ヾ 夕イ 卜の中で、もっとも効率よく骨を作ることが明らかにされた。

  観 察さ れた 現象 は、 骨の 改造の単位であるハバース・システムの形成に酷似しており、

この 点で ハバ ース ・シ ステ ム形成のモデルと見なすことが出来、骨形成のヌカニズム解明 に多くの点を示唆する結果である。また、本論文は、直線性の卜ンネル構造体内を用いて、

世界 では じめ て、 軟骨 ・骨 形成を起こさせることに成功した報告であり、これによって骨 形成 を目 指す 生体 材料 が、 なぜ多孔性である必要があるのか、の説明が容易になったと見 なされる。

  審 査担 当者 から は、 石灰 化に関するサイ卜カインについて、石灰化現象を幾つかの要素 に分 けて 把握 すべ きで ある という前提はどこまで立証されたか、物理的要素とは何か、骨 と軟 骨の 形態 学的 差、 軟骨 性骨化について、PlankーRyclo脱灰液を選んだ理由、血管形成 の確認方法、より長期の実験において予想される結果等について質問されたが、申請者は、

いずれに対しても明快に回答でき、3名の審査担当者いずれも、申請者は、その論文内容、

学識共に学位授与に値すると結論した。

  しかし、申請者は脇田教授から、軟骨性化骨、

に記載不十分の点が認められるとの指摘を受け、

束をした。

495

ハ バー ス系 についての用語の誤解ならび こ れに つい ては、早急に訂正する旨の約

参照

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