• 検索結果がありません。

博士(医学)都丸泰寿 学位論文題名

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "博士(医学)都丸泰寿 学位論文題名"

Copied!
5
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

     博士(医学)都丸泰寿 学位論文題名

ラ ットお よび ヒト臓 器中 DNA 付加体量の加齢的変化 およびその年齢推定法への応用

学位論文内容の要旨

緒  言

  身元不詳死体の年齢の推定は個人識別という点で,きわめて重要な課題のーっである。年齢の 推定は人体各部の加齢上の変化を種々観察し,いくっかのデータを参考にしてそれらを総括し行 われるのが一般的である。通常歯牙とともに骨組織が揃っていれば,形態学的観察から年齢の推 定は比較的容易であるが,部分的骨組織や軟組織のみ残存している場合に結,現在の法医学の水 準では年齢の推定はほとんど不可能である。しかし轢き逃げや飛行機墜落事故等の際の散乱する 人体組織片の個人識別等その重要性は増してきており,硬組織からばかりでなく軟組織・臓器片 か ら も 個 人 識 別 ( 年 齢 推 定 ) が 出 来 る よ う に な る こ と が 必 要 で あ る 。   近年分子生物学 の発達に伴い゜。P一ポストラベル法によりDNA付加体が検出されるように なっ て きて おり ,ま たラ ッ トにおいては 加齢に伴いDNA付加体(I―compounds)が観察さ れて いる。ヒ トにおいてもDNA付加体が検 出されており,そのI−compoundsの量が年齢と 相関していれば年齢の推定が可能になる。

  今回ラットおよ びヒトの諸臓器におけるDNA付加体量と加齢との関係を‥P―ポストラペ ル 法 を 用 い て 検 討 し , そ の 結 果 を 用 い て ヒ ト の 年 齢 推 定 法 を 確 立 し た 。

材料と方法

I.ラットおよびヒトの諸臓器よりの高分子DNAの抽出

  ラットは4から69週齢のウィスター系の雄性ラットを用い,屠殺後心臓・肝臓・腎臓・脳・肺 の各臓器片を採取した。ヒトの各臓器片は北大医学部法医学講座および東京都監察医務院におい て解剖となった,18から79歳までの男性の遺体より採取した。

  臓器片約1gをCell lysis bufferの中でホモジナイズし,フウノール・ク口口ホル厶抽出を 行 った 。 その 後工 タノ ール 抽 出を 行い ,DNA量 測定 後に 濃 度を3.3mg/mEに調整した。

(2)

‑II. DNAの 分 解 と3ZP― ポス ト ラ ベ ル DNA溶 液 を micrococcal nuclease Pl反 応 液 を 加 え た後 に [7‑3 P]

とspleen phosphodiesteraseで 分解 し,ヌ クレア ーゼ ATP反 応 液で ポ ス ト ラ ベル し た 。 こ の内 の 一 部 を 全 ヌ ク レオチ ド数の 算出に 用い ,全量 を付加 体の解 析に用 いた 。

m.正常 ヌク レオチ ドの除 去およ び付 加体の 薄層ク ロマト グラフ ィー

  ポ ルエチ レンイ ミン セル口 ースシ 一卜お よび りン酸 ナ卜リ ウム溶 液を用いて展開し原点から上 方 2.  4〜4. 8cmの 部 分 を 切 り 抜 き 洗 浄 後 ,3゜Pの 放 射 活 性 を 測 定 し た 。 IV.付加 体の定 量

  全 ヌク レ オ チ ド 数 を放 射 活 性 測 定後 算 出 し,以 下の計 算式 により 相対的 付加体 量(RAL) を 計 算した 。

    各 小片 のcpm R A L

全 ヌ ク レ オ チ ド のcpmx希 釈 率

結  果

I.ラット諸臓器DNAの相対的付加体量と週齢との関係

  ラ ッ トか ら 剔出 した 心 臓・ 肝臓 ・ 腎臓 ・脳 ・ 肺の 各臓 器 からDNA付 加体 が 検出 され , 上言 己 の 計 算 式に よ り算 出さ れ たDNAの相 対的 付 加体 量と 週 齢と の間 に は有 意の 相 関関 係が あ った 。 心臓では 相関係数r二二ニ0. 508で,DNAの相対的付加 体量Xに対 する週齢Yの回帰直線式はY二二ニ4 79. 64Xー11. 979であった 。肝臓ではr二ニ二0.435で ,上記の回帰直線式はY‑ 23. 321X十7.384, 腎臓ではr二二ニ0. 906で,上記の回帰直線式はY=44.204X十3.489,脳ではr二二二O.833で,上記の 回帰直線 式はYー72. 498X十4.285, 肺ではrニ 二二O.728で,上 記の回帰直線式はY−3224.84X ‑1 8. 479とそれぞれ導かれた。

1I.ヒト諸臓器DNAの相対的付加体量と年齢との関係

  ヒ ト に お い て も ラ ッ ト と 同 様DNA付 加 体 が 検 出 さ れ , そ の 形 成 レ ベ ル を 上 記 の 計 算 式 に よ って 求め た 。ヒ トの 場 合でtまラ ット に 較べ 相関 係 数が 低い も のの ,DNAの相対的 付加体量と 年 齢と の間 に は有 意の 相 関関 係が 認められた。 心臓ではr二二O.458で,年 齢をYとし た上記の回 帰直線式はY二二44. 018X十28. 527,推定値の標準誤差(S,E.)ニニニ13. 40,肝臓ではr二二0.415で,

上 記の 回帰 直線式はY二二88. 099X十23. 833,S.E.=13. 76,腎 臓ではr‑0.700で, 上記の回帰 直線式はY二二ニ218. 029X十3,263,S,E.ー12. 14,脳ではr二二0.638で,上記の回帰直線式はY=

105. 626X十21. 697,S.E.ー11. 82,肺でtまr二二O.538で,上記の回帰直線式はY=ニ36. 838X十

(3)

26. 891,S.E.=12. 94とそれぞれ導かれた。

考  察

  DNA付 加 体 の う ち 加 齢 と と も に 増 加 す るも の が ラ ッ トに お い て 検 出 され て お り I―com‑

pounds と 呼 ば れ て い る 。 こ のI←compoundIsはDNAと 共 有結 合 を も つ 付加 体 様 の 物 質 で,

通 常の餌 のみを 与えて 飼育 したラ ットに おいて 検出 され, かっ腫 瘍形成 や加齢 そのものの一因と な っ て い ると 想 像 さ れ る化 合 物 で あ る 。著 者 倣 今 回 このI―compoundsに 注目 し,ラ ットお よ び ヒ ト の 諸 臓 器 か ら 抽 出 し たDNAのI―compoundsの 相 対 的付 加 体 量 と 加齢 と の 相 関 を検 討 した。

  ラ ッ トに お け る 相 対的Iーcompounds量 と 加 齢と の 関 係 は ,結 果 で 示 し たよう に各臓 器と も ーそれぞれ正の相関を認めた。しかしこの相関係数は最小が肝臓のO. 435から最大は腎臓のO.906と,

非 常に差 が大き かった 。こ れは臓 器の細 胞レベ ルに おける 代謝と 密接に 関係が あると思われる。

  ヒ ト にお け る 相 対 的I―compounds量と加 齢の関 係は, ラッ トと同 様正の 相関が 認めら れた 。 た だし相 関係数 はラッ トよ りも概 して低 く,最 も高 い腎臓 でO. 700であった。またヒトの場合に お い て も 相関 係 数 の 最 も高 い 臓器 が腎臓 であり ,そ れ以降 の順序 もラッ トの場 合と 全く同 様で あ っ た 。 従っ て 臓 器 劉 のI−compoundsの 蓄 積 量 は 種に か か わ ら ず同 じ も のて はない かと強 く 思 わせる 結果で あった 。さ らにヒ トにお いては 死因 や生前 の環境 的要因 等が非 常に多種多様であ る 割 に は , 今 回 得 ら れ た 結 果 は 年 齢推 定 を 行 う に当 た り 十 分 実 用に 耐 え る も ので あ っ た 。   本 研 究に よ る 年 齢 推定 は , 今 回 得ら れ た デ 一 夕か ら 導 か れ る 回帰 直 線 と推 定値の 標準誤 差 (S.E.)か ら 求 める も の で あ り, 的 中 率68% に お い ては 過去の 種々の 軟組織 からの 年齢 推定法 と 比 較 し ても 遜 色 が な かっ た 。 ま た 今 回の 年 齢 推 定 法は , 従 来 法 科学 領 域で 応用 されて いる DNA fingerprlnt法 が 比 較 的長 い 断 片 のDNAが 残 存 して い な い と 応用 不 可 能で あるの に対し , DNAをヌ ク レ オ チ ド の段 階 ま で 分 解し て か ら 付 加体 を 検出す るため ,陳 旧性死 体にお いても 十 分 応 用 可 能で あ る も の と考 え ら れ , 法 医実 務 上 へ の 貢献 度 は 極 め て大 で ある と評 価され る。

結  論

  ヒ ト 軟 組織 か ら の 年 齢推 定 法 の 開 発を 目 標 と し て ,近 年 発 見 さ れたDNA付加 体 の 一 種 で あ るI―compoundsに 注 目 し, ラ ッ ト お よ びヒ ト の 臓 器 (心 臓 , 肝 臓 ,腎 臓,脳 ,肺) から抽 出 し たI―compoundsの 量 と加 齢 と の 関 係 を調 べ , 得 ら れた 結 果 を 用 いて ヒト軟 組織か らの年 齢 推 定 法 を 確 立し た 。

(4)

l. ラ ット に お い て は各 臓 器 よ り 抽出 し たI−compoundsの 相対 的 量 と 週 齢 との 間 に は 正 の相 関関 係があ り, その相 関f系数は0. 435からO.906であ った 。

2. ヒ トに お い て もI−compoundsの 相 対 的 量 と年 齢 と の 間 には 正 の 相 関 関 係が あ り , そ の相 関係 数はO.415からO.700で あった 。

3,臓器 別では ラット ,ヒ トとも に相関 係数の 大小 は臓器 により 全く同 じ順序 であ り,腎 臓が最 も高 く,肝 臓が 最も低 かった 。

4. ヒ トの 各 臓 器 に おけ る 年 齢 と 相対 的Iーcompounds量 の 間の 回 帰 直 線 式 を利 用 す る こ とに より ,臓器 から の年齢 推定を 可能と した 。また ,この 方法は 従来の 軟組 織からの年齢推定法と比 較し ても, 十分 実用に 耐える もので ある と評価 できた 。

学位論文審査の要旨

    主査  教授  寺沢浩 一     副査  教授  齋藤和 雄     副査  教授  細川眞 澄男

  法医 実務上 の年齢 推定 に応用 するの を目的 に,ラ ット および ヒトの 種々の臓器から抽出された DNA中 の ヵU齢 と と も に 増 加 す る と さ れ て い る ,DNA付 加 体 の 一 種 で あ るI―compoundsに 注 目 し た 。I一compoundsの 量 はDNAの 付 加 体 の 解 析 に よ く 使 用 さ れ て い る ¨Pポ ス ト ラ ベル 法を用 い,相 対的I―compou ndsの量 として 定量し た。

  ラ ッ ト に お いて は4〜69週 齢 の も の にお い て , 週 齢とIーcompoundsの 相 対 的量 は 正 の 相関 があ り,その相関係数は最も高い腎臓でO, 906,最も低い肝臓でO.435であった。次いでヒトでは 年 齢が18〜79歳 (nー22〜  24) の 検 体 に おいて ,年 齢と相 対的I―compoundsの 量はラ ットと 同様 に正の相関関係があり,その相関係数は最も高い腎臓で0. 700,最も低い肝臓でO.415であっ た。

  相 関 係 数 は ラッ ト に較 ベヒ トのほ うが全 ての臓 器に おいて1割 から2割低 かった が,全 て正の 相関 を示し その大 小の順 もラッ トと 同じで あった 。

  ヒト におけ る今回 の測 定は, 個々の 検体が 死亡す るま での環 境,食 事,疾病等変動要因や死因 が多 種多様 である など, 考慮す べき 点が多 々ある にもか かわ らず, 軟組織からの年齢推定が可能

(5)

となった。

  今回の研 究によって得られた ヒトの各臓器別の 回帰直線式(心臓 ;Y二ニ44. 018X十28. 527推定 値の標準誤差(S.E.)二ニ13. 40,肝臓;Y二二ニ88. 099X十23. 833,S.E,二ニ13. 76,腎臓;Y―218.

029X十3.263,S.E.二二ニ12. 14,脳;Y二二105. 626X十21. 697,S.E.ー11. 82,肺;Y=36.838X 十26. 891,S.E.−12. 94)に より年齢推定が可 能となり,過去に 行われた軟組織から の年齢推定 法と比較しても十分有用性があることがわかった。

  口頭 試問 に 際し ,細 川 教授 から は 付加体量が年齢とと もに増加すること の説明を求められ ,齋 藤 和雄 教授 か らは 本推 定 法の 精度 に っいて,及び従来の 方法との比較にっ いて,武市教授か らは 老 化 と 遺 伝 子 の 関 係 に っ い て , 及 び 早 老 症 の 際 の 付 加 体量 にっ い て, 西教 授 から はDNAフィ ン ガー プリ ン ト法 との 相 違に っい て ,小林教授からは付 加体定量値の変動 係数にっいて,及 び目 的 物の 抽出 方 法に っい て ,そ れぞ れ 質問がなされたが, 申請者の回答は可 のレベルに達して いる ものと判断された。

  その 後, 副 査の 齋藤 和 雄教 授・ 細 川教授から個別に試 問・試験を受けた 結果,両副査から いず れも可の判定をされた。

  本研 究は 法 医学 の個 人 識別 の分 野 において優れた試み を行ったものであ り,この研究をと おし て研究者と して自立できる基礎 的技能が修得され たものと考えられ る。よって,申請者 は博士(医 学)の授与に値するものと考えられる。

参照

関連したドキュメント

氏名 学位の種類 学位記番号 学位授与の日付 学位授与の要件 学位授与の題目

beam(1.5MV,25kA,30ns)wasinjectedintoanunmagnetizedplasma、Thedrift

リポ多糖(LPS)投与により炎症を惹起させると、Slco2a1 -/- マウス肺、大腸、胃では、アラキ ドン酸(AA)およびエイコサペンタエン酸(EPA)で補正した PGE 2

学位の種類 学位記番号 学位授与の日付 学位授与の要件 学位授与の題目

Cioffi, “Pilot tone selection for channel estimation in a mobile OFDM systems,” IEEE Trans.. Sunaga, “Rayleigh fading compensation for QAM in land mobile ra- dio communications,”

ている。本論文では、彼らの実践内容と方法を検討することで、これまでの生活指導を重視し

1)研究の背景、研究目的

雑誌名 博士論文要旨Abstractおよび要約Outline 学位授与番号 13301甲第4306号.