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博士(農学)原 新太郎 学位論文題名

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Academic year: 2021

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     博士(農学)原   新太郎 学位論文題名

北方林の窒素循環における土壌細菌の寄与に関する研究 学位論文内容の要旨

   北方の森林では可給態窒素が樹木生 育の制限要因になっている場合が多く,窒素循環 の解 明は 今後 起こ り うる 気候 変動 が森林生態系に与える影響を推測する上で重要で あ る.森林生態系への窒素供給源のーっ として土壌中の単生窒素固定細菌による窒素固定 があるが,その鍵反応を担うニトロゲ ナーゼは酸素濃度に敏感なため,バルク土壌その ものの窒素固定量を正確に測定するこ とは難しい.その理由から,人工培地で土壌微生 物を培養して培養物の窒素固定能を測 定することにより,対象となる土壌の窒素固定ポ テンシヤルを検出する場合がある.東 シベリア・ヤクーツク近郊の永久凍土上に成立し たグイマツ林(62 ゜02 N ,128 °49 E )では,収支計算によると年間13 kg/ha 以上の 出 所不明 な窒素が土壌中に供給されて いることになるが,土壌や植物根を窒素固定細菌 に汎用される培地で培養しても窒素固 定活性はほとんど検出されない.本研究では土壌 微生物培養法を改変し,アセチレン還 元法によって土壌微生物群集の窒素固定ポテシシ ヤルを評価した.この培養法を用いて ,分離細菌株同士の相互作用が窒素固定に及ばす 影響や,スカンジナビア北部・亜北極 ツンドラ域での土壌窒素固定ポテンシヤルの強弱 を 調 べ , 北 方 林 に お け る 窒 素 ミ ッ シ ン グ リ ン ク の 謎 の 一 端 を 解 明 し た . 1 .―豊地 ゲルマトリッ2 墨Q 捷尅

   土 壌中 の窒素固定細菌培養には0.2 %寒天をゲルマトリックスとしたソフトゲル培 地 が汎用されるが,東シベリア・夕イガ 林・林床土壌の微生物群集は窒素固定能をほとん ど発揮しなかった.当研究室では、植 物根面の窒素固定細菌の分離・培養における0.3 % ジェランガムソフトゲルの有効性を見 出していたため、これらの微生物群集にもジェラ ンガムソフトゲル培地による培養を試 行した。その結果、液体培地や寒天ソフトゲル培 地中ではほとんどアセチレン還元能を 示さない土壌微生物群集が、ジェランガムソフト ゲル培地中では高いアセチレン還元能 を示すことが分かった.同様の傾向は,分離した 窒素固定細菌株や亜北極ツンドラ域の 土壌微生物群集でも確認された.また,土壌微生 物群集をジェランガムソフトゲル培地 中で培養した培養物から,低窒素平板培地を用い て Pseudomonas 属 お よ び Burkholderia 属 の窒 素固 定 細菌 株数 株を 分離 ・同 定し た.

量:處塞 蓮,量堕塗塵エ蟹養量産よ接地p 翼堕櫨誼

   炭 素 源 を 0 . 05 % の D‑mannitol , 培 養 温 度 を 10 ℃ か ら 15 ℃ , 培 地pH を6.0 と し た とき最も 高いアセチレン還元が認められた.このうち,特に培養 温度の影響は大きく,

30 cm 深 度の 無機 質土 壌由 来の 微生 物群 集は 15 ℃で 最も 高い 活性を示 したが,20 ℃あ る いは 25 ℃ では 著 しく 減少 した .一 方,mannitol は有機物層のメタノ ール抽出物に粗 抽 出物 総重 量3.0 %以上の割合で含まれており,自然界においても有機 物層のmannitol は単生窒 素固定細菌にとって重要な炭素源であることが示唆され た.このように,培養 条 件を 現地 土壌 環 境に 近づ ける こと が北方林土壌微生物群集の窒素固 定能検出に重要 で ある こと が示 さ れた .   30 cm 深 度土 壌培 養物 から DNA を 回収し, 16S rRNA 遺伝子 を タ ー ゲ ット とし たDGGE (変 性剤 濃度 勾配 ゲル 電気 泳動 法) によ り細 菌叢 を解 析 し た と こ ろ , 主 要 な バ ン ド は 培 養 物 か ら 分 離 し た 窒 素 固 定 細 菌 株 ( Burkholderia xenovorans) と一致した.

‑ 1087

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墨 金 藍 捲 塑 塑 嚢 麹 墨

  分 離 し た 窒 素 固 定 細 菌 は 単 独 培 養 で は 分 離 源 で あ る 微 生 物 群 集 混 合 培 養 物 ほ ど の 活 性 を 示 さ な か っ た た め , 同 じ 培 養 物 か ら 分 離 し た 非 窒 素 固 定 細 菌 と の1対1混 合 培 養 に よ る 活 性 の 相 乗 効 果 を 検 討 し た . 30cm深 度 土 壌 培 養 物 か ら 分 離 さ れ た 窒 素 固 定 細 菌 と 非 窒 素 固 定 細 菌 の1対1の 共 培 養 試 験 で は ,Pseudomonas sp.とLute曲acfersp. ま た は , 工u絶 曲ac琵 ずsp. とBu瓜 : ぬ (Hd馴asp. の 組 み 合 わ せ で , そ れ ぞ れ の 単 独培 養 時 と 比 較 し て ア セ チ レ ン 還 元 が 上 昇 し た . 濁 度 か ら 見 積 も っ た 菌 体 量 と ア セ チ レ ン 還 元 と の 間 に 正 の 相 関 が 見 ら れ た た め , 非 窒 素 固 定 細 菌 と の 共 培 養 に よ る 窒 素 固 定 の 上 昇 は 窒 素 固 定 細 菌 の 増 殖 促 進 に よ る と 考 え ら れ た .

堊 : 璽 並 捶 ツ ン ド 乏 壇 の 土 塗 窒 塞 固 定 ポ テZ芝 主 坐 塑 捻 出

  フ イ ン ラ ン ド 北 部. Kilpisarvi周 辺 (69°05 N,20°46 E) に は , 森 林 か ら 亜 北 極 ツ ン ド ラ 域 へ 遷 移 す る 森 林 限 界 が 存 在 す る . 森 林 限 界 付 近 の ヨ ー ロ ッ パ ア カ マ ツ 林 , カ ン バ 林 , 亜 北 極 ツ ン ド ラ 域 そ れ ぞ れ の 土 壌 微 生 物 群 集 を ジ ェ ラ ン ガ ム ソ フ ト ゲ ル 培 地 で 培 養 し , ア セ チ レ ン 還 元 試 験 に 供 し た と こ ろ , 亜 北 極 ツ ン ド ラ 域 で の み 高 い 活 性 が 検 出 さ れ た . 各 土 壌 か らDNAを 抽 出 し ,16SrRNA遺 伝 子 お よ び 窒 素 固 定 酵 素 の 一 部 を コ ー ド す るn淵 遺 伝 子 を タ ー ゲ ッ ト と し たDGGEに よ る 菌 相 解 析 を 行 っ た が , バ ン ド パ 夕 一 ン が 複 雑 で , 亜 北 極 ツ ン ド ラ 域 土 壌 の 窒 素 固 定 に 関 わ る 主 要 な 細 菌 の 特 定 に | ま 至 ら な か っ た . そ こ で , 亜 北 極 ツ ン ド ラ 域 の 土 壌 を 培 地 炭 素 源 濃 度 お よ び 培 養 温 度 の 勾 配 が あ る 条 件 で 培 養 し , 各 培 養 条 件 で の ア セ チ レ ン 還 元 と , 培 養 物 か ら 回 収 し たDNAで の 菌 相 解 析 の 結 果 を 比 較 し た .16SrRNA遺 伝 子 を 標 的 と し た 菌 相 解 析 か ら , 伽s所 所um属 細 菌 やD昭aneぬ 属 細 菌 が ジ ェ ラ ン ガ ム ソ フ ト ゲ ル 培 地 中 で の 主 要 細 菌 と 考 え ら れ , nば H遺 伝 子 を 標 的 と し た 菌 相 解 析 で は 培 養 物 中 の 主 要 な 窒 素 固 定 細 菌 と し て M幽 〇mセ 〇6´um属 細 菌 やGeD舶c卿 属 細 菌 の 存 在 が 示 さ れ た .

  ス ウ ェ ー デ ン 北 部 ・ 山 岳 地 帯 のAbisko周 辺 (68°18 N,19゜lO E) で は , 標 高600m 付 近 で カ ン バ 林 か ら 亜 北 極 ツ ン ド ラ 域 に 遷 移 す る . ・ こ の 森 林 限 界 付 近 で は 地 表 を 覆 う 植 生 が2種 類 あ り , ツ ッ ジ 科 植 物 な ど の 低 木 が 優 占 す る 植 生 はheath, 草 本 植 物 が 優 占 す る 植 生 はmeadowと 呼 ば れ て い る , 森 林 限 界 付 近 の カ ン バ 林 内 と 亜 北 極 ツ ン ド ラ 域 そ れ ぞ れ のheathとmeadowで 土 壌 を 採 取 し , ジ ェ ラ ン ガ ム ソ フ ト ゲ ル 培 地 で 培 養 し て ア セ チ レ ン 還 元 試 験 に 供 し た と こ ろ , い ず れ もmeadow土 壌 は 高 い ア セ チ レ ン 還 元 を 示 し ,heath土 壌 は ほ と ん ど 活 性 が 検 出 さ れ な か っ た . こ の こ と か ら ,Abisko周 辺 の 森 林 限 界 付 近 で は ,heathに 生 育 す る ツ ッ ジ 科 植 物 が 土 壌 窒 素 固 定 を 制 御 し て い る 可 能 性 が 示 唆 さ れ た .

墨 : 塞 羞 捻 塞 壁 金 童 盤 塰 フ ラ ン カ ル 墨Z酸 璽 墓 佳 塋 麺 薗 堕 埜 鐓 墜 丞 堕 窒 鑾 聾   東 シ ベ リ ア ・ 夕 イ ガ 林 ・ 林 床 土 壌 か ら 分 離 さ れ たPseudomonas collierea V5‑G 5株 は , ジ ェ ラ ン ガ ム 平 板 培 地 上 で は ス ウ ォ ー ミ ン グ に よ っ て 幅 の 広 い コ ロ ニ ー を 形 成 す る が , 同 濃 度 の 寒 天 を 含 む 平 板 培 地 上 で は 一 般 的 な 小 円 形 の コ ロ ニ ー を 形 成 す る . ゲ ル マ ト リ ッ ク ス の 違 い で 細 菌 の 挙 動 が 異 な る 原 因 物 質 の ー っ と し て , 寒 天 粉 末 に 含 ま れ る 5‑hydroxymethylfuran‑2‑carboxylic acidお よ びfuran―2‑carboxylic acidを 単 離 し た ・ ス ウ ォ ー ミ ン グ 抑 制 活 性 の カ 価 か ら , こ れ ら の 物 質 が 寒 天 平 板 培 地 と ジ ェ ラ ン ガ ム 平 板 培 地 で 挙 動 が 異 な る 原 因 の 一 部 で あ り , 極 微 量 で 細 菌 の 挙 動 に 影 響 を 与 え る こ と を 確 認 し た . ま た , こ れ ら の 化 合 物 が , 寒 天 平 板 培 地 に 含 ま れ る 濃 度 で 大 腸 菌 の ス ウ ォ ー ミ ン グ を 抑 制 し , フ イ ン ラ ン ド の 亜 北 極 ツ ン ド ラ 域 土 壌 か ら 分 離 さ れ た 放 線 菌 の コ ロ ニ ー 形 成 に 影 響 す る こ と を 見 出 し た .

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(3)

学位論文審査の要旨 主査 副査

副査 副査

教授 教授 教授 准教授

橋床 小池 波多野 橋本

学 位 論 文 題 名

泰 之 孝 良 隆 介     誠

北方林の窒素循環における土壌細菌の寄与に関する研究

  本 論 文 は 和 文196頁 , 図84, 表39,16章 か らな り , 参考 論 文3編 が 付 さ れて い る .   北方の森林では可給態窒素が樹木生育の制限要因になっている場合が多く,窒素循環の解明は 今後起こりうる気候変動が森林生態系に与える影響を推測する上で重要である.土壌中の単生窒 素固定細菌による窒素固定は森林生態系への窒素供給源候補としての位置にあるものの,アセチ レン還元法によって北方林・林床のバルク土壌そのものの窒素固定量を測定した場合,その値は 限りなくゼロに近い.そもそも窒素固定の鍵反応を担うニトロゲナーゼは酸素濃度に敏感なた め,バルク土壌そのものの窒素固定量の正確な測定は困難とされている,東シベリア・ヤクーツ ク近郊の永久凍土上に成立したグイマツ林(62°02 N,128°49 E)では,年間13 kg/ha以上 の 出所不明 な窒素が系内に供給されているとの報告がある.実際,土壌や植物根を窒素固定 細菌に汎用される培地で培養しても窒素固定活性はほとんど検出されず,いわゆる「北方林の窒 素ミッシングリンクの謎」が存在する.本学位論文研究では,人工培地で北方林・林床土壌の土 壌微生物の培養法を検討・改変し,アセチレン還元法によって林床土壌の窒素固定ポテンシヤル を検定した.特にアセチレン還元に供する土壌微生物群集の培養条件を改変し,被検土壌微生物 群集の窒素固定潜在能カを評価した,この方法により,分離細菌株同士の相互作用が窒素固定に 及ぼす影響や,植生による土壌窒素固定ポテンシヤルの強弱を調ベ,北方林における「窒素ミッ シ ングリ ンクの謎 」の一 端を解明 した,審 査に付した主な研究内容は以下のとおりである 1.培地ゲルマトリックスの検討と培養可能な土壌細菌の分離

  植物根と半共生状態にある単生窒素固定細菌の培養には,0.2%寒天をゲルマトリックスとした ソフトゲル培地が汎用されるが,この培地では東シベリア・タイガ林・林床土壌の微生物群集は ほとんどアセチレン還元を示さなかった,そこでゲル基材をO.3%ジェランガムに置き換え,こ れらの微生物群集の培養とアセチレン還元を試みた.その結果,これらの土壌微生物群集がジェ ランガムソフトゲル培地中で高いアセチレン還元を示すことを明らかにした.同様の傾向を,分 離した窒素固定細菌株や亜北極ツンドラ域の土壌微生物群集でも確認した.また,土壌微生物群 集をジェランガムソフトゲル培地中で培養した培養物から培養可能な菌株160余株を分離し,そ 16S rRNA遺伝子塩基配列決定法によってこれらのほば全てを属レベルで同定した.全分離株をア セ チ レン 還 元 試 験に 供 し ,6株 の 単生 窒 素 固定 細 菌 を得 た . これら はPseudomonas属,

Burkhol deria属ならびにLuteibacter属細菌であることを示した.

2.炭素源,その濃度,培養温度,培地pHの検討

  グイマツ土壌微生物群集が最も効率よく窒素固定を行う環境条件を検討した,その結果,炭素 源をO. 05%のD一mannitol,培養温度を10℃から15℃,培地pHを6.0としたとき最も高いアセチ レン還元を認めた.このうち,30 cm深度の無機質土壌由来の微生物群集は15℃で最も高い活性 を示したが,20℃あるいは25℃では活性は著しく減少し,最適な温度が窒素固定能の検出には重

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(4)

要 で あ る こ と を 実 験 的 に 示 し た , 一 方 ,mannitolが 土 壌 有 機 物 層 に 乾 燥 重kgあ た り2.1g以 上 の 割 合 で 含 ま れ て い る こ と を 明 ら か に し , 自 然 界 に お い て もmannitolが 重 要 な 炭 素 源 で あ る 可 能 性 を 示 し た . 30 cm深 度 土 壌 培 養 物 か ら 回 収 し たDNAを 用 い ,16S rRNA遺 伝 子 を タ ー ゲ ッ 卜 と し たDGGE( 変 性 剤 濃 度 勾 配 ゲ ル 電 気 泳 動 法 ) に よ り 培 養 細 菌 叢 を 解 析 し , 主 要 な バ ン ド が 培 養 物 か ら 分 離 し た 窒 素 固 定 細 菌 株(Bur舶oJぬrlaxPn0レD朋ns) と … , ↓ 致 す る こ と を 示 し た . 3. 分 離 株 の 相 乗 効 果

  分 離 し た 窒 素 固 定 細 菌 が 単 独 培 養 で は 分 離 源 で あ る 微 生 物 群 集 混 合 培 養 物 ほ ど の 活 性 を 示 さ な か っ た 事 実 に 着 目 し , 同 じ 培 養 物 か ら 分 離 し た 非 窒 素 固 定 細 菌 と の1対1混 合 培 養 に よ る 活 性 の 相 乗 効 果 を 検 討 し た , 30 cm深 度 土 壌 培 養 物 か ら 分 離 し た 窒 素 固 定 細 菌 と 非 窒 素 固 定 細 菌 の1対 1の 共 培 養 試 験 で ,Pseudomonas sp.とLuteibacter sp.ま た は ,Luteibacter sp.とBur舶0Jdena sp. の 組 み 合 わ せ で , そ れ ぞ れ の 単 独 培 養 時 と 比 較 し て ア セ チレ ン 還 元 が 上昇 す る こ と を示 し た . 濁 度 か ら 見 積 も っ た 菌 体 量 と ア セ チ レ ン 還 元 と の 間 に あ る 正 の 相 関 を 見 い だ し , 非 窒 素 固 定 細 菌 と の 共 培 養 に よ る 窒 素 固 定 の 上 昇 が 窒 素 固 定 細 菌 の 増 殖 促 進 に よ る と 結 論 し た . 4. 亜 北 極 ツ ン ド ラ 域 の 土 壌 窒 素 固 定 ポ テ ン シ ャ ル の 検 出

  フ ィ ン ラ ン ド 北 部 ・ Kilpisjarvi周 辺(69°05 N,20゜46 E) に 分 布 す る 森 林 か ら 匝 北 極 ツ ン ド ラ 域 へ 遷 移 す る 森 林 限 界 を 研 究 フ イ ー ル ド と し て , 森 林 限 界 付 近 の ヨ ー ロ ッ パ ア カ マ ツ 林 , カ ン バ 林 , 亜 北 極 ツ ン ド ラ 域 そ れ ぞ れ の 土 壌 微 生 物 群 集 の 窒 素 固 定 ポ テ ン シ ヤ ル を ジ ェ ラ ン ガ ム ソ フ ト ゲ ル 培 地 に よ る 培 養 法 で 調 べ , 亜 北 極 ツ ン ド ラ 域 で の み 高 い 活 性 を 検 出 し た . 各 土 壌 か ら DNAを 抽 出 し ,16S rRNA遺 伝 子 お よ び 窒 素 固 定 酵 素 の 一 部 を コ ー ド す るnifH遺 伝 子 を タ ー ゲ ッ ト と し たDGGEに よ る 菌 相 解 析 を 試 み , 各 培 養 条 件 で の ア セ チ レ ン 還 元 量 と , 培 養 物 か ら 回 収 し た DNAで の 菌 相 解 析 の 結 果 か ら 主 要 な 窒 素 固 定 細 菌 の 同 定 を 試 み た ,16S rRNA遺 伝 子 を 標 的 と し た 菌 相 解 析 か ら ,Clostridium属 細 菌 やDuganel la属 細 菌 を ジ ェ ラ ン ガ ム ソ フ 卜 ゲ ル 培 養 物 の 主 要 細 菌 と し て 同 定 し ,nifH遺 伝 子 を 標 的 と し た 菌 相 解 析 で はMesorhizobium属 細 菌 やGeobacter属 細 菌 の も の に 近 い 配 列 が 存 在 す る ニ と を 明 ら か に し た .

  ス ウ ェ ー デ ン 北 部 の , 標 高600m付 近 で カ ン バ 林 か ら 亜 北 極 ツ ン ド ラ 域 に 遷 移 す るAbisko周 辺 (68°18 N,19゜10 E) の 山 岳 地 帯 を フ イ ー ル ド と し て , こ の 森 林 限 界 付 近 で 特 徴 的 な2種 類 の 地 表 植 生 ツ ッ ジ 科 植 物 な ど の 低 木 が 優 占 す るheathな ら び に 草 本 植 物 が 優 占 す るmeadowに つ い て , そ れ ぞ れ 森 林 限 界 付 近 の カ ン バ 林 内 と 亜 北 極 ツ ン ド ラ 域 で 双 方 の 土 壌 を 採 取 し , ジ ェ ラ ン ガ ム ソ フ ト ゲ ル 培 地 で こ れ を 培 養 し て ア セ チ レ ン 還 元 試 験 に 供 し た , そ の 結 果 , い ず れ もmeadow 土 壌 が 高 い ア セ チ レ ン 還 元 を 示 し ,heath土 壌 で は ほ と ん ど 活 性 が 検 出 さ れな い こ と を 確 認し た . こ の 結 果 か ら ,Abisko周 辺 の 森 林 限 界 付 近 で は ,meadowが 周 辺 地 域 の 窒 素 供 給 ホ ッ 卜 ス ポ ッ ト と し て 機 能 し て い る 可 能 性 に つ い て 考 察 を 加 え た ,

5. 寒 天 粉 末 に 含 ま れ る フ ラ ン カ ル ポ ン 酸 類 縁 体 が 細 菌 の 挙 動 に 及 ぼ す 影 響   東 シ ベ リ ア ・ タ イ ガ 林 ・ 林 床 土 壌 か ら 分 離 さ れ たPseudomonas collierea V5―G 5株 が , ジ ェ ラ ン ガ ム 平 板 培 地 上 で は ス ウ ォ ー ミ ン グ し , 同 濃 度 の 寒 天 平 板 培 地 上 で は ス ウ ォ ー ミ ン グ し な い こ と を 見 い だ し た . そ の 原 因 物質 を 探 索 し ,寒 天 粉 末 か ら5―hydroxymethylf uranー2―carboxylic acidお よ びfuranー2―carboxylic acidを 単 離 し た . こ れ ら の 化 合 物 が , 寒 天 平 板 培地 に 含 ま れ る 濃 度 で 大 腸 菌 の ス ウ ォ ー ミ ン グ を 抑 制 す る こ と を 発 見 し た .

  以 上 の 研 究 内 容 は2編 の 学 術 論 文 と し てApplied and Environmental Microbiologyな ら び に Soil Science and Plant Nutritionに そ れ ぞ れ 筆 頭 著 者 で 発 表 さ れ て お り , 特 に 前 者 は 既 に6回 の 被 引 用 が あ り , 高 い 評 価 を 受 け て い る , 他 に , 第 二 著 者 と な っ て い る 学 術 論 文 が 一 報 あ る .   よ っ て 、 審 査 員 一 同 は 、 原 新 太 郎 が 博 士 ( 農 学 ) の 学 位 を 受 け る の に 十 分 な 資 格 を 有 す る も の と 認 め た ,

―1090―

参照